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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

オサレな本屋で、まさかの遭遇(セゴビア2)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その9(2016年夏の旅)

いきなり、セゴビアのシンボルともいえる水道橋から始めてしまいましたが、そんなローマっぽい町ではありながら、なんと、ロマネスク的に重要な遺構も満載なんです。これは、この旅の準備をするまで、まったく未知のことだったので、驚きました。

事前に調べた際、中世起源の教会ということで、リストアップできたのは、なんと17カ所です。小さな町ではないとはいえ、この数は、驚きですよね。
もちろん、すべての教会が、私のような素人が今訪ねて、うぉぉ、と思うようなものではなく、半数以上は、起源が中世であるというだけで、何も残っていなかったりするのですが、ただその事実に驚愕したのは確かです。

最初は、ここ。




エル・サルバドール教会Iglesia de El Salvador。

正直、17もリストアップしちゃったものの、どうやって回ったものか、皆目見当がつかなかったんです。それで、ホテルでもらった地図を頼りに、町の中心にあるらしい観光局を目指しながら歩き、その途中で遭遇したに過ぎないんですけれどもね。

建物のほとんどは、新しくなってしまっていますが、扉口のあるところ、南側壁には、往時のポルティカーダが残されています。




ロマネスク時代の名残は、見事にこの一角だけなんですが、それにしても、よく残ったものです。
ただし、せっかくの柱頭は、かなり溶けちゃっていて、残念な状態です。




鳥なのか、キメラなのか、なんなのか、溶けて全部が一体化しそうな勢い。




すっごく想像力をたくましくすれば、これはもしかするとアダムとイブかも?と想像できるくらいには残っているとはいえ、厳しい!
ストーリー性のある彫り物だけに、残念感が半端ありません。




柱の上部、いわゆる軒持ち送りの部分も同様で、こっちはもっと残り方が少ないです。




これだけの柱頭やらがあるところを見れば、軒持ち送りも、彫り物で飾られていたと考えるのが正しいと思いますが、そこは、すべて失われてしまっており、その間のわずかな部分に、装飾的彫り物が見られます。




訪ねた時はクローズでしたが、説明版には、内部はバロック様式、とありましたので、まったく問題なしです。黄金ギラギラの祭壇が置かれているようでした。




わずかとはいえ、明らかにロマネスク時代のものに、最初の教会で出会えて、まぁまぁの幸先かもね。
と思いながら、この後、水道橋脇にある観光庁に行きました。

これだけの観光地だし、ロマネスク集積の中心地でもあることだし、さぞや充実しているだろう、とかなり期待して行ったんです。が、ご想像の通り、中世や教会関係の情報、一切なし。一切ですよ。
情報としてもらえたのは小さな町の地図だけで、紙ものも一切置いてないのです。リストアップしていた教会のいくつかについて、地図に印だけはつけてくれましたが、それだけです。
エル・サルバドール教会の後、通りすがりにもう一つ教会があったのですが、クローズしていたため、開いているのか、開くとすると時間はどうなのか尋ねると、「教会は、我々の管轄じゃないので、わかりません。カギ番の人が来れば開くし、来なければ開かないけれど、時間も何もわかりません」と取り付く島もない対応。
驚くことではないのですが、観光地だけに、愕然としました。

次々と観光客が来るけれど、行列もできていなかったことを思うと、教会のみならず、本当にたいした情報も持っていないのだろうし、訪ねてくる観光客の対応は、自分たちの仕事じゃないと思っているのは明らかで、これはあきれました。いっそ、観光客なんて置かなければいいのに。

なんだか納得できない気持ちで、道をあと戻る際、水道橋脇の道に、ちょっとおしゃれな本屋さんを発見しました。
カフェが併設されているような、今どきのオシャレな店です。
こんな店には、それこそ何もないだろうなぁ、とまったく期待しないで入店して、ロマネスクの本、何かないか尋ねたところ、ちょっとごそごそして、これくらいかな、と出してきた本が、しかし、なんということ!




我々のような修行者にとっては、もう何が何でも欲しいタイプの本だったんです。
B5判くらいの大きさですが、厚さは3センチくらいもあり、重さは、2キロはありそうな。その上、なんと、紙の地図までついていました。




写真付きで、すっごい数の教会が、紹介されています。これを見ていると、いかにも地味な教会が多いのがわかりますが、それでも、この集積ぶりはただ事ではないって感じで、地味でもいいから再訪したくなってしまいます。

実際、旅の最後だったのが残念でしたが、この本をぱらぱらと見たことによって、セゴビアの町の見学は早々に切り上げて、他の町へ行く気にもなったのですから、かなりありがたい出会いだったんです。

考えたら、小さな村ばかり巡っていると、観光局にも本屋にもお世話になることがないのですが、やはり、紙の情報というのは重要なので、たまには、あえて町も歩いて、本屋も探さないといけないなあ、と思った次第。

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  1. 2017/11/28(火) 06:40:14|
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水道橋の赤ちゃん(セゴビア1)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その9(2016年夏の旅)

数々のマイナーな土地を経て、やっとセゴビアに到着です。
実は、この旅の前まで、私の中でのセゴビアのイメージって、ディズニーのシンデレラ城のモデルになったお城とか。




そして、ローマの水道橋。




この二つしかなかったんです。
実際、二十年近く前に、一回だけ訪ねたことがありますが、当時、中世なんてまったく関係ない旅をしていた上に、マドリッド在住の知人のガイドで訪ねたこともあり、嬉々としてお城の観光を楽しみ、水道橋の壮大さに感激して、いかにもの観光客として、いかにもの観光をして、大満足の一日を送った記憶があります。

そんな町が、中世、それもロマネスク的に、これほどのものを擁しているなど、夢にも思わなかったというのが、正直なところです。

このときの旅では、そのセゴビアを、旅の最後の滞在地としました。
ここにたどり着くまで、比較的しょぼい宿が続いたのですが、最後でもあることだし、自分的にはちょっとだけ奮発気分で、宿も、ちょっぴりいいとこにしたんです。




Hotel San Antonio El Real
Calle San Anitonio El Real s/n, Segovia

このホテル、いわゆる町の中心部からはちょっと外れるんですが、と言っても徒歩10分弱で水道橋アクセスできるし、駐車場は無料だし、レストランあるし、ドライブ旅行の方には、超お勧めです。

パラドールではないのですが、元修道院を活用したホテルなので、全体の雰囲気がとても良いのです。




元修道院らしく、回廊を共有スペースとしているのは、いいですよねぇ。




夏だと、こういう場所で、くつろげるの、至福です。と言って、二泊したのですが、毎度駆けずり回っていたので、くつろぐ時間、ほとんどなかったのが残念ですけどね。




ちょっとした小パラドールですよね、この雰囲気。
返す返すも、くつろぐ時間のなかったことが惜しまれます。でも、へとへとになって帰って、ホテルでおいしいお食事が頂けるというのはありがたいこと。駐車も無料で、その上レストラン併設、というのは、田舎では当たり前でも、セゴビアのような、決して小さくない上に観光地でもある町においては、かなり行けてます。

お食事も、悪くなかったですよ。




結局二晩とも、こちらでいただきましたが、まぁまぁのメニューで、お値段も、納得できました。せめて宿泊客には、ちょっと割引とかあってもいいのになぁ、とは思いましたけどね。




もちろん、ロマネスク的にみるべきものがあったから、セゴビアに宿泊したわけなんですが、お城はともかくとして、あの有名な水道橋をちゃんと見る機会を得て、これは想像以上に面白かったのです。
私の中でもイメージでは、水道橋って、トップに乗せた写真のイメージなんですけれど、今回、ホテルから徒歩で町の方に向かうと、水道橋のアーチが生まれる場所、というのも変なんですが、最も有名な、今では町の中心部にそびえたつ、水道橋が最も高い場所のみならず、一番低い場所、つまりあのアーチの出発点から、一番背高になる場所までを、たどることができたからなんです。




最初は、普通の道の高さに、こうやって、溝があるんです。




この先に、町にアクセスする前に、水をお掃除する施設があり、今はもちろん史跡として残っています。水、流れてないですからね、もはや。でも、おそらくかなり近代までも、一部は使われていたんではないでしょうかね。
で、進んでいくと、町の高低差に合わせる感じで、水道橋の高さを持ち上げるような構造物が出てきます。




この辺りでは、まだ背が低いので、アーチにはなりません。
それが、町の中心部に近づくにしたがって、標高が下がるとともに、水道橋の高さを保つ必要から、構造物の高さが挙げられて、とうとうアーチ構造が登場します。




人がやっと潜り抜けられるくらいのアーチから、どんどん背高になっていくんですが、この、アーチが届くあたりの構造物、要は、目の当たりにアーチを目にして、なんだか感心しました。アーチを考え出した、当時の技術者、すごいな、と今更のようにアーチという構造に感動しちゃったんです。




単純にして完璧な構造じゃないですか、このアーチというやつ。
その上、美しい。




様々な意味で、完璧だからこそ、二千年の歴史を誇るわけですよね。




セゴビアの水道橋がすごいのは、こうやって、おそらく、近代にまで残っていた全長を、すべてキチンと修復して、きちんと保存しているところなんだと思います。場所によっては、都市計画を邪魔したりとか、そういうこともあったと思うんですが、それでも、きちんとアーチになる前の構造からきちんと残されています。




これは、本当にすごいことだと思います。

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  1. 2017/11/26(日) 07:19:25|
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田舎のイカで疑似餌に遭遇(マイナー三連発!)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その8(2016年夏の旅)

今回は、セゴビアに行く前に立ち寄った、超マイナーな教会を、サクサクっとまとめます。
とにかく、あまりに地味で、え~、こんなはずでは~、の連続。予定していた場所を見学すると、見学中や直後に、最低限のメモや書き込みを、修行中は何よりも大事なアイテムである旅ノートに書き込むのですが、これらに関しては、それすらないっていうのが、現実を物語っています。
もうね、これは注目だわ、とか、気になるわ、とか、とにかくなかったですねぇ。

まずは、サント・ドミンゴ・デ・ピロンSanto Domingo de Pironという、ちょっとかわいらしい響きの村。




サント・ドミンゴ・デ・シロス教会Iglesia de Santo Domingo de Silos。
その名も、例の著名修道院と同じなんですけどね。




遠目には、一瞬それらしい姿にも見えますが、後陣はほとんどコンクリート化している感じだし、軒持ち送りは、装飾的な彫り物は、一個も認められなかったと思います。

前回訪ねたカバリャールからは、15分程度の道のりで、どうせセゴビアに行く道だし、ということで立ち寄ったと記憶していますが、それでも、やはり駐車して、機材一式抱えて、アクセスして、がっかりして、車に戻って機材を置いて、ナビを設定しなおして、次に向かう、という行程は、教会が素晴らしいものであっても、そうでなくても同じわけなんですよね。
いや、機材って、重めのカバンだけですけどね。でも、こういう一連の作業って、結構面倒なもんなんです。

こういう時は、あまりがっかりしすぎないように、すぐに気を取り直して、次に向かうに限ります。
移動はわずかで、到着したのは、バサルディリャBasardillaという村です。




サン・バルトロメ教会Iglesia de San Bartolome'。

ここも、なんだか塗りたくられちゃっていますが、でも、何かしらは残っている雰囲気です。後陣にある窓ですが、側柱の柱頭以外は、ほとんど新しくなってしまっているものの、薄目状態の開口部は、オリジナルを尊重していることがうかがわれますよね。




それに、柱頭は、傷みが激しいとはいえ、明らかにオリジナルで、ともかく見るべきものがあるだけで、嬉しくなります。
しもぶくれで、妙におやじっぽい顔をしてますが、大きな翼を背負って、明らかに天使。




それにしたって、不細工な天使だな~、悪いけど。




軒持ち送りだってあるんです。このすぐ下から漆喰ぬりぬりにされちゃってますが、オリジナルの石は、砂岩っぽいこういうやつだったんでしょうね。彫り物、ちゃんと残っていたら、面白いフィギュアが見られたことでしょう。
同様のことが、この小さな側壁の扉にも言えると思います。




ここもまた、地域の外の教会同様のアーキボルト装飾です。




植物モチーフや組紐の使い方、いいですよね。彫りもかなり繊細。でも、残念な保存状態です。柱頭も、無残な姿に…。




扉の前に、スロープがありますけれど、これは、工事中のために取り付けられたもの。その工事のおかげで、教会、開いていたんです。




すっかり新しくなってしまった教会ですが、外側からわかるように、もともとは三身廊の教会だった様子が、よくわかりますね。左側の身廊は、なくなってしまっていますけれど。

装飾も何もありませんが、かえって歴史を感じさせる古そうな洗礼盤がひっそり。




そして、かつては、何か彫られていたに違いない柱頭。




開いてたから、ちょっとは満足感がありました。「工事のためにたまたま入れた」みたいな状況って、ちょっと得した~!みたいな気持ちになるので、教会に、たいしてみるべきものがなかった事実が、うまい具合に相殺されたっていう感じ。騙された感じ、とも言えますが、笑。

ついでに、もう一つ行っちゃいます。
どうせ、もうちょっと大きな、ある程度の町村に行かないと、もうランチの時間だったこともあり、トレカバリェロスTorrecaballerosという村に行くことにしました。




サン・ニコラス教会Iglesia de San Nicolas。
これまでのふたつに比べると、一見、お?となりますよね。でも、全体が新しくこぎれいになっているのと、緑に囲まれて、雰囲気がよさげなためで、見るべきアイテムは、やはりほとんどないんです。

超シンプルな扉周り。




アーキボルトに、例の浅浮彫が並んでいますが、かなり浅くて、遠目では見にくいですよね。ちょっと再建ぽいしね。




後陣は、ここも漆喰ぬりぬり、前二つとまったく同じなのが、なんか脱力しますね。




これで、素晴らしい軒持ち送りにでも出会えると、世界が変わるんですが、これまた他と一緒で傷んでいるし、テイストとしてはゴシックで、あまり楽しめず。がっかり。




ただ、この教会の前に、ランチにおあつらえのレストランがありまして、これのために来たんだわ、と思っても間違いじゃないというような素敵さでした。




La Portada, Torrecaballeros

スペインは、内陸でもおいしい魚介類が食べられるのがいいですよね。メインに、小さいイカのグリル。




これ、おかしかったんですよ。ナイフでイカを切ると、なんか得体のしれないものが出てきたんです。ちょっと固いので、一瞬骨的なものかと思ったのですが、変に色のついたぷよぷよしたもの。
お店の人が、お味はどうですか的にやってきたので、これ、なんでしょう?と聞くと、彼も大困惑。
何だったと思います?
イカ釣りの疑似餌…。掃除する時に気付くよね?
いや、驚いた。お店の人、オーナーさんっぽかったけど、シェフではないようで、いや~、申し訳ない、僕も勉強になりました…とか言うから、大笑いしたんだけど。
イカは、普通に食べました。すべておいしくて、スペインの田舎にしては安くないと思ったけれど、雰囲気からして、納得のお店でした。が、疑似餌…。どうなんでしょうね?

さあ、ここまで来たら、セゴビアまではほんの10分程度です。

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  1. 2017/11/25(土) 05:42:15|
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まさか、リゾート・スタイルのお姉ちゃんに先導されるとはね。(カバリャール)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その7(2016年夏の旅)

丘のあとは、ちょっとした山に分け入るような土地となり、たどり着いたのが、カバリャールCaballarという村です。




ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・アスンシオン教会Iglesia de Nuestra Senora de la Asuncion。

高台にある教会に向かう道。
車は下において、徒歩でアクセスしました。
教会前から見下ろす村は、こんな感じ。




ここは、教会よりも村よりも何よりも、忘れがたいものがあります。




教会の入り口ですが、その前にいる人たち、わかるでしょうか。




あとからわかりましたが、スマホに夢中になっているお姉ちゃんが、ここの係員で、お兄ちゃんは、おそらく彼ピーなんだと思います。ゴールデンレトリバーは、お兄ちゃんの犬らしい。みんなで、まるで海辺にいるかのようにくつろいじゃっているんです。
お姉ちゃんのスタイルたるや、これですよ。




いくらなんでも、教会守している人は、その恰好はないだろう、というスタイルで、ただただ唖然としたので、よく記憶に残っているんですよねぇ。
それも、扉にアクセスすると、「見学?あ、そう」、みたいな感じで、先導してくれるんですが、別にお金を取るわけでもなく、扉は常に全開。その上、先導してくれるからって、ガイドが始まるわけでもないんです。
ずかずかと後陣に向かい、「はい、どうぞ」てな感じで、そこに突っ立っているだけ…。すごい、素敵な教会ですね、何ぞと言っても、無理やりのつくり笑顔で、へらへらしているだけ…。
まぁ、もしかすると、この人がいないと、教会は開かないのかもしれないので、そういう意味で感謝はしましたけれど、見学中そばにいるのはやめてほしかったなぁ。

ま、それはともかく。

お姉ちゃんの後ろ姿は置いといても、雰囲気のある建物であることはわかりますよね。装飾的彫り物、なかなか見ごたえあるんです。




洗い過ぎ感は否めませんが…。この白へのこだわりは、ちょっとフランス的ですね。
開口部の側柱の、小さな柱頭彫り物は、かなり修復も入っていて、美しい様子で保存されています。




副柱頭から続く帯のモチーフが、前回の記事の教会と同じなのが、わかるでしょうか。
この辺りに広がったモチーフなんですねぇ。

他の柱頭も、力作揃いです。




表側には馬がドーンで、脇の方に曲芸の人がいますね。副柱頭の装飾的なモチーフとの対象というか、馬一頭ドーン、というのは、珍しいように思います。

こっちもまた、大型の獣一頭ドーンタイプ。




ガタイはいいけど、顔は妙に愛らしい様子で、色が入っているみたいですね。なんだろう、これ。

お姉ちゃんがぴったりと張り付いているせいで、緊張していたのか、撮影はピントずれまくりで、残念な写真ばかりなんですよ。かなり迫力のある柱頭だったように記憶していますが、この写真では、どうも伝わらなそうです。




おなじみのモチーフ、二股人魚は、顔の部分が欠落してしまっているのが残念。




かなりしっかりとした彫りをする職人さんみたいなので、人魚の顔、見たかったですね。

さて、ここでも、洗礼盤、健在です。




石の表面の傷みは残念ですが、縁取りの組紐モチーフは、完全に残っているし、足の部分の模様も、ちゃんとしていて、印象的。
組紐は、モチーフとして大好きなのですが、なかなか再現が難しくて、いまだにうまく描けません。描き方のコツがあるんですよね。以前、その手の番組で見て、とっさに紙に書いてみて、なるほど、といたく感心したことがあるのですが、とても一回見ただけでは再現はできなくて…。YouTubeとかで探すと、動画とかあるんでしょうね。




もっかい、一通り、柱頭を見て回ることに。




この武骨なライオンの、かわいらしいこと。いや、きもかわいい、ってタイプですかね。足のビスケットみたいな感じも好き。

この、アーカンサス上寝そべり動物も、たまらない愛らしさです。




おなじみのモチーフを並べている割には、ディテールのオリジナリティが高いですよね。
放置してほしかったな~。ぶれている写真が、本当に残念。

入り口の装飾は、ラ・クエスタとそっくりです。アーキボルトの浅浮彫装飾は、ちょっとアラブ風の印象もあります。




ここでも、食虫植物らしきものたちが、口をぱっくり開けて、獲物を待っていますね、笑。




外に出ると、お姉ちゃんは、お役御免とばかりに、彼ピーと犬のところに戻り、リゾート生活復活。私は、教会の周囲をぐるりと観察です。




扉と反対側。建物は、全体にとてもつまらないですけれど、一応おなじみの軒持ち送りがずらりなので、観察です。




いろんなところにちょっとずつ、変なものがいます。




でも、軒持ち送りにある彫刻は、傷みが激しいのと、テイストとして時代が下るので、面白みは欠け、ここの教会の愁眉は、やはり内部の柱頭です。

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  1. 2017/11/23(木) 06:29:08|
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地元愛にあふれた、いかつい顔のおじいさんと食虫植物(ラ・クエスタ)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その6(2016年夏の旅)

次に訪ねた教会は、何とも印象的なたたずまいでした。
村はずれの丘に、一人佇んでいるんです。




その名も、坂を意味するラ・クエスタLa Cuestaという村にある、サン・クリストバル教会Iglesia de San Cristobal。

遠目にも、扉がバーンと開いているのがわかりましたので、まずは、中に入ることにしました。




外同様に、内部もかなり開放的な構造になっています。ほとんどの部分に後代の手が入ってしまっていて、まるで体育館のように広々としています。

なにより驚いたのは、大音響のラジオがガンガンにかかっていて、おじさんが、何か仕事をしていたことです。扉ももともと開け放してあるし、私が入ってきたことにも気づかないおじさんに、声もかけづらくて、手持無沙汰にうろうろしてしまいました。

内陣の反対側の薄暗い隅っこに安置されている洗礼盤を、まずはチェック。




数少ない、教会創建当時のロマネスク・アイテムです。
前回記事の教会にあった洗礼盤と、まったく同じスタイル。洗礼盤がよく残っているスペインですが、同地域のものは、たいてい同じスタイルのものになっている気がします。地域で活躍する、洗礼盤専門石工さんがいたっていうことなのかな。

この辺りで、おじさんが気付いてくれて、そうしたら、ぱちぱちと灯りを付けてくれて、この薄暗い一角も、いきなり明るくなりました。おかげで、洗礼盤の装飾彫り物を、よく見ることができました。




縁に、聖人らしいフィギュアが、横になって彫られているという珍しいスタイル。
ちなみに、向こう側にちらりと写り込んでしまった、ベレー帽の、雰囲気のあるのが、おじさんです。




のけぞっちゃっている感じの、すごい写真ですが、カギを持っているところから、これはサン・ピエトロでしょうね。ということは、使徒の人たちが横たわっているのか。12人分のスペースはありませんけれど。

おじさん、結構熱心に説明をしてくれます。
壁の一部に、ほんのわずかに残っているフレスコ画。識別可能なこの人は、おそらくサン・クリストバルであるというような話だったと思います。




祭壇には、ここも黄金ギラギラだったであろう飾りが残っていますから、それなりの教会であった歴史があるのだと思います。




内陣と信者スペースの境目にある、これも勝利のアーチとなるんでしょうけれど、その柱頭は、結構ちゃんと彫り物が残っています。




副柱頭は、再建ぽいけれど、続いている帯装飾の彫り物はみな同じだから、再建というより修復なのかな。なかなか美しいですよね。
柱頭は、ハーピーっぽいモチーフで、もうゴシックに片足かかっているテイストです。右側にはアーカンサス。




今は、大きなアーチ構造で、身廊を区切るような構造になっていますけれど、おそらくオリジナルは、柱のある構造だったんじゃないでしょうか。スペースを考えると、結構大きな柱があったと思われますし、とすると、柱頭も立派で、面白い彫りがあった可能性が高いですね。
これだけきれいさっぱり体育館になっちゃっていると、逆に想像の余地しかなくて、残念感が薄れます。

おじさんにいざなわれて、外観見学へ。




今使用されている入り口。小さくて地味ですが、町の方に向いているし、北壁とはいえ、メイン扉としての違和感ありません。柱頭も含め、それなりの装飾も施されています。





この、副柱頭と一体化した帯装飾の彫り物、ちょっと面白いですよね。イメージとしては、食虫植物です。組紐系の中に置かれた二枚葉が、なんか、クワッと口を開けて、獲物を待っている感じします。

アーキボルトにも、組紐系と植物を合わせたような彫り物が連続して彫られています。




ここの植物も、なんとなく動物的なイメージを受けてしまいますけれど、なんででしょうね。

軒送り部分は、もうゴシック時代にかかった装飾のようでした。




明らかに、ロマネスクの可愛さが薄れていますよね、いろんな意味で。




後陣側をぐるりと回って、村と反対側、つまり南側に回り込みます。軒送りの装飾はありますけれど、楽器を奏でる動物も、やっぱりなんか可愛さに欠けます。




で、回り込んだ南側は墓地になっているのですが、おじさんによれば、こちら側に、元来扉があったんだと。その名残が、どうやらこれ。




確かに、扉上部に軒送りがあるし、本来はこのスタイルの方がそれらしいですね。
朽ち果ててはいますが、柱頭の彫り物も、なんとなくこっちの方が、それらしい感はあります。




扉上の軒送りを見ると、明らかにこれが入り口だった、とわかりますね。




ここだけでなく、南側は、壁上部の軒送り彫り物も、やはり北面よりは、かなり充実しています。




内容は、基本的に朽ち方が激しく、会えてうれしい、ということもないのですが、何もないよりは、やっぱりうれしいかなってところでしょうか。




高台からの眺めをしばし堪能して。




おじさんと別れました。




あまりにっこりとかできないタイプの顔のおじさんだったけど、地元愛にあふれる説明が、好感度高かったです。こういう人に出会うと、何でもない教会に対しても、なんだか愛着を感じてしまうものです。
そして、こういう教会は、たいしたものがなくても、確実に記憶に残ります。

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落語的な出会い(ペラージョス・デラロージョ)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その5(2016年夏の旅)

前回のソトサルボスからは、車で5分ほどの至近距離にある村に移動します。
村には、簡単にたどり着きましたが、教会の場所が、すぐにはわからず、さて、どうしようと思ったところで、家の前に怒鳴っているおやじに気が付きました。他に、尋ねる人もいないので、恐る恐るという感じで、近づき、おずおずと教会を尋ねると、意外にもにっこりとされて、あっちあっち、と指さしで教えてくれました。
直後に、家に向かってまた怒鳴りだしました…。どうやら、激しい夫婦喧嘩の最中だったようです。なんか、落語の世界だったな~。




ペラージョス・デラロージョPelayos del Arroyo、サン・ビセンテ教会Iglesia de San Vicente。

一見、パッとしない外観で、あ、またか~、その上開いてないのか~、とがっかりしかけたのですが、なんと、カギを持ったおやじがやってきたんです。
まさか、開けてくれるの?と感激して、聞いてみると、普段は開いてないんだけど、夏休み期間は、開けることになっているということでした。
そういえば、ネットで見た時も、7月から8月にかけての一か月くらいはオープン、と書いてある教会がいくつかありました。開いている確率が高まるのは、7月後半から8月後半にかけてですよ。

さて、見学開始です。
まず、後陣側。




後陣と反対側、西側にファサードと一体型になっているタイプの鐘楼と同じタイプのものが、ここでは、後陣から飛び出るような変な形でそびえたっています。
脇には、円筒形の構造物がありますが、内部に、鐘にアクセスするらせん階段を収納しています。




最初にたどり着いて、ちょっとうろうろしたとき、この階段塔の扉が半開きになっていたので、ちょっと押してみたら、ちゃんと開いたんです。中は暗くてかなり崩壊が激しい様子でしたが、でも、階段はあるし、ついつい入り込んで登りたくなっちゃうような、そういう様相で、(私のような病気の人には)これは危ないな、と思いました。怪我でもしたらえらいことなので、我慢しましたけれど、「入って見ろ」誘惑、相当強かったです。

軒持ち送りに、いくつか装飾的な彫り物が見られました。




軒持ち送りの間に置かれた、装飾的な浅浮彫彫り物が良い感じですね。組紐的な、古いモチーフです。




側壁の上の方にも軒持ち送り装飾がありましたが、かなり傷んでいて、形が残っているのはわずかでした。いずれにしても、肉眼レベルで確認できるのは、後陣部分だけです。

では、本堂への扉へ移動します。




やけに白い上に、相当掃除をしちゃっている感じです。オリジナルはこういう感じだったのかもしれませんが、教会の外の部分との整合性がなくなっている感じもあって、ちょっと違和感ありました。




アーキボルトは、連続植物モチーフで、なんだか、ちょっとロマネスクっぽくないんですが、時代はそうらしいです。
後陣の装飾も含めて、文様へのこだわりが感じられる石工さんだな、って印象です。




中に入ります。
最初に目に飛び込んできたのは、スペインらしいギラギラの祭壇。




せっかく入れたのに、これ~?と一瞬がっかり感に襲われそうになりましたが、続いて目に入ったのが、これ。




変則な勝利のアーチの位置となるんでしょうか。アーチの根元に、立派な柱頭があります。
特に左側に置かれたこいつは、彩色されていた様子と言い、ストーリー性のある様子と言い、いきなり違う石工さんの作品に感じられますね。




壁にも、美しいアーチが施されていて、そのアーチの根元には、やはり立派な柱頭があります。
一身廊の小さな教会ですが、脇の身廊を作れない代わりに、こういったアーチ装飾を施したのでしょうかね。




身体をタイトにしならせた肉食動物スタイルは、一見カベスタニー系ですが、顔の表情が、何ともプルートー…。




右側は、また全然違うタイプのモチーフになっています。




勝利のアーチの柱頭は、右が動物モチーフで、左に人々がたくさんいるストーリー的な柱頭。信者席では、右にストーリー柱頭で、左に動物モチーフ。やっぱりわざとそういう配置にしているんでしょうかね。




柱頭以外にも、薄いので、見逃しそうになるフレスコ画も注目です。




一部だけ、修復に成功した、という様子ですが、もともとは壁面全部がフレスコ画で覆われていたものと思われますね。
教会が捧げられているサン・ビセンテの一生のストーリーが描かれているようですが、もしかすると未完成フレスコ画なんでしょうか。または、色が失われたということなのか。




若干時代が下るのかな、という印象も受けますが、なんか、色あせた様子も含めて、結構好みでした。かわいい。




この四角い絵の周りには、もっと後の時代のものと思われる、もっと下書き風のフレスコ画がいくつか認められました。




ここでも、忘れてはならないのは、洗礼盤。
お菓子のシャルロット、またはカボチャスタイルですね。
洗礼盤は、祭壇と反対側の正面に置かれていることが多いです。西側に扉があることが少ないせいかな。オリジナルも、その場所なのかは、わかりませんが。

もう一つ、芸術的な碑文も、チェックですね。




これは時代についても、何も書かれておらず、不明です。それにしても芸術的なカリグラフィーですよね。カリグラフィーを趣味とされる方には、おそらく参考になるものなのでは、と思われます。

帰りがけに気付いた入り口付近の彫り物。




身体はくるりんですが、ここも、顔はプルートー的なんで、なんか微笑ましい。

いや~、カギ番さんのおかげ。ありがたかったです。




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  1. 2017/11/21(火) 07:26:26|
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建物が重みを感じている(ソトサルボス)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その4(2016年夏の旅)

地味な教会が続きましたが、セゴビアに近づきつつ、次に訪問した村では、やっとこさ、これでしょ!という教会に出会えましたよ。




ソトサルボスSotosalbos,サン・ミゲル・アルカンヘル教会 Iglesia de San Miguel Arcangel。

ここにたどり着く前に、Collado Hermosoという村の教会を探したのですが、村にはアクセスできたものの、たぶん聞く人を間違えて、説明が全く分からず、さらにほかの人にも聞いたもののやっぱりわからず。幹線道路から、そんなに外れていないはずなのにわからないというのは、どういうことか、謎だったのですが、相当深入りした挙句わからないのでは、どうしようもありません。

で、気を取り直して、この、ソトサルボスに来たのでした。
リゾートっぽいというのか、ビジター用の駐車場もあるこぎれいな村で、教会も、すごくこぎれい。これまで超マイナーな、なんか取り付く島もないような教会が続いたので、戸惑うくらいでした。




これはもう、嬉しい予感にふるふる状態ですよ。
何度も同じようなことを書いてしまいますが、こういうときって、すぐにも近づきたい気持ちと、本当に期待するものなんだろうか、という恐れからくるドキドキで思わず恐る恐るという足取りになってしまう気持ちと、そういう非常に矛盾した状態で、実際は、ふわふわとした感じで、アクセスしていますよねぇ。
同好の士に、思わず語り掛けちゃうわけですが、笑!




ここまで近づくと、かなり冷静になって、凝視。
なんとなく感じられましたが、後代の手が結構入ってるぽい、と見て取ると、ますます冷静になれます。




ロマネスクの軒持ち送りに、もうちょっと後の時代の装飾彫り物が混ざっていますね。上の部分が、時代が下ると思います。
あ、でも、古い時代のものもあったりするみたい。




いずれにしても、この軒下の装飾にこだわったスペイン・ロマネスクの面目躍如的な教会ではありますよねぇ。壮観です。




そして、これまたスペインらしいポルティカーダ。




柱頭は、傷んでいるけれど、何とか食い止めようという修復の努力が感じられますねぇ。







崩れてしまった彫り物は、取り戻しようがないですから、前年ではあります。構造的な美しさがあるだけに、彫刻部分の損傷が、さらに痛々しく感じられてしまいます。




この、下の写真が、すごく雰囲気だと思うんですが、なんか、全体で見ると、ちょっとずつずれている感じっていうか、がたが来ている感じっていうか。




千年の石の重みを、構造全体で支えてる感がありませんか。

さて、この教会、訪ねた時は、閉まっていたので、近所の外の教会を見てから、再び戻ってきたところ、中に入れたんです。
中は、かなり白くされちゃっていましたが、それでも、古いフレスコ画が残っていて、雰囲気はありました。




信者の方が、熱心にお掃除とかしていて、どうぞこれも見てってください、と聖具室に誘ってくださいました。




このお部屋そのものも雰囲気があって素敵なんですが、たくさんの木彫り、それも12世紀のオリジナルが、かなり無造作に置かれているのには、びっくりでした。




本堂では、洗礼盤も注目です。




スペインでは、洗礼盤が注目株の教会が多いです。それだけ多くの洗礼盤が残っているということでもあるし、洗礼堂がないということでもありますよね?




装飾的なのは、足の部分だけなんですが、私は、その下に広がる、まるで古代の遺跡みたいな台座に惹かれてしまいました。これは後付けのものかもしれませんが、こういう石の素朴な感じが好きなんだな~。

訪ねる価値のある教会です。

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  1. 2017/11/19(日) 06:41:11|
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落胆ばかりの行程も、きっと明日のために…(ドゥルエロとアルコネス)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その3(2016年夏の旅)

小さい村の、マイナーな教会が続いておりますが、次は、ドゥルエロDurueloという村です。
ここは、確か村にはたどり着いたものの、教会を探すのに、かなり手こずった記憶があります。

それもそのはずで、完全な村はずれの、サッカー場とかそういうものがあるような、要は建物的なものは何もない場所の、それもはずれにポツンと立っていて、あれかな?いや、違うだろう?と半信半疑で、アクセスしました。




ナティビダ・デ・ヌエストラ・セニョーラ教会Iglesia de Natividad de Nuestra Senora。
直訳で言えば、聖母生誕教会、とでもなりますか。
大仰な名前の割には、ここも、後代の手が相当入っていて、残っているのは、後陣部分だけで、苦労した挙句のことですから、ここじゃないよね?でも、これ以外には、ありそうにないし、後陣を見る限り、確かにロマネスクだよね、と、うじうじと、落胆した気持ちを覚えています。

というのも、事前にネットで調べた情報では、タンパンとか、中の柱頭がいいとか、そういうことがあって、メモってあったんですけれど、実際に目にしたのは、この、おなかの出たずんぐり後陣のみだったんです。




これまでの教会同様、ちょっとしたものは残っているし、かわいいものも、わずかはあるんですけれど、期待値との差が、激しすぎましたね。
それも、実はこれ、ソリア県の方からやってきて、駆けずり回った一日の最後に訪ねた教会だったので、疲れも相まって、ますます脱力してしまっていた、という事情もあります。教会に対しては、ちょっと失礼な対峙だったかもね。

窓、というか、この薄目状態の開口部周りの装飾は、ちゃんと残っていたんですから。




それも、このえんどう豆みたいなモチーフ、ちょっと面白かったりします。オリジナリティ高いですよね。コッペパン的でもある?




植物モチーフだと、この柱頭のも、結構細かいモチーフが、繊細に彫りこまれていて、面白さは感じました。




薄目開口部の上にある超浅浮彫も、かなりかわいいですよね。実はこれ、写真で気付きました。
もちろん、大好きな市松彫りも、いい感じに残っています。

わずかしか残っていない軒持ち送りにも、かわいいものがありましたよ。




チョイとシャガール的な、楽師ですね。これは愛らしいです。

この日は、お天気も悪かったので早仕舞いで、この近辺、サン・トメ・デル・プエルトという村の郊外にある、モーテルで宿泊。幹線道路を出てすぐ、アクセスは便利ながら、まさにモーテルで、全体にダサかったのですが、なんだかレストランが、妙に洒落っぽくて、スペインの田舎とは思えないお値段設定でもあり、ちょっとびっくりでした。




Hotel Mirasierra
San Tome' del Puerto, Autovia A1 (E5) Km99

名前から言って、この山の風景が自慢なんでしょうが(ホテル名が、マウンテン・ビューとでも言った意味と思います)、この日は夕方から、結構寒くなったので、プールもむなしく、山の風景もむなしかったです。
でも部屋はきれいだったし(確か、一泊50ユーロ強だったと思いますので、お手ごろ値段)、車旅には便利でもあるので、一応情報として乗っけておきます。とにかくこのあたり、ホテル探しには、相当苦労しましたので。
村まで、歩いて10分程度で行けますが、村に、レストランがあるのかどうかは不明です。
疲れちゃっていたので、村に出ていく元気もないまま、納得感のない夕食をいただいて、さっさと寝てしまったはず。

翌日は早起きして出かけるつもりでしたが、お天気が悪かったので、遅い出発となりました。一気に、セゴビア方面を目指しつつ、途中立ち寄ったのは、アルコネスAlconezという村。




サン・ミゲル教会Iglesia de San Miguel。
村の中心にあり、迷うこともなくたどり着けましたが、ここもまた、事前情報とあまりに違って、愕然です。




これは違うだろう?と思ったのですが、なんせ村の中心に堂々とあるし、説明版が建っていて、やはり目指す教会だったので、脱力でした。
一応見るべきものを探すわけですが、ここは、少なかったです。




味があると言えば、確かに味のある、この後陣の窓くらいでしょうかね。

熱心にスペイン・ロマネスクを見ている人だと、遠目に、軒持ち送りに、何かあるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、ほとんど何もなくなっちゃっているんです。
これくらいかな、識別可能だったのが。
壁も、漆喰で塗りたくられちゃったしね。




説明によれば、三つ後陣の典型的ロマネスク建築が残っていることが自慢らしかったのですが、そして事前情報では、柱頭とか洗礼盤もあるようだったのですが、勿論クローズでしたし、村の中心の広場にあるにも拘わらず、人っ子一人いませんから鍵のありかも探しようがないという状態ですし、先に期待して、早々に失礼した次第。

ただ、なんか、このあたりのスペインらしいというのか、全体に低く広がっている村のたたずまい、広場の周辺だけ一重に取り囲むような、それだけの家並みの村の雰囲気が、悪くはなかったんですけどね。

あまりに地味な教会が続いていますが、こういう行程もありますね。どこもここも見ないで、比較的有名なところだけ見ていれば、こういうこともないんでしょうけれども、せっかくだから病というか、もったいない病になっちゃって、ついつい数をこなそうとしてしまう悪癖のため、結果がこういうことになります。
セゴビアで、地域のロマネスクガイド本をゲットすることができたのですが、それを見ても、この地域は、星の数ほどロマネスク時代の教会が点在しているけれど、多くは、こういった地味なものらしい、という印象を受けました。何でもかんでも行っても、落胆の方が大きいかもしれない、リスキーな地域でもあるかもね。
でもね、行ってみないとわからないっていうのもあるから、やっぱりこういう落胆を繰り返しながら、ひたすら歩くしかないんでしょうね。

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  1. 2017/11/17(金) 06:58:44|
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何はなくとも宝は探す!(上セレソ、下セレソ)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その2(2016年夏の旅)

この辺りは、小さな村が続き、各村にロマネスク時代の教会があるのですが、わざわざ、目指していくほどの教会があるわけでもないのです。ただ、どうせ通り道だから、先へ進みながら、見られるところを見ていこう、という感じで、ふらふらとドライブしました。

どの教会も、入ることもできず、周囲にほとんど人もいないというようなたたずまいで、印象も薄くて、かなり忘却の彼方ですが、写真とメモで、一部、現場をちょっと思い出しつつあるところです。

というわけで、サクサクと飛ばすことにします。

まずは、セレソ・デ・アリバCerezo de Arribaという村にある、サン・ファン・バウティスタ教会Iglesia de San Juan Bautistaです。




確かすごく暑い日だったので、日影に駐車したくて、頬を寄せ合うような感じで、教会に寄り添って駐車したんでした。撮影の都合上、こういう駐車はしないんですけどね。本当に扱ったのと、教会の外観が、たいしたことないからいいや、という投げやりな気持ちが伝わってきます。

一見してわかるように、ロマネスク当時のものとしては、後陣のスタイルと、軒送り、窓装飾程度で、入れなかった内部は、15世以降に、相当手が入っているようでしたので、いずれにしても興味は持てなそうでした。

通りすがりのおじいさんに、カギを尋ねたものの、「今日は開かないよ、明日なら開くよ、明日なら…」とつぶやくように去っていったので、深追いもせず、一応得意の(?)すき間撮影にトライ。




あ、やっぱりつまらなそうですね。

この写真で、ロケーションを思い出しました。




頬ずり駐車した同じ後陣ですが、こちら側にアクセスするには、一応門扉があって、敷地内に入るスタイルになっていたんでした。門扉は、施錠されていることもなく入れるんですが、この左側の、かなり新しい時代の建物に、扉があったのでした。




他はともかく、この後陣は、美しく修復もされているし、装飾はよく残っていると思います。
この、ギリギリ薄目状態は、前回記事のアイリョンと、まったく同じスタイルですね。

この柱頭の上の部分から、ずっと帯状になっている部分のモチーフが、よくわからなくて、じっと見ていたけれど、わからなくて。




写真で拡大してみても、やっぱりなんだかわかりません。なんでしょう?
翼なのか、貝殻なのか、何かをもとにした連続モチーフなんですが、他で見た記憶のないものです。




アーチ部分の彫り物も、独特のタイプですよね。

建物は、かなりの部分が新築状態(ロマネスクに比べれば)ですが、軒持ち送りは、結構残っています。




が、傷みは激しく、マシなのは、激しくとぐろを巻いたやつとか。




動物系ですね。




それにしても、雨どいの新品ぶり!
かなり現役感ありますね。

10分強の滞在で、村を後にして、隣村へ。12.3分のドライブで、その名もセレソ・デ・アバホCerezo de Abajoへと移動です。
アリバArribaは「上」、アバホは「下」という意味なので、上セレソ村と、下セレソ村が隣り合っているっていうイメージですね。

下セレソ村の教会は、確かちょっとした高台にあったと思います。近かったけど、すんなりとはいかなかった記憶があります。




サン・ロマン・アバド教会Iglesia de San Roman Abad。

事前調査で、カギ番の名前までわかっていたのですが、聞く人もおらず、どうしようもありませんでした。
でも、親切な説明版が置かれており、ここも内部は全くロマネスクの面影がないものに変容しているようでしたので、問題なしです。
さらに、後陣すら、こんな不思議な形にされちゃっていて、見る影もないんです。




見るべきは、扉だけ。




よくぞ、この扉装飾を残してくれました、と感謝したくなるような。
それも、かなりきっちり修復されていて、保存状態は、なかなかのものです。

扉の上部左右に、はめ込まれた彫り物は、本来はどこにあったものなのでしょうか。




なんか繊細な印象を受ける彫りです。すごく細かいわけではないのですけれど。
モチーフの捉え方でしょうか。




その印象は、扉側柱の柱頭彫り物についても同様です。




壁にはめ込まれたのも、やはり柱頭の一部でしょうかね。




後陣、オリジナルのまま残っていたら、おそらく楽しい軒持ち送りがあったでしょう。残念なことです。アーキボルトの植物モチーフや、市松帯も、やはり同じ繊細なイメージ。




扉だけでも楽しめて、訪ねた甲斐がありました。

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  1. 2017/11/16(木) 07:14:02|
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セゴビア、シンデレラ城だけじゃないんです!(アイリョン)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その1(2016年夏の旅)

寄り道にずいぶんと時間がかかってしまって、なんだかロマネスクやるのも久しぶり。どこに行こうかとちょっと悩みましたが、やはり順当に、時間的に遠くなってしまったところから順番に行こうと思います。

2016年7月に訪ねたスペインの中心部、カスティーリャ・エ・レオン地域。ここは、州としては相当広く、そこをかするようにして、急ぎ足で回ったのですが、まずは、マドリッドから見ると、東北地域となるソリアを回りました。
その後、西の方に移動して、セゴビアを目指しつつ、町村を歩くというルートです。
有名な町村もない、本当に何もない地域なので、場所の検討もつきにくいと思われます。どこかのタイミングで、地図もアップしたいと思います。

まずは、セゴビア県で、最初に訪ねたアイリョンAyllonです。
大きくはないけれど、村というのは大きな町で、確か町に入るのに手こずったものの、何とか住宅街に駐車して、中心部へと徒歩で向かいました。
とてもかわいらしい町で、すぐに嬉しくなりました。




なんせ、店の一つもないような、超ど田舎が続いた後ですから、こういう町っぽい風景に癒されるっていう状態だったんですよね。
そして、中心の広場に、いきなり、という感じで、目的の教会があり、迷う暇もないあまりの簡単さに気が抜けました。




サン・ミゲル・アルカンヘル教会Iglesia de San Miguel Arcangelo。

手間に、思いっきり余計な建造物(16世紀)がくっつけられちゃって、変なものになっていますが、それでも、最初に見た印象は、「かわいい~」でした。おそらくその大きさが、本当にかわいらしいと感じさせるものなんです。広場もこじんまりとしていて、プロポーションもぴったり。

無粋な建造物に隠れるようにして、立派な扉があります。




アーキボルトは、ギザギザ模様とか、お団子、そして縄目模様と、地味ですが、私が好きなものばかりです。素朴で、愛らしい。




それらの根元にある柱頭は、摩耗も激しいですが、左右とも、副柱頭部分の装飾的浮彫とともに、なかなかの腕を持つ石工さんによるものだと想像できるタイプのものです。




ちょっと、カベスタニー的テイストを髣髴とさせるタイプのライオンですよね、たぶん。

そのサイズが、愛らしい後陣。




そうそう、こっち側からのアクセスだったから、それで、第一印象が、「かわいい」だったんだと思います。
サイズもいいし、ちょっとずんぐりむっくりな感じだけど、ほっそりとしたつけ柱のアクセントが、魅力的だし、遠目にも、軒持ち送りの浮彫たちが認められますよね。




残念ながら、軒持ち送りの浮彫も、かなり傷んでしまっているんですけれど、軒下にある連続モチーフの帯もいい感じ。




左のは、月の労働を表すモチーフっぽいですけれど、それはないかな、スペインのこんなとこで。
右の、朽ちちゃっているけれど、妙にスマートでスタイリッシュなキメラまたはグリフィンも、オリジナルがどうだったのか気になるやつです。

後陣の開口部。




この細さはすごいですね。もともとこうだったんですかね?これでは、明かりがほとんど入らないような気がします。暑い土地だから、夏向けにこんな感じ?ちょっと、久しぶりなので、ぼーっとして書いていますが、他でも、こんな細い開口部だったかしらん。

でも、訪ねた時は、そんなことは気にならなかった。たぶん、中に入れなかったからだと思います。ここで注目したのは、大好きな市松モチーフの帯と、柱頭の網目モチーフでした。

西側からの眺め。




この、南側面についている建造物がなければ、とても小さい田舎の教会そのものですね。

西側にも、扉が開けられていましたが、造作から言っても、南側に立派なもんがあることからしても、これは、後代に開けられたものではないかと考えます。




もちろん、私がこっち側から堪能したのは、このつまらない扉ではなくて、この方たち。




コウノさんが、つがいでいらっしゃいました。
結構身近で出会えて、嬉しかったです。巣はよく目にしますけれど、必ずしも巣にいらっしゃるわけじゃないので。

教会のある広場には、お洒落なバールも並んでいて、ちょっと嬉しかったです。次回この辺りを回ることがあれば、是非この町に泊まりたいものだと思いながら、先に進みました。このときの旅では、宿泊地に、本当に苦労したんですよね~。




記憶もあいまいになっていますが、写真や、旅の間のメモを見ていると、少しずつよみがえってくるような。もう、2年半前になりますから、そろそろ記憶の呼び起こしも限界に近いところ。せいぜい頑張りたいと思います。
セゴビア県、ロマネスク的にはかなり充実しているし、楽しい場所ですけれど、さほど有名じゃないので、そういう意味でも、強力に紹介したいのです。

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