2016.08.オーヴェルニュの旅 その56
モザMozacのサン・ピエール教会Eglise Saint-Pierre続きですが、忙しい年末でもあることから(意味不明)、さくさくと行きたいと思います。
ちなみに、ですが、実用情報、訂正します。
オープンは毎日、冬季、11月から4月まで、9時から17時、一方夏季5月から10月は、9時から18時半でした。昼に閉まることもなく、お休みの日もなく、見学者に優しい時間です。
さて、後陣向かって左側の方にある柱頭たち。
こ、これは!なんだか意表を突かれるモチーフ。たいやきくんですよ!
ふざけてるわけじゃないけど、たい焼き君感がすごく大きい魚ですよね。
この柱頭は、二面に、旧約聖書に基づくモチーフがあらわされています。このお魚乗りは、「トビト記」。トビトの息子トビアが、普通の旅人に身をやつしたラファエルと旅をする途中で、大きなお魚を釣り上げたところを、クローズアップしたようなのですね。このお魚をお薬として、トビアの失明していた目が治ったりして、家族幸せ~みたいな結果となったから、そういう幸せの象徴であり、またお魚はキリストのシンボルともなっていますから、そういうのをひっかけて、こういう図になったんでしょうか。日本人なら、ついつい、めでタイ的な意味もあり?とかありえないことを思いついちゃいますね、笑。
ここでも、背景に張り巡らされた植物モチーフが、独特。実際にはいない幻獣は、ロマネスクによくあるモチーフですが、ここでの果物類は、幻果物、という解説がありました。
同じ柱頭のもう一面には、もっとポピュラーなこちら。
サムソンですね~。モチーフとして好きなキャラクターですが、このサムソンは、かなり普通のおじさん風で、私の好みには合致しません、笑。
背景にある赤は、彩色のようです。サムソンの口も、うっすら口紅状ですね。どうやら以前は彩色されていたのかな。だとしたら、結構ハデハデだったかもね。植物もわっさわさだし。色が剥げててよかったです。
しかし、このたい焼きにしても、やられちゃっているライオンにしても、柱頭からはみ出さんばかりの勢いというのか、こういうダイナミズムはすごいと思います。石工、ただものではないって感じられますよね。
この教会、親切なことに、あちこちに、色々解説があるんです。現地では、撮影だけで、ほとんど読んでいませんが、今、どうしても読もうとしてしまうんで、ブログ書くのが面倒になります。
例えば、この柱頭の近くには、それぞれのエピソードやモチーフの説明に加えて、「なぜ、トビトとサムソンが、同じ柱頭に彫られているのか」という質問に対しての、可能な応え、というのがあって…。
フランス語は、会話は苦手ですが、書かれたものはイタリア語と似ているため、漠然とはわかるのですが、正確性は確信がないので、詳細は、割愛。
ご興味ある方は、実際に行かれて、どうぞ、確認してくださいね~。
ケンタウロス君。
この人たちも、なんだかかぐわしい香りのしそうな果物かなんか、大事に抱えていますね。
こちらは、ぼけちゃってますけど、猿みたいです。
こっちでは、首に縄をつけられていますね。
猿は、どっちかというと、否定的な意味を持つシンボルでしたよね?どうして、そういうことが覚えられないんだろうなぁ。ちなみに、イタリアでは、あまり見られないと思います(言い訳めいてますが…)。
とにかくどの柱頭のモチーフにも、必ず植物がセットですね。
こちらはグリフィンですね。おしっぽが素敵。
ヤギに乗る童子、かな。ヤギのおひげがたまりませんね。そして、少年たち、怪しい美しさです。
同じヤギ乗り童子でも、こちらは、ちょっと年齢層が上がって、ちょっとワイルド系な感じ。乗り方も、なんだかこなれていて、「行儀よく乗ってんじゃねえよ」とか言ってそうな気がしてしまいます。
これは、天使ですよねぇ。でも、キノコみたいな被り物で、キノコの天使?とか思っちゃうんですが…。
全体の様子は、こういう感じ。
かなり背が高いので、実は撮影も簡単じゃなくて、結構ピントぼけてるのが多かったですが、改めてこの身廊を見たら、それも仕方ないなぁ、って思います。
これは、もしかしたら右身廊だったかも。いずれにしても、祭壇至近だと思います。
ヨナのストーリですかね。ここでも植物がとっても幅を利かしているのが、興味深いと思います。そして、おちりが…。かわいすぎます。こんなお尻丸出しって、珍しいですよねぇ。思いきりましたねぇ。
で、実は祭壇にも、床置き柱頭があるんですよ。
この柱頭、かなり強烈なんです。上の角度だと、よくわかりませんよね。他の面を見ると、驚きます。
角っこの天使、若干眉間にしわではありますが、かなりクールな顔つきで、堂々と立っているわけですが、後ろ手にぎゅっと。
四人の天使と四つの風、とされている柱頭です。
聖ヨハネの黙示録をモチーフにしたものとされているそうですよ。
天使が、今にも角笛を通して、風を巻き起こそうとしている、その風そのものを表している小さな身体の人物の口をぎゅっと無理やり閉じています。
研究者によっては、角笛は、風を表すのではなく、悪い言葉を広げるものであり、これら小さな身体の人物が、四つの悪い言葉の使い方を実践仕様としているために、天使たちが、口をひねり上げて、言葉が出ないようにしているのではないか、という解釈もあるようです。
要は、本当に意味するところは、よくわかってないってことです。
中世の図像って、結局そういうレベルでしか、いまだにわかっていないものがたくさんあるんですね。研究してもわからないって、なんだかすごい。
というわけで、解説があまりたくさんあるので、ついつい。
でも、時間をかけても、いい加減にしか読めないので、ひどくあいまいな内容で、恐縮です。多分、ここの情報は、ネットで色々出てくると思いますので、ご一報いただければ、訂正するくらいのつもりで、アップします。
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- 2018/12/31(月) 02:30:04|
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2016.08.オーヴェルニュの旅 その55
この日は、リオンRiom郊外に宿泊の予定でしたが、あまりに早く見学が終了してしまったので、もうひと頑張り。
事前の調査では、18時45分まで開いているはずのモザMozacに向かいました。
モザは、リオン郊外の町、といった位置関係で、リオンから真西に10分程度のドライブです。リオンの街並みが続いている状態で、違う町というような感覚ではなく、いきなり町に入り込んでしまい、これが果たしてモザなのかどうかも定かではなく、位置関係を理解するために、とりあえず目についた駐車場に入り込んでみました。
結構大きな駐車場で、隅っこで、くつろいでいるファミリーが目につきました。
ナビもスマホもあるのだから、自分でちゃっちゃと調べればいいのですが、人が目につくなら、私は聞く方を優先するタイプ。田舎に行くことが多く、通りすがりの人がいなくて、尋ねることもままならないケースが多いことによる、飢餓感や危機感みたいなものがあるのかもしれません、ちょっと大げさですが。で、このときも、車のまま、ファミリーの近くまで寄せて、ここがモザであることと、教会の場所を尋ねたんです。
そうしたら、家族内でああだこうだと相談した挙句、私のフランス語がかなり不自由なのを気遣ってくれたのか、お父さんが、「よっしゃ、ついてこい!」と、やおら傍らにあった車に乗り込み、先導してくださったのでした!
そういえば以前、ど、の付きそうな田舎で、通りすがりのおばあさんが、「先導したる!」と言って、徒歩で車の先導をしてくださったことがありましたっけ。今回は車なので、まだしも気楽でしたが、それにしても、超の付く親切心です。ありがたいことです。
ちなみに、いわゆる純粋なフランス人ではなく、移民の方々でした。
あっという間に教会到着。
モザMozacのサン・ピエール教会Eglise Saint-Pierre(9:00/18:45)。
最近端折っていた実用情報ですが、住所は、Rue d'Abbayで、教会の前に、公衆トイレがあったと思います(このとき、かなりギリギリだったので、とっても助かりました!)。
説明版をざっと見ると、創建は7世紀で、8世紀に聖オーストルモアAustremoin(正確に読めません…)のレリックが運び込まれたことで、規模が拡大し、修道院になったようです。11世紀には、クリュニー傘下に入るそうですから、ブイブイ言わせていた存在だったのでしょう。残念ながら、15世紀に地震により、中世の建物は損壊し、再建されたのが、この姿ということらしいです。とはいえ、内部の一部には、創建時や12世紀ごろの建造物が残っているのです。
中世の姿が大きく失われたのは寂しいばかりですが、それでも、常に現役の存在であったことは間違いないですね。だからこその変容。
それにしても、フランスで、地震情報って初めて見た気がします。オーベルニュは火山跡で有名ですから、もともとはそういう地域であるとしても、有史以前の話でしょうから、15世紀に地震が引き起こされる要因ではないはず。
私の住まう北イタリア、ロンバルディアやベネトあたりの教会まで損壊した最も最近の地震と言えば12世紀(北東部の一部では近代にも発生していますが)ですから、15世紀というと、結構最近な気がします。
でも、そういうことは置いといて、ここで見るべきは、内部の柱頭です。
このように親切な説明もありましたが、取り急ぎ写真は撮りますが、現場では、あるものを、心の赴くままに見る!のが、私の流儀。
入り口は側面の方にありますが、本来のファサード側から後陣。
かなりつまらない構造ですよね。あまり期待できない的な、笑。
でも、目の前にいきなりこれですから!
テンション上がる。
12世紀、ロマネスク時代、身廊の柱を飾っていたもので、アトランティスの柱頭Chapiteau des Atlantesまたはライフ・ツリーの柱頭L'Arbre de vieと称されているものです。それが、床置きされているんです。
ここの柱頭は、一般的にモザのマエストロの作とされていて、確かに、カベスタニーの匠的な、ここの特徴みたいなものがあります。かなり写実的ですよね。それでいて、姿勢がロマネスク的な変なスタイルだから、かなり気味悪い、笑。
それも、このでかさですから、気味悪さもど迫力で迫ってきます!
お隣には、キリストの復活の柱頭が置かれています。床置きはこの二つだけ。
マリアさんたち、ずらりと。
本当にしっかりとした彫り。目には、石が入っていたのでしょうね。
しっかりきっちり、でも、三頭身。
柱頭は上に向かってカーブしているし、そもそも見上げるものだから、下から見ると、こういうプロポーションでもありなのかな。でもやっぱり三頭身だな~。
反対側では、兵士が居眠り中。
スペースを本当にうまく活用していますよね。下から彫っていったら、足りなくなっちゃったから頭を曲げたわけではなく、このスペースで無理なく表現しようとして、こういう図になっているはず、当たり前か。
それにしても、鎖帷子の細かい彫りには、感嘆します。消しゴムハンコですら、細かい規則的な彫りがうまくできない身からすれば、カチカチの石に、このような細かさでパターンを彫るなんて、驚異意外の何物でもありません。
プロだから当たり前、とはいえ、こういう高い技術を持っているからこそ彫れる、逆に言えば、いくら要望があっても、彫れないものは彫れない、というケースもあるはずだと思うんですよね。
単純な植物文様とか大好きで、そこにしか出せない味のようなものを感じますが、やりたくてもそれ以上できなかった石工さんだったかもしれないし。
この柱頭のお気に入りは、この方。
なんと美しい切れ長まなこのイケメン天使。一糸乱れぬ御髪には、若干、ポマード感がありますが…。
ちなみにこちらの柱頭は、15世紀に損壊した12世紀の教会身廊にあったはずのもので、19世紀になって、クリプタで発見されたもの、とありました。クリプタは、埋まっちゃったとかそういう話だったと思います。
さて、その他の柱頭はどうかというと、床置きになっている柱頭よりは小さいと思います。ものによって、同じような手だな、というのと、これは、弟子かな、と思わされるものと、混じっています。
大きいのは、内陣入り口とか、なんか特別な場所に置かれたものなのですかね。
やはり、写実性、そして植物モチーフの多用、その辺が特徴なのかな。
素晴らしいので感動しましたが、この辺りは、個人的には、盲目的に好き、ではないかもね。
柱頭の加えて、もう一つ見るべきは、身廊に開けられた小さな扉のまぐさ石を飾る12世紀の浮彫です。
中央に聖母子、(聖母の)左には使徒ヨハネ、右にピエトロ、そして初期教会が捧げられた聖オーストルモアAustremoinがいる図。
ピエトロさんは、常にカギを携えてくれているので、わかりやすくて、助かります、笑。それだけ重要視されたアイテムなんでしょうね、天国へのカギ。
これは、12世紀の教会を創建した当時の修道院長が、聖母、そして初期オーヴェルニュの守護聖人であった聖オーストルモアの守護を祈って、捧げたものであるとされているようです(解説版、超斜め読み)。
ピエトロさんの並びにいる、聖オーストルモアAustremoinで、ひざまずいて彼にすがっているのが、修道院長らしいですよ。
きょうだいがクリュニーの重鎮だったとか、ありますので、おそらくこの修道院長も、相当やり手だったはず。ひざまずきながらも、なんかこう侮れない狡猾そうな様子が見られると思ってしまいますが、うがちすぎでしょうか。
その後ろにいる人物については、不明のようです。
使徒ヨハネの側については、誰も特定できないようです。
皆、聖職者の衣装を身に着けているので、それなりに地位のある方々、または、司教とか聖人になった方とか、そういうことかな。修道院長、抜け目ないですからね。金の臭いっていうか?そんなこと言うと、罰が当たるかな。
確か扉を出た左側の壁に置かれていたと思いますので、お忘れなく。
実は、ここまで、右側身廊の柱頭を見て、右側身廊から、一旦扉を出て浮彫鑑賞をしています。本堂に戻り、左身廊側の柱頭もありますので、記事が前後する感じですが、もう一回続きます。
- 2018/12/30(日) 19:29:35|
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2016.08.オーヴェルニュの旅 その54
グレーヌ・モンテギュで、もともとの行程に戻り、その後、早朝に空振りだったエヌザで、無事拝観がかない、刻々と一日の終わりが近づいています。
宿泊地に近い町、リオンRiomに向かいました。
地図で見ても、かなり大きい町だろうと想像は着きましたが、一日中小さな町村を駆けずり回っていた私にとっては、大都会でした!
ドキドキしながら、大通りの路肩に、何とか駐車して、徒歩でアクセスした教会は、なんだかもう、都会に似合っているというか、勝手が違うというか。
サン・アマブル大聖堂Basilique Saint Amable。
激しくゴシックで、町にもうんざり、教会にも出会い頭にがっかり、というところです。
でも、せっかく来たんだしね。
陶板のかわいい図解がありました。時代が明記されていて、黒い部分が最も古い12世紀の時代のもの。要は、中央身廊部分のあれこれですね。
それがどういうことかというと。
こういうことでした。
構造は、古いままなのでしょうけれど、もうなんというかすっきりしちゃってて。
一応、柱頭は、往時のものなんでしょうが、彩色ぬりぬり激しいし、うーん。
彫り、というよりも、ほとんど描かれちゃっている様子です。
もともとこういうシンプルな彫りのようですが、それならそれで、色がはがれたままで残されている方が、よほど、味があります。
うひゃぁ、の後陣。
柱頭は、シンプルな植物モチーフで、悪くないのですが、彩色が激しいので、そそられませんでした。
エヌザなどと同様、どうやらヴォルヴィックの黒石が、使われているようですね。それに合わせて、なんか派手な色にされちゃったのかしら、という気もします。
石色であれば、結構好みかもしれないんですけれど、これでは…。
とにかく全体の新しい様子がなじみませんでした。
外壁の、このオーヴェルニュ装飾は、見事。こういうのは好き。
やっと、とてつもなくかわいいやつ、いました。
善き羊飼いの図でしょうか。これは愛らしいですねぇ。羊らしからぬ羊の間抜け面といい、しっかりと足を抑え込む、腕の縞々お袖といい。こういうのが、石色のまま、もっと残されていたら…。
なんて言ってても仕方ないですが。
でも、外壁の柱頭は、きっともともと彩色がないはずですよね?どうなんでしょう。
軒持ち送りは、当然という感じで、果てしなくずらずらと鉋屑です。飽きることなく倦むことなく。
壁の装飾、古び感も含めて、好きです。
駐車から15分足らずで見学終了。おかげさまで、もう一つ、頑張ることができたのは、よかったのかもしれません。というより、ここは端折っても、後悔がない教会ではありましたが、因果なことに、行ってみないとそれがわからないんですよね。
本当に因果だわ~。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2018/12/27(木) 00:58:56|
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2016.08.オーヴェルニュの旅 その53
メラMailhatを堪能した後は、当初の行程に戻ります。
メラから、クレルモン・フェラン方向に、グーッと北上。その上、時間的に、来る道で開いてなかったSaint-Dier-d'Auvergneに寄り道したので、本来50キロほどで済む道が、60キロ近くになってしまいました(で、記事にも書いたように、せっかく頑張ったにも関わらず、教会の扉は固く閉ざされていたというわけです、グスン)。
こうやって、回り道や寄り道のおかげで、いつも予定が押せ押せ、無駄走り的に走行距離が伸び続けるという典型的な修行ドライブです。
グレーヌ・モンテギュGlaine-Montaigutの洗礼者ヨハネ教会Priorale Saint-Jean-Baptisteです。村の真ん中の高台に、そびえたっています。といっても、小さな教会です。
時間的にも開いてそうなもんでしたが、残念ながら、扉は固く閉ざされていました。周囲に家が並んでいるし、人の気配もないわけじゃない。でも、メラで、あまりに満足した直後なので、かなり満腹状態だったせいか、カギを探そうという気持ちには、まったくならなかったんですよね。
それに、ここは、外もかわいいんです。
側壁は、ゴシック時代らしい支え壁などがあって、ごっついし、鐘楼も、オーベルニュ風ではありますが、妙に堅苦しくて今どき風で、魅力はありませんが。
でも、後ろに回ると。
とても雰囲気の良い、典型的なロマネスクの後陣に会えるんです。
こういうのは、これだけで、フランスでは嬉しいもので、満足できます。石色も、いい感じですよね。
軒持ち送りには、おなじみの鉋屑が多かったですが、そのバリエも、なかなかチャーミングで、気に入りました。
なんだか色々付け足してみました、みたいな様子が、微笑ましいタイプ。
これなんかも、かなりデザインを考えて、彫っていますよね。にわかには鉋屑とは思えないくらい、デザイン入れてます。
他のフィギュアもまた独特で、楽しいんです。
みんな仲良く、ぎゅっ!みたいなやつ。
わかんないけど、とっても独特なモチーフだと思います。
これまた、いたく独創的。いわゆるグリーンマン・モチーフなんでしょうけれど、はいてる人は、明らかに(笑)ヨーダだし、葉っぱは柏餅系だし。
その上、さかさま、というところにも、おそらく意味があるのだろうと思いますけれども、どうなんでしょうか。
こちらも、鉋屑バリエですが、とっても独特。
人のフィギュアはりつけは珍しいですよね。それも、この人、なんだろう。顔つきは女子に見えますが、衣服から言って、男子。だとすると、超イケメン!
ひだひだが入っているところを見ると、聖職者系?または、ラクダの衣の洗礼者ヨハネその人、ということはないですかね?
一瞬アクロバットの人かと思われたこの人は。
よく見ると、どうやら二股人魚バリエ?
お腹の変なものは、ウルトラマンの三分間タイマー的ですが、おへそでしょうか。
沢山はなくても、建築そのものとともに、十分楽しめる教会でした。
そしてここもまた、この夏の旅で、しっかりリベンジしてきたんですよ。というわけで、中身は、いつか2018年夏の旅の方向まで、気長にお待ちくださいね~!
実は、この後、まだ二、三、回りたい場所があるのに、すでに16時半を回らんという時間ですから、この辺りから、相当焦りが出てきています。フランスは、昼休みが比較的短い代わりに、閉まるのも早いですからね。
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- 2018/12/26(水) 01:54:50|
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2016.08.オーヴェルニュの旅 その52
うかうかしてたら、クリスマスになっちまいましたね~。メリークリスマス!
それは置いといて、メラMailhatの続き、行きます!
それにしても、ですが、フランス語って、やっぱり厄介ですよね。このつづりでこの発音、ちょっとでもフランス語やらなきゃ、絶対に読めないですよ。現地では、マイルハット?程度の感覚だったんで、正しい発音する人とは、絶対に分かり合えないこととなりました。そういう地名が多いせいか、どうもフランスの教会は、事前調査でも、現場でも、振り返りでも、常にぼんやりとした名前しかわからないんで、私には、いつまでたっても、今一つなじみになれない、という現実があります、笑。
メラのノートルダム教会Eglise Notre-Dame-de Mailhat、前回は、悶絶楽しい内部の柱頭を紹介しましたが、今回は外側です。
扉全体の姿は、前回の記事をご参照いただいて、やはりまずは、この、フランスらしい装飾の付いた、木製扉でしょうかね。
開いててよかった、というところですが、自分で開けるチャンスがあれば、ワクワクすること間違いなしな鍵ですねぇ。
さて、この扉周りは、一見、幾重にも重なったアーチが印象的ですが、アーチには装飾がなく、その根元の方が楽しくなっています。
まずは、向かって左側の並び。
傷んでしまったものを、一部修復した様子ですが、特に右端のおしくらまんじゅう状態、いかにも、です。ズームします。
例によってぽっかりとした表情の人々が、どうやら、つかまっている様子ですが…。わっかになっているのは、綱でしょうか?でもつかまっている緊迫感が感じられないし~。
同じ並びに、聖職者らしい姿が見られますが、何か、つながったストーリーがあるのでしょうかねぇ。無知な上に、旅から2年もたっているのに、全然復習できていなくてすみませんが。
それにしても、副柱頭の彫り物も、大変好みです。
そして、向かって右側。
こっちも、植物モチーフがメインという様子ではありますが、扉に最も近い柱頭、変ですよね。
これは、イタリアではモーロと呼ばれた、アフリカ人のように見えます。だとしたら、こんなところに彫られているのは、初めて見ますが、まったく勘違いなのかなぁ。
今、付け焼刃的に検索しても、なかなか詳細が出てこない…。
珍しい、という意味では、そのお隣の、限りなくシンプルなこいつも。
これって、めんどりに見えちゃうんですが、角っこに普通に一羽で(双頭とかの工夫がなく)、それもめんどりって…。違うのか?いずれにしても、間抜け面がお気に入りです。
扉周りでは、しかし、最も注目を引くのは、扉のすぐ周囲を固める彫り物の数々。もうあまりにも嬉しくて、近づくのもためらわれるっていう状態でした。
まず、右側。
なんかめっちゃいいですよ。お干菓子的なお花もいいし、顔もやっぱりぼっかりぼんやり風で、味があります。一番上のは、これもモーロに見えますし、一番したのは、一見、ダースベーダー的ですね~。
アップしても、意外と被り物系の様子がありますけど、笑。
ファンタジー系の作り物をする人は、結構ロマネスクって見てるんじゃないか、と時々思います。人間の創造力って、限界があると思うけれど、ロマネスクの彫り物には、実に奇怪なものがたくさんありますし、彫り物は、朽ちていたりすると、さらに想像力が刺激されるようなこともありそうですし。
話がすぐそれてしまいますね。
この方、手のひらを胸の前で広げているから、祝福のポーズをしているようですが、お召し物が実に不思議です。
そして、もはや目をそらしているわけにはいかず、左側です。
遠回りをして、やっと教会について、この扉を見ながらも、まずは開いているうちに中に入らんと、と思いつつ、この扉装飾を見た時に、わざわざ訪ねた甲斐を、大いに感じていました。そういう教会ですので、万が一中が見られなくても、ここは絶対に訪ねる価値があります。
いいですよね、この、無秩序的なモチーフの縦並び。
ここは、罪の戒めがテーマになっているらしいので、これは守銭奴なのかな。金袋を抱えているのでは。でも、戒め感がないから、どうなんだろう。かしこまっていますけれど。
守銭奴の真下にお魚がいますけれど、お魚はキリストのシンボルだから、下からツンツンされちゃっているってことなんだろうか。
誰にでも描けそうだけど、単純すぎて意外に描けない、ピカソの抽象画的な難易度のお魚。勝手なこと言ってますが、笑。
そしてその下には、よく見る図ですが、痛そうなやつ。
蛇に、おっぱいかまれちゃってるやつ。痛そうなうえに、せまぜましい三角に無理無理押し込められている様子が、情けないやらかわいいやら。
扉を堪能したら、あとは、色々改変されている外観の中で、古い時代の名残を探しながらぐるりとするのみです。
上の方はゴシック以降に積まれてしまった様子です。下部に残るニッチのアーチ部分、そして、オリジナルの屋根の高さであろう部分の軒持ち送りに、楽しいものが見られます。
軒持ち送りには、おなじみの鉋屑、それ以外、と結構バリエ豊富で、楽しいことになっています。また、アーチに、こういう風に点々と小さなモチーフを並べるのが、この辺り多いですね。シンプルだけど、小さくてかわいいものが好きな向きには(オレ、笑)、受けます。
軒持ち送りの動物シリーズ、かなりかわいいです。
やばいのもいます、笑。
どこもかしこも楽しすぎて、紹介しきれませんね~。
こういうものがお好きだったら、何をおいても、ここは訪ねるべきです。強力にお勧めします。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2018/12/25(火) 20:40:50|
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2016.08.オーヴェルニュの旅 その51
マングリューで、浮気心を刺激され、本来向かうべき方向を完全に外れて向かったのは、メラMailhatです。マングリューから、イソワールを右手に見るような感じで南下すること20キロほど。
本来の距離はたいしたことなかったんで、それもあって、わざわざ行こうと思ったのですが、なんと、途中で、通行止めにあってしまったんです。
う回路を行ったら、そもそもその通行止めの原因である村祭りの真っただ中に入り込んでしまい、抜け出るのに、大変な苦労をしました。
本来なら、20分程度で付くはずなのに、そんなわけで、ほぼ倍の時間がかかってしまいましたが、それでも何とかついたのは幸い。
メラのノートルダム教会Eglise Notre-Dame-de Mailhat。
コンポステラへと続く巡礼の道沿いにあった、クリュニー派の小さな礼拝堂の上に、主に花崗質砂岩を使って、12世紀に建てられた教会です。
まずは、開いていることに小躍りして、何はともあれ、拝観することとします。
シンプルなアーチの差さえ部分に並ぶ柱頭や、扉脇に、自然に微笑みが出てしまう楽しい彫り物満載です。もう、着いた途端に、やっぱり本能に従って、来てよかった~!とルンルン気分が募るばかりです。車から降りるなり、ニタニタ笑いでアワアワしているおばさん、はたから見たら、かなり危ない人…。結構人がいたので…。
中は一つ後陣のシンプルな作りで、漆喰ぬりぬり系となっているので、一瞬がっかりするんですが…。
すぐにニタニタ笑いが戻ってきます!柱頭、すごいんですから。
なんですか~、この人!乳首ぽっちりも、妙に愛らしい上に、何とも間抜けな表示で、半端な体育すわり~!人物を仕切っているぐるぐるらせんの小円柱も、めっちゃ愛らしいです。
この人は、でも、表情といい、姿勢といい、かなり自然体な感じがするんですが、お隣さんは、妙に固まっていて、この座り方でいいんだっけ?みたいな固さがあります。
この天使は、祝福のポーズをとっていますが、表情は、およそ祝福、というより、宗教的な天使的な、何か本来崇高であるべきものからは程遠い、「これでよろしかったですか?」みたいな遠慮深げな様子っていうんでしょうか。あまりにアワアワしていて、座り方も、天使ならざる、女子が、芝生でお弁当を広げているようなべったり座り~!
おなじみの二股人魚だって、堂々としているけれど、無理やり堂々とポーズをとっている雰囲気満載。
私、ちょっと二股人魚やってみるけど、ポーズはこれでいいのよね?って、なんか本来そうでない人が、鏡を見て決めてみているっていう風に見えるんです。
こっちの方は、もうちょっと板についた感がありますが、それにしても、髪を振り乱した魔法使いのおばあさん的なイメージで、誘惑、されるかなぁ。
鳥さんも、めっちゃ可愛い。
これも、まさにヘタウマといってよい彫り物ですが、好き。
表現が独特で、とっても良いセンスをお持ちの石工さんです。
当時としては、こういう表現力が、どのようにとられたのか。素朴だけど、地元の石工さんだし、こんなもんだろう、って感じかな。か、誰でもが彫れるわけじゃないのだから、やはりそれなりに称賛されたんでしょうかねぇ。他を見ていなければ、良し悪しは判断しようがないから、当時の多くの人にとっては、こういうもの、って感じだったのかな。不便な土地ですしねぇ。
ちなみに、場所は、こういうところ。下の、ちょうど真ん中あたりになります。
すでに、旅も5日目で、南の方から北に向かって移動していて、この前日は、クレルモン・フェランClermont Ferrandに宿泊し、この日は、そのさらに北の村に泊まる予定だったわけですから、いかに後戻り、無駄走りをしたか、わかるってもんです。あ、勿論、ここを訪ねたことは、決して無駄ではなく、むしろここを見ないでしまっていたら、大後悔するところでしたけれど。
後陣側から、ファサード方向を見た様子。
本当にシンプルな一身廊。そして、一見してぬりぬりでつまらなそうなのに、この楽しさ。面白いのは、一つとして、明らかに聖書的なモチーフが、ないことです。
植物モチーフも、とってもシンプルだけど、筋が通っている力強さがありますよね。石工さん、絶対に信念持ってる人だと感じます。
でも、これは、手が違うような気もします。ヘタウマ動物系と、植物系とか、違う人なのかな。時代が違うっていうのもあるかもね。
まるで、スペインの教会かのような、こんな木彫りの聖母子像も置かれていました。
13世紀のものだそうです。
一部このような石の床。
こういう石が採れるところなのでは、と思います。
ちょっと写真が多いので、一旦切ります。メラ、続きます。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2018/12/24(月) 02:41:06|
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2016.08.オーヴェルニュの旅 その50
前回、あまり意味のない訪問をしたキュンラCunlhatから、ほぼ真西に30分ほど走った町マングリューManglieuが、次の目的地となります。
サン・セバスティアン修道院教会Abbatiale Saint Sebastian。
東方面から町にアクセスすると、確か町の入り口のような位置にあり、教会前はだだっ広い広場となっていて、駐車し放題だったような記憶があります。
カロリング時代創建という情報とは裏腹に、どう見てもゴシック及びそれ以降の外観に、暑い夏の昼下がり、どっと疲れが出たような。
とは言いながら、もう14時近くながら、ランチタイムでクローズしていても文句を言えない時間に、しっかり開いていてくれたのは、事前に調べた9時から18時というオープン時間通りで、ありがたく思いました。
最初に注目したのは、扉口に置かれた、すのこを縦置きしたような柵です。
フランスでは、よくお目にかかるスタイルで、すでにおなじみですが、わざわざ写真を撮っていたということは、ここで初めて目についたのかもしれません。
最初、なんだろうと思ったんですが、ただ、立てかけてあるだけで、押し開けて入れるんです。入るな、といってるのかとも思ったのですが、そういうわけでもなし。おそらく犬猫が入らないような工夫なのかと思いました。本当のところは知りません。
外側も、全体に修復や再建の結果という様子が強いですが、中はもっと激しくそういう様子が勝っています。
辛うじて、基本構造がオリジナルのままかと想像できるのみの、フランスお得意の漆喰ぬりぬりです。
こういう雰囲気って、一瞬萎えますが、せっかく来た以上、目を皿のようにして、細部をチェックしなければなりません。
そうすると、いろんなものが見えてきます。
まずは、片隅に置かれた洗礼盤。
なんてことはない、石の削りも荒い、Grezzo(時々、適切な日本語が出てこないときがあります。というか、ぴったりした日本語がないというのか。これは、生のままの、とか加工してない、とかそういうニュアンスのイタリア語)な感じが、結構好きです。
内部は、3枚目の写真にあるように、後陣側が、完全に新しくなってしまっています。でも、内陣から、扉方向を見ると、扉周辺部だけが、ちょっと古い時代のまま残されている様子がわかります。
これは、残された、というよりは、後代に、漆喰をはがして、古い時代に戻したのではないかと思われます。なら、漆喰ぬりぬりはやめればいいのにねぇ。
その部分だけ見れば、ロマネスク好きもうなずける様子が見られますよ。
身廊を区切る壁部分、偽マトロネオのような構造で、アーチも美しく、また、支えの小円柱や柱頭もよい感じです。石がむき出しで出ているだけで、なんと落ち着くことか、笑。
低い位置に置かれた大きな柱頭。シンプルな植物文様も、とても好ましいです。再建が多く混じっていると思われますが、再建でも何でも、白塗りや金ぴかより、こういうものが見たいので、オウケイ。
そして、カロリング時代の名残でしょうか。大変好みの浮彫が、いくつか、置かれていました。
こういうのが一つあるだけで、好感度は、簡単にアップします。消しゴムハンコのモチーフにも役立ちそうな彫り物ですわ~。
こちらも、お干菓子系で、何ともうっとりの可愛さです。
少しでも好みのものがあれば、やはり入れてよかった、と思います。はるばる目指してきたわけですから。
こういう大振りの植物モチーフは、ツボ。
ま、見るものはあまりなかったので、見学はあっという間に終了。
扉口へ。
扉を押し包むように、両脇に支え壁みたいのを作っちゃったのは、後代の無駄な付け足しですよね。まるで、絵本の「小さなお家」のように、ぎゅうぎゅうされて、扉が辛そうな感じします。この扉が、小さなお家のように、またのびのびできる日は来ないのが、ちょっとかわいそうな気もします。
それにしても、複数アーチ、頑張って作ったもんですね。それも、お団子がポチポチついているだけのシンプルさん。
これだけ壮大なアーチのわりに、柱頭は、ぽちっとちっぽけで、その上、かなり傷んでしまっています。
小さな円柱の表面も、もともとは彫りが施されていたのでしょうか、それとも、全体にただの摩滅が作ってしまった模様かしら。
それにしても、ここまで傷んでしまうと、石でも痛みを感じていそうで、文字通り、痛々しいです。
この部分を見て気付いたのですが、アーチ部分は、お団子だけかと思ったら、ちゃんと色々異なるモチーフのものが、つけられているのですね。
いずれにしても、かなり地味な装飾です。
さて、それなりに、来た甲斐はあったよ、と思えた教会ですが、実は、教会よりなにより、その前に並べられた青空美術館的な情報が、私には最も訴えてきました。
選挙の公示みたいな、結構安普請な状態で、地域のロマネスク教会の情報が、多くの写真付きで紹介されていたんです。
このあたり、リブラドワLivradoisという地域になるのですね。そこに点在する教会の数々。
例えば、このノネットNonetteのサン・ニコラス教会は、取捨選択の結果、あえて訪ねなかった教会。
怖いもの見たさで、ちょっと見てみたい気もしてしまう極彩色。これは、実際に見ても、おそらくこのくらいのインパクトがあるでしょうから、やはり飛ばして正解だったかな、と思ったり。
ここに来る前に訪ねて、おそらく昼休みでクローズだと思われたサン・ディエル・ドーヴェルニュの教会の中身が、やはり、かなり良さそうなので、帰りに絶対寄る!と決意したり(結果は、記事に書いたとおり、開いているはずの時間なのに、クローズでしたが)。
しかし、中に一つ、どうしても目が離せない彫り物満載の教会がありました。
メラMailhatという町の教会。
ここは、すでに通過してきた土地で、方向的にはどんどん北に向かっている行程の中、行かないことに決めて北上してきたわけで、ここで南下するとなると、また予定が押せ押せになる。でも、ここは、行かなければ後悔する!と思い、別に予定が狂ってもいいじゃないか、ということで、次に向かうことにしました。
計画的なようでいて、無計画な旅なので、走行距離も増えちゃうし、朝から晩まで拘束されるし、ということになるんですね。そういう典型的な一日です。
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- 2018/12/21(金) 06:10:28|
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2016.08.オーヴェルニュの旅 その49
サン・ディエル・ドーヴェルニュSaint-Dier-d'Auvergneから、南東方向に、約20分のドライブで、キュンラCunlhaという村にたどり着きます。
一応事前に、チェックが入っていたから訪ねた村なのですが、なぜ、ここに来なければいけなかったのか、現地にて、途方に暮れる、というような土地でした。
まぁ、その先に進む通り道的な場所でもあり、無駄だったわけではないのですが、それでも、ここは、無理に来る必要はなかったような気がします。
それにしても、ありがたい世の中です。
教会のインパクトがあまりになくて、すっかり様子を忘れていたのですが、グーグルのストリートビューのおかげで、教会は勿論として、その周辺の道の様子などを見ることができて、あそこかぁ!と鮮明に思い出すことができましたよ。
サン・マルタン教会Eglise de Saint Martin。
正面からして、これはいつの時代のものだろう、と首をひねる有様。
ご親切にも、オープン時間が掲げられていて、月曜から木曜が、8/12と13/17、金曜が8/12、13/16とかなり訪問者には優しいアクセスしやすい時間ですが、まるで会社のように、週末はお休みです。訪ねた日は日曜なので、取り付く島もない様子で閉まっていました。
正面の扉、がたがたやってみましたが、びくともしないし、お得意の鍵穴撮影すらできない作りの扉でした。
そして、これ以外の扉があったかなかったかも記憶にありませんが、あったとしても、ぴっちりと閉まったいたはず。開いている時間から考えると、おそらく市役所が、カギを管理しているのでしょうね。こんな村なんだから、近所のお店にでも預けておいてくれればいいのに。
ただ、チェックが入っていた以上、おそらく創建はロマネスク時代、またはそれ以前ということなのでしょうが、現在では、あまりに時代不明な建物になってしまっていますので、おそらく、中に入ったところで、見るものはなかろうかと(酸っぱいブドウ理論ですね、笑)。
それでも一応、ぐるりとはしてみました。
でも、後陣の方でも、残念ながら、見るべきものには出会えず。
窓にもゴチックぽい飾りが見られますから、長い年月、色々やられちゃったんでしょうね。
唯一それらしいのは、この窓くらいでしたね。
村には、バールなど、何か食べられそうな店があったのですが、そして、この時点で13時だったので、ランチするならここがベスト、という状況でした。でも、この、得体のしれない教会(すごく失礼な言い方ですが)をもって、午前中を終わるのは、どうにも納得できず、ランチを取れないリスクを冒しても、先に進むこととしました。
まぁ、数をこなしていると、こういうことはありますよね。
いや、事前にきちんと準備している人には、ないことかな。隣国という気安さもあり、例えば日本からわざわざ訪ねる人に比べたら、私の準備はザルなんですよねぇ。
といいつつ、いや、だからこそ、というべきかな。この後は、怒涛のドライブとなります。
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- 2018/12/19(水) 05:22:31|
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2016.08.オーヴェルニュの旅 その48
クールピエールCourpiereから、さらに15分ほど南下したサン・ディエ・ドーヴェルニュSaint-Dier-d'Auvergneが、次の目的地となります。
サン・ディエ・ドーヴェルニュSaint-Dier-d'Auvergne、サン・ディエ教会Eglise-Saint-Dier。
ここは、7月及び8月は、14時から17時開いているという情報を事前に得ていたのですが、通り道だったんで、昼過ぎの時間に訪ねてみたんですが、やはり、開いていませんでした。教会の前にも、15時から17時に開いているとあったので、情報は、ほぼ正しかったこともわかりました。
とりあえず、外側を見学したところ、とても楽しいものが沢山あったので、これは絶対に中が見たい!と思って、同じ道を引き返してきた時、15時過ぎに、改めて立ち寄ったのですが、残念ながら開いておらず、また、およそ開きそうな様子もなかったので、中はあきらめざるを得ませんでした。
この日は日曜日で、頼りの市役所もお休みですしね、仕方ないですね。
まぁ、そんな経緯があったので、中に入ってもいないし、町はずれで何もないところだったのに、とっても記憶が鮮明です。
最初に目についたのは、ファサードの木製扉を飾る、鋳鉄の装飾。
扉は、かなり新しい様子なので、この装飾の年代はわかりませんが、再建としても、オリジナルに忠実な様子がありますよね。こういった扉の飾りは、イタリアにはないもので、その分、とっても食いついてしまいます。鋳鉄も、大好きなアイテムなので。
こういう、ちょっと怪しいタイプの彫り物が多いのですが、扉という場所を考えても、もしかすると、魔よけ的な意味があるのでしょうか。
さて、そして、楽しいのは、柱頭です!
前回のクールピエールでも見られた、この、どすこいしこふみ系と、二股人魚のオンパレードなんです!脇に置かれた、どう見ても猫にしか見えない、多分ライオン?の間抜け面も、とっても魅力的です。
こちらは、二股人魚系です。
素朴感といい、怪しい様子といい、ばっちり私のツボです。
また、しこふみ系。かなり摩耗が激しい分、優しいおじさんのイメージ、笑。
こちらは、しこふみ系バリエ、でしょうか。胡坐をかいてるように見えますね。「そんで、どうしたって?」とか言いながら、よっこらしょ、と座り込むおやじ風。
でも、両脇に見えるふさっとしたものが、人魚のしっぽだったりする可能性も、捨てきれない。
こちらは、まごうかたなく二股人魚。どうやら、乳房らしいものと、おへそもあるみたいですね。激しく怪しい、でも色気はゼロの人魚です。
これも、緩くしこふみ系で、お尻の穴、さらしてるようですねぇ。かといって、エロティック系のモチーフとは思えません。
いつも見ていただいている方には、私のツボにはまった、というのが、よくわかっていただけると思います。
こいつら意外にも、勿論、他のモチーフの柱頭もありますよ。植物とか、動物ね。
この扉周りの派手なツートンカラーとか、なんだか全体に統一感のない建物で、どこからどこまで、オリジナルで再建で、付け足しか、よくわからないんですが、彫り物系は、基本的に古い時代のものと見受けられます。この扉のアーチには、波の連続モチーフ帯がありますが、これは、海の土地に特有のものかと思い込んでいました。
ところどころを残しながら、そうやって時代を乗り切ってきたんでしょうかね。
軒持ち送りは、ずらりと鉋屑。典型的なオーヴェルニュ装飾です。
窓には、ステンドグラスが見えますから、中は、新しくされて、例によって漆喰ぬりぬりの可能性もありますね。
塔の様子も、修復はされていますが、建築そのものは、古いもののままと思います。
教会のお隣には、このような古い建物があり、今は図書館として使われているようでした。
扉が教会のつくりと似ているので、おそらく、この建物ができた時に、似ているような構造になされたのかな、と思ったりします。これは、位置的にも、教会関連の施設だと思いますし、でも、教会の創建よりは新しそうなので。
いずれも、勝手な推測。
しかし、中の柱頭が見たくて、後ろ髪惹かれつつ、あとにしました。
そういえば、寒かったな、ここ。8月なのにね。今、写真を見ても、なんだか寒そうですよね。
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- 2018/12/17(月) 01:47:24|
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2016.08.オーヴェルニュの旅 その47
今回は、前回の記事ティエルThiersから、南にほぼまっすぐ20分強、クールピエールCourpiereです。Thiersは、山に張り付いたような町でしたが、ここは、平地で安心、笑。向かう道も平坦で、快適なドライブでした。
小さな旧市街の、ちょっと外に車を停めて、徒歩でアクセスします。本当に小さい村です。教会のあたりが村の人々の憩いの場となっている感じで、インフォメーションセンターもそこにありました。
一応のぞいて、ロマネスク関連の資料がないか確認したのですが、まったく何もなく、がっかりしただけでした。
さて、たどり着いた時、なんと運の悪いことに、ちょうどミサが始まるところでした!
ちょっとのぞいたのですが、驚くほどの超満員でした。
クールピエールCourpiere、サン・マルタン教会Eglise Saint Martin。
この日、日曜日だったせいもあるのだと思いますが、それにしても、バカンス真っ盛りの8月半ばでも、都会と違って、多くの人は地元で過ごしているのですね。勿論、里帰りしている人などもたくさんいるのでしょうけれど。
都会の大きな教会の方が、人が集まらなかったりするように思いますが、田舎は、いまだに教会が生活の一部になっている様子が、イタリアでも、フランスでも見られます。ミサにあずかることに加えて、友人知人に会う社交場になっているんですよね。いや、もしかすると、そっちの機能の方が重要だったりするのかもね。
話が飛びますが、地方都市だと、教会で執り行われる葬式や結婚式などの儀式には、直接知らない人でも、ぶらりと参加することがあるようです。教会は、アクセスが自由ですから、誰でも参加できて、それはとても良いことではないかと思います。キリスト教、特に教会宗教は、好きではないのですが、でも、そういう開放的なあり方は、仏教のお寺宗教よりも、好ましいです。
もとい、これだけの人がいるミサでは、うろうろするわけにも行きません。仕方ないので、まずは、教会前のカフェで、トイレ休憩を兼ねて一服しました。このとき朝の10時半ですが、例によって、8時ごろにホテルを出てから駆けずり回っているので、調度よい休憩です。このように休憩できることも滅多になく、もしかして今日は、早めにホテルに入れるかもなぁ、などと思いました(大間違い、笑)。
それにしても、垣間見た中は、古び感もあって、よい感じでしたので、このネオゴシックなつまらないファサードを見ながらも、期待でワクワクしました。しかし!終わらない。
いつまでものんびり座っているわけにもいかないので、まずは外観を見学します。
後付けで、いろいろな改築がなされているようですが、後陣部分は、辛うじて、創建当時らしい姿が残されています。
ちょっと味のある軒持ち送りがあったり。
かなり細かい彫りの柱頭があったり。
これ、なんでしょうか。裸で踊ってますよね。男性っぽいですよね。
わたし的には、可愛さがないんで、軽くスルーって感じ、笑。
外を見るのにも飽きて、ファサード前でじりじりと待っていると、約1時間後の11時半に、やっとミサ終了です。人々に逆らって、入場して、まだ残って談笑などしている信者さんたちの邪魔にならないように、それでもできる限りそそくさと、見るべきものを見て回りました。
中に、親切な図解がありました。
青い部分が11世紀、黄色の部分が12世紀とあります。要は、中央身廊、そして、後陣部分が、私が見るべき場所のようです。
この教会、実に親切で、柱頭に関しても、ちゃんと細かい説明版が置かれていました。
でもね、ミサの直後、おそらく明かりがすぐ落とされて、そしたら真っ暗になるのがわかっていたので、もういちいち確認している暇などないわけです。順不同に歩き回って、見るより撮影に専念した感じです。
こういう時、葛藤を感じるんですけれどもねぇ。でも、撮影しないと忘れちゃうし、明かりがないと撮影できないし、どうしようもないんですよね。これが、自分の旅を、修行と称する所以だったりします。本当は、撮影など置いといて、じっくりと愛でたい気持ちもあるのですが…。
全体に、植物モチーフが多いです。特に、身廊部分の柱頭は、アカンサス。色付きですが、色が非常に落ち着いているので、しっとりとしていますね。オリジナルは、どうだったんでしょうか。
そういえば、この柱の部分の作り、面白いですね。身廊を分けるアーチの支えは、大きな角柱で、その周りに半円柱が埋め込まれているような構造で。だから、この部分の柱頭は、半端な三面となっています。
こちらは、外にあった柱頭と同じようなモチーフです。裸の男性が、玉をもって踊ってます。
なんか~、お品のない感じのモチーフもあります。
このスタイルは、でも結構目にしますね。アトラスってわけじゃないですよね、まさか。うんしょって持ち上げ感はありますけれど。ウナギイヌのしっぽみたいな葉っぱがあって、愛らしいです。ウナギイヌって、今どきどれだけの人がわかるんだろう?
なんというか、全体にすすけた感じがあって、お香のにおいが漂ってきそうな後陣。装飾の時代も色々混じっていて、混とんとしているんですが、古びた様子がすべてを落ち着かせているこういう様子って、意外と嫌いではないんです。
色がない方が、絶対に数倍かわいいと思わせるはずのやつ。
右側の後陣は、石がむき出して、とてもよかった。創建が古そうなことから、オリジナルは、こうだったと思いますけれども、どうでしょうかね。
ほらほら、色がないと、こんなにかわいいじゃん、という見本。
身廊の方に戻って、色付き。ちょっとショーヴィニーなどを髣髴とさせる、チャーミングなライオン。
暗闇になってしまった中で無理やり撮影した、他のライオン。私は、こっちのタイプの方が好みかな。
うにゅーって絞り出したような植物モチーフも、よいですねぇ。
1時間待った甲斐はあったかな。せめて、もう少し明るかったら、と思いながら、教会をあとにしました。
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- 2018/12/16(日) 02:36:59|
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