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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ロマネスクの不思議を感じつつ(ベッソンその2)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その80

ずいぶんと間が開いてしまいましたが、ベッソンBessonのサン・マルタン教会Eglise Saint-Martin、続きです。




前回は、外側を紹介したので、今回は、中に入ってみます。こんなシンプルな三身廊構造となっていて、いくつか面白い柱頭が見られます。




もともと白っぽい石を使っているのでしょうが、なんか化粧直しが激しい白さとなっているのは、今どきのフランスらしい様子かもね。




入っていきなり、こういう風に白いと、ちょっと気持ちが引けるのですが…。でも、偏見で見てはいけませんね。あるものはきちんとあるのが、フランスのロマネスクですからね~。




手直ししすぎ感は、どこまでもありますが、構造も含めて、往時の雰囲気は残っていますよね。
そして、浅彫り系の柱頭彫刻。




植物系がたくさんありますが、いずれも浅彫りって感じで、珍しいですよね。もしかして、未完だったりするのかしらん?




一方で、しっかり深彫り系もあります。




動物とか人のフィギュアは、やっぱりそれなりの深さで、しっかり彫りたくなるものなのかしらねぇ?




しっかり、というのとは、ちょっと違うかもしれませんが、いや、やはりしっかりしてますよね、この表情。
あ、植物系でも、しっかり系、いました。




これは、異なる手が入っていますね、どうやら。時代かもしれないけれど。どう考えても、こういうしっかり深くて、割と線がきっぱりと単純化している彫り物と、うっすらした浅彫りで、線が妙に複雑なタイプは、技術もモチーフのセンスも、完全に別物ですね。




可愛さや複雑さが最初に目につき、現場では、そういう風な見方だけで見てしまうことが多いのですが、こうやって改めて写真を見ると、そういう気付きがあるので、面白いです。
明らかに違う手だと納得しちゃう違いなのに、現場では、意外とそういう風に見てないんです、少なくとも、間抜けな私は。
それぞれの意味だったり、そんなことを考えながら撮影していて、全体の姿って、なかなか結び付けられない、みたいな。




そういう、現場とは違う視点で、改めてこうやって見返して、色々考えながら、それでもやっぱり、これもそれも、ロマネスクだと認識できるというのは、いったい何なんでしょうか。

今回日本で、久しぶりにお会いする師匠と、ロマネスク談義を楽しんだのですが、ロマネスクの定義って、本当に不思議であるという話になりました。定義とか概念じは後付けでなされているので、その時代に「俺はロマネスクの彫り物を彫っている」ということではなかったわけですが、それにしても、技術的にも表現力的にも、結構異なるものたちを、ひとくくりにロマネスクとしてしまう。同時に、見る側は、割と当たり前に、そういう結構違うものたちを、ちゃんとロマネスクと認識してしまうっていうのは、とても不思議です。
技術や表現力が異なっても、高々2世紀足らずの時代スパンのことですから、それだけのこと、と言ってしまえばそうなのでしょうが…。

わたしは、体系的に勉強もしてないし、ちゃんと書籍を読んだりもほとんどしておらず、ただ現場を回っているだけで、感覚としてロマネスクを捉えているため、実際、ロマネスクとは何ぞや、と尋ねられても、説明できる自信はないんですよね。それでいて、これはそう、それは違う、とか勝手に言ってるわけで、いやはや、自分でもわけわからないです。

そのあたりがまた、ロマネスクの魅力ともいえるんでしょうかね。
改めて、いろいろと考えさせられることでした。今回、古本屋さんでゲットした本も含めて、今年は手持ちの本(イタリア語の図版中心の本など、結構持っているのですが、ほとんど積読状態)を紐解くなど、美術史的な勉強も少しする、というのも、控えめな目標としたいと思います。

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  1. 2019/02/28(木) 05:43:01|
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町角のお稲荷さんのご利益(東京滞在その2)

今回の一時帰国の目的の一つは、墓参り。
父親の二十七回忌?三十回忌?なんか、もうこれで最後にしよう、ということで、私の一時帰国に合わせて法事をしたときに訪ねた以来、3年ぶりのお寺さんでした。




市川にある日蓮宗のお寺なのですが、本当に素敵なロケーションなんです。かつては周辺多くの土地も所有していて、寺町として栄えていたのだろうなぁ、というような歴史も髣髴とさせる、そんな土地です。この、長い石段、いいですよねぇ。昔ながらの石段だから、一段が高くて、登るのは骨が折れます。
由緒も正しくて、古い建造物も、とても良い様子で残っています。




いつもは、イベントで来るばかりで、バタバタしているのですが、今回は純粋に墓参りだったので、墓石の建つゾーンをうろうろしたり、他人様の墓を観察したり、日本のお墓も結構味わい深いじゃないか、と変な感心をしましたです。

田舎のお寺ならでは、ですかねぇ。近所の中高生が、トレーニングコースに使っていて、トップの写真にある石段を含めたルートを、走っていました。そういう活動にも、普通に境内を開放しているという開けたお寺であるのも、なんかよい感じでした。




次回の一時帰国にも、また墓参り行こう!と強く思ったのは、でも、お寺が素晴らしいというよりも、鉄道駅に向かう道で、素敵な古本屋さんに出会ったからなんです。

住宅や会社ビルに埋もれるようにあるお稲荷さんが目についたので、ちょっとお祈りした際、その脇にある小さなお店に気付きました。何も墓参りの帰りに立ち寄る必要もないのですが、ついのぞいたところ、なんとまぁ、美術書専門の古本屋さんで、棚に、興味深い本があふれていたんです。
中世から現代ものまで、これだけ手に取ってしまう本が並んでいる古本屋が、こんなところに隠れていたとは。あれもこれもほしい状態でしたが、勿論、カバンに詰めることを考えると、断念せざるを得ず、結局、以下の二点を求めました。




どちらもドンピシャロマネスクで、結構美本。いや、右側の雑誌は、相当古いものなので、紙は黄ばんでいるし、いかにも古い!って本ですが、それでも、破れや傷はないので、かなり良い状態と言える本だと思います。なんと言っても、1963年の本ですからね~。
どちらも、ミラノに戻ってから、ぱらぱらと眺めただけですが、大満足です。

古本屋にいざなってくれたお稲荷さんに敬意を表して、じゃないですが、たばこと塩の博物館を訪ねた時も、錦糸町の商店街のはざまに、隠れるようにしてあったお社、ちゃんとお参りしてみました。




ウナギの寝床のような敷地にも関わらず、奥の方には、池と太鼓橋があつらえてあったり、とても日本的、と言ってよい箱庭的な面白さがありました。津軽とあるのは、もともと津軽藩下屋敷にあったものとか、そういう由緒が説明してあったように思います。
こういう通りすがりのお稲荷さんや、近所のお寺を、さりげなく尋ねるというのは、なかなか楽しいことですね。東京、都会とはいえ、びっくりするくらいたくさんありますよね。

そんな街歩きを楽しみつつ、勿論一時帰国にはつきものの、おいしいお食事やお酒も、しっかりと楽しんできました。

いつも素敵なお店に連れて行ってくださる昔馴染みのご夫婦とは、なぜかバスク料理のお店へ。




パイス・バスコ
中央区銀座7-3-16

スペイン料理じゃなくてバスク料理、というのが、日本人のこだわりというか、なんですかねぇ。でも、ここだけの話ですが、シェフは、スペインよりイタリア修行の方が長いということでした、笑。




高い場所から注ぐ、バスクの白の発泡酒。
アストゥリアスでいただいたシードルを髣髴とさせる様子ですが、これは、れっきとした白ワインだそうです。

いつも素晴らしいコース料理をふるまってくださる友人宅では、今回は洋風のコースで、三人でワインを3本開けてしまいました~。




白子の前菜に始まり、魚のお皿とお肉のお皿と、これじゃ確かに3本開いちゃうよねぇ、笑。







そして、今回は、これまで母のことがあり、なかなかできなかったのですが、姉の家にも一泊お世話になって、手作りご馳走で、ビール、缶チューハイ、数缶に加えて、日本酒四合瓶を2本、カラにしました。呑兵衛姉妹、これは父親の血なので、仕方ありません、笑。




浦安の方から、週末だけトラックで売りに来るという魚屋さんから買ったというお魚各種。特にホタテとタイの刺身は、絶品でした。お魚屋さん手作りのしめさばも、みっちりしていて、そこらで売っているしめさばとは、一味違う代物でした。




手前にある、あまりフォトジェニックじゃない代物は、姉手作りの塩から。実は、塩辛、大好物なんですが、好物な分、おいしいものしか食べたくないタイプ。これは、イカもよいのでしょうか、薄塩でイカのおいしさが際立つ、手作りならではの味わいでした。
飲む人は、やっぱり料理うまい比率が高いですよね。

出発前日に、あ、いかん!と慌てて購入したイチゴ。




日本のイチゴって、なんでこんなにおいしいんでしょうかね。これを食べてしまうと、イタリアのイチゴには手が出ません。
そして、出発直前、はっとしました。
今回、お蕎麦をいただいていなかった~!




というわけで、搭乗前の成田でのブランチは、おなじみの更科蕎麦。おいしかったです。

いつもよりは、若干短い日程ではありましたが、やるべきことは一通りやって、いただくものは一通りいただいて、ミラノに戻り次第、忘れていたことが色々出てきましたが、まぁまぁ満足な一時帰国となりました。
お会いできた方々、お世話になった方々には、感謝感謝。ありがとうございました。

さて、次回より、いよいよロマネスク再開といたします。
今年は、とにかく飛ばす予定でいますので、お楽しみに。なんせ、ためすぎです!

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  1. 2019/02/26(火) 05:36:20|
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再開のご挨拶(東京滞在その1)

ご無沙汰です。
2週間弱の東京滞在を終えて、先日ミラノに戻ってきたのですが、すぐに仕事再開、お休み前の状況がさらにひどくなっている、というありさまで忙しく、ブログ再開は、予想通り週末となってしまいました。

出発のときは、連日零下にまで冷え込んでいたミラノですが、戻ってきた日は、夕暮れ後だったというのに、なんと10度を超える陽気。2月というのは、天候的には、まったく旅に向かないですね。

そもそも、成田到着が、このありさまでしたからね。




これにはびっくりしました。これまで、一時帰国は、大抵お正月時期。ミラノで雪のために危うく出発できないかも、という事態にはあったことがありますが、そんな状態でも、成田に着くと暖かさに、身も心もとろける気持ち、ということが多く、大雪というのは、おそらく初めての体験だと思います。
成田からは、京成列車で都心に向かいましたが、完全なお上りさん観光客と化して車窓の写真を撮影しまくってしまいました。




成田周辺は、今でも日本家屋が多くて、雪景色が本当に絵になります。同じ列車には、旧正月の休暇なのか、中国人がとても多かったですが、皆さん興奮してらっしゃいました。いや、私も同様でしたが、笑。

今回は、実家に向かう前に、千葉県との県境も近い下町地域に暮らす姉の家に立ち寄るつもりにしていましたので、都心の雪の様子が心配でしたが、東京が近づくにつれて雪は消えていき、降り立った駅では、もはや積もった雪はどこにも見当たりませんでした。

さて、今回の東京滞在は、基本的に実家の掃除と、母の遺品整理が目的でしたが、その合間を縫って、最低限、やりたいこともやってきました。
まずは、昨年、予約が取れなかったこちらの訪問です。




草間彌生美術館
東京都新宿区弁天町107
www.yayoikusamamuseum.jp

すっごい住宅地の只中に、ひっそりと水玉って感じの小さな建物で、それはそれは想像以上の小ささでした。




予約で、各回50人ほどが入場でき、90分間ありますが、正直、90分いるのは難しいな、小さすぎて。小さいということは、勿論展示スペースも小さいので、展示数は少ないし、迫力も、感じにくいかな。ちょこちょこと入れ替えをしているようなので、マメに通えば、それなりに見ることができるのでしょうけれど、でもあの狭さでは、限界があるのかなぁ、という印象です。
でも、勿論彌生ちゃん自身の肝いりでできている美術館だし、あえてそういうコンセプトもあり、ということなんでしょうね。強いて言えば、ダリ的な?というか、ガラ的な?カタルーニャ地方に点在する彼の住居博物館を髣髴する狭さ。そういう彌生ちゃん脳内ワールド、みたいなものを目指したのかな。

1階が入り口兼ショップで、隅っこに上のような地味な作品。
2階及び3階は、絵画の展示。
登りは階段オウケイですが、下りはエレベーターしか使えません。というわけで、階段で登ったのですが、まずは2階のとっつきにあった個室へ。




個室、そうトイレです。無間水玉空間でした!
この写真では、絶対にわからないですが、それにしても、トイレすら狭くて、いやこれはもう、なんというか、墨田区にある北斎美術館と双璧をなすミニ美術館かも。いや、北斎美術館は、とりあえずトイレは、普通に公共トイレ的な広さを取っていましたね。ここはね、普通の自宅とほとんど変わらない広さで、それも、美術館スペースの壁から直接個室なんで、びっくりしました。

2階3階の絵画スペースは撮影禁止です。相変わらず、せこいこと言ってますよね。
4階は、もう本当に猫額のスペースなんですが、みんなが期待しているこれがあります。




黄色いカボチャの大群。
これまた、もう唖然とする小さなスペースですから、これをこう見せるっていうのは、なんか芸術的にも技術的にもすごいなって感心でした。




鏡を多用しているので、奥行きが異常に出るんですよね。
ずいぶん昔、ミラノの現代美術館で、彼女の展覧会があった時、当時は今よりもずっと無名(日本では知る人ぞ知るレベル)でしたので、ガラガラだったんですが、そこで、有名な、タイトル知りませんが、ガラス張りの個室に入り、無限の灯りを楽しむ展示を独り占めできたんですけれど、これもそういうスタイルだったら、もっとのめり込めそうです。これは、一方から見るだけなんで、面白いんですが、のめり込みにくい。
見られるかどうかわかりませんが、動画を張ってみます。


そして、最上階に、キラキラピカピカタイプが、ドッカン。




これは美しい色でした。晴れていたら、もっとキラキラと存在感を主張していたはず。

わたしは好きなものを見られれば、満足できるタイプなんで、もうあっという間に見学終了しました。ショップは、高くて、手が出ないものばかりで、品物も少なくて、これは残念だったな。

帰りに、この美術館のある弁天町から新宿駅まで、ぶらぶらと散歩したのが、思いの外楽しかったです。いつもはついスマートフォンで地図を見てしまうのですが、東京ではWi-Fiでしかつながれないので、人に聞いてみたり、町角の地図を見たりして、迷いながら歩くのは、結構今どき新鮮です。

もう一つ気になっていた箱ものも、今回訪ねることができました。




たばこと塩の博物館
東京都墨田区横川1‐16-3
www.jti.co.jp/culture/museum

渋谷にあるころから気になっていたのですが、長い人生で、一度も訪ねたことはありませんでした。今は墨田区に移って、姉の家から比較的近いし、それも、江戸の園芸熱をテーマにした、面白そうな浮世絵の展覧会をやっていましたし、散歩がてら行ってみたのです。

錦糸町駅からも近く、なかなかよいロケーションです。近くにはこんな有名観光地もあるので、錦糸町の駅は、すごい人出でした。




そして、この地味な博物館も、かなりの人出。なんと言っても、入館料100円という手軽さが、人気の秘密だと思います。それに、ここのショップ、とても充実していて、お手軽値段のかわいいもの満載です。入館料の安さを考えると、つい買ってしまう、というのもありそうです。実際、文具系かわいいもの好きには、かなりおすすめ。

さて、展覧会も、1フロアだけですが、結構な充実ぶりでした。




やっぱり、江戸の浮世絵っていうのは面白いんだよね。細部を見れば見るほど楽しいので、つい目を凝らしてみてしまいます。

ただ、オリジナルの浮世絵は、光に弱いので、全体が薄暗くて、若くないと判読が結構つらいのが、難点かな、笑。




ちなみに、この展覧会は、3月10日までやっているようなので、ご興味があったら、是非。100円で、半日遊べますよ!

久しぶりのブログは、息切れします。ということで、スミマセン、たいした内容が続くわけじゃないけれど、一旦切らせてくださいね。

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  1. 2019/02/25(月) 01:33:08|
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二つ扉の謎(ベッソンその1)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その79

前回記事のイエウールYzeureを、20キロほど南下したところが次の目的地、ベッソンBessonです。この日も終わりに近づきつつあり、じわじわと宿泊地を目指し始めた頃です。




サン・マルタン教会Eglise Saint-Martin(9時/17時のオープン)。
村の中心の高台に建つ、美しい姿の教会です。

ちなみに、実用情報として、この村、とても立派な駐車場があり、びっくりしました。




この教会、扉が、ファサードの西側と南側、二つあり、どちらも立派です。
これが、ファサード側。




ファサードの建築自体は、後付けでずいぶんと変えられちゃった感がありますので、扉も、もしかして後付けかとも見えるのですが、細部に、一部、当時のものらしい装飾があるんですよね。柱頭と、アーキボルトの帯浮彫など。




不思議な残し方をしたものですよね。柱は全部新しいんですから、よくぞ柱頭だけ残したってびっくりです。
そして、南側の扉。




こちらは、側壁の基本構造は、オリジナルだと思います。階段付きのアクセスで、これは、高台になっているためにつけられている、手前の階段とつながる構造となっています。




村のレベルから上がるためのインフラ的階段は、かなり新しいものとなっていますが、扉がここにある以上は、もともとこういったアクセスがあったと思われます。
この地域の小さい規模の教会であれば、西側ファサードよりも、なんとなく南側扉の方が、普通な感じもしますが、でも、ファサード側の扉の装飾もちゃんとあり、それは、他から持ってこられるような様子ではないので、もともと二つ扉だったのでしょうかね?




でも、よく見ると、装飾が同じ。ということは、こっちがレプリカなのかな。ふむ。

さて、ここ、内部もいいのですが、ちょっとここで停止です。実は、これから東京へ帰りますので、続きは、ちょっと先になってしまいます。
こんな半端に切りたくはなかったのです。出発前に、ある程度のところまで、とこのところ自分なりに頑張って、毎日アップを目標としていたのですが、実は仕事が忙しかったりする中で、荷造りとかに手間取り、二日ほどアップできず…。

ニュースで目にする事象が、自分にこれほど関係してくるなど、誰が想像したでしょう。Brexitなんですが、あのおかげで、大変な迷惑をこうむっているのですよ。日本では、遠い世界の話、という人がほとんどでしょうが、今ほど英人憎し、と思ったことはないです、笑。

そんな中、一応、お休みを報告しておかないと、余計なご心配をおかけするかも、と今日は、早起きをして書き始めたのですが、こんなくだらない記事でも、結構時間がかかるもので、そろそろやめないと…、という時間になってしまいました。

では、次回までごきげんよう!




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  1. 2019/02/08(金) 17:29:13|
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逆走もまた思い出のよすがに(イェウール)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その78

建築的な見た目はともかく、意外にも柱頭を楽しめたスーヴィニーから、15キロほど東に移動して、次の目的地に到着です。




イェウールYzeure(これは読めません!フランスの地名は、相変わらずハードル高いです)の、サン・ピエール教区教会Eglise Paroi Saint-Pierreです。
扉口に貼られていた案内によれば、月曜、火曜、木曜が、9時/11時45分と14時/16時45分、水曜、金曜が、9時/11時45分で午後はお休み。土日及び学校の休暇中は、昼休みなしの9時/18時ということです。

教会前が大きな広場になっていて、その周囲が駐車場になっているという、車で訪問するには大変ありがたいロケーションなのですが、しかし、その駐車場の入り方がわからず、気付いたら、思いっきり逆進していて、冷や汗をかいたので、この広場の様子、とっても記憶に残っています、汗っ、笑。

冷や汗だくだくになりながらも、教会前にやけに人がいる様子は目に入っていました。近づいてわかりましたが、なんと、お葬式の直後だったんです。
何はともあれ、入場してみることにしました。




ミサとか結婚式など何らかのセレモニーに当たってしまうと、大失敗、ということになりますが、直後だと、ちょっといいことがあることもありますね。何かというと、ライトアップですね。大小問わず、どんな教会でも、上の方の明かりがついているかどうかで、見え方が全然違いますから、本来の暗さの中でもみたいですが、でも、見学するには、明かりがあることが、大変ありがたいことです。
このときは、お葬式の直後だったせいか、全体が煌々と明るくて、細部までしっかりと見ることができたんです。その上、参列者は少なくて、本堂内部はあっという間に無人になっていたんですから、こういうのもなんですが、見学には、理想的な環境だったと言えるでしょう。

教会のつくりは地味ですが、ここでも多くの楽しい柱頭に出会うことができました。明るさのおかげも大いにあります。




上から下から、むぎゅって落ち着けたような体系の人が、何かよいしょってやってますね。
顔がエキゾチックというのか、西洋風ではないのが、意味があるのかどうか。
「柱頭」で検索してみたんですが、残念ながら、解説のようなものは、何も見あたりませんでした。




一見グリーンマン的な作りですが、はいてないですね。
このうにゅっとした装飾、何とはなしに、マヤ遺跡とかそっちの方のイメージを感じてしまいます。顔の様子がエキゾチックなせいもあるのかなぁ。

一方で、こちらの人たちは、吐きまくりです!




植物を、というより、風とかもっと抽象的な渦巻く現象ですね。吐いてる人が辛そうな様子も、何か暗示を感じます。息、吐ききった感じ?それでもまだ出てきちゃうんだよ~、辛いんだけど~、みたいな。人生、辛いよね、って声かけちゃうみたいな、笑。

こちらはまた、ちょっと違うタイプ。




葉っぱの間でかくれんぼ、的な。人も動物も、ひょっこり、いないいないばぁをしているような様子で、微笑ましいですが、こんな顔がぴょこぴょこ出てきたら、きっと赤ちゃん、泣いちゃいますね。

この柱頭の人たちも、かなり苦悩している様子です。




角っこのインテリイケメン風は、なんでこんな場所に無理やり押し込められているのか、どうやっても出られない現実に、顔が歪んじゃっていて、ゾンビにも見えますねぇ。
吐きまくっている方は、悪魔風なんで、これで良し。俺の仕事は吐くのみ!という決意が感じられますけれど。
あー、また勝手なこと、いいまくりです、笑。




何らかのテーマというより装飾性の高い彫り物が多いので、好き嫌いはあるかと思いますが、建物全体が地味なことを考えると、柱頭の面白さは際立っていました。というより、外からは期待できなかったのは、前回のスーヴィニー同様です。




さて、内陣の方に行くと、こんな様子に戸惑いますが、これはこれで、クリプタに突進です。10世紀以前、おそらくもともとの教会もその頃に創建されたということなのでしょうが、そういう時代の空間が残っているんですよ。




構造そのものは、相当古い時代のものと思われる、とても小さなクリプタですが、無装飾かつ、ひたすらシンプル。構造だけを残して、あとは後代の改修などに寄るのかもしれませんね。
ここは暗闇でもあったので、ちょっと降りただけ。
もう一度本堂を抜けて、ファサードの見学へと向かいます。




トップの写真で見られるように、ファサードが鐘楼と一体化してしまっていますが、この構造は、18世紀にそういうようにされてしまったようです。
それでもありがたいことに、扉周りの装飾は、ちゃんと残されています。




かなり修復再建が入っていそうですが、この扉上の軒持ち送りの彫り物は、ちょっと面白いですよ。




妊娠10か月くらいのおっさん(笑)と半魚人。




超間抜け面コンビ。のんびりしているところが、気が合うんです~、とか言ってそうなコンビですよね。
後ろにあるひし形帯、いい感じです。




これはさぁ、修復した人が、ちょっと自分の好みでヨーダ入れてみました、って感じがしないでもないですね。左の人は、中の柱頭の人のようなポーズですね。棒運動ってわけでもないですよね?まさか鉄棒苦手だった人が逆上がりできた!という笑顔ということはないですよね。

もうこれも好き!右はミニオンズがちょっと入ってるし、左は完全にガラモン!




やっぱり、なんか現代的なセンスが入りすぎてる気がします。

柱頭も、なんか変。




改めて見返したら、なんだかおもしろいので、やけにたくさん写真をアップしてしまいました。楽しんでいただけたでしょうか。




ちなみに、駐車場へ入るのに逆走したことで、罰金が来るに違いない、としばらくびくびくしていましたが、さすがにフランスの田舎は、イタリアのようにやたらとカメラは内容で、無事、何も請求されませんでした。
今やイタリアでは、どんな田舎でもカメラだらけですから、どうぞ、イタリアを運転される方は、他の国とは違って、慎重にも慎重を重ねて、運転してくださいね(この2年ほど、罰金まみれです、涙)。

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隠微な楽しさと対極の白々塗り(スーヴィニー)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その77

この辺りの集積ぶり、本当にすごいですね。こうやって、訪ねた行程をたどりながら、狭い地域に重なるようにある事実、改めて認識させられています。
前回のオートリー・イサールから、南方向に、たった6キロほどで、次の目的地。もうね、村ごとに、教会が、それも、何かしら見たいようなものが残っているロマネスクの教会があるんですから、あきれてしまいます。要は、その当時、土地全体が、栄えていたということなんでしょうねぇ。こんな狭い土地なのに、村ごとに教会がひしめいていたんですから、経済的にも、教会を建てられるだけ、潤っていたということになります。
でも、ロマネスク時代のものが残っているということは、逆に言えば、ロマネスク以降、厳しい時代もあって、早々新しい様式に変更するなどはできなかった、ということでもあるので、ロマネスク時代の繁栄が突出していたんですかね。
今の我々にとっては、ありがたいような歴史ですが、土地の歴史としては、お寒い部分もあるのだろうなぁ、と思いを馳せたりします。

アリエ県の主だったロマネスク教会の一覧図が掲げられていました。オレンジの印が、今回訪ねる場所です。




訪ねたのは、こちらとなります。




スーヴィニーSouvignyのサン・ピエール・エ・サン・パウル修道院教会Eglise Prieurale Saint Pierre et Saint Paul(住所、Place Aristide Briand、近くに駐車可能だったと思います。9時/19時。ガイドツアーもあるようでした)。

外側は、ほぼ見るところなし。
ただし、クリュニー起源のベネディクト派修道院ということで、創建は10世紀半ばと古いので、もともとは、ロマネスクの良い建物があったのだと思われます。
前振りの歴史の話ではないですが、送検後も発展してしまったために、小さかったロマネスクの教会建築がどんどん拡大し、クリュニー本拠同様、規模が膨れ上がってしまったようです。でも、ルネサンス時代には、もう落ち目になって、ほとんど放置されて、ボロボロになったとか。
それでも、今でも、規模は、かなりのものを誇っておりますね。町のつくりも、おそらく起源は寺町だったろうということを髣髴とさせるようなたたずまいとなっています。




教会周辺の、ぐにゅぐにゅした道のあるあたりが、かつての寺町なのだと思います。まっすぐな道は、後代のもの。
そのぐにゅぐにゅした旧市街の道は、猫道のような細い小路が入り組んでいて、なかなか楽しいものでしたよ。

中入ると、びっくりして、一瞬足が止まると思います。




この、オレンジが勝った黄色ぬりぬりも、漆喰好きなフランスでは、大変良く出会う色ですねぇ。真っ白もなんですが、この変な黄色も、やめてほしいです。なんなんですかね。

でも、大丈夫です。柱頭は、ちゃんと石色が出ていて、おそらく近年になって、そういう風に直したんだと思います。




オレンジが11世紀、水色と青と紫の中間色みたいな部分が12世紀となっています。そのあたりに、我々好みの柱頭が、沢山あるんです。




印象では、グリーンマン、グリーンアニマルが、山ほどありました。勿論、そうじゃないものもたくさん。




あたまガジガジされちゃっている人とか。
おなじみの、仲良くお水を飲むキメラちゃんたちとか。




ブルボン・ラルシャンボーの柱頭を髣髴とさせる、村の楽隊とか。




これは珍しい感じ。人魚ちゃんとケンタウロス共演ですね。




副柱頭の市松もしゃれていますけれど、実は、足ものもオシャレな柱がたくさんありました。




逆さになっていますので、どこかにあったものを再利用して、ここに置いたものと思いますが、なんでしょう?でも、なぜさかさまに置いたか、ですよね。




イタリアは、ローマがあったせいか、石材の再利用は、非常に頻繁に行われているのですが、例えば、装飾的なものがある場合の柱などをわざとさかさまに使って、これは異教時代のものですから、ということを明らかにした例などを見たことがあります。でも、ここでは、さかさまにされている浮彫そのものが、ロマネスクっぽいので、そういうことでもなさそう。
とすると、ただ石工さんがうっかり置いちゃった、ということなのかなぁ。そういううっかり、意外とありますからね。




こんな風に、くっきりすっきりと彩色されちゃって、なんだか往時とは全く別物となっていると思いますが、それでも、柱頭部分を、何とか石色に戻してくれたので、良しとしましょう。




ストーリー性のある彫り物は少ないですが、グリーンマン始め、変な獣たちの姿がたくさんあるのは、楽しいことです。どの柱頭も異なり、バラエティーに富んでいるので、上を見ながらウロウロするのが楽しい教会です。
全体が目に入ると、漆喰に、ちょっとうんざりしちゃうんですけどね。

それに、ちょっと洗いすぎな感じもありますね。




最後の審判らしい、結構凝った彫り物ですが、真っ白すぎて味もないし、陰影がなくて、見にくいです。
ここ、採光もいいので、風情はゼロと言ってよいですね。可愛いものが多いし、楽しいんですが、ちょっと思い入れしにくいのは、そういうことなのかもね。暗いと言っては、見えなくてイライラしたりしているんだから、勝手なもんですが、でも、ロマネスクの醍醐味は、薄暗がりの中で、あえかに見える異形のものたち、みたいなところ、結構ありますよね?ありません?
ここまで白日の下にされされた上に、何の染みもないほどに現れちゃうのは、どうも…。

なんだかんだ言いながら、十分堪能して、教会を出ると、すぐ近所に、もう一つ、どう見ても教会ではないか、という建物が目につきます。




サン・マルク教区教会L'ancienne Eglise Paroissiale Saint-Marc。

12世紀の教会ということです。創建当時は、どうやら墓地教会だったようです。その後屋根が落ちたりなんだかんだで、とうとう家畜小屋までに落ちぶれてしまった時代もあったようなのですが、20世紀に入って修復されて、今では、文化施設として、展覧会場やホールとして使われているそうです。




扉口に、往時の柱頭が、しっかりと残されていました。こういうのを見ると、歴史の、時間の流れを目の当たりにする気持ちになりますし、周りが変わっても、この柱頭たちは、ずっとここにあったんだなぁ、と感慨深いです。
あまりケアされなかったからこそ、残されている、こういったいかにもプリミティブな鉋屑の軒持ち送りなど、愛おしい気持ちで眺めてしまいます。




帰りは、大通りに挟まれたように残された旧市街の小路をたどって、駐車した車まで戻りました。




家並みの中に、いきなり現代アートのギャラリーがあったりして、楽しい散歩でしたよ。なぜか、人っ子一人いないのは、どの村でもありがちなことですが。
しかし、ランチも終わった15時過ぎなのに、なぜ、人がいないんですかねぇ。




Les Atelieres du Chapeau Rouge

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深読みしようとしても見当もつかず、またまた謎の柱頭(オートリー・イサールその2)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その76

オートリー・イサールAutry-Issardsの三位一体(トリニテ)教会Eglise de la Trinite、続きです。ミカ坊ラファ坊に見下ろされながら、本堂に入ります。




シンプルですが、石の質感といい優しい色合いといい、とても好きなたたずまいです。
なんか側壁が、斜めっているように感じたのですが、どうでしょうか。たまにそういう建物、ありますが、安全上は問題ないから放置、ということなんだと思います。地震、ないですしね。




わかりにくいですが、私には、そっているように見えました。上の方が、外側に開いているようなそり方です。

外側の壁のような装飾方式で、面白いと思います。




全体にシンプル感が強いのですが、でもちゃんとお宝、あります。




角っこに置かれた頭部も、また、間に彫られたデザイン的な模様も、とっても現代アートっぽい柱頭。
そして、大変に謎な柱頭もあります。




全体のテーマも不明なら、モノや人のフィギュアの置き方の独特感も不思議です。




杖は、司教の杖に見えますが、この角の人は普通の人っぽいのに、杖に手をかけている感じ?または花に触っているのかな。この花のモチーフも謎。

こっちの角の人は、角のカーブを利用して、僧衣にしているのか、単にデザインなのか。




わたしの貧弱な想像力では、まったく不明です。でも、なんか楽しいです。




屋内だというのに、溶けている感の強い彫り物がいくつか。




この、花らしいモチーフ、さっきのと同じ。お気に入りの表現だったのですね。かなりヘタウマ系ですが。それにしても、なぜこんなに溶けているのか。

これも、溶けているのか、もともとシンプルさ優先の彫り物だったのか。




でも、ヒトなのか獣なのかすらわからないです、笑。不気味さは、前回の記事で紹介した魚またはイソギンチャク系の三人組にも共通する感じがあるかな。

こういう柱頭らしいものもちゃんとあって、そっちは、それなりに千年分の摩耗だよね、という程度で済んでいるので、なんか不思議です。




柱頭に関して、何か説明が見つからないかとネット検索しましたが、まったくなくて、一方で、私が全く興味のない時代の絵については、やたら説明を発見しました。




北方系の、時代も技術も、私には全く興味が持てない絵で、うへぇ、でしたが、実は、一通り見学を終えて、外に出て、外に説明版を読んで、お、一応見とくか、とわざわざ戻って、見たもの。
リンテル彫り物に加えて、この絵が、この教会最大の売りということなので、一応紹介しておく次第です。あ、解説はなしです、笑。

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ミカ坊ラファ坊、超真面目(オートリー・イサールその1)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その75

メイエールから、北東方面に9キロほど、10分弱のドライブで、次の目的地に到着です。




オートリー・イサールAutry-Issardsの三位一体(トリニテ)教会Eglise de la Triniteです。

この村、道沿いに、家が立ち並んでいるだけの、本当に小さな村で、全体がすごく開けていて、見晴らしもよくて、集落としてのまとまりがあまりない感じなんですが、清潔感にあふれ、なんという愛らしさか、と感心してしまうようなたたずまいを、全体に醸し出しています。

教会前にあるカフェが、村で唯一のお店という様子でしたが、何ともチャーミング。




村の社交や交流は、すべてこの広場で行われるのだろうなぁ、という様子です。
フランスの村でよく目にする、自立図書館も。




この自立図書館、結構古そうなたたずまいのものから、こういった新しい建物まで、フランスでは、本当によく目にします。
こういうレベルでの文化度?なんと言ったらいいのかな、一般に浸透した文化っていうんですかね。アートにしても、とっても人口に膾炙しているというか、ギャラリーの数は、都会田舎を問わず、どの国よりも多いのではないかと思うし、そういうベースが一般的にあるな、とよく思うんです。
イタリアは、ベネチアのビエンナーレとか各地の箱モノで、現代アートに接する機会はあるのですが、フランスに比べたら、田舎でのギャラリー比率はとても低いはず。本も、都会の中心部に大書店はありますが、それ以外の本屋さんはほぼ絶滅している状態です。好きな人は好き、それ以外は興味がなくて、何一つ接したことがない、みたいな両極端文化だと感じるのですが、フランスは、もっと緩やかに、一般的に生活に根差しているイメージです。そんなことないのかな。買いかぶりかもしれませんが。

おっと、また脱線です。
目的は、リンテル(フランス語での各所名称、なかなか身につかないのですが、せっかくフランス編だし、イタリア語よりもフランス語が基本となっている方も多いようなので、なるべく、フランス式に行きたいと思います)。




遠目にも、おお~!と興奮が押し寄せてきそうな彫り物です。
アーモンドを支える大天使、向かって左がミカエル、右がラファエルです。




なぜ、だれかわかるかというと、なんと光背に、しっかりと名前が刻まれているんですよ。




わかるでしょうか、ミカ坊。そして、ラファ坊。ミカ坊ラファ坊ってお茶目なコンビっぽいですが、大真面目な顔してますよね。




支えているアーモンドには、当然キリストがいたはずですね。これは、彫り物ではなく、絵が描かれていたもの、と説明にありましたが、この状態で、そこだけ絵、というのは、変ですよね。一方で、土台となっているアーモンドがしっかりと残っているのに、キリストが彫り物であったとしたら、きれいさっぱり取れちゃうというのも変な話なのは確か。
不思議な状態です。
アーモンドがかすかに赤いのは、当時の彩色の名残ということです。

天使たちの後ろ側に、変なものがぶらぶらしています。




これは、この時代の教会内部で使われていたオイルランプではないか、とされているようです。それにしても、変な形だし、左右で微妙に違うのも不思議。アーチごとにランプというのも、すごいですね。本当にそれほどたくさんの明かりをともせるような立派な教会へのあこがれかもね。




下の部分に、文字が彫りこまれていて、そこに、発注者又は製作者の名前らしい、Natalisというのが認められています。フランス語のクリスマスNoelの翻訳的な名称だとも考えられているとか。だとしたら、何?という説明ですが、いずれにしても、この時代、名前が残されることはまだ少なかったので、貴重な資料的価値がある文字列だと思います。

リンテル部分は、勿論修復もされている賜物ではあるでしょうが、結構よい保存状態です。しかし、扉脇の柱頭の方は、相当溶けてしまっていて、残念な状態です。




凝灰岩ですかね?雨風には、比較的溶けやすいタイプの石。これは残念です。でもこれだけ残っているなら、修復で結構自然にきれいにできるのではないかと思うんですけれど、予算の問題でしょうか。

後陣の方に回ります。




オーベルニュらしい、背の低いどっしりとした鐘楼が、印象的です。ここでも、半円アーチと三角アーチの組み合わせですね。これはもうお約束なんですね、この辺りの。
全体に地味な印象ですが、目を凝らして観察すると、色々見えてきますよ。




縞々というか、ミシュラン的なボコボコの身体はともかく、魚的な無表情な目が、にょろにょろを髣髴としてしまう三人組。イソギンチャク的とも、笑。

愛を語らう鳩サブレのカップル。




ふっかふかのドーナツにも見えますが、どうやら永遠的な蛇みたい。




こんな細部までアップしていると、つい時間がかかってしまうんですが、最近取捨選択も難しくて、ついつい。いろんな意味で断捨離必要だと思うんですが、やはり写真は多くあった方が、行きたいという気持ちをそそりますよね。
というわけで、また二回分になっちゃいました。続きます。




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天使のような少年の祈りに感銘を受けながらも…(メイエールその2)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その74

メイエールMeillersのサン・ジュリアン教会Eglise Saint-Julienです。




前回は、この教会一番の見どころであるファサードの装飾を紹介しましたが、今回は、内部です。




地味な雰囲気ですが、とっても、すがすがしい祈りの場、という空気が漂っています。
実は、中に入った時、先客がいたのでした。入ってすぐ気づいたのですが、若い男の子が、内陣のすぐ手前の椅子に座り、深く深く祈っている様子だったのです。




邪魔したくなかったので、彼の視界に入らないような位置をうろうろとしたりしたのですが、邪魔をしないで後陣の見学は無理。
ということで、なるべく音を立てないように、すり足で歩きながら、外に出てみたり、ウロウロしていました。
そんな行為が、すでに、祈りには邪魔ですよね~。それはわかっていたのですが、私にしても、わざわざ遠方から訪ねているため、ミサならもうそれは仕方のないことですが、一人の信者さんがお祈り中だからと言って、仕方なく見学を諦めます、というわけにもいかなくて、こういう時は、本当に辛いのです。




ちなみに、私は、撮影に際して、カメラのシャッター音は消しています。国籍や写真の腕を問わず、盛大なシャッター音をさせて撮影している人が多いのですが、はっきり言って、あれは不快…。一度、同行の友人に、無音設定にするように頼んだことがあるのですが、無音だと、シャッターを切った瞬間がわからない、つまり、撮影できたかどうかわかりにくいから、嫌だと言われたことがあります。そういう理由だったことも気付かなかったので、納得はしたのですが、教会のように、静まり返った場所では、あのシャッター音って、かなり耳障りです。少なくとも、私は嫌い。
教会での撮影で、他に人がいる場合は、どうぞ、シャッター音はなるべく消してくださるよう、お願いしたいです。

ま、というわけで、無音で撮影していますので、このくらい離れていれば、撮影しまくっていることもわからなかったとは思うのですけれどもね。




構造は非常に地味で、目につく柱頭も、シンプルで地味な植物系とかがほとんどです。




面白そうなものが、遠目に見えるんですが、近づけないので、また外に出て、扉を楽しんでいたら、祈りの少年がやっと出てきました。目があったら、小さい声でつぶやくように「Bonjour…」と言いながら、天使のようにニッコリ。
おばさん、ズキューン!やられました!
祭壇の方を一心に見つめながら、微動だにせず、座り続けるほどの何かがあるのか、あったのか、わたしの知ったこっちゃないですが、若いって色々大変なこともあるよね、とか、去り行く彼の後ろ姿を見ながら、しみじみとしてしまいました。

感化されやすいので、彼の座っていた席に、私も腰を下ろして、しばし瞑想の時間…、と思ったのですが、まったくダメ!




その席から上を見上げると、アーチの根元に、変なもんがいるんですよ。





こんなタコ坊主みたいのが見えたら、瞑想どころじゃなくて、思わずププっと笑っちゃいますよ~!




横っちょの窓のアーチにも。




かなり斬新なモチーフだと思います。




ヒトの頭部と、そして、シンボリックな感じのするオブジェクトの組み合わせ。これら、本当に楽しくて、悩んでいても、なんか笑っちゃう、という代物だと思います。シンボリックなもので、何か深刻な意味があるとか?は、ちょっと考えにくい。

そういう意味ではよい教会だと思うんですが、でも、こういう彫り物を、要所要所に置いてしまう、このロマネスク時代の教会に求められたもの、というのが、いくつ教会を回って、真面目な彫り物も、こういうふざけたみたいな彫り物も、山ほど見てきて、それでもなおかつわからないから、また面白いですね。




ちなみに、この教会の側壁と向かい合う場所に、田舎っぽいレストランがあります。まるで、そこでランチすることを目指してきたような時間配分で、見学後に、食事をしました。労働者風の方が多かったので、そういう会社が近くにあるのか、働く人向けの定食や、という風情で、安くておいしいご飯が頂けました。




La Trattoria De Meillers Le Bourg, Meillers
レストランだというのに、飼い猫飼い犬が、お客さんのテーブル下を、おねだりしながらウロウロしていたりします。猫好きなので、それすら嬉しかったです。
そして、こんな田舎の村の、さらに田舎なロケーションだというのに、おばさんが英語をしゃべる人だったんですよ~。それで、ファサードが修復に入る、という情報を教えていただいたんです。
今、グーグルで検索したら、なんとイタリア料理屋だったのですね。まったくそういうイメージなかったですが…。
お勧めです。

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