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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ドラゴンは、どっから来たのかなぁ(ベルナーヴ)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その95

次に訪ねたのは、こちらです。




ベルナーヴBellenavesのサン・マルタン教会Eglise Saint-Martin。
村の中心部にあり、教会まで、車でアクセスできます。と言っても、ああ、情けないことに、ほとんど記憶が…。

ここで見るべきは、上の写真のファサードの装飾と、そして内部にいくつかある、激かわの柱頭だと思います。

まず、ファサード、扉周辺部から。




アーモンドの中にいるキリスト、そして、それを支える二人の天使。とてもよくある図像ですね。石色の地味さに加えて、浮彫も、地味目な感じです。ダイナミズムがないわけではないのですが、なんというか、全体に質実剛健な作品に感じられます。




アップで見ても、やっぱり地味なキリスト像。そこらの、薹が立った髭面のニートみたいが、キリストに扮しているみたいなぎこちなさが感じられるっていうか。ちょっと無理して、祝福のポーズなどを取ってみました、みたいな空気っていうか。まだ経験浅いもんで、と頭を掻いちゃうようなって言うか。
相当勝手なことをイメージしちゃってますが、おそらく、固いんですよね、表現が。
ここでもエルサレムを背景にしているようですね(ちょっとは学習しています)。

両脇の天使はどうかというと。




こちらは、支え方の必至度が、結構すごいっていうか。衣がまとわりついた足に、しっかり体重かけている様子じゃないですかね?大事なのは、腰とひざですよね、とかいう会話をしてそうな、笑。
今、上部は損傷してしまっていますが、いずれにしても、これだけ立派な翼をのびのびと彫っているというのは、スペースに余裕があったということで、全部完璧でも、これ以外のフィギュアはなかったものと思われます。翼と身体の縮尺が、なんかね。

アーキトレーブの部分には、足を洗っている図と、最後の晩餐らしい図が並んでいます。




地味に細かいですね。なんかしみじみするような条件があらわされています。地味なりに、訴える力のある石工さん。




ヨハネとユダかなぁ。
それにしても、この石、なんでしょう。表面がグレーで、ところどころはがれて白くなっていますが、そういう石灰岩的な柱状にはがれやすいタイプの石なんですかね。

まぐさの一番右側に、足を洗っている図があるのですが、それに最も違い晩餐の右端の二人が、このテーブルがなくなっちゃっている場所にいるんですが、この人たち、どうなっちゃってるんですかね。これは、美脚誇示?まさかね。




それにしても、見事に顔が取られてしまって。革命のときの狼藉らしいですが、結局なんでしょう、今、イスラム過激派がやっているようなことをやっていたということなんでしょうか。革命って、そういうことだったんだっけ?と、大きな疑問符です。

石色が全体に地味なんで、装飾過多、というイメージは一切湧いてこないのですが、よく見ると、結構装飾的なエレメントがびっしりです。




上部に並べられた大きめのブラインドアーチと小さなつけ柱、美しいと思います。

扉脇の側柱柱頭は、植物モチーフ。




一筆書きのようなタイプの、単純だけど、装飾として効果的な彫り物です。

さて内部へ。




こじんまりとした三身廊で、プランはこうなっています。黒塗り部分がロマネスク。




白抜きが近現代のものとなるようです。
三身廊と言っても、側廊は、この狭さ!




こういう、「三身廊にした意味があるのだろうか」というようなサイズ感の建築は、イタリアではあまり見ないように思うのですが、どうでしょうか。スペインでは、見たことがあるように思います。イタリアだと、この程度の広さなら、あえて三身廊にしないような気がするんですが、そんなことはないでしょうかね。
これは、建築的に、支えという意味でのアーチ構造なのか、または、様式として、トレンドとしての三身廊なのか、そのあたり、気になっていますが、いまだちゃんと調べたことはありません。
円柱がオリジナルで、その周囲にあるのは、後代に補強としてつけられた支えかもしれませんが、いずれにしても、いすなどは置けませんし、今の米国などに見られる、いわゆる百貫デブ(死語?)的な人は、通り抜けるのも容易ではないような幅ですから、本当に不思議な気がします。

さて、冒頭に触れた柱頭ですが、勝利のアーチの根元のところにあるやつが、かわいいんです。




どうですか?!めちゃくちゃ、愛らしくないですか。ふん!と粋がっているようなフィギュア、そして、エルマーと竜のドラゴンをちょっとこわもてにしたようなヘンテコなドラゴン的なうろこぬるぬる系。図像としてはダニエル的ですが、これはどう見てもドラゴンですよね、かぎ爪だしね。
副柱頭下にある、バッテンモチーフもすごく好きです。

アトラス的なこの人たちも、異色な感じ。




重量挙げのスタイル。結構リアルな感じがします。上の、粋がりの人とは、ずいぶん違いますね。
違うと言えば、これらとは全く違うタイプの柱頭もあるんです。




なんか現代の人が中世風に彫ったような様子にも見えちゃうんですが、そんなわけもないですね。わたしは、圧倒的にエルマーと竜の方が好きです。
なんと、もう一つあるんですよ。竜に特化したやつが!




どう見ても、ラプラス…。背景に花とか緑をあしらって、ほのぼのした雰囲気を出そうとしているのか、または黙示録なのか…。どう見ても、このドラゴン、かわいいです。

可愛いと言えば、こやつも。




妙にゴージャスなにゃんこが、高貴な様子で番をしていました、笑。

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  1. 2019/03/29(金) 06:51:19|
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肉体労働者を励ますホワイトカラー的な(シャンテル)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その94

次に訪ねたのは、修道院の中の教会です。




シャンテルChantellにある修道院教会、サン・ヴァンサンEglise Saint-Vincentです。
いかにもいかにも、という長い塀が続き、周辺は美しく整備されています。この奥に教会があります。




ここも、フランスの多くの例にもれず、外観からは、ちょっとロマネスクのテイストは感じられず、え?本当にここ?と思ってしまいますが、ご心配なく。




内部は、一応、中世の雰囲気を残した様子になっています。ただ、見学は、結構制約があったように記憶しています。いずれにしても、ロマネスクの遺構は一部に過ぎないので、問題はありません。

プランはこのようになっています。この辺りは、説明版の仕様も、どこも同じような形になっていて、プランも必ず提示されています。そして、図の読み方もみな同じで、黒塗りが最も古い年代、ここでは、12世紀のもので、網掛が、12世紀後半、白抜きは現代のものとなっています。
説明のあり方が共通していると、わかりやすくてよいですね。こういうところはさすがに、ロマネスク集積地、オーベルニュだけあるなぁ、と感心します。
説明版では、端折った形ではありますが、英文の要約も掲示されているんですよ。




ここで注目すべきは、いくつかの柱頭です。




確か、入り口近くにいきなりあったんじゃなかったかなぁ。
親切にも、柱頭に番号が振ってあって、説明が置いてありましたよ。




著名な柱頭は、その下に、説明が置いてありました。それによれば、上の、男性のふぎゅあがあるやつは…。ああ、また読むのか、と憂鬱に思いながら、やはり、ちょっと読みたいですよね。

「中世風のチュニックをまとった男が立っている。ゆったりとしたベルトを着け、ベルトには、二つの鍵が下げられている。右手には巻紙のようなものを持っているが、それは、教会のプラン図または修道院の創建書類と考えられている。左手には、トンカチ、または剣のようなものを持っている。
言い伝えでは、この人は、教会の建造者であるとされている。鍵によって、責任者である権威が表され、道具によって、建造に携わっていることがあらわされている。」

割と、当たり前の意味で、なぁんだ、という感じです。なにも、こういうエニグマティックな表現にしなくても良さそうに思うんですが…。でも、だからこそ、なんだか楽しいですね。棟梁だったのかな。なんか、貴族的な様子なんで、自分の手は汚さない建築家的な立場の人だったんですかね。それでも、職人さんたちを働かせるために、会社のトップなのに、工場労働者と同じジャンパーを来ちゃう、日本のメーカーさん的な、笑。

同じスタイルで、もうちょっとシンプルな人もいます。




そして、この人の方が、イケメンですね、笑。

「中世風のチュニックをまとって立った男。両腕を持ち上げて、渦巻き装飾となっている葉を持ち上げようとしているようだ。あたかも、教会の建築をなす、今作られたばかりのアーチをまとっているかのようだ。」

どちらも、教会を作った人をほめたたえるような、労をねぎらうような、そういうテーマだと考えられているわけですね。そういうのは、結構珍しいかもね。でも、鍵とか道具を持っている人はともかく、この人は、ちょっと無理やり解釈しすぎな気もします。

道具系っぽい人が、もう一人。




ヌードで半身という斬新なスタイル。腕を持ち上げて、自分の上にある鐘とつながったひもをつかんでいる。教会の創建を知らせる鐘をならしているのか?と、説明にも疑問付きでした。
そういわれれば、確かに鐘をならしている様子なので、そこまでは大いに共感しますが、教会の創建に、そこまでこだわりますかね?おそらくこだわる理由があるのでしょうが、もっともっとながたらしい説明を読む元気はないので、どうぞ、興味がある方は、調べてみてくださいね。
でも、現地での説明がこの程度ですから、本当にどうなのか、というところは、やっぱりわからないんだろうな、と思います。

ちょっと面白い人物フィギュアはこの三点で、この他は、植物モチーフとなります。




シンプルで、すごくかわいらしいですが、再建ぽくもありますね。
こちらは、一見グリーンマンかと思うんですが。




よく見ると、この人、笛を吹いているのか、たばこをやっているのか、グリーンマンじゃなかったです。




アルコール検査のふーって息を吹き込むやつにも見えます。すみません、おちゃらけばかりで。でも、なんかそういうイメージまで湧いてきちゃった、笑。

こちらも、植物物だな、と思ったんですが。




よく見たら、顔がありました!




全体が植物系のようなので、花の中心に顔を置いたようですが、太陽の中心にも見えたり。いずれにしても、可愛さのないところが、面白さでもあるのかな。

独特なテイストを持つ石工さんがいたのですね。
この人の仕事は、もっと見てみたいです。

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  1. 2019/03/27(水) 05:55:52|
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まさかサント・ドミンゴのにわとりが(フルリエル)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その93

何ですかねぇ。人に連れて行ってもらっているし、事前にきちんとチェックしているわけでもないし、ということなんでしょうかねぇ。なんだか、いつも以上に記憶が薄くて、アワアワしております、笑。
でも、自分で撮影している写真がある以上、確かにここに行ったのだ、と言い聞かせるようにして、記憶を探っております。情けないですねぇ。

さて、ペア修行の一日、次に訪ねたのはこちらとなります。




フルリエルFleurielのノートルダム教会Eglise Notre-Dame。
この、後陣の写真でもおおよそ想像がつくように、建物のほとんどの部分は、後代の建築になってしまっており、たたずまいとしては面白みがありませんが、フランスらしく、ディテールに素晴らしいものがあります。
見るべきは、ファサードにある彫り物、そして内部の柱頭の彫り物です。

まずはファサードから。




ちょっと寂しいたたずまいですよね。でも大丈夫。扉周りは、オリジナルですから。とはいっても、結構傷んでいるのが残念です。
大きくて隅切りの深いアーチは、うっすらとパターン的な浅浮彫が施されているだけで、ほとんど無装飾というイメージです。この部分は、もしかすると、オリジナルではないのかも、という疑惑もあります。
でも、こういうスタイルはありますよね。




説明には12世紀とありましたが、装飾の雰囲気からは、12世紀も押し迫った頃ではないのか、という様子がうかがわれます。また、修復で結構余計な手が入っている可能性も感じられました。特に扉上部にある軒持ち送りの部分。




ずらりと顔が並んでいて、その合間に、花とかキメラとか、そういった浅浮彫が施されています。
上下に、とても中世らしいモチーフの帯があるのは、今写真を見て初めて気づきました。特に上のモチーフは、フレスコでもモザイクでもよく使われますが、彫り物では、他で見たことあったかなぁ?うう、再建疑惑が…、笑。




お花モチーフはかわいいんですが、顔はどれもおっさんで、なんかテイスト的に、納得できない…。まず、かわいくないですね。変にリアルで、ロマネスク的面白さがない。かといって、テクニック的に特徴があるとも独創性があるとも思えず。
なんて、偉そうなことよりなにより、私の好みではないということですけれども。

隅切り柱頭、傷みが激しいです。




どうやら、時間の経過により溶けてしまっただけではなく、積極的に損傷も受けたような様子もあります。柱の方は、入れ替えられているようなので、かなり傷んでいたということなのでしょう。




おそらく、技術力のある石工さんの作品だろうと思われる作品は、認識できました。例えば、このキメラ。




細かい彫りですよね。




つる草の宝探しモチーフ(例によって勝手に命名してますが、つる草の中に動物とかいろんなものが置かれているタイプのモチーフ)も、工夫が感じられます。

さて、中へ。




漆喰ぬりになっておらず石むき出しというのは、珍しいですね。この点は大変好感度が高いです。石の色も、ベージュのグラデーションがあって、好みです。

プランは以下のようになっています。黒塗りが11世紀から12世紀で、薄い網掛けが12世紀、それ以外はそれ以降の時代となっています。




面白い柱頭がいくつか見られます。例えばこれ。




説明によれば、これは古代メソポタミアに起源があるマスクで、それがローマやギリシャに伝わったもの、とありました。
このオカメ顔のグリーンマンも、そのあたりからインスピレーションを得たものでしょうか。たらこ唇が何とも言えず、ぬめり感があって、苦手かも~、笑。




他にもちょっとかわいいのとか、そうでもないのとか、いくつかあるのですが、おそらく最も注目されるべきやつを紹介しておきます。これはね、よく覚えています。なんか衣が変だとか、どうとかこうとか、柱頭を見上げながら、同行者と話した記憶があります。とっても漠然記憶で、笑っちゃいます。




聖ジャックとあるんですが、ヤコブってことですね?そういえば、こういうひだひだのたっぷり目の衣装は、巡礼者の衣装を表すものだったのでは、と今、かすかな記憶が出てきました。
ここでは、廂のない変な帽子をかぶっているようですが、これも、巡礼者を表すアイテムなのかもしれませんね。彼が身体の前において、寄りかかっているような表現をされているのは、勿論巡礼の杖。
あ、今気づきましたが、左にしか靴を履いていません。

説明に、オヴィエドのカマラ・サンタにあるサン・ジャックの表現と似ているとあります。
ちょっと探してみました。多分この人ですね。




彼の左側(我々からは右側)にはこれ。




くるりん尻尾には愛嬌がありますが、顔は相当いじわるそうなバジリスク。
そして、左側には鳥とキメラ?いや、説明には、Aspicとあります。こっちも想像上の動物とされているので、キメラのことなのかな。




サンジャック、聖ヤコブについては、様々な伝説があるので、それが色々盛り込まれているようなんですが、例によって説明が置いてあったので、頑張って読んでみました。
上の、聖人の右側にいる上のやつは、やはり見たまんまにわとりみたいなんですが、なぜにわとりがここに、という説明が、やたら長かったんですよねぇ。
でも、スペインと結びついていて、ちょっと面白かったんで、せっかくなので記しておきます。

「ドイツ人の父子がコンポステラに向かう巡礼で、1090年、トゥールーズの旅籠に泊った。旅籠の不誠実な主人が、彼らのカバンの中に茶碗を隠し、そして、彼らを泥棒と非難した。父子は捕まえられて、刑が下り、息子は首をつられた。絶望した父親は一人で旅をつづけ、聖ヤコブに裁きを求めて祈った。帰りの旅で、36日後、父は、トゥールーズで、首を吊られたのに、生きている息子に会う。息子は、聖人の手が私を抱きしめて、天の優しさをもって、力をつけてくれたと説明した。この伝説は広く普及し、その間に、トゥールーズがサント・ドミンゴ・デ・カルサダにとってかわられた。」

なぜ、1090年と正確に特定するのか不明なんですが、そういうことなんです。あ、これだけではにわとりが出てきませんが、サント・ドミンゴ・デ・カルサダって、にわとりで有名なんですよね。それを結びつけるためのにわとり、というようなことが書いてあったんですが、でも、時代が合うのかなぁ。浮彫はおそらく12世紀後半だとは思うのですが。

きっと、こういう情報は、ネットで頑張れば見つかると思うので、どうぞ皆さん、探してみてくださいね。もうフランス語は読みたくない!と思っているのに、つい読んで、そして半分くらいしかわからないのにすごく時間使って、もう嫌です、笑。
それにしても、トゥールーズがサント・ドミンゴにとってかわられた、というのが、なんか面白くて。これって、観光的にはかなり大きなイメージ戦略ですよね。スペインもやるじゃん~。

最後に、もう一つだけ、なんだかお気に入りの柱頭を。




悪魔くんみたいです。
可愛いですよね。

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  1. 2019/03/23(土) 21:32:10|
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やるせない表情満載(ブロ・ヴェルネ)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その92

友人宅滞在二日目も、友人の運転プラスガイド付きという、私にとっては大いなる大名ツアーです。丸一日、と言っても、自分でがむしゃらに走り回るときと違って、友人宅滞在なので、ゆったりと起きて、おしゃべりをしながらゆったりと朝食をいただいて、やっとこさ出発、という余裕の旅程ではあります。いつもは何かにつかれたような修行状態ですから、ホテルの朝ごはんが遅いと、イラッとしたりするのですが、久しぶりにそういうイライラを忘れて、優雅な朝のおしゃべりを楽しむ、というのは、至福でございました。

さて、そうはいっても、やはり見たいし、住んでいらっしゃる側としても見せたい気持ちは満々。というわけで、旅程を見ると、やはり修行状態なので、あきれてしまいます。




この日回った町村、全部で、10カ所となります。よくぞ、これだけ。総距離はたいしたことはないのですが、それでも、移動して、教会を見て、また移動して、という行程を考えると、いっぱいいっぱいの日程ですよね。同行者が、土地に詳しくて、迷うロスがないからこそ、の日程だとも思います。

右の方にあるBrout-Vernetから、反時計回りとなります。
というわけで、最初の教会は、こちらです。




ブロ・ヴェルネBrout-Vernetのサン・マゼラン教会Eglise Saint-Mazeran。
マゼランって、聞いたことのない聖人ですけれど、もしかして、フランス特有の発音してるんですかね?

実はついこの週末、当該のフランスの友人と電話で話した折に、驚愕の事実を、今更知ったんで、こんなことを思うんです。フランスは、教会の名前もすぐフランス式にしてしまうから、イタリアやスペインの教会のことを調べるのに大変困る、というお話の流れで、フランスでは、聖ステファンのことが、Saint-Etienneであるということを、初めて知ったのですよ。
もしかして常識?

このSaint-Etienneにささげられた教会って、フランス全土にありますけれど、他の国では聞かない聖人だよなぁ、とは思っていたのですが、まさかステファノとは、本当に思いもよらず、ただただ唖然としました。
フランス語の情報だと、イタリアのサント・ステファノ教会が、すべてサンテティエンヌ教会に翻訳されてしまっているそうで~。中華思想(笑)、極まれり!
固有名詞は、翻訳できてもしてほしくないですよね。
というわけで、私もなるべく、現地語表記を目指しているのですが、フランス語は読めないことも多く、修行中はほとんどイタリア語読みで理解してしまうため、どうしてもいい加減になりがちです。

話を戻しますが、サン・マゼランで検索すると、いきなりここの教会が出てくるので、どうやら地域に根差した聖人さんのようです。説明によれば、ご本人が、この教会の創建に尽力したとされているそうです。

こじんまりとした教会で、プランはこうなっています。




黒い塗りつぶしが11/12世紀、斜め線の部分が12世紀の終わりごろ、そして、残りは現代のもの、と図解があります。




東に向いた教会を朝、訪ねると、正しく光が差し込んで、荘厳な雰囲気を味わえますね。日出ずるところの国、遥か東にあった日本が、すでにして神秘の国と思われたのも、なんだかわかる気がしますね。

後陣側から、ファサード方向。




いくつか、気になる柱頭があります。




鳥のペアが仲良くお水を飲む図像は、普通、大体はかわいいイメージになるんですが、これは、ちょっと怖いというか、鳥が苦手な人が、その苦手とするところを、余すところなく表現したような鳥かも、笑。ぬめり感とか、鳥皮的なうろこというかぶつぶつというか…。ハゲタカのような頭部は、かなり苦手かも。

面白い石を使ったもの。




何とも言えない素敵な色です。モチーフも、植物から素朴な人が飛び出ていて、そのプリミティブな彫り物が、石とマッチしているというか。
実は、とてもかわいらしい馬っぽい動物フィギュアが、同じ石であらわされた柱頭がありましたが、今の今、ミスで、消してしまいました。ぐやじい…。
いずれにしても、ぬめりの鳥とは違うテイストの彫り物です。

一方で、変に写実的で、現代もの?とも思われるものなどもあり。




三つという数は、三位一体を表すものですから、そういう意図があるのでしょうが、それにしても、この辛そうな人々の三連発は、なんだかやるせないです笑。

でもこの人たち、朝日がさんさんという、こんなに晴れやかな場所に置かれているんですよ。




俺たち辛いのに、拷問かよ、とかつぶやいているようにしか見えない三人組。

朝日の時間は、ステンドグラスがきれいに楽しめる時間でもありますね。




外に出ます。
扉の両脇にある側柱の柱頭が、かわいらしいですよ。




手前の方は、両腕を挙げて、祈っている姿でしょうかね。なぜか、おどおど感が半端なし。
奥の方の植物モチーフ。こういうタイプ、大好きです。単純でクッキリしていて、こういう絵が描ける人になりたいなぁ、と思うようなモチーフです。

お向かいにいる子が、また何とも愛らしいです。




うっすらとほほ笑んでいるのがたまりません。そして、足が、妙にほっそりと長くて、もうちょっと頑張ったら、ダリの象さんになっちゃいそうな状態ですよね。




あちこち、時代が混じっていますが、結構背の高い後陣の軒持ち送り、ちゃんと残っています。どれも小さくて、頭部が多いのですが、ちょっと不思議なものです。




左の人は、例によっての鉋屑に乗っけられています。右の人は、どこかで見た、比較的新しいグリーンマンのイラストに似ています。顔に緑が張り付いている様子っていうんですかね。




十字架、なのかな?
それにしても、頭部オンパレードはすごいですね。ケルトの影響とかあるのかしらん。




この人は上に乗っけてますが、こうなるとやはり十字架っぽいですね。不思議な軒持ち送りです。

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未知との遭遇およびカフカのフィギュア(ラ・ベニッソン・デユ)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その91

大名ツアーの一日の最後は、友人宅へと帰路に就いた道沿いにあるこちらへの訪問でした。




ラ・ベニッソン・デユLa Benisson Dieuの修道院Abbayです。
ここは、教会そのものへの興味というよりも、ロケーションとそのたたずまい、全体の雰囲気が素晴らしい場所です。
村のはずれに広がる緑の只中、かつてはさぞや立派な修道院であったろう、と容易に見て取れる雰囲気です。




美しく整備された芝生の中に、今は、もう姿もかなり後代に変えられてしまった教会だけが残っているのですが、当時は、ここに修道院だけがあるような、人里離れた場所であったに違いないのです。




木々は後退していますけれど、修道院が栄えていた時代には、もっと周囲にこんもりとした林や森が迫っていたのではないでしょうか。ある程度までは、畑などのために開墾された土地があったろうとは思いますが、これほど開けた場所であるとは思えないです。
今は、すっかり平地で、影のないあっけらかんとした空間になっています。

そして、おそらく寺町のように、近在の集落も発展した時期があったのかもしれませんが、修道院を中心にした村という形にはなっていないので、周囲も巻き込んで土地全体が発展したような規模の修道院でもなかったのかな、と思います。




大きい割に、地味な様子の教会。もちろん入ってみました。




ただもうすっきり。
何もなさそうですよね。でも、引き返す前に、天井を凝視してくださいね。




こういう場所って、なんていうんですっけね。ヴォールトのリブのクロスする場所に、メダイヨン?思いっきり変な形の人が、張り付いています。




未知との遭遇的な人たち、笑。
こういうのがあるっていうことは、柱頭とかにも、もしかすると面白いものがあった可能性は高いです。




この人は、祝福の印でしょうかね。Vサイン的なポーズですけれど、キリストではありえない場所だしスタイルだしねぇ。

こちらの方などは、ほとんどザムザ入っている感じですよ。




どんなところでも、何かしら出会いがあって、びっくりしますし、こういう独創的なものは、なりは小さくても、ちょっと得した気持ちになります。

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とにかく踊ってます(シャリリュー その2)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その90

シャリリューCharlieuの修道院Abbaye de Charlieu続きとなります。




前回の記事は、このナルテックスの二階部分まででした。
そこから、このような狭苦しいらせん階段を下ります。




らせん階段とか、壁の間に開けられたような狭い階段とか、そういうのってそそられます。大体が急だったりして、上り下りも大変ですが、でもなんというか、中世の空気ですよね。

さて、この階段を降りて、アクセスするのは、回廊部分となります。




残念ながら、15世紀の新しい構造となってしまっているのですが、ここの一部に、古い様子の一角があるんですから、どうぞ早合点で回り右しないように、笑。
これです。




これは、回廊を取り囲む一部にある参事会員の部屋と言われるスペースと、回廊を区切る柱頭となります。これの起源には二つの説があり、一つは単純に、初期ロマネスク時代の回廊の遺構が、ここだけ残された、というもの。もう一つは、10世紀に建設された二つ目の教会の、周歩廊の再利用である、というもの。

周歩廊に使われていたとするには、サイズが小さいように思えます。基部は、後付けで作られたものだとしても、ほっそりしすぎているんじゃないでしょうかね。まぁ、発掘と紐づいた理論ということなので、発掘された中に、周歩廊部分があり、そこのサイズ感と合致するということなのかもしれませんが、でも、高さを考えると、細すぎませんかね。

というわけで、個人的には、ロマネスク時代の回廊の名残を、この部分に使うにちょうどいいサイズ感と数だ、ということで装飾的資材として再利用した、というように考えます。

割とシンプルなモチーフではあるのですが、妙に飛び出し感が強かったりして、まるで縄文土器のような力強さのある彫りです。




ゴシック及びそれ以降の時代の人々にとって、どういうように感じられたのか。すっきりしたたたずまいのゴシックの回廊とのバランスで言うと、どうなのかな、と疑問にも感じるのですが、それでも、たまたま、というよりは、あえて置いた、という可能性が高いので、やはり、装飾的にいいと思う人がいたということなんでしょうかね。不思議です。

この回廊から、教会の方を見ます。




この後ろの方の建物が、ナルテックス部分になるのかな。そちらに移動します。
これが、ナルテックスの入り口となります。




ここの扉口装飾が、やったらごちゃごちゃと、色々彫られているんです。
真ん中の、というより、ちょっとずれている大きな扉と、その右側にある小さな開口部と、どちらもごちゃごちゃ、笑。
この扉は、北側にありますが、単純に、他の方向には、十分なスペースがなかったからだろうと考えられています。

まずは、大きい方のタンパン。




ここもアーモンドの中のキリストですが、天の国エルサレムの上に座っているんだそうです。内側の扉のアーチ状の帯も、きっとエルサレムの図案化なのでしょうね。こちらは、ずいぶんと細かい部分まで彫りこまれています。




ちょっとオリエンタルというのか、イスラム的というのか、空間恐怖的な彫りこみです。時代が少々下るのでしょうかね。これはやはり適切な道具がないと彫りこめない細かさです。

そして、衣のひだひだにしても、全体の表現が、すごく動的です。
両脇を支える二人の天使のポーズときたら、まったくすごいです。




もう思いっきり踊るように、身体が流れていますよね。思いっきりヨガ的ポーズを取って、限られたスペース一杯に身体を押し込めているというか。




どっちの人も、競って動いている様子です。
ここでも、顔が全部取られているのが、実に残念ですね。よくもまぁ、全破壊じゃなくて、顔だけ破壊っていう半端なことをしたもんですね?

アーキトレーブには、ここも十二使徒が腰かけている図です。




その真ん中に、二人の天使に囲まれた聖母、という図。この上が、その図ですね。残念ながら、顔がないので、よくわからなくなっています。二つだけ、修復の際、再建の顔が付けられたようです。
これだけ細かい彫りが施されているのですから、顔も表情豊かで、ちゃんと各人彫りわけでされたんではないでしょうかね、残念です。
この辺りは、彩色もされていたようで、上の写真にうっすらと色が認められるのは、オリジナルのもののようです。赤や青、金と、かなり派手だった可能性があります。




アーキボルトには、トップに神の子羊、そして、アーチの元の部分に、二人の演奏者が彫られています。




この、両端の演奏者も、やはり顔がないのですが、その動的な様子はすごいですよ。




衣の揺れから、スイングなんてもんじゃなくて、ロックしてると思います、笑。バイオリンとかをロックで奏でる人たちっていますけれど、ああいうステージ中ですね。
このアーキボルトでは、黙示録をテーマとしていると。本来は24人の老人があらわされるのですが、それは、花で図像化しているということなんです。

柱頭でも、思いっきり躍動している人がいます。アトラスなんでしょうか。それにしては衣が素敵。




脇の小さな扉の方の装飾も、やはり相当細かいです。




これでもか~!という怒涛の彫り物です。
説明によれば、それぞれが密接に結びつく三つのシーンが、それぞれのスペースに表されているということで、まず、アーキトレーブは、動物の生贄。旧約聖書に書かれたエルサレムの神殿における生贄を髣髴をさせるもの。そして、タンパンにあるのは、最初の奇跡と言われるカナの婚礼(新約聖書)。さらにアーキボルトには、キリストの変容に関連する6人の姿(聖ペテロ、預言者エリア、モーゼ、キリスト(IHS)、聖ヨハネ、聖ヤコブ)が並んでいると。




どうやらこのアーチ帯のような彫り物は、エルサレムの図像化なのですね。初めて認識しました。
それにしても、とにかく細かさとごちゃごちゃが半端なくて、なんか、細部を観察するのも、「もういいや」という気持ちにさせられるレベルの装飾です。これ、顔もあって、すべてがきちんとしてたら、本当にすごい作品なんだと思いますが、おそらくそうであっても、あまりにごちゃごちゃ感がすごくて、やはり「もういいや」と思ってしまいそうです、笑。

アーキボルト部分の人物フィギュアは、ちゃんと記名式。それで、全員わかるのですが、この保存状態だと、それだけでは、わからなかったかもね。




いやはや、見ごたえのある博物館でした。




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素晴らしくデザイン的な太陽と月に感動(シャリリュー その1)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その89

チョイと足を延ばしたブルゴーニュから、再びオーベルニュに戻り、ロワール県に入ります。




シャリリューCharlieuの修道院Abbaye de Charlieuです。今は博物館となっています。
本来、現役でない場所は、あまり好みではないのですが、この修道院後は、かなり崩壊していて、ディテールに教会の名残を認められる状態なので、博物館になってよかったのではないか、と大いに納得でした。

さて、さらりとアップする予定でしたが、さすがに博物館で、なんとイタリア語の資料があり、それを撮影していたので、つい読んでしまいました。最近、フランス語を、翻訳アプリを使いながら解読していたのですが、イタリア語、それも翻訳のイタリア語の、なんと読みやすいことか!

イタリア語は、仕事ではいやいや読むこともありますが、基本的に読書はほとんど日本語ですし、最近は新聞も読まないし、読解力はいまだにかなり低いのですが、でも翻訳となると、なぜか大抵、小説でもそうなんですけれど、かなり読みやすいのですよねぇ。自分の読解力が上がったのかと思うと、大抵翻訳ものです。
ずいぶん昔に、突然、ヘミングウェイの「陽はまた昇る」をどうしても読みたくなって、仕方なくイタリア語の本を求めたことがあったのですが、その時に、あまり読みやすくてびっくりしたのが、翻訳は読みやすい、ということに気付いた最初でした。それで、自分の読解力が向上したものと大いに勘違いして、何冊かイタリア人作家の本に手を出したら、お手上げ、という結果で…笑。

他の言語だとどうなのかわかりませんが、とりあえず、イタリア語を勉強されている方には、というわけで、イタリア語に翻訳されたイタリア語原典じゃない書物の読解をお勧めします。イタリア語の吉本ばなななどは、結構語学の勉強にはいいんじゃないでしょうか。絶対に勘違いしますよ、読解力向上してる!って。

おっと、話が大いにそれました。

というわけで、今回はばっちり、ガイド的な知識も披露したいと思います。

この修道院の歴史は長くて、9世紀の創建されたベネディクト派修道院が最初です。シャリリューCharlieuという名前は、Cher(愛しい)Lieu(場所)がもとになっているそうですよ。修道士たち、どれだけここに惚れこんじゃったんだか。

今は、結構な町になってしまっていて、この修道院後も、単なる街はずれ、というロケーションになっているので、当時の修道士たちが愛したであろう風景に出会うことはできないんです。要は、かなり発展したのですよ、修道院が。

最初は、一身廊で木製天井の小さな教会でしたが、10世紀前半に、クリュニーと連携して、教会が拡張されます。一身廊から三身廊となり、木製の天井がヴォルト構造となり、周歩廊も備えた立派な教会になります。その頃から、村も、定住者が増えてきて、要は寺町としてどんどん大きくなっていったそうです。
そして、クリュニーが繁栄した11世紀前半以降、その繁栄期の二人の偉大な修道院長サン・オディロンSaint-OdilonそしてSaint-Ugoサン・ユーゴーの時代に、それまでのものでは小さすぎる、ということで、さらに大きな教会へと建て替えられてということです。
新しい教会の装飾は、同時代のブリオネ地域の外の教会と大きな類似性が見られるということで、アンジー・ル・ドュックが例として、挙げられていました。
11世紀/12世紀ごろ、ブリオネ地域を流していた優れた石工がたくさんいたのでしょう。

ちょっと説明過多、笑。

博物館としての順路通りに回ったと思うので、その通りに行ってみます。
構造としては、今は一部しか残っていません。その遺された場所にある装飾が、かなり激しいので、全体残っていたら、どれだけのものがあったのだろう、と思わされる、そういう遺構となっています。

11世紀終わりごろに完成した、つまり、最初に小さな教会から数えて三つ目の教会になると思われますが、その扉口が残っています。ナルテックス構造となっているので、そのナルテックスから教会への扉ということになります。




このキリスト昇天図は、このブリオネ地域では多く見られるものですが、この教会で初めて採用された図像とされているそうです。タンパンには、おなじみ、二人の天使が支えるアーモンドの中にいるキリストの図、そして、アーキトレーブ部分には、十二使徒。




遊びのない真面目な石工さんの作品って感じがします。とってもきちんとした天使たち。彫りの技術がすごくある様子だし、人物デッサンとか、定石通り、という感じっていうのかな。楷書の彫り?




全体にすごく丁寧に、心を込めて彫っているように感じられます。この手の感じ。楷書ながら色気があるというか、愛を感じませんか。
それにしても、細かい。アーモンドの中の細かいアーチは何だろう?卵だったらカラザと思っちゃうところですが、アーモンドにはそんなもんはないですね。でもカラザ状態の場所に、キリストが座っているみたいです。

顔がないのは、例によっての革命時の狼藉の結果ですね。フランス人、徹底的にやりましたよねぇ。なんでこんなところまできて、ご丁寧にここまできれいに顔を取ったか、本当にわからない人たちです。




アーキトレーブに、すっきりと並ぶ十二使徒も、顔なし。
いつだって、ほとんど唯一認識可能なピエトロさんも、顔なし。




手の表情が豊かで、彫りも細かいので、ここは顔が欲しかったですねぇ。




かすかにピンク色が認められますね。彩色なのか、この辺りでよく使われている、ピンクと黄色の混じった石なのか。
それにしても、ぎゅっと押しつぶしたようなスタイル、ちょっと愛らしさもあります。そして、シンプルなアーチで囲って、余計な装飾をしていないところが、憎いデザインです。表門(あとで紹介します)がすごいだけに、落差が激しいです。

脇にいるアトラスさんたちは、なんだか、また違う様子で。




手がすっきりと美しいのは同じかな。足指が長い、笑。




腕がどうなっているのかと思ったら、おそらく彫刻状態で浮いていたので、折れちゃったんですね。浮き彫りにとどめておけば、そんなこともなかったろうに、とにかく立体にしたかったんですかねぇ。

おそらくこの扉口から入った場所にある柱頭だと思うんですが、面白いのを並べてみます。構造をよく覚えてないんですよ(例によって、当時入手したであろう資料を探すのが面倒なため)。




今どきのイラストのような二股人魚。




アクロバットの人。正直、これはきもいですね。




ケンタウロス。お互いがお互いの髭を引っ張っていますが、これは、確か意味があったはず。意味があることは覚えていても、その意味を覚えていないって、情けないことです~。

そして、これは大好きなダニエルさんだと思うのですが、悩んでるご様子です。




よく言及してしまいますが、漫画、聖お兄さんのブッダ状態?動物に好かれすぎて面白くないっていうような様子です。律義な体育すわりが何とも、いいです。

こっちもモチーフはダニエルさんでしょうか。




でも、このライオンは、ダニエルさんに対するリスペクトが感じられないので、ちょっと違いますね。自分が自分が、の目立ちたがりB型なライオンですね。

建物の脇に、発掘で発見された遺構が見られます。




20世紀初頭から何度か実施された発掘で、過去の三つの教会の遺構である基部の一部が発見されているそうで、おそらくそれが、こういう形で残されているものと思われます。結構なスペースですよ。異なる時代の建物が、錯綜していたのですねぇ。ある意味、時間の視覚化です。

構造は、こういう感じです。




一番下の部分が、見学したナルテックスの部分で、異なるグレーや黒の部分は、基部だけが残っているものだと思います。それらの間に一部、壁とか柱頭が残っている状態です。ちゃんとした建物としては、このナルテックスの地上階とその上が残っています。

その二階の窓から、こういう様子で遺構が見えました。




二階部分にも、いくつか面白い柱頭があるんです。
悪魔くん。




手足の指がカエル状態です。耳は猫耳、顔は人面。それも表情がないのが、妙に怖い。

そして、ハーピーっぽくもある人面鷲。




そして、大変興味深いのは、これです。




太陽と月。これは昼と夜、善と悪、というシンボル的なモチーフですが、めったにないだけに、とっても嬉しくなります。なんだろう、悪魔くんとか鷲とかに比べても、いきなりスタイリッシュでデザイン的で、とても不思議なんですよね。これを見るだけでも、入る価値があります。

長くなってしまったので、一旦切ります。今回は、すごく時間がかかりました~!

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妖怪系満載(イグランド)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その88

ブルゴーニュ散歩が続きます。前回に続き、今回も、二度目の訪問となる土地です。




イグランドIguerandeのサン・アンドレ教会Eglise Saint-Andreです。
二度目なので、本ブログのブルゴーニュ・ロマネスクの項に、以前のときの記事がありますので、そちらもご参照くださいね。


それにしても、昔は、ずいぶん簡単な記事を書いていたんだな、とびっくりです。当時はまだ、ホームページをメインに考えていて、 ブログは当面の記憶のつなぎとめ、という役割だったんで、写真もあまり多くアップしていなかったんですよね。

しかし書いておくものです。多くのことを忘れていて、今回、上記のように、後陣からのアクセスとなって、あ、以前は正面からアクセスしたよな、と思ったんですが、記事を読んで、以前もやはりこういうアクセスだったとわかりました。自分のしたことなのに、人の記事を読んでいるみたいで、面白いもんです。
いずれにしても、ここは、こういう形でしかアクセスできないロケーションなのでしょう。

町を見下ろす高台にあり、景色が美しいですよ。




この教会、ロケーションはよいものの、建物そのものには、あまり面白みはありません。例によって、外も中も、かなりこぎれいにされてしまっていて、趣がないというのか。ここで楽しむべきは、おそらく彫り物だと思います。

いきなりですが、そして、以前も一番気に入った柱頭として紹介していますが、やはりこれです。




この一つ目君のインパクトはすごいです。なんという独創性、そしてなんというかわゆさ。
よく見ると、笛のようなものを持っているのですね。こういう笛もち系って、カベスタニーで有名な、ラングドックの方の教会に、何かあった気がしますけれど。これ、これです。


イメージあったのが、リュー・ミネルヴォアの柱頭でした。こっちは、かなり長めの笛で、こういうのは春、3月あたりの図像を髣髴としますが、いきなり春の図像なんて、ありですかね。
一つ目君は、どうか。おそらく笛吹き系というジャンルが、竪琴系みたいにあると思います。勉強不足の私が知らないだけで…。

お隣の角っこの、やはり変な子、気付いてなかったけど、この子は、まさに竪琴系では?




かと思うと、葉っぱの隙間から、おちゃめぶった顔をのぞかせるおじさん妖精みたいなフィギュア。




かなりかわい子ぶっていますが、どう見てもおじさんですよね?




動物系フィギュアも、スタイルは普通だと思うのですが、このベロンとして舌が、何とも独創的。それも、なんか彩色があったくさいですよ。赤い舌が暗闇にも目立ったんじゃないですかね。でも、この顔じゃ怖くもないし、なんだろうねぇ、この間抜け面は。
おそらくライオンだとは思うのですが、フェレットとか?ぬるり感があって、妖怪的。

入れなかったら、大いにがっかりしてください、と言うほど、入れないなら行く意味がないくらいの柱頭オンパレードです。




外は、建築的には面白みがないわけですが、持ち送りに、楽しいやつらはいますよ。




地味ですが、そしてぱっと見、なんだかよくわからなかったりしますが、これはインパクトあります。大口開き。一見かわいいイルカが豹変した、そういうイメージです、笑。
こっちは、半魚人的なフィギュアで、相当やばい感じですよ~。




こっちも、相当変な奴。




妖怪系好きな人におすすめな教会かもしれません。

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ありえない見落としをリカバー(アンジー・ル・ドュック)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その87

さて、ロマネスクの素晴らしい浮彫を眺めながらの至福のランチの後は、ちょっと州を超えて、ブルゴーニュに入ります。
前回のシャスナールを20分ほど、南下するドライブですが、これが美しい道でした。
アリエ川に沿った道を走ったと思うのですが、川の周辺に、運河が多くあるようです。




運河の雰囲気って、前にも書いたかもしれないですが、なんだかとっても好きなのですよね。人工物なんですが、その水のひたひた感がたまらないっていうか。変な好きさですけれど、笑。
で、ちょっとだけ停まっていただいて、ひたひた感を味わいました。




Luneauという村に近い辺りだったようです。
フランスは、運河が多いですね。結構あちこちで出会います。そして出会う度に、なんだかうっとりしてしまいます。小ぶりな様子も、いいんですよね。
イタリアは、国土が小さいし、川が多いので、全国的にはさほどの数はないと思いますが、ミラノや、ベネトのパドバのあたりで出会えますね。

ミラノは、大都市には珍しく、川がない町なのですよ。ただ、町の東西の郊外には、大きな川が流れています。それで、主に物資輸送のために、川と町を結ぶ運河が作られました。一部は、あのレオナルド大先生の仕事だとも言われていますね。
ミラノを代表するドゥオモの石材も、そのほとんどは運河を利用して運ばれたのだったと記憶しています。ただし、旧市街部分の部分は、今では蓋をされてしまって、お目にかかることができませんが、旧市街を外れた北と南では、今でもちゃんと存在しております。今は、周辺も整備されていて、格好の散歩コースとなっています。以前は、北の運河の近くに住んでいたので、いつも運河沿いをジョギングしておりました。

おっと、脱線です。修正!

そんな素敵な運河の道をドライブして、たどり着いたのは、懐かしい教会です。




アンジー・ル・ドュックAnzy-le-Ducの、教会Eglise Anzy-le-Ducです。

ここは、初めてブルゴーニュを訪ねた2012年の短い旅で、すでに訪ねているのですが、当時は勉強不足で、全部見切れていなかったのを、今回、同行の士の案内で、その見落としをしっかりと見ることができました。どうぞ、前回の記事と合わせて見ていただけると、トータルで堪能していただけるかもしれません。


今回の記事では、前回見落としているものを、アップしたいと思います。

それが、この扉です。




前回は、教会本体の扉を含むファサードや、内部の柱頭、そして、クリプタを紹介していますが、この、本来修道院の方にあった扉については、まったくノーチェックでした。この場所に、アクセスできたのかどうかも、定かではありませんが、まぁ、今の様子を見ても、特に閉ざされていた可能性はなさそうでした。単に知らないから存在しなかった、ということだと思います。

ちょっと傷みはあるんですが、図像はわかる状態です。




石の様子も色も違うので、にわかにはわかりにくいかもしれませんが、これ、ヌイイ・アン・ドンジョンのタンパント、同じような様子で彫られているのが、わかるでしょうか。マギが左にいますよね。そして、右にはアダムとイブの原罪です。
アップにしてみます。




でも、スタイルはあまり似ていませんよね。こっちの方が、ヌイイよりもずっと普通の表現っていうか。ヌイイでの解説では、ここもドンジョンの工房策というようなことだったと思いますが、スタイル的にはどうですかね?確かにポーズは全く同じで、真似してる感、というか、レプリカ的な様子ですけれど、いや、違うでしょう?
せっかくですから、改めて、ヌイイのマギを下に。




アーキトレーブには、左に天の国エルサレム、そして、右に地獄の絵図、ということですが、残念ながら、かなり傷んで、多くの彫り物が欠落しています。




それでも地獄方面のおどろおどろしさは、ちょっと残っていますかね。




いずれにしても、たいそう立派な扉で、これを見落としていてなおかつ、見落としたことに気付いていない、というのが、我ながらあきれますねぇ。やはり昔のように、きちんとホームページにまとめるなどすれば、少なくともその時には気付くのでしょうけれど。




それにしても、今猛烈に腹が立っています。確かこちらで、本をゲットしたものと記憶しているのですが、見当たりません。本棚とその周辺を探したのですが、夜は部屋が暗いし、よく見えないし…。この旅でゲットした本や紙ものは、人ところに積んであるのですが、そこにもない…。どうして、こうやってきちんと整理できないのか。
毎度いろんな目標を作ってしまいますが、本棚の整理も、確かにすでに目標と決めた一つなんです。「ロマネスク関係の本と資料」の整理をスペシャル項目として、付け加えたいと思います。

本堂の南側の側壁の方。ここも、前回は見ていないようです




なんだかおもしろい軒持ち送りがずらり。




どれも、かなりオリジナリティの高いモチーフです。




こういうのって、どういうところから思いつくんでしょうねぇ。




勿論、本堂も拝観してきました。ここは、柱頭もとっても楽しい彫り物が満載です。




せっかくなので、おそらく昔の記事には載せなかったであろうものを。
何とも愛嬌のあるライオン君が、真面目な植物モチーフの上にちょこんとあるのが、何ともお茶目です。
お向かいにも。狛犬状態ですね、笑。どっちもかわいい。そして、本来のライオンの役目を忘れているような、愛想たっぷりの笑顔がたまりません。




みんながみんな、憂い顔のこれも、なんだか珍しいような。端っこにいるのは、猿らしいですが、彼らも辛そうですね。




これまた不思議な。角っこの老人は何ですかねぇ。安っぽい遊園地の安っぽいお化け屋敷的な施設に描かれた、思いっきり安っぽい下手な絵、見たいにも見えてしまいます、笑。




キリがないので、そろそろ閉めますが、最後はりりしいサムソンで。




りりしいけど、ここのサムソンも、なんとなく半端な馬乗りかもね。でも、ほっそりした手が好きかな。あとは、ライオンの前足とたてがみ。

とりとめのない記事になってしまいました。すべては本が見つからないイライラのため、笑。早めに整理整頓を実施したいと思います。

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至福のロゼ・ランチ(シャスナール)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その86

外観がつまらない教会が続きます、笑。




シャスナールChassenardのサン・ジョルジョ教会Eglise Saint-Georgesです。
ここは、まさに、建物は全部やり直し状態なんで、見るべきものがないんです。




上の図がわかりやすいですが、構造そのものとしては、薄紫の部分が12世紀となります。が、一見して12世紀とはおよそ思えない様子なので、見るべきものを知らなければ、教会の姿を認めたとしても、完全に通り過ぎてしまうだろう、という代物です。

わざわざ行くのは、勿論、絶対に見なければならないものがあるからです。
上の図で、下側の壁の部分に、「portail roman decouvert en 2000」とあるロマネスク時代の扉装飾。18世紀に、塗りこめられてしまったものが、2000年になって発見されたという、素晴らしい彫り物があるんです。




すごいですよ。
赤い石で、いわゆるドンジョンの石工さん達の作品の一つとされているもの。
18世紀にもなって、塗りこめちゃったというのもよくわかりませんが、そのころまで見えていたのだとすると、絵などが残っているはずで、それなのに、発見が2000年って、いろんな部分でわかりにくい歴史を持つ彫り物です。

いずれにしても、塗りこめられていたから、かえって保存がよい、という皮肉なことにもなっています。

タンパンは、アーモンドの中で玉座に座り、祝福するキリスト。




ここの彫り物は、ヌイイで紹介されたドンジョンの石工工房の作品とされているようなのですが、このタンパンを見る限りでは、あの、ほっそりモデル体型のフィギュアとの共通性は、あまり感じられませんよね。
このキリストの表し方が、私には、メイエールのサン・ジュリアン教会にあった祝福するキリストとの共通性を感じます。彫り方のテクニックというより、表現の方なんですが、神の子というよりも人の子、世俗の権力者、王者といった風情のフィギュアに思えるんです。




何かしら、世俗的なにおいがあるんですかね。テクニック的には、ドンジョンの石工さんの方が、かなり上のように思われるのですが。もしかして信仰心が薄い地域だった、なんてことはないですよね?巡礼路だしね。そのために教会もたくさんできたんだしね。

それにしても、深彫り。浮彫ではなく彫刻ですね。これも特徴なのかな、ドンジョン石工。

アーモンドを支える天使、うっすらと優しく微笑んでいるのが、とても愛らしいです。




スペースにうまく収めるために、無理な姿勢で、ご苦労さん、と言いたくなりますね。




脇には、マギの礼拝があります。




傷んでいるのは、彫りだすときに結構傷つけちゃったとかそういう話みたいです。
なんか、我先になだれ込み状態で、プレゼント攻めのマギたちがおかしい。冷静な顔でやってるだけに、ロボット的な怖さがありますね。
心なしか、聖母子も引けている様子、笑。

そのわきの方には、落馬して、なんか獣に襲われているような兵士?鎖帷子の人がいますね。




鎖帷子とか、馬のたてがみとか、非常に細かい彫りで、高度な技術を感じる彫りです。
その右の方には、ロマネスクの塔があるんです。




スタイルにすごく忠実。この教会には塔がありませんが、どこの塔をモデルにしたものでしょうかね。

マギに向かい合う位置にある柱頭の方は、傷みが激しくて、テーマがわかりません。ライオンらしい姿と人の姿。ダニエル?とか勝手に想像しますが、左に新約、右に旧約はないかな。




アーキボルトも、すっかりボロボロ。




なんか、覆っていたものを取るとき、相当激しくガンガンやっちゃったんじゃないでしょうかね。でも、ここに何かあるはず、と誰もわかってなかったなんて、ありえるのかな。これだけの彫り物が、何も残っていないなんて、信じがたいんですけどね。まぁ、田舎だから、田舎主導で、勝手にやっちゃったんでしょうかねぇ。

中は、いくつかうっすらとフレスコ画とか残っていますが、正直、無理に入る必要はないです。




開いてたらよし、閉まっている場合、市庁舎にカギはあるようですが、無理に借りに行く必要はなさそうです。

さて、ここに着いた時、ちょうどお昼ごろ。この教会の真ん前にレストランがあり、まさに彫り物の真ん前に、外のテーブルが出ていました。




というわけで、せっかくだから、とテーブルに着いたのですが、結構高いレストランだったので、結局前菜とロゼで、軽く済ませることとしました。

La Table de Jeanne, 4 Rue de Centre, Chassenard

前菜だけ、とか言いながら、ロゼは3人で1本、笑。
そして、ロマネスクの素晴らしいタンパンを眺めながらの一杯、まさに至福でございました。

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