2016.08.オーヴェルニュの旅 その99
すっかり間が開いてしまいましたが、すでに3年前となってしまうオーヴェルニュ、早く終えないと!と焦っております。 このブログ、もうしばらくで、お引越しとなります。まだ、どうするか、確定はしていないのですが、必ずどこかに移動して、継続するつもりでおりますので、どうぞよろしくお願いします。ある日突然消えてしまったら、どうぞ、イタリア徒然で検索してみてくださいね。
さて、次に訪ねたのは(といっても、もはや順番がどうとか、そういうのでもないですが、まぁ、一応一日の流れに沿ってアップしているので…)、こちらの教会です。
エブルイユEbreuilのサン・レジェ修道院教会Abbaye Saint Leger(夏季10/19)。 住所は、Place de la Liberta'となっています。
正面が、変形の塔のようになっていて、変わったスタイルです。
入り口のある側面から見ると、割と普通な感じですが、ファサードとなる塔のスタイルは、正面から見ると、独特ですよね。思わず、後代の付け足しかと思ってしまいますが、さにあらず、いや、創建から考えると、付け足しにはなるんでしょうが、12世紀のものだとありました。
硝子に反射して、わかりにくいですが、こういう感じになっています。塔の部分が一番下になりますが、黒が12世紀とあります。緑の部分が11世紀で、一番塔に近い部分の緑部分に、見るべきものがあります。
本堂から、ファサード、つまり塔の方向を見た図が、下となります。
アーチの上、手すりの奥の部分に、古いフレスコ画があるんですよ。残念ながら、登って近くから見ることはできず、そして、かなり離れないと見れない位置で、これは辛いですね。 かなり頑張って望遠で撮影しましたが、ブレブレのが何枚も。辛うじて、ぶれなかったのは、わずかです。
黒っぽい色をバックにした上部の帯には、狩猟の場面が、描かれているようです。
こちらは、壁に描かれた複製画。オリジナルに完全に忠実に再現されたもの、という注意書きがあったと思います。
触れるような場所にまで、見学者を入れたくない気持ちはよくわかりますが、何とか、オリジナルを見せてもらえる工夫をしてほしいものだとも、思いました。
こんな、無理無理の角度でしか撮影できないし拝めないというのは、すごく歯がゆいものです。
その代わりに、ビデオで、細部を見せてくれるようにはなっていました。
今の様子からは想像もできないくらい、鮮やかな彩色がされていた様子ですが、かなり暗い場所でもあるので、派手な彩色でも、やっと識別できるくらいのものだったのだと思います。というか、派手な色でもなければ、ほとんど見えないような。
ファサードの裏側に、モザイクやフレスコ画を描くというのはありますが、その場合は、何の構造物もつけずに、全体が見えるようになっているはず。 とすると、フレスコ画は古い時代のもので、その後に、今、見えないようになっている構造物が作られた、ということなのかな。ちくしょ~。
見えないのに、ビデオで色々説明されてもねぇ…。
他は、扉口に、ちょっと装飾があったくらいで、やはりここはフレスコ画が命の教会だと思います。
12世紀ごろ、結構はやったらしい、このタイプの取っ手、結構好き。単純にかわいいですよね。これが、その時代のものかどうかは不明ですけれど。
最後に、教会守が出てきて、お見送りされました、笑。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2019/04/30(火) 04:39:51 |
オーベルニュ 03-63-15-43
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フオリサローネFUORISALONE 2019 その8そして最終回
例年は、パンフレットを入手するために、初日に行くことが多い大学ですが、昨年会社が引っ越して行きにくくなったため、今回は中日の夜に立ち寄りました。日が暮れてから行くのは、初めてのことかもしれません。 もう20時は回っていましたが、まだ暮れ切っていない美しい空の時間でした。
人出がすごく、大音量で音楽もガンガンにかかっていて、まさにイベント状態です。 ここの展示は、会期中毎晩24時までオープンしていることもあって、夜も楽しめるよう、ライトアップを想定した内容になっています。昼と夜では、イメージがかなり変わるはず。
正直、インパクトのある作品は少なく、事前のチェックでも、どうしても見たいものはなかったので、かなりさらりと見学しました。 上の、メインの中庭に置かれた作品は、上から見ると、HELPという文字が形作られているんです。
Help the planet, Help the Humans by Maria Cristina Finucci
オレンジの光がともっているのが文字なんですが、これね、東北大震災のときの映像がよぎってしまって、上から見た時に写真が撮れませんでした。地球を救え的なコンセプトはわかりますが、このやり方は、あまりに直接的で工夫がない上に、デリカシーがない。
このシャンデリア支えのキリンさんは、すっごく好きでした。こういうものが置ける庭のある家、あこがれます。変なあこがれ方ですけれど、笑。
奥の方の中庭の一つ。
From Shipyard to courtyard by Lissoni Associati
大きな船の骨格がドカン。 ちなみに、今回の大学を舞台としたインテルニ主催の展示は、ヒューマン・スペースHuman Spacesというのがテーマとなっています。ヒトの場所。ノアの箱舟的な?
MultiPly Milano by Waugh Thistleton Architets – Arup
白木でできたキューブが、積み木のように組み合わされていて、登ったり下りたりして、通り抜けできるシステムになっていました。普段なら、試せるものは何でも試すタイプなんですが、このときは一日の終わりで疲れ切っていたので、しばらく人の流れを眺めていました。住宅とかインテリアをベースコンセプトにしているんだから、こういう展示は、あまりに普通で、ふーん、という感じで終わってしまいますね。
Sacred Geometry by Dorota Koziara, Mariusz Miekos, Karim Rashid
これは、ガラスの食器とかオブジェの展示を見ながら、さらりと通り過ぎてしまったのですが、柱が、ガラスのマテリアルで面白い形になっていたりするんですね。ポーランドの由緒正しいガラスメーカーさんの出展だったようです。 本当にさらりと通り過ぎちゃうんですが、とても印象的だったのは、通過する際に、ずっとガラスの割れる音がするんですよ。ガシャンっていう、いかにもガラスの割れる音が連続的に。 それで、自分、ガラスの割れる音、大嫌いなんだ、と気付きました。生まれて初めて、すごく嫌いな音なのに、認識したことがないっていう事実が面白かったです。だって、連続的にガラスが割れる音を耳にする機会なんて、そうそうないですもんね。実にいやな音。
La Foresta dei Violini by Piuarch - Nemo Monti
本物の木が使われていたのが、インパクトありました。なんか洪水で倒れちゃった木を使っているそうで、このために倒したわけじゃない、ということがわざわざ書いてありました。バイオリンの森、というタイトルなんで、バイオリンに使う木があるところから来たんでしょうかね。それもまた、人の場所なのかな。
今回、一番気に入った展示が、これです!
Human Proportions by Massimo Iosa Ghini
長い廊下の先に、人が立っているだけの風景。なのに!
これはたまげましたよ。遠近法を使った錯覚とでもいうんでしょうか。立っている人が、こんな小さいフィギュアとは、とても思えないんです。
実は、この、顔を出している人がいる方からアクセスして、行列になっているんで、並ぼうと思いつつ、面倒で、やめたんですよ。これは大正解でした。 だって、並んで、知らずに顔を出したら、誰かの写真に撮られちゃっていたし、それに、正しい方向から見るインパクトが薄れちゃってたでしょうから。
お休憩スペース。同じ光るなら、ウサギちゃんや小鳥ちゃん型のチェアの方が好み。
さて、もう一つの中庭へ。
Sleeping Piles by Estudio Campana
これは、「未知との遭遇」感が強くて、かなり好きでした。昼間とは、かなり様子が違うのでしょうが、緑が美しい昼間もまた、別の魅力を感じそうです。静謐感が漂っていて、それもよかったです。通常は、中庭には自由に入れる展示が多いのですが、これは、人を入れなかったのも、よかったかもしれません。ヒューマン・スペースであるはずなのに無人感、というのが、何か主張をしているみたいな。
二階に上る階段の入り口は、いつも楽しく飾られています。今回はこれ。
Design Vibrations by Chiara Andreatti
ただ、明かりがギラギラだな、と思うんですが、よく見ると、サングラスがたくさんはめ込まれていました。なんと300個もあるそうです。
こうやって見直すと、やはり一カ所にまとまってあるし、それなりにテーマに沿っているので、展覧会的な面白さはあるもんですね。夜中まで無料で楽しめる、という意味では、かなり有効かな。昼間は、子供連れの見学者も多いんですよね。
というわけで、今年もフオリサローネにお付き合いいただきありがとうございました。また次回を楽しみに、レポート終了です!
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2019/04/28(日) 01:13:59 |
ミラノ・フオリサローネ
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フオリサローネFUORISALONE 2019 その7
王宮を出ると、ドゥオモ広場となるわけですが、数年前から、なぜか、ヤシなど、南の植物の植わっているスペースがあります。そのあたりに、とっても変なオブジェ。
Maesta' sofferente by Gaetano Pesce
ガエターノ・ペッシェというのは、私でもうっすらと名前を知っているくらい有名な、イタリアのインダストリアル・デザイナーさん。かつて彼がデザインした椅子が、今年50周年ということで、その記念のインスタレーションというような説明が置かれていました。その椅子をデザインした同じコンセプトで作られたものだそうです。
男性や時代に虐げられている女性の身体をかたどったシェープを採用した椅子だったようで、このオブジェのシェープも、見まごうことなく女性の身体です。そして、身体中に矢が刺さり、どう猛な動物の頭部に囲まれています。 50年たっても、状況はあまり変わっていないが、ただ、少なくとも、黙っているだけではなくて、声があげられる世の中にはなってきたとかそういう。
好き嫌いで言えば、嫌いな範疇でしたけれど、インダストリアルデザインにも、そういう思想が込められたりするのは、面白いと思いました。
そして、こういう作品を、ミラノの顔であるドゥオモ広場にどかん!と置いてしまうミラノは、やはりインダストリアル優先なんだ、と感心しました。
ヴィットリオ・エマヌエレIIのアーケードを抜けますが、この時期は、各ショップのウィンドウも、フオリサローネ仕様で、デザイン的になっています。
一見普通ですが、これ、巨人用のシャツです。普通の人が5人くらいは入りそうな大きさなんです。それを、実際に作っちゃってるのがすごいですね。近くから観察しなかったのを、残念に思いますが、ちゃんと布で作られたものと見えました。 ヴィトンも、凝ったウィンドウが複数並んでいました。
アーケードのガラスドームの屋根が写り込んでしまいましたが、かえって不思議な雰囲気の面白い写真になりましたね。
スカラ座広場も、サローネ一色。
もともと世界のトップレベルのイベントであったと認識していますが、わたしが見るようになってからの10年ほどで、さらに大きなイベントに成長したと感じます。
さて、この地域で、これは見ておきたいと思った場所へ移動します。
ポルディ・ペッツォーリ美術館Museo Poldi Pezzoliが、その会場となります。
The Nature of Time by Grand Seiko (Seiko Watch Corporation) Design by Hikaru Mori, Created by Shingo Abe
去年は、トリエンナーレ美術館で、印象的な展示をしていたGrand Seikoですが、今年は、この美術館での展示。 一見すると、昨年ほどのインパクトはなくて、脱力しましたが、お話を聞いたら、なかなか面白いことをやっていることがわかりました。
まず、この最初のスペースで、スクリーンを使いながら、光と音の短いショーがあります。すべてがぼんやりとした様子で、それでちょっとインパクトがね。
肝は、正面のスクリーンよりも、おそらく、手前の床部分の仕掛けなんです。
光が落ちた後、いろんな形でぼーっと光るんです。円筒形の上に、時計の小さな部品がオブジェのように置かれていて、美しいのですが、それが、ぼーっとした光に浮かび上がるような仕掛け。
お隣の部屋に入ると、机の上に、小さなガラス球が置かれていて、暗闇の中で光っています。これを手に取ると、電源が切れて、光がスーッと消えるのですが、ぼんやりとしたうっすらとした光が、結構いつまでも残るんです。 ガラス球の中には、蓄光性の砂が入っていて、蓄光性なので、つまり電源が入ると、光をためるんです。 その残光のようなものが、しばらく残るということで、砂は、セイコーではなく、あるIT企業の発明だそうですが、それをこういう風に使うというのは面白いですね。 で、メインの展示の床部分には、それを液体状にしたものが敷き詰められていて、さらに残光のあり方がいろいろで、波紋も色々できて、面白いものになるということです。
テーマとしては、人それぞれ、感じ方の異なる時間という抽象を、何とか視覚化できないか、ということ。うん、地味だけど、これは結構面白いテーマだよね。
ありがちでしたが、せっかくスタッフさんが結構いるのに、積極的に話しかけてないんですよね。日本人の、おそらく社員さんもデザイン関係者も結構いらしたと思うのに、お互い同士で話したりしていて、見学者に寄っていかないのは、残念だと思いました。こういう技術的なことは、お話を聞いて初めて、なるほど!と思うことが多いですし、この展示は、見た目が意外と地味だったので、地味だなぁ、と終わっちゃうんですよね。 わたしは幸いお話を聞いて面白いと思ったので、メインの展示も2回ほど見ちゃいました。
もう一つ、大抵いつも何かしらの展示をやっている美術館へ。
ファッション・ディストリクトの真っただ中にあるバガッティ・ヴァルセッキ美術館Museo Bagatti Valsecchiです。
Golden Ladies, Metallic Portraits
細いメタルの糸で、タペストリーのように作られた肖像画が、並べられていました。光に反射したりして、コンセプトは面白いんですが、絵が、結構古典的な肖像を使っているのが、残念だったかな。いっそ、ウォーホルのマリリンとかの方が、インパクトがあったのでは。
なんかよくわかりませんでしたが、このメタルでできていて、文鎮のように重みのありそうな金色のキノコも、おそらく作品。
ちょっと驚いたのは、この、なんの変哲もないミニマリズム的な家具。
Tadaoブランド。もちろん、あの忠雄にささげられたラインなんですって。すごいですねぇ、あのおっさん。とうとう自分にささげられる家具まで作らせちゃったよ、と感心するというかあきれるというか。っていうか、なんだかつまらない家具で、本人満足するのかなぁ、とか思ったり、笑。
この美術館は、展示の際は、内部を自由に見学できるので、ついつい見てしまいます。数百年前の建物に内装、そして歴史のある家具類は、下手な現代家具よりも、好きなものがたくさんあったりしますしね。
美しい床のタイル。中世起源の意匠も使ったりしながら、モダンな幾何学モチーフを合わせるなんざ、なかなかですよねぇ。
年代物のピアノに、このごてごてした壁面装飾。
これでもか、という時代だったんでしょうねぇ。 最後に、これは以前はなかった、という部屋がありました。
サイン帳が置かれています。 何でも、ファウストとジュゼッペというバガッティ・ヴァルセッキ家の当主が、1880年ごろから、この歴史的建造物である住居の公開を始めたそうなんです。そして当時の習慣として、見学者は見学後に、サインをしたそうなんですよ。 この建物は、1994年に美術館になったそうですが、その後も、この習慣が続いたそうです。 ということで、当世のサイン長も置かれていたので、しっかりと日本語でサインしてきました!
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2019/04/28(日) 00:16:08 |
ミラノ・フオリサローネ
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フオリサローネFUORISALONE 2019 その6
今年のフオリサローネでは、久しぶりにトルトーナ地区の見学をやめました。急激に存在感を挙げたブレラ地区に対して、トルトーナは常にフオリサローネの中心地であり、そのさらに中心であるスーペルステゥディオでは、派手なイベント系の展示も多いのですが、今回は、インテルニの冊子を精読しても、これぞ、という展示が目につかず。同時に、相当人出があったので、トルトーナはひどい混雑だろうな、と想像しただけで辟易としてしまったこともあり、潔くやめた次第。
その代わり、展覧会的な展示をはしごしました。
Kartell - The Art Side of Kartell Palazzo Reale
Kartellは、イタリアの著名なモダン・インテリアのメーカーさんですが、今回創業70周年記念ということで、ドゥオモ脇にある王宮博物館での展示が行われていました。いつもは、モンテナポレオーネにも近いオシャレゾーンにある店舗での参加だけだと思うんですけどね。
ここの家具は、プラスティック素材を中心としたモダン・シンプルといったテイストで、私の好みではないのですが、これが、古い王宮の内装とのミス・マッチで、結構面白い展示になっていました。 トップの写真は、ルーチョ・フォンタナオマージュですね。天井にあるネオン的な灯りは、この王宮のお隣にある900美術館で、本物のルーチョ版が飾られているものです。
デザイナーさんが、事前サーベイをして、全体の調和などを考えて、展示のインテリアも構築するのでしょうけれど、それにしても、古い壁や天井との調和、なかなかですよね。はっきりとした色も、うまい配色です。
紙のランプシェードらしいです。日本人デザイナーさんかと思ったら、英人みたいです。すごく日本的ですよね。 一方こちらは、レトロ・モダンとでも言ったテイストの明かり。
最近は、本当に現代のものなのか、現代のレトロテイストのものなのか、それとも実際に古いものなのか、なんでもありだからわかりにくくなりましたね、笑。
部屋の真ん中に置かれている透明なテーブルと椅子が、いかにもKartell製品。強化プラスティックとかそういう素材なんでしょうが、椅子の装飾はかなり細かくて、びっくりします。昔の人が見たら、ガラスと思って、びっくりするでしょうねぇ。 ガラスという古い素材の存在感とかイメージがあるせいか、こういう数百年前の環境でも、意外としっくりすることにびっくりします。
色々な製品やスケッチやデザイン画や、そういうものが雑然と並べられたスペースで、気になった絵。
腕がカニになっていて、この部分だけが動くシンプルなアニメになっていた絵。カニのハサミ、すごく印象的でした。 そして、この日本人の絵。
作者は、Ataru Satoとありました。どなたでしょう。最近の作品のようですが、レトロ感ありますよね。
最後に、本物なのかどうか、よくわからなかった展示。
Kartell仕様のバービーと、Kartell仕様のミッキー。
同じ王宮で、もう一つ展覧会仕様の展示がありました。
Alcantara – De Coding, Alcantara in the Tapestry Rooms
アルカンターラは、東レが生み出した人工皮革のブランドで、イタリアでも大変有名です。素材を使って変なものを作っていました。
これは、3D眼鏡をかけると、模様が浮き上がってくるというものでしたが、あまりインパクトがなかったかも。それに、眼鏡を配っているお姉さんがやる気なくて、残念でした。
こちらなど、大好きなバーチャルレアルティー用の作品で、ヘッドギアがあったのですが、その上、ほとんど見学者もいなかったので使い放題状態だったのですが、調子が悪くて、一瞬、映像が見えただけで、意図がわからないままの20秒で、終わってしまいました。 この、変な人たちの舞踏会のような絵が、なんだか極彩色の、まったく違うものになっていましたが、それが何だったかもわからず…。 週末、友人が行ったそうですが、相当の人が並んでいて、試せなかったそうです。残念。
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2019/04/26(金) 01:20:03 |
ミラノ・フオリサローネ
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フオリサローネFUORISALONE 2019 その5
イースター休暇で不在だったため、またもや間が開いてしまった上に、旬を逃していますが、ブログは私の海馬を補うものなので、気にせず、続きをやることにします、笑。
ちなみに、お気づきの方もおられるかと思われますが、長年ご愛顧いただいたホームページ、「ロマネスクのおと」、Yahooのサービス終了とともに、当面の休止としていただくこととなりました。お引越しして、リニューアルオープン、とも思ったのですが、ブログ更新もままならない今日この頃、ホームページの作成まではとても無理、と断念。ホームページ作成は、老後の楽しみにしたいと思います。過去の記事についても、原稿はありますので、再現もできるものと信じています。早めに、写真のバックアップを、改めてしないといけないのですけれど。
さてフオリサローネ、今回は、町の中心部でのイベントです。今回、かなり期待していたもので、まずは、プラネタリウムを会場としたイベントから。
Bvlgari Weaving the Cosmos by Tomas Saraceno in Civico Planetario Ulrico Hoepli, Corso Venezia 57
ブルガリ、昨年は、変なビデオを使った参加型イベントで、今一つ楽しさとかテーマがわからなかったのですが、今回は、まず、プラネタリウムを会場に使う、ということで、最初にチェックを入れたイベントの一つです。 とても小さなプラネタリウムですが、かなり歴史の長い由緒あるものなのです。残念ながら、長年のミラノ生活でも、プラネタリウムとして訪ねたことがないので、そういう意味でも、とても楽しみでした。
例によって、職場を飛び出して駆けつけたのですが、すでに、行列となっていました。といっても、ほんの15分ほどで入場できました。
中は、さすがプラネタリウム、真っ暗な会場で、うすぼんやりと照明を浴びて浮かび上がっているのは、なんと蜘蛛の巣なんです。 天井には、うっすらと星空。幻想的というか、不思議な空間でした。いくつもあるんですよ。私はそこまで観察しなかったのですが、同行の友人によれば、ちゃんと宿主である蜘蛛がいたようです。蜘蛛がお家を作るだけの時間をかけて、設営したということですね。餌となる虫なども与えていたのでしょうか。ミクロな世界のことですが、なかなか壮大なイベントです。黄金のもととなる地球の歴史を表す的なテーマにも、しっかりと結びついていますね。
そして、プラネタリウムの後ろには、別の会場が設営されていて、こちらは、別物です。
XX Years of an Icon B.zerol
B zero1というブランドの20周年を記念するインスタレーションということでしたが、かなり印象的で、いわゆるインスタ映え満載の展示でした。
まるで宇宙船の内部のような内装で、おそらくブルガリのカラーなのでしょうか、この鮮やかなオレンジが、実に効果的で。目に刺さるような、それでいて優しいというのか、自分がオレンジ色、好きだからですかね。美しいスペースとなっていました。
先には、おそらくこのブランドをフューチャーする展示がされておりました。
抽象的な絵を挟んだビデオや写真。ふーん。このブランド知らないし、イメージとしてよくわからないのですが、そういうことなのだろうなぁ、とさらりと。実際、自分の生活には100%関係ないブランドなんで、対応の仕様がないっていうか、笑。
会場の最後に、美しい印象的な展示がありました。
これが見たくて行ったようなものなんですが、最後まで、ここにあるというのがわからず、いきなり遭遇してびっくりでした。
どうなっているかというと、かなり狭い、人一人がやっと歩けるほどの幅の通路の両脇に、キラキラする素材がたくさんモビールのように張り渡されていて、多くの鏡が使われているのですね。だから、あちこちで写り込んだものが何重にも重なり、とんでもない奥行きのある空間にいるような浮遊感が得られます。 彌生ちゃんの無限カボチャみたいな仕組みですね。
どう写真を撮っても面白くて、不思議な結果となります。これ、週末は大変な人出で、のんびり何枚も撮影する余裕はなかったと思いますが、この日は、結構ゆったりと楽しむことができて、平日頑張った甲斐がありました。
その上、20周年記念のエコバッグお土産付きでした。
昔は、結構路上で色々配っていたのですが、昨今そういうのがなくなっていますから、これは、なんだか嬉しかったです。
続けて、近所で開催のイベントへ移動。
Lours Vuitton Objets Nomades – Palazzo Serbelloni, Corso Venezia 16
昨年と同じ建物での開催となります。テーマも同じかな。内容は未知だったのですが、昨年とてもよかったので、今回も期待しての訪問です。
順路の最初は、中庭に設けられた簡易な建物に、ずらりと並べられた椅子などを、歩きながら見るという、比較的な地味な展示。その後、建物上階にある会場へ、レトロな雰囲気満載の階段で移動します。
レトロならせん階段の真ん中には、革ひもがアクセントとなっている、やはりレトロテイストのランプがぶら下げられています。これももちろんヴィトンの革を使った作品です。いや、作品というより、製品ですね。
ヴィトンの展示は、実際に制作販売している家具なのですが、要は購入しようと思えば可能な家具なんですが、その展示方法が印象的で、美術作品に見えてしまうのが、何ともマジックというか。
羽根つきの羽のようなオブジェや、卵型の釣り椅子、そして、花びらイメージのソファ。こんな家具を、普通に使われているお家が、実際にあるのだろうと思います。
メインの部屋、今回は、たくさんの明かりが吊り下げられていました。
昨年は、革で作られた花のオブジェが天井から吊り下げられていて、その鮮やかながら落ち着いた色彩の効果にびっくりしたものですが、今回は、紙のシェードを使ったランプです。
和紙ではないかと思いますが、本来革で作っている下がる部分まで、しっかり紙素材を中心にコピーしています。オリジナルの製品は、これ。
去年はこのランプを、すごく素敵に展示していました。奥に置かれた吉岡徳仁さんの椅子もそうでしたね。毎年、新しいものばかり出しているわけではなく、良いものを定番にしていくという姿勢なんでしょうね。それをいかに色あせないように見せていくか、という部分が、非常にハイレベルなイメージ戦略となっているんだと思います。
多くのデザインを手掛けているアトリエ・オイの方がいらっしゃいました。
この近くでスタッフの女性としゃべっていたのですが、昨年も見たと言ったことから、私がデザイン関係の人だと思ったらしく、「ちょうどそこにオイさんのデザイナーたちがいますよ、ご紹介しましょうか」と言われてしまい、慌てて断りました。 お話を聞いてみたいものですが、あまりに部外者で、ちょっと無理。そうはいっても、吉岡徳仁さんだったら、ミーハーに挨拶してみたいと思ったと思いますけれど…。
これまた、生活には全く関係ないブランドですが、毎回好きになります。スタッフさんも、とても感じがよくて、オープンマインドというか、素敵なカルチャーの会社だなぁと感じさせられます。ファッション系はともかく、家具は、買える日が来るわけないけれど、買えたらいいなぁ、としみじみ思います。
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2019/04/26(金) 00:36:24 |
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フオリサローネFUORISALONE 2019 その4
季節ものなので、なるべく早めに、サクサクとアップしたい記事なのですが、どうも最近、仕事が忙しかったり、住居の年次総会があったり、と時間は取られるし、エネルギーも萎えることが多くて、思うように行きませんが、どうぞ、気長にお付き合いくださいね。
さて、前回紹介したミラノ中央駅の高架下で展開されているVenturaイベント、続きとなります。
Raytrace by Benjamin Hubert for Cosentino
Dektonという、特殊な素材をフューチャーした展示だったようです。展示のインパクトはなかなかで、大型の美術館などを使用して行うような大型のインスタレーションでした。どうやら、この通路を作っている素材が、そのDektonという素材のようです。 美しいし、イメージ的なインパクトはあるのですが、ただ、通路を歩くだけなので、素材についての訴求力が弱いというか。スタッフもいないので、説明する気もないようだし、こういうのは、ちょっともったいないように思いました。 この素材が、いかにすごいか、というのは、素人には全くわかりませんが、説明をしてもらえると、おお!となるかもしれないと思うからです。 まぁ、商売にならない素人を相手にする気はないというところなのでしょう。確かに、こういう、最終消費者があまり関係ない素材メーカーさんとしては、仕方ないかもね。
この辺りで、もうかなりヘロヘロになっていて、惰性で、次々と展示を巡る状態だったのですが、人だかりがしていると、どうしても、もういいや、という気持ちになれず、何かにとりつかれたように、回っていました、笑。
Bodies in Motion, Designed by Todd Bracher & Studio TheGreenEyl Humanscale
暗闇に、光でできた鼓のようなものが浮かび上がっていて、なんだと思ったら、光が動いています。 奥の方に、お立ち台のようなものがあり、そこで、音楽に合わせて、人が踊ると、その動きに合わせて、光が変わってくるものらしいのです。 わたしが入った時踊っていた人は、地味ながら、雰囲気のあるゆらゆら動きをしていて、光もいい感じでした。
色々体験するの好きですが、運動音痴の私としては、こういうタイプの参加は無理。でも、皆さん、次々と体験していました。
次は、ネットでちらりと見て、これは、まさにインスタ映え、というやつでは?と期待して訪れた展示です。
Patterns as Time by Atma (鈴木良、小山あゆみ) / Noiz (豊田啓介、葵) for DNP (大日本印刷)
なんだか印刷しまくっているようなスペースでした。上のが、Noiz作。 この、インスタ映えな様子に目が惹かれて、全体としてとらえてしまうのですが、実は、DNPが取り組んでいる作品は、この展示に組み込まれて、意外と地味にあるオブジェクトだったのです。
展示の片隅に佇んでいらしたスタッフさんを捕まえて、お話を聞くことができて、とても興味深い時間をすごくことができましたし、幅広い製品への取り組みを知ることができて、面白かったです。
そのオブジェクト、一つは、縞々の中に、左の方にグレイの、そして右の方に黒い物体がありますが、これ。 これは、天上から下げられているランプなんですけれど、すごいんですよ。
説明を聞いても、物理とか化学とか数学とか、その辺の学問がとんとだめな頭には、すっきりと入ってこなかったんですが、もらってきたパンフを読んで、ちょっとだけ、そういうことだったのか、と思いました。なんでも、電子ペーパーの鷹揚なんだそうですが、これ、白からグレイ、黒へと色が変わるんです。上の写真にあるグレイも黒も、同じ製品なんです。 そもそも、電子ペーパーがどういうものなのかもよくわかっていない私に、わかるわけもないんですけれど、極小電池が組み込まれていて、それによって色の粒子が移動したりして、それで色が変わるとかそういう説明でした…。書いていて、嫌になるくらいわかっていない感じが明らか。説明される方も、なんかわかんないけどすごい!と面白がる私に、うんざりしていたかも、と思います。
縞々がすごすぎて、わかりにくいですが、背もたれの高い椅子。
この同じ椅子が、この電子的な作用で、こうなるんです。
白黒が反転したりするとおっしゃっていたような。 これらは、まだ商品化には至っていないということですが、電子の世界は、いろいろな可能性があるのですね。まさにあなたの知らない世界が、てんこ盛り。 実用になるんだかどうかわからないで、それでも研究して、そういう何かが、いつかこういった実用品に活用される日が来たりするのだから、実際の研究は地味だと思いますが、すごいことです。コツコツ、私には絶対できないことだ~、と、そういう感心もしてしまいます。
スペースのもう半分は、タイプの違う展示となっていました。
この、釣り下がって、美しい光を放つ作品で、こちらがAtmaの作品です。 お若い二人のデザイナーのユニットで、ご本人も展示にいらっしゃっていて、ちょっとだけお話をしました。とても控えめ。 イタリアでそういう職業の人って、イメージとして、「俺が俺が」という自己中系の人が多いと思うんですが、まぁ、アーティストなら、それでもいいのかと思うところもあるのですが、でも、インダストリアル・デザイナーは、やはり顧客あっての仕事でもあり、クライアントの意図を汲む、という意味で、やはりこういう控えめなタイプの方が、正しい気もします。 それにしても、本当にピュアな初々しい様子のお二方で、イタリアくんだりで仕事したら、オレオレ系の人に、ついて行けないのでは、と勝手な心配をしてしまうオバサンでした、笑。
強化ガラス素材に、江戸小紋のモチーフを、レーザーで彫りこんでいるものです。この物自体は、ただそれだけのものなのですが、光を当てることによって、小紋が、微妙な浮き上がり方をしたり、素敵な反射をしたりして、間接照明的なインテリアとして、面白いものとなっています。
これは、すでに結構引き合いがあるとおっしゃっていました。確かに照明メーカーが飛びつきそうなものだと思います。 小紋は、東京は早稲田にある富田染工芸という100年以上続く老舗に提供されたものだそうです。
2年前でしたか、パナソニックさんが、京都の老舗職人さん達とのコラボで、面白いものをたくさん作って、持ってきていましたが、現代の技術と、伝統工芸とのコラボというのは、意外とはまるものがあるのだろうと、改めて納得です。職人さんが守ってきたものには、やはり何か時代を超えて訴える力があるのでしょうね。
かなり満足して、残りも端折らないで見る元気が出ました。
Unfluencer, De-Sinning the design Freitag in collaboration with Georg Lendorff
入り口に並んでいる招き猫が胡散臭くて、引き返そうかと思ったのですが、暗闇は、苦手なくせに、引かれるものもあり、ふらふらと入っていきました。
そうしたら、極彩色の照明が当てられて、怪しく光る不思議な空間が現れました。
なんだと思ったら、中に人がいますので、私も入ってみることに。
これ、細くて白い糸が、無数に下がっているんです。行ってみれば、巨大なすだれ、みたいなことになっているんです。縦横無尽で、5x5とか、いや、もうちょっと小さいのかもしれませんが、倉庫スペースの真ん中にしつらえられた四角いスペースに、ぎっしり糸。そこに、派手な光が当てられているという展示です。
言ってみれば、それだけなんですが、中に入ると、実に不思議な浮遊感があり、面白かったです。糸が下がっているだけなのに、見えない壁があるような、変に柔らかい壁を通り抜けているような感覚。左右前後上下が、見分けがつかないような。 照明の無限の可能性みたいなものを感じました。 手を伸ばせば届く場所にいる人も、ずっと向こうにいるように感じられて、ますます自分のいる場所がわからなくなります。
びっくりした!疲れたなんて言って、見ないで帰ってたら、大損でした!
最後は、ちょっと人も並んでいたから、一瞬悩んだのですが、上の直後だし、損したくないし、笑、ちょっとだけ並んで、入ってみることにしました。
A Piece of Sky by Sky Frame
これも、どうやら体験してこそ、という展示だったようです。 ビクターの蓄音機に、音の出るラッパみたいなやつの、内側に光があふれていて、多分そこに立って、踏み方とかで色や音が変わるとかそういう仕組みなんだと思います。
その場にいたのは15人程度で、体験しようと思えばできたのでしょうが、さすがに人々をかき分けて、俺が!と頑張る気力はなく、他の人の立つ様子を見ながら、サクッと出ました。そしたら、なんと私を含む集団が、最後の見学者で、すでに外は店じまいしていました。 そう、気付いたら、会社を18時に飛び出して、18時半から見学開始して、この地区の終了時間20時まで、脇目もふらず、駆けずり回っていたんです。ちょっとびっくりしました。
次は、今回人気の高かった展示を紹介するつもりです。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2019/04/18(木) 05:53:46 |
ミラノ・フオリサローネ
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フオリサローネFUORISALONE 2019 その3
パリの真ん中で、ノートルダム教会が燃えています。なんということが、ある日突然、起こることだろうと、おののくような気持ちでいっぱい。世界遺産である前に、やはり町のシンボルであり、パリに暮らす人々にとってのよりどころでもあるだろうことを思うと、そしてまた、天災や戦争を超えて何百年という年月に渡り、じっと歴史を見てきた場所であることに思いを馳せると、やりきれない気持ちになります。
でも、今のところ、そういう気持ちは置いといて、現代を生きることといたします。
さて、フオリサローネ、続きとなりますが、ミラノ中央駅の高架下に展開しているVenturaの催しを巡ります。
I think it was not design but a kind of art by Maarten Baas
なんか、パンフにも乗ってないので、よくわからないのですが、撮影したポスターはこういうことが書いてありました。Maaten Baasというのは、オランダのデザイナーで、かなり有名な人のようですが、ここは、地味に、小さなモニターがずらりと並んでいて、I thinkというフレーズが並んでいたので、モニターに映っている人たちは、ひたすら持論を展開しているとかそういうイメージなのかと思いました。
この中央駅の高架下地域は、昨年初めて訪れたのですが、華やかな町の中心に比べて、アクセスも不便だし、去年は、見学者も少ないという印象だったのですが、今年は、公式の初日にして、一部行列が出来るくらいの盛況ぶりで、びっくりでした。
Aria – come to light IVELA SpA
灯りのメーカーさんと思いますが、この高架下の倉庫のようなスペースにピッタリな感じの、素敵な明かりの展示です。 写真よりは全然暗くて、明かりの美しさが際立ちます。 併設の展示は、かなり地味でしたが、おそらく技術的な何かがあるんだろうなぁ、想像しつつ。
デコボコしたガラス容器に入っているのは液体で、たぷんたぷんしていました。こういうのは、お話を伺えると面白いのですが、残念ながら、関係者は全員つかまっていて、商談ぽい感じでお話をしていたので、ただのミーハー見学者は割り込めず。
Tide – NOROO Group by Kwangho Lee X Wang & Soderstrom for Noroo
韓国人デザイナーとデンマークのデザイナーとのコレボらしいですが、こういう取り留めもないような展示は、ぱっと見、もしかして、と思わせるんですが、全体のイメージ先行という様子もあり、一つ一つについて、別に~、で終わってしまう感じ。なんとなくスペースの使い方もとりとめがなくて、入って、そのまま通過して出る、という通り一遍の見学で終わってしまいました。
AGC(アサヒ硝子) Emergence of Form by Keita Suzuki
昨年も同じ場所で、ガラスのスピーカーという衝撃的な展示をしていたアサヒ硝子、今回は、ガラスよりもセラミックフューチャーという展示でした。結構地味だったんで、そのまま通り過ぎそうだったのですが、社員さんらしきスタッフが声をかけてくださり、丁寧な説明をしてくださったので、がぜん、興味が沸きました。
手前のつやつやしているのが、セラミック・タイルです。
なぜセラミックなのかというと、ガラスメーカーとセラミックの付き合いは、長いんだそうです。というのも、ガラスを溶かすためには、高温の炉を必要とするため、炉に耐えるレンガ素材の開発が必然で、そのため、高品質レンガの必要から、セラミックへと発展したというお話。そして、3Dプリンターの登場によって、その高品質セラミックを粉にしたマテリアルで、複雑な形も簡単にできるようになって、ということで、これは意外なお話で面白かったです。
やはり社員さんのお話は、熱も入るし、聞いていても非常に面白いです。特に、実際のデザイナーさんや技術者さんだったりするとね。多くは、やとわれのその場限りのコンパニオンにお話を聞くことになるんですが、棒読み状態の説明とか、ちょっとわかりませ~ん、とか、下手な日本語で言われちゃうと、がっかりします。
日本企業だと、日本語をできるコンパニオンを採用するケースも多いのですが、正直、下手に日本語ができる、という人より、私だったらイタリア語で、きちんと説明できる人の方が好いんですよね~。実は、イタリアなのに、英語ができる人しかいないケースも多かったりして、勿論商談第一ですから、そういったことも戦略でしょうが、そうはいっても、訪問者の圧倒的多数はイタリア人ではないかと考えられることから、イタリア語ができないコンパニオンばかりというのは、どうなんだろう、と疑問です。
フオリサローネの会場となる地域では、イベント期間限定のカフェやバールもできるんですが、インテリアのイベントだけあって、それらもきっちりとデザインを楽しんだ設えになっていたりします。 ここは、ちょっと面白かったですよ。
Lavazza Cafe
ラヴァッツァは、イタリアのエスプレッソ用のコーヒーメーカーで、私もお気に入りのブランドです。やはり高架下という倉庫のようなイメージのスペースからの発想と思いますが、金庫を模した作りとなっていました。 でも、この日銀の地下にありそうな金庫の扉は、べこべこの安っぽい作りですけどね、笑。
奥に見える金色は、そのコーヒーのパッケージ。
エスプレッソコーヒーは、250gのパッケージで、ちょうど金塊のような塊。金色印のパッケージ、もともとありますから、それだったと思いますけれど、お姉さんが、一所懸命積み上げていました。
Pluse by Yamaha Corporation Design Laboratory
今回のVenturaイベントでは、一番楽しんだかも。 まずは、縦置き壁掛けピアノです。椅子に座っている人の方の辺りに、鍵盤があり、勿論しっかりと弾けるんです。全体は装飾かと思ったら、色々複雑な構造になっていて、これで、音の深みとか出しているんです、という説明でした。 こういう時、せめて猫ふんじゃったでも、さらりと弾ければ、楽しいんでしょうが、もうすっかり指が忘れていて…。
装飾として、下手な絵画よりも面白いし、実際に壁にかけてあったら、前を通る度にちょっと音を出してみたり、それだけでも生活が楽しくなりそうな代物です。
こちらもまた、楽しいものでした。
結構大きなもので、砂時計のように、ひっくり返しながら、雨音を楽しむものです。実は、このタイプの音の出るやつ、オリジナルを知っています。多分、アフリカか東南アジアがそのあたりのものだと思うんですけれど、気を使って、中に豆とか入れて、ひっくり返すと、海の波のような音になるもの。昔、そういうフェア・トレードみたいなショップで買って、今も家にあります。 それも、実は、その前に、そういう構造を使って、箱型の音の出るものを作っていた現代美術作家さんの作品が、実家にあったから、おお、これがもしかすると原型かも、と思って買ったので、本当のところ、オリジナルがどこの何かはわからないんですが、笑。
このときは、これを発想して作られたデザイナーさん自らの説明を受けることができたんですよ。 話を戻すと、上下に、小さなプラスチックの玉粒々が入っていて、ひっくり返すと、それが小さな穴から降ってきて、上の写真だと、小さなプラスティックの板に当たって、音が出るという仕組みです。小さな穴だから、粒々の落ち方も、一気ではないので、数秒間、音が楽しめるというもの。 このプラスチックは、町で振る雨の音。奥にあるのは、木の板で、もっと自然のしっとりした雨の音、もう一つはトタン板のようなもので、カンカンと激しい雨の音を表現したかったということでした。
形態はともかくとして、わたし的に衝撃だったのは、楽器を作る発想から、これを作ったという、楽器メーカーさんだから当たり前のことなんでしょうが、なんか、そうか、音が出れば、楽器というくくりができるんだ、という驚きです。
もう一つ、思わぬ楽しみを味わったもの。
なんだと思います?心地よさそうな変形ソファの真ん中にチェロ。
チェロと添い寝する仕掛けになっているんです! これもまた、デザイナーさんがいて、いろいろと説明してくれて、是非、と勧められたので、わたしも、このおじさんのように、チェロと添い寝してきました!
チェロ、音が出る仕掛けになっていて、触ると、かすかな振動が伝わってきたり、頬を摺り寄せると、場所によって音の聞こえ方が変わったりするんです。そしてまた、チェロって、もしかして生まれた初めて触ったかも、と思ったんですが、思ったより小さいし、抱きしめるのにちょうどよい大きさなんですね。 実は、数年前から、チェロを習いたいと思っているのです。最近、にわかに弦楽器のお店を見つけちゃったり、チェロを教えてくれる個人レッスンの人の連絡先を教えてもらったりと、背中を押されることが続いているのですが、なぜかこれもまたその一環ぽくて、わたしのかすかなあこがれを、周囲がそっと応援してくれてる感が、不思議です。
このデザインナーさんによれば、Yamahaは、社内にデザイン室を持っている、業界でも珍しいメーカーだと。確かに、今、記事を書いていて、主催がYamahaのデザイン研究室になっているのですね。
昨年、確かKawaiが、ガラスの透明なピアノを、池の中において光の雨の中で演奏するというピアノ特化の展示をしていましたが、Yamahaは、もっと広い範囲で楽器を捉えているのですね、きっと。 全体に地味なのですが、日々、色々やってるんです、というメーカーさんの姿が感じられる展示で、好感度高かったです。
ちょっと長くなってしまったので、Ventura、次回に続きます。
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2019/04/16(火) 05:51:39 |
ミラノ・フオリサローネ
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フオリサローネFUORISALONE 2019 その2
年々、ブレラ地区の比重が増して、今回は、イベントの数では、元来フオリサローネの中心地であったトルトーナ地区を超えたようです。 自分にとっても、ブレラからガリバルディの辺りは、立ち寄りやすくもあり、また、親しみもある地域でもあり、今回も、結局は入り浸った感じです。 一方で、トルトーナ地区は、数年ぶりにスキップしてしまいました。というのも、あまりの人出にうんざりしてしまったこと。トルトーナ地区は、もともと集客力がすごく、人出が半端ないのですが、今年は、例年以上に見学者が多い印象を受けていましたので、あの狭い通りのどこにも人があふれているかと思ったら、想像しただけで疲れてしまいました。それに、フオリサローネの冊子を見ても、どうしても見たいと思う展示は、一つ二つしかなかったのです。
そんなわけで、今回も、ブレラからガリバルディにかけてのイベント、続きとなります。
An Extraordinary World by Marc Ange Palazzo Cusani
Marc Angeが一体何者なのかもわからなかったのですが、フオリサローネのサイトでも、ブレラ地区のサイトでも、一押しのイベントだったのと、このクサーニ宮は、この数年、自分が見ている時期では、上の中庭部分をカフェにしつらえたりしたことはあったと思うのですが、展示で使われたことはないように思われ、ちょっとは行ってみたいと思ったために、イベント本体への興味もないままに、訪ねたのです。
フオリサローネのメインは、自社店舗を使用しての作品発表となりますが、私のような素人にとっては、普段入れない場所や、美術館などを利用した展示が見学の目的となります。だから、訪問先をリストアップする際も、基本的には会場をチェックしています。ふふ、家具およびインテリア全般の見本市を楽しむというより、普段見られない場所とアートのミスマッチを楽しむ感覚です。
18世紀にたてられたお屋敷ということですが、ドゥオモ脇にある王宮と、ほとんど同じスタイルのつくりとなっています。各部屋が、横並びにつながっていて、廊下がなくて、部屋の中をずーっと通り抜けていかないと移動できない作りなんです。 お部屋と、そしてその使用法が、今の感覚と違うみたいですね。おそらく、プライベートなお部屋は、こういう並びには作らないのでしょうけれど。
さて、その横並びのお部屋、18世紀的なインテリアの施されたお部屋に、こんな家具が置かれているんです。
すごく素敵なベッド。しかしこれ、夜中にトイレに行きたいと思ったら、気を付けないと、ぐるりと取り囲み状態の植物風の柵にぶち当たりそうで、笑。
こんなソファが一つあったら、家の居間はそれだけで満杯になって、足を引っかけなければ移動もできないような印象のソファ。ファブリックが素敵でした。
テーブルだと思うのですが、大理石風とか、素材が結構このお屋敷とマッチしています。とはいえ、重厚なのか、現代的なのか、正直コンセプトがわからず、何となし、納得できない内容でしたが。
窓から見えた秘密のお庭。今この宮殿が何に使われているのか知りませんが、おそらくかつては、もっと広大な庭を持っていたりしたんじゃないでしょうかね。そういうことを思い描いたりして楽しむのも、このイベントの特典です。
さて、この日は、雨がぱらつく寒い日だったし、いくつか見て、さっさと帰ろうと思っていたのですが、この後、ちょっと興味のあるイベントに向かったところ、なんと。
何メートルくらいでしたかねぇ。すごい行列だったんです。奥の方、小さくスクリーンみたいのがありますが、そこまでずっと。で、たまたまいた係の人が、申し訳なさそうに、ここだと、1時間は待ちますね、と。 それは嫌だと思いつつ、つい行列の後ろに着いたら、どんどん後ろに人が並ぶもので、どうにも抜けられなくなってしまいました。 結局、1時間強待つことになりました。
Aqua, La vision di Leonardo by Salone del Mobile Conca dell'Incoronata, Via San Marco
今年は、レオナルド・ダ・ヴィンチが亡くなって500年記念の年でもあるということで、このフオリサローネでも、レオナルドへのオマージュ企画が、いくつかあったようです。これは、サローネ・デル・モービレ、つまり見本市の主催者企画ということらしいのですが、レオナルドの描いた水にインスピレーションを得た展示ということです。同時に、私もミラノに住むまで認識していなかったのですが、人生の結構長い時期をミラノで過ごしたレオナルドの、運河への関与にも言及しているものです。 ミラノのナヴィリオ地区といえば、かつてはミラノ一オシャレで楽しい繁華街となっていたわけですが、ナヴィリオとは運河のことなのです。ミラノは、町中を川が流れていないため、遥か郊外を流れる川から水を引いて、運河を作ることで初めて、あの壮大なドゥオモの建造も可能になったのです。 つまり、かつては、町の真ん中を、運河が流れていたのですよね。そして、その運河の建設に、レオナルドがかかわっていたとされているのです。
今では、町の中心部は暗渠となってしまい、南側にナヴィリオ、北側にマルテサーナとして、郊外部分は、当時そのままに流れています。
というわけで、1時間強、寒い雨に打たれながら行列に並び、やっと、扉にたどり着いた時は、本当に嬉しかったです。
実は、この会場となっている場所も、もともと運河で、水が流れていたのだと思います。でも、本線ではなくて、支流のようなものだったのでは。そのため、水を抜いて、今はこの一帯は公園のようになっているんです。この段差の下は、水のあった場所ですね。だから、町のコンテクストとして、ちょっと面白い高低差のある場所なんです。ブラタモリ的です、笑。
1時間以上待ったのですが、見学は、たったの5分です。入れ替え制で、実施され、入り口には、水が天井からぴちょーんと落ちてくると、増幅される代物がありました。なんか、みんなのワクワク感が、いやおうなしに増幅されていきます。
で、奥に入ると、暗闇。グループが入り切ったところで、音楽と水のショウが始まります。
動画をちょっと撮影したのですが、残念ながら大いに失敗しました。 とっても美しくて、動画どころじゃなく入り込んでしまったんですよ。 天井から、粒々になったような水が降ってくるんです、スペースのあちこちで。 一直線なんですが、すごく粒々で、見ていると、降ってきているのか、下から登っているのか、わからなくなるような錯覚を起こさせるんです。
始まる前に、水に当たっても、触っても、それは自由ですが、転ばないように、壁に手を付けているように、という注意がありました。途中で、触ってもいいんだ!と思って、手を出してみたんです。
よく写真が撮れたと思います。実際には、本当に美しかったです。 写真だと、水の粒々が、ちゃんと粒々に途切れて写っていますね。実際は、粒々感はあるのですが、つながって見えていました。
最後に、映像が流されて、イベント終了。正直5分とは思えない密度でした。 行列という意味で、数年前、ミラノ万博で並んだ日本館を思い出しました。日本館のときも、1時間以上並んだと思いますが、そして、あそこのイベントは、もっとずっと長い時間ありましたけれど、正直、このレオナルドの方が、満足感が高かったです。 やはりアートですね~。
見学を終えて、外に出ると、私が並んだ時同様の長さの行列がありました。頑張った甲斐があったように感じました。 外には、運河を模した、小さなプールがありました。
すっかり満足して、ガリバルディ駅まで歩きながら、路上インスタレーションを楽しみました。
通りかかったついででもあるので、おなじみのギャラリーにも立ち寄ってみました。
Corso Como 10, Galleria Carola Sozzani
ここでは、二つの展示がありました。
Chris Ruhs – Calm before the storm
お洒落で巨大な鳥かご的な。すっごくかわいいモチーフの、かわいい素材で、これはほしいタイプのものでした。いや、この大きさは無理ですけどね。
Forme - Umberto Riva, Architetto, Designer
こちらは、著名建築家兼デザイナーであるウンベルト・リーヴァの、レトロなランプシェードの展示で、なんだかとても癒されました。 色々とんがったインテリアの展示が多いせいか、こういうレトロな普通の家具的なものが、目に優しいって言うか。
ブレラ地区、今後も大いに期待できそうです。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2019/04/15(月) 00:33:44 |
ミラノ・フオリサローネ
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フオリサローネ2019 その1
しばらく開いてしまいましたが、もしかしておなじみさんだと、あ、例の季節だな、とか思われたりしたかもしれません。 そうなんです。おなじみの、ミラノ最大の家具インテリア見本市であるサローネに関連するフオリサローネの季節が、今年もやってきたんです。
通常は、会期直前の週末に、簡単に食べられるものやら副菜やらを多めに準備しておいて、会期中は疲れて帰宅しても、ササっと夕食ができるような準備をするのですが、今回は、その貴重な週末に、遠方より知人が遊びに来ていたため、終始飲んだくれるという、準備どころではないスケジュールとなってしまいまして、会期初日の月曜日は、激烈な眠気に邪魔されながらの開始となりました。本当に辛かったです、笑。
一方で、仕事で辛いことが多かったのですが、毎夕、大いなる気分転換ができて、助かったところもありました。終業時間に、文字通り飛び出して、会場に駆けつける毎日は、なんだかもう、ロマネスク同様、修行の様相を呈していましたけれど、おそらく、仕事でのストレスもまた、その一助ではあったと思います。身体が辛かったのは確かなのですが、このまま家に帰っても、気持ちは辛いまま、みたいなところもあったので、フオリサローネで、癒される毎日でもありました。
今回のフオリサローネの展示は、個人的には、小粒な印象で、何が何でもどうしても行かねば!と思わされるようなものはなかったのです。でも、蓋を開けてみれば、そして実際に参加してみれば、結構それなりの出会いというものはあり、やはり見ないとわからないものよ、と思うものでもありました。
駆け足ではありますが、さらりと、紹介していきたいと思います。 まずは、職場近くのシティ・ライフから。
シティ・ライフは、ミラノでは一番新しい再開発地区だと思います。保険会社のジェネラリが中心となり、高層ビルが三本たち、その低層に、ショッピングセンターや複合映画館があります。 そういった地域でもあり、またしょっちゅう何らかのイベントもやっているので、フオリサローネのイベントもあるだろうなとは思っていたのですが…。
高層ビルから見下ろした写真で、ちまちまとしたテントのようなものが、フオリサローネ参加の展示です。赤い線は、いわゆるレッド・カーペットで、どうやら初日だか二日目だかに、大統領がお出ましになったらしいです。
展示は、とっても普通な感じの正統派家具の展示、というタイプで、さっぱり面白みがなかったので、見学3分ほどで終了です。
まず向かったのは、ブレラ地区。 というのも、初日は、情報収集のために、インテルニという雑誌が発行しているフオリサローネのイベントをまとめた冊子を入手することが必至。今までは、職場からアクセスしやすかった大学に行っていたのですが、職場の引っ越しによって、状況が変わったこともあり、同じインテルニが主催しているイベント会場がある、ブレラ地区に行くこととしました。
最寄りの駅で降りて、うろうろ歩くと、もともと見ようと考えていた展示にたどり着きました。
Casa, Kamoi Kakoshi Co.,Ltd. Planning & Art Direction Koji Iyama
マスキングテープのカモ井さんの展示です。
チンクエチェントへのマステ装飾は、昨年の展示でありましたが、かわいいです。チンクエチェントって、本当にどういじってもフォトジェニックですよね。 去年と同じ会場です。初日だけあって、見学者も少なく、ゆったりと見ることができました。
入ったお部屋には、マスキングテープを、通常のサイズに切る前のサイズで、お家の形が作られていました。このテープは、フオリサローネ仕様のデザインで、お土産にいただけるのも嬉しい、笑。
前回と違って、今回は、会社の人と思いますが、すぐに話かけてきて、色々お話を伺うことができました。 日本人の方はシャイでもあり、言葉の問題もあり、なかなか積極的に声掛けをする人が少ないという印象なのですが、今回は、意外と声をかけていただけることも多く、少しずつ、変わってきているのか、という感じも見受けられました。 カモ井さん、前回は、関係者でひそひそ、みたいな様子がちょっとなぁ、と思いましたが、よい変化です。超上から目線ですが、笑。
こちらへの進出は、文具としてのマステ、というよりも、インテリアに使う提案としてのマステを一押し、という感じですが、用途はどうあれ、かなり幅広の、要は、サランラップとかをずっと長くしたような幅のぐるぐるを、用途に応じて切るということなのだそうです。文具としてのマステのもとは、とんでもなく横長のものだったりするようです。
階段から壁から、すべてにびっしりと貼りまくり。
地下に降りると、インテリア。
壮観。テーブルに並べられたお皿にも、テープと同じ意匠がプリントされていました。もちろん、これはマステでは用をなさないので、お皿に直接プリントでした。 すっきりとした、いいデザインのモチーフでしたが、インパクトとしては、昨年の方が面白かったかな。
すぐ近くに、去年は、人が多すぎて、近寄ることもできなかった展示が。
Misoka, in the water designer Rumiko Takeda director Yohei Tsuji
歯ブラシなんですけど、これ、以前日経新聞にも、よく広告が出ていて、歯ブラシとしてはすごく高額なんだけど、品質が良いので売れています、見たいなのが、インプラントとかたくさんやっていて、口腔関係に、結構いい新車くらいはお金かかっている私としては、大変気になっていたんです。
ここもまた、初日だったせいで、人が少なくて、創業社長さんの営業トークを、一身に伺うことができました。面白い経験でしたよ。その上、お試しさせてくださり、そのお試しの一本をいただけるというありがたいお土産付き。
効能もなかなかのものらしいのですが、特に子供向けのものは、すっごくかわいくて、ついつい友人のお子さんに買ってあげようか、と悩んでしまいました。問題は、1本、一番安いタイプでも、18ユーロプラス付加価値税(イタリアは22%)という高額ぶり。お子様向けのは、もっと高かったと思います。 やはり付加価値をつけるために、デザインにも凝っていて、そこにもお金がかかっているということらしいのですが、その高額な歯ブラシ、なんと30日しか持たないんです。
社長さんによれば、でも、どんなものでも、歯ブラシは30日以上は使ってはいけないということなんだそうです。雑菌が増えるので、長く使えば使うほど、歯にとって良くない状態になると。 Misokaとは、晦日なんだそうです。
貧乏人は、18x12?とか、やはり悩んじゃいますよね。でも、熱の入ったトーク、大いに感銘を受けました。
そして、ブレラ美術大学へ。
Unifor 50 Installation by Ron Gilad
家具会社と思うのですが、このUniforが、ほとんど貸し切り状態で、ぱっと見は、大学の中庭に、この大きな電子書籍がドカンと置かれているのみで、あとは、室内展示となっていました。Uniforの展示は、入る前に登録が必要ということだったので(大塚家具?!笑)、実はここは二度訪ねましたが、時間もないし、結局入りませんでした。
上の写真、入り口正面なんですが、奥に回り込むと、本だということがわかります。
勝手にめくられていく様子も面白く、巨人国の読書を覗き見る感覚でしょうか。
Uniforの展示は入らなかったんですが、構内に、職人さんの家具の展示がありました。
Bottega Ghianda
木の肌合いがすべすべと素敵で、思わず触ってしまう、そういうものを作っていました。家を買った時、テーブルだけは張り込みたくて、アンティーク家具なども結構見たのですが、こういうのに出会っていたら、やばかったな。おそらく高額な製品と思いますが、当時、金銭感覚おかしくなっていたんで…。
この、大きなテーブルの足を見た時、いいなぁ、と思ったんです。
釘とか使ってなくて、はめこみみたいな、なんていうんだろう、がっちりと、木と木を組み合わせて、しっかり止めるみたいな技術を使っているのが、とても魅力的なんです。 知ったのが今で、本当によかったよ。
ブレラに向かった理由は、しかし、情報収集でした。主目的としての行き先は、おなじみの植物園。
Orto Botanico di Brera CircularEni, The Circular Garden design Carlo Ratti Associati
最近雨が多いせいもあるのか、緑が妙に生き生きとしていて、麗しい様子でした。建物を這う、黄色のつるバラや、藤の花は、相当刈りこまれて、寂しい姿になっていましたけれども。
なんか、展示としては、あまり面白くないかと。自然素材っぽいものが、無理無理アーチになっていたりして、それが並んでいるだけっていうか。
例年ENIっていうエネルギー関連会社がかかわっていて、灯りの演出もあるけれど、ちょっと面白みもオリジナリティーもないような灯りだし。
音楽ライブをやっていて、その演奏が、意外とよかったくらいで、全体としては、本来の植物園として、花木を楽しんだかな、というところです。
続きます。 フオリサローネは、この日曜日まで開催中なので、ご興味のある方、そして、アクセスできる方は是非。
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2019/04/13(土) 07:06:14 |
ミラノ・フオリサローネ
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2016.08.オーヴェルニュの旅 その98
この辺り、車で10分程度の範囲に、もう数珠つなぎのように、教会があって、びっくりします。事前に、結構調べていたのですが、ネット中心の情報収集では、引っ掛からない場所も多いのに、地域に在住している同行者のおかげで、もう道に迷うこともなくサクサクと、実にありがたいツアーでした。
とは言いながら、空腹を抱えたまま、というのは、割といつもの修行旅状態だったのが、今思い出しても、笑ってしまいます。同行の方は、以前に記事にも書きましたが、ネットで知り合ったのですが、いろんなところで感覚が似ているというのか、空腹だけど、なんか無理無理の気持ちで、気に入らない場所で食べるのは嫌だったり、空腹を優先して教会を端折るのはもったいなかったり、というそういうところ。 そういう感覚が似ていると、とても気楽な感じで、ツアーできて、ありがたいことでした。
そんなわけで、空腹のまま、次に向かったのは、こちらです。
ジェザJenzatのサン・マルタン教会Eglise Saint-Martin。
何とも地味な外観。地味というより、魅力に欠けるといった方がぴったりするかも。 現在の建物は、11世紀、12世紀、そして15世紀と長い時間のそれぞれの時期に建てられたものが混ざった状態となっているそうで、例のプランは、下となります。
黒塗りが最も古い11世紀の建物で、右から左への斜め網掛、つまり、11世紀の壁構造に囲まれた部分の柱頭になりますが、それが12世紀のもの、そして、左から右への斜め網掛、つまり今ある後陣部分は、12世紀から13世紀にかけての建物で、白抜きは近現代のものとなります。だから、外からだと、なんだか半端な様子になっているのですね。
ところが、中に入ると、かなり派手で、びっくりします。
明るいし、彩色がすごい。あらら~って感じなんですが、入ってきた方に振り返ってびっくり。
扉の周囲の壁に、びっしりフレスコ画があるんですよ。びっしりなんで、ほんと、びっくりでした。この教会は、事前にまったくチェックしていなかったんですよ。
まるで漫画のように、コマ割りがされていて、いくつかのお話が、漫画のように説明的に描かれているんです。これはキリストの受難ってやつかな。 コマが24あるみたいです。
最後の晩餐とか、有名どころのエピソードを押さえました!みたいな、いわゆるダイジェスト・ストーリー。 このフレスコ画は、14世紀ごろらしく、絵柄的には、私の好みではないのですが、程よく色あせていることもあり、また保存状態がよく、この漫画的な描き方も面白く、興奮しました。
こちらは、聖カテリーナのストーリーとあるのですが、カテリーナとジェザの関係は不明です。 カテリーナといえば、私にとってはシエナの守護聖人カテリーナと直結してしまうのですが、まさかシエナのカテリーナがこんなところまで信仰を広めていたとは思えませんね。 ということは、アレクサンドリアのカテリーナさんでしょうかね。 ふふ、数年前に購入した中世辞典、こういう時、ちょっと役に立つんですよ。
いくつかアップにしてみますね。
これは、もしかしてサン・マルタン?
華やかな聖カテリーナ。あ、カテリーナはイタリア語読みだから、フランスだとカトリーヌとなるんですかね。
絵柄も色合いも、なんとなく華やかで、去年だったか訪ねた、ピエモンテのマンタ城だったかしら。素敵な壁画があるんですが、ああいう流れにつながる絵だなぁ、と思いました。 自分のブログを検索したんですが、ピエモンテの食の記事の中に、ちょこっとだけ、フレスコ画をアップしていましたので、ご興味があれば、以下。
さて、フレスコ画の外にも、注目すべきは、柱頭です。
音楽家とアクロバットをする人。説明によれば、これは日々の生活につながるモチーフであるとありました。音楽家(動物の場合も多いですね)とかアクロバットをする人というのは、結構よく見るモチーフですが、日常を描いているんだ、という説明は初めてです。確かに、娯楽の少ない中世で、こういう出し物だったりとか、さすらいの吟遊詩人みたいな人たちって、数少ない楽しみだったりしたんでしょうけれど、でもなぜ。
それにしても、この柱頭、葉っぱがぬりぬりで、いかにも後から無理やり書き込んだ感がすごいですね。彩色も、ちょっとなんていうか。
一方で、受胎告知なんて言うストーリー性のものもありました。
彩色が剥げ剥げで、とんでもない様子になっています。それにしても、ガブちゃんの手の大きいことといったら。 なんだか迷惑そうなマリア、そして、苦悩しているのはヨゼフさんですかね?嫌がるマリアを離さない的な手の大きさなんでしょうか、笑。
今は剥げていますが、どうやら相当派手な彩色だったように見受けられます。この教会、キラキラすぎですよね。
柱頭はともかくとしても、これだけのフレスコ画が、描かれた当初はピカピカしていたのでしょうし、目がつぶれるほど豪華な内装だったということですよね。いくら薄暗いと言っても、やはり豪華さは感じられるでしょうから。それが、この田舎町に。 ジェザの領主さん、やり手だったんでしょうねぇ。
天使のアップを見ていて、やはり手が大きいのと、顔の、特に口のあたりにビザンチン的な表現が見て取れました。オーベルニュでビザンチンはないはずなんですが、でも、職人の技術が、何かしらの形で流れてきているのかも、とか考え出すと、また楽しいです。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2019/04/05(金) 05:37:58 |
オーベルニュ 03-63-15-43
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