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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

いきなりワイン・ツ―リズムに転じざるを得ず…(ロシェ、フュイセ)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その5

前回のヴァンゼルからは、5分とかからない距離にあるロシェLoche'が、次の目的地。
すごく近所ですが、村から村への移動とでも言ったらよいのか、すごく細い小路をたどるような感じで、車では結構厄介な道のりでした。距離は近いのに、すごく回り道する感じで、ナビにもイラッとします。

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ロシェLoche'のサン・ジャン・レバンジェリスト(洗礼者ヨハネ)教会Eglise Saint-Jean-l'Evangeliste (1 Chemin de Colonge)。

鐘楼が美しい教会です。
小さな村の、小さな墓地教会という位置づけです。しかし、墓地には、アクセスできないんです。なので、石壁越しの見学となってしまいました。

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低い塀に上って、さらに背伸びして、全景を捉えようとプルプルしながら撮影した一枚。
前回のヴァンゼルに、大変よく似たたたずまいですね。

ここもまた、ファサード側は、とっても地味です。

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早朝のため、お日様は後陣側をさんさんと照らしている分、こっち側からは完全な逆光です。
でも、ロマネスク的には見るべきものはないんで、ま、いいかな。

早朝にも関わらず、扉は開いておりました。

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でも、内部は、漆喰ぬりぬりで、見るべきものはなし。基本構造だけがオリジナルで残っているものの、ロマネスクを感じさせるアイテムもなしです。
後陣の半円にあるフレスコ画は、どんなに古くても、14世紀前ということはなさそうなものです。傷みも激しいです。

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教会が、12世紀から13世紀にかけて建てられたものとありましたので、装飾も、さほど古くはないのかもしれません。説明版によれば、この村は、サンチャゴ巡礼路だったそうです。この教会も、いかにも道沿いに立っていた様子なんですよね。もともとは、ちょっとした集落の、ちょっとした礼拝堂程度のものだったのかもしれないです。

この教会の見どころとして、一押しされているのは、他でもない入り口の、ナルテックスような構造らしかったです。

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木製の天井が取り付けられていて、どうやら16世紀、建造されたままの姿ということらしいです。

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美しい模様になっています。木組みに、ただ瓦を載せただけという単純構造ですが、本堂じゃないからこれで十分ということなんでしょうね。

え~、本当にこれだけなんかな~、と思って、念のため、外壁もぐるりと観察し、こんなものがはめ込まれているのは発見しました。

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何だろう。柱頭かなぁ。ちょっとかわいらしい彫り物です。
でもこれ以外には何もなく、この教会で愛でるのは、やはり鐘楼ですね。

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次に進みます。どんどん地味さがディープになっていきます。
でも、景色は大変美しい地域です。
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なんと言っても、この辺りは、マコンのおいしいワインの産地ですから、丘を覆うようにして、どこまでもブドウ畑が続きます。さすがワイン産地は、こういったなだらかな丘の土地が多いのですね。これなら、どこもかしこも、まんべんなくお日様の恩恵を受けられそうです。
そういう半山道のような道を、何度か登ったり下りたり、10分程度の距離だけれど、結構走った感を覚えてたどり着いたのは、まさにワイン産地のど真ん中。

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フュイセFuisseのサン・ジェルマン教会Ancienne Eglise Saint-Germain (Place Saint-Germain)。これはもう、なんというか、愕然でした。

村の入り口に、駐車場があったので、まずはそこに車を停めて、徒歩で中心地に入ったのですが、と言っても、駐車場から2分くらいですが、なんじゃこれ?ですよね。
修復工事は、仕方ないとしても、およそ、自分の目指す教会とは思えないですから、びっくりしたんです。
そのまま引き返すしかないですよね。

しかしこの村、フュイセは、私でも耳にしたことがある白ワインの産地ではないか?

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レトロな近辺の案内図に、Pouilly-Fuisseとかいう、昔「神の雫」でしたか、ワイン蘊蓄漫画で目にしたような名前のワインが誇らしげに記され、実際、村のほとんどが販売所状態。
これはもう気持ちを切り替えて、ということで、駐車場の前にあった生産者さんを訪ねてみることにしました。
ロマネスク巡りから、いきなりワイン巡りへとスイッチ、笑。

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La Source des Fees

シャンブルドットも経営している生産者さんのようでした。
この辺りは、ホテル探しに苦労したのですが、シャンブルドットなら結構あったのだろうと気づきました。でも、シャンブルドットのほとんどは、フランス語サイトしかやってないので、なかなか大変なんですよね。

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朝っぱらだったし、試飲はしなかったのですが、この後遊びに行く友人へのお土産として、わたしの白ワイン感覚からは若干高めのものを2本、求めました。でも、考えたら、フランスワインは、イタリアよりもずいぶん高いから、これ、安物だったんだろうなぁ。一年近くたって、ちょっと恥ずかしく思っています。

それにしても、フランスって、きっちりしてます。お値段、不思議に、端数が出るような設定だったんです。現金で払ったんですが、イタリアなら、まず間違いなく、1ユーロ以下の端数は負けてくれますが、一銭たりと負けてくれなかった~。
この感覚は、結構どこでもそうでした。きちんとしてるのか、単にケチなのか。ケチ、ですよね、どう考えても。試飲すらしてないのに!

ま、おかげで美しいトイレも借りられたし、ちょうどよい小休止にはなりました。
ちなみに、英語堪能でしたから、ブイブイやってるんでしょうね。

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  1. 2019/05/31(金) 05:41:41|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
  3. | コメント:0

猫さえいれば気持ち万全(ヴァンゼル)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その4

思ったより多くの教会を訪ねることに成功した初日ですが、実は、宿泊したホテルで、とんでもない羽目に…。でも、この話は、後日。

さて、二日目です。地図は、これまた後日、アップしますが、この日は、宿泊したホテルのあるシェントレChaintreから、徐々に北上しながら、トゥールニュTournue方面を目指しての教会巡りです。
まずは、Chaintreから、車で5分ほど北上したヴァンゼルVinzellesです。

しかし、ナビで最初にたどり着いた町は、なんか様子が違う。

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形はそれらしいけど、全体を見ると、絶対違う!
教会の看板がたっていたので確認したのですが、創建は確かに古くて、様式はロマン、とあるんですが、「Eglise」としかなくて、もう!この、フランスの、村の教会っていうだけの名称はやめてほしいもんです!

しかし、やっぱりどっから見ても違うので、通りすがりの人に尋ねて、やっぱり違うらしいことがわかり、先に進みました。

しかし、今地図を確かめてみると、ホテルの村シェントレからヴァンゼルの教会までは、ほぼ一本道。なぜ、迷うのだ、俺よ?と悩んでしまいました。

そんなわけで、朝から余裕なくうろうろしながら、到着しました。

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ヴァンゼルVinzelles、サン・ジョルジョ教会Eglise Saint Giorges(73 Rue de l'Eglise, Vanzelles、駐車場は、村の入り口Place de la Cense)。
遠くに、あれだろう、という鐘楼が見えて、安堵します。今度は間違いない、という確信が持てました。

それにしてもこの町。というより村。村の入り口が、非常によく整備されていて、やたらでかい駐車場完備。教会のところに、住所も一応入れておきます。

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キャンピングカーがたくさん駐車していて、トイレとかの設備もきちんとあるようでした。近所に何かあるのかなぁ。とても謎でした。

それにしても、こういう感じって、とってもありがたいです。駐車は楽々できるうえに、ちょっとだけ徒歩でアクセスできる、というのは、私には理想的。教会にアクセスする最後の部分は、わずかでも徒歩、というのが好きなんです。

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家並みの向こうに、徐々に全容が現れて、ドキドキしながら近づいていくときの興奮。この教会は、そういう興奮を盛り上げるには、理想的なロケーションでした。
早朝、8時半ごろにホテルを出ていますので、開いてないとは思いながらも、興奮やまず。

朝食用のバゲットを抱えた犬の散歩のおじさんと行き会いましたが、多分、そんなわけで、相当ニマニマしてたんだと思います。彼の方から、にこやかに、ボンジュール!と挨拶されました。

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後陣一つ、そして同じ幅のずんぐり系の鐘楼というスタイルですが、すっきりしたたたずまいで、好きです。側廊があったのか、それとも後付けなのか、右側だけあるようですが、残念ながら、やはり閉まっていたので、そのあたりは、よくわかりませんでした。

美しいスタイルの後陣に比べると、ファサード側は、かなりしょぼい様子です。

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入り口わきの張り紙に、関係者の名前でしょうか、電話番号とともにずらりとリストになっていました。この中の誰かが、おそらくカギを持っているのだろうとは思いましたが、聖母被昇天の祝日の朝8時半に電話はできません。

地味な入り口の様子。

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うーん。地味。
でも、柱頭とかアーチの一部は、結構古い時代のものっぽい。その対比から行くと、教会の壁などは、ずいぶん修復されているのだな、ということがわかりますね。

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それなりの彫り物が施されていたであろう様子が、わずかに残る柱頭も、ほとんど溶けてしまっています。残念ですが、雨風に千年以上さらされていれば、こうなるのが当たり前ではありますね。
柱頭の石だけが、真っ白です。きっとオリジナルと思いますが、こういうところで遊びというか、ある種の装飾性を感じます。

この教会、たたずまいは美しいとはいえ、これだけ地味なんですが、非常に記憶によく残っているのは、この子のおかげもあります。

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教会の後陣と対面になっている家のにゃんこ。

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自宅と思うのですが、柵を通り抜けたり、登ったり下りたり、一人遊びに余念がなかったのですが、私が近づいていくと、スリスリしてきて、遊んで遊んで状態なんです。猫好きなんで、もうたまらん~!と、しばらく、遊んでもらいました。
そのせいか、教会に入れなかったこともあまり悔しさなどが残らず、村に対して、非常に良い思い出がいっぱいです。単純ですね、我ながら。

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  1. 2019/05/30(木) 06:04:38|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
  3. | コメント:0

素朴なファサードと木製の天井にうっとり(シャーヌ)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その3

初日、ホテルに行くまで、まだちょっとは大丈夫かな、と思って、もう一つ。

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シャーヌChanesのサン・ピエール・エ・サン・パウル教会Eglise Saint-Pierre-et-Saint-Paulです。ここは、今、写真を見ても、思わずうっとりするくらい、ロケーションが素晴らしかったです。

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教会のある場所は、村の入り口のような位置なんですが、ちょっとした高台となっていて、教会からの眺めが、一面のブドウ畑で、その緑が、実に目に鮮やかで、眼福でした。

教会のたたずまいも、大変気に入りました。

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特に気に入ったのが、この超地味なファサード、といったら、おそらく、病気確定って感じなんですけども、このデッサンずれてるみたいな開口部が、琴線に触れまくりでした。

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これは、プレロマネスク大好き系の方向性を持っているロマネスク好きには、絶対にたまたない様子の開口部跡、ですよね?もともと、ちゃんと開いていて、一連として小円柱などもあったのかどうか、不明ですが、この、プリミティブな様子、やめれ!と叫びたくなるくらい、琴線に触れます。
下部にある、稚拙な帯モチーフも、これまたたまらん系、笑。

それらに比べると、後陣側からの眺めは、ちょっと直しすぎだろう、という様子の方が強すぎて、記憶への残り方も薄いです。

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ここでも装飾的な塔は美しいですが、あまりにも素朴なファサードを前にしては、かすみます。

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中はどうかというと。

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全体に修復が激しくて、構造以外は、ほとんど修復されちゃっています。
装飾関連は、内陣部分に、正確な時代はわからないまでも、それなりに最盛期のものなのか、という様子が見られる品々があります。

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どうも再建臭いものが多い中、やはり、目が行くのは、こちらではないかと。

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天井の木。往時は、多くのケースで、天井は木でふかれていて、このように、むき出しであったと思うのですが、後代に漆喰ぬりにされたり、石で吹きなおされたり、結構手が入りますから、往時の様子がしっかりと想像できる建造物は、意外と少ないのですよね。
ここも、勿論、木は、新しくなっていると思いますが、どうなんでしょうか。法隆寺の例からも、木も、ケアすればきっちりと持つわけですから、もしかすると、建造当時の梁などが残っている可能性はあるのでしょうか?見た目は、多分ないって思いますけれど。

というわけで、わたし的には、この木製の天井、素朴極まりないファサード、そして、周辺の緑が、印象に残る教会でした。

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  1. 2019/05/28(火) 06:11:41|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
  3. | コメント:0

珠玉のロマネスクながら、非教会(サンタンドレ・ド・バジェ)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その2

旅の初日は、空港を出る時間も計れないし、行き先は状況次第で流動的に、と思っていましたが、次の目的地となる教会は、できればその日に行ってしまいたいと思っていました。というのも、翌日は聖母被ご昇天の日で、ほとんどの国で祝日のはずだったからです。
本来、教会なら、週末や祝日は関係ないはず、というより、そういう日の方が、ミサがあったりして開いている可能性も高まることがあるのですが、ここは、私有地にあり、裏に住む農家に、カギを借りる必要がある、という情報を得ていたため、全国的な祝日の朝などに、鍵を求めて他人の家を訪ねるなどは、避けたかったのです。

向かったのは、サンタンドレ・ド・バジェSaint-Andre-de-Bageという村です。

前回のイリアから、北上して、約20分ほどのドライブで、村にはすぐに到着したのですが、教会は村中に見当たらず…。付近の地図をプリントアウトしといたことを思い出し、紙を引っ張りだし、方向を定めつつ、道行く人に尋ねながら、何とか到着。

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サンタンドレ・ド・バジェのロマネスク教会Eglise Romane de Saint-Andre-de-Bage。
名無しの教会なんですね。ちなみに、村に到着して、わからなければ、方向としては、「Grande RueをBage-le-Chatel方向に進む」となります。

車道から、草原に入り込むようなロケーションなのですが、なぜか、教会前に数台の車が止まっており、まさかミサ?と怪訝な気持ちで停車しました。その間にも、発進する車があれば、私の後からやってくる車もあり、かなりの人の出入りが認められるので、ますます不思議な気持ちで、教会に向かいます。

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中をのぞいてすぐ、理由がわかりました。そう、ここはすでに教会ではなく、展覧会などのスペースとして活用されているのでした。
おそらく夏季は、展覧会場として、10/12、14/18といった時間でオープンしているようです。展覧会のない時期だと、おそらく、カギを借りないといけないということになるのでしょう。

それにしても、全体にがらんとしていて、白塗りが激しいし、見るものがあるのだろうか、と茫然とするとともに、展覧会が目的であろう訪問者しかおらず、デジカメを抱え、オペラグラスなども含めてやけに大きな荷物を抱えて、戸惑い気味にじろじろと建物をねめまわす私は、自分的にも周りからの視線的にも、かなり浮いていたと思います。

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何かありそうな、というより、あるとしたらそこしかなさそうな後陣へと移動しました。
フランスお得意の真っ白ぬりで、重みも何もない様子ですが、この辺りの柱頭は、ちゃんと残されており、説明版までついているので、逆にびっくりしました。

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いきなり、かなり技量のある石工さんの作品ですね。
わたしでもわかる、アブラハムによるイサクの犠牲。緊迫の一瞬を、見事に表した作品と思います。ちょっとアブラハムがイケメンじゃないですか、笑。アブラハムの右手(写真では左手)の奥には、天使がいるんですが、羊を抱えて及び腰で、なんかこの緊張感と温度差が…。アブラハム、やっちゃうぜ、という勢いですよねぇ。

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変な人の顔ですが、口から蛇が出ているのは、悪口をシンボル化したものだそうです。
一方、左の方で、植物が花を咲かせているのは、善のシンボル化と。善と悪の対比を表す図像はたくさんありますが、なんだかこういう風に描かれても、なかなかわかりにくいですよね。

こちらは、私が大好きなライオンの穴のダニエルさんのようです。

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両脇にライオン、という図像がほとんどですよね。ここでは、ダニエルさんの右手は、別の預言者のフィギュアだそうです。その分、左手に、ライオンが三頭も押し合いへし合いしているのが、なかなか愛らしいです。
同じ小円柱の足元にも、変な彫り物がされています。

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足元の彫り物というのは、フランス独特だと思いますイタリアやスペインでも、皆無ということはないでしょうが、特に凝ったものは、非常に少ないですね。
ここは、足元のほとんどに、いろいろなタイプの彫り物が施されていました。これって、それだけ石工さんの仕事が増える話ですから、お金をかけて建てた教会ということになるんだと思います。実際、柱への彫りこみもあり、これも、おそらく当時のオリジナルと思いますので、発注者が装飾に凝るタイプだったのか、または金に糸目をつけずに、素晴らしいものを建ててくれ、という注文をしたのか…。

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ケンタウロス、好きなフィギュアです。
柱頭のテーマは、肉体と精神の戦い、とあります。ケンタウロスが、その肉体により人のシンボルで、鳥が魂のシンボルということらしいです。

さて、外側の見学に続きます。

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再建部分も多そうですが、基本的には12世紀前半に建てられた教会に忠実なようです。ここで見るべきは、扉口の柱頭、特にその右側。

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カギを持ったサン・ピエトロさんと、開いた本を持ったキリストの姿が認められる、と説明にあるんですが、え?みんな本開いているし、いつもわかりやすいピエトロの鍵もよくわからない、と思い、買ってきた本でよくよく確認したところ、扉に一番近い、つまり写真で言えば一番左奥にいるのがピエトロで、そのお隣がキリストということでした。正面から見ると、完全に陰になるんですが、入り口に一番近い、最も徳の高い場所ということになるんでしょうかね。
他のフィギュアほど、顔の損傷が激しくないのは、隠れているせいなのか、単に修復しちゃったからなのか、不明です。

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後ろに回ると、石色もちょっと異なる感じで、様子が変わります。美しい八角形の塔も、堪能できますね。
それにしても、墓地があるのに、それなのに教会機能、なくなっちゃっているって、ちょっとどうなんでしょう。

この裏側に、説明版が置かれていました。それも変ですね。

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①の水色が、9世紀の教会の構造となりますが、当時のものは、何も残っていません。赤い部分が、12世紀にたてられて、今残っている構造物。数字の順番に、建て増しされたということなのかな。説明が端折りすぎで、よくわかりません。

建物に比して、小さい軒持ち送りは、おそらく古い時代の鉋屑中心で、あまり面白みはありません。

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こういうの流行りだから一応付けとく?程度の仕事で、多くの時間とお金は、内陣の装飾に費やされたのではないかと想像しました。
それにしても、緑の中にたたずむこの教会、本当に美しい姿で、名残惜しく去りがたく、最後まで後ろ髪状態でした。

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  1. 2019/05/23(木) 05:53:38|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
  3. | コメント:2

ローマ・オープンどっぷりですっかり遅れましたが、グラッパ合宿、最終回。

2018年5月、トレンティーノ・アルト・アディジェのグラッパ合宿 番外編2

前にも何かの折に記したかもしれませんが、テニス観戦好きです。
後しばらくで始まるローランギャロス(全仏オープン)を前に、赤土のトーナメントが、バルセロナ、マドリッド、ローマと続きます。すべて欧州のため時差がなく、その上、結構地上波テレビでもライブ中継するため、ついつい見てしまうんです。特に先週あったローマは、マスターズということもあり、ローランギャロスに向けた最後の調整として、ほとんどの主要選手が出場するため、観戦好きとしては、見ないわけにいかないんですよねぇ。
地上波では、グランドスラムの中継はないため、なかなかビッグタイトルを観戦できないのですが、今回久しぶりに、ジョコビッチやラファ・ナダルの健在ぶりを目にして、大変うれしいローマでした。我らが錦織君やなおみちゃんが、すぐに姿を消してしまったのは残念でしたが、やはりラファはいいなぁ…。
ということで、ついついブログは、半端な状態でほっぱらかし、となってしまっていたわけです。

最終回となります。

今回、珍しくメラーノMeranoの町にも入りました。

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温泉の湧く高級保養地なので、全体がこぎれいな町です。
この辺りは、土地全体が豊かですが、メラーノは、保養地としても大成功を収めている町ですから、住人もお金持ちならば、保養に訪れて滞在する人もお金持ち、というイメージです。実際、無農薬とか有機とか、意識高い系の食品を扱う店(高い!)も、複数あるようです。

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前回も訪れたこの店では、昨年発見して購入し、大変気に入ったホースラディッシュのチューブを購入しました。ミラノでは見当たらないんですよ。

そして、二番目の夕食は、メラノ近郊、宿泊している町のレストランでいただきました。

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Ristorante Traube
Piazza Tribus 13, Lana

こういうファミレス的な内装が、この辺りの典型的なレストラン、という感じです。
わたしは、飽きもせずに白アスパラ山盛り。

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友人は、ちょっと変化球で、オムレツ添えの白アスパラ。

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オムレツには緑のアスパラが入っているので、二色アスパラづくしです。
そして、もう一人は、アスパラのリゾット。

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これは、あまりフォトジェニックではないですが、笑、お米にもアスパラがザクザク混ざっているアツアツの逸品です。
ワインもいただき、三人でしめて72ユーロ。

ドイツ文化色濃い南チロルではありますが、食事に関しては、イタリアのドイツのいいとこどり、という嬉しい土地で、ドイツ風のソーセージとかザワークラウトがあるかと思うと、パスタもしっかりとアルデンテで、ちゃんとおいしいんだから、お得感がありますよ。

この後は、もう帰り道。いつも、大抵ヴァルポリチェッラに寄り道して、ランチで解散となります。この日も、同様となりました。

たまたま、ワイン農家が門戸を一般に開放するイベントがある日だったので、ちょこっと参加農家に立ち寄ったりもしたのですが…。

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Agricola Pietro Zardini
Via Cadeniso 24, San Pietro in Cariano (VR)

イベントでは、工場のガイドツアーと、試飲ができるということでしたが、一人、結構な値段を取るんです。6ユーロとかそんなじゃなかったかな。3人だと、かなりいいワインが一本買えてしまうお値段…。
今更ワインの製造過程を見たところで、どうよ?という意見(主にオレ、笑)により、イベント参加は却下して、レストランを探そうということになりました。

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新緑が美しいブドウ畑を縫って、たどり着いたレストランは、外観はいかにもつまらない建物だったのですが、なかなかのお店でした。

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Trattoria alla Porchetta
Negrar, Valpolicella

プリモ好きな友人は、タリアテッレ。緑のアスパラですね。改めて、本当にアスパラづくしだな、と感心します。

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わたしは、レストラン中央にある立派な火を見たら、どうしてもそういうものがいただきたいと思って、タリアータ。

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そしてもう一人はポレンタ添えの違うお肉で、半分こにして、いろいろな味を楽しみました。

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一人旅だと、多くのお皿を頼むことができないので、グループの旅は、こういうところが楽しいですね。
野菜のグリルも、豪快な感じでした。

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こういう店で、フィオレンティナ的なステーキ食べたら、きっとおいしいんだと思います。直火ですもんね~。
ここでのお会計は、69ユーロ。

確かこの店で、教えてもらったんだと思うんですが、帰り道に、レストランの近所にあるワイン農家さんに立ち寄りました。

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Cantina Fratelli Vogadori
Via Vigolo 16, Negrar

ここもイベントに参加していたのですが、見学は不要だけど、ワインを購入したいということで、簡単に試飲させてもらいました。いたって普通のヴァルポリチェッラで、お値段は比較的リーズナブルだったので、数本購入しました。

2018 grappa 084

Ripassoの方は、分け合って、同行者がプレゼントしてくださったものですが、まだ明けていません。Valpoicellaに比べると、どっしりした重い赤となりますので、のむなら冬かなぁ。

ということで、終了。ふぅ。
何とか、今年の合宿前に、滑り込みでレポート義務を果たして、ほっとしております、笑。
この週末、一年ぶりの合宿なんですよ。
  1. 2019/05/21(火) 05:32:37|
  2. グラッパ
  3. | コメント:0

消防士の結婚式余興、かなり派手でした!

2018年5月、トレンティーノ・アルト・アディジェのグラッパ合宿 番外編1

今回の蒸留所巡りは、前回で、サクサクと終了です。
最後に、ホテルや、利用したレストランのことなどをさらりと記しておきたいと思います。

最初の夕食は、おなじみのこちらです。

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Forst
Lagundo

いつも印象的な、およそイタリア的とは対極にあるような外観で、ここに来ると、またアルトアディジェに戻ってきたな、って実感するような場所です。

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ショップの時間に、ギリギリ間に合いましたが、来るたびに内容がグレードアップ、お値段もグレードアップしている様子で、買えるものが、年々減っていくような…。というより、もはや買えるものがないっていうか、笑。
早速夕食へ。

外のビアガーデンも開放感があってよいのですが、夜は、やはり落ち着いた室内が好みです。

2018 grappa 058

美しい内装も、ホールのスタッフの制服も、南チロル、というより、イメージとしてはほとんどドイツです。
ショップと違って、メニューは、毎年充実してきて、お皿の幅が広がっている気がします。
居酒屋ですから、ビールのお供に、シェアする感じで、お皿を頼めるのも、呑兵衛には魅力。
ドイツ風といえば、やはり、これは欠かせません。

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そして、季節柄、場所柄、これもマストの逸品。

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この春の合宿では、大体白アスパラづくしとなるのが、最近の恒例です。ここらでは、ボルツァーノ・ソースというボルツァーノ風のマヨネーズでいただくのが、定番。
ちょっと残念だったのは、プレッツェルが、今一つだったこと。

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各自2杯ずつくらいビールをいただき、ごはん代わりのボリュームあるつまみを何品かいただき、三人でしめて57.90ユーロ。満足度を考えると、コスパは大変良いと思います。

宿泊したホテルがあるLanaの村では、朝ごはん前に散歩していましたが、その時素敵なロケーションのパン屋さんを見つけました。週末の早朝7時前に、絶賛営業中でした。
この辺りはドイツ風のパンも多く、外はカリカリ中しっとりという、イタリアのスタンダードとはちょっと違う、割と日本人好みのパンも多いので、お土産に買って帰ることもあります。で、ホテルを出た後で、ちょっと立ち寄ってみたんです。

2018 grappa 062

Mein Beck(パン屋さん)
Lana

お土産に、普通のパンでも買って、と思っていたのですが、ショーケースを見ると、いかにもドイツ風の、ドサドサしたお菓子も並んでいたのですが、なんと日本風のロールケーキを発見しました。朝ごはんをお腹いっぱい食べた直後だというのに、そして私は決して甘いものラバーではないのに、そのふわふわ感漂う姿には、どうにも抵抗できず、イートインで、一切れを同行者とシェアしてしまいましたとさ。
まさに日本のロールケーキでした。サイズは倍ぐらいある感じでしたが、笑。

ネットで目星をつけて、ランチに行ってみたトラミンTraminの町では、なぜか消防署の職員の結婚式イベントに遭遇しました。

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花嫁さんも、こんな格好をしているので、おそらく職場結婚と思うんですが…。
ドラム缶の中で火を燃やしたところで、昔のポンプを積んだ昔の消防車、というより手押し車が到着し、みんながホースを繰り出して、それをつなぎ、ポンプをぎっこんばったんして、ドラム缶の火を消す、というパフォーマンスで、地味に盛り上がっていました。
我々も、ついバカ面して、見学してしまって、私など、動画まで撮影してしまいましたとさ、笑。でも、今動画を見たら、なんだかのんびりして微笑ましい。
残念ながら、アップの仕方がわからないので、載せられません…。

イベントといえば、トラミンでは、バイクのベスパでワイナリーを回るというイベントにも遭遇しました。

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ベスパに乗って、近隣のワイナリーを回って、醸造所のワインを試飲する、という、道交法上、どうなの?というイベントです、笑。
これまでも何度か訪ねたことのあるワイナリー、トラミンで、遭遇したんですが、ワイナリーで、確かに試飲のスペースが設けられていました。
このワイナリーのワインは、正直今一つなんですが、裏に広がるぶどう畑の風景は、絶品です。

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多少飲んでも、こんな道をのんびりと走るなら、大丈夫かな。でも、せめて自転車ツーリングにした方がよいですよね。

さて、そんなトラミンの町でのランチ。初めてのレストランだったのですが、なかなかよかったんですよ。

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Goldene Traube

外は地味、中も、ミニマリズム系の、そっけないモダンデザインで統一されていて、なんだろう、この辺りでは、ちょっと珍しいくらい今風すっきりです。

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そして、食器も、お皿も、すべてすっきりしていて、オサレ感、半端なしでした。

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上は、スペアリブですが、お味もいいし、なんと言っても付け合わせとなっている野菜が、最高にオシャレでした。

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サラダと、野菜のプレ(暖かい)と、あと、写真下手で隠れちゃってますけど、もう一つ、しめて三品。こんなオシャレな付け合わせって、ミラノでもなかなかお目にかからないと思います。

ビールを飲んで、それぞれ一品いただいて、三人で61ユーロ。

ちょっと長くなってしまったので、続きます。
  1. 2019/05/16(木) 05:23:14|
  2. グラッパ
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リンゴのお酒、やっと当たりを発見

2018年5月、トレンティーノ・アルト・アディジェのグラッパ合宿 その4

毎年律義に訪ねている蒸留所。

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Distilleria Privata Unterthurner Srl
Via Ansem Pattis 14 Marlego
www.unterthurner.it
月曜/金曜9-13/14-18、土曜9-13(日曜休み)

昨年訪ねた時は、この販売所が、大規模改装中で、離れた場所にある倉庫脇の掘立小屋のような場所が販売所となっていましたが、その後、改装が終了して、新装の香プンプンの販売所となっていましたよ。

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以前に比べると、販売所へのアクセスは楽になったし、展示スペースも大幅増、という様子なんですが、なんというのか、逆に、こじんまり感が懐かしいような気がしました。スペースありすぎて、使いきれていない様子っていうんでしょうか。
そもそも論として、この販売所の眼目は、試飲。その試飲スペースは、さほど大きさなど、変わっているわけでもないんで、改装そのものの、我々にとっての目新しさは、実はあまりなかったんですよね~。

でも、ちょっと目新しかったのは、この人。

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これはねぇ、前は絶対なかった。実際、スペースも限られていたしね。
で、ボトルにも、この人の姿が使われている小さなタグが付けられていたんですが、それも、記憶にないんだよねぇ(昨年から、タグは使われているようでした、今、確認しました)。

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誰かというと、サン・アマンドSan Amando、なんでも、蒸留の守護聖人ということなんですよ。わたしが購入したボトルにもついていた、そのタグによれば、出自がブドウ農家で修道士になった、という経歴の人で、中世初期の人。巡礼の道々で、蒸留の技術や、薬草種の生産法について、広めた人ということですよ。聖人ということは、何らかの奇跡を起こしたはずなんですが、いったいどういう奇跡を起こしたのだか、気になります。醸造酒なら、ほっとけばできたりするお酒でもあるので、おいしいワインができたというのはあまり奇跡でもないと思いますが、蒸留酒は、作業する必要がある以上、奇跡とは違うような気もするし。お酒で人助けしたとかですかねぇ。それって、どういう可能性があるでしょうかねぇ、奇跡観点から?

それにしても、なぜ、いきなり聖人をフューチャーしているのか、そこは謎でした。

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我々グラッパ倶楽部では、西のキアラ、東のクラウディア、ということになっているんですが、この蒸留所の販売員クラウディアさん、とっても良いんです。この、緑のドレスを着ている人です。
この日は、結構ひっきりなしにお客さんが来ていて、なじみの我々は、比較的放置状態だったんですけれど、それでも、数種類試させてもらいながら、とぎれとぎれに旧交を温めるという感じでした。
改装について、彼女はとても満足そうだったので、よかったね、と。
実は、一年前に買ったものが、まだ飲まずにとってある状態なので、今回は、1本だけ。

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ソーヴィニヨンです。ここのは、果物の蒸留酒もいいのですが、ビアンカもよし。果物系は、バリックしたものも、これまで購入していますが、グラッパは、やはりフレッシュなビアンカに、よりおいしさを感じるかもしれません。
ちなみに、右に並べた小さなボトルは、お土産です。たった1本購入しても、小瓶を付けてくれるのが、嬉しいところ。そのために、いろいろな種類を味わうことができるので、また次につながります。すっごく商売上手なんです。損して得取れ、と地でやっているのが、このクラウディアさん。

果物といえば、大手だけども、いいものを作っている生産者さんがあります。ここも、結構毎回行っているなぁ。

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Roner SpA
Via J.V.Zallinger 44, Termeno
月曜/金曜9-12/14-18、土曜8-12(季節により、若干変動あり)

割と愛想がなさそうな人が対応してくれますが、実はこちらの求めに応じて、的確にお勧めを出してくれる、できる販売員さんで、淡々としたサービスが、結構気持ちいいんです。で、大手なので、販売所の内装とかも、観光客向けの感じに設えている割には、商品の取り揃えが、非常に幅広くて、あらゆる階層に対応してますっていう姿勢で、なかなかすごいんですよね。

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果物の種類が豊富なので、なかなか辺りが出にくいリンゴを中心に、試飲をさせてもらいました。

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最終的には、コスパも考慮して、2本購入しました。

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Muller Thurgaw Euro 24.50
Gravensteiner Euro17.30

いくつかのリンゴをミックスした蒸留酒もいただきましたが、最終的には、この種類だけのリンゴ種が、一番おいしかったので、これをいただきました。Mullerは、白ワインでも好きなブドウ種ですが、ここのは、そのさわやかさを生かした、素敵な蒸留酒に仕上がっている上に、コスパ的にはよかったと思います。

Ronerに来たら、やはりお隣も、立ち寄らないわけにはいきません。

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Psenner Srl
Via Stazione 1, Termeno sulla Strada del Vino
www.psenner.com

ここの製品も、ミラノのスーパーでも見つかるくらいに、蒸留酒メーカーとしては、かなりの大手ですが、ミラノのスーパーで売っているのは、アルコール度の低い甘めのリキュール系がほとんど。本格的な蒸留酒は、やはりこの辺に来ないとゲットできないようです。

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すごい大手なのに、販売所では、大きな試飲コーナーを設けており、少人数の客にも、かなり丁寧な対応をしてくれるメーカーさんです。私は、少なくとも一本はあれを買う、と決めて訪ねているのですが、このように、次々と試飲させてもらうと、気持ちが揺れます~、笑。

挙句には、今、こんなものも作っている、という貴重な逸品まで、試飲させていただきました。

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ウィスキーです。蒸留酒ですからね、カテゴリーは同じ。というわけで、結構トライしているメーカーさんは、多いように感じます。でも、こればかりは、時間と技術と勘とセンスと…。おそらく一朝一夕でできるお酒ではないですよね。そして、経験の浅いメーカーさんにしても、やはりコストがかかるお酒のため、結構な値付けなんですよ。とても買えません。本場のスコッチなどが高いわけです。

最終的には、こちらをゲット。

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Chardonnay Euro 17.10
Gravenstein Euro 16.90

左のバリックしたリンゴのは、数年前に購入して、一回開栓したら、あんまりおいしくて、クイクイ飲んでしまったもの。で、買いたくてうずうずしていたんです。シャルドネは、試飲した中で、最も気に入ったもの。さわやかなおいしさのあるビアンカ。

一度開けたら、あっという間に終わるので、これはしばらくとっとこうとおもいます。
それにしても、リンゴは、このGravensteinに限る、ということが、今回どうやらわかったみたいです。ここはリンゴの産地で、本当に多種のリンゴを作っていて、蒸留酒メーカーさんも、色々試しているとは思うのですが、リンゴは、難しいんですよ。意外にもね。
  1. 2019/05/14(火) 05:47:19|
  2. グラッパ
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にわかバードウォッチャー、多分今年も。

2018年5月、トレンティーノ・アルト・アディジェのグラッパ合宿 その3

この合宿では、昨年に引き続き、Lanaという町に泊まりました。でも、村の中心を挟んで反対側とでもいった地域です。

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Garni Raffein
I-39011 Lana bei Merano (BZ), Greitenweg 3
www.raffein.it

ファシリティーは、この辺りにある普通のホテルと同様ですが、コスパが多少良いこと、そして、オーナーさんの感じがとっても良いことで、結構気に入りまして、実は、近々の合宿でも、こちらでお世話になる予定です。

Lanaは、町として、とても美しく整備されていて、町の周囲の散歩道が秀逸。この前の年も、早朝散歩で、そういう散歩道を楽しんだのですが、このときも、同様に早朝散歩を楽しみました。

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ホテルからすぐのところに、川があり、とても美しい新緑散歩が楽しめます。
こちらでは、のっけに、おそらくサギだったと思うのですが、大きな鳥がゆったりと飛んでいる姿に遭遇して、すっかり、にわかバードウォッチングとなりました。

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緑の中をうろうろしながら、鳥の姿を追いかけます。なんという豊かな時間でしょう。
日常を過ごすミラノでは、もうすぐ起きないとなぁ、とかウトウトしながら、憂鬱に思っている時間に、小鳥はいないか~、とか目を凝らしながら歩いているんですから。

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鳥を探すのは、なかなか骨が折れますし、それをうまい具合に写真に収めるのは、もっと難しいのですが、お花はね、ありがたいことに静止していますから、笑。

この辺り名産のリンゴも、すくすくと育っている様子。緑がとにかく美しいです。

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サクランボ系の、美しい実がなっているなぁ、とパチリ。

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薔薇科というのか、要はサクラ系の、清楚な花があるなぁ、とパチリ。

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そしたら、葉陰にいたやつ、捉えました!

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野鳥を追いかけている人っていますけれど、こんなにわかバードウォッチャーでもね、うまく小鳥を捉えると、すっごく嬉しいから、気持ちわかります~!
ミラノにだって、嫌になるほどいるクロウタドリ(Merlo)だって、ミラノでは写真撮るとか考えもしないのに、旅先では嬉しかったり~!

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なんかね、大物もいたんですよ。記事かと思ったのですが、こう見ると、どうやらそんなもんでもなさそうです。でも、鳩の三倍くらいはありましたよ。

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そうそう、昨年も、ちょっと見ることができたんですが、この遊歩道に、現代美術の作品が、並べられていて、昨年は町の反対側だったんですが、こちらの方まで、同じプロジェクトが続いていました。

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結局二年越しで、結構な作品を見ることができたみたいです。今年も行くので、また、見ることができそうですよ。
可愛い小鳥たちにも、再会できそうです。

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  1. 2019/05/12(日) 06:17:08|
  2. グラッパ
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手酌でおまかせされてもねぇ。

2018年5月、トレンティーノ・アルト・アディジェのグラッパ合宿 その2

充実したランチの後向かったのは、おなじみのサンタ・マッセンツァSanta Massenza。湖のほとりの猫額のような土地に、蒸留所がひしめいているという不思議な村です。

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Giovanni Poli
Santa Massenza

訪ねた時、オーナーさんは、アイス中、笑。
出てきて対応してくれたのですが、こっちが常連であることを知ったこともあるのか、ちょっと、勝手にやってくれていいから、と放置されました。

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これがワインだったら、結構ぐびぐびやっちゃうとこですが、グラッパはそういうお酒でもなし。自由にどうぞといわれたところで、たいして飲めるわけもなく。手酌でも、ちびちびとやる我々。

今回、この地域で発見したのが、Vino Santoです。

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トスカーナで、固いビスケット、ヴィンサントと食後にいただく甘いお酒と同名のVino Santo(トスカーナでは、Vin Santoとなりますが)。この地域でも、有名で、あちこちで作っているんだそうです。何度も来ているのに、今回初めて発見したというのが、これまた不思議(アイスを終えて、出てきたオーナーさんが、写っています、笑)。

異なるメーカーさんが作ったヴィノサントの詰め合わせも売っていました。要は、多くのメーカーさんが作っているってことなんですよね。なんで気付かないんだろうねぇ。

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上品な甘さの、上品は食後酒ですが、この手のお酒は、手がかかっているので、総じて高いのです。お値段忘れましたが、私は購入できませんでした。その分、現場でしっかりと味合わせていただきました!
甘いお酒の流れで、珍しくリキュールまで、試飲させていただいちゃいました。

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最後に購入したのは、以下の2本です。

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Muller Thurgau Euro 15.50
Teroldego Euro 15.50

この蒸留所は、コスパめちゃくちゃいいと思います。本当においしいんですよ。どちらも、この辺りに多いブドウ種で、特にミューラー・スルガウは、ワインとしても大好きな種類です。

Poliの後は、同行者はすでに訪問済みで、製品は、プレゼントしてもらったこともある蒸留所です。

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Istituto Agrario di San Michele d'Adige – Fondazione Edmund Mach
Via E.Mach
1, San Michele d'Adige (TN)

ここ、なんと農業学校に併設の販売所なんですよ。蒸留コースというのがあるらしく、そこで作っている製品を販売しているんです。

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全体にスカスカした様子なんですが、一応酒屋の様相で、そして、われわれが滞在した短い時間の間にも、結構次々とお客が来るので、びっくりしました。

通常のメーカーさんのような愛想はないんですが、そういう背景があるので、まぁ仕方ないですね。でも、頼めば、一応試飲はさせてくれます。一応、っていう感じですけれど、笑。

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で、おいしいし、コスパはいいんです。
試飲もしたビアンカを購入しました(一番左側のボトル)。

Nosiola Euro 15.25のところ、0.25ユーロ負けてくれて、Euro15。
なんか、すべてのお値段が、こういう半端な数字なんです。負けるため?不思議ですよね。
ちなみに、ボトルの形が独特。薄っぺらいんですよ。

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そして、しっかりした箱に入っているので、カバンに詰めるのもらくちんで、丈夫そうです。というわけで、以前プレゼントしていただいたボトルは、先日日本へのお土産にしました(身内への土産なので、自分もしっかり飲みましたが)。
デザインには、結構投資している感じですよね。そういうコースもあるのかしら、学校に。

この後、近所にある蒸留所に、もう一つ寄りました。

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Distilleria Bertagnoli
Via del Teroldego, Mezzacorona (TN)

Teroldegoは、この辺りで作っているブドウ種の名前ですから、本当にこの辺りが産地ということなのかもしれません。ワインだと、やはり白なのだと思います。

ここは、かなりの大手メーカーです。わたしは知りませんでしたけど。
販売所は、こじんまりとしていて、一見かわいい風なんですが、失礼なことに、確か、すぐに開けてくれなかったし、いざ、店に入っても、ほとんど無視状態で、やる気なしの態度には、かなりあきれました。

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大手だけに、お土産に手ごろ風な、小さなサイズのボトルとか、結構買いやすい品もあったのですが、とても買う気にならず、空手で店を出ました。同行者は、1本くらい買ったかもしれませんが、なんかこういう接客されると、情けなくなります。情熱とか何もなく、製造している感じがして。いや、お金に対する情熱とかはあるのかも。
だから、こんな数人の個人客なんて、多分興味がないんですよね。
同じレベルの大手でも、個人客も大切にするメーカーさんは多いので、こういうメーカーさんの態度は、疑問に思ってしまいます。

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可愛いのにね、残念。
  1. 2019/05/11(土) 06:15:30|
  2. グラッパ
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再び、フランス編、開始します!(イリア)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その1

やっとの思いで、2016年夏の旅のアップを終わったところですが、引き続き、フランスの旅を特集します。それも、つい昨年の旅。
実は、2017年に回ったトスカーナやラツィオ、またフランスでも2017年の旅を先にアップした方が、順番としては正しいですし、自分の記憶の持続力を考えてもその方がよいのですが、諸事情から、昨年の旅を振り返っておきたく、他をスキップして、こちらを進めることに決めました。

旅の直後に、ざっくりと行程を記しておきましたが、今回は、州など特定のくくりにこだわらず、割と大きな地域をうろうろ回るような旅でした。

ミラノ、リヨン間は、昔はEasyjetが飛んでいて、大変リーズナブルだったのですが、いつからか撤退して(エールフランスの陰謀と思いますが、笑)、安くないのですが、つい最近まで掲載した2016年の旅で、列車の旅はもうこりごりと思い、飛行機としました。到着は15時と、遅めだったのですが、比較的手早くレンタカーの手配ができて、16時前には、空港を出発することができました。

情報として記しておきますが、リヨンの空港のレンタカーは、わかっていればわかりやすいのですが、知らないと戸惑うシステムとなっています。空港の前に、空港内の循環バスがあり、それに乗って、レンタカーエリアに移動するシステムとなっています。レンタカー会社ごとに、いくつかの停留所があるので、乗っていけば自分のレンタカー会社の事務所近くに行けます。初めて利用したときは、ドキドキしたのを覚えています。

さて、開始が遅いため、一日目は、ホテルに移動しながら、一つ二つ見られればいいな、という控えめな気持ちではありましたが。やはりスタートとともに修行モードになり、この日は、以下、三カ所を回りました。

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まず向かったのは、フランスのロマネスク仲間に推奨された教会です。

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イリアIlliatのサン・シンフォリオン教会Eglise Saint-Symphorien。
小さな村の小さな教会です。
正直、外側は、ほとんど新しく、到着したとき、え?まさかこれじゃないよね?と、上の姿を見て、愕然としました。
でも、近所に、同名の村もないようなので、やはりこれだろう、と半信半疑で入場。
そしていきなり後陣に向かって、突進しました。

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小さな教会なので、入り口から後陣がすぐ。この、小さなアーチの並ぶ様子は、すぐにも、「ただものではない!」と感じさせてくれましたよ。

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彩色が程よく褪せている様子が、今が一番好みの状態ではないか、というような段階のあせ方で、全体に柔らかい色合いが、何ともいい感じなんです。

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説明も何も置かれていなかったと思いますので、正確な時代とかわからないのですが、ポーズ的にはビザンチンテイストも感じます。でもご衣裳はシンプルだから、そんな影響はないのかしら。表示は、淡々とした中性的な、ひどく世俗を超えた聖人的な様子で、私は好きでした。

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三白眼で一筆書き的なフレスコ画。ちょっと今どきのイラストみたいな、現代テイストもありますね。

アーチの支えとなっている小円柱の、柱頭も、シンプルでよい味です。

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しかし、開口部からの光が強いこと、そして、最初の訪問地だから興奮していたのか、柱頭の写真はほとんどぶれていて、ひどい有様です。ちょっと面白い彫り物があるんですけれど。

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写実的な怖い感じの、狼?

やっと落ち着いて、一歩下がって、全体。

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例によって、漆喰ぬりぬり系ではありますが、小ささや、全体のトーンが落ち着いていて、これはありですね。
そして、振り向いて、あらま、これまたいいじゃんか。

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ほとんど再建構造と思いますが、雰囲気がありました。開口部が多くて、明るいですね。光を求めた現代建築からは、逆に、当時の建物の暗さが、浮き上がる気持ちがします。

後陣があるってことは、と思い、一応裏側に回ってみると。

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構造だけは、昔の儘に、後陣ありました。もともとは、一身廊一後陣の小さな教会だったのが、ちょっとだけ、増築されたというようなことなのかな。土地も狭いので、これ以上は広げようもなかったと思われます。

教会の周囲に張り付いたように、数軒の家がある、それだけの集落だったと思います。
教会を出たところで、乳母車を押して、孫の散歩をしているおじいさんと、ちょっと挨拶をしたことなどが、懐かしく思い出されます。
うん、やはり昨年の旅だと、どうやらいろいろな点が、まだ鮮明みたい、笑。
  1. 2019/05/10(金) 06:01:18|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
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