2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その20
家の中の気温が30度とか超えていると、かなりお年を召したパソコンの不機嫌具合が半端ないもんで、変なことになってもいや、という気持ちもありまして、長いお休みになってしまいました。幸い、暑さがひと段落して、秋に参加する手作り品関係のイベントの準備も完了し、やっと、落ち着いてパソコンを立ち上げることができたというところです。
毎度のことながら、更新もないのに、お運びいただいた皆様には、申し訳ないことです。見捨てられそうなスケジュール感ですよね。
といって、これからは頑張ります!とも言い難い今日この頃のさぼり癖…。
さてさて、ブルゴーニュの、かなりマイナーな教会巡り、続けますよ。
次に訪ねた教会については、ほぼほぼ記憶なし、という状況ですが、写真を見ていたら、どうやら、町はずれの墓地にあったあれではないか、とかすかな風景が…。
リスLysのノートルダム教会Eglise Notre Dameです。
たたずまいからロケーションから、すべてが限りなく地味な教会ですので、見学もさらりと。
地味ながら、ちゃんと開いているのが驚きです。
ここでも、天井がオリジナルに忠実な様子の、木と瓦のシンプル構造。印象的ですが、これで、雨漏りしないんですかね?
村の小さな教会のまま、特段大きな改築もされないまま、現代まで生き延びてきたということなのでしょうね。よくぞよくぞ、と思います。このこじんまり感が、実に村の教会ってイメージですよね。
奥まった後陣に、うっすらとフレスコ画が残っています。
中央に、アーモンドの中のキリストで、周囲に四つ並んでいるのは、構図的には、やはり四福音書家、ということかな。剥落がひどくて、ほとんどわからないのは、残念なことです。
トップの写真で、気付かれるかもしれませんが、後陣に軒持ち送りがあります。
地味な上に、スペースの真ん中に小さいフィギュアっていうのが、なんでしょう?遠慮深げな石工さんですよね?ミニマルを意識したのかしらん、笑。
怪しい顔を作ろうとしたのに、変顔にしかならなかった悪魔くん、みたいな楽しいフィギュアなのに、小さすぎです。
次に移動します。
この辺り、実に小さい村が続きます。わざわざ行くべきだったのかどうかもわかりませんが、取りつかれたように回っていました。ここも本当に小さい村で、そして、小さな教会です。
ブレBrayのサン・クアンタン教会Eglise Saint Quentin。
見た目の面白さは、ほぼありません。
でも、こんな素敵な緑の風景を見下ろす、ちょっとした高台に建っていて、気持ちの良いロケーションではあります。暑くて、それどころじゃなかったような記憶もありますが、笑。
外はともかく、中はちょっと雰囲気があるんですよ。全体に、こぎれいにはなっているのですが、それでも古色蒼然とした古びが、味わい深いというか。
内陣がくっきりと分割されているんですが、この構造は、後付けのものかもしれません。
実は、こんな田舎の何もなさそうな村だというのに、そして、この教会が観光地であるはずもないのに、お父さんと娘二人という、観光客っぽくもないけど、地元の人とも思えない訪問客がいて、椅子に腰かけて、静かに祈っている様子だったのです。
独り占めであれば、迷わず、鉄柵を通り抜けて、内陣部分にずかずかと踏み込んだことでしょうが、どうも、祈っている人がいる中で、そういう行為はしづらく…。別に入ってはいけないということはないのでしょうか、自分が信者ではないせいか、信者の方には、逆に気を使ってしまうところがあるんですよ。
仕方ないので、目的だった、内陣入り口、要は勝利のアーチの付け根部分にあるという柱頭を、かなり離れた場所から、望遠で撮影しました。
植物モチーフの、とても素朴な柱頭です。柱も、傷んでいるのか、他からの使い回しっぽいので、もともと傷んでいたのか、そういう状態です。
よくぞこのようなところまで、丹念に回ったものよ、と我ながら感心しつつ、次へ。
ドンジー・ル・ペルテゥイDonzy-le-Pertuisのサン・ジュリアン教会Eglise Saint Julien。
たたずまいが、こう見るとすっきりと美しいですが、11世紀創建当時の姿をとどめているのは、一つ後陣と、でっかい塔の一部だけかな。
気になるのは、鐘楼に上るための階段ですね。明らかに後付けだけど、こういう構造を見ると、どうしても登りたくなってしまいます。高いところに登りたくなるっていうのは、やはり、バカなんでしょうねぇ。
鍵は、村で誰かが管理しているという情報は持っていたのですが、同時に、中はどうでもいいかも、と自分で記していたので、慌てず騒がず、外観だけを楽しむこととしました。
この素朴なロンバルディアスタイルは、大好物のやつ。それも、11世紀という時代をひしひしと醸し出す、アーチのゆがみ。
後ろ側から見て、右側の方、つまり、後陣が東向きだとすると北側に、頑丈に守られた聖人が。
私の好みとして、つい、アーチ部分の面白い構造に目が行ってしまうんですが、この像の守り方、相当激しいですよね。守っているんだか、像を隔離しているんだか、という状態で、おそらくサン・ジュリアンさんでは、と想像するのですが、ちょっと狭いんだよ、ここ、と嘆いていらっしゃるのでは?とも思います。
場所も高くて、あまりよく見えませんし、もうちょっと何とか居心地よい感じにしてあげられなかったですかね?
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2019/07/31(水) 05:53:03 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その19
これだけ狭い範囲に固まっていると、無視するのが難しい感じです。で、前回のビシー・ラ・マコネーから15分足らずのドライブで、また次の目的地にたどり着いてしまいます。
シセ・レ・マコンChissey-les-Maconのサン・ピエール教会Eglise Saint-Pierre。
全体に、山のリゾートといった趣の村で、夏休みを過ごしている風の家族連れが、うろうろしていたりしたのを、よく覚えています。確か、この教会のはす向かいに、シャンブルドットがあったような。
実は、そろそろトイレを求めていたのですが、残念ながらそれらしきものはなし。シャンブルドットも、日盛りですから、人の気配もないような感じで、頼めるような雰囲気もなく…。
外観は、几帳面な石積みの外は、装飾的な要素はほとんどなしです。鐘楼は、三階建てで、クリュニー様式とのこと。
デコボコもなくて、実にきっちりとした石積みですよねぇ。加工しやすいタイプの石なのでしょうが、それにしても、こういう職人さんの仕事って、素晴らしいですね。自分には決してできない仕事なので、ただ感心感嘆いたします。
自分でできないというのは、根がいい加減なものですから、角や端っこまで、計算通りにぴっちり、というのがダメなんです。だから、洋裁はダメで、編み物の方が好きだったり(合わない場合は、引っ張って無理やり合わせる、笑)。建築関係って、計算通りに合わないとダメなわけですから、すごいですよねぇ。
この時期は、コンピューターどころか計算機すらないんですから、本当にどうやって、こんな建物を建てることができたのか。塔が傾いちゃうんだって、その方が当たり前じゃん!と思ってしまいます。
さて、内部は、白いですが、ありがたいことに、漆喰ぬりぬりの白さではなくて、白い石色の白さです。
注目すべきは、いくつかの柱頭ですが、外部の石積み同様に、端正にきっちりと彫られた正確さが命!というようなタイプです。
こちらは、現地にあった説明を参照すると、ダヴィデとゴリアテのようです。
三面に、ダヴィデのエピソードが並んでいるようですが、ダヴィデに全面使うって、ちょっと珍しいような気もします。ゴリアテのエピソードなんて、他で見たことあったかしら?
一方、こちらはマリアのストーリーのようです。
左が受胎告知なのかな。そしてご生誕だと思います。狭いスペースに、無理やり押し込めましたね。
さらに回り込んだ面には、羊飼いへのお告げ。
構図、すっごく考えたんでしょうねぇ。で、全体の形は整って、細部は流している感じです、笑。
印象派的な石工さんだと思います。ポイントはしっかりと押さえて、でも、詳細よりも全体の構図やスタイル先行、みたいな。またまた、勝手なことを言ってますな、笑。
一転して、こんなのもありました。
グリーンマン状態になっている悪魔的な顔は、そのものずばり悪を表し、おどおど小さいフィギュアの人は、善を表しているのでは、という説明です。
この悪魔の顔、意地悪なオバサンとかおじさんの顔…。こういう人、いますよね。中世にもこういう顔の人がいたのかな。そして、悪魔としてあらわされるということは、やっぱり意地悪な嫌な人だったんかな。世界共通の意地悪顔、笑。
それにしても、すっきり端正な植物モチーフ、印象派的な流れるストーリーもの、そしてこういうシンボリックなもの、とかなり異なるモチーフが並んでいるのが、面白いですね。この辺りは、教会集積地だから、いろんな志向や景観を持った石工さん達が、うろうろしていたのかもしれないとか考えると、また面白くなってきます。
出際に、扉口を確認。
お花モチーフで縁取りされたタンパンには、うっすらとフレスコ画が残っていますが、いつの時代のものなんでしょうか。ここの柱頭は、端正系です。
そして、装飾性が、ちょっとだけありました。
軒持ち送りに、かわいいやつらが。
左側は上半身のちょっとだけ、飛び出ている風の小動物、構図がいいですよねぇ。右は、なんだろう?ガチョウの足の抽象化?
もう一人いた!
これ、めっちゃ可愛いです。オリジナリティ高い!
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2019/07/18(木) 05:36:12 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その18
また、ほんの5分程度の移動で、次の目的地についてしまいます。ふぅ。
ユシジーUchizyのサン・ピエール教会Eglise Saint-Pierre(毎日8-20時)。
村の、住宅地にあります。
11世紀創建という情報に惹かれて、訪ねたのですが、鐘楼などの一部に、その名残がうかがえるくらいで、全体には、あまりにも美しく修復整備されており、期待していた姿とはちょっと違うものでした。
緻密な石積みは、それだけで美しさを醸し出しますが…。
内部はもう全体にキラキラで。
清潔に美しく保たれているのは、地域で大切にされている証拠。ロマネスク的にはがっかりしてしまうわけですが、教会としては幸せなあり方だと思います、涙。自分で書いといて、なんですが、「教会としては」という視点、わかるようなわからないような、笑。
現代のステンドグラスが、ちょっと面白いものでしたよ。
これは教会が捧げられているピエールさんでしょうね?聖お兄さんで言うところのペトロンが、信者を釣り上げているらしいですが、真っ先に釣り上げられいている人、眼鏡です。
しかし、愛される教会っていうのも大変だな。
というようなすさまじい装飾性で、さらに疲れが…。
そして、実はトイレの必要性にも迫られておりました!
で、教会の外でごみ収集をしていた人に、不自由なフランス語で、近くにレストランがないかを尋ねました。ユシジーにはないし、近くといってもなぁ、としばらく考え込み、こう行ってああ行って、と道を教えてくださいました。
が、道順というものは、わたくし、いまだにイタリア語でもわからないんですから、フランス語がわかるわけもなく、一応、彼が指示した方向に走り出したものの、すでに、頭の中は真っ白です。
仕方なく、次の目的地をナビに入力して、そちらに向かいながら、何か認めたらすかさずに停車する、という素朴な作戦としました(尋ねた意味なし、ということです、笑)。
結局、次の目的地に到着してしまったんですが、なんと、村に入った途端に、何か食べられそうな店の看板が!
何が目的でここに来たかとか、そういうことは忘却で、とにかく車を停めて、店に駆け込みましたね。オアシス?まさにそういう感じでした。
Restaurant Le Bissy
6 Rue de Macon, Bissy la Maconnaise
13.50ユーロのメニューがあり、前菜、メイン、ワイン250ml、デザートまで混み!超お得感あり、おいしかったし。お勧めです。
それにしても、スマホ持ってたのに、なぜ、検索しなかったのか。やはりどこまでもアナログ人間なんですねぇ。そういうことが思いつかないって。
さて、食料も水分もしっかり摂取して、すっかりと落ち着いて、そうだったそうだった、と教会のことを思い出します。Bissyには、教会のために来たんですから。いや、ランチとトイレのために来たのか、なんだかこうなると、順番わからなくなりますね。
実は、教会の向かいにある、この、どっちかというとしょぼい建物が、目的でした、笑。
ビシー・ラ・マコネーBissy-la-Maconnaiseのサン・シル・エ・サント・ジュリット教会Eglise Saint-Cyr-et-Sainte-Julitte。
後陣側は、もうちょっと姿がよいですが、残念ながら壁に囲われちゃっているので、全体を見ることはできません。
中は、オリジナルを髣髴とさせる木製の天井となっているのですが、壁は例によって真っ白にされてしまっているので、雰囲気は損なわれますね。
ただ、明るさはあります。これは白いおかげでしょうね。
後陣の方に、古い構造が垣間見えます。
フレスコは、ゴシック時代以降のものとありましたが、いずれにしても、うっすら程度です。
後陣の開口部は、本来は、左側のような細さだったのを、後代に採光のために大きくしているんですかね。そのあたりの構造の変更というのは、正直、どこまで改変がされているのかよくわからないところがあります。
後陣の外側が、装飾的だったりすれば、あまり手はかけられないと思いますが、ここのようにシンプルだと、そういうことをしている可能性もありそうです。
一見、教会には見えないスタイルです。
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2019/07/15(月) 01:14:38 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その17
前回のル・ヴィラーから、ほんの3、4キロ、車で10分足らず、という近さの村が、次の予定。ロマネスク密集地だと、こういうパターンが結構ありますけれど、近くにたくさんあるって、結構疲れます。
ちょっと運転して、到着して、荷物を抱えて車を降りて、見学して、また車に乗り込んで、ナビに次の目的地の地図を入れて、運転して、という繰り返しは、そのルーティンも含めて、あまり続くとうんざりしたりします。
これまでは、ナビとしては、外付けトムトム派だった私(田舎に行くと、ネット接続不可のケースが意外と多いのと、接続制限のあるスマホを使うと、容量が不足する危険も出てくるため、スマホは基本使いません。アナログ人間です、笑)。明らかに問題がないと考えられる田舎では、ナビをつけっぱなしで放置して、見学をしていましたが、ちょっとでも危ないと思うときは、ナビを外して、外から見えない場所に放り込む、という作業もあったので、それもかなり煩わしいものでした。この辺は、ちょっとイタリアの現実に慣れすぎているのかもしれませんけれども、用心に越したことはないですからね。
しかし!先月新車が来まして、組み込みのナビもオプションで付けました!だから、しまったり出したりの行程だけでも、節約できます。っていうか、今更何寝ぼけたこと言ってるの、とか、デジタル世代の方々には言われそうです…。
さて、次の目的地も、確か道沿いにあったものと思います。
ファルジュ・レ・マコンFarges-les-Maconのサン・バルテルミーEglise Saint Barthelemy教会(毎日8-18、カギは市庁舎)。
いかにもこの地域、という鐘楼と後陣のすっきりしたお姿。後陣に無粋にくっついているささえ柱みたいのは、後代のものなんでしょうか。わたし的には、これは無粋という以外の何物でもないのですが…。
事前に、毎日開いているような情報を得ておりましたが、訪ねた時はクローズ。カギはおそらく市庁舎にあったのでしょうが、そして、村の入り口に市庁舎があったことは確認していたのですが、間違いなく昼休みの時間でしたし、自分も実はランチを求めたい気持ちの方が強くなっていた時間でしたし、カギを探すことに執着する気持ちはゼロ。もちろん、「中が結構地味で、石積みはよい感じながら、見るべきものはゴシック時代のフレスコ」という情報を得ており、それなら、いいか、という気持ちが働いたことも確かです。
それに、このとき、焼け付くように暑くて、ぜえぜえしていました。あの乾いた空気感、よく覚えています。ああいう暑さって、気力を奪いますよね。
つい2週間ほど前のミラノで、連日40度に達さんばかりの日が、数日続きましたが、もうね、やる気とかそういうもの、消滅しますよね。だから、常日頃、暑い中で生活や仕事をする人々って、すごいと思います。ま、我が家もいまだにクーラーのない生活をしていますが。
その分、外観はしっかりと観察いたしました。ちょっと楽しいんですよ。
例えば、側壁の上の方に、あれ?と思うと。
なにこれ、なにこれ~みたいなものがあったりするんですよ。
色々と失われちゃったり、様式も混在して、一見面白みのないファサードの扉周りにも。
古い時代っぽい浅浮彫。素朴なぐるぐるや花モチーフ、かなり好みです。
今度行く機会があれば、やはり横着しないで、カギは借りた方がよいかもね。
今度行ったときに思い出すように、ファサード前の風景を張っておきます、笑。
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2019/07/15(月) 00:17:22 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その16
トゥールニュの後は、小さな村を回ります。
この辺りは、ロマネスク教会のある村を地図に記すと、地図が印で塗りつぶされてしまうほどの土地。時間の制約から、何でもかんでも回ることはできないし、また、その意味もないので、なるべく、ぱっと見、来てよかった!と思えるような、それなりの評価を受けている教会を目指すのですが、といって、トリップアドバイザーに掲載されている観光地などとは違って、ネット検索しても、情報量はたいしてないもんですから、星の数からの取捨選択は、本当に難しいものです。
勿論、見る人の好みによって、評価は大きく変わりますから、どれが絶対、ということはないわけで、私のブログの記録も、まったくあてにはならないことを、改めて、記しておきたいと思います。責任逃れ、というわけではないんですけどね、笑。
さて、まずたどり着いたのは、ル・ヴィラーLe Villarsという村。
村を目指して走っていたら、村がどこにあるかもわからないままに、道沿いに教会があったとさ、というロケーションでした。
道沿いに、大きな木が木陰を作っている公園があり、その奥に、教会の入り口となっています。写真の左の黒く見えるのが、入り口。右の方は、市庁舎だと思います。
車はこの木陰に、適当に駐車できます。
ラ・ヴィラーLa Villarsの、サント・マリー・マドレーヌ教会Eglise Sainte Marie Madaleine(夏季は、毎日9-18時)。
すごくつまらない入り口ですが、いきなりがっかりしないで、とにかく入るように、笑。
入っても、いきなり真っ白ぬりになっていますが、それにもひるまず後陣へ向かいます。後陣には、全体にぼけているフレスコ画あります。12世紀とありますが、相当ぼけてしまっていて、あまり興味が持てませんでした。
でも、この白塗りの部分が、今残る建物では一番古いもので、11世紀のものらしいのです。真っ白にぬられたことで、オリジナルの雰囲気が、ほぼ見えなくなってしまったのは、寂しい限りですが、フランス人の好みですから、仕方ないですね。
というわけで、さらりと流して、祭壇前に置かれている表示に従って、右手へ進みます。
すると、びっくり、がらんとした古色蒼然スペースが広がるんです。
今は古い農機具などの展示がされているという、かなり意味不明なスペースとなっているのですが、こちらは、それより後の時代、といっても12世紀ですが、付け足された構造物のようです。
全体像は、こういうもの。緑が、11世紀の部分で、黄色が、お隣の農機具展示スペース。
こちらは、実際に、長年、物置などとして使われてきたスペースなのではないでしょうか。そのために、特段修復されることもなく、そのままの状態で放置されていたのでは。
祭壇側に、こちらのフレスコ画が残されていますが、はがれ放題で、運よく残ったところだけが残ったという状態で、漆喰ぬりぬりの本堂とは、あまりにも違う状態です。
こちらは、13/14世紀のフレスコ。アーチが確かにゴシック風。それにしても、よく残ったもんです。もちろん、修復はされたものと思いますが、本堂の方とは残り方のレベルが違いますね。
こっち側のスペースから、外に出て、後陣にアクセスできますので、それも忘れずに。
素朴な雰囲気が残っている後陣です。
三つ後陣ですが、それぞれ大きさが違って、それらが仲良く寄り添っている様子が、変に愛らしいですね。鐘楼のブラインドアーチの様子も、非常に琴線に触れる好ましい古さ。
元に戻って、扉口もチェック。
一見、地味な教会ながら、意外と見どころがありました。
ちなみに、この教会のはす向かいに、オーベルジュがあり、よし!見学後にランチだ!と喜んだのもつかの間、なぜかクローズでがっかりしました。この後、ランチ探しの旅となります、笑。
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2019/07/14(日) 23:40:53 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その15
トゥールニュTournusは、この辺りでは比較的大きな町で、といっても、旧市街は端から端まで歩けるし、歩いたところでたいしたことのない距離ではありますが、中世起源の建物が、いくつか散らばっています。
欧州はどこでもそうですが、古い起源の建物の、外観はほぼオリジナルなまま、内装だけ新しくして暮らす生活って、石ならではの文化で、目の当たりにすると、やはりすごいことだし、根本的に考え方とか、歴史の捉え方とか、カルチャー的な感覚が、どうしても違ってくるだろうなぁ、とか考えちゃいますね。
こんないかにも中世起源です、といった、市壁の一部だった建物なんですかね?そんなものが、別に何か史跡としてあるわけではなく、扉には、大きく、「売家」という看板が掛けられていたりするんですから、なんか戸惑いますよ。
この塔の左手が、確か旧市街のメインストリートになる位置関係だったと思います。そこを進むと、教会がありました。
サン・ヴァレリアン教会Eglise Saint-Valerien。
石積みの様子が、サン・フィリベール修道院教会にも似ていますよね。11世紀前半とあるので、同時期の建物のようです。
でも、残念ながら、すでに教会機能はなくなっていて、中はこういう感じです。
展覧会場になっています。このパターン、よくありますが、ここは町中だけあって、展覧会場としての整備ぶりがなかなかですね。
教会って、背が高いし、展覧会場としてはうってつけです。
アーチの石がそのまま残されていたり、ところどころに、ちょっとしたものがあって、こういう場所での、宝探しも、時として、楽しかったりします。
例えば、こんな古い木製の扉。
よく見ると、カギとなっている部分に、ロマネスクを継承するかのような、愛らしい遊びがあります。
道をさらに進むと、また、教会があります。
サント・マドレーヌ教会Eglise Sainte-Madeleine。
説明版によれば、もともとは11世紀終わり頃創建のサント・マリー・デュ・シャテル教会Eglise Sainte Marie du Chatelといい、旧市街の中心だったということらしいのですが、今では、ちょっと外れちゃってる感じかな。
ファサードの扉周囲の彫り物装飾は、排気ガスのせいでしょうかね、かなり汚れちゃっていますけれど、相当手の込んだものです。
柱頭のモチーフも、独創的で面白いし、しっかりとした手のかかる彫りです。
それなりの石工さんが働いたということですよね。さすが、町の中心にあった教会だけあって、それだけのお金があったのですね。
残念ながら、中は真っ白で、全然見るものがないのですけれど。
構造的には、オリジナルが残っていそうなので、後陣に外からアクセスしたいと思って、周囲を回ってみたのですが、家が建て込んでいて、どうしても、近寄る方法がわかりませんでした。
鐘楼も、古いものらしいのですが、建物に取り囲まれてしまっているうえ、背が低いので、なかなかとらえきれませんでした。
これで、トゥールニュの町は、わたし的にはコンプリートです。本当は、もう一つ、事前に調べていた中に、サンローラン礼拝堂Chapelle Saint Laurentというのがありましたが、旧市街からちょっと離れるし、私有でクローズらしいとなっていたので、割愛しました。
朝一番で訪ねた町なのに、薬局に寄ったりしているうちに、もう昼も近くなっていたので、仕方ありません。
ということで、次に向かいます。
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2019/07/11(木) 05:26:57 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その14
トゥールニュTournusのサン・フィリベール修道院Abbaye Saint-Philibert、続きです。
全体に装飾性の少ない教会ですが、ところどころに、時代の異なるお宝が隠されています。ぱっと見、見えないところにあるんですが、そういういろいろが、きっとこの教会の美しさを、隠れたところから盛り上げているんだろうなぁ、と思います。
前後してしまいますが、教会のフロアプランを。
結構広いですが、手前がナルテックスで、奥の方の赤い部分は周歩廊ですから、本堂は結構小さいのかもね。
黒い部分が11世紀で、周歩廊の部分は、12世紀となるようです。ということは、11世紀の時代には、周歩廊のない後陣だったのかな。後陣全体の地下に、クリプタもありますが、これがまた、結構な広さです。
古い時代の雰囲気を残しているのは、やはりナルテックスの上にある、前回紹介した礼拝堂かな、と思います。
そこで見られる植物系の浮彫の柱頭も、かわいらしかったですが、本堂にも、立派な柱頭がいくつか見られます。
グリーンマン系の動物が、ちょっと面白い表情をしていますが、でも、端正な彫りですねぇ。
テイスト的には、もうゴシック色が入っている様子ですよね。
さて、周歩廊に入り込んで、驚いたのがこれです。
なんと、美しい12世紀の床モザイクが残っているのです。残されたわずかな部分が、きれいに修復されて、上から見られるような構造になっているのも、嬉しいことです。
12世紀前半に作られたモザイク。上の写真でわかりますが、月々のテーマと、星座が、メダイヨンとなって置かれている意匠のようですね。月々のテーマは、イタリアだと、中部地方によく見られるもの。フランスでは、どういう分布をしているのでしょうか。
ありがたいことに、英語での説明版によれば、なんと2002年の教会修復の際に、発見されたものということです。かなり最近のことですよねぇ。つまり、埋もれていたということで、そのために、遺された部分だけは、結構よい保存状態だったのかと想像します。それでも、勿論修復作業がされたそうなんですが、誇らしげにフランスの修復業者なのか専門家集団なのか、名称まで記されていました。でも、個人的な感覚では、モザイクは、イタリアの業者にやらせた方がよかったのでは、という印象を受けます。
ちょっと、見た目が新しくなりすぎっていう様子になっているのが、個人的には気に入りませんでした。
それにしても、上の写真にあるザザ虫的なもの。これ、カニなんですね?かに座のことですよね。このタイプの変なフィギュアって結構見るんですが、カニとは思ったことがありませんでした。謎が一つ解けたかも。
周歩廊にある柱頭、クラシックな植物系で、大変繊細な彫りです。
現代のステンドグラスが、とても美しいです。何度も書くようですが、ステンドグラスに関しては、現代ものが好みです。
周歩廊の構造というのは、装飾可能部分をたくさん作りだしますね。だから、豪華な教会にしたいと、やはりあこがれる構造かもしれないですね。
上の方の小円柱に、かわいらしいやつらが。
下手すると、誰にも気づいてもらえないような場所に、こういうやつらを彫ってしまう石工さん、なんかいいですよねぇ。こういうものを見つけると、いったい誰がどうやって、こういう細かいところの装飾を決めているのか、という疑問が、いつも湧いてきます。これだけのものを彫るのだって大変だから、遊びでこっそりというわけにもいかないでしょうしねぇ。闇研みたいな、会社には指示されてないけど、技術者が勝手に研究しちゃうみたいな闇彫り?プロジェクトXとかで、よくありましたよねぇ、そういう話、笑。
何だろう、この可愛さったら。
さて、クリプタにも、勿論おりますが、ここ、結構怖かった~。
かなり手が入っているのですが、元は11世紀当たりの古い構造なんでしょうね。天井は石がむき出しだったりして、相当古い様子です。薄暗くて、広いんで、一人でいて、ちょっと怖い気持ちになります。人がいない方が、よい写真が撮れるのですが、誰かいてほしい、みたいな。
ヴォルトの石積みの様子が、ナルテックス上のサン・ミシェル礼拝堂にそっくりですから、やはり11世紀、同時期の構造物なのでしょうね。
回廊に出る通りスペースだったか、回廊を取り囲むスペースの一部だったかに、古い柱頭が並べられていました。
まさに溶けている様子の傷み方ですが、これは、回廊にあったものなのかな。
回廊の部分は、ずいぶんと整備もされているし、後代のイメージです。
ファサード側の塔の一つが見えます。美しい青空の日でしたねぇ。
これで、内部はおしまい。
後陣側からだと、こういう感じ。建物に囲まれちゃって、増殖している様子です。
11世紀から12世紀的な様子も見ることができますが、場所によってはゴシック色もかなり強く、建物全体、時代が混在しています。これだけの教会となると、それは避けようがないですね。
スタイルとして、こういうファサードは好みではないのですが、素朴なヘタウマ的なブラインドアーチが連発で、これは、そそられます。
トゥールニュ、町中にいくつか他の教会もありますので、もう一回、続きます。
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2019/07/10(水) 05:41:01 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その13
日本でも、一部ニュースになったようですが、先々週半ばより、欧州の南部は激しい熱波に見舞われて、もう大変な日々でした。連日40度近くまで気温が上がりましたので、いまだに自宅に冷房のない私は、もうへとへと。こうなると、仕事嫌いの私でも、クーラーの効いた会社に行くのが楽しみになります、笑。
そういう時期に、遠方より古い友人が遊びに来たことなどもあり、そんなこんなで、ずいぶんと長いお休みになってしまいました。
更新もないのに、足を運んでいただいた皆様には、大変申し訳ないことでした。
このままだと、再開できなくなりそうなので、本日現在も、室温32度と過酷な状況ではありますが、頑張ってパソコンを開けてみました。やっぱり暑い…。東京などに比べれば、湿度はずいぶんと低いですが、でもこれだけの高温だと、やはりじわじわ来ます。でも、頑張ってみたいと思います!
さて、番外編で一休みしましたが、ダニに苦しみながらの三日目は、宿の人に教えてもらった薬局に行くため、予定を若干変更して、トゥールニュTournusから始めることとしました。宿泊地であるシャルドネからは、車でたったの12分の道のり。地図で見ても、そこまで近いイメージはなかったので、びっくりしました。
トゥールニュTournusのサン・フィリベール修道院Abbaye Saint-Philibert。
(毎日夏は8/19時、冬は18時まで。教会建物の裏の方に、清潔な公衆トイレあり。町の周囲に駐車可)
この辺りでは、比較的大きな町ではありますが、わたしは、上の写真の手前の方の、路肩に駐車することができました。Impasse Jean Bourt やChamps de Mars辺りを目指して行くと、適当な駐車場所が見つかると思います。
実は、ここは博物館化しているのではないか、と勝手に思っていたのですが、今でもちゃんと現役の教会でした。
まずは、ナルテックスにアクセスします。
いきなり出会う太い円柱に、うっとりです。こういうタイプは、近場のシャペイズとか、イタリアのバルドリーノの、素朴な教会を髣髴をさせますけれど、ここは、サイズ感が違って、迫力が半端ないです。
ナルテックスは、天上が低いのに、それでも迫力がありますが、本堂には、そのぶっとい円柱が、すごい高さで並んでいるんです。
ああ、もう全然迫力が伝わらない写真で、恐縮です。
こういう構造で勝負!っていうか、誰も何も勝負してないと思うんですが、ぱっと見で面白い彫り物とかフレスコとか、そういうのも好きなんですけれど、構造物で、どうだ!みたいな教会も、私は結構好きなんですよね。また、円柱というのは、私にとっては、おそらくつけ柱とも何かしら共通するツボがあるようで、かなり好きみたいです。
現場は、もうちょっと薄暗い様子もあり、全体に荘厳静謐な雰囲気に満ち溢れていました。
見どころは沢山あるのですが、まずは、上にのぼり、さらに壮大な建築を堪能します。
日本でいうところの二階に、サン・ミシェル礼拝堂Chapelle Saint-Michelというスペースがあり、そこから、本堂を眺めることができるのです。
天井部分は、漆喰ぬりぬりで、若干風情がなくなっていますけれど、でも、円柱の迫力に、そんなことはどうでもよくなる長めでした。
この礼拝堂にもまた、見どころがありますよ。
まずは、このようならせん階段で登るので、すでにワクワクします。
狭いところ、高いところ、なんかそういうのって、ワクワクのポイントですよね。
この場所から、さらに上に階段が続いていて、おそらく、鐘楼の上の方にアクセスするものだと思います。ここは、ファサード側となるので、ファサードに建っている鐘楼ですね。ここは、勿論閉ざされていますが、何とも魅力的ですね。木の階段は、新しくなっているようですが、オリジナルも、きっとこのような階段があったのだろうと思います。
本堂を見下ろすことのできる部分は、素敵な円柱の並んだ窓のような構造になっていますが、その小さな円柱は、本堂を支える円柱と違って、しっかりとオシャレな装飾がほどこされています。
多くの人の目に触れるわけもない、このようなところの円柱の足元にまで、こんな繊細な彫り物を施すなんて、すごく粋ですよね。表は地味だけど、裏地に凝った江戸の人的な繊細な美意識を感じてしまいました、笑。本物の美意識的な何か。
この礼拝堂のどこかに、彫り物があったはず、とちょっとうろうろしてしまいました。この扉口のところ、修復なんでしょうか、囲われていたので、わかりにくかったんですよね。
ここに、かなり浅めの浮彫が並んでいます。お見逃しなく。
この礼拝堂は11世紀のものらしいのですが、これらの浮彫に、その古さを感じます。
技術的なことはわかりませんが、石への浮彫は、道具が非常に重要ですよね。やはり浮彫の彫りの深さというのは、好みもありますでしょうが、道具によるところも大ですよね、おそらく?ふと思いましたが。
そういう意味で、8世紀のロンゴバルドなどは、石に彫るのは難しいから、漆喰装飾をしたというのもあるのでしょうかね?逆に言えば、古い時代に、石に彫っている職人さんたちは、すごい技術力があったということになりますねぇ。
いずれにしても、この教会は、装飾より、構造です。
うっとりな石の存在感。光と影のコントラストの美しさ、石積みの繊細さ。感服です。
続きます。
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2019/07/07(日) 23:51:30 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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