fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、プロローグ

またまたすっかりご無沙汰してしまいました。夏休み前は、仕事も私事も激務状態でお休み勝ち、そして夏休み後は、本当の意味のお休みをしておりました、笑。

さて、この夏休みは、再びフランス・ロマネスク修行の旅となりましたが、これまでと異なるのは、ダイレクト・インです。
こちらで報告したかどうか定かではないのですが、この春に車を買い替えました!愛用の2001年式Corsaから、一気にハイブリッド車へ!人生初、そしておそらく最後の新車です。

購入直後から、今年はダイレクトでフランス、と決めておりました。ロング・ドライブは実に久しぶりでしたので、ドキドキでしたが、結果は大満足。こんなことなら、早く買い替えていたらよかったな、と思ったことでした。Corsaはよく走ってくれましたし、日常使いだけなら、まだ数年は行ける状態だったのですが、しかし長旅、ましてや外国に行って、何かあったら困る、という老年でもあったので、ロングドライブは避けていたのです。
これからしばらくは、せっかくですから、自宅からダイレクト、をキーワードに修行を続けたいものです。

さて、今年は、昨年、ほんのちょっとだけ垣間見たサントル州が目的です。

2019 france vari 001

この地域には、フレスコ画が多く残されているということで、それをたどる旅であり、またもちろん、フレスコ以外も含めて、地域の教会のハンティングです。確かにフレスコ画は、どの地域よりも集積しているとわかりました。フレスコ好きの方は、絶対行かねばなりません。

2019 france vari 002

今回もまた、在オーベルニュの友人に大いに助けていただきました。旅の途中で合流したり、後半は泊めていただいたり、また合宿的にご一緒に一泊旅行をしたり…。好きなことを追求することで、このような素敵な友人に出会うことができて、なんという幸せなことよ、と改めてありがたく思うことでした。

そんなこともありましたので、オーベルニュの、なかなか入れない教会にご一緒させていただく光栄にもよくしました。

2019 france vari 003

例によって、いつになるかわかりませんが、アクセス難易度が高い教会が含まれますので、絶対に紹介させてもらいたいと思います。ちなみに上の柱頭は、その一つの教会の後陣にあるもので、ここは、普段開いていないうえに、アポを取るのも大変ということでした。

さらには、在住の方も、行きにくいので行けていなかったという、オーベルニュの南の方、ル・ピュイ県とカンタル県の県境の辺りの地域にある、かなり小さな教会を、複数回りました。ここまで行けることは、そうそうないと思います。また、私などでは、教会の存在自体にたどり着くことができたかどうか。

2019 france vari 004

しかし、驚いたのは、そういった村の教会の多くが、当たり前のように開いていたことです。夏だから、というより、地域で管理していて、いつも開いているような様子が見受けられました。
クローズの多くの理由は、盗難や破損防止という意味合いが多い昨今ですが、こういう地方の穏やかな村では、そのような心配がないということかもしれません。

今回特筆すべきは、なんと山登りまでしてしまったことでしょうか。

2019 france vari 005

オーヴェルニュのピュイ・ル・ドームです。一昨年、世界遺産の自然部門に登録されたそうです。日本人のほとんどにとっては、「それなに?」という場所だと思いますが、フランスのミネラル・ウォーターVolvicの故郷だと言えば、「あ、そうなの」と興味を持たれるかもしれないですね?
これです!

2019 france vari 006

この辺りは、火山の跡がボコボコあり、それが不思議な風景を作っているんですよ。このVolvicのラベルの噴火後も、ばっちり見てきました。

でも、実は、天辺まで電車なんです。欧州的な合理性というか、それまでは自動車道だったところを、電車にしたのは、今日この頃のエコ・トレンドでよいのですが、そもそも山や自然物を神聖視する日本のような感覚はありませんから、歩きしかダメ、という発想なゼロですね。歩いている方も多数いらっしゃいましたけれどね。

ここは、天辺から360度、見渡せるのが素晴らしい場所です。

2019 france vari 007

そんなわけで、日曜早朝に出発して、2週目の日曜午後に戻りというきっちり14日間、訪ねた教会は、おそらく100余。全走行距離は3800キロ(自宅から拠点とした友人宅までの往復が1200キロのため、修行旅走行距離は、2600キロ)。いやはや、これほどの距離を一時に走るのは、免許を取って間もなく、スペインまで行ったとき以来ではないかと思います。でも、快適でした。なんせ、クーラーがきくし(Corsaは、最後数年、クーラーがダメになっていたんです、笑)。

紹介したい教会が山ほどあるのに、ブログは停滞で、我ながら情けないですが、ミラノもやっと涼しくなってきたので、これからは頑張りたいものです。サントル地域、今ならホットな情報であふれておりますので、ご興味のある方は、どうぞお気軽にお問い合わせくださいね。
では、いつになるやら、ですが、記事をお楽しみに。
ブログでは、昨年の旅を継続したいと思います。

2019 france vari 008

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログ 建築鑑賞・評論へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

インスタグラムに、これまでのロマネスク写真を徐々にアップしています。
Instagram, Notaromanica
スポンサーサイト



  1. 2019/08/31(土) 19:03:44|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
  3. | コメント:5

緑の中の美しい村たち(ランシャール、ラ・シャペル・スー・ブランシオン)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その22

シャペイズChapaizeで、ぶっとい柱に感動した後は、とってもご近所の村へ向かいました。
お得意の思い込みプラス、フランス語の発音できなさで、実は、以前訪ねた他の教会だと思い込んでいて、到着して、まったく違う場所だったのでびっくり、でした。相変わらず間抜けです。

2018 france centre 298

ランシャールLancharreのノートルダム教会Ancienne Eglise Notre-Dameです。

そして、驚愕しました。大修復中だったんです。教会の周辺には、建築資材がたくさん置かれていましたが、外側は、とりあえず終わったのかな、という様子。しかし、中は、もう漆喰の白しか目に入ってこないぬりぬり進行中でした。

2018 france centre 299

修復が終了して、一旦落ち着いたら、こういうもんか、となるのかもしれませんが、いまだ修復中の中での見学ですから、あたかも、そこら中に漆喰の粉が待っているような雰囲気で、ここまで塗るか?!と驚愕しました。

再建中なのか、それとも修復中なのか、古そうな柱を大にして、柱頭らしきものが置かれていました。

2018 france centre 300

可愛い柱頭もあります。

2018 france centre 301

しかし、白さがフューチャーされてしまっていて、彫りの面白さが遠くに行ってしまっている感が…。

2018 france centre 302

こんな風に色付きもありますから、全面真っ白ということはなかったのではないかと思うんですが、フランスの修復は、ホワイト一色。

なんか期待していただけに、裏切られた気持ちでしたが、でもここ、なんか修道院だったんだろうな、修道院の寺町、というより、修道院だけだったんだろうな、という往時のイメージがわかりやすい様子のたたずまいの村で、それはよかったです。

2018 france centre 303

なんでかわからないんですが、かつては修道院だったことがわかるような形で残っている土地とか家並みの様子が、何とも好きなんです。こういうもんがあって、中に広がっている修道院のあり方っていうか。
多分、昔は、関係ない人は入れなかったりとか、いや、多分入ることもなかったりとかしたそういう歴史だったりに思いが行ったりして、なんとなく歴史の中にいるよ、オレ、みたいな感覚が好きなのかとも思うのですが。

教会や僧坊が中心だったりする中に、納屋みたいなところがあったり、畑があったりとか、そういうものが、琴線に触れます。変な趣味、笑。

2018 france centre 304

いずれにしても、いまいちだったな、と思いながら、次へ移動です。

2018 france centre 305

緑が美しい田舎道を15分ほど走ってたどり着いたのは、墓地教会です。

2018 france centre 306

ラ・シャペル・スー・ブランシオンLa Chapelle-sous-Brancionのノートルダム教会Eglise Notre-Dameです。観光地としても有名な、ブランシオンがある丘のふもとの村の中心にあります。墓地教会なのに、村の中心、というのが、いかにもの田舎度ですよね。美しい土地です。

後陣および立派な鐘楼がありますが、ファサード側は地味で、面白み、ほぼありません、笑。

2018 france centre 307

後陣に、フレスコ画があるのですが、説明版によれば、これは2001年の4月に発見されたばかりのようです。でも、それほど古いものではなさそうです。少なくとも、ロマネスク・ラバーが興奮するようなものではありません。

2018 france centre 308

下のほうのは、ちょっと古そうですが、でも、修復した挙句の保存状態がこれでは…。こういう風に傷んでしまうのは、それでも残念なことですね。
新しいもので言えば、こういう海洋堂フィギュア的な像が、結構気に入って、撮影してしまいました。

2018 france centre 309

戦う大天使ミカエルかとも思うんですが、翼がないですね。でも、かわいいです。

ここは、教会建築全体のたたずまいと、美しいロケーションを楽しむ場所だと思います。
こんなのどかで美しい墓地に一生、というのも変ですが、眠り続けるというのは、なんか幸せなような気がします。眠られているのは、ほとんど全員、土地の人でしょうしね。

2018 france centre 310

東京生まれで東京育ち、ミラノ生活が長い私は、こういう緑滴る美しい田舎の風景って、なんだか弱い。

2018 france centre 311

ついつい観光ツアーみたいになっちゃいました。あ、観光でもないか、見所ないし。でも、いわゆる「美しい村」ですよね、これは。人口が少なすぎて、実際の美しい村のタイトルはないかもしれませんが。
駐車だって、こんな場所なんですから。

2018 france centre 312

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログ 建築鑑賞・評論へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

インスタグラムに、これまでのロマネスク写真を徐々にアップしています。
Instagram, Notaromanica
  1. 2019/08/07(水) 05:58:15|
  2. ポワトー・シャランテ・ロマネスク
  3. | コメント:2

極太円柱に再会(シャゼル、シャペイズ)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その21

秋のイベント準備が終わったら、なんかちょっとした燃え尽き症候群みたいな感じで、このところ毎日読書にいそしんでおりました。思えば、ずいぶん長い間、家で読書に没頭、という余裕がなかったのですね。読書という自分の生活にとっては至極当たり前のことが妙に新鮮に感じられました。

さて、ブルゴーニュの教会巡りです。
まずは、またまたちっこいところから。

2018 france centre 284

シャゼルChazelleのノートル・ダム教会Eglise Notre-Dame。
墓地にある教会です。

鐘楼が美しいため、パッと見はバランスの良いたたずまいと思いますが、やはり改築増築が多くて、時代もごったまぜ、全体はわけのわからない状態ですね。色々な時代に押しつぶされそうになりながら、何とか肝となる後陣が、絵本の「小さなお家」のように残った、という状態です。

2018 france centre 285

この、結構時代をさかのぼりそうな後陣の地味な装飾ぶりは、心惹かれます。鐘楼のブラインドアーチの様子からも、11世紀後半から12世紀くらいという様子ですよね。
全体がその時代のまま残されていたら、さぞや好みのたたずまいであっただろうと想像します。

2018 france centre 286

この、ギザギザ並べの装飾。そして、石の屋根瓦。ラブ♡、笑。

内部はすっごく地味で、ほぼ何もないので、万が一クローズだったとしても、心配することはありません。

2018 france centre 287

内部で、一番好きだったのは、床面、という地味も極まれり、笑。修復もされているでしょうし、床面については、まったく新旧がわかりませんが、同じ修復するなら、こういうオリジナルに近い、つまり地元産の石を使うなどのやり方が最高です。砂岩のようなもろもろした様子の石が古びて、大変良い感じでした。

記憶のよすがとしての一枚。

2018 france centre 288

結構普通の住宅地に墓地があるのですね。他人様の家の軒先に駐車したのは自分なのか、この家の車なのか、それすらすでに記憶なし、涙。

この辺りは大クリュニーの勢力圏で、この教会もクリュニー派という看板が出ておりました。実際、クリュニーはほんのすぐそこですが、あそこは、往時の教会の面白さはほとんどないため、今回はパス。その代わり、前回7年前のブルゴーニュ修行で、駆け足で訪ねた教会を再訪です。

2018 france centre 289

シャペイズChapaizeのサン・マルタン教会Eglise Saint-Martinです。

このたたずまいは、当時と同じで、周辺の土地の道や雑草ぼうぼう的な眺めも記憶通りなのですが、町全体が整備されている感がありました。やはり7年という歳月は長いのです。

しかし、この教会はよいですねぇ。再訪して、改めて好きさを確認しました、というのも変な言い方ですが。

2018 france centre 290

内陣側からファサードを見る一枚ですが、この柱の存在感!初めて遭遇したときは、ぶったまげましたが、やはりぶったまげレベルですよ、これは。
同じようなスタイルということで、トゥールニュにも行きたかったのですが、その時の旅では位置的に無理だったので断念したんです。今回、念願のトゥールニュも訪問した後だけに、感慨深かったです。

2018 france centre 291

こんな無装飾で、石フューチャーのスタイルは、フランスでは他にあまりないだけに、大変興味深いものです。潔くて、清潔感にあふれ、なんというのか、シトー的な?シトー派が好きなわけではないんですが、でもこれは文句なしに好きです。

これまた装飾最小限のファサード。

2018 france centre 292

上の方にあるブラインドアーチの不ぞろいさが、ぐっと来ます。古いですよね。
そして、扉の鋲うち装飾、これもぐっとくるアイテムです。

2018 france centre 293


これはフランスならではのアイテム。この扉は再生品のようで、内部にオリジナルなのか、と思われる扉がありました。

2018 france centre 294

長年の仕様で、木がダメになっちゃったんでしょうね。鉄部分は外されているので、台になる扉だけ再生で、装飾的な部分は、オリジナルを使っているんですね?すごいなぁ。

後陣側も美しいです。

2018 france centre 295

小さな墓地があります。
かつては、この教会があるだけで、集落とはいっても、近所には数軒ある程度の村ともいえないような状態だったのだと思います。今でも、幹線からちょっと引っ込んだ道沿いにある村です。食べ物屋さんなどが増えて、田舎のちょっとした観光地風にはなっているとはいえ、ただの田舎に近いです。

2018 france centre 296

それにしては、ずいぶんと立派な教会を作ったものです。やはりクリュニーの影響が大きいのでしょうかね。

次へ進みます。

2018 france centre 297

地図が単純すぎるだろう!と思われる向きもいらっしゃるかもですが、この辺りは、正直こんな感じで、道も限られるので、ナビがなくとも行けてしまうくらい簡単です、笑。

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログ 建築鑑賞・評論へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

インスタグラムに、これまでのロマネスク写真を徐々にアップしています。
Instagram, Notaromanica
  1. 2019/08/04(日) 18:29:34|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
  3. | コメント:0