ヴェネチア・ビエンナーレ2019 4
こういう大型の作品は好きなんだけど、ガラスで仕切りがあるスペースに置かれているのが、ビエンナーレとしては、ちょっと寂しい。開放しないと。
下の作品は、なんだか金獅子賞らしいんです。
Arthur Jafa (USA)
Big Wheel I, II, III
全部、大型トラック用みたいな巨大タイヤをモチーフにした、作品名そのままの作品です。ある日本語サイトによれば、黒人差別や人権のあり方に取り組む作家、ということです。
なんか、そういうテーマとか取り組みとか、そういうもの先行の感じな受賞。作品にテーマがあるのはわかるんだけど、まず作品を見て、お、これは何か感じる、というものがあって、それで、ちょっとその作家を知りたいと思う流れがほしい。
この作品は、同行者と、つまらんつまらん、と言いながら歩いている中にあり、同行者が、確かこの作品が、賞を取った作品だよ、というので、足を止めたくらいで、彼女がそれを知らなかったら、私には全然興味が沸かない作品だったということです。
そういう現代的なテーマをもって作品を作っているのね、それはそれでよいけれど、ごめんよ、私はこのタイヤからは、でけえな、以外は感じられなかったよ。
そういう意味で、いつもはもうちょっと作家名などを撮影しておくのですが、今回はさらりと通過が多いです。
Anthea Hamilton (UK)
これは、あまりに皮肉な意味でのInterestingで、キャプションを撮影してしまったんです。スペースを覆うタータンも、マネキンも、置かれているすべてが作品らしいですが、だから何?の典型っていうか。やっぱりつまらない時代に生きてるんだ、俺たち?笑。
Ryoji Ikeda (Kyoto, Paris)
data-verse 1
暗い部屋でのビデオ作品。ちょっときれいだったけど、インパクト薄し。一応日本人の作家さんということで、乗っけておきます。
木とか自然素材でできたレコードとその再生機。
The Spin Library by Tarek Atoui, Wu Lou Guangzhou (China)
アラブ音楽を再生するために作られたとか、なんかそういうもの。こういうちまちましたものは、結構好きなんです。
こういうの、なんか雰囲気あるんだけど、場末の温泉地みたいなやつで。でも成功してない。
これも。
これで、アルセナーレ、半分くらい踏破です。
この辺りで、かなり飽きてきていたので、後半の見学は後回しにして、アルセナーレの先にある離れ島状態の展示を先に見ることを提案しました。というのも、ランチの後人出が増えると、島へ渡る船が混雑することが予想されたし、時間が遅くなると、島に行くのも面倒になる気がしたからです。
というわけで、太陽さんさんの戸外へ。
確か、この廃船も、作品だったと思いますが、通過。
かつてのドッグでも、何か展示があるみたいです。変な音がしています。
Tomas Saraceno (Argentina)
Acqua Alta : En Clave de Sol
何でも、アクアアルタ(高潮)を警告するサイレンが、ベネチアには16種類もあるそうです。またはあったのかな。そのサイレンをベースに、サウンドを仕立てたとかそんなやつ。
電子楽器で演奏してたということなのかな。特に近寄る気もせず。
でも今思えば、ドッグのこの部分は、普段はアクセスできなかったと思うので、先まで行くべきだったのかも。遅かりし、笑。
船着き場の方に回り込んだら、おお~!見たかったやつ!
あっちにあったんだ!気が流行ります。
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2019/09/30(月) 00:42:01 |
ヴェネチア・ビエンナーレ
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ヴェネチア・ビエンナーレ2019 3
いよいよ、ビエンナーレのメイン会場の一つ、アルセナーレです。
いわゆる本会場は、各国のパヴィリオンが建つジャルディーニということになるのでしょうが、ビエンナーレの総監督によって集められた作品が展示されるアルセナーレ会場が、テーマを体現する会場になると思います。
実に地味で、面白みのないエントランスでした…。
ビエンナーレに通い出した頃は、そのインパクトや斬新さ、まさに現代美術の最先端を感じる何かがあったから、ついつい毎回通うようになってしまったのですが、最近は、回ごとに面白みが減っていっている感じです。
(複数のビデオ画面が、同じスクリーンに投影されていて、複雑なモチーフになっている作品。技術の面白さを感じますが、あーとしてはどうなんだ?)
今回の総合テーマは、「May You Live In Interesting Times」というものです。日本語の美術サイトを見ると、「数奇な時代を生きられますように」という意味だそうです。ニュアンスとしては、ちょっと違うように感じてしまいますが、権威ある方が訳している日本語でしょうから、そういうもんではあるのでしょう。
なぜ違和感を覚えるかというと、Interestingという単語は、肯定的な「面白さ」や「興味深さ」を表すイメージを強く感じるからなんです。「数奇な」というイメージとは違いますよね。
そして、ほぼ全部を見学して感じるのは、皮肉な意味でのInterestingです。「面白くもないけど、面白いふりをしている時代」みたいなニュアンス。実際、なんというのか、インパクトのない、だらだらした、キャプションを読ませるようなタイプの作品が多くて、「つまらない時代なんだな」ということを強調されたような、そういうイメージです。
総合キュレーターは、米国出身でUKで活躍するラルフ・ルゴフRalphRugoffという方。全体に地味で、美術の原点回帰とでもいうのか、油絵作品なども結構多くて、新鮮さも薄くて、なぜビエンナーレにこういうものを置かなければいけないのか、不明な作品が多くて、アルセナーレ、これほど盛り上がらないのも、珍しいくらい盛り下がりました。
これは、ちょっと食いついたやつ。
様々なタイプのハンバーガーとかサンドイッチが作られる場面が、延々と流されているんですが、具が、骸骨だったり、子供の人形だったり、グロなんです。
すごくグロいのに、テンポがいいし、小気味いい、と感じる自分がやばい、みたいな。
いつも同じことを書いてしまうと思うのですが、私にとっての現代美術は、見て、面白いかそうでないか、ほしいかそうでないか、そういう単純なものです。「キャプションを読んでほしい」的な説明的な作品は、基本嫌いです。
でも、今回は、金獅子賞のリトアニアについても、全体についても、そういうトレンドの作品が多いようで、それがキュレーターの意図だとすると、私の好みではないトレンドということになります。つまらないと思ったのは、そういうことかもしれないですね~。
いろんな言葉が降ってくる部屋。こういうのも面倒で苦手、笑。
きれいだったけど、だから何?と思ってしまう作品。
壁に向かってお座りしている、エジプトのはかりの神様みたいな犬がいるんですが、この人の作品、ジャルディーニのテーマ館にもありました。犬で気付きました。
今回、招待アーティストの数を減らして、アルセナーレとジャルディーニのテーマ館と、二カ所に異なる作品を展示するということを試みたそうです。確かに、幾人かのアーティストについては、作品の共通性から気付きました。
でも、そのやり方に意味があるとは、あまり思えませんでした。
同一作家の複数の作品を見ることで、作家に対する理解が深まるとか、どうですか?同一作家の作品を数多く見れれば、好きか嫌いかがかなり分かるかもしれないけど、二つ三つ見るのと、一つ見るのとの違いはあるでしょうか?
一人の作家に複数の作品とか、女性作家の参加増とか、なんか、「これまでにない」方針を打ち出したらしいですが、いずれにしても、全体としての新味が感じられないなら、意味があったのかどうか。
まぁ、多分、このキュレーターの人とは、感覚が合わないっていうことですね。
アルセナーレ会場は、元造船所だけに、高さも含めたスペースがあって、現代美術の展示にはピッタリなんですが、そのスペースの利点も、あまり生かされていない気がします。
歩いても歩いても、これはいいね!という作品がほとんどないので、同行者と二人、悪口雑言…、笑。
日本人のアーティスト、Katayama Mariさんの作品。
身体障碍者の彼女、自らの身体を張ったセルフ・ポートレート作品です。事前に、知っていましたが、セルフ・ポートレート系の作品は苦手だし、全体に苦手です。ジャルディーニ会場にも大型の写真が複数展示されていましたが、苦手でした。
そういう中、やっとちょっとスカッとする作品が。
Sun Yuan & Peng Yu (China)
Dear 2015
シリコン製の白いソファの、腰かける部分から、黒いチューブが出ています。周囲はガラスで囲まれていて、ガラスには傷がついています。
周辺を見ているときに、異様な音がしていたのが、どうやらこの作品らしい、と気付き、他の見学者に混じって、しばし、アクション待ちをしました。硝子に傷がついていることから、何か激しい動きがあるはず、とワクワク。
いきなり!チューブが激しくのたうち回るんです。壁を叩きつけ、椅子や床をたたきながら、すさまじい音を立てて…。
見学者の目の前の壁をたたいた時には、皆思わずあとじさって、おお…みたいなリアクション。こういう有無を言わさずの力業作品、大好き。
ジャルディーニに置かれていたこの方たちの別の作品も、やはり楽しいものでした!
で、やっとちょっと「よし!」と思ったと思ったら、いきなりこういう小宇宙。
海の底イメージですかね?レース編み。あのさ、だから?といやんなっちゃうっていうか、笑。
続きます。
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2019/09/29(日) 23:48:06 |
ヴェネチア・ビエンナーレ
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ヴェネチア・ビエンナーレ2019 2
なんか、例によってのろのろアップですみません。
サンタ・ルチア駅から会場目指して歩き出して、いきなりサテライト展示にどっぷりした後、また別のサテライト展示に迷い込みました。
ミキエル宮Palazzo Michielで、ここは、大運河沿いにあり、駅からの道沿いにはたいした様子じゃないのですが、運河側の眺めがあったり、そして、地上には素敵な井戸があったりして、雰囲気のある宮殿なんです。
割といつも会場として使われており、何度か入ったことがあるのですが(多分、過去のビエンナーレ記事で、写真をアップしていると思います)、これまではフリーでアクセスできた井戸のあるスペースが、アクセス禁止となっていました。
入り口は、透明のガラス扉で、鎖カギで閉ざされていたのですが、鎖がゆるゆるでした。「侵入禁止」と書いてあるし、カギがかけられているのですよ。それなのに、見学の帰り、若者が二人、緩んでいる鎖をさらに緩めるようにして、中に入って写真を撮っていました。インスタ映え的な写真をもくろんでいる様子が明らかで、なんだか悲しい眺めでした。侵入するなら、せめて誰もいないときにやれよ、と思いますが、そういう違法行為を隠そうともしない、つまり悪いことをしている認識すらない、というのが、現代の若者の情けない現実というんですかね。
ま、それはともかく。
ここは、どこかのパヴィリオンがあるというわけでもなく。
何がどうということもなく、アートがさりげなく展示されています。
これ、好きでした。メタルと強化ガラスかな。都市のスカイラインと文字がごちゃごちゃ並んでいるだけなんですが、メタルのこういうタイプの作品って、好きみたいなんですよ。でも、アートというより、ドリアデとか、ちょっとイケテル家具屋がインテリアオブジェとして作りそうな。つまり、ビエンナーレよりは、フオリサローネにありそうな作品だと感じました。
樹脂みたいな素材で作られた、バチカンのシスティーナ礼拝堂の天井。
バカみたいだけど、そして、全然意味不明だけど、妙に面白い。
そういう意味不明作品が、ずらずらあって、フーン、と眺めていく。そういうのが面白いっていうのも、現代美術に興味がない人にとっては、まさに意味不明かも、笑。
パンチングボール、笑。革で作られたオブジェですが、すっごく柔らかくて気持ちの良い肌触りなんですよ。すっごく昔に、ロエベだったかの子牛の革で作られたポーチかなんかを触った時の衝撃がよみがえりました、触感というのも、意外と皮膚が覚えているもんなんですね。しっとりと吸い付くような皮です。子牛の、と思うと、可哀そうな気持ちにもなりますが、勿論これが、子牛革だったかどうかはわかりません。
これまた、なんだかインテリアっぽい作品。
この会場に展示されていた作品は、総じてインテリアっぽかったかも。
これ、食いついちゃいました。
Sarco by Alexander Bannink & Dr Philip Nitschke (NLD/AUS)
ヒトを冬眠させるやつかと思っちゃったんですよね。SFとか漫画によく出てくるじゃないですか。宇宙旅行中、ずっと眠って長い長い旅をするとか、治療法が解決される未来まで、難病の人を冬眠させるとか、そういうやつ。あ~、大好きな「夏への扉」!久しぶりに読みたくなります!
おっと。
しかし、これは、逆目的でした…。
なんと、安楽死用の棺。
ビデオも流していたのですが、まずは、3Dプリンターで作成されたことが画期的であると。そして、終末の人を入れて、どこでも運んでいけます、ということも画期的だと。
人が入ると、低酸素状態を作り出して、限りなく自然に近い安楽死をもたらすとかなんとか。素晴らしい自然の中や、本人が望む場所での死が可能とか。
なんだか、それってどうなの?というブツで、これまたアートというよりは、ある意味生活感のある家具に違いような気がしました。まぁ、ポイントはそこじゃないけどさ、笑。
そんなわけで、ここの展示はさらりと流して、そろそろ会場に急いで向かわないと、とアルセナーレを目指します。が、途中で、そうだそうだ、今年金獅子賞を取った国のパヴィリオンは、別の場所にあるんだった、と思い出して、アルセナーレに行く前に立ち寄ることにしました。
しかし、迷った迷った。リアルト橋の近くから、真東に進んで、アルセナーレに、違う角度からアクセスする道の途中に、その会場があるのがわかったのですが、そして、スマホの地図も見られたのですが、やはりベネチアは、方向音痴には鬼門。スマホは画面が小さいし、自分の位置と向かうべき方向がよくわからないし、かといって紙の地図だと、そもそもどっちに進むべきかもわからず、何人もに尋ねながら、小路を縫うようにして、やっと上の看板にたどり着いたんです。
目指すはリトアニアのパヴィリオンの、Sun&Seaという展示でした。翌日でもよかったのですが、パフォーマンスが、水曜から土曜しかないということで、この日に行くしかなかったんです。
しかし、この看板のすぐ先に、なんと行列のしっぽがあり、行列は、関係ない建物を回り込んで、100メートル以上!
なぜか写真を撮っていないんですが、すごかったです。入り口にいる係員に尋ねると、少なくとも2時間、下手すると3時間待ちと。一瞬迷いましたが、いくら何でもそれはばかばかしいので、あっさりと諦めました。
展示は、大きなオープンスペースに人口の砂浜が作られていて、人々が三々五々リゾートを楽しんでいる光景が展開され、音楽だったりのパフォーマンスが入るというものらしいです。おそらく、見学者の人数が決まっている上に、一回に入れる人数がさほど多くないらしく、特にパフォーンマンスが始まると、まったく動かなくなるようでした。
ジャルディーニとアルセナーレの会場に入るには入場料が必要ですが、会場外のこういった展示は、入場無料。お金を払ってまで見る気はないけど、というやじ馬が、金獅子賞も取った展示、ということで、集まってきたんでしょう。
無料というのは、大変良いことですが、でも、こういう事態になると、ちょっと納得できない気もします。
いつもと違うアクセスをしたおかげで、アルセナーレの違う部分を見ることができました。
この高い壁を見る位置にあるバールで、お昼をいただいたのですが、女子だけで切り盛りしているバールで、大変気持ちよいサービスに、お値段もナイスで、よかったです。ベネチアは、隠れた場所に、地元的なお店、ちゃんとあるんですよね。巡り合うのは難しいのですが。
立派な建物です。これでもか、のライオンの数でした。
かわいらしい木製の橋。奥の方が、そのバールです。お勧めです。
やっとアルセナーレ会場に到着。次回、一気に行きます。
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2019/09/29(日) 00:51:53 |
ヴェネチア・ビエンナーレ
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その31
新しい一日の始まり。快晴ですが、真夏だというのに気温が低くて、毎度フランス中部の朝の寒さにはびっくりします。イタリアと違って、湿度が低い気候なので、寒暖差が激しいのですね。
オーヴェルニュ在の友人宅へ向かう日ですが、ブルゴーニュで見残している村を、できる限り回る予定で、朝一番で訪ねたのは、こちらです。
サンヴィーニュ・レ・ミーヌSanvignes-les-Minesのサン・シンフォリアン教会Eglise Saint Symphorien(681Rue de la Liberte')。
道沿いにあり、上の角度で、教会の美しさを堪能できる高台に、駐車場も完備。アクセスが大変楽なロケーションとなっています。
ファサード側に回ります。
とっても地味だし、後代の手が入っている様子で、つまらないたたずまい。その上、残念ながら、扉は閉ざされておりました。
もともとあまりカギを探してうろうろするタイプではなく、特にフランスだと言葉の問題もあるので、あきらめが早いです。特に、ここのように、外側だけでもうっとりとできる教会だと、さらにあっさりとカギを探すことへの執着は消え失せます。
事前にきちんと調べて、ここは絶対に中の柱頭をみるべし!などがあれば別ですが、特にそういうことがない場合は、基本あっさり…。自分が調べ切れていないだけだったりもするのですが、開いていないのも縁かなと思うこともあり。
でも、もし日本など遠方から訪ねていたら、そういうわけにもいかないでしょうから、皆さんきっと、事前にきちんと問い合わせなどされるんでしょうねぇ。心構えが違います…、反省。
扉周りは、ちゃんと往時の様子が残っているようです。と言って、特段好み、というわけでもないので、中が見たい、という欲求が強まるわけでもなく。
教会に入る人を監視するような位置、両脇に、それぞれおっさんがいるんですが、全然そそられない表情の人たち、笑。ちょっとローマ入ってます、みたいな?固いですよね。
それよりは、この、素朴な石積みの方がよほど魅力的で。
微妙に異なる色合いの石の組み合わせ、切り石のサイズ感も様々なのに、それがヘタウマな様子の積み方できっちり、というのは、結構ツボです。
軒持ち送りも、ただ石が並んでいるだけの素朴さ。
どっしりした塔のボリュームに比して、こじんまりとした一連窓が何ともチャーミングです。
ロマネスクラヴァ―の方々は、基本石が大好きだと思いますので、こういうたたずまいにうっとりしてしまうのは、私だけではないと確信しております、笑。
朝一番、眼福でした。
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2019/09/28(土) 23:28:06 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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ヴェネチア・ビエンナーレ2019 1
建築年の去年は、お休みしたビエンナーレ訪問ですが、今年は、一昨年同様、遠方の友人と現地で落ち合って、一泊二日で行ってきました。
天気が期待できない週末だったのですが、幸いにも初日は快晴、二日目は昼頃より雨で、土砂降りの中を歩く局面もありましたが、事前の天気予報からすれば、まずまずだったと思います。
メストレに宿を取り、鉄道でベネチア本当に移動し、駅から延々と会場まで歩くのは、いつものパターン。これは、運賃が高い上に混雑していて、快適とは程遠い水上バスを避けるためでもあり、また、本当のあちらこちらで協賛する企画展に立ち寄るためでもあります。
今回は、メストレ発ということもあり、おそらくいつもに増して、歩いた距離は長かったと思います。スマホの記録だと、連日20キロは軽く超えていました…。
さて、そんなわけで、今回も、見たものを順番にさらっておきたいと思います。ちなみに会期は11月24日までですから、興味のある方、まだまだ間に合いますよ。
まずは、会場へ向かう途中で出会った、テーマとは関係ない企画展です。と言っても、ジャルディーニにスペースがない国のパヴィリオンも含まれていました。
本来のビエンナーレでは、ジャルディーニという会場がメインで、その会場には各国のパヴィリオンが建っていますが、最後に作られたパヴィリオンは、オーストラリアだったでしょうか、数年前のことです。ただ、おそらくすでにスペースが不足しているし、また、パヴィリオンを建設するコストの問題も絡むのかわかりませんが、ジャルディーニにパヴィリオンを持たない国、要は、近年になって参加するようになった国、比較的小さい国だったり、いわゆる発展途上国だったりするわけですが、そういう国は、ジャルディーニ以外の場所をパヴィリオンとして、自国代表作品を展示することになっています。一つの館を使うこともあれば、他と共同のスペースの中の一室だったり、色々です。メイン会場以外の展示は、無料で誰でもアクセスできますから、そういった会場の方が、訪問者が多かったりする利点もあります。
駅から、さほどの距離でもない場所にあるPalazzo Moraモーラ宮。
この建物は、少なくとも直近数年では、使われていた記憶がありません。いつもはアクセスできな歴史的建造物に入れるというのも、このビエンナーレの楽しみ。これは、ミラノのフオリサローネとも同様、町を挙げてのイベントの特色であり面白さですね。日本でも、そういうことができたら、楽しいでしょうね。
外から見るよりも、中はすごく広くて、また複雑な構造の建物で、びっくりしました。うろうろしていると、自分がどこにいるのかわからなくなります。そして、どの部屋にも、いろんなタイプの作品が並んでいるので、楽しいことこの上なし。
とても全部はアップできないので、厳選、というか、自分的に面白かったものを。
Money Talks – US Dollar Moneyball 2014
by Alberto Echegaray Guevara (Argentina)
これ、この透明のボールの中に、なんと100万ドル分の紙幣をシュレッダーにかけたものが入っているらしいんですよ。このお隣には、同様の状態でユーロのボールもありました。
意味?それは考えてくださいね。
Republic of Seychelles
Drift 2019 by George Camille
これは、セイシェル共和国のパヴィリオンとなっているスペースの作品。さして広くないスペース一杯に、優しいクリーム色の紙が下がっています。紙には、エンボスでモチーフが入っているんです。
結構好きだったんですけれど、これは、ファブリック系というか、現代アートというよりも、商業的なミラノ・サローネの方が似合うような作品であり展示かとも…、笑。
迷路のような廊下の突き当りに、小さなバルコニーがあり、引き付けられる作品が。
Sun project, Venice 2019
by Gunnar H.Gundersen (Norway)
これは、快晴ならでは、堪能できるオブジェかも。要は、丸くて大きなガラス瓶なんです。それが、付近の風景を逆さに映し出して、不思議な風景を生んでいます。水、ガラス、そして太陽。確かにベネチアのエッセンスを写し取った作品ですよね~。
これは、とっても好きでした。展示の仕方もよいですよね。
いかにも、のものばかりでなく、正統的なアートもあるんですよ。例えば、こんな細密画的な油。
レースなどの細密ぶり、リアルさが素晴らしくて、それでいて、主張しているものを感じるっていうか、こういう絵は好きです。
一方で、こんな絵は嫌いですが。
これは、ベネチア・グラスのシャンデリアを見せたくて、アップする写真です。おそらく由緒正しい貴族の館、みたいな建物ですから、このシャンデリアも、本来所有していたMoraさんの時代からあるものと思います。各部屋に、それはもうすごいものがたくさん吊るされていました。
ビデオ作品は、基本好きじゃないのですが、今回文字通り、度肝を抜かれたビデオがありました。
Republic of Mozambico
モザンビーク共和国のパヴィリオンとなっているスペースです。うっかりアーティストの名前などを確認しなかったんですが、調べればわかるでしょう。
ほんの5分強のビデオと思います。
廃墟のような倉庫のようながらんとしたスペースで、男たちがテーブルを取り囲んでいます。両手は包帯のようなものでぐるぐる巻き。
一人が、ろうそくで、自分のぐるぐる巻きの手に、火をつけます。その火を、まるでろうそくの火を他のろうそくに移すような感じで、隣の人の手に付けていくんです。
火が燃え盛る両手を前に出しつつも、男たちは無表情。足を踏み鳴らすような効果音が、どんどん高まります。最後の人の炎が燃え上がって、映像は終わるのですが、なんだろう、すっごく興奮、高揚するっていうか、意味とかなんとかどうでもよくて、あ、これはすごいってドキドキしました。
どういうものがあるのか、なんの事前知識もなく、心の準備もなく、こういうものの前に放り出されるって、すごいですよ。やはりインパクトのある現代美術は本当にインパクトありますから。
通りすがりのスペースに、ちょこんと置いてあったもの。
ちょっと雰囲気があって、展示されているスペースにもドンピシャ、という様子だったので、好感を持ったのですが、よく見たらスカートの下は、何?象の足?とっても主張を感じる作品だったのですねぇ。現場では、気付いてませんよ、情けないですが、笑。
お屋敷として使われている時代には、誰も立ち入ることのなかったであろう屋根裏も、展示室として使われていました。
展示がつまらないときも、こういう建物の造作とかが楽しめるのが、面白いところですね。
ここの展示は、つまらなかったんです、笑。
そして、ちょっとした小窓から、外が見えたり。
美しいガラスのビンが置かれていた小さなバルコニーが見えました。
右上のバルコニーにも、作品らしい黄色い階段が見えますが、ここはたどり着けませんでした。完全迷路でしたね。
わんこラブの同行者が狂喜したお犬様御一行。
作品は、本当にすごい数が展示されていましたし、写真も撮ったのですが、きりがないので、この建物はこの辺で切り上げて、先に進むことにします。あまりに盛りだくさんの展示だったので、この後、会場に行きつけるのか、ちょっと不安がよぎりました。
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2019/09/22(日) 20:49:58 |
ヴェネチア・ビエンナーレ
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その30
この日のホテルに向かうまで、もうひと頑張り、ということで立ち寄ったのが、こちらです。
ジェヌラールGenelardのサン・ジョセフ教会Eglise Saint Joseph。
ここ、谷底みたいなロケーションだったような。そして、この教会は村のとっつきに、いきなり建っていたような。住所を持っていたので、多分この辺、と思ったような。
でも、こんなに新しい外観だったので、当たり前に通り過ぎて、ちょっと行ってから、やはりあれらしい、と戻ったいきさつがあります。
そして、中をのぞくと、こんなですから、あれ?やっぱり違うかな、とまた、外に出てみたりしたような、笑。
でも、説明版に教会の名前があったので、やっと確信して、再び入場しました。
とはいえ、なんかぱっと見、さえないですよね。疲れた身体にムチ打って来たのになぁ、とがっかり感にまみれつつ、後陣の方に近づいて、あっ!と…。
わかるでしょうか。身廊に置かれたわざとらしい柱頭とは全く別物の、いかにも起源が古そうな柱頭が並んでいるんですよ。
どれもが、かなりシンプルな植物モチーフなんですが、そのシンプルさがはまるっていうのか。完全に私のツボ。
12世紀と理解しましたが、限りなく11世紀テイストというんでしょうか。処理がきれいなんで、やっぱり12世紀かなぁと思いますが、この技術をもって、こういうシンプルなモチーフに徹する、というのは、なかなかすごい石工さんです。
もしかしたら、この辺りには、人や動物を彫りこむ、というのが、まだ普及してなかったのかなぁ。谷底っぽかったし?
ごちゃごちゃといろんなフィギュアが錯綜した柱頭も面白くて好きですが、感じの良い植物モチーフっていうのは、本当に好き。一個、マイ柱頭を持てるとしたら、きっとこういうタイプが欲しいかなぁ、と思うんですよね。
柱頭と副柱頭の間に、下駄をはいているような構造にしているのが、ちょっと気になります。
何かこだわりなのか、または構造上、深い意味があるのか。
他では気付いたことのない作りだと思います。そうじゃないやつもあって、下駄ばきと下駄ナシが混じっています。
地味な写真ばかりで恐縮です。でも、同病の方なら、きっと楽しんでくれるはず、笑!
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2019/09/19(木) 05:03:19 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その29
唐突ですが、整理整頓が非常に苦手です。でも、時々、発作的に片づけたりするんですが、その後がいけません。整理整頓できてなくても、意外と自分の秩序というものがあって、こういうものはその辺、ああいうものはこの辺、みたいな置き場所とかあるので、雑然とした中でも、探し物は割と見つかるんですが、慣れない整理整頓をしてしまうと、秩序が失われて、ものが見つからなくなります。
で、ある教会の資料、といっても、教会に置いてある薄っぺらい冊子だったと記憶するんですが、この発作的片付けの不幸に巻き込まれ、昨夜から探しているのに見つからず、イライラしています。
こういう旅をしていると、ネットでも見つからない情報がいまだに結構あるので、あれば資料は入手してしまうし、かといって、入手した資料を、すぐに同行、というものでもないので、積読、ということになるわけなんですが、本ならともかく、薄っぺらいものは、他に紛れてすぐ行方不明になりやすいので、今後は、特定の保存をしないといかん、と決意しておりますが、今が今、知りたいことがあるので、非常に歯がゆい。
本日の記事には、まったく関係ない前振りです、笑。
ぺレシー・レ・フォルジュPerrecy-les-Forgesのサン・ピエール・エ・サン・ブノワ教会Eglise Saint Pierre et Saint Benoit です。
ここは、以前訪問した際、修復中で、ナルテックス全体が鳩の住処となっていて、糞にまみれて臭くも悲しい姿だった教会。確か象の柱頭が見たくて、行ったんでした。
当時は、右も左もわからない状態で、突撃状態でしたが、とにもかくにも、目的であった象には会うことができました。
前回とはアクセスの方向が違うと思いましたが、表立っての修復はないようです。
この辺りで、同じようなタイミングで教会に向かっている男性に気付きました。というより、フランス語だったと思いますが、「ここがよい撮影スポットだ」とか、「あれを撮ったか」などと私に話しかけてくるのです。無視していると、さっさと教会に向かい、どうやら扉が開かないようで、悪態をつきながら、ガンガンたたいているのです。
いい加減、ガンガンバタバタと暴れてから、引き返してきて、「開いてねえよ」みたいな捨て台詞を残して、去っていったのでした。
その人の行動も謎でしたが、私としては、アクセスする前に、すでに大ショック。二回目にして、まともや敗退…。縁のない教会って、あるもんですよねぇ。時間的にも、季節的にも、開いていない理由が不明です。でも、男性があれだけやって開かないなら、クローズなのは間違いなし。ふぅ。
ま、気を取り直して、ナルテックスの見学です。
きれいになっています。少なくとも鳩はいなくなっていて、勿論フンもなくて、それだけでもありがたい、と思います。以前は、このメインの扉の前はフンでびっしりで、近寄るのも嫌な状態だったんですから。
ちなみに、下が、前回2012年に訪問したときの写真。
全体に白くなっていますよね、修復されて。一つ一つの柱頭も、大体白さが目立つようになっていました。
写真ではにおいまでは伝わりませんが、鳩の糞とかカビのにおいで、やりきれなかったし、ごみくずがたくさん落ちていて、早く立ち去りたい空気が満載でした。
ここの彫りはなんだか多種多様、タンパンもアーキトレーブも柱頭も、で、目移りが激しくて、アワアワ状態になります。複数の石工さんがかかわっていると思われ、技術や表現方法がそれぞれ違う感じで、面白いです。
タンパンは、かなりすっきりしています。他の彫り物を見ると、よくここまで思い切ってすっきりの構図にしたな、と逆にびっくりするようなすっきり感です。改めて見ると、アーモンドを支える天使の翼が、見事ですねぇ。
そして、すべてお顔がしっかりと残っているのは貴重ですね。
ここのは、他も含めて、保存状態が大変よろしい。結構でかい教会ですが、なぜ革命の激動を被害なく生き延びることができたのでしょうか。
扉の両脇には、左右どちらも、戦う天使。左では、大天使ミカエルが、ドラゴンを踏んづけてます。
ドラゴンが、従順になった子犬みたいに、ミカエルの顔を伺いながら、衣の裾を甘噛みしている様子が、なんかいいですね。石工さん、自分の飼い犬をモデルにしたのでは?とか、想像してしまいます。
右の方も、ミカエルかと思ったのですが…。
説明には、「戦う天使」とありました。戦う天使って、イコールミカエルじゃないんだ。
それにしても、りりしくて、躍動感にあふれていて、それでいてお顔はヤマトタケル的な端正さで、これはかなり好きな人、💛。
そして、剣を持つ右手のすじに、驚きました!
リアリズムな石工さん。ロマネスク後期ということでしょうかね?
アーキトレーブ、フランス語だとリントーとなるのでしょうか。
左から、ユダの接吻、キリストの捕縛、とか説明があるのですが、わかりにくいです。
リントーから続く左の方には、天の国(エルサレム)の庭でのキリスト、とあるのですが、やっぱりわかりにくい…。
説明にもありましたが、ここでは、複数の異なる石が使われているようで、それで、色が違うのです。タンパンと、上のリントーの脇の部分は、石灰岩でも、リントー部分に使われている石とは種類が違うようです。そして、柱や壁部分は、砂岩とありました。
で、なんか、その石灰岩部分が、若干弱くて、上からの圧で、ひびが入ったりとか、そういうことがあったようです。多分…。フランス語、相変わらずいい加減…。
ちなみに、そういった説明の中で、このファサード部分の彫り物の多くに、彩色があったらしいことにも触れられていると思います。色がついていたら、かなり違う印象でしょうね。すっきりしたタンパンも、おそらく別物…。
確かに、ところどころ、色が残っているようです。緑は、カビと思いますけれど。
扉口は、一応試しましたが、勿論開きませんでしたので、ナルテックス全体を改めて見学。そうそう、あの人。
きれいにお掃除されて、ちゃんとごっつんこしてらっしゃいました。
一通り見学を終えて、裏の方に回ります。
後陣側に広がる緑の原っぱは、以前と一緒。ベンチも同じ。
そして、びっくりしたんですが、これまた以前と一緒の歓待が待っていたんです。
可愛い子猫がたーっと走り寄ってきて、遊んでくれました。虫刺されでひどいことになった直後だし、のらちゃんには触りたくなかったんですが、あまりにかわいいので、無視できず…。あの時の猫の家族かもしれないし~。
入れなかっただけに名残惜しく、最後にもう一回り全体を見て、あとにしました。おそらく、三回目のリベンジ、ありそうですね、笑。
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2019/09/14(土) 19:36:55 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その28
押しつけガイドしていただいたこともあったのか、地味なのに、予想外にツボにはまったトゥーロン・シュル・アローのあとは、時間も押し迫ってくるし、次の目的地に直行のつもりだったのですが、小さな村を通り抜けがけに、道沿いの教会が目に入ってしまいました。
サン・ロマン・スー・ヴェルスィニーSaint-Romain-sous-Versignyのサン・ジャン・バプティスト教会Eglise Saint Jean Baptisteです。
上の写真で言うと、右の方から来て、左手前の方向に向かうところだったんですが、この教会を認めて、この、撮影している場所が駐車場という絶好のロケーションだった上に、確か駐車場にはトイレもあったんじゃないのかな。
で、正直、やれやれ、という気持ちがあったのですが(こういう小さいところまで見ているときりがないのはわかっているので)、でも、このときは停まる気持ちになりました、なんでか…笑。
近づくと、こんな感じで、新しいし、これは期待できないな、と思ったものの、ここまで来たんですから、一応一通り見学。
そういう、かなりどうでもいい状態なのに、教会は開いているのが、ある意味皮肉…。
それにしても、きれいにされちゃって。
ファサードは、もともと何もなかったんですかね。これほどすっきりというのも、珍しいほどの断捨離状態ですね。
外のイメージ同様、中も、すっきりです。
天井も床も新しくて、天井なぞ、漆喰ぬりたてかと見まごうような白さです。
石積みの壁そのものは、おそらくオリジナルなんでしょうけれどもね。
目を皿のようにして、何かないものか探しましたが、ロマネスク当時のものは、壁そのもの以外は、見あたりませんでした。
トゥーロン・シュル・アローの教会で、おじさんに教わったばかりの知識をもってすれば、ここは、本堂の窓も、この後陣の開口部も、派手に拡張されている様子です。
真ん中のお像が置かれているものが、本来の大きさなんじゃないですかね。両脇のは、おそらくステンドグラスを入れるためとか、そういう理由で拡張されたのではないかと。
現場主義で仕入れた知識も、蓄積していけば、それなりのものかもしれないですね?すぐ忘れちゃうのが、私の問題ですが…笑。
ちなみに、お像は、教会が捧げられている、洗礼者ヨハネみたいですよ。
ラクダの革的なお召し物ですね。私の中では、「ヨハネと言えばラクダの革」。お像でも彫り物でもフレスコ画でも、ラクダの革の表し方が、妙に気になるタイプです。だって、ラクダの革なんて、当時は、普通の人があまり目にすることがなかった素材だと思うんで、多くの人が想像だけであらわしているわけですよね?そういうところに興味があって。
最後の頼みの綱は、これ。
石積みがそのままだし、何かあろうと目を凝らして、軒持ち送りですね。
大騒ぎするようなものではないけれど、やっぱり痕跡を見つけると、嬉しくなります。
他に見るべき大物があったら、ここまでは観察しないよなぁ、といった小さなものたち。ほんの一握りのフィギュアの中で、秀逸はこれかな。
小さなやつが叫んでいます。
なんか、ちょっと嬉しくなっちゃう子。こういう時、バカみたいなんですが、「この子ったら、待っててくれたんだわ」みたいな感覚になっちゃうんですよ。で、危うく通り過ぎないでよかった、と胸をなでおろす、みたいな。
これは、ロマネスクの病気にかかっている人にしか、おそらくわかってもらいにくい感覚だと思うんですけど、どうでしょうか。
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2019/09/13(金) 05:30:25 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その27
オータンで柱頭を堪能した後は、途上にある教会に立ち寄りながら、この日に泊まる宿に向かいます。
まず、立ち寄ったのが、トゥーロン・シュル・アローToulon-sur-Arroxです。何ということのない地方都市。教会の正確な位置はわからないまま、自然にたどり着いた、町の中心部にある小さな駐車場に、車を停めました。
車を降りて、ぐるりと見回すと、建物の向こう側に、教会の鐘楼らしき姿を認めましたので、そちらに向かいます。
ちょっと引っ込んだ位置に教会が建っていましたが、たたずまいが、どう見ても新しい。
半信半疑ながら、一応中に入りましたが、明らかにここではない~!この程度の規模の町に、もう一つ教会があるのかしら、と思いながら、この教会を出て、うろうろっとすると、すぐに、この看板が目につきました。ちゃんと、もう一つあったんですね。
こういう時の看板にありがたさ。アナログ人間の私にとっては、やはりこういう昔ながらのやり方が好ましいです。
最初に入った教会から、ちょっとぐるっと回りこむような感じで、実際の目的だった教会の正面に出ます。
サン・ジャン・バプティスト教会Eglise Saint-Jean-Baptiste。看板にあるEglise Romane M.H.のMHは、歴史的建造物Monument Histriqueの頭文字かな、と思います。
入るとき、ちょっと面白かったんです。
こちらの教会もファサードでは、古さがわからないよなぁ、と本当にこれかなぁ、と私の足取りがちょっと重かったんですよ。そしたら、ちょうど同じタイミングで、この教会に向かってきた、見るからに地元民のおやじがいたんですが、「入っていきなさいよ、無料だし」と声をかけてきたんです。
教会だし、普通は無料に決まってるし、何言ってんだろう?と思いながらも、彼について、入るような感じになったんですが、なるほど、言っている意味が分かりました。
ここ、展覧会場になっていたんです。
下の方に、ちょっとだけ展示が見えていますけれど…。
一瞬、げ~、展覧会かよ、と思いましたが、そのたたずまいのすばらしさに、すぐに自分の世界にどっぶりして、夢中で撮影開始です。
おやじは、この展覧会を訪ねてきていたようです。受付のおばさんと、すぐにおしゃべりを始めていました。
いかにも古そうなその建築やディテールにうっとり。その上、こんな愛らしい柱頭があるんです。
かわいらしい人物フィギュアが、両手で持っているのは、蛇っぽいのですが、表すものは、なんでしょうね?
他は、ほとんどが素朴な植物モチーフの柱頭なんですが、古び感が、何とも言えず好み。
私がアワアワ興奮して撮影している間、おじさんは、受付の人と楽しく談笑してらっしゃいましたが、おしゃべりが一段落したのか、いつの間にか私のそばに来て、いきなり勝手にガイドが始まりました、笑。
時々あることですが、フランスでは珍しいことです。
勿論、完全にフランス語。適当に相槌を打ちましたが、正直わかったのは一割くらいか。
かすかに理解したことは、二つ。一つの柱頭の図像が、蛇であろうということ。
トップに挙げた写真も、蛇のフィギュアっぽいですから、なんか強くフューチャーされていますよね、蛇。おじさんが色々意味とかも話してくれたと思うのですが、わからず…。
もう一つよくわかったのは、開口部のこと。
右身廊の、一番扉側の窓が、下の写真の右側のものなんですが、この窓だけがオリジナルなので、他と比べると小さいんだ、ということ。
これは、わかって嬉しかったです。窓の大きさをいじったり、また何もないところに窓を穿つケースは大変多いですが、こういった微妙な大きさの違いなどは、なかなか一人で見ていても気付かないですから、今後も含めての注意点、と思ったのです。
図面が張ってありましたけれど、確かにこの位置の窓だけが、他と違う形状で書かれていました。おじさん、よく知ってますね。
地味ながら、大変満足のいく教会でした。古けりゃいいってもんでもないですが、11世紀創建の教会は、好きだと思えるものが多いのは、確かだと思います。
ちなみに、外側は、一通り見たのですが、ほとんど再建状態で、11世紀の面白みはなくなっていました。
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2019/09/11(水) 04:56:13 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その26
オータンAutunのサン・ラザール大聖堂Cathedrale Saint Lazare続きです。
長年のあこがれだった柱頭にご対面して、満足いっぱい。せっかく来たので、有名なタンパンも、きちんと再訪です。
なんか、すさまじいですよね。好みの程度で行くと、全体としては、すごすぎることによる辟易感が強くて、やはりなじめないんですけれど、でも、すごいのは本当にすごくて(語彙が貧弱で申し訳ない)、こうやって写真で改めて見ると、素直にすごいなぁって思えます。
変な言い方ですが、現場にいると、「もういいよ」ってすごすごしちゃうくらい圧倒的というのか、負けた、みたいな気持ちになるっていうか、ちょっと複雑。こんなにすごくなくていいから、ここはタンパンだけにしとこうよ、みたいな。柱頭とかアーキトレーブとかの装飾は、他の教会で、そこだけ見せてよ、みたいな、笑。
細部まで、細かい彫りです。苦しんでいる人たちや悪魔系、表情がマジ怖いな。
悪魔くんがこんなに愛嬌あったら、全然怖くないよね~、と思うことも多いロマネスクの図像ですが、ここのはきちんと怖いですね。
対称的に、天使や聖人たちは、とってもすっきりときれい。すごくわかりやすく彫っているというのか、真面目な石工さんなんだな~。
きれいどころ、アップにしてみますね。
ね、清純で純白で、両性具有的で、何とも美しい方々。
アーキトレーブの彫りも、相当修復されている様子ですが、もともと保存状態は良いのでしょうね。
写真見ていても、やっぱり目移りしちゃって、ダメだわ。いや、写真の方が冷静に見ることができる分、どんどん見たくなるみたい。
改めて、アーモンドの中に鎮座しているキリスト像の大きさに驚いたり、彫りの細かさに驚いたりしてしまっています。
大胆ですよね、このキリストと他のフィギュアとの大きさの差は。
これだけ大胆な大きさで彫っといて、でもやっぱり、すべてがスペースに合わせた無理なポーズで…。今回は、ちょっとおざなりにみてきたんですが、なんだかもっとキチンと細部まで見たくなってきた…。
とか言いながら、現場に行くと、なんか無理、ってなっちゃうんですよ、また、笑。
でもね、きっとまた行ける、いや、行くだろうと思っています。
ブルゴーニュは、実は、ヴェズレーも、2012年の旅では大規模な修復中(今年も外が修復中と聞いたので、行きませんでした)で、重要な部分が見られていないので、絶対再訪しないといけないんです。今年の旅で、ブルゴーニュなら、ダイレクトで行けることも分かったしね。
繰り返しになりますが、ご興味の向きには、現場訪問を、強く強くお勧めします。と言っても、本堂の修復が終わるだろう2020年以降にしてもらった方がよいですけどね。
そんなこんなで、大満足の再訪となりました。
そして、教会の広場にある古本屋さんで、ゾディアックまで買っちゃいました。
何気に入って、何気にロマネスク関連の本があるか尋ねたら、ゾディアックがずらりと。お値段が妥当かどうかもわからなかったんですが、そしてこのときは飛行機で帰るので、持ち運び大変なのはわかっていたのですが、一冊だけ求めました。
それが…、大好きなルシヨン地方のを買ったつもりで、ラングドックを買っていたという…。ルシヨンとラングドックって、ペアになっていたりして、自分自身も、ペアで訪問したんで、混ざっちゃって…。まぁ、いいんですけどね、あまり行ってないし。
古本屋さんにまで行っときながらなんですが(実は、ゾディアックを一冊選ぶのに、結構な時間を使ってしまいました)、今回は、エヴァとは再会なしです。博物館に入っても、前回の経験から、ほぼエヴァしか会いたい人はいないのがわかっていたので、再会は、いつかあるかもしれない再訪のときまで伸ばすこととしたんです。
教会を後にする頃には、雨もすっかり上がって、満足でいっぱい。12時ごろついて、15時頃までいてしまったので、私としては記録的な長時間を使ったことになります(ランチをいただいたとはいえ…)。位置的には、今回のルートから外れるため、ちょっと迷いはあったのですが、マギの眠りを邪魔することは夢だったので、やはり行ってよかったです。
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2019/09/06(金) 05:14:11 |
ブルゴーニュ・ロマネスク
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