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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

強烈な目力(グルドン1)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その32

久しぶりに、こちらもアップします。これじゃ、一生、終わりそうもないですね。どんどん遅れてて、記憶が薄れて…。気持ちは焦っているんですが、一度落ちてしまったペースを戻すのは、至難の業。
ブログすらこんな調子なのに、ホームページの再建ももくろんでいるんですよ。いや、もくろむことは誰でもできるわけなんですが、何も手を付けていないんで。でも、やっぱり、いつかちゃんとまとめてみたい、というのは、野望というか夢というか、実際に訪ねることが難しい人にとっても、ロマネスクをお届けしたいという希望ですかね。いや、押しつけ?笑。

さて、次に紹介するのは、このときのブルゴーニュの旅のハイライトの一つと言ってもよい教会です。わたし的には、ですけれど。

2018 france centre 417

グルドンGourdonのノートルダム・ド・アソンプション教会Eglise Notre-Dame-de Assomption。

まずは、記憶のよすがになるものとして、アクセス時に目にした写真を貼ります。
この村の立地は、上の写真で言うと右側の方から坂を登ってきて、この教会のところでカーブして、左奥が村となります。
このように、教会が見える場所に路肩に車を停めましたが、この辺り全体が坂道です。きゅっとハンドブレーキを入れた記憶がありますから、ブレーキが気になる程度の、結構な坂道だったんでしょうね。

ちょっと十字架などが垣間見えていますが、後陣側は墓地となっていますので、それで、このようにしっかりと囲いがあるのですね。

2018 france centre 418

地味なファサード。だけど、全体の雰囲気がとても良いので、絶対に期待できるはず、という思いで、すでにワクワク感が高まっています。
開いている様子に、嬉しくなります。いざ、入場!

2018 france centre 419

本堂に入った時は、急に暗いところに入り込む状態が多いので、最初は様子がよくわからないのですが、それでも、自分好みの場合は、すぐにわかるのが不思議。ディテールなんか見えないのに、あ、いい!と感じられるんですね。
ここは、まさにそういう教会でした。
入るなり、一気に興奮のるつぼ!病全開です!

例によってアワアワしながらも、まずは後陣に突撃。

2018 france centre 420

描かれた時は、どういう色だったのかわかりませんが、おそらく、もっとしっかりとした多色が使われていたのではないかと推察しますが、時を経て、逆に、いま好みの雰囲気になっているかも、というフレスコ画です。
これは、有名な日本人の修復家である高橋さんという方の修復の賜物ということです。

2018 france centre 421

ちょっとフレスコ画の下絵であるシノピアに近いような淡い状態です。
キリストが、仮面でもはめているような眼をしているのが、え?という感じ。

2018 france centre 422

ね、ちょっとアニメっぽい、笑。
この、超素朴装飾がほどこされたアーモンドが好ましいです。この楕円や四角は、宝石を表しているのかしらん。

2018 france centre 423

他の人々も、みんな目張り状態。目力ギンギンです。

2018 france centre 424

生まれたばかりのキリストも、マリアも、ジュゼッペも、ギンギン。
これ、オリジナルがそのまま残っていたら、素晴らしいインパクトのあるフレスコ画だったでしょうねぇ。この目力の人々が正面も右も左もですから。
動物だって、ですよ。

2018 france centre 425


この時代の象って、こういう感じですね。伝聞で、こういう形になったんでしょうか。これ、前身の一部しかないので残念です。全身、どういう姿になっていたのか、興味ありますね。しかし、全体の雰囲気は、他で見た象と共通しますが、この目はね、やはりここならではのインパクトですよね。

色が比較的残っているやつ。

2018 france centre 426

やはり目張りは入っているのですが、他とはちょっと違うような。でも、色付きだとこういう感じなのかなぁ。または、後付けの手が入っている可能性もなくはないですよね。なんかちょっと現代風にされちゃってる感じもするんですけど。

あ、でもやっぱりこうなのかな。

2018 france centre 427

怖いですね。うん、怖い絵です。
実は、柱頭がすっごく愛らしいので、落差激しいです。

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  1. 2019/10/14(月) 01:32:49|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
  3. | コメント:0

テーマ館、さらりと終了…(ジャルディーニ 3)

ヴェネチア・ビエンナーレ2019 11

台風19号、大変だったようですね。こちらのニュースでも流れたので、びっくりして、昨夜はネットで日本のニュースを見ていました。
日本は、イタリアなどに比べると、インフラも含めて早期復旧が当たり前、という感覚でいたのに、いつの間にか、そうではなくなってきていますよね。最近では、イタリアの方が、よほどきちんとした対応をしているケースなどもあり、日本の将来に不安を覚えることも多々あります…。
被害を受けられた方々の生活が、一日も早く、日常に戻ることができますよう、祈るばかり。

さて、長丁場になっていますが、ビエンナーレ続けます。テーマ館、地味で、インパクトがなくて、何を追求しているのかどうしてもわからなくなる展示が続きます。

2019 biennale 149

勿論、それはアーティストの問題ではなく、テーマに沿った作品を集めているはずのキュレーターと、それがしっくり感じられない私の問題なんですけど。

2019 biennale 150

参加アーティストの数を減らして、その分、一人のアーティストの異なる作品を、アルセナーレと、このジャルディーニのテーマ館との両方に展示するという、新しい方法が取られた今回。作品に明らかな共通項がなくて、気付かない人もあったと思うのですが、多くのアーティストについては、わかる仕掛けがあったり、例えばセルフポートレートの人などは、当然わかりますよね。
上の作品も、エジプトの犬みたいな置物が、作品に共通だったので、あ、あの人だね、とわかるわけなんです。

2019 biennale 151

これって、むかし動物を半分に割った断面図という作品がありましたが、あれのバイク版?
半分に割られていない牛もいました、笑。

2019 biennale 152

一人のアーティストに対する理解を深めてほしいという意図での複数展示だとしても、でも、面白い人は面白い、そうでない人はそうでないの二乗になるだけで、正直、そういう方法がよいのか、私は疑問に思いました。
それよりは、知らないアーティストに、少しでもたくさん会いたい。

2019 biennale 153

ジオラマ。こういうのは、いつもどんなのも好き。
これは、写真だと見えないんですけど、ランプのようなやつは、全部電光掲示板っていうか、デニーズとかマックとか、ファストフード系の看板で、それがなんかテーマだったのかな。

で、テーマ館終了で、入り口に戻ってきました。

2019 biennale 154

入った時とは全然違うモチーフが浮き上がっていたんで、あ、そういうもんなんだ、と気付いた次第。

2019 biennale 155

ハンガリー館。入り口がきれいで、いつも目立っています。でも、展示は、これまた地味で、面白みなかったな。

2019 biennale 156

別に、奇をてらったものが好き、というのではないんですよ。ないんですけれど、なんかこう小粒な作品は、わざわざビエンナーレで見たくないなって思っちゃう感じです。

2019 biennale 157

オーストラリア館は、かなり新しいパヴィリオンですが、運河脇の、素敵な立地です。

2019 biennale 158

向かい合うように大きなスクリーンで、音楽が。だからなに?ってやつですね、笑。
すっごく時間があって、一日ゆっくりとここだけ見る、というようなスケジュールだったら、こういうところで座り込んで、ぼーっとするのもありかな、と思いますけれど…。

2019 biennale 159

オーストラリア館のバルコニーから、対岸に広がる公園の、オブジェ的なテーブルと椅子なのかな。晴れていれば、格好の休憩所でしょうけれど、この日は雨なので、寂しいことでした。

2019 biennale 160

アメリカ館。
とぐろを巻いた色々が。

2019 biennale 161

新しみは、特に感じないまでも、作品全体に一貫するものがあって、これは商業的にそれなりに売れている人なのではないか、という印象です。アメリカだしね、笑。

北欧館(フィンランド、ノルウェー、スウェーデン)

2019 biennale 163

スペースの真ん中に木が生えていたりして、パヴィリオンとしては、一番好きかも。
展示は、ここもまたすっきりとパステルで、なんかインパクトは今一つで、散漫な感じもありです。まぁ、こういうオープンスペースなので、統一感は出せないと思うんですけれど。

2019 biennale 164

続きます。

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  1. 2019/10/14(月) 00:47:26|
  2. ヴェネチア・ビエンナーレ
  3. | コメント:0

人間的な器械とセルフ・ポートレート(ジャルディーニ 2)

ヴェネチア・ビエンナーレ2019 10

かなりさらりと流したつもりで、写真もなるべく控えめにしたつもりなんですが、それでも二日間みっちり見学すると、結構見ているもんだなぁ、とちょっと感心しながら書いています。
ジャルディーニ、続きです。

2019 biennale 134

スイス館。
ここも、ほんの時々、おっ、と思った展示があったりしますが、すごくほんの時々のような気がします、笑。
結構大きなスペースなんですが、壁一面の大きなスクリーンで、延々と退屈な映像が流されていました。靴をね、前後ろ逆にはいている人たちが、黙々と歩くんです。
訴えたいのは、発想の転換だったりとか、常識を疑えとか、そんなところでしょうかね。

2019 biennale 135

退屈なのに、しばらく腰を下ろして見入ってしまったのは、どう考えても、靴は前後逆にははけないはずなのに、なんかはいている様子で、普通の感じで歩いているのが不思議で~。そういうどうでもいい点に、結構食いつくタイプです、笑。

さて、各国パヴィリオンは、まだまだたくさんあるのですが、早帰りの同行者のために、やはりテーマ館を見ておきましょうということで、そちらへ。

2019 biennale 136

アルセナーレもかなりつまらなかったので、こちらも期待はできませんが、やはりビエンナーレに来たからには、テーマ館は見ないとねぇ。

2019 biennale 137

入り口。白くて、パステルで、インパクト薄いですねぇ。
これは、圧で、プラスティック的な板に、文字とか模様とか、色々浮きだしてくる仕掛けのやつ。でも、全体がこういう感じなんで、なんていうか、しっかり見てやろう、という気持ちにさせないんですよね。
出る時に、入った時と違う気がしたので、あれ?と思って、ちょっとキャプションを見て、あ、確かに違うんだ、と気付いて。でも、だからって、よく見直すとかもなく、あ、そ、と出てきました。薄い…。

蛍光灯で、文字通り煌々とした廊下。

2019 biennale 138

飛び出してきた男の子の赤いジャケットが、とても良いアクセントになりましたね。
これは、写真で見るよりも、もっとずっと煌々としていて、かといってまぶしいということではなくて、なんというんですかね、こういう電気と反射の効果って、これまでも異なる作品で体験しましたけれど、全体がのっぺりして、遠近感や境目が消えて、視覚が変になる効果があって、面白いんですよ。
でも、そういう効果を狙っているにしては、ちょっとばかり半端ではあったかもしれないです。
確か、アルセナーレでも、光の効果を使っていたRyoji Ikedaさんの作品だったと思います。

2019 biennale 139

シュールレアリズムの絵画。なんかなぁ。もちろん絵画もありですけど、今が今、そして、May You Live In Interesting Timesとか言っといて、これですかねぇ。
テーマ館、入って数秒で、やっぱりだめそうだね、という感じでした。

素敵な雰囲気の坪庭で、自然の色合いにほっとしたりして。

2019 biennale 140

ベンチみたいに並んでいる変な形の物体が、作品だったかもしれませんが、やっぱりちゃんと見ようという気にもならず。
なんかいやんなっちゃうな、というところで、ありがたいことに、心惹かれるドカンとしたものがありましたよ~。

2019 biennale 141

Sun Yuan & Peng Yu
Can't help myself

これは面白かった~!かなり大きなガラスで囲まれた中に置かれたのは、見るからに工業機械です。本体の目的はわかりませんし、違う器械の部品が組み合わされているのかもしれません。
これ、アルセナーレで、やはりガラスに囲まれて置かれていたレシン製の椅子と同じアーティストの作品です。
こういう工業機械の動きって、時として非常に人間的だったりして、見ていて飽きないなぁ、と思ったのは、数年前に、仕事で物流倉庫を訪問し、そこで、箱詰め商品を仕分けする器械に目が釘付けになった時です。ありえない速さだけど、結局やっているのは、人の動きのトレース的な動きだったりするんですよね。仕事そっちのけで、ずっと見ていたかったです。
で、この作品、何をするかというと、最初は、自分の周辺にたまっている色付きの液体を、自らのパレットで、せっせと自分の方に、集めていきます。
それは丹念に、床をこするようにして、ひたすら丁寧に集めるんですけど、ある時突然、発狂したかのように、パレットを持つアーム部分が、暴れだすんです。

2019 biennale 142

それはそれは激しい動きをして、この液体をあちこちに飛び散らせ、「これ以上やってらられねぇ~!」という絶叫が聞こえてくる気がするほど、すごいんですよ。
ところがひとしきり暴れると、ぜえぜえと肩で息をしながらも、頭を低くして、すんません、ちょっとイライラしちゃって、とかぼそぼそつぶやくように、また本来の仕事に戻る、というそういう仕掛け。
いやはや、人間的でした。
皮肉な意味で、テーマに沿う作品だと思いました。

そのそばで、こういうものがあっても、とても駄目ですよ。なんじゃこら、としか思えず…。

2019 biennale 143

建材を着るとか?そういうコンセプト?ミスマッチ?
どっちかというと、サローネ展示向け。アートなんですかね、この感じ?

2019 biennale 144

ビデオは好きじゃないと、いつも言っているんですが、時々食いつきます。特に疲れているときなんかは、ちょっと座りたいな、というのもあって、そういう時のビデオルームは、休憩所として助かったりします。

2019 biennale 145

John Rafman
Disasters under the Sun

7分53秒のアニメです。パッと見た時に、画面全体のインパクトがあったので、つい見てしまって、途中からは座って見てしまいました。疲れもあったのですが、引き込まれました。青い人たちが、土地に飲み込まれるようにして、滅亡的な様子となるのが、途中で希望的な光にあふれたり、頑張ってもダメで、それでも努力したり、なんか人生を凝縮したようなストーリーが抽象的な感じで、スピーディーに流れていくんです。
キャプションをメモしたくらいには、興味を持てました。他の作品もあれば、きっと見たと思います。

2019 biennale 146

んん?カーニバル?
なんだろう、変な着ぐるみ。なごむより怖いよ。

2019 biennale 147

セルフポートレートの作品の人だと思います。もしかして、なんか賞を取った人か?よく覚えてませんが、とにかく好みじゃないことは確か。色彩的に美しいと思いますが、テーマとかそういうもんは、まったく苦手
です。

セルフ・ポートレートといえば、Katayama Mariさんの作品、こちらにもありました。

2019 biennale 148

何でしょうか。見ていて痛い、と感じてしまって、どうも苦手です。何か望んでいないのに、突き付けられている感があるというのか。アート、なんでしょうか。自己表現という意味では、アート以外の何物でもないのか。
そういう意味では、アートの本質は何か、ということを提起しているような作品なのかもしれないと思ったりもします。でも、ここまでおのれを素直にさらけ出すものは、やはり苦手だなぁ。こういう作品だったら、作りこむタイプの方が受け入れやすいです。

続きます。

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  1. 2019/10/11(金) 05:12:14|
  2. ヴェネチア・ビエンナーレ
  3. | コメント:0

日本館。インパクト、ほぼゼロでした(ジャルディーニ 1)

ヴェネチア・ビエンナーレ2019 9

本会場であるジャルディーニに到着したときは、すでに結構な雨となっておりました。

2019 biennale 118

今回は、前回の反省もあって、チケットを事前にネットで購入していました。というのも、前回は、このジャルディーニでチケットを購入したのですが、訪問者が増えているのに対応しきれていない販売対応で、とんでもない時間がかかってしまったんですよ。オンラインで買うと、割引が受けられないことが多いし、加えてオンライン手数料が取られるので、避けていたのですが、確かに手数料は取られるものの、一応各種割引は自己申告で受けられるシステムだったので、これは嬉しかったです。
割引と言っても、25ユーロが22ユーロになる程度なんですが、ないよりはましですよね。

最近は、イタリアのみならず、欧州各国で観光客が増加して大変なことになっています。ベネチアは勿論、その中でも最も大変になっている町の一つと思いますが、ビエンナーレも、その影響があるんでしょうね。昔から比べると、本当に訪問者が激増しています。
当然ですが、それに応じて、バールやレストラン、トイレの数が増え、整備がされてきていますが、バールも高くなりました。なんでもそうですが、よい面と悪い面と。

この日は、同行者がかなり早い時間に帰らなければならないというスケジュールだったので、見たいもの見るべきものからさっさと見学するという方針です。というわけで入り口にも近いこちらへ、まずは。

2019 biennale 119

日本館 Cosmo-Eggs

お天気が悪くて、唯一よかったと思ったのは、訪問者が少ないことでしょうか。最近日本館は人気のパヴィリオンの一つですから、よく行列もできていますが、この日はスカスカ。
それは勿論内容にもよるわけですが、はい、正直、全然面白くなかったです、笑。

2019 biennale 120

なんか傾向として、説明的なケースが多いような気がします。全体のトレンドでもあるのかとは思いますが…。作品自身の語りが少ない。
説明が欲しかったら、ネットで検索してみてください。語りは山ほどヒットしますよ。

2019 biennale 121

ドイツ館。だから、なんですか?
さらりと、通過しました、笑。こういうときは、冊子の一つもいただかず、本当にさらりとしちゃうんで、テーマも何もわかりませんし、興味もなく。

2019 biennale 122

英国館。By Cathy Wilkes

ここも、さらりと感満載なんですけど、白さが妙に清々しくて、ちょっと惹かれるものが。
何ですかねぇ。ちょっと表情があるみたいになってるだけで、かわいいとか思っちゃう人の感覚って。そういうことを訴えてるはずじゃないと思うんだけど、かわいい…、と思う自分がいる。

2019 biennale 123

パンフレットに描かれたイラストが、なかなか素敵でした。絵心のあるアーティストです。あ、変ですね、アーティストだから絵心はあって当たり前なのかな。でも現代美術に限っては、どうも絵心とかない人もいるような気がして、笑。

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フランス館。
入り口が、この堂々としたところじゃなくて、裏口で、地下室の物置みたいなところに作られていました。暗闇で、秘密の部屋に連れ込まれる感があって、期待感が高まったんですけど。

2019 biennale 125

でも、階段を上ったら、別に普通な展示で、メインの部屋も、写真も取らないほど、暗闇で、特段びっくりすることもなく、がっかり感が大きかったかも。

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チェコとスロバキア共和国。
もともとはチェコスロバキアのパヴィリオンですが、国が別れちゃって、どうなっちゃっているのかわからないのです。でも、両国が仲良く使っている様子です。

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ロシア館。ここは、面白い時はかなり面白いけど、という激しさがあります。スペースも広くて、面白い構造なので、展示が良いときはインパクトも大きいんです。

LC15:11-32というタイトルで、これは、聖書のタイトルの一つでもあり、エルミタージュ美術館に置かれたレンブラントの作品をフューチャーしたモノでもあるとかなんとか書かれていました。
ちなみに、エルミタージュは、一度は行ってみたいと思っている美術館です。つい最近、ビザなし渡航ができるようになった、というニュースがあったのですが、あれは、対イタリアのパスポートなのかしらん。十数年前に、友人の友人がモスクワに仕事で駐在している時期があり、その人に招待状を出してもらうとか何とか、ビザを取ろうと努力したのですが、結局ダメだったことがあります。サンペテルブルグだけ、週末旅行的な形でもいいんですけどね~。

2019 biennale 128

脱線ばかりしてますが、レンブラント的な物語臭がプンプンする塑像が、暗闇に並んでいます。
そして、地下にもまた、物語的な、ちょっとおどろおどろしい様子の何かが並べられています。基本暗くて、とても歴史のある古いお屋敷に足を踏み入れた感が満載です。

2019 biennale 129

壁の一面が、舞台みたいな設えになっていました。

2019 biennale 130

多くの見学者がその前に建っていますし、たくさん並んでいる人型のものは、どうやら動きそうです。5分ほども待ちましたでしょうか。

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確かに動き出したんですが、なんか思ったよりつまらなかった…。足を買えるのような形で中腰になっている人たちが、上に伸びあがる程度の動きで、だから何状態で…。すぐ飽きちゃって、騙された気分でした。

2019 biennale 132

ベネズエラ館。
民族衣装的な色彩、美しいものですが、作りは、布や糸を丸めただけで、なんかなぁ。
こういうアプローチは、違うなって感じます。

2019 biennale 133

続きます。

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  1. 2019/10/10(木) 05:20:17|
  2. ヴェネチア・ビエンナーレ
  3. | コメント:0

ベニス・ガラス・ウィーク?(ジャルディーニまで)

ヴェネチア・ビエンナーレ2019 8

一夜明けて日曜日。この日は、本会場であるジャルディーニ見学予定となっていますが、その前に、ちょっと立ち寄りたいところがあります。
この日も、メストレから本当まで電車で移動して、サンタ・ルチアから徒歩で会場に向かいましたので、ちょっと町の風景などもアップしてみたいと思います。

2019 biennale 102

初心に返ってパチリ。初めてのサンタ・ルチア駅で、この駅前に広場る風景に驚いて、立ち止まったことを思い出しながら。
もう、あの時の驚きや感動はないのですが、それでも、来る度に、なんという風景だろう、と繰り返し思います。

調度人がかぶっちゃったんですが、ピンク色の水上バスは、いわゆるラッピング水上バスで、ビエンナーレの宣伝となっていました。ミラノの街を走るバスやトラムは、もはやラッピングが当たり前ですが、水上バスにもあったんですね~。

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今回びっくりしたのが、この劇場の変貌です。由緒のありそうな劇場ですが、外観はそのままに、中身はDesparというスーパーに模様替えしていました。

2019 biennale 104

あまり気にしていませんでしたが、もしかすると以前通った時は、廃屋のようになっていたのかもしれません。スーパーへの変貌というのは、正直寂しいですが、廃屋として放置されてしまうよりはいいことでしょうね。

2019 biennale 105

ワンちゃん用のスペースがかわいらしいです。

そして、サン・マルコ広場に到着です。前日は、ここに立ち寄る時間もなかったのですが、ベネチアに来たからには、通過するだけでも、一度は立ち寄りたい広場です。相変わらず、すごい数のツーリストです。

2019 biennale 106

ビエンナーレ見学前にここに立ち寄った理由は、これです。

2019 biennale 107

カフェ・フローリアン。言わずと知れた超有名カフェです。
なぜかというと、今回のビエンナーレのことをちょっと調べた時に、ちょうどこの時期に、ベニス・ガラス・ウィークというイベントが開催されていることを知ったのです。
初めて耳にしたイベントで、興味は湧いたのですが、今回は見学する時間はなかろうと思いました。それでも、せめて一カ所くらい、何かないのだろうか、と思って調べたところ、このカフェでの展示が目についた、という次第です。

2019 biennale 108

あ、どうやらあれが作品のひとつらしい。展示されたスペースには、お客さんを入れておらず、作品が外からも見えるように、という配慮なのか、窓があけはなされてはいますが、いかんせん遠い。
フローリアンは、常に優雅な生演奏なども行っており、お値段はかなり高いのを知っています。でも、イタリアのバールには、立ち飲みという文化があります!いくらお高いフローリアンでも、立ち飲みはできるはず!と思い、中に入ると、すみっこの方に立ち飲みカウンター、ありました。
そこでエスプレッソをいただきながら、作品鑑賞しました。

2019 biennale 109

正直、どうでもいいような、笑。
ま、フローリアン、初めて入った、ということに、意義があった、のかどうか。
立ち飲みでも高かったし(ミラノでは、座ったら銀座並みみたいなカフェでも、立ち飲みはそこらのバールと同額です)、お借りしたトイレは非常に普通で、なーんだ、という感じでした、笑。

さっさと会場にむかうことにしたのですが、ついつい途中でひっかかります。

2019 biennale 110

コートジボワール館、The Open Shadows of Memory
窓からちらりと見えたこの子たちの後ろ姿が、妙に面白そうだったので、入ってみたのですが、他にはこれと言って何もなかったです。

そして、この辺りから雨が降ってきて、この後、辛いお天気となりました。天気予報的には、前日も雨でもおかしくなかったところ、ダブル晴れ女(わたしと同行者)の威力で快晴となったので、文句は言えませんが、やはり雨だと色々不具合です。

最近、いつもちょっと面白い作品が展示されている、ジャルディーニにたどり着く前にある公園。

2019 biennale 111

なんだあれ、金色の巨大キャンデー?そんなわけないと思いながら、キャプションを見たら、本当にそのまんまだったんで、あきれてしまいました。あまりに直球で、それはないだろう、という感じ。

2019 biennale 112

見学者の連れている犬が、飼い主に迷惑をかけようとしているように、変な回りこみばかりしていたので、面白くてパチリとしたんですが、このゾウ、正面はいたって普通の象なのに。

2019 biennale 113

これは、キャンディより全然いいよね。
自分が、すっごく正しい順路で見学している!というのも、なんか受けました。だって、最初にこっちから見ちゃったら、全然面白くないもんね。

2019 biennale 114

この、縮尺のおかしいフィギュアは、いくつかありましたが、私が髣髴としたのは、ホムンクルスの図です。なんでだろう、アンバランスがそれらしい、みたいな?ホムンクルスを知らない人は、検索してくださいね(説明が面倒くさくて、すみません)。

同じ並びに、もう一つ公園がありまして、そっちの方は、なんだかかわいらしいことになっていました。

2019 biennale 115

ティンゲリー(多分、奥さんのニキ・ド・サンフィルの方が有名)をちょっと髣髴。あ、ティンゲリー+ニキっていうイメージかもね。

2019 biennale 116

これは、ゆっくり回りながら、音を出していたような。面白みは百倍少ないティンゲリー系、笑。雨、相当降ってきてます。撮影も辛い状態。

2019 biennale 117

こういうのは好きです。きっぱりしていていいです。とんがらし、幸運のシンボル。雨、やませてほしい。

というわけで、すでにほぼびしょぬれ状態で、ジャルディーニに到着。ふぅ。次回からジャルディーニです。

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  1. 2019/10/07(月) 00:38:58|
  2. ヴェネチア・ビエンナーレ
  3. | コメント:0

アクアアルタのクリプタ(サン・ザッカリア教会)

ヴェネチア・ビエンナーレ2019 番外

今回はビエンナーレ番外で、ベネチアの中世をご紹介します。
実は、前回のビエンナーレの際にも訪ねたのですが、残念ながら時間が遅くて、入れなかった教会なんです。

2019 biennale 093

サン・ザッカリア教会Chiesa di San Zaccaria(オープン時間:平日10-12/16-18、日祝16-18)。

ここは、サン・マルコ広場から、アルセナーレやジャルディーニ方面に向かった位置関係で、サン・マルコからも近いのですが、ただ、普通の観光だと、わざわざ行かなかったりします。
ビエンナーレのときは、会場から駅に向かう際に、必ず立ち寄るバカロが、サン・マルコとこのサン・ザッカリアを結ぶ道にあるもんですから、ビエンナーレの帰りには、そのバカロを目指して、必ずこの教会の前を通ることになっているんですよ。

ファサードは御覧の通りで、ロマネスクまったく無関係なんですが、鐘楼が、ロマネスクの面影を残しているので、起源は明らかにそのあたりと知っておりました。調べたところ、クリプタが残されている、ということで、前回は、意図的に立ち寄ったのですが、先述したとおり、残念ながら、遅かりし、だったのです。

今回は、実はすっかり忘れていたのですが、やはりバカロを目指して、前を通過したので、そうだったそうだった、と開いていた扉に吸い寄せられるように、入った次第です。

2019 biennale 094

この教会、上物は、私には興味のない時代のものとなってしまっていますが、美術史的にはかなり重要な、ルネサンス期以降の絵画が、たくさん置かれていることで有名なんだそうです。不届きにも、それらが並んでいる本堂の写真は、一枚たりとも撮影していませんが、笑。

本堂の右奥が、美術館となっており、クリプタは、その美術館からのアクセスとなります。入場料は2ユーロ程度だったと記憶します。

上の金ぴか祭壇画は、美術館に置かれているものとなります。
本堂は新しくなっているわけですが、美術館の方は、要は古い時代の建物やアイテムが残されている部分なんです。例えば、コズマーティ的なモザイクの床面。

2019 biennale 095

これは、歩ける部分なので、さほど古いものではないと思うのですが(13世紀以降でしょう)、きっと、より古い時代物で、今の床面に隠されちゃっている、すごくきれいなモザイク床。

2019 biennale 096

そして、ワクワクの階段があります。

2019 biennale 097

ドキドキしながら降りると、なんと!

2019 biennale 098

クリプタ、アクアアルタでした~笑。

2019 biennale 099

ラベンナに、もはや地下の池という状態で、金魚など泳いでいるクリプタがありましたが、
ここは、本当の水位の状態で変わるのだと思います。ただし、ほとんど常に水があるような印象です。
この祭壇を正面に、手前右側と左側に階段がありますが、その階段で降りた場所をつなぐようにして、遊歩道が作られています。

2019 biennale 100

レンガの道が、それ。これは、左側の方から撮影したものですが、この日は、遊歩道の中心部が、水に浸かっている状態でした。若干濡れながらも、歩いてしまったんですけどね。きっと、遊歩道は浸水していない日もあるのだと思います。

それにしても、水があることで、妙に雰囲気があります。

2019 biennale 101

時代を反映する素朴なだけのクリプタですが、このまま浸水が続くようなら、きっといつかボロボロになってしまって、アクセスもできなくなるような気がします。どうぞ、お近くに行かれた際には、訪ねてみてくださいね。
近所に、地元民御用達の、とっても良心的なバカロもありますよ~!

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  1. 2019/10/06(日) 23:28:59|
  2. ヴェネト・ロマネスク
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外せないはずのプロセッコが…(アルセナーレ5)

ヴェネチア・ビエンナーレ2019 7

アルセナーレ、続きです。

2019 biennale 087

サウジアラビア王国館、After \Illusion

これは、かなり好きでした。ぱっと見、海の生物のイメージで、近くから見てもそのまんまなんですけど、実は、多くの女性の手芸品だったりする驚き。

2019 biennale 088

皮を縫い合わせて作った、様々な形や模様の、幻想的な海の生物。綿が詰められて、それがはみ出ている奴なんか、そのパンパンな様子が何とも愛らしくて。それはそれは、気の遠くなるような時間と手間をかけて編み出されたものたち。手作業好きな自分の琴線にも触れますし、綿々と伝えられてきた歴史とか生活を感じさせる生活感とでもいった、ふわふわしたようなアートとは対極的なものを、しっかりとアートの範疇にはめ込んだ、みたいな凄みを感じました。
これ、二つ三つ、特に綿はみだし系、ほしい…、というのが、一番素直な感想ですけどね、笑。

2019 biennale 089

ルクセンブルグ館、Written by water by Marco Godinho

広いスペース一杯に、斜めに置かれた台の上、整然と並ぶ、水をくぐったノート。ちょっと政治的な意図も感じられる作品で、ぱっと見のインパクトはそれなりにあるのですが、その大きさと、置かれたものの落差によるインパクトは一瞬で、訴えてくるものが今一つでした。

2019 biennale 090

トルコ館

これは、置かれていた作品そっちのけで、窓が気になりました。
窓ガラスに、何か特殊なフィルムが張られていて、実際に見えている風景が、まるで作り物、というのか、写真が貼り付けられているような、人工的な眺めになっているのです。それも含めた作品だったとは思うのですが、ふふ、風景を角度を変えて眺める作業に没頭してしまって、作品全体を鑑賞していません、笑。
うーん、一部が、こういう切り離したインパクトを与えてしまうっていうのは、どうなんでしょうか。まぁ、こっちの鑑賞の仕方が偏っているのも問題ですが、笑。

この後も、会場およびその周辺の協賛会場を鑑賞しましたが、特筆すべきものはなく、初日、無事終了。メストレのホテルに戻り、ほとんど休む暇もなく夕食に出て、徒歩による総移動距離は、25キロほどでしたか。

ランチにも、そして見学終了後にも、活力のもととしていただいたプロセッコぐびぐびを期待した夕食では、なぜ、地元なのに高いのか?!というボトルしかなかったので、ピノグリぐびぐびとなりましたが、それでも、海の町らしいメニューで、満足のゆくものとなりました。

2019 biennale 091

プロセッコは、生産地が世界遺産にまでなっちゃって、今後値が上がっていく運命にあるかもしれないですねぇ。おいしさに加えて、その安さも魅力なんですけどねぇ。

海の町では定番のフリット・ミストは、定番らしく、お野菜も多め。そして、やはりポレンタ。

2019 biennale 092

フリットミスとは、はずれが少ないですねぇ。おいしかったです。
翌日に備えて、早飯早寝でした。

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  1. 2019/10/06(日) 22:49:47|
  2. ヴェネチア・ビエンナーレ
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足下に広がる垂直風景にうっとり(アルセナーレ4)

ヴェネチア・ビエンナーレ2019 6

アルセナーレ・ノルド、続きです。

公園だけではなくて、元倉庫みたいな建物がたくさんある場所なので、それらが少しずつ整備されて、展示場所が毎回少しずつ増えている感じです。
ただ、天井がガラスだったりして、日が入ってくるのに空調はなく、建物は閉ざされている状態なので、かなり暑くて、夏季は短時間で見学を終えないと、倒れちゃいます、笑。この日も暑かったので、ササっと短時間で回りました。

2019 biennale 070

Exhibition by Vasily Klyukin – In Dante Veritas

わたしは知らないのですが、それなりに名のあるアーチストのようです。
これは、ダンテをテーマにした造形で、結構具象的。世紀末覇者のような騎馬像だったり、ベアトリーチェだったり、ダンテ、勿論その「神曲」をテーマにした展示だったようです。

2019 biennale 071

造形として面白いと思ったのですが、ベアトリーチェが全然気に入らなかったんで、わたしとしてはダメです。美しさもはかなさも強さも、ベアトリーチェが持っていると思われる様子が、何一つ感じられなかったです。

とか言うと、「さすがイタリアに長く住んでるだけあって、神曲を読んでいるのだな」と思われそうですが、読んだことのあるのは、ベアトリーチェが登場するわずかな部分だけなんです、恥ずかしながら。昔々、ペルージャ大学でイタリア語を勉強しているとき、語学以外に教養みたいな授業も受けていたのですが、ダンテの神曲を読む授業があったんです。その教授が、神曲ラブな人で、実に情熱的で愛情満々で、思い入れたっぷりに文を読み上げ、感激で泣かんばかりな様子で、解説をしてくれるという授業で、その時間の間だけ、なんだかとんでもない世界にトリップさせられていたんです。
愛情も、あそこまで行くとたいしたもんですよ。昔のイタリア語だったりして、さらっと読んでもよくわからなかったりして、本来退屈な授業になる方が普通だと思うのに、イタリア語の美しさや、ストーリーの面白さに、のめり込みましたもんね~。
でも、自分で読もうとしても、まったくダメでした、笑。すごい先生だったんですね。

他はたいしたものがなかったので、船で本会場に戻り、そちらの見学を再開です。まずは、船着き場に近い公園部分をちょっとのぞきます。

2019 biennale 072

Neverland 2019 by Halil Altindere (Turkey)

Nederlandと思ったら、ネバーランドでした。ピーターパンかマイケルジャクソンか、笑。
表は立派ですが、完全な張りぼて。でも、説明を読んだら、それなのにちゃんと大理石を使っているとか。
なんか、2016年のオリンピックの参加した、亡命して祖国を亡くした選手からインスピレーションを得たんだそうです。文字通りネバーランド、どこにもない国ってやつ。で、その言葉通り、ファサードだけは立派だけど、ファサードしかない、という。

その近くのベンチ。

2019 biennale 073

Untitled 2018 by Andreas Lolis (Albania)

こういうのって、もう終わってない?みたいな気もしたんですが、置かれているのは、布に見えますが、大理石で作られた毛布と枕。
まぁ、町角に置かれるアート作品としては、受けやすいものなのかもしれませんが、新しさはないですよね。

建物に入ります。

2019 biennale 074

インドパヴィリオンIndia Pavilion – Our time for future caring

伝統的な展示と思ったんですが、結構はまりました。下は、木で作られたサンダル。

2019 biennale 075

実際に使われたサンダルをもとに、色々加工もしてる作品だったようなんですが、サンダルの可愛さと、いかにも履き心地が悪そうな様子が、印象的でした。ガンジーがはいていたのは皮のサンダルと漠然と思っていましたが、どうやらこの手のサンダルを履いていたようですよ。考えたら、皮を加工するのは大変ですもんね。でも、インドの多くの土地では、木も豊かとは思えないですが、どうなんでしょうか。

2019 biennale 076

イタリア館は、いずれどなたかの作品なのでしょうが、入り口にやけに立派なオブジェが取り付けられていた割には、もう見事に面白くなくて、ほとんど何も撮っていません。スルーします。

2019 biennale 077

本会場を、入り口に向かって遡りながら、さらさらと見学していきます。
これは、多分インドネシア館。通り過ぎただけです。

2019 biennale 078

今写真を見ても、どこの誰の何やら不明なものがたくさんあるのですが、面白かったり、印象に残ったものだけを載せていくことにします。

これは、多分、アイルランド館だったのだと思うのですけれど。

2019 biennale 079

Earth Shedding its skin by E.Anatsui

なんか瓶のふたとかの廃品をたたいて伸ばして、針金につなぎ合わせて、すごく大きく壁面を覆うタペストリーみたいのを作っているんですよ。好きか嫌いかと言えば、特に好きでもなく、こういう粘着質な作品を作るアーティストとは絶対に合わないだろうな、と思うんですが、なんかこういうすごさってインパクトあります。なんせ、壁面覆っちゃう大きさですからね~。

2019 biennale 080

この後、ガーナとかジョージア(かつてのグルジア)とか、パヴィリオンが続きますが、インパクトなく、スルーします。

2019 biennale 081

マダガスカル館。テーマは、I have forgotten the nightだそうです。
ふーん。わかんないけど、ぞわぞわするものはあります。マダガスカルっていうのが、なんか勝手にエキゾチック、とか思うからですかね。

しかし盛り上がらないね~、とまたぞろ文句を言いながら、友人と歩いていたのですが、期待しないで進んだ次のスペース、これは面白かったです~!

2019 biennale 082

フィリピン館 Island Weather

靴を脱いで、上に乗れるようになっている島が複数あります。ここはアルセナーレもかなり奥の方だし、夕方になって、人も少し減ってきていることもあり、一回に島に乗れる定員は、確か5、6人となっていたと思うのですが、靴を脱いで登るのが面倒な人もいるのか、意外と登っている人が少ないのでした。
体験型大好きな私は、全制覇しましたよ。
各島、違うので、面白くて、やめられず…。

2019 biennale 083

鏡面を多用して、自分の下に、どこまでも続く垂直の風景があるんです。これは私の足ですが、実にびっくりするような下まで、連続風景。これ、高所恐怖の人は、ちょっと歩けないかもしれませんね。

2019 biennale 084

宇宙からの視点にインスピレーションを得た作品ということが書かれていました。見えるのは、町の風景だったり、工場だったり、決して突飛なSF的なものではないのです。その生活感あふれる様子が、妙に琴線に触れたような気もします。

2019 biennale 085

すごく満足感を得た展示でした。
そして、疲れた足を、つかの間靴から解放できたのも、よかったかも、笑。

2019 biennale 086

続きます。

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  1. 2019/10/05(土) 02:45:30|
  2. ヴェネチア・ビエンナーレ
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巨大な腕の橋(アルセナーレ3)

ヴェネチア・ビエンナーレ2019 5

アルセナーレ、続きです。飛ばさないと、一生終わらないですね、笑。

2019 biennale 054

上の写真、アルセナーレ会場の一番端っこ、かつてのドッグのあるところから、小さな船で、対岸、アルセナーレ・ノルドArsenale Nordと呼ばれる場所に渡ります。こちらには、ジャルディーニ・デッレ・ヴェルジネGiardini delle Vergineという公園ゾーンが広がり、数年前から、ビエンナーレ会場として、一部が使われるようになっています。
アルセナーレそのものが、ビエンナーレのときしかアクセスできないわけですが、そこから船で渡る場所なので、さらに秘密なゾーン、というイメージでしたが、実は、この公園を北上すれば、水上バスの乗り場があるようでした。

対岸には早めに行こう、という計画は大成功でした。船は20分毎に、本会場と対岸の会場をつなげていますけれど、我々が移動した時間は、数人の乗客だけだったのが、見学を終えて本会場に戻ったら、結構な行列が出来ていて、一回では乗り切れない見学者の数となっていたんです。
たまには経験が役に立つということですね、たまには。

2019 biennale 055

いずれにしても、こちらまで来るには、時間に余裕が必要なので、見学者は少なめで、それだけでもほっとできる空間です。
そして、これは、ビエンナーレ協賛なのか、それとも公園として、常設展示されている作品なのか、そのあたりはよくわからなかったりしたんですが。

上の写真、手前にある鉄のオブジェもかっこいいんですが、私がおっ、と思ったのは、実はオブジェの後ろにある建物の屋根です。

2019 biennale 056

キラキラしたメタルっぽい素材で、何か作業している人がいました。こういうのって、なんか好き。
こういうのも好き。

2019 biennale 057

後ろの方に見える鉄さびのオブジェは、先の写真と同じ人だと思います。現代では、こういう素材を使った巨大作品も多いですが、差別化するために、アーティストも苦労されるでしょうねぇ。巨大だとインパクトはありますが、似たり寄ったりになりそうですし。
でも、プラスティックとかじゃなくて、こういった自然から出てきたマテリアルは、なんか、自然の中でしっくりする気がします。

2019 biennale 058

だからなに?って感じでもありますが、ぶーちゃん、かわいいです。
きっと色々言いたいことがある人なんだと思いますが、結論としては、やっぱり豚なんだよ、ということらしい、笑。

2019 biennale 059

庭園のあちこちに、得体のしれない物体が置かれています。でも、やたらスペースがあるから、みっしりじゃなくて、あ、ここにもあったね、と忘れたことに目に入るくらいの感じで、そのゆるさもいい感じ。

2019 biennale 060

気持ちの良い秋晴れの日と、雨ふりの日とでは、きっと受ける印象も全然違うだろうと思います、特にこういうオープンエアで展示された作品は。まぁ、ここの場合、雨降りだと、訪問者も激減でしょうから、おそらく晴れの日を想定して展示されているはず、と思い、ただガラス瓶に液体が入っていて、ただ棚に並べられているだけの、どっちかと言えば陳腐な作品でも、緑と、レンガ壁のコントラストで、なんかいいなぁ、と思うことで良しとします。

2019 biennale 061

犬が苦手な私は、思わずドキッとしたやつ。

2019 biennale 062

あれは、人を殺せるタイプのやつでは…。やだやだ、とつい小走り。
そして、こういうので、ほっとしたり。

2019 biennale 063

派手なプラスティック系も、お天気がいいと遊園地的で、非常に楽しい気持ちになるもんですね。

そして、やっとご対面です!

2019 biennale 064

これはインパクトあります~!
実は、去年も、運河のどこかに、同じスケールの腕が、建物を支えているように置かれている写真を見たのですが、それがこんなバリエになって、この場所にあるとは知らなかったんで、遠目に見た時、すっごく嬉しかったんです。

ぱっと見、スケール感、全然わからないですよね。
このとき、ほとんど無人だったので、困ったんですが、やっと他の見学者が来たので、スケールのために、パチリ。

2019 biennale 065

わかりますでしょうか。腕からのぞいている、正面左側にある建物と重なっていますが、腕の根元の方にちっちゃく男性が写っているんです。巨大さがわかると思います。
全体像は、こうなっています。

2019 biennale 066

Building Bridges by Lorenzo Quinn

表現しているのは、こういうことらしいです。

2019 biennale 067

腕の下をくぐれるようなボードウォークがあるのですが、イベント用っていう感じで、残念ながら入れません。下から見ると、また面白い風景が広がるような気がするので、残念!

2019 biennale 068

ロケーションも考慮されて作られたこういう作品は、ビエンナーレならでは。大満足でした。

2019 biennale 069

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  1. 2019/10/05(土) 01:30:57|
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