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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

研究者の執着は真似できないと思ったこと(ピエンツァ)

2017年7月 エトルリアを巡りつつロマネスクもちょっぴり、トスカーナとラツィオの旅 その4

見てくださる方には、時系列は興味ないと思いますが、場所的には行ったり来たりになってしまって分かりにくくて恐縮なんですが、先に紹介したコルシニャーノ、その最寄りのピエンツァPienzaに戻ります。うっかり忘れていたんで。

ピエンツァの旧市街は、ユネスコの世界遺産になっているんですね。今初めて知りました、笑。ルネサンスの理想都市、という位置づけであるのは知っていたのですが、ルネサンスって、ほとんど興味ないし、以前訪ねた時も、まったく旧市街の見学はしていませんでした。
今回は、同行者がいたこともあり、一般的な観光要素も外せず、一応、旧市街を散策いたしました。

でも、そういう事情なんで、メモ帳にも、何一つ書き記されていなくて、記憶があいまいなことになっています。実は、結構面白かったんですけどね。

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サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂Cattedrale Santa Maria Assunta(8.30-13 14.30-19.00)です。

ここね、教会そのものは、ルネサンス様式だし、私の興味を引くものはないんですが、一部、美術館というか、博物館になっていて、ロマネスク時代の教会の遺構が、展示されています。それが、サン・ジョバンニのクリプタCripta di San Giovanniとして、有料(2ユーロ)で公開されています。

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1932年に、修復の際に、発見されたものだそうです。
横長の石板は、その教会のファサード扉のアーキトレーブだったものということですよ。

見学中は、まだるっこしいので、こんな細かい説明を読んだりしないんですが、今読むと、まぁ、このアーキトレーブ一つで、論文の一つも書いちゃう人がいるんだろうなぁ、という気持ちになりました。

解説の人によれば、彫られた人物は、どれも、稚拙な技術、表現力によるもので、どの人物もほぼ正面を向いており、また全体のバランスがバラバラ。表情も、アーモンド形の眼が大きいのが印象的だが、訴える力には欠ける、と、一刀両断的に、レベル低っ!と言っているようです。
一方で、左端の方に置かれたライオンについては、表現力が勝っており、また動きまで感じさせることに成功している、とべた褒め。

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え~、そうですかね。確かに、ライオンは、変に写実的な感じで、彫りも細かいっていうか、繊細さは感じますけどね。
で、ライオンで、ピンとこないといけないんですが、この左側は、預言者ダニエルさんなんです。

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この、ライオンにも負けない堂々とした体躯の人が、ダニエルさん。会えて、プロポーション無視で大きくされたのは、その人物の重要性を文字通り大きく訴えるためだし、ゆったりとしたマントもまた、そういう効果のためとありますが、いや、どうだろう。
確かに、目は虚ろ、というか、自分の消しゴムハンコの経験から言えば、これは、とても、顔を彫る技術がなかったのでは、と思えます。これが、この石工さんの精一杯の顔表現。一方で、マントのひだひだの細かさなどは、得意だったんですね、きっと。だから、ライオンのたてがみも、きちんと彫られているんですね。マントを掻き合わせる手の感じもよいし、マントの下は、もしかして素肌?ちょっとムキムキ系の身体に見えるんですけど、笑。
石工さんの技術、顔以外のところには、それなりに発揮されている気がします。

このダニエルさんの左隣、彼に向かって、一人の天使が、預言者Abacucの髪の毛を引っ張って連れて来ています。言われなきゃ、天使に気付きやしないです。狭いスペースに合わせて配置しているから、もう背景状態ですよね。
Abacucは、ダニエルにささげる食物の入ったお椀を手に持ち、あたかもその瞬間に地面に立つように、脚を折り曲げ、一方ダニエルは、左手を食物に伸ばしている(すでに7日間断食をしている)。
スミマセンが、エピソードを知らなくて…。ダニエルさん、植えていますね、必至の左手伸ばしの相手の腕つかみです。
Abacucの表情も…、情けなさがにじみ出ているような、笑。

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中央部には、円があり、ダニエルの仲間であるAnania、Misaele、Azariaが表されています。

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手をたずさえて、回りながら神への喜びを歌うその中央には、一人の天使がいて、窯に風を送り、三人のユダヤ人の邪魔をしないように、火を遠ざけておく役割を担っている。ターバンとマントを身に着けたフィギュアは、それらのシーンを外側から見守っている?

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右端のシーンは、明快な解釈はないと。
ローマ風のチュニックを着た天使(表情を作ろうと努力した後が見えます)が、両手で何かを支えて座っているものと、会話をしようとしている様子。Abacucが、天使から、ライオンの穴にいるダニエルを慰めるために バビロンに行こうと誘われている場面かとも考えられているが、しかし、左側に表されているAbacucとは、姿かたちがあまりに違うので、この解釈は、違う可能性が高いとされ、この人物こそダニエルではないかと、ここで説明している人は書いていました。ダニエルは、天使と何度も関わっているからだと。

全体としての意味は、人は、地上で、常に、悪に取り囲まれており、それを乗り越える困難を試されているということ。そして、救いは、神からしか差し伸べられないと。

というわけで、研究者って偉いな、と思いました。こういうのって、ガイドがいると、熱心に説明を聞いてしまいますが、自分だと、とにかく写真は撮って、内容の詳細は後から、となりがちで…。

しかし、このようなアーキトレーブのあるファサードの教会、なんとなく素朴で、当時のピエンツァの町の様子を髣髴とするような。ルネサンス期に大きく都市計画で変わってしまったのでしょうけれど、その前は、印象としては、エミリアのカステルアルクアートCastel all'Arquatoとかそういった感じの町だったのかもしれないなぁ、と。やっぱり、ルネサンスの町より、中世の町の方が、圧倒的に好みだ、とこのような考えをした瞬間に、強く思いました。

色々長くなりましたが、このクリプタ、なんだかすごいことになっているんです。迷路Labirintoと呼ばれている地下の構造物があって、ガイド付きで見学できるんですが、古い構造だけじゃなくて、常に更新されている構造物らしいんです。というのも、どうもこのカテドラルができた当初から、ひびが入ったりとか色々不具合があり、その度に確認の作業が行われてきたとか。

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イタリア中部に地震があった時は、一日で、10年分くらいのずれが発生したとか、そういうお話をたくさん聞きながら見学して、かなり面白かったんですが、メモしてないもんだから、すっかり忘れてしまいましたよ。相変わらず、情けないです。
地下ラバーは、是非訪ねるべし、という構造物です。

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  1. 2020/05/06(水) 06:05:09|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | コメント:0

ありえないほど衝撃的なクリプタ(アッバディア・サン・サルヴァトーレ)

2017年7月 エトルリアを巡りつつロマネスクもちょっぴり、トスカーナとラツィオの旅 その3

旅の初日の最後に訪ねたのは、これまで、まったくチェックが入っていなかった教会です。なんでなのか…。思うに、修復で長い間クローズしていたなどがあったのではないか、と。
いやはや、すごいものでした。

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アッバディア・サン・サルヴァトーレAbbadia San Salvatoreの、サン・サルヴァトーレ修道院教会Abbazia di San Salvatoreです。AbbadiaとかAbbaziaとか、ややこしいです…。

この教会、修道院がもとだったようですが、上物は、すでにロマネスク的には、見るものはほとんどなくなっています。1500年代に大きな改築が施されてしまっているし、今も地域の教会として生きているようなので、時代に即して姿を変えながら、長生きしてきた教会のようです。町の中心地にありますから、その時々の信者さんを引き寄せるには、常に今を生きる必要があったのかなぁ、と想像します。

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でも、ちょっと寂しいくらいの近代化かもね、涙。

この、ベネディクト派修道院の歴史は古くて、8世紀最後の頃に遡るそうです。なんと、ロンゴバルドの時代なんですよね。まさに、この地域のロンゴバルドの貴族Erfoによるそうなんです。時代は、RatchisとAstolfoきょうだいが王国を治めている頃。Ratchisって、Cividale del Friuliにいた人だったかしら?いずれにしろ、ロンゴバルド繁栄の時代ですね。
そして、前にも書いたと思いますが、このロンゴバルドの名前って、本当に魅力的。Erfoですよ。うっとり。

サルヴァトーレは、ロンゴバルドではとっても人気のある人だったのですね。そういえば、ブレーシャの有名なロンゴバルド教会も、サン・サルヴァトーレでした。

ここは、通行の要衝ということで、戦略的に建てられた修道院。かのカンタベリー司教Sigericも通ったフランチジェーナ街道上にあるのです。もしかすると、Sigericが記した東海道五十三次みたいな旅日記(笑、名前を失念しましたが、彼が、カンタベリーからバチカンへ旅したときの記録)にも出てくるんだろうか。
カロリング時代には、なんと100人もの修道士が暮らしていたのだろうです。相当な規模だったのですね。今の教会の規模はさほどではありませんので、俄かには信じがたいですが、おそらく、今の町の多くの部分が、修道院だった、ということなのでしょう。町の名称がまさにサン・サルヴァトーレ修道院というのも、そういうわけなのでしょう。

とはいえ、先の写真のように、上物は、あまり魅力のない状態なんですが…。目的は下もの、笑、クリプタなのです。

本当に、心底びっくり致しました。
2ユーロ払いましたが、別に、人がいるわけでもなく、献金箱に、2ユーロとかいてあるだけ、というものだったと思います。階段を降ります。
まず、すごく普通な感じ。

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階段を降りたところは、とっても普通なんですよ。構造も新しいのが明らかだし、面白みもない再建だし、なぁんだ、と思いかけるんです。でも、奥が何か違うのが見えるじゃないですか。それで、先に進んで、本当に息を呑む、とはこのことです。

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すっごいです。言葉にならない驚き。ただ呆けたように口を開けて、徘徊するしかなかったです。

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近年の修復で、このような隅々まで照らし出す照明が付けられたということを、後付けで知りました。石の自然な色が見えるような照明で、陰影なし。すべてがつまびらかになっています。本来のクリプタの雰囲気とは程遠いことになっているので、戸惑いはありますし、どうなの?という気持ちにもなるものですが、現場にいた時は、興奮しかありません。

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確かに、ブレーシャのサン・サルヴァトーレと大いに共通するものがあります。こっちの方が、背が高いような気もしますが。
柱は、多くの使いまわし。そのため、タイプがいろいろです。

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柱頭は、素朴系ですが、どれをとってもたまらなく魅力的。
柱への彫りこみなどもあったりします。目移りしちゃって、やっぱり痴呆の人状態が続きます。

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祭壇のとこ。

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構造としてシンメトリーなのに、それも祭壇前という位置なのに、柱頭、違うんですよねぇ。これって、ロマネスクの面白さですよね。あえて違うの。
こっちの人って、例えば食器なんか、一組が6枚とか6客とか、同じものを使うじゃないですか。基本、シンメトリー。どこまでも横並びで同じ。ナイフやフォークやコップも、個人特定じゃないんですよね。
日本は、お茶碗もお箸もお湯呑みも、個人特定で、模様も形もばらばらだったりしますし、それが個人的には好きです。こういうばらばら感、いいですよね。

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限りないばらばら感。それでいて、構造は同じだから、統一感が半端なくて、すっごく魅力的。

植物系ばっかりかと思うと、こんなやつらもいます。

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石の中から、にゅるっと頭出ちゃった、みたいな感じがとっても面白くてチャーミング。

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お足元も、色々です。再利用があるからですよね、きっと。

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見ても見ても発見があり、行ったり来たり、何度しても、すげーという言葉しか出てこない。なんで今まで来てなかったんだよ、おれ!?というイライラみたいな気持ちと、とにかく今回来られてよかっただろう、という究極の満足と、行ったり来たり。

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照明は、本当にありがたい演出であり技術ですが、欲を言えば、こうなる前のうすぼんやりとしたクリプタにも、お目にかかってみたかった。

例によって、せっかく撮影したんで、動画を貼り付けてみます。アクセスできるといいんですが。下手ですが、臨場感はあると思います。

Abbazia di San Salvatore 動画

ちなみに、このサン・サルヴァトーレの町、教会だけ目指して、見学してすぐに出てしまったのですが、少なくとも、駐車した場所から教会へ向かう距離は歩きました。なんということもない、普通の中くらいの地方都市ですけど、全体に下世話な雰囲気というのか、とっても親しみを感じる空気があって、町として好きでした。もともと全体が修道院だった、という雰囲気などまったくなくて、とてつもなく普通の町なんですけどね、好ましい感じ。ちょっと不思議でした。
次回があれば、もう少し時間を過ごしてみたいものです。

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  1. 2020/05/04(月) 01:57:14|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | コメント:6

ソーシャル・ディスタンス不可能なクリプタ(コルシニャーノ)

2017年7月 エトルリアを巡りつつロマネスクもちょっぴり、トスカーナとラツィオの旅 その2

エトルリアとか言いながら、旅の最初は、結構ロマネスクでした。
ロマネスクと言えば、旅のトップはグローピナだったわけですが、実はなぜあそこを訪ねたかと言えば、ランチのためだったのですよね。食事等については、別途まとめますけれど、当初は、アレッツォあたりでランチ、と考えていたのです。
実は、アレッツォは、一度は行かないといけないのに、なぜか縁がなくて、昔々トスカーナに長く暮らしたときも、結構小さな町村を訪ねたのに、アレッツォは行ってないんです。その後も、トスカーナは何度も訪ねているのに、いつもかすってはそれだけで終わる。
なので、今回はランチを兼ねて、と計画していたのですが、移動に意外と時間がかかってしまい、フィレンツェを過ぎたあたりで、このままアレッツォまで行くと、ランチの時間を大幅に過ぎてしまう、という事態になってしまったのです。それで、以前の旅での土地勘があるグローピナ手前の町なら、食べる場所があるのがわかっていたため、そこで高速を途中下車した次第。
アレッツォ、相変わらず縁がない。

そして、グローピナの後、行こうと思えば行けたのですが、同行者が、どちらかというとこっちに行きたい、というので、やはり近所まで行ったのに、アクセスできずに終わりました。アレッツォ、行ける日が来るのか、笑。

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というわけで、次に訪ねたのはピエンツァPienzaですが、まずはロマネスク教会を。

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聖ヴィートと聖モデスト教会Pieve dei Santi Vito e Modesto di Corsignanoです(オープン時間7-13 / 15-19)。

ピエンツァは、丘に張り付くような町ですが、中心部からちょっと下った場所、やはり斜面の一角に、この愛らしい教会があります。
ファサードは11世紀、一部、崩壊のため12世紀に再建された部分もあるようですが、中でも、ファサードにくっついた円筒形の鐘楼は、最も古い時代に属するものだそうです。
背は低いですが、大きさが半端ないですよね。
円筒形ということで、ピンと来る向きもあるかもしれませんが、ラベンナの影響だと考えられているそうです。

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ラベンナのは、基本はもっとほっそりとしてやたら背が高いですが、ここのはずんぐりむっくりでおちびちゃん。本当はもっと高くしたかったのか、地面が斜めだからこれ以上は無理だったのか。いずれにしても、きれいな円形で、好きです。

この教会を楽しく印象的にしているのは、間違いなく、扉周辺の彫り物装飾だと思います。

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アーキボルトのギザギザや、植物モチーフのレリーフ帯は、ロンバルディア様式であろうということで、ここには様々な地域出身の職人さんがいたのか、または、そういう知識を得て、ここに腰を落ち着けた職人さんがいたのか。地味ながら、当時の技術の普及や流れを感じさせる教会です。

この、アーキトレーブの彫り物が、面白いですよね。
グローピナの説教壇同様、二股人魚がいて、耳をツチノコみたいな蛇にかまれている人など、やはりエニグマ。これは確か、動物の言葉がわかるとかなんとかそういうやつだったか…。人魚にしても、この地域に多いモチーフで、それ関連の本を持っていますので、また読み返さないとな、笑。このイースターに、トスカーナ再訪予定だったので、教会情報を見るために、引っ張りだして、ちょっと読んでいたのですが…。悔しいので、今は見たくないんで、将来的に、読み返して、またいつか解説しますね、へへ。

右の方、南側にも、扉があり、そちらも、楽しい浅浮彫がびっしりあります。

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こちらはアーキトレーブにマギがいます。両脇は、やはり複雑なレリーフで、これもロンバルディア様式ということは、コモ系の石工さん系かな。

写真を見て、今思いましたが、ここも、ファサード側もこの南扉も、なんとなく修復というか、掃除が入ったような気がします。石色がきれいに出ているし、修復もしているのかもなぁ。10年は長いということですね。

内部は、とってもシンプルで、装飾性はほとんどなしです。

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小さいながら三身廊で、立派な角柱に乗ったアーチで区切られています。
鐘楼の下部、のぞけるようになっていました。

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やはりでかい!
しかし、ただの円筒じゃん。鐘を置く部分もないし、これは、やはり未完ということなのか。

前の訪問については、外側を飾る装飾は、とてもよく覚えているのですが、内部のことは、ほぼ記憶なしなんです。でも、これは見られなかったんじゃないのかなぁ、と思ったのが、この教会で、もっと古い時代の構造物だと書いてあったクリプタです。

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この、右身廊の突き当りに、下に降りる階段があります(上の写真の、祭壇の奥)。昔は閉ざされていたように記憶していますが、例によって100%確かではありません、笑。

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すごく狭い空間ですが、確かにちゃんとクリプタで、柱頭や、足元の部分にも、素朴な装飾がされているのが、古さを感じさせます。

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教会はこじんまりしているとはいえ、それなりに村の人々が集うだけのスペースはあると思います。このクリプタは、祈りの場所としては狭すぎる気がしますが、さて、目的は何だったのかしら。
外光が入る切れ目もないですから、真っ暗ですしね。秘儀?秘密な祈祷?謎ですね。

いずれにしても印象的で、このクリプタの記憶は、当分残りそうです、笑。
結局は、このファサード浮き彫りに尽きるわけですけども。

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そうそう、上の方からにらみを利かせている、この堂々とした女性もまた、忘れようにも忘れられないです。

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  1. 2020/05/02(土) 00:18:13|
  2. トスカーナ・ロマネスク
  3. | コメント:0

懐かしいグローピナはやはり謎でいっぱい(グローピナ)

2017年7月 エトルリアを巡りつつロマネスクもちょっぴり、トスカーナとラツィオの旅 その1

本来だったら、春の兆しの訪れとともに、イースター四連休で修行旅、5月恒例のグラッパ合宿、6月連休の遊び旅、と企画目白押しなわけですが、今年は、こんなことになっちゃって…。夏休みさえ、どこかに行けるのかどうかすら、今のところわからないという、あまりと言えばあまりに想定外な…。

新しい土地に出会えないのは大変寂しく辛いことではありますが、一方で、ためすぎている、これまでの旅の記録を、ここで一気に整理する、というのも、ありではないか、と思ってはいるのです。これがまた、紙もの同様、本当に手が付けられないわけですが、本来なら、さらにさらに整理すべき写真や紙ものがたまっていく、その本来が失われた以上、地味に、少しずつ、お片付け、というのは、やるべきことではありますよね。

というわけで、ほぼ忘却の彼方状態の旅についても、まとめておこうということで、古い方から順番にやっていこうと思います。

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なんと、あれから3年ですか!
2017年の初夏に、ミラノから車で出かけた記録です。
行き先は、トスカーナからラツィオにかけての一帯。過去に見残したロマネスク教会や、ロマネスクではないけれど、一度は訪ねてみたかった町村訪問を主目的に、修行無関係な同行者がいたために、一般的な観光地訪問も含めた、よく言えば盛りだくさん、悪く言えば散漫な、笑、そういう四泊五日の旅でした。
結果としては、エトルリアの印象が強く、ロマネスクは付け足し感が強くて、当初とは違う内容となったのですが、エトルリアについては、今後も機会があれば、また遺跡を巡ってみたいと強く思うこととなりました。結局、その後は、実現していませんけれど。

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旅の最初は、懐かしい村の訪問となりました。
どうでしょう、上の写真。イタリアでロマネスク巡りをされた方なら、きっとすぐに思い出す、懐かしい風景ではないでしょうか。

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グローピナGlopinaのサン・ピエトロ教会Pieve di San Pietroです(www.gropina.it 2017年7月当時のオープン時間:21/6-21/9 9時から19時、22/9-20/6 9時から17時)。

10年ぶりくらいの訪問だったでしょうか。最初の訪問は、ロマネスク修行としては初めて、自宅からマイカーで出かけ、トスカーナの主だった教会を回った時のことで、山道をドキドキしながら登り、村の入り口で車体をこすったことなど、すべてが印象的で、よく覚えています。
それにしても、この細い山道に臆することなく、よくぞ来たよな、オレ、と改めて感心いたしました。

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結婚式ですかね。ミサの準備がしてありました。以前来たときは、がらんとしていたと思います。そして、外光だけでうすぼんやりとしていましたが、この日は準備中のためか、明かりが煌々と灯されて居りました。

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美しいですね、このほっそりとした円柱の並び。外光と内部の明かりが合わさって、とても印象的な眺めです。
エニグマでいっぱいの説教壇も、相変わらず謎のまま。

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そういえば、これも、消失してしまったHPロマネスクのおとにまとめたので、ちゃんと資料に当たりましたが、覚えているのは、下で万歳している怪しいフィギュアが、ペンテコステを表しているということくらい。万歳の上のギザギザが炎だったかと。調べても、この程度しか覚えていないんだから、嫌になりますね~。
それにしても、見れば見るほど楽しい浮彫です。

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ここは、柱頭の彫り物も、面白いんですよね。でも、このおっさんは覚えてなかった。

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よく見たら、乳房を蛇にかまれてるやつですね!おっさんじゃなかった、失礼。
おっさんはこっちだった、笑。

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長いひげを引っ張っているモチーフは、結構見ますね。印象としては、古い時代のモチーフっていう感じなんですけど、どうでしょうか。いずれにしても、非常に細かい彫りで、でも人物フィギュアについては結構写実感があって、説教壇のフリーダムな様子とは、かなり違います。

トスカーナのこの辺り、カセンティーノとかアルノ川上流域とかでくくられる地域ですが、柱頭がデザイン的で面白いものがたくさんあります。それはどっちかというと、こういうすっきりした彫り系。

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すっと、迷いない一本線で決めた、みたいなタイプっていうんでしょうか。動物だったり植物だったりするんですが、なんというのかな、やはりデザイン的で、聖書エピソードを彫りこむのとは全然違う感覚。

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初めて接したときは、今より10年分見たものも少ないし、あまりのすっきりぶりに感動したものです。

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すっきりしながら、ちゃんとかわいいしね。この、つかまっちゃった獣、なんですかねぇ、哀れ感というか、ぬるぬる系というか、変な可愛さでしょう。鳥のクールさとよい対比です。
可愛さと言えば、これ!

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以前は、撮影に失敗して、そういえば、あの時は、カメラの設定モードが間違っていて、全般にろくな写真がとれてなかったんですが、この授乳生物がぼけていたのは、痛恨でした。今回はクッキリと撮れました!
それにしても、改めて見ると、結構不気味な。なんですか、この謎の動物は?
見れば見るほど、なんだか面白いですね。
ま、先を急ぐこともあったので、さらりと流しつつ、前回来た時、気付いたかしら、というものを発見。

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すっごくかわいいですよね!本体と時代は違うのではないかと想像しますけれど、正面扉の上にはめ込まれていました。

そして、こちらは、多分、前はアクセスできなかったと思うんですが。

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美しい後陣ですね。
以前は、こちら側は、結構高い塀に囲われていて、扉が閉ざされていたと記憶します。まぁ、確信はできないのですけれども。
でも、入り口に、Giardino della Pieveと新しめの看板が掲げられていたし、おそらく、近年、アクセスできるように、整備したのではないか、と想像しています。
塀が結構高かったので、後陣の上の方が、ギリギリ見えるだけだったんですよ。

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門のある右側が今は鉄柵ですが、かつては、門の周りと同じように、漆喰で塗り固めらた塀だったので、上の方しか見られなかったのです。
そうだ、写真を見ながら思い出しましたが、確か、この通りに、カギの家があったんでしたよ。だから、この小路を歩いて、この辺りまで行ったので、記憶に間違いはなさそうです。

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やはり、定期的に再訪する価値はあるもんですね。
後陣、白くてきれいだから、修復が入って、それと同時に、公園として整備されたのかもね。

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  1. 2020/05/01(金) 23:20:50|
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