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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

先導車付きで、手長マギ訪問(タルチョーナ)

2020.08 コロナ禍中、炊飯器持参の夏休み(エトルリアとロマネスク)6

ヴォルテッラから二日目の宿に向かう前に、ポッジボンシPoggibonsiからもほど近い村に立ちよることにしました。目的は、これです。

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タルチョーナTalcionaのサンタ・マリア教会Chiesa di Santa Mariaです。

事前に訪ねる場所を調べているときに、この、ファサードにあるアーキトレーブを見て、中に入れるかどうかなどは一切考えず、ただこの浮彫を見に行こう、と思いました。
小さな写真でしたが、見るからに愛らしくて、怪しくて、私が大好きなタイプじゃないですか。

この教会、村の中のちょっとした高台にあり、アクセスは、脇の道の方からで、回り込んでファサードに合うロケーションになっていて、そこに回り込まない限りは、この浮彫は見えません。
私は気持ちがはやって、実際に小走りで駆け付けたのですが、同行者はよっこら所、とのんびり。しかし、私の歓声に何事ぞ?と駆け付けてきて、この浮彫を目にするなり、スマホ、取ってくる!と、走って車に引き返しましたよ。
ロマネスクに興味が薄くても、そして見たものを写真に残そうという気が薄くても、これは、そそられる浮彫ということですね、笑。

それでも、彼女の撮影は、たったの二枚ですから、如何に写真を撮らない人か、わかりますよね、涙。私は、あらゆる角度から、そしてすべての人物について、詳細に撮りましたとも!脇の柱の上の方で向き合っている人たちも、アーキボルトにこっそりと遊んでいる鳥だって逃さずに撮りましたとも!
と言いながら、寂しくなりますねぇ。あのデジカメのSDカードに入っていた大量のロマネスク写真は、きっと当たり前のように消去されてしまったんでしょうねぇ。号泣…。

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教会の本体は、結構新しくなっている様子で、面白みはなく、正直、ここを見ればいいのかな、という教会だと思います。
それにしても、よくここだけ、きれいに残ったものだと感心します。
ただ、扉全体からいうと、なんとなくプロポーションが違う感じもしますよね。扉の細さに比べて、このアーキトレーブ、でかいです。
高さもすごくあるしね。石工さんが、全然プロポーションを考えないで作ったのかとか思っちゃいます。

教会本体は、12世紀半ばの創建ですが、この浮彫は、1234年という彫りがあるので、後付ということになります。

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テーマは、見ての通り、マギですね。

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贈り物がなくなっちゃっていますが、それにしても、この変な手の長さは、えっと、オーベルニュのThureでしたか、あそこの浮彫をちょっと思い出しちゃうような、変な形です。
この聖母子も、すっごく好き。

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聖母の、なんというのか、昔はやったみたいなパーマ頭と、両脇の動物のあんよが、もう悶絶もの。
地元の石工さんの作品ではないか、というこ
とですが、かなりセンスある方ですよねぇ、これ。この近辺では類似のものはないように思うし、どこからこういうインスパイア得たのか、興味があります。

このあたり、たぶんもう一度は行くことになるので、再開は約束されています。今から楽しみだな。
 
実は、この村に向かう際、車のナビに村の名前を入れたら出てきたんで、素直に従っていったんですが、結構分け入ってきた民家の並ぶ道で、この先、未舗装の道になります、というんですよね。
個人的には、未舗装の道は、行きません。パンクでもしたら困るし、狭い砂利道などに入り込んだら、引き返すのも苦労するので、基本的に諦めます。
なので、引き返そうとして、民家の前でUターンしようと思ったら、その家の方らしかったのですが、ちょうど車で帰宅されたところ。
思わず、あのこの先未舗装らしいのですが、タルチョーナへ行く他の道はあるか尋ねると、タルチョーナは、この道ではいけない、というのです。
同行者がスマホのグーグルマップで調べると、確かに全然違う道が出てきたようです。
その方は、ちょっと説明してくれたのですが、「たぶんわからないな、よし、途中まで先導するから付いて来なさい」と、また自分の車に乗って、さっさと発進してしまうのでしたよ。

結局来た道をかなり引き返して、全然違う方向に向かって、5分以上も先導してくださって、あとはこの道を行けばたどり着くよ、という迷いようのない場所まで行ってくれたのでした。
こういう田舎の親切って、ありがたいですよね。彼らは車の生活だから、車で5分程度は何でもないのかもしれないですが、でも、誰でもがそこまでしてくれるわけじゃないですし。
まったく、最初からスマホを使え、ということですね、アナログ世代は、ほんとダメ。この後は、車のナビを信用せず、必ずスマホを併用するようにしましたよ。便利な世の中。でも、スマホがない方が、こういう交流はあります。

タルチョーナをたずねた時、この方開口一番、あそこに滞在している旅行者?と聞いてきましたから、そういう村でもあるのかな。ほぼどん詰まりで、その先はどこにも行けないような村です。
でも、今グーグルマップで見たら、そんなことはないんですね。村の先に道が続いていました。

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  1. 2020/09/04(金) 05:41:47|
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