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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

石工の性格などを夢想(モーリアックその2―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その63

モーリアックMauriacのノートルダム・ド・ミラークル教会Eglise Notre-Dame-des-Miracles、続きです。

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ここに至るまでの、地味な割にアクセス大変じゃん、という辛い行程を、補うように、見所豊富ですね。といっても、ディーテルが豊富なだけで、上の差審のように、教会の姿とか、全体のテクスチャーとしての感動は薄いんですけどね。
しかし、遠目にも、お、あのタンパン、あのアーキトレーブは、と感じさせられますでしょ。

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ドカン、とはみだし系アーモンドが迫力です。タンパン、アーキボルト一体型ですね。アーキボルトに並んでいるのは使徒なのかと思いますが、漏れなく頭部が欠落しているのが痛々しいです。

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向かって左、つまりキリスト視点からは右手の一群。使徒と、一番キリストに近い場所は、祝福ポーズの聖母かな。相当細かい高度な彫りと見受けられるので、頭部欠落は、残念なことです。しかし、キリストと両脇天使君は、なぜ助かったのかな。もしかして再建なのかしらん。

向かって、右、キリストの左手の一群。

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キリストに近い位置にいるのは、おなじみ、鍵を抱えたペトロン、ピエトロさんですね。

写真って、相当アップで見ることができるので、正直今気づいたのですが、これ、ちょっとオリエント風味入っているような。
カギを確かめるために見ていたら、ピエトロさんのおなかがやけに出てるんですよ。横に流してみると、みんな出ている。腹が出ているというより、なんかポーズというか。そして、このヘレニズムっぽい衣の流れるようなドレープとか、ちょっと観音様系というか、顔がない分、国籍不明っていうか。
だってね、一体外して、独立像としてお寺に置かれていても、これ違和感ないような気がするんです。

特に右側の一群に、そういうテイストを感じます。

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こういうのが、オリエントに流れた、ということなのかな。美術史分かってないから、本当に頓珍漢なことを言ってそうです。良い子の皆さんは、ちゃんと自分で調べてね、笑。

キリストはどうかというと。

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やっぱり腹が出ている…。これはやっぱり今まで見たことないタイプかも。
この人、浮遊感がすごくあるように思うのですが、その割に顔がサラリーマン…。七三的な整髪をしているのが斬新です。衣装をスーツに置き換えてみたら、荒びっくり、ピッタリじゃない?と脳内変換してしまいましたわ。
でも、スーツだと腹出せないし、浮遊感はどうなるだろう。いや、腹のせいじゃないとは思うけれど、何がそういうふわふわした様子を醸し出しているのだろう。
あと、すっごくきっぱりと開けられている穴も気になるんです。
光背部分は、宝石はめ込みみたいなイメージですが、玉座の位置の大きいのは、何でしょうか。

そして両脇の天使ちゃん。

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めっちゃノリノリです。
スペースありきのポーズで、こういうの大好物。ちょっとブリオネあたりの仲間を思い出します。キリストと違って、浮遊感というよりは、動きが前面に出ていますねぇ。アップで見ると、彩色の跡があるようです。

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こっちの子も、負けてないです。ほとんどトランス状態ですよね。目がやばい、笑。
頭部は、再建には思えないので、やはり破壊しなかったということらしい。下に並んでいるやつは、破壊しやすかったとかそれだけの理由でしょうかね。それにしてもひどいことをしたもんだ。フランス人が、今やたらに文化に入れ込むのは、こういう黒歴史の結果かもねぇ。

タンパンは、すぐ目がひかれるから、見逃すことはないと思いますが、それを囲むアーキボルトは、一見すっごく地味で、ただ幾重にもなってるなっていうだけの印象なんですが、地味にひっそり、変だったりかわいい人たちがいますので、お忘れなく。

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姿形からは、いわゆるライオンとしか思えないのですが、顔が…。

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人面というものでもなく、なんかやばい人、みたいな…。

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キメラ的な。この頭部がないのは、ただの自然損壊だと思います。
想像上の動物と、実存動物が、仲良く共存しています。

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かなり写実的な魚。サケに見えます。

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これまた写実的な羊の群れ。
普通だったら、一頭ずつ浮彫するだけなのに、わざわざ重ねて奥行き感まで出して、自分の技術に絶大な自信があって、俺を見ろ!的な石工さんの自慢気な作品。または、羊を彫れといわれた下っ端石工が、必要以上に頑張ってみた、みたいなストーリーも考えられます。
実際、これは珍しいです。

人もいました。

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ペアだし、アダムとイブかと思いましたが、よく見ると、どっちも男。ふたご座?

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てんびん座みたいのもあるから、これは黄道十二宮の星座が彫られているのかな。
イタリアだと、農業に関連した各月のシンボルが彫られることが多いので、それかと思ったのですが、違いましたね。

上を見た後は、お足元の確認もお忘れなく。

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きゃわいい…。
ひっそりともぐもぐしています。

うっかりしていましたが、柱頭では、こんなやつらが、ちゃんと仕事しています。

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これもキメラっぽくて、しっぽだか後ろ脚だか、もうわけのわからない絡み具合です。表情も、気持ち悪。足元のほのぼの系とは、まったく違うタイプの人たちで、不思議ですね。

向かいのも、なんか不気味な様子。

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つる草にからめとられて、呆然とした表情ですが、無表情でもあって、シュールな印象です。

なかなか入場に至りませんね。

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  1. 2021/02/27(土) 19:57:18|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
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久しぶりに可愛さ全開に遭遇(モーリアックその1―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その62

ここから新しい一日となりますが、前回の記事までしばらく、地味中心だったので、この日は確実に見るべきものを優先する!という変な気合が入っていたことを覚えております。
しかし、そういう気合を奪うような、これ、「中世巡りの夏季フランスあるある」だと思うんですが、寒い…!10度以下でした。8月のど真ん中でしたけどね。
このように、朝は半そででは無理、ということよくあります。特にこの辺りは標高もそれなりにあったりするから、本当に寒い朝が多かったです。

一発目は、こちらです。

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モーリアックMauriacのノートルダム・ド・ミラークル教会Eglise Notre-Dame-des-Miraclesです。
(実用情報:駐車場は、旧市街周辺のほとんどどこでも可。私は事前に調べておいたBoulvard Monthyonの路肩を利用しました。教会は、早朝8時から18時まで、お休みなしで開いているようです。町には観光案内所1Rue Chappe d'Auterocheもあり、フランス語でしたが、大変感じよかったです。)

教会は町の中心部にありますが、小さい町なので、どこに車を停めようと、アクセスは近いし簡単です。
ここは、事前にも、見所がたくさんあるように感じていましたが、実際になかなか盛りだくさんで、見るべきものを優先してみる、というこの日の目的に非常にかなった教会でした。

全貌です。

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こうやって見ると、全般に手が入っていて、多くは期待できないのかな、といったような塩梅にも思えます。また、多面の、幾分ずんぐり感のある塔は、ちょっとスペインぽい感じもありますね。

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構造物の石などは、かなり修復で入れ替えされているような新しさ感満載ですが、装飾的な彫りものを見ると、オリジナルの姿なのだろうな、と思います。
この、半円じゃない三角のアーチというのは、フランスでは大変よく目にします。尖塔アーチではなく、三角なんですよね。半円と三角のアーチの組み合わせは、壁のブラインドアーチでもよく見る気がします。これはイタリアにはないと思うのですが、どうでしょうか。

一見サラリのっぺりですが、ちゃんと彫り物あるんです。これは肉眼では決して見えないものですから、この時代の職人さんの美意識を感じるところです。

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それも、好物な素朴アニマル満載。いいですね。期待できます。

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まずは外側で会うことができる人たちをご紹介していきましょう。まずは、後陣部分にいる方々。

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まずは、屋根の軒部分に、縄目のねじりんぼうがあるところが、すでに好きです。そして、これ、なになに~って、思わず微笑んでしまうやつじゃないですか?なんだろう。下に人がいて、動物抱えて、上にも人がいて。

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こ、こりはまた…。十八禁?男性器?オケツの穴?なめてますよね、馬みたいなやつが。ちょっと~、困るなぁ、笑。

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こちらは、今年の干支の方ですよね?身体を無理やりねじって、すごいセクスィーポーズって感じで、漫画「鬼灯の冷徹」の牛頭馬頭コンビの牛頭を思い出しました。ピンクのフリルチュチュが似合いそうな…。いつもレベル低いな、連想が…。

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図像としてはよくあるガジガジ系ですが、ガジガジしてるのが、肉食系というより草食系に見えます。何なら牛にも見えないことがないですね。
鋭い歯がない分、ガジガジされるは辛い気もしますねぇ。なんか、歯がむき出しだけど草食系のすりつぶし向け奥歯的な歯ですもんね。
でも、本人はすっごく嬉しそう。ガジガジされてる人は、思いっきり当惑している様子なのが面白いです。
それにしても、ちっさい穴ポチで、目の表情出てるのが、天才的です。

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これもガジガジ系みたいです。こっちはもう頭カプリと言っちゃってるのかな。足をつかんでる安定感が、組体操になっていますけれど。これもでも、肉食というよりカバ系ですよね

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最初に、動物を間に置いたやつと図像的には似ているんですけど、すっごく不気味。上の人の表情は、つげ義春を髣髴とします。微妙にデッサン狂ってるとこと、目の訴えるものがネジ式…。他の角度の写真を見ると、下は、動物みたいです。

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やっと肉食系の登場ですが、仮面かぶってます、笑。とすると、カバと見えたやつは、やはり肉食系なのかな。

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髭を引っ張っているおじさんの図像は、かなりスタンダードなものですが、このおじさんほど小人感が強い人には会ったことがないように思います。これ、まんま白雪姫の小人じゃないですか?表情の彫り方も、すっごくそういう感じで、写実的なのかな。それでいて、小人感があるということは非現実感なんだから、矛盾した雰囲気を持つ人。
いや、でも小人。つるはしとか持ったらピッタリでしょう。

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割と普通なモチーフの鳥ですら、ここの石工さんにかかると、なんだかおもしろいというか、愛らしいというか、ちょいと味のある何かになりますねぇ。何だろう、表情何ですかね。後、このポーズが。

というわけで、一部見るだけで、こんなにたくさん語りたくなってしまいました。図像については、ご興味が湧いたら、どうぞどんどん調べられて、そして教えてくださると助かります、笑。また、お暇があったら、色々想像して自分なりの解釈をしていくのも、頭の体操に良いかと思います。

続きます。

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  1. 2021/02/26(金) 06:10:36|
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サレール赤牛に舌なめずり(ラロクヴィエイユとジルゴル―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その61

なんかもう、びっくりするくらい地味で、なんでこんなとこまで行ったんだろう、というような教会の連続です。本当に、オレ、こんなとこまで行ったんだっけ?と自分でもほとんど記憶が飛んでおりますが…。

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山間とはいえ、幹線道路はきれいですけれど、こんな脇道、それも、見るからに上り。果敢に攻めたものよのぉ、と、他人事状態で、今更感心しています。ここは、旅日記にも、「結構な山で大変だった」、と記してあります。

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ラロクヴィエイユLaroquevieilleのサン・パルドゥ教会Eglise Saint-Pardouxです。
やっとこさたどりついて、それでも、おおお、これはなかなか、と思えればよいのですが、「うむ、例によってのカンタル的な、石のやつだな…」程度の印象だと、やはり気力が萎えるといいますか、なんでこんなに頑張っちゃったのかと内省してしまうというか、ちょっとね、そういうものがあります。
ま、そういうとても地味な教会だったわけで、記憶が飛ぶのも、当たり前といえば当たり前ではあるんですが、これは、覚えていた!

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石造りの建物の内部が、思いっきり木製というミスマッチ。それも、結構新しそうで、びっくりしますよね。木で、無理やりアーチ作るっていうのは、なんかすごい。船底的な技術が、こんな山奥に。

目を皿にして、お宝を探しましたが、ロマネスク的なものは、発見できず、でした。
一つご紹介するとすれば、これかな。

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フランスでは、古い教会に、現代ステンドグラスって、とてもおなじみですが、そういえばこの辺りでは、あまり見なかったかもしれません。ちょっとレトロな雰囲気のあるガラスの色遣いが、おしゃれですよね。この、古いものの中に現代的なテイストをはめ込む感覚は、結構好きなんですよ。ステンドグラスは、特にイタリアでは、現代ものはほとんど見ないと思うので。

前回の教会同様、古いものは、扉周辺だけという様子です。

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でも、それもかなり傷みが激しくて、もともと地味ですし、消えそうになっている浮彫だけです。

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今回は、もう一つ、一緒に紹介してしまいます。なんせ、さすがの私も、撮影枚数がすごく少ないんで、笑。

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ジルゴルGirgolsのノートルダム・ド・ラ・ナティヴィト教会Eglise Notre-Dame-de-la-Nativiteです。

ここは、やけに記憶があって、あの場所かな、とグーグルで確認しようとしたら、田舎過ぎで、村のストリートビューは、一切ありませんでした、笑。でも、確実にあれだあれ!と覚えてます。
確か村全体が山道みたいな小さなところで、この教会は、ちょっとした高台になっていて、鐘楼のある側から、見晴らしがよかったように思います。

そして、この教会も、他の例にもれず、扉口以外は、ほとんど何も残ってない感じ。ただ、作りはそのままですし、石の様子も、地元産を使っている分、しっくりした感じはあります。先の教会ほど、大胆な変更もされておりません。

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地味な地味な、それでも、何らか飾りたい、という気持ちが感じられる、質実剛健カンタルの装飾ですね。

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市松が好きなので、これだけでも結構嬉しかったですけどね。
内部は、雰囲気はあるものの、山奥の田舎の教会という風情に過ぎず…。

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構造は、そのままに、ずいぶんと手が入っています。ここも、外は四角で、中は円形になっている後陣なんですね。でも、全部新しくなってしまっています。
不満的な記述になっていますが、そんなこともなくて、小さな村には必需品みたいな教会として、大切にされている様子が明らかなので、それは建物にとって、そして多分信仰的にも、最も重要なことだと思いますので、好感度は高いんです。
でも私は、ロマネスクハンティングに行っているわけですから、そこはちょいと寂しいわけですけどね。

ここ、覚えているのは、一つには、先客の年配フランス人カップルがいらっしゃったのですが、究極の愛想のなさで、いやはや、フランス人、愛想のなさでは上には上がいる、ということで、本当に驚いたという経験があったのと、もう一つは、こちらです。

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高台で、眼下には牧場が広がっていたんです。
このあたり、Salersという種類の牛で、これが大変美味な牛肉になるという説明をどこかで受けました。それが、これか!ということで、ちょっとよだれが出てしまう状態の私。すっごい肉食、というわけでもないですが、牛を見て、あれがおいしいというやつか、と思えてしまう私は、絶対に菜食主義にはなれないタイプですね。

しかし、教会を見ているとき、背後にどっどっという足音、というか走る音がしたときには、ひるみました。

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一等の巨大なやつが、牧草地の端っこにある水飲み場に、小走りに行く音だったのですが、かなり巨大ですから、地響きというような音でしたよ。

角のある赤牛。これがこのあたりの名物牛。
行こうと思えば、あと一つ二つは訪ねることができたと思うのですが、ここで空腹感を覚えたこともあり、この日は早じまいとして、もちろん、夕食にステーキ、いただきました!

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  1. 2021/02/22(月) 01:22:18|
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金持ちの村と、そうでもない村だったのかな(ラセル―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その60

前回のサン・シルグで次の目的地をナビに入力したら、1分、と出てきたので、嘘だろう、と思ったら、本当に1分で到着しました。

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ラセルLascelleのサン・レミ教会Eglise Saint-Remiです。

前回に引き続き、街道沿いにある村なんですが、イメージはこんな感じ、ということで、グーグルの写真をお借りしました。ちょうど、雪景色で、ちょっときれいだし。

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サン・シルグの教会と、ほぼ同じスタイルです。

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鐘楼の部分に屋根がついていて、こっちの村の方が、お金持ちがいたのかな、とかそういうことだと思います。後、装飾的な部分も、あちらよりは多いので、やはりお金持ちがいたんだと思います。

質実剛健な様子の扉口。

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消えそうな浅浮彫装飾があるんですよ。

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ね。
石そのものも傷んでいるし、彫り物もちょっとダメージが激しいです。でも、こういった地味目な装飾も、出来立てほやほやのことは、石だってピカピカしていたんでしょうから、今見て感じるものとは全然違う豪華さがあったんじゃないか、と思います。

というのも、つい先日、ミラノの町を歩いていて、あまり近くから見たことのなかったネオロマネスクの教会の前を通ったんです。レンガ積みの建物で、ブラインドアーチなど多用しており、軒持ち送り的な彫りものまでちゃんとあるような、しっかりしたネオロマネスクなんです。
おそらく、レンガも、今どきの新しい素材で、単純に土を焼いただけのものではないと思いますし、だからレンガといえど、ピカピカしています。アクセント的に置かれたアーチを支える白い石の柱が、レンガを背景にすっきり感を出していて、そんなすべてが、出来立ての教会って、当時だったこういうピカピカしたイメージがあったんだろうなぁ、と、結構急いでいたんですが、しばし立ち止まって、ファサードを眺めてしまいました。

ロマネスクを回っていると、当然のことながら、実際に建物が作られた時から千年近くも経た状態になっていて、それが好きなわけではありますが、できたときどんなだったか、と考えるのも、なかなか面白いことかも、と思いました。
まぁ実際は、いつだって、目の前にあるものを受け止めることに忙しすぎて、そういう見方があることなんか、思いつきもせずにアワアワしているんですけどね。

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軒持ち送りにも、いくつか楽しいやつらがおりました。傷んではいますが、ちゃんと石工さんを雇えたんです、ここでは。

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そして、あちこちに、小さい装飾があって、まさに宝探しです。
トップの写真が、後陣なんですが、とんがりアーチのブラインドで、こじゃれた仕上がりになっていますよね。
そこにも、こっそりと彫り物があるんです。

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素朴でかわいい。
それにしても、ここらでは、鼻の穴にこだわりがありますね、なんだか。かわいいんだけど、この、ぽちっと二穴。

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外は四角い後陣ですが、中はちゃんと円形になっています。

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これは、どうしてなんだろう?四角い方が立てやすかったとかそういうことなのか。より古い時代のものが、そういうことらしいですが。

内部は、ほとんど装飾らしいものもなく、という様子です。というより、後代の手が入っており、現代の宝物、として説明盤で紹介されているのは、いずれも16世紀以降のオブジェクトばかりで、我々には興味のないところです。

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なめるような視線で探しても、なかなか。これは後陣部分のものだったと思いますが、縄目に、古さを感じます。

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この市松も、数少ない名残。

ここは、お金があった分、本来結構あったはずの彫り物なんかも、傷んだとかの理由で、もしかすると替えられちゃったりしたのかもしれない、と勝手に想像しています。17世紀以降に置かれたものもたくさんあるようなので、ルネサンス期あたりに来ていれば、全然中も違ったかもね。石に聞いてみたいもんです。

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夕方が迫ってきています。先に進みます。

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  1. 2021/02/20(土) 20:21:24|
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延々と続くカンタルの田舎の村(サン・シルグ・ド・ジョルダンヌ―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その59

イタリアでは、感染者数も陽性率も良い感じで下がってきて、州内の移動は可(結構長い間、市内のみ可でした)ということになっていました。それにしても、死亡者数は一日300人を下回ることはない、という状況に変わりはなく、なぜなんだろう、と思っていたら、いきなりイギリス型だのなんだの、感染力が段違いに強いウィルスが入り込んできて、この週末から、一部の州がロックダウンとなるようです。
ワクチンが、驚くべき速さでできてきましたが、やはりそんな簡単な話ではなさそうですね…。

私の在宅勤務も、あと3週間ほどで、丸一年となります。当時は、差し迫っているイースターの休暇は、何もできないなぁ、くらいの感覚で、そのまま、夏休みも、秋や冬の連休も、普段のように楽しめないことになるとは、想像もしていませんでした。

ブログの記事を書いていると、時々強烈に、修行旅に出たくなります。この数日は、久しく訪れていないスペインへの思いが唐突に湧き上がってきて、過去の記憶を反芻したりしていました。本当は、今年あたり、車で行ってみようと思っていたんですが…。
スペインどころか、市内から出られない事態もあり得るって、はぁ、脱力します。

せめてこの場では、過去の思い出に浸り、現実逃避したいと思います。

さて、2000メートルに近い山越えをして、延々と、この時は、かなり延々と走ったイメージで、メモっておいた教会へ。

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サン・シルグ・ド・ジョルダンヌSaint-Cirgues-de-Jordanneのサン・シル・エ・サン・ジュリット教会Eglise Saint-Cyr-et-Saint-Julitteです。

めっちゃ地味。
起原は、山の小さな礼拝堂、とかそういう感じがします。
でも、説明を見ると、11世紀で、その後13世紀から15世紀にかけて今ある形になった、とありましたので、ちゃんと教会として出発したようでした。建物一体型の四角い鐘楼とか、スタイルはまさにカンタルで、この周辺の小さな村の教会は、みな同時期に、同じスタイルで建てられた、とあります。道なりなので、次々回りますが、確かにどれも、めっちゃ地味、笑。

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中は、近代の手が入っており、小ぎれいに整えられていて、ロマネスクの面影はゼロといってよい状態でした。
床石が、かすかではありますが、当時の様子に近いといえるのかな。

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もちろん、張り替えたものと思いますが、石は、この地域のものに間違いありませんから、オリジナルもこんな様子だったのではないかと思いますし、こういう石の床は、新しいものであっても、無条件で魅力を感じます。

それにしても、この祭壇部分との境界、このように波打たせたスタイルが好きですね。これは、ロマネスク時代ではないと思うのですが、あちこちでカーブしたスタイルだと思います。

外に、こんなものが。

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道祖神のような十字架への彫り物。
多分リバーシブル仕様で、こっちが、十字架降架ぽくて、反対側は磔刑みたい。

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古いものなのかどうかも不明。
それにしても、キリストの腰布が、ちょっとパンパースっぽくて~。何て罰当たり発言、笑。

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写真だと、孤高のロケーションっぽいですが、村の中で、ごちゃごちゃっとした感じです、実際は。

次の教会も一緒に、と思っていましたが、写真が増えすぎそうなので、やはり切ります。
ここから1分の村です。

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  1. 2021/02/20(土) 19:30:11|
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もしかすると、歯医者仲間になれたかもしれない(ディエンヌその2―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その58

間抜けな勘違いで、変則順番になってしまいましたが、ディエンヌDienneのサン・シルゲ教会Eglise Saint-Sirgues、続きです。

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この教会も、黒い石の屋根瓦とか石色とか、カンタルらしさ全開の姿ですね。
到着次第、結婚式が近い様子に、取るものもとりあえず、内部を見学したので、今回は、外側を、ちょっと落ち着いた気持ちで。

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この教会も、この辺り特有のスタイルに忠実ですが、西側の扁平鐘楼が、四角ではなくて、三角屋根となっていますね。パッと見ると、四角が三角になるだけで、かなり軽快なイメージになりませんか。今、初めてそう思いました。
四角いと、鐘楼というよりも、壁のイメージが強くて、すごく堅牢な、拒まれるような感じもあるのですが、三角だと、ちょっとやさしさが感じられるというか。この違い、時代によるのでしょうかねぇ。

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入り口扉は、深いアーチ構造となっていますが、どうやら、後代のものみたいですね。内部のかわいらしい柱頭から類推すれば、本当は、ここにも面白い柱頭があったのではないか、と想像しますが、さてね。

いずれにしても、全体にかなり地味ですが、こういう時は、視線を泳がせないようにして、じっくりと見逃しの内容に、なめるような視線で、宝探しです。
そうすると…。

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こんな、うっすらとほほ笑んでいる人に出会ったりします。
鼻筋通り過ぎ、っていうか、でかくね?
その割に口は小さくて、肉食系な顔立ちですね。こういう人は、口が大きく開かなくて、多分、歯医者で苦労します、笑。

さて、後陣の方は、どうかな。

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遠目でも、溶けちゃっている様子がわかります。
円周に地味についているシンプルというか、手抜きというか、部分的市松帯、結構いいんですけどね。

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悪魔くん的な頭部とか。

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未知との遭遇に出てくる宇宙人的なフィギュアとか。
かなり想像力が必要な状態なのが、残念です。
これは、写真でアップしてみれば、こういう想像もできて楽しいんですが、現地だと、やはり、ちょっとさぁ、とがっかりするレベルではあります。

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半端な市松に見えた帯装飾は、お団子にも見えますね。

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一部、かなりきれいなのは、再建なのかな。
これなどは、植物モチーフを究極的にデザイン化したミニマリズムって感じですが、さて。

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こんなくっきりした顔の人もいらっしゃいました。
なんかこういう目の彫り方って、彫ったというより、粘土に棒を差し込んだみたいな感じで、不思議です。だって、石ですから、やっぱり彫るんですよね。口の横直線はともかく、この小さい目を、かなり丸くうがつのって、結構難しそうにも思うんです。

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これも、かなり新しっぽい印象のバッテン。
斜めだから十字架でもないし、こういう記号みたいなものは、やはり意味があるのかな。

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こんな、お饅頭状のバッテンもありました。これはちょっと珍しいかも。ほとんどくるみボタンですね、笑。

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後陣側に墓地があったけれど、美しい緑の土地を見晴らす絶好の高台で、こんな墓地で眠るのは、気持ちよさそうだな。

結局結婚式、遅るるに足らず。焦りまくって見学して、その後、結婚式が始まる様子もないままに、教会を後にしました。

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  1. 2021/02/16(火) 05:58:57|
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知らなくてよかった(ピュイ・マリー―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その57

今回は、ロマネスク無関係な記事となります。ディエンヌの後半があるのに、うっかり書いてしまったので、前後しますが、上げてしまいます。すみません!

前回のディエンヌから、次の目的地に向かいます。どんどん自然に分け入る感じになってきて、広大な谷を見下ろす様子というんでしょうか。車も少ない美しい道を、快適に走りながら、「ん?こんなに様子がいい土地なのに、なぜ集落が一つもないんだっけ?湿地帯とかそういうことなのかなあ」と疑問が湧いてきます。

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走行中に撮影できませんので、グーグルからお借りしてみましたが、まさにこういう風景でした。結構長い間、行けども行けどもだったので、湿地に違いない!と自分的に納得していました。
しかし、だんだん思い込みが揺らいできました。

midipirenee 761

こんな高そうな山があって、路肩に見晴台みたいなスペースが散見されます。
そしたら、やっぱり~!!!

midipirenee 762

いきなり、標高1555メートルの表示が出ました!なにそれ~、でしたよ。
自分がどこにいるか、分かったら、なんだかいきなり怖くなってしまいました。別に、断崖絶壁の道を走っているわけじゃないし、そういう怖さならモナコで、おそらくグレースケリーが落ちたのはこの辺の道じゃなかろうか、というような、まさに、右側は断崖絶壁、という道を走ったこともありますけれども、ここはそういうわけじゃなくても、相当怖かったです。

というのも、高さを認識してから、どんどん登りになったんだと思います。先に進むしかないし、今後どうなっていくかわからないし、その未知の怖さや、強制的冒険への恐れといいますかね、笑。

そうは言いながら、来ちゃったんだし、二度と来ることはない(というより、来たくない)ので、ちょっと止まりたいとは思ったのですが、多分、一番高い場所の見晴台みたいな場所にある駐車場が、めっちゃ少ない。
だから、多くの車が、路肩に駐車されていて、以下はグーグルですが、私が行った時も、こんな感じだったと思います。

midipirenee 763

でも、これさぁ、右側、怖いじゃないですか、柵もないし。
それで、そろそろと進んだのですが、やはり満杯で。
こういうところ、イタリアの方が、駐車スペースは取っているように思いましたが、ここが、特別少ないのかもしれないですね。
残念に思いましたが、仕方ないので、先に進みました。

そしたら、しばらく行った先に、路肩が見晴台になっているスペース発見。走行している車が少ないので、無事、駐車できました。
いやぁ、絶景でした。

midipirenee 764

こういう写真では、絶対にわからない爽快感です。
寒いくらいの風が、強く吹いていて、空気がおいしく感じられます。
その風で、大型の鳥が、浮かんでいました。

midipirenee 765

これね、鳥は止まってるんです、空中で。要は、タコの状態。真正面から風を受けているのでしょうね。すっごく面白くて、見入ってしまいました。

同じ見晴台に、フランス人の初老のカップルがいらして、やはり鳥に見入っていたことから、ちょっとおしゃべりしました。
とても感じの良い方々で、土地の話を色々してくださいました。この辺りは、火山がたくさんあって、それでぼこぼこしているのですが、最大の火口は幅、いや直径が60キロもあるとか、あれがピュイ・マリーPuy Maryだとか。

ピュイ・マリー!
前夜、シャンブルドットの夕食時、そういえばテーブルマットが、ピュイ・マリーの写真が入ったお土産品的なマットだったのを思い出しました。その時は全くわかってなかったので、なんかダサいわ、とか思っていたのですが、そうか、ご近所にあったからなんですね。
ピュイは、この地域で山のことです。

midipirenee 766

それにしても、あの時の会話は、何語だったのかなあ。フランス語だったんだとしたら、当時、少しは何とかなってたんだなぁ。やめちゃって勿体なし。

いずれにしても、予期せぬ山の空気を堪能して、峠ドライブまでやっちゃって、本当に盛沢山な旅となりました。
正直、事前に調べすぎていなくてよかった、と思いました。わかっていたら、何とか避ける道を探していたでしょうし、避けるのは無理となったら、行く前から怖くて、のんびりと、「湿地だから村もないのかなぁ」なんて間抜けなことを考える余裕もなかったと思うからです。

midipirenee 767

峠の後は、どんどん下っていきます。結構激しく下った先が、次の目的地となります。
が、その前に、ディエンヌの続きをやりますね。

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縄目を見ると(ディエンヌ―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その56

次の村では、到着時、いきなり焦らされました。

midipirenee 748

村中、祝祭ムードで大盛り上がりです。これは焦ります。お昼過ぎの時間ですから、お式はこれからの可能性大。大慌てで、あたふたと教会を目指します。

midipirenee 749

ディエンヌDienneのサン・シルゲ教会Eglise Saint-Sirguesです。墓地の教会です。

まずは、何はともあれ、内部に突進!

midipirenee 750

お花の飾りつけは済んで、おばさんたちが、色々と準備作業をしているところでした。教会のミサは、見学には困ることも多いのですが、こういうタイミングなら、結婚式は良いですね。こちらのお花の飾り方って、すごくかわいらしいし、地味な教会も華やぎます。
でも、到着が1時間ずれてたら、やばかったでしょうねぇ。セーフでよかった。とはいえ、この時はタイミングわかりませんから、かなり焦って見学しました。

そんなわけで、あまりよく覚えてないんですが、今改めて写真を見ると、雰囲気はあります。

midipirenee 751

ただ、この手の、白い切り石積みタイプって、現地では、変に白々としていて、あまり好みではないので、この時も、ちっ、とか舌打ちをしたやつかもしれません、笑。写真で見ると、なかなか良いですけどね~。

midipirenee 752

ここ、地味ではありますけれど、彫りが好きなのあります。古いということと、おそらく割と地元系石工さん的な素朴さが、良いんです。

midipirenee 753

なわなわ系でぐるぐるして、角っこに顔があって、という得体のしれない動物。かわいい。なわなわの間にちょこんと置かれた顔も、間抜けさが愛らしいです。

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思い切った!というようなレベルのシンプルな副柱頭。こういうのって、この、ロマネスク時代の彫り以外では、ただの「下手」なんですが、こと、こういう場所に置かれると悶絶するわたくし。病気の所以ですね、笑。

midipirenee 755

これまた斬新な。
全体は、割とフツーな植物なのに、角っこに、これはどう見ても、大口を開けた人が…。違います?何でしょうか。

ちょっとね~、焦って見学しているので、写真がいまいちなんです。そりゃ結婚式始まったら困るし、というのはあるけれど、いまだ参列者も来ないのに、なんで焦っちゃうのか、俺。

midipirenee 756

ここにもなわなわ。
これは、スペインはオヴィエド郊外のプレロマネスクの装飾を髣髴としてしまいました。なわなわで三角コーナー、すっごく通じるものが。この辺り、ゴートとかロンバルディアとかの時代、どうなっていたのかな。またはケルト?あ、カロリングかな。

田舎の教会の、結構支離滅裂なモチーフっていうか、流れがわかりにくかったりして、そそられるものがありますね。

midipirenee 757

この変なタイプ、ブルドンで見た柱頭に似ています。あれはカロリング時代のもの、とあったので、やはり古いもの、または古いモチーフを彫っているものかもね。
ここもなわなわですね~。
本当のことは、研究者じゃないし、そこまで研究もできませんからわかりませんが、色々と想像したり推測したりするのは、いつだって楽しいですね。現場ではそこまでじっくり見ることはできないので、これは後日のお楽しみで、ブログを書いていると、発見、といっても自分だけの気づきとか思い込みとか思い付きですけれど、色々あって面白いものです。
本当は、そういうことをリストアップして、系統的にちょっと深めたいとも思いますが、なかなか難しいわけで。ま、老後の楽しみということにしておきましょう。

そうそう、そういう意味では、会話では最低限しか役に立たないレベルしか到達できないまま、再び後退したフランス語ですが、少なくとも読むのには、会話よりもずいぶんと役立ったと思うので、勉強も無駄ではなかった、と最近思っています。

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この植物モチーフも、すごく好きです。シンプルだけど、センスがあります。
それにしても、これはどう見ても、多肉系、サボテン系にしか見えないんですけど、どういうものをイメージして彫ったんでしょうかねぇ。

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これも、なかなか。
角っこにあるのは、もしかしてイチジクかな。

素朴さ全開で、ここまで楽しいのはいいですよね。聖書のテーマをきっちりもいいですが、こういうのだけ、というのも、なかなか良いです。
写真が増えたので、一旦切りますね。

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小銭のことから(サン・サトゥルナン―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その56

地味な教会を追いかけながら、どんどん山に分け入っていく様子になっています。といっても、別に急峻な山道というわけではなく、とにかく何もない田舎道が、延々と続くといった、山間部の印象が強まってくる感じ。

midipirenee 736

サン・サトゥルナンSaint-Saturninの教会です。

ここも、見た感じは、あまりそそられない様子です。そのうえ、一体何が起こっているのか、それとも、この村では日常的なことなのか、大音量で、南米系のダンス音楽がガンガンと流されているんでした。

midipirenee 737

上の写真の、左側の方の、お花の上に突き出ているような、照明器具のような黒い物、これがスピーカーで、教会のある広場の片隅で、爆音出していました。そして、広場には、人っ子一人いないんですから、なんかホラーのような雰囲気、笑。
ランチまたは食後の時間ですが、この村の人々は、みんなが一斉にこういう音楽を楽しむ習慣でもあるのか、または、実は村中死に絶えていて、なぜか音楽だけが…、というSF的な状況なのか。

幸い、教会は開いていましたから、理由に興味はありましたが、さらりと無視して、内部の見学へ。

midipirenee 738

中は、外の様子とはかなりの落差があり、予想外に雰囲気があるものでした。それは、暗さのためもあったかもしれません。こう見ると、分かりにくいかもしれませんが、薄闇状態でした。

その中で目を凝らすと、面白い柱頭が目に付くのですが、なんせ暗い。仕方なく何枚かフラッシュ撮影をした後で、有料の明かりに気付きました。1ユーロで、結構な時間、明りを楽しめたと記憶します。

こういう状態だったのが。

midipirenee 739

これです!

midipirenee 740

一人快哉を叫ぶ女。

雰囲気は、薄闇の方が断然ありますけれど、明りは見学にも撮影にも、大変助かります。有料でも、明りは大歓迎ですね。フランスでは、明りも無料のケースが多いので、有料は、そういえば珍しいのかも。
イタリアでは、逆に有料のケースがほとんどです。ですから、50セントや1ユーロの小銭は必携です。旅が近づくと、なるべく小銭をためておくようにしています。

ちょっと脇道にそれてもよいでしょうか。小銭、で思いついたので。
今、どの国も経済の立て直しに必死になって、いろんな政策を実施していますよね。当地イタリアでも色々ありますが、在宅勤務で通常の仕事をこなしている私には、あまり関連することがないのですが、一つだけ、試しにトライしていることがあるんです。
それは、現金ではなく、クレジットカードやデビットカードで、一定の期間に規定回数以上の買い物をすると、買い物した額の10%が還付されるというキャッシュバックという政策です。昨年12月に、トライアルとしてまず一か月に10回以上、という規定で始まり、現在は、今年前半6か月の期間に50回以上、という規定になっています。
実は、イタリアは、いまだに現金大国のところがあって、近隣諸国に比べると、カードの利用が遅れているのです。それもあって、脱税も盛んなので、これは経済を回すとともに、脱税抑止や防止の政策でもあるのですね、おそらく。
資金源は、おそらくEUから出ている復興資金だと思います。

還付される金額の上限はありますし、一回の使用はいくらでもよく、ただ、回数を使えばよいので、誰でも工夫次第で達成できるシステムだと思います。わたしも回数を稼ぐために、わざわざ二か所のスーパーで食料品を買ってみたり、少額でも使ってみたり、そもそもさほど買い物をするわけじゃないから無理、と思っていたのですが、そんな工夫で、半年で50回は、意外と簡単に達成できそうな勢いです。でも、少額ばかりなので、還付金は大した金額にはならないと思いますけれども、笑。

スタート時は、専用アプリがうまく稼働しないなどの問題が、若干あったようですが、すぐに解決して、今ではすさまじい数の消費者が、競ってカードでお買い物、ということになっているようです。ただ、カード使用だと、お店は手数料を支払う必要があるので、そちら側の文句は出ているようですが…。

資源の問題もあるので、長く続ける政策ではないと思いますが、少額でもカードを使うことが習慣化し、お店にしても受け入れざるを得ないとなると思うので、とすれば、国としての目的は見事に達成されるわけで、なかなかうまいことを考え付いたもんだ、と感心しています。
そして、そういうシステムを、すぐに立ち上げられる様子を見ていると、なぜ、日本は何一つやるでも、もたもたして、穴だらけのシステムしか作れないのか、と不思議に思ったりしています。

そういうわけで、すっかり現金を使わなくなって、小銭に不自由する今日この頃なので、ふと、書いてみたくなりました。

すっごく現実的なお金の話から、中世の薄闇に戻ります、笑。

ここ、柱頭がいいんです。

midipirenee 741

これ、粘土で作ったフィギュアを張り付けたみたいな様子で、すっごく面白い。
竹串でぽつっと穴をあけたような目とか、両手でパン生地を伸ばすみたいにしてにょろにょろ伸ばしたような、つるなのか蛇なのか、そういうやつとか、なんか好きです。

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これはまた謎のものが、角っこにいます。

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人の顔は、謎ではないですが、グリーンマンとも言えないようなものを履いています。この手の、松ぼっくりかパイナップルか、というようなものは、この時代では、大抵ブドウだと理解しているんですが、ブドウを吐いている人って、何でしょう。それもさ、お隣はわしらしいのが、堂々としているんですよねぇ。

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これも、分からないなぁ。
頭は聖職者のような様子もあるし、でも背中に背負っているように見えるのは、翼のすじすじ?それとも巡礼の衣装のような、意図なんだろうか。
一つ確かなのは、やったら鼻の穴でかい、ということだな、笑。

植物バリエも、なかなか素敵です。

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かなりデザイン性が高くて、およそ、粘土細工と同じ石工さんとは思えません。

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あ、でも、植物自慢の人が、人的フィギュアはダメなんだってこともあるかもしれないしね。ないか。

midipirenee 747

それにしても、よくぞ明りを設置してくださいましたよ。そして、気付いてよかった。明りがあるとないでは、見た感じもまったく違うし、気付けないものもたくさんありました。

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  1. 2021/02/08(月) 01:47:34|
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頑固一徹を体現してみました(ヴェルノル―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その55

毎日、地味さがいや増す行脚、という様子ですが、本日は、こちら。

midipirenee 724

ヴェルノルVernolsのサン・ジャン・バプティスト教会Eglise Saint-Jean-Baptisteです。

見た様子は、美しく整備されていて、実際きれいなんですが、だからどうか、というものですよね、ロマネスク修行的には、笑。

このあたり、どんな様子だったかと、グーグル・マップで確認してみました。

midipirenee 725

左側が、今回の記事のヴェルノルで、右にある教会が、前回記事のアランシュとなります。グーグルでも、黄色でD9とある道はストリートビューがありますけれど、細い道は農道程度なので、ビューはありません。もうこの一帯全体が、グーグルストリートビューの存在しない土地となっています。まだまだグーグルが撮影しなければいけない道は、もちろんたくさんあると思いますけれど、なんとなく、この辺りは撮影したところで、見る人もほとんどいないのかとか納得する部分もあります。

全然関係ない話ですが、ストリートビューに移っている我が家。ついこないだまでは、確か4,5年前の映像で、昔の車が写っていたのですが、好奇心から確認したところ、なんと2020年7月に撮影しなおされていました!そして、今回もまた、マイカーがしっかりと写っていました。二年前に買った新車です。
さすが、ミラノあたりになると、結構まめにアップデートするんですね~。
または、コロナで人も車も少ないことを利用して、すごい勢いで各地の撮影を実施したのかもしれないですねぇ。

おっと、話をヴェルノルに戻しましょう。

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カンタルに典型的なスタイルで、石も、屋根もおなじみ。そろそろ飽きてきましたね?
でも、ここの扉口のアーチの激しさは、ちょっと特筆ものだと思います。

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地味です。地味ですが、この執拗なリピート感と質実剛健感。頑固者のカンタル出身じゃぁ~と、腕をぶんぶんしている石工のイメージです。
ここまで頑固感はないですが、こういう隅切りの深い扉アーチ構造って、スペインにもよく見られるように思いますが、どうでしょうか。

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ギザギザのライオン歯は、光の加減で違う様子に見えたりして、なかなかデザイン的に面白いものだと思います。素朴なお団子は、好きなアイテム。お団子の大きさはまちまちの割に、並び方はすっごく均等です。
ギザギザの外枠の石のあちこちに、文字がひっかいてあるようでした。これは、おそらくオリジナルの、石屋さんか石工さんのイニシャルなのでしょう。

扉のある外壁に、こんなかわいらしい頭部が飾られています。

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大きさとかから、軒持ち送りにぴったりサイズのように思えますが、でも、この近辺で見てきた不思議シュール系の軒持ち送り彫刻を考えると、ちょっと違うようにも思えます。

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どちらも、やさしさや優美さが漂う女性のお顔にしか見えません。

さて、この時お昼時ど真ん中、みたいな時間でしたが、扉はしっかりと開いていたから驚きです。

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中は、ほとんどデジャヴという様子です。天井など、新しく木でふいちゃってるし、なんか全体暖炉みたいな様子(石の感じが、なんか暖炉っぽい、笑)。

無理やり探し出した古いもの、その一。

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古いアーカンサス柱頭さかさまに、聖水盤載せてるやつ。

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その二は、天井のヴォルトリブの真ん中にはめ込まれたやつ。メダリオンとかでいいんだっけか。位置はさかさまながら、人に見えますが、どうでしょう。セロ弾きのゴーシュみたいに見えるんですが、変ですかね、私の目?

ここでは、新しいものが、ちょっと面白かったです。

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木製の磔刑像なんですが、Benoit Mauretという現代作家さんの作品のようでした。二つありましたが、なかなか好みでした。
細かいところまで彫ってあるんですが、その程よいデフォルメがセンスよし。
何を見に来たんだか、一瞬忘れますね。

midipirenee 735

それにしても、千年近くも昔の建物に、現代の磔刑像。キリスト教というつながりで時間を軽々と飛び越えてしまうこと。磔刑像でなくとも、現代を生きる自分が、昔の空間に入れてしまうこと。
ただそれだけでも、なんだかおもしろいことです。

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  1. 2021/02/07(日) 01:26:11|
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  3. | コメント:2
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