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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

たとえ鍵のありかが分かっても(サン・ティッド―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その85

前回のサン・セルナンからほぼ真西に10キロ強の村が、次の目的でした。いや、本当は端折ろうかと思っていたのですが、思ったより時間に余裕があったので、行ってみることにしたというのが本当のところです。

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サンティッドSaint-Illideの村の教会です。

到着したのが、ちょうど昼時。いや、フランスだとそろそろお昼も終わるっていう時間でしょうか、13時過ぎでした。
そして、教会の扉は、固く閉ざされておりました。ガーン。
今も不思議に思いますが、そんな時間だったのに、道端におやじがいて、他にもおばさんがいて、一応鍵のことを聞くことはできたんです。

おじさんによれば、市役所がカギを管理しているけど、今は昼休みで閉まっているよね、ということ。市役所はどこなんだろう、とうろうろしていると、他のおばさんがいたので、もう一度鍵のこと聞いてみたら、市役所の他に、そこの店でも管理してる、ということを親切に教えてくれましたが、お店も、当然昼休みでクローズです。

市役所はわかりましたが、この期間は午前中の2時間だけしか開いていないことが分かりました。

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教えてもらったお店も、14時までは絶対に開かないということだったので、ちょっと待てないなぁ、と思って、中はあきらめることとしました。
でも、外側は、ほとんど見所もない感じ。仕方ないので、目を皿のようにして、宝探しです。

しかし、そういう気持ちをあざ笑うかのような、愛想のかけらもないタイプのファサード。

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そして、外をいくら見ても無駄ですよ、ロマネスク、ないですから、と無言で説明してくれるこんなものまで…。

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これ、黒い部分だけロマネスクということ、つまり、内部の柱頭だけが往時のまま残っているということなんだと思われます。

それでも、何とか見つけた子。

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でも多分これ、遠目ではほとんど見えてませんでした。こうやって写真で見たら、ちゃんとかわいくて、ちょっと嬉しくなりました。往時のものかどうかは不明ですが、愛らしさやスタイルは、ロマネスク、だと思いたいです。

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向かって右側の扉上に、ひっそりとレリーフがありましたけれど、これは、後代くさい…。

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撮影するものもなく…。
ただ、窓になっている部分から、写真が見えたんです。

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でも、柱頭じゃないし、変に細密緻密な彫り物は、あまりロマネスクっぽくないですね。別物ですね、どうやら。写真を撮影しているので、現場では、ほとんど何が撮れているか見えなかったんですが…。
それにしても、悔しかったですね。もちろん、教会あるあるですけれども。

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  1. 2021/04/25(日) 01:35:15|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
  3. | コメント:2

オートとバス、地理の時間(サン・セルナン―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その84

次に訪ねた教会は、ほぼ記憶になかったのですが、写真と当時の日記で、かすかに思い出しました。記憶のよすがになったのは、教会の近くにあった小ぎれいな公園です。

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小ぎれいっていったって、住宅街の中にある、こんな何でもない公園なんですけどね。この日は、ホテルの朝ご飯で、バターだけのサンドイッチを作っておいたので、それを食べる手ごろな場所を探していたんでした。この公園は、素敵な木陰と程よいベンチで、そんな簡易ランチにうってつけだったんです。
それにしても、主目的の教会そっちのけで、バタつきパンが記憶に残ったりするんだから、ヒトの記憶、いや、一般化してはいけないんですかね。私の記憶の情けなさ…。

目的は。

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サン・セルナンSaint-Cerninの村の教会です。

残念ながら、構造の大部分は、15世紀以降の再建となっています。

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黒っぽい部分だけがロマネスク時代12世紀のもので、それ以外のグレー部分は、15世紀ゴシック時代の再建となっているようです。
そういうわけで、中に入っても、ほぼ感動なし。

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わずかディテールに、当時がしのばれる、そういうタイプの教会となっています。いわゆる宝探し系、ですね。でも、中は、本当に何もなかったと思います。扉口にわずか。

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と言っても、ゴシック時代のものと混じっていて、正直よく分からない…。

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これは、間違いなく12世紀産。変に複雑で、妙にきちんとした彫り物です。市松の緻密さもなかなかのもんですし、技術のある石工さんの作品ではないでしょうか。扉周り、結構装飾的な彫りものがあったのだろうと思われますね。ほとんどなくなってしまって残念。

外側を見学します。

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おっと!いらっしゃいますね、どうやら。

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めっちゃめちゃ写実的なお馬。びっくりしますね。

馬って、もともとかわいく表現するのが難しい動物だと思います。
実は、乗馬をやっていたことがありまして、その時期は、かなり馬にはまったんですが、馬グッズって意外とないし、あってもかわいくなくて写実的なタイプばかりなんです。猫や犬とは偉い違いなんです。
そもそも、欧州では馬ってかなり身近な動物ですが、日本ではそこまで身近じゃない分、需要も少なくて、グッズになりにくいというのもありそうですし…。今でも大切にしている唯一の馬グッズは、エトルリア時代風の青銅の馬くらいかも。ちなみに、実際の馬はすっごくかわいいんですけどね。いやグッズ云々にこだわるわけじゃないんですが、それにしても、この馬はかわいくないやろ、ということが言いたかったわけです、笑。

しかし変に写実的なのは、馬だけじゃないんです。

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こ、これは。およそロマネスクっぽくないやつ。どっちかというとギリシャとかエトルリア的な…。
騎士らしいですが、髪型とかも、なんか、古代風な…。

一応現地に、簡単な説明がありまして、それによりますと、「その写実的で繊細な表現からは、オート・オーヴェルニュHaute Auvergneの性質が見られず、ちらかと言えばBasse Auvergneバス・オーヴェルニュで見られるものとの共通性が強い」とありました。

フランスの地理には全く詳しくないので、ここで地理の勉強です。ついついこういうマージナルな興味が出てきちゃって、本筋から外れてしまうので、本筋だけ見たい方には、うざいかも。その際は、飛ばしてくださいね。

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ちょうどわかりやすい地図が見当たらなかったので(じっくりと探すとかしないのが、またいい加減な私のやり方なもんで、さらにうざいかも、笑)、グーグルマップを適当に加工しましたが、いわゆる過去の行政区分のオーヴェルニュが、ピンクで過去回れ部分です。
理解したところでは、おおよそですが、緑の線を入れたあたりで、上がバス、下がオートということになるみたいです。この区分は、歴史家によって使われていたもので、13世紀頃からの社会のタイプによる区分らしいんです。オートの地域は、明文化された法律規定にのっとって社会が回っていた地域で、一方バスの地域では、慣習法が取られていたという違いらしいです。そのあたりの状況は、フランス革命前夜までそうだったらしいですけど、多分今ではそれに関係なく、なんとなく地域を表現する記号みたいになっているのではないかと推測します。
ただ、ここでの彫り物について、オートとバスの違いで石工さんの出身地が語られるということは、社会の在り方が、表現のあり方にまで結びついているということで、かなり明確な地域性というものがあったということになりますね。

ちなみに、オートとバスの名称が、本来の地図上の位置関係からは、逆に思えて不思議なんですが、というのは、オートはHighなんで、なんとなく地図上で北にある地域の方に当てはまるような気がしたんですけどね。
オートは、中世初期、というときにもOlderという意味で使われる言葉でもありますから、最奥部とか時代がより遡るとか、そういった意味でそうなっているのかとも思いつつ、本当のところは不明です。 

いずれにしても、フランスは、一番小さい行政単位の上は近年かなり再編しており、すでに独立したオーヴェルニュは存在しないし、かつてゾディアック叢書が使用した区分けは、壊滅していますので、なかなかわかりにくいことになっています。

ということで、地理の時間、終了です。勉強になりました。

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それにしても、えぐい。写実的すぎて、逆に現代的にも見えてきますね。

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各地でこれでもか状態にかわいいフクロウにたくさん出会ってきたわけで、コリは…。ある意味愛嬌ありますが、そして、馬や牛たちに比べれば、まだデフォルメ入っている感じもありますが…。

ちょっとだけ、テイストの違う人たちもいました。

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どうですかね。

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写実とはまたちょっと違う感じですが、不気味さが出ています…。この、ヒトのフィギュアは、なんかどっかで見た役所の窓口系、それもホラー系で、魂抜かれたけど、要はゾンビ系だけど、日常業務を機械的にこなしている窓口の人ですね。設定細かっ、笑。

というわけで、バタつきパンの公園が、最も記憶に残ったサン・セルナンでした。

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  1. 2021/04/24(土) 19:16:37|
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お団子派と市松派(ショスナック―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その83

次に向かったのはこちら。

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ショスナックChaussenacの教会です。
事前に調べても、村の教会としか分からず、現地でも、一体誰に捧げられたのか、まったくわからず。このあたり、フランスの教会は、割とおおらかですね。イタリアでは、名もなき教会って、まずないのです。

それにしても、このファサード見たら、がっくり、というようなやつですよね。その上、とても素敵な村だという情報もあったのですが、それもちょっと眉唾…。

まずは、中入っていきます。

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かなり予想通りな様子です。気持ち萎えますが、ちょっと待て。

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彩色的には、なんだかもうすごいことになっちゃってるんですけど、中央部の柱頭、分かりますか。

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これは、前回の記事で紹介した、モーリアック型というやつのバリエですよね?アーチが切れ込んで、アーチのトップが動物の顔になるという激しいバリエですが、絶対そうですよね。

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こちらもそうですね。

それにしても、こういう彩色の美意識って、いったいどうなってるんだろう。これだけ鮮やかなんだから、定期的に上塗りしてるってことですよね?なんか、理解できないフランスのテイスト…。

この教会、ファサードもそうですが、かなり手が入ってしまっているのが残念ですね。おそらく起源は古いんだと思うんです。オブジェみたいに、こんなやつらも並んでいましたから。

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ツチノコ状の蛇に両耳嚙まれ。噛まれながら至福感のある表情が怖い一品です。オークション的な紹介…笑。

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こちらはどうでしょうか。下半身ですかね、普通に考えて。
こういうのを、ああでもないこうでもない的に、ひねくり回して研究している人もいるんだろうなぁ。ご苦労様です。

中はこういう感じで終了。再び外に出て、外観を見てみます。

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ファサードはあんなですが、他は意外と普通にカンタルのオールド・スタイルが多く残されていました。ホッとしました。
窓近辺の装飾的な帯、ここでは一連チェッカーではなくお団子派。

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チェッカーとお団子、分類できるのか、それとも同時代に同時並行してそれぞれ派閥があったんでしょうか。お団子もかわいいですね。

何か、碑石のようなものに、かわいらしいお顔がついていました。1744年と見えるので、古いものじゃないけど、お顔は、ロマネスク・テイスト満載です。

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軒持ち送りは、大変地味で、いくつかに図形的なものがある程度ですが、お顔もありました。

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それにインスパイアされた18世紀のお顔かな。

超短時間で終了の見学でした。
美しいと言われた村の全景。

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ファサード側からの眺めとなりますが、左側の方に移っているカフェで、トイレ休憩しました。テラスがあって、絶好の教会ビューですが、なんせファサードはあれなんで…笑。
でも、カフェのおばさんはすっごく親切でしたので、やはりトイレ休憩は、できればカフェでしたいものだと思いました。残念ながら、店も何もないという村が多すぎますな。

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  1. 2021/04/18(日) 20:33:40|
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モーリアック型(ブラジュアックその3―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その82

ブラジュアックBrageacのサン・ティボー教会Eglise Saint-Thibaud、続きです。

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前回は、ひたすら目線を落として地を這うような見学でしたが、今回は、上を見上げまくりで、首が痛くなるやつです。
まずは、お勉強的なことから行ってみますか。今日は、まだ酔っぱらっていないので…笑。

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この、シンプルな柱頭、このスタイルが、モーリアック型Chapiteau Mauriacois、という説明がありました。柱(1)とバスケット(2)のつなぎに、ちょっと盛り上がったアーチを作り出しています。これは、この地域だけに独特、ということではないようなのですが、この地域では、かなり頻繁に使われるスタイルらしいです。立方体柱頭と呼ばれることもあるそうです。

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下のやつは、おそらくバリエの一つなんだと思います。
他では目にしたことないと思うから、やはりこの地域のものなんだろうな。だから、何ってこともないですが、こういう説明が現地にさりげなく置かれているほど、やはりフランスにおけるロマネスク研究って進んでいるんだなぁ、と思わされます。

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これなども、装飾性を爆上げした感じのバリエに分類されるのでしょうかね。
ワッフルですね~。美味しそうに見えてしまいます。

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現地で説明版があると、とりあえず撮影はしますけれど、その場でじっくりと読むことはまずないのですが、これは、図解があったのと、英語訳があったせいなのか、この手の地味な柱頭を結構撮影していました。びっくりです。

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おそらく、この地域特有のスタイルに感銘を受けたということではなくて、それだけたくさんの数の柱頭が、このスタイルだった、ということなんだと思いますけれど。
教会の規模は小さめで、柱頭の数もすごいわけではないんだけど、でも、どれもなかなか良い状態で残っているから、見ごたえがあるんでしょうね。お足元も含めてですからね。

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フィギュア系の柱頭もあります。

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いわゆるグリーンマン系ですかね。
グリーンマンって、最初のことは、植物を食べてるものだと思っていて、のちに、反対で吐き出しているものと知りましたけれど、これは食べてるように見えるやつ。
人というより、モンスター系ですが、髪の毛がなびいている風で、なんか、三月のシンボルだったか、髪を風でなびかせながら、笛だったかラッパだったかを吹いている人の雰囲気もあり。

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こちらは、どう見てもトナカイなんですが、トナカイは中世のカンタルでもいないですよねぇ。まんま、ノルディックなセーターの図案みたいです。角っこでごっつんこじゃなくて、仲良くはみはみ食べている様子、かわいい。

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鳥好きならときめきそうなかわいいやつら。
奥の方のを見ると、胸をつついているらしいので、自己犠牲的なやつですね、どうやら。それにしても、正面の、「なに?」って様子のやつ、かわいいな。

おっと~!

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これはダニエル御大ではないですか。
それも、ライオンちゃんの舌をぎゅっとしていますよ。あれ、ダニエルさんではなくて、嘘つき云々とか、そっち?
この舌のつかまれ方は、きっつ。

この人、おちゃめ大賞。

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なんだろう?バスタオルまいてる人にも見えるし…笑。そんなわけあるはずもなく。頭はトンスラっぽいし、袖の様子からも聖職者っぽいですが、どういう姿勢案だろう。
ちなみに、これは窓の脇の柱にあるやつで、これも、この地域特有ということを、前々回かなにかに記したと思います。おお、すっかりお勉強サイトになっていますよ。

数ある植物モチーフの中では、このシンプルさが一番好きだな、と思うんですが、もしかするとこれも、アーチ構造云々のバリエなのかも。

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こういう知識を忘れずにため込んでいけば、なかなか立派な博識人間になれるんだけど、なんでっていうくらいに忘れていくから、自分でもびっくりです。

さて、この教会、なかなかドラマチックな、というか、余計な、というか、立派な照明設備がありました。覚えてなかったんですが、後半の写真は、その証明に気付いてから撮影したようです。

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こういうのは、確かに明るくて、ありがたいのではありますが、ちょっとなんていうか、美術館状態になっちゃうというんでしょうかね。教会とは別物の見世物的なテイストが入るんですよね。いや、よく見えるので、ありがたいんですけどね。
ただ、照明作家の人のイメージで陰影が出てくるので、それが必ずしも自分の好みと一致するわけではない、ということもありますね。
それにしても、イタリアでは、無料の照明というのは、めったにないんですが、フランスは意外と普通に照明のスイッチがあったりするのは、感心します。

ということで、最後にドラマチックな照明作品。

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  1. 2021/04/18(日) 01:54:07|
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中のお足元、さらに凝っております(ブラジュアックその2―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その81

ブラジュアックBrageacのサン・ティボー教会Eglise Saint-Thibaud、続きです。

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中を見学しますね。

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おお、変なすっきり感。
床が妙につるつるなせいですかね、年月の重みが感じられない、笑、雰囲気が漂いますね。

まず注目したのが、お足元です。

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ここの、足元バリエは、なかなかの力作ぞろいですよ。
割とありがちなライオンちゃんがいるかと思うと、これもライオンバリエになるのかなぁ、なんかほぼ獅子舞の獅子状態、またはけんか凧的な形相、あ、または鬼瓦のやつとか。

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柱頭だったら、至極当たり前の植物モチーフだって、もちろんちゃんとあります。

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下のは、アラベスクっぽい彫りも美しいのですが、ステンドグラスの光がいい感じにとらえられていて、写真として美しいので、アップせずに…。

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いやはや、ここの足元バリエは、すごいです。ここまでモチーフが多岐にわたり、柱頭に匹敵するほどのバリエを持つお足元装飾は、なかなか見られないものでは?

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こんなん、困ります。上を見て、さらに下も見ないと行けなかったら、本当に見学が大変になってしまいます。幸い、足元がこんなに充実している教会は、そんなにありませんし、そもそも、イタリアでは、ほぼほぼ見たことがないような気がします。

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いきなり脱線しますが、「ほぼほぼ」って、最近改訂版が出た新明解国語辞典に採用された新語の一つだそうですね。
日々、仕事でも使用でも、それなりに日本語に接しているので、海外生活が長い割には、日本語は普通に使えていると思うんですが、新語とか死語とか、ちょっとね、ニッチな部分でついていけなくなっているところはあるんですよねぇ、気付いてないだけで。30年ですからねぇ。
そして、二年ほど前に、勤め先の経費削減で、紙ベースでの新聞購読が不可となったのも、結構痛いです。まぁ、今では、日本でも、紙ベースで新聞購読する人口は激減しているとは思いますけれど、海外に住んでいると、本誌というより、週刊誌の見出しとか広告、そういうのが結構、日本社会についていくよすがになっていたりしたんですよね。社内のつり広告もない生活ですから…。
もちろんネットのニュースは見ていますけれど、多分、視野が狭いですから、これから、自分の雑学的知識は、かなり衰えていくものと思っています。ま、どうでもいいことがほとんどではありますけれどね、笑。

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いやだわ。脱線ばかりで失礼ですが、柱頭は、次回。
ちょっと飲み過ぎました。

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  1. 2021/04/17(土) 05:29:31|
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お足元、かなり凝っております(ブラジュアックその1―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その80

当初の目的の村、すっごく村でしたよ。こういう感じ。

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でも、かなり期待していたのが、まったく裏切られず、やはり多くの人が好いとしている場所は、迷わず行っとくもんだ、という教会です。

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ブラジュアックBrageacのサン・ティボー教会Eglise Saint-Thibaudです。

村の奥まったところにあります。外側は、見るべきものはあまりないのですが、全体に古びた雰囲気があって、なかなか良かったかな。でもここはね、中です。入れなかったら、訪ねる意味がほとんどないといってもよいくらい。
と言いながら、まずは外をなめてみましょう。

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正面は、あまり面白みのない様子になっていますが、かつてはどんな様子だったのかな。村のはずれで、後ろの方に回ると、高台になっているというロケーションです。村の中では一等地、という場所になるのかな。
遠くからのランドマークにもなるくらい、昔も今も何もないってところ。

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こっち側に来ると、牛のカランコロンがすごく聞こえてきます。風があれば、きっと田舎のにおい(牛糞)も濃厚なのでは。

さて、何から行くか、迷っちゃいますが、前回の記事つながりから始めようかな。

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後陣の開口部ですが、この辺り特有とされているタイプですよね。お足元もばっちりで、側柱の小さな柱頭は、アーチと直つながりタイプです。
ここ、アーチの石使いもおしゃれですね。濃い色と薄い色がランダムに並べられていますけれど、これはオリジナルもこうだったのかな。ちょっとアシンメトリー感もあって、現代っぽいテイスト。

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アリーにあったやつみたいで、すごくフリーな雰囲気のはみだし系。鳥がソフトに止まっている感じで、石に取り込まれているのではなくて、はみ出して飛んでいきそうなイメージです。

こっちも飛び出し感、なかなかです。

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やたら肩幅広いおっちゃんですが、何だろう、力が入っているような顔の様子もあり、恐れおののいている様子もあり、いずれにしても、その体勢では力はいらんよ?って感じもするし。

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これもそういう系列で、怯えと、赤子的な好奇心と、そんなものが感じられる面白い表情してます。っていうか、なにこれ?顔と身体が別物っていうか。変だよ。

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一方、こいつはおなじみの愛想ふりまくりタイプ。なんだかこういう典型的なやつ、久しぶりに見るとホッとする、みたいな。
これ、石が赤いのかな、ちょっと赤いですよね。

ここ、お足元の彫り物がなかなか細かくて、びっくりします。中もすごいですよ。

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軒持ち送りは、ほとんど何もなしです。
後陣の上がぺんぺん草状態なの、ちょっと味があります。

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一応、気にしときましょうか、というのは、おなじみのイニシャルかな。

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かなりあちこち彫り込みあります。これって、複数の工房が参加していたということになるのかな。でも、このSみたいのが一番目に付きました。

続きます。次回は中です。

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  1. 2021/04/12(月) 01:49:39|
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おちゃめっぽいのに無機質な(アリー―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その79

ここから、新しい一日となります。
この日の行程は、こんな感じ。

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宿泊していたフォンタンジュという村から、行ったり来たりして、最後はカンタルにさようなら、という一日。

想定走行距離だけ見ると、大したことないし、移動距離も、全体で100キロ程度なんですが、まぁ、連日こんな感じなわけですが、移動に加えて、駐車場を探し、教会を探し、見学し、なんてやっていると、結局出発してから大抵は、10時間コースとなります。厳しいときは12時間となることもあり、それも、お昼は手持ちのビスケットにカフェオレだけ、なんて日も多いわけですから、やはり修行ですよねぇ。
とはいえ、基本が運転ですから、トリップするわけにもいかず、これはやってる人には同意いただけると思いますが、体力に加えて、メンタルの鍛錬にもなります、笑。それからね、最近とみに思うんですけど、ボケ防止にもいいんじゃないかと。
とっさの気持ちの切り替え、プランBの採用、瞬時の行程変更みたいなことが、随時必要になるので、くよくよしている暇もないし、同時に常に考えてないといけない、ということで、結構緊張感にまみれて、脳を使っているような気はするんですけどね。それも、日常的に使っているのとは違う部分だと思うんです。というわけで、祈るような気持ちで、ボケ防止説、笑。

さて、地図にあるように最初に向かったのは、アリーという村。
この時は、基本的に重要な教会を優先的に見る、と決めていたので、その範疇からは漏れる教会でしたが、どうせ目的地への通り道だったため、立ち寄った次第です。

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アリーAllyのサン・ヴァンサン教会Eglise Saint-Vincentです。
特に見所も調べていなかったのですが、これね、見た目よりもずっと楽しい教会でした。

なんといっても、遠目には、ほとんど愛想なしな様子の後陣です。シンプルな作りで、装飾性も低いのですが、軒持ち送り、とってもチャーミング。

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お団子数珠繋ぎとか、シンプルだけど、個人的には好きなんですよ。古っぽくていい感じ。開口部の上の一連市松の帯も、好きなアイテムです。

で、いきなり変な人がいます。お団子とコラボみたいに玉が口中にありますね。何だろう。

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この牛だって、舌をべろりんちょと出していて、バカにしてんのか、こいつ。でも、悪気はない感じっていうか、表情が変に無機質で、怖いです。

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一方で、無機質どころか、の半魚人コンビ。

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この手のフィギュア、久しぶりに見た気がします。ぬめり感が懐かしい感じ、笑。

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お顔がやけに近所のお兄さん風なバンザイ系。シンプルだけど、かわいいです。
なんか、全体に丸っこくて、お団子とマッチ感がすごい。そして、こういうどこに信仰があるのか寓意があるのか、わからないけど、楽しいしかわいいタイプの軒持ち送りって、深く考えようとも思わないので、潔く楽しいってだけで済ませられるのも、好き。

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開いていたので、もちろん中も見学していきます。

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想像通り、かなり変わっちゃっている様子。ここは、石むき出しじゃなくて、漆喰ぬりぬりです。保存のためには、この方がよいのでしょうから、大切にされていて、怠りなくケアされている清潔感、満載ですね。ロマネスク目的の見学者には、ちょっと残念感ありますけれど。

実際、こんな様子で、一番奥の内陣一部だけが、12世紀当時のものとなるようです。

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往時の遺構の一つが、この植物系の立派な柱頭です。

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漆喰のため、オリジナルとはかなり雰囲気が違うと思うのですが、白いおかげで、明るいというのは間違いないかも。

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この、後陣に開けられた窓、それから、各円柱のお足元に、それぞれ装飾があるのが、特徴的と言えるようです。
この窓、確かにちょっと違う感じですよね。開口部の一番手前に、細い円柱があって、それぞれ小さい柱頭、お足元の彫り物もセットであります。
現地にあった、シンプルな説明によれば、これは、ドルドーニュ地方の両端であるモーリアック地域とリムーザン地域に挟まれた、この地域にだけ見られる建築手法だということです。
正確にはわからないのですが、柱頭の上に、副柱頭的なものがないのも特徴らしいです。

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確かに、そのために、はみ出し感というか、フリーダムな表現状態というか、なんかありますね。

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お足元の装飾というのは、あまり繊細な彫り物がされることはないと思うのですが、でも、ただ石だけよりは、格段に装飾的になって、個人的には結構好きです。

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この他、フレスコ画とか、下の、聖水盤的なアイテムがありました。

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でも、何の記述も見当たらなかったので、時代も何も不明。この聖水盤は、何かの転用かなぁ。ちょっとかわいいですよね。
フレスコ画は、いずれにしても好みではなかったので、カットです。

以上、ついでに寄った割には、結構気に入った教会でした。

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  1. 2021/04/11(日) 20:02:01|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
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コンサートをものともせず(トリザック―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その78

この旅では、いや、おそらくどの旅でもそうなんですが、想定外のことって結構あったりして、激しく道を迷ったりすることも含めて、そういう自分的には、事件、みたいなことって、非常に記憶に残るので、それがよすがとなって、おかげさまで教会の記憶も残る、ということ、多いです。ちょっと前のリオメスがそうでしたし、今回の村も、その類です。

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トリザックTrizacのサン・ボージル教会Eglise Saint-Beauzireです。

村は、山道を走ってきたら、なんかスコーンと開けたような感じで、低い家がゆったりと並ぶ様子の、カンタルらしい美しい田舎です。

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村に着いた時の印象、すごく覚えていて、道も何も、すごくスペースがゆったりしていて、だだっ広い感じっていうんですかね。遠近感が狂う、みたいな。ちょっと大げさかな。
こうなると、車もどこにどうやって停めるのが正解なのか、分からなくて、いい加減に、すっごくその辺に駐車したけど、取り締まりとか、絶対なさそうです。

とりあえず正面へ。

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ドカンと壮大な塔になっているけど、後付ってにおいがプンプンしますね。
トップの写真で、後陣側は平地になっていますから、この村の高低差が、かなり激しいことがわかる階段構造です。
今は、全体に緩やかな様子なんですが、きっと大昔は山間部の猫額みたいなところから、居住が始まったような土地なのでは、とか考え出すと、タモリさんの段差好きとか、すっごく納得できます。

すぐ脱線しますね、失礼。
正面の扉は、いかにも開いてそうにないけれど、やはり開きませんでした。付近に立っていたおばさんに、閉まっているんですかね、と聞いてみると、開いているはずよ、こっちから入るのよ、と、脇の方の扉にご一緒してくださいました。そこで、「あ、今コンサートやってるわ」と言うじゃないですか。え~、じゃぁ教会の見学は無理ですねぇ、とがっかりしたら、「何言ってるのよ、大丈夫よ。ほら、入りなさい」と、無理やり押し込められるように、入場。おばさんは、扉を閉めて、姿を消してしまいました…。

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かなり居心地悪いけれど、まぁせっかく入れたわけだし、と後ろの方にこそこそ移動して、しばらく音楽を聴いていたものの、どうしても、見学したい気持ちがあるので、他の人の邪魔にならないように、ゆっくりひっそりと移動しながら、撮影開始です。

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私はカメラを無音設定にしているので、撮影は問題ないのですが、しかし、コンサート中という制約で、なかなか落ち着いて取れませんね。よさそうな柱頭が見えるのですが、近くによることもかなわないため、かなりの望遠撮影の上くらいですから、残念ながら、ボケボケ多数です。

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下のは、ちゃんと取れたやつ。細かいですが、上二つとは、ちょっと手が違うような。ちなみに、ここは、教会の創建が11世紀とあったので、気になっていました。柱頭も、創建同時代のもの、また、おそらく今ある教会の前身の教会時代、9世紀の装飾もあるようでした。だから、本当は、教会全体を、なめるように見たかったんですけれどね。

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しばらくすると、今度はおじさんが寄ってきました。

入り口のところにチケットカウンターがあったのが、目には入っていたので、あ、これは、チケット買えよ、おい!というお叱りのおじさんだな、と身構えたところ、あのね、あそこから上に登ると、よく見えるから、上りなさい、とひそやかな声で教えてくれたんです。そうなんです、いわゆるトリビューンというんですかね。そういう構造が、後ろの方にあって、階段で登れるようになっていたんですよ。これまた、なんて親切な人…。

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上から見るのは、いつだって、嬉しいですね。
全体が見えること、上の方にある彫り物などが近くから見えること、あとは、単に上から目線(俯瞰というか鳥瞰的な意味で)が気持ちいい、ということです。

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教会の雰囲気がすごくよく見えますよね。小さな教会ですから、あたかもクリプタのような雰囲気というか。これは、上から見るからこその感覚ですね。
この部分は、木製で、さほど古いものではなさそうでした。

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実は、この二階部分にも、先客がおりました。おじさん一人だったんですが、一人だけに、さすがにうろうろするのは気が引けました。しかし~!
手招きして、ほら、ここ、正面から撮れるから!こっから撮ったらいいよ、とか、もう超親切~!!!

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皆さん、あまり親切だし、出るタイミングに困ったんですが、幸いにも、おばさんの一人が、「寒いから帰る」とか言いながら立ってきたんで、とっさに便乗して、さりげなく出てきました。もう終わるとか様子が見えたら、もうちょっと長居して、改めて撮影、ということも考えないでもなかったですが、そういう気配なかったんで、やむなしです。

というわけで、柱頭の詳細は見られませんでしたが、こんな状況じゃなかったら、記憶に残らなかった教会かもしれませんから、これはこれであり。

立ち去る前に、外観をなめるように見てみましたが、特筆すべきものはなかったと思います。
あ、特筆あった。

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美猫。

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  1. 2021/04/10(土) 19:24:24|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
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ポンペイ最後の日(シェラド―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その77

イースターのお休みも最終日。お休みって、やっぱりいいです。何もしなくても、いいです。

さて、今回ご紹介するのは、また初心に戻って(笑)、地味全開タイプです。

旅の前に、可能な訪問先を、とにかくやたらめったら順不同でリストアップするわけですが、一応、先人の情報を参考に、自分なりにある程度の優先度は決めておきます。でも、時間や距離などの兼ね合いから、本当はこっちに行きたいところだけど、ちょっと無理、ということは出てくるもので、この時も、すでに一日の終わりが近づいてきており、宿泊地に向かう途上という選択肢しかなく、また、前日に同じような理由で立ち寄れなかったから、ということで向かいました。

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シェラドCheyladeのサン・レジェ教会Ancienne Priorale Saint-Leger。
なんだか、土地だけはいくらでもあるかんね!というたたずまいですよね(ちなみに、教会のところに公衆トイレがあったと思いますが、最低最悪でした。フランスも土地によってはダメですし、いわゆるかつてのオーヴェルニュというくくりで行くと、カンタル地域の公衆トイレ事情は、最低だと思います)。

村は、街道沿いに発展した宿場町的なたたずまいですが、そのはずれの、ち街道からわずか奥まった場所にありまして、教会の先は、もうこんな感じです。

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今頃の季節、花粉症の方は置いといて、お散歩したくなる土地です。

教会は開いておりましたので、何はともあれ入場。

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おお、とってもカンタルぽく、シツジツ!ゴウケン!とか、簡潔につぶやいてしまうタイプです。おなじみの火山岩が、ちょっと赤みを帯びているのが、これまでとは若干異なる感じですかね。鉄含有率が多いとかそういうのでしょうか。
ざっと見て、地味!ですよね。
でも、目ざといあなたなら、何か気付いていますよね。

そうなんです。

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何ですか、これ?状態の天井なんです。一枚一枚、手描きの絵がびっしり。
古いものではないと思います。こういう風な板絵って、時々見ますけれど、かなり古くても、せいぜい13世紀とか、ロマネスクではないと思いますし、そもそも、これは現代ものだと思います。ちょっと中世風のモチーフを適当に、いや、まじめなのかもしれないですけれど、あしらってみました、みたいな。でもさぁ、ウマのつかないヘタっていうか…。いや、こんなこと言っちゃいけないと思うんですけれど、でも…。
というわけで、ちょっとだけアップにしてみますけれど、はずくなるので、これが限界、笑。とはいっても、愛は感じますよ、ハイ。


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また、とんでもないことを言ってるので、念のため、ネットで検索したところ、17世紀のものとされていると出てきました。ほほほ、現代とか言って、失礼しました。でも、おそらく、現代の修復で、かなりやられちゃった、ということではないでしょうか。

本当は、柱頭の情報も欲しいところだったんですが、それは探せずです。

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なんか保護色状態ですが、分かるでしょうか。口とかポカンと開いている怪しい様子の柱頭があるんですけど。

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全員口を開けて、かなりやばい様子のドラマ感満載柱頭です。わたしは、ポンペイ最後の日、とかイメージしちゃいました。おそらく石色のイメージ大。どう見ても、喜び系のものではなさそうで、恐怖感とかそっち系に思えるんですが、どうですか。こんなのは見たことないなぁ。後ろからのぞく顔も皆、口を開けてひきつっているんです。

検索で見たところ、創建12世紀とあるんですが、こういう彫り物部分については、全体にもっと古いんじゃないの、という印象を受けます。

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なんだか暗闇も相まって、どれもこれも保護色をまとっている感じなんですが、モチーフとか古いような気がします。

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今でも結構な田舎だし、そうはいっても街道沿いだから人の通行があるために、教会までもあったのでしょうが、でも、やはり田舎ゆえに、石工さんも来てくれない、地元で使える石工さんは、技術も道具も知識も、一世紀くらい遅れているような、そういうこともあるのかもしれませんけれど。

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そういえば、イタリアの北東部にあるアルト・アディジェ、いわゆる南チロルでは、そういう理由で、地域のロマネスクは13世紀ごろのものばかりなんですよね。

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でも、あそこは通過する人もないような山深さで、そこだけ切り取られるようなロケーションだから理解できますが、ここは、そういうぽっかりと独立するような場所じゃないから、ちょっとなぁ。やはり単に古いんじゃないか、という説あるあるかな、とも思います。

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この、しめ縄の出来損ない的な奴なんて、絶対古いでしょう。
地味なんですが、そういう観点で見る柱頭がこれだけたくさんあるのも、なかなか珍しい気がしたので、全アップしてしまいました。お得意の、勝手な思い込み学説、どうでしょうかね。

あ、忘れるところでしたが、もう一個、変なものがありました。

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お地蔵さん的な彫りものがあって、一見かわいんですが、あまり惹かれませんでした。これも新しいのかなぁ。

決して、時代が下るからだめ!ということではないんですが、感じるものが非常に限られていて、失礼な病気だと思います、笑。

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  1. 2021/04/05(月) 19:17:45|
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蛇に舌をかまれる図(リオメス・モンターニュ―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その76

前回の記事に書いたように、色々な町村、はたまた教会について、記憶があいまいになっている中で、次に訪ねた町の記憶は、もうとってもとっても鮮明です。といっても、覚えている内容が、なんなんですけれど…。

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リオメス・モンターニュRiom-es-Montagneのサン・ジョルジュ教会Eglise Saint-Georgesです。
ここ、教会は、町の中心にあるので、普通だったら、問題なくアクセスできるし、駐車の問題などもまったくなさそうなところなんです。が…!!!

あんまり悔しいし、記憶も妙に鮮明なんで、何が起こったか書きますと、以下、リオメス・モンターニュの町のグーグルマップになります。

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下の方の真ん中あたりに教会マークがありますが、その辺が町の中心部となります。私は、左型の方から町にアクセスしたのですが、町に入ったな、というとたんに、もう普通じゃない雰囲気満載だし、行きたいようには動けずに、一方方向に誘導されていく事態となりました。
で、オレンジの線が誘導された方向で、右上の草原が目的地となりました。

町の大きさと比べても、かなりのスペースだということがわかりますよね。そこが、文字通りの青空駐車場となっていたんです。

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それなりにお行儀よく駐車された車、まさにびっしりで、相当奥まで行かないと、停める場所がないくらいでした。数年前のブルゴーニュのテゼを思い出しましたねぇ。

「え~」と思いましたが、ここは、かなり期待大の教会なので、あきらめるわけにはいかず、同時に、これはダメなんじゃないかと危惧しつつ、町の方へ。

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町の中は、めっちゃお祭りで、人がごった返していました…。
猛獣を連れたサーカスまで出ている盛況ぶり。

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それでも、人が集中しているお祭り広場を外れれば、まぁまぁ落ち着いた空気もあり、普段だったらおそらく、カンタルらしい静かでしっとりした町なんだろうなぁ、と思わされました。

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で、トップにあげた教会にたどり着くんですが、扉は固く閉ざされていました。事前に得た情報では、昼休み12時から14時を除く9時から19時、オープンとあったので、余裕のよっちゃん(おそらく死語…)だったはずなんですけどね。

そこで、すぐ近くにあった観光案内所に行ってみたのですが、運悪く、ここの教会は彼らの管理下にはないと。今日開いてないとは聞いてないけれど、だからと言って、我々は何もできません、というにべもない対応でしたわ。

仕方ないですね。
ということで、やっと教会の見学開始となります。長い。

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のっぺりとした正面のたたずまい。
旗がひらひらして、屋台が出て、お祭り感満載です。考えたらこの町は、近隣では随一の規模ですから、昔から何かにつけて祝祭といえばリオメス、ということだったかもしれないなぁ、なんて思わされます。今は車が主ですけれど、昔は、徒歩や馬や荷車で、人々が集まってきていたんでは、なんか思うと、ちょっと楽しくはなりますね。
いや、これ、酸っぱい葡萄理論ですけどね、笑。

右の方から後陣に向かって回り込むと、もう一つ小さな扉があります。

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正面のも、こちらのも、かなりの力を込めて開けようとしましたが、無理でした。

どの面から見ても、かなり後代の手が入っていることが明らかですね。
この、通用門みたいな扉も、上の、どうやらステンドグラスになっている窓も、跡付けて作られていますよね。
そして、多くの軒持ち送りがのっぺらぼうなのは、おそらくオリジナルではないということでしょう。

ありがたいことに、主後陣だけ、装飾的にオリジナルの様子が見られます。

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おそらく、内部も、こういう時代の彫り物がたくさんあるのでは、と想像します。さらに悔しさ増しますけど、仕方ないですね、お祭りでは。次回再訪のチャンスがあれば、お祭りスケジュール、要確認です。

気になる柱頭、ズームアップ!

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寓話的なテーマなのかな。大変気になりますね。
右側の方は、こういう感じになっています。

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右にいる人は、角度によると長髪でサムソン風ですが、正面から見たら、つるっぱげのケンタウロス。お顔の様子が、お隣にいる人と同じです。足短い!調子に乗って、上半身彫り過ぎちゃった、みたいな感じもあります。

ちょっと面白そうだし、とネット検索したところ、内部の柱頭の説明は結構見つけたのですが、そして、やはり内部の柱頭、相当面白そうだと分かったのですが、この後陣のは見つからないし、中が見られなかった立場としては、なんか悔しさばかり募ってきて、検索打ち切り。
というわけで、また私の妄想及びこじつけ全開となります。

ケンタウロスって、中世的には、半人半獣ということで、異端の象徴とか、善と悪の具現とか、そういう意味を持つそうですが、すると、単純に、左に普通の人の猟師、右にケンタウロス、という図式なのかな。いや、左の人も、なんか怪しいし、蛇みたいなのも見えるし、全体として、もっとなんか意味があるようにも思えます。
さてね~。

さて、その隣には、また変な人がいます。

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ホースを加える男、笑。
でかい葉っぱぎっしりな中で、小人的なサイズ感。身体は、スペースに合わせて変な形になっていて、無理無理跪いている様子の右脚、ロマネスク的でよきかな。
すごくズームしてみると、もちろん持っているものはホースではなく、口の近くは蛇の頭に見えますね。

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舌を出していて、それを蛇に噛まれているように見えます。どうでしょうか。

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右の方に、こそっという感じで、サルっぽいやつがいるんですよ。ということは、誘惑的な、淫乱駄目よ的な、そういうやつ?ふふふ、超こじつけ。
それにしても、この人の握り方、指まで、すっごくしっかり彫られていて、見所多いと、あまり一つ一つの写真を拡大しなおして見直すとかしないんで、たまには、少ない写真もいいじゃん、とまた、酸っぱい葡萄理論、礼賛。

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オリジナルらしい軒持ち送りは、おなじみの鉋屑オンパレードっぽかったですが、全体がこんな風だったら、外側だけでも見所満載でしたでしょう。
どうやら、こんな状態になってしまっていたから、大規模修復せざるを得なかったのかな。

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これは、右側の小後陣部分です。

というわけで、今回写真を見直して、現場での入れなかった失望を挽回したきもちです。
ここね、しかし、抜け出るのも大変でした。人出が激しくなる一方で、交通規制で、行きたい方に行けず、どこまでもたたられたお祭りでした。

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