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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

一石五鳥の健康法(ヴィラ・ミラベッロ)

2021フオリサローネ 番外その2

今回は、あまりあちこちをうろうろはしなかったのですけれど、それでもよく歩いたんです。というのも、Covidで在宅勤務になったのが、昨年の3月前半で、非常事態宣言が開けたのは、5月だったでしょうか。

何年くらい前からかな、3.4年前かな。それまでは健康のために定期的にジョギングをしていたんですが、ジョギングって、膝とか腰に結構来るし、きついし、というんで、ウォーキングに宗旨替えしたんです。最初のころは、予定のない週末に、自宅から郊外方向にぐるりと、10キロ程度のお散歩をしていましたが、そのうち、時間も勿体ないし、通勤をウオーキングすればよいのでは?と気付いて、主に会社からの帰り道を歩くことにするようになりました。

それで、結構速足で歩くことを覚えて、大体1キロ10分ペース。会社と自宅の距離は約5キロなので、一回に50ー60分程度歩くことが日常化していました。

そんな日常を送っていたので、Covidのために在宅勤務している関係もあり、感染防止として、公共の交通機関を使わずに、とにかく歩く、という生活に移行することには、何らの違和感も感じませんでした。
それでも、自宅と町を挟んで反対側にあるかかりつけの歯医者はどうだろう、と思うこともあったのですが、そういう場所でも、とんでもない郊外でなければ、せいぜい1時間強の距離だったりするんですよね。

そういうソロでやる運動以外できませんし、外出禁止の二か月間、狭い自宅内でジョギングしていたことを思えば、外で歩けるだけで幸せ、という気持ちにも後押しされて、実によく歩くようになりました。

その後、感染率も激減して、たまにメトロを使うことはありましたが、時間の制約さえクリアできれば、今でも、5-10キロ程度は、歩くのが前提になっています。先週など、三日連続で、連日10キロ強を踏破しました。

そんなわけで、今回フオリサローネについても、すべてを歩いて移動しておりました、笑。健康によく、交通費節約にもなり、一石二鳥です。そんな中、びっくりの出会いがあったんです。前置き長いな、笑。

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ミラベッロ邸Villa Mirabello

我が家から比較的近い地域には、ミラノには珍しく、一軒家とか、長屋的な建物とか、とにかくいわゆるマンション系ではない家並みの地域が、分散的にあるんです。そういう家並みができたころは、ミラノの本当の中心部とは、隔絶されていて、間に緑の地域というか、一旦市街地が終わった地域が挟まったようなロケーションだと思うんですけれど、今では、市街が城がっていますから、もうマンションなど普通の住居群とつながってしまっているのですけれど、一軒家地域は、全体にせいぜいが二階建てだったりするので、空が広く、また比較的道路がゆったりしていたりして、いくつかお気に入りのお散歩コースになっている場所があります。

でも、今回であったこのミラベッロのある辺りは、あまりお散歩対象にしていなかった場所。
なので、自宅に向かって、ちょっと迷いながらも、地図を見る必要もなくぶらぶらお散歩していて、急に空が広がって、なんか変に空間がぽっかりした豪邸があるな、と思ったのが、このミラベッロだったというわけです。

道に面しては、上のように立派な門構えとなっていて、個人宅にも見えますが、それにしては立派過ぎ。その上、別に門扉が閉まっているわけでもなく、 Fondazione(財団)何とかの看板もかかっていました。門の一部が門番小屋になっており、ちょうど顔を出したおじさんに、Fondazioneって何かと聞こうとしたら、Fondazoineは、あそこから入ればいいですよ、と機先を制されてしまいました。

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へぇぇ、と思って、恐る恐るのぞいたら、何とも中世の香り漂う素敵な雰囲気のお城が…。

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お城というよりは、こじんまりとした、やはりヴィラというのがぴったりなたたずまいですね。それにしても、とても美しく整備されていて、何とも魅力的な空間ではないですか。
この地域に住んで10年以上経つのに、そしてこの近所は何度も通っているのに、今まで全く気が付かなかったなんて、自分の間抜けさにびっくりです。

もともとは1400年代のお屋敷で、ミラノの有力な一族ヴィスコンティ家およびスフォルツァ家の住まいとして、また狩の拠点として使われたものだったそうです。狩の拠点ということは、往時は、やはり超郊外だったんですね。
その後も、ミラノやフィレンツェの有力一族のお屋敷として使われましたが、1500年代には、宗教団体の拠点となります。おそらく、当時の所有者が、寄進したとかそういう話なのでしょう。
その後、一時は放置され、農家に使われるなど、荒れた時代もあったようなのですが、1800年代半ばに、ある建築家が、この建物のロンバルディア様式の重要性に気付いて、再生され、その後は公共施設として使用されて、今に至るということらしいです。再生には、多くの企業やお金持ちの人々がかかわっていて、今ではミラベッロ財団として運営されているようです。

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1900年代に入ってからの、企業寄進者、個人寄進者の名前がずらりと。

わたしが訪ねたときは、たまたま、展覧会をやっていたので、建物の中に入ることもできました。

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古色蒼然の内装や調度の中に、現代的な家具とかアート。こういうテイスト、大好きで、わくわくします。

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天井の感じ、素敵ですよねぇ。

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すごく中世後期っていうか、お城の雰囲気の調度です。その後の優雅なお城とは全然違って、質実剛健なお城の内装。とんがった明りも良きことです。
展示されている現代美術の作品は、あまり溶け込んじゃっていて、なんか目立たなすぎですね。

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今では、お庭スペースはかなり限られてしまっているとはいえ、周囲のお宅に比べれば、ずいぶん広いスペースを取っていて、狩の拠点だった往時の雰囲気を想像することはできます。こんなところに、馬が駆け込んできても、違和感ないですよね。

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いやはや、やはり歩くというのは良いことです。自転車や車だと通り過ぎちゃうところも、歩いていると、立ち寄るのが簡単で、発見が多いです。
ウォーキング健康法は、一石五鳥くらいの価値がありそうですよ。

以上で、今回のフオリサローネ報告、終了です。お付き合いありがとうございました。

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  1. 2021/09/28(火) 21:46:21|
  2. ミラノ・フオリサローネ
  3. | コメント:2

黙って通り過ぎ禁止(サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ教会)

2017年12月の週末旅行、ローマの古代から現代まで、その25

なんだかんだ寄り道しながら、やっとトラステヴェレまで来て、さぁ、もううろうろせずに、ランチに突撃!と思っていたんですが、ふと通りすぎた広場の教会が、昼休みの時間だというのに、どう見ても開いている…。
要はその教会、昼休みなく、一日中開いている教会だったんですけれども、常日頃訪ねることができるわけじゃない私としては、なんかお昼の時間に開いている、というだけで、立ち寄らないわけにはいかない気持ちになるわけです。

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サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ教会堂Basilica di Santa Maria in Trastevereです(毎日7時半-21時)。

上のギラギラな様子を見たら、なんで、こんなところにこだわると?と思われそうですが、こちらもまた、中世の遺構が素晴らしいんですよね。

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中世美術に求める内容によるのかもしれませんが、私のようにモザイクが好きな方には、垂涎ものの後陣黄金モザイクです。なんせ。、サンタ・マリアですから、その素晴らしいモザイクで、マリアの人生が、素晴らしいモザイクで描かれているわけです。

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チボリオや暗闇に邪魔されるとは思いますが、ここのモザイクもまた、実に素晴らしいんですよね。モザイク好きには、強力にお勧めしたい教会です。

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モザイクは、いわずもがなビザンチン起源ではありますが、そして、イタリアに残されているモザイクは、もちろんビザンチンなんですけどね、ほんと、意外にもよく残っているんです。
何度か書いているとは思いますけれど、なんていうか、本来的なビザンチンの土地よりも、イタリアでの方が、モザイクは楽しめるかも的なところはあるのではないかと思っていて、その筆頭がラベンナですが、ローマについても、なかなかこれは充実しているんですよね。少なくとも、モザイクの数的には、ビザンチンで世界遺産になっているギリシャのテッサロニキよりも、こちらの方がありますよ、というレベルなんです。

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この後、いや、すぐ後かはわかりませんが、テッサロニキの中世も紹介するんですが、モザイクに関しては、思ったよりも残っていなくて、腐っても何とかっていうのかな、帝国の名残は、やはりイタリアにあったというのか、お金のあるところに美術品は残りますからね~。

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この教会は、そういう時代の素晴らしい装飾が見られるわけです。そして、初期キリスト教的な、威風堂々の様子もね、なかなか。

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人の姿があると、柱一本の壮大さもわかるところありますよね。
柱もすごいな、細かい装飾もすごいな、初期キリスト教だな、とか思いながらも、また後陣モザイクを見て、ああ、すごいな、ビザンチンは、とか、もうね、永遠の都の毒気にあてられ、ふらふらよろよろしながら。

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あ、そうだった、ランチ食べないと元気でないし、とアワアワ本堂を出れば出たで、またナルテックス部分にはめ込まれている古代や中世の彫り物に目を奪われて、さらなるラビリントへ迷い込むわたくし。

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トラステヴェレの広場に面して建ち、中世なんて関係ないってな顔。ツンデレってやつですかね?そんな風情でたたずむ教会ではありますが、とんでもなく魅力的なお宝満載。というわけで、ここに来たら、とりあえずはいらずに通り過ぎる、ということはあり得ないわけで、さらにランチに後れを取っております。

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  1. 2021/09/27(月) 20:49:34|
  2. ローマの中世
  3. | コメント:0

犬も歩けば過ぎちゃって、迷いネコ状態(サン・ジョルジョ・イン・ヴェラブロ教会)

2017年12月の週末旅行、ローマの古代から現代まで、その24

ローマって、犬も歩けば遺跡&教会にあたる状態の町なんですよね。こんな面倒なところが、よくぞ途中で放棄されずに、現代まで続いてきたなって感心します。
石造遺跡は壊すのも大変だし、いっそちょっとずれたとこに新市街作ってこうよ、となっても不思議はなかったと思うんですが…。

考えると、イタリアは、そうやって、古い町の中心を動かすことなく、現代の町になっているケースが多いです。旧市街が山の上とか特殊な状況であれば、ふもとに新市街ができるケースはありますが、そうでない場合は、中心部から離れる形、つまり郊外に広がりこそすれ、町の中心はあくまで古い町の中心と一致しています。
それが例えばスペインだと、結構旧市街と新市街が分割して発展したりしているケースが多いように思うんです。
旧市街は旧市街で残っているけれど、新市街は独立して発展して、普段の生活の中心になっているような感じっていうんでしょうか。バルセロナとか想起すると、旧市街はほとんどツーリストの町で、住人のほとんどは新市街で生活しているイメージ。

あ、いきなり脱線しています。
何が言いたかったかというと、笑、アヴェンティーノの丘を下りて、本来はランチのためにトラステヴェレに向かうつもりだったわけですが、まずサンタ・マリア・イン・コスメディンにつかまり、そしてここまで来て、ふと目を上げると、また見えちゃうわけですよ。

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遺跡と教会のセットですなぁ。
わたしの目的、というか、ついふらふらと脚を向けてしまう先は、後ろにある鐘楼の方です。なんせ徒歩で5分もかからない距離ですからね。別に寄り道する理由はなくとも、やはりつい寄りたくなっちゃうわけです。

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サン・ジョルジョ・イン・ヴェラブロ教会San Giorgio in Valabroです。

そういえば、前に来たときは、結婚式で入れなかったように思い出し、今は亡きホームページの内容を探してみました。せっかくなので、そのまま掲載します。

「4世紀のジャーノ門の向こう側に見える鐘楼が、この教会です。12世紀ごろ建てられた美しい五層の塔で、このジャーノ門と、時代を超えてマッチしています。
Velabroとは、沼を表すエトルリア起源の言葉なので、沼地に建つサン・ジョルジョ教会ということになります。昔はこのあたりまで、テヴェレ川の水辺になっていたのでしょうか。氾濫も度重なり起こり、そのために、床が何度が持ち上げられたと言うことです。
オリジナルは、5世紀ごろに遡りますが、数世紀にわたって、度重なる改築修復が
なされてきましたが、20世紀にはいってからの修復で、近現代になされた無駄な付け足しなどがすべて取り払われて、中世およびオリジナルに戻されたようです。
内部には、7世紀ごろの壁、シンプルな円柱、フレスコ画、また、12世紀の祭壇、13世紀の後陣半球部分のフレスコ画(当初ジョット作と感がられていたものですが、今ではカヴァッリーニ作とされているもの)などがあり、長い歴史を物語るものとなっているようですが、残念ながら、訪問時は結婚式の真っ最中で、入り口に近寄ることすらできませんでした。」

やはり、入れていませんでした。あ、でも、その後にローマ行ったときに、無事入っていて、結構細かく撮影しています。左の項目から2014年5月にアップしたものを選択してくださると、過去記事が出てきます。2014年のイースターに旅をして、なんと当時は、それを翌月アップできていたのですね。我ながらめちゃくちゃ感心しました…。

それにしても、ブログ初期はきちんと調べたことを、きちんとホームページにしていて、えらかったな、オレ、と感心しました。他の教会についても、なるほど、とうなずいてしまうためになる文がつづられていて、全部ブログに掲載しなおしたらよかった、と後悔しました…。その方が簡単だったし、笑。
ブログは、見たいものだけをピックアップするのが面倒なので、本当はホームページに再チャレンジしたいんですけどね~。

というわけで、外はおいといて、さっそく内部に突撃です。

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古そうな様子は分かりますが、上塗りとかすごくて、面白さの薄い状態になっていますね。
とりあえず、有名なカヴァッリーニのフレスコ画を。

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ジョットとかシモーネ・マルティ二はギリ、いいなと思うこともあるんですが、もうこの時代くらいからは、基本的に苦手なテイストになってきますので、適当に見ておしまいです、

それよりは、こういうコズマ―ティのキラキラが美しい祭壇とか。

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これは、サン・ジョルジョのレリックが収められているようです。
それから、こんな彫り物の破片の方に、つい魅力を感じてしまいます。病気ですよね。

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よく見ると、こんなかわいい彫り物が。

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でも、なんか製作中、という感じの出来ですけど、これはちゃんと完成形なんでしょうねぇ。受胎告知に見えますが、違いますよね。

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破片過ぎて、どこにどう置かれていたのか見当もつきませんが、それにしても、教会の長い歴史を感じさせる石の数々です。

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こんな姿もありました。一旦埋めてしまったけれど、あとからまた掘り出したんでしょうね。それにしても当時の工事の大胆なこと。柱ごと他のマテリアルで覆ってしまって、バロックギラギラにするなど、あちこちでやられていますけれど、ある意味、そういう手抜き工事っていうか、わざわざ破壊しなかったおかげで、リカバーできた遺構も多くあるのは、有難いというのかなんというのか…。

過去記事も無事発見したことだし、詳細は上と、2014年のブログ記事もご参照ください。おお、なんという手抜き記事…。

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  1. 2021/09/26(日) 12:24:10|
  2. ローマの中世
  3. | コメント:0

お初のクリプタ(サンタ・マリア・イン・コスメディン教会)

2017年12月の週末旅行、ローマの古代から現代まで、その23

アヴェンティーノAventinoの丘を、斜面に作られた遊歩道で一気に降りて、テヴェレ川のほとりに出ます。昼時でもあったので、川向うのトラステヴェレでランチをしようと思ったのですが、ここに来たなら、やはりあそこは寄りたいな、とテヴェレを渡る前に寄り道。

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サンタ・マリア・イン・コスメディン教会Chiesa di Santa Maria in Cosmedinです。この特徴的な優美な鐘楼が目印。
あ、多くの方にとっては、真実の口の方が有名だと思います。ナルテックスに、あの真実の口がある教会です。

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ローマを訪れる旅行者のほとんどは、ローマ遺跡とか、ローマの休日ツアーで、教会は、観光スケジュールに組み込まれているから来る程度のことだと思うので、別にいいんですけども、この教会はおそらくその最たる例というか、目の前まで来ても、教会に入る人はほとんどいないという。
あ、それでも、真実の口まで来る人の数が半端ないから、そうはいっても、他の教会に比べると、いつでも人がいるのは確かですね。ブックショップもにぎわっています。
中世的には、とても良い教会なので、真実の口のついでに入るような人には、正直入ってきてほしくないと感じてしまいます。うるさいし、良い写真も撮れなくなっちゃうし、明らかに何にも興味ない人が多いし。
とはいえ、もしかすると、昔の私がそうだったように、ここにきて、「教会なんて辛気臭いし、観光的ルーティンとして来ただけだけど、あれ?ここは何か好きな気がする」、とか思う人が、いる可能性もあるし、そうやって中世ファンが増えるかもしれない、と思うと、来るな、とも言えないというか。
いや、どういう立場の発言か不明ですが、笑、とにかく、教会に来ようと思ってきたわけじゃない訪問者が多いということが言いたかったのです。

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スコラ・カントラムがかなり本堂にせり出している古いタイプの教会で、随所に古い構造の遺構がいられて、なかなか見所が多い教会です。

で、これはちょっと記憶になかったんですが、クリプタがあったのですね。勘違いかもしれないので、念のため2009年のローマの写真を確認したところ、やはり写真はありませんでしたので、当時はアクセスできなかったんだと思います。
やはり、訪ねるもんですよね。もうけた気分になりました、笑。

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アドリアーノのクリプタCripta di Adriano

暗いし狭いし、見学者が次々と来るし、撮影には向かない場所でした。古いのだけが取り柄的な状態でもありましたしね。その上、係員がいたので、ちょっと尋ねたいのですが、と声を掛けたら、「うるさい」と言わんばかりの態度で、すべて説明版に書いてあるからそれを読め、と邪険な対応でした。うーん、さすがローマ。黙ってても観光客来るから、ダメですねぇ。

そういえば、いつだったか、姉と旅行した時にも、トレヴィの泉とかに近いかなりの街中で、こういうクリプタに遭遇したことがありました。そのかなり前に、おそらく2009年の旅の時でしょうかね、博物館で見たフレスコ画が本来あったという教会だったと思います。ここだったんだ、と感動したことを覚えています。
こういう、現場の担当者の態度は旧態依然感が強いとはいえ、ローマ市としては、地道に発掘して地道に開放して、ということを連綿と続けているのだろうなぁ、と思うと、それはやはり大変なことだし、こうやって見せていただけることに関しては、感謝以外ありません。

それにしても、古い都というのは大変なものですね。二千年だっても、まだ色々出てきちゃうわけで。ここを掘れば絶対に何かが出てくるけれど、色々な都合で発掘できない場所も、きっといっぱいあるはずで。ローマって、やはり魅力的だなぁ。

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さて、このクリプタ、法王アドリアーノI世(772-795)の時代に作られたもので、凝灰岩の岩盤をくりぬいて作られた、いわゆる洞窟教会みたいなものだったようです。良い写真がないのですが、その凝灰岩Tufoの岩肌が、いくつかの部分で今でも確認することができるようです。
この凝灰岩は、昨年回ったラツィオ一帯に多くあり、非常に丈夫なので、その岩盤の上に立つ多くの町村では、くりぬいた地下都市を作った過去があったことを勉強しました。ローマでも、そうだったとは知りませんでした。

クリプタは小さな教会の体をなしており、再利用の6本の小円柱が、左右に三本ずつ並べられて区切られた三身廊となっています。円柱には、基部がなく床に直接、かなり深く刺さっている構造ということです。上部に置かれた柱頭は、トラバーチンという石灰質の石だそうです。トラバーチンとは、ローマ郊外のティボリ、この夏に訪ねましたが、ティボリ産の石灰石というのが名前の由来だそうで、ということは、あのあたりに石切り場があるのでしょうね。

クリプタの最深部には、ローマ時代の石柱を再利用した祭壇が置かれた後陣となっており、ここにはサンタ・チリッラSanta Cirillaのレリックが収められているそうです。チリッラさんは殉教聖人みたいですが、彼女以外にも、多くの殉教者のレリックが収められていたようです。というか、どうやらそのために作られた構造らしいです。

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壁の、こういうニッチ構造が、それだったのかも。よくわからないけども。

クリプタは長年放置されていましたが、1717年にふたたび開けられ、その際、今使われている内陣向かって左側のアクセスが作られました。伝説によれば、クリプタの後陣後ろに秘密のトンネルがあり、それがアッピア街道にあるカタコンベのある古い教会にまで通じていたということ。ううん、そういうのはロマン。
ローマの地下には水道も流れているはずだし、地下通路、あっても不思議じゃないですよね。他の町村の状況からいっても、実はかなり広い範囲で地下都市があるのではないでしょうか。

では、本堂に戻り、古い構造との再会。

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新しい壁に覆われて、古いものがチラ見えしてます。
これね、ファサードの裏側なんで、実際どういう風になっていたものか、ちょっと想像つかないんですが、すっごく素敵なもの。

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でも実は、後陣にある開口部もおそろいの装飾。

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ということは、ファサード側にも開口部があって、あそこからうっすらと日が差すような構造?ファサードに開口部あることあるけど、こういう装飾っていうのは珍しいですよね。

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古色蒼然とした雰囲気の後陣フレスコ画。もともとこういう感じだったかもしれないけど、今ある絵はかなり新しい感じです。

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脇の後陣もね、こういうの。とにかく開口部装飾押し!
そして、全体の古び感が、とても落ち着く。

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大好きな、ファサード扉周りの浮彫にも再会してきましたが、写真はなし。前回、馬鹿みたいに撮影したし、真実の口の順番待ちで、いつも大混雑なんで、この時はうんざりしちゃったんだよね。
でも、クリプタ見られたし、ラッキーでした。

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  1. 2021/09/25(土) 16:49:51|
  2. ローマの中世
  3. | コメント:0

マウリツィオ・カッテラン、やってくれるな~(ハンガービコッカ)

2021フオリサローネ 番外その1

前回、市営プールの記事で、ちょろっと言及したマウリツィオ・カッテランというアーティストですが、この夏から、我が家最寄りの、そして個人的にはミラノで最も好きな美術館で、展覧会が開催されているんです。

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ピレッリ・ハンガービコッカPirelli HangarBicocca
Via Chiesa 2 Milan

過去にも何度か言及していると思いますが、ここはタイヤで有名なピレリ社の工場跡地を現代美術館に転用したもので、ミラノ市の北部郊外にあります。
この地域は、一応ミラノ市内ではありますが、市街地とは完全に途切れており、ヨーロッパ北部へ向かう光速度悪露へのアクセスも良いなどの理由で、かつては、ピレリ社以外にも、多数の工場やメーカー系の会社があった土地です。しかし近年、ミラノ市の人口が増えるとともに市街地がここまで迫ってくる中で、再開発地域となり、多くの会社が、工場を閉鎖したり住居や他施設へ転用したり、ということが行われて、今では大学や劇場も作られ、新興の住居ビルとともに、新しい文化的な町に変貌しています。

そういう中で、このハンガーは、かなり早い時期に美術館に転用されたもので、まだ常設しかなかった初期のころから、定期的に通っている次第。なんといっても、無料なのが嬉しいですよ。
ピレッリ社は、数年前に中国企業に買われて中国企業となってしまいましたが、幸い、ピレッリ財団はそのまま残されました。どういう形で運営されているのか知りませんが、とにかく開館当初から無料を貫いております。それなのに、展覧会の旅に、とてもお手頃なボリューム、内容の小冊子もくださるという、有料の美術館でも今やなかなかないサービスを提供してくれています。
展示会場には、スタッフが数人いて、フリーの質問に的確に答えてくれますし、ガイドツアーも適宜実施されています。

という、まったく稀有な美術館が、自宅最寄り、というのは、実にありがたいことです。車で10分弱程度で、駐車もし放題なので、買い物や用事などのついでに、ちょっと寄ることができるんです。

が。今回は、そういうわけにいきませんでした。
そういう気持ちで気楽に行ったところ、今年際オープンしてからは予約制になりました、ということで、撃退されてしまったのです。周囲に同様の人多数いました。
一旦帰宅して、約1時間後の予約をしてから、再び出かけることになりましたが、なんせ10分ですからね、問題なしです。

前置きが長くなってすみませんが、そういうわけで、以下、カッテランです。

Maurizio Cattelan
Breath Ghosts Blind

2021salone 104

手前に、別の展覧会がありましたが、それはとりあえず無視して、奥にあるカッテランの会場へ、暗幕をくぐって入ったら、ほぼ暗闇。その中、一点だけにスポットライトが充てられていて、遠目にもやばい感じの不穏な眺め…。

スポットライトの周りを取り囲む見学者の姿が浮かび上がる、それすらが、何かまがまがしいような…。

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Breath, 2021

横たわっている人と、その連れらしいワンコでした。
近付いたら、なんかさらに怖くて、皆が結構遠巻きに見てしまうのもわかります。
なんかね、なんか分からないけど、近寄りがたい何かがありました。

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勇気を出して、近寄ってみたけど、なんかマテリアルすらよくわからなかったです。つやつやしていて、本当の柔らかそうな毛にも見えたし。
でも、今解説を読んだら、カッラーラ産大理石という非常に高価なマテリアルを使った本気の彫刻でした。
カッラーラ産大理石は、ミケランジェロもベルニーニもカノーヴァも、時代を超えて愛されている素材です。現代の、それも素材で勝負するようなタイプでないカッテランが、わざわざ使う理由は、素材勝負ではもちろんなくて、そういう普遍性の高い高価な材料、というところにポイントがあるようです。

美術館でいただいた冊子の解説は、なかなか良いと思いましたが、作品は作品に語ってもらえばよいので、ここでは触れません。カッテランは日本でも展示されてことありますから、検索すれば日本語情報も結構出てくると思います。

先に進んで、さらにぞーっと…。

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Ghosts, 2021

ここもまた、ほぼ暗闇です。鳥目の人だと、歩くのもおぼつかないくらいかも。で、がらんとしているので、あれ?なんだっけ?と思うのですが、一瞬後に気付きます。ぼんやりした明りに浮かび上がる鳩の姿…。

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ここ、工場だっただけあって、とにかく巨大なんですよ。縦も横も高さも。特にこの高さ、これはインスタレーション系の現代美術の展示にとっては、得難いものだと思います。
そして、柱意外に遮るもののないオープンスペースの迫力もすごいんです。
通常なら、ここはメインの展示スペースとなって、かなり大きな作品がいくつも並べられるだけの広さがるのですが、この作品は、壁、天井、梁に作品が…。

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ある程度の年齢の方なら、必ずやヒッチコックの「鳥」を見ていると思いますが、やはりどうしてもあれを印象してしまいます。シーンとしているのが、さらに怖いですよ。これだけの鳥の数に対して、暗闇を一人で歩く心細さ。

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小冊子を見て思い出しましたが、インスタレーション、ベネチアのビエンナーレでも見てます。

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Others, 2011
Biennnale di Venezia

過去記事を見たら、ヒッチコックの鳥が連想されて怖かった、という非常にありがちなコメントが書いてありましたが、今回のハンガーの展示に比べたら、明るいし、怖さのレベル、全然違います、笑。
1997年に、ベネチアで展示されたのが、最初だったとあります。それは見たのか見てないのか、おそらく見てないと思いますけれど、その時のタイトルはTouristsだったということ。リョコウバトのイメージなのかな。そして、Othersときて、今回はGhost。さて、何が読み取れますでしょうか。

最後、この広い暗闇スペースの先に、ちょっと区切りのある別スペースがあります。これまたたまげました。

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Blind, 2021

程よく人がいるので、作品の巨大さが分かると思います。
なんじゃこりゃ、と思いながら、上を見上げながら回りだすと、あ…

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一目見てピンとこない自分の頭の悪さよ、と思いましたわ。

こりは、どう見ても9.11の世界であろう。あまりに直接的な気もするから、もしかして全然別発想があるのかもしれないけど、でもどう見ても…。

この作品は、今回の展覧会が初めての公開になるそうです。9.11からちょうど10年ということもあったのかもね。ちなみに、アーティストは、90年代にニューヨークに移り、同地で活動しています。その後はミラノとニューヨークを行ったり来たりで暮らしているようですが、9.11当時はニューヨークにいたかもしれないですね。

今回、初めて経歴をちゃんと知ったので、ちょっと記しておこうと思います。
カッテランは1960年パドヴァ生まれ。実はもっと年齢が上の人と勝手に思っていました。わたしが、初めてカッテランの作品を見たのは、いや、少なくともあれはカッテランだったんだ、と認識した作品は、2004年、トリノ郊外にあるリヴォリの現代美術館でしたが、すでに90年代からベネチア・ビエンナーレには出品していたようなので、そちらでもすでに何かを目にしていたのかもしれません。
とすると、30代から活躍していたということになるわけで、その特異な作品内容を考えると、すごいことですね。
日本では、横浜のトリエンナーレなどに出品しているようですが、何を持って行ったのかなぁ。とにかくやばいというとか、気持ち悪かったり、こんなんあり?だったり、一歩間違えると単に奇をてらってるだけじゃん、みたいな作品が多いんですけど、すごく印象に残るし、単純に怖い面白いということで、私は好きなアーティストです。

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特に今回のような、壮大な作品、こういう特殊な入れ物でしか表現できないインスタレーションというのは良いです。
会期は長く、来年2月までやっているので、もう一度くらい行ってしまいそうです。

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  1. 2021/09/25(土) 11:36:39|
  2. ミラノ・フオリサローネ
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天使が沢山飛んでる街(サンタレッシオとサンタンセルモ教会)

2017年12月の週末旅行、ローマの古代から現代まで、その22

最近の記事で紹介している教会って、どちらかというとマイナーっていうか、おそらく普通の観光でわざわざ行く場所じゃないと思うので、改めて、ローマのどの辺かというと。

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実は、テベレ川を挟んだお向かいは、レストランを求めて旅行者も地元の人も集う繁華街、トラステヴェレなんです。
橋がありますので、川さえ渡ればすぐだね、って見えるんですが、そこはそれ、ローマの地形って、一筋縄ではいかないってやつで、テヴェレ川のこっち側は、いきなりすごい斜面になっておりまして、そのため、直線距離よりはずいぶんと距離がある感じになっています。今は、その斜面が遊歩道のように整えられているので、気持ち良い散歩道となっていて、徒歩旅行者にはなかなか魅力的な場所だと思います。

で、サンタ・サビーナの見学待ちで、近所をぶらぶらしたといいましたが、ほれ、このように教会激戦区、笑。

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サンタ・サビーナのすぐお隣に、このマルタ騎士団の何かがありまして、その入り口の鍵穴から、バチカンのサン・ピエトロ寺院のクーポラが見えるということになっているのですが、その敷地の中にサンタレッシオ教会、そして、その先に、サンタンセルモ教会、と徒歩でも5分足らずの場所に、創建の古い教会が三つも建っているのです。
なんなんでしょうね、この密集は?
その時代時代で、栄えていた教会とそうでない教会があったり、またマルタ騎士団の教会は、やはり騎士団の専属教会でしょうから、地域には関係ないとかそういうことなんでしょうけれど、おそらく…。

まず、サンタ・サビーナ最寄りの、そのサンタレッシオChiesa di Sant’Alessioです。

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外観的には、このいかにもローマ的な鐘楼が、往時の姿を残すのみであり、他に見るべきものはありまえせん。
中には、素敵なコズマモザイクの装飾があったと思うのですが、ここも絶賛結婚式中で、取りつく島もなし。

以前訪ねたときは、正面と中しか見てなかったので、後ろの方に回ってみました。

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う~ん、別にわざわざ見なくてもよかったかもね。でも、ちょっとした発見がありました。
サンタ・サビーナも、後陣の方に、オレンジの木が茂る素敵な公園になっていて、そして、テヴェレ側の方を見晴らせるんですけど、こちらも、そういう場所があって。

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サン・ピエトロのクーポラが、くっきりと見えました。

丘の町であるローマだからこそ、町のあちこちから町の様子を俯瞰できるのですが、なんと教会の多いことよ、と感心します。ローマに限らずそうなんですけれど、これほど、その現実を目にできる町はなかなかないですからね。
昔々、ヴィム・ヴェンダース監督の「ベルリン天使の詩」という映画がありましたた。その映画はまだ日本にいるときに見たんですけれど、ある日ローマを歩いていて、ちょっと目を上げたり見下ろしたりしたときに、至る所に天使の姿が見えてしまうんで、ついその映画を思い出して、ローマって、なんかすごいなって思ったこと、覚えています。

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ごっつい感じもあるけれど、実は繊細なローマの鐘楼。結構好きなんですよねぇ。

そして、さらに進んで、サンタンセルモ教会Chiesa di Sant’Anselmoです。

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ここは、神学校になっているようでした。そんなことも記された立派な門があったので、え?入っていいのかな、と思いながら、恐る恐る入ったところ、絶賛結婚式中だったというわけです。

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ただ、ここは、全体に激しく修復、というより、ほぼ再建されている様子で、鐘楼も、新しくされちゃっている様子ですね。

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後ろの方には回れなかったと思います。

こんな証拠写真も撮っていました!

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鍵穴に並ぶ人々の行列ですよ。
10年前には、閑古鳥が鳴いていて、ほぼ強制的に「見ろ!」と拉致されたあの場所が…。イタリアは、もはやどこもかしこもオーバーツーリズモ状態です。
コロナの影響がなくなって普通に戻るまでは、まだ時間がかかると思いますが、徐々に外国人も戻ってきてますから、大きな観光地は、またすぐにこういうことになるのではないかなぁ。自分の趣味が、密とは正反対で、良かったと思います。

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  1. 2021/09/19(日) 17:36:19|
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せわしないながらも、楽しい再会(サンタ・サビーナその2)

2017年12月の週末旅行、ローマの古代から現代まで、その21

サンタ・サビーナ教会Basilica di Santa Sabina、続きです。

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前回の記事にも書きましたけれど、到着した時、おそらく結婚式が終わって、新郎新婦が出てくるのを待つ人々で、入り口には人だかりがしていて、とても仲に入れる状態ではありませんでした。
しばらく待っても、簡単には人がはけそうになかったので、人込みをかき分けて、木製扉の装飾を見に行ったうえ、周囲の教会、この界隈、狭い範囲に、いくつも教会があるんで、そちらの方もぶらぶらしたんですが、なんとなんと、どの教会も結婚式ラッシュ。
以前来たときは、人っ子一人おらず、警備の人に半分強要される状態でのぞいた、バチカンのクーポラが見えるという鍵穴も、なんとなんと、長蛇の列ができています。
どこもダメなんで、仕方なくサンタ・サビーナに戻りましたが、相変わらずの人込み。どうやら、前の結婚式は終了した模様ですが、すでに次の結婚式の準備中という様相です。
もうこれは仕方ない!と入り口前の人込みを強行突破しました。

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各種ミサがあると、見学が厳しくなることもままあるわけですが、唯一ありがたいのは、明りが煌々とともされていることですね。
ここは壮大なバジリカ式なので、窓からそれなりに光が入る構造にはなっていますが、それでも、冬でお天気が悪いとなると、本来なら真っ暗状態ですが、この日は、結婚式ラッシュですから、明りはつけっぱでしょうね。隅々までよく見えます。

それにしても、これだけのラッシュだと、お花は同じだろうと思うので、教会にとってはありがたいことでしょうね?下世話な視点…、すみません。

さて、どうしても入っときたかったのは、再会したい方々がいるからです。

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内陣を取り囲むスコラ・カントラムSchola Cantorumです。
次の結婚式の準備に余念のないパードレが祭壇におり、多少のためらいはあり、一応撮影良いかどうかだけ聞いたら、どうぞどうぞ、ということで、安心。でも、次の結婚式が始まりつつある様子はひしひしと感じていましたので、あわただしく見学せざるを得ませんでした。

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非常に装飾的な彫りものがずらりで、再会とはいえ、興奮します。この十字架に波的モチーフは、ベネチアはムラノ島の教会外壁にはめ込まれたやつと似ていますね。ニョロニョロみたいのが、かわいいなぁ。

十字架バリエ、たくさんの組紐とかお干菓子文様とか、好きすぎて悶絶状態です。

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保存状態は、ものによるのですが、良いものはかなりよいです。
実はこのスコラ・カントラム、16世紀に取り払われてしまったもの。その際、本来置かれていたチボリオも、同じ運命をたどったとか。

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結構近代と思いますが、中世に戻そう運動というのがイタリアでは結構あったようで、内装ではバロック期のキラキラをはがした場所が多いのですが、ここでは、あちこちからオリジナルを探し出してきて、一部再建を交えて、今ある状態に戻したということです。

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保存状態の良いものは、どこか屋内に置かれていたりしたのでしょうし、悪いのは、普通におにわとかに置かれていたのかもしれませんね。16世紀あたりは、ブイブイ言わせて立派なお屋敷を立てた一族も多いでしょうから、こういうマテリアルは、それなりに人気があったのでは、とか勝手に思ったりしています。個人的には、こんなものをお部屋の区切りとかに置ければ、素敵よねぇ、とうっとりしちゃいますね。

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かがんで撮影しつつ、上を見上げると、開口部も素敵なんですよ。これって、起原とかよく覚えてないですが、ちょっとオリエントテイストも感じて、好きなやつです。

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急ぐとなると、必要以上にアワアワして、あっちこっちに目線が泳いじゃって。

最初に入った時は、あまりに壮大でがらんとした空洞感ばかりに気を取られちゃうところあるんですが、こうやってディテールに注目すると、その壮大さを忘れて、また戻ってきたい教会の一つになったりするんですよね。

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でもこういう教会は、維持も大変だと思うし、なんせ、近所にたくさん教会がある以上、信者獲得競争みたいのもありそうだし、笑、生き延びているのは、やはりバチカンのおひざ元、ということも大きいのかもしれないですね。どうなんだろうな、その辺。
いずれにしても、10年足らずの間に、扉が立派に扱われるように変貌したことは、有難い措置だったと思います。

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  1. 2021/09/19(日) 12:36:02|
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戦前のミラノとその変貌と…(市営プールと中央駅)

2021フオリサローネ その9

期間中に、市の広報メールで写真を見て、おぉ、こんなの絶対行きたいに決まっている!と、メールに従って予約をして、最終日の午後、仕事を早めに切り上げて、駆け付けました。

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市営プールコッツィPiscina Comunale Coperta Roberto Cozzi

なんかいきなり地味な…。
まずびっくりしたんですよね、会場の住所見て、グーグルマップで確認して。というのも、この道は、ミラノに暮らして30年、最近でこそ少なくなりましたが、一時は職場が近かったこともあるし、本当によく通ったところなんです。だから、この建物は知っていたんですけれど、まさか中がプールである、ということは想像もしてなかったんです。

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よく見たら、上の方にちゃんと市営プールって書いてあるよ。
でもさ、この面構えで、プールだと分かる人がいるでしょうか?その上、場所が、かなり繁華街なんですよ。中央駅から地下鉄で一駅だし、5分もしないところに、ミラノ庶民のお買い物ゾーンであるブエノスアイレス通りがあるし。

というわけで、30年暮らして、今回初めてこれがプールだった、ということを知った驚き、分かっていただけるでしょうか。フオリサローネのおかげです。
例によって、ちょっと検索してみたら、なんと1934年に、イタリア初の屋内プールとしてオープンして、多くの国際大会の会場としても使われたそうです。
そして、今もちゃんと現役です。

そういえば、ミラノには市営プールが多い。大体各地域に一つはあるんじゃないだろうか。前に住んでいた家の時も徒歩5分に屋内プールあったし、今住んでるところも、5分強のところにあります。海好きが多いから、水泳も好き、ということになっているのかなぁ。

おっと、プールの紹介記事ではありませんでした。

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Be Water projected by Toiletpaper

なんだかわけがわかりませんが、かっけー!と思いませんか?思わないですか?私は思っちゃいました、笑。
トイレットペーパーは、著名なアート・マガジンで、主催しているのは、イタリア出身の超有名現代アーティスト、マウリツィオ・カッテランMaurizio Cattelan(日本語だとカテランとなっているようですが、正確な発音不明です)。

勝手欄に関しては、検索いただくと、「なんとなく知ってるぽい」的なやばい作品が、出てくると思います。実は、現在、ミラノでこの方の展覧会が開催中なんで、本日行ってきたところです。というわけで、カッテランについては後日、もうちょっと書いてみたいと思います。

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これはまぁ別に、何を語る必要もないと思うんですよ。
60年代っぽいペンキアートっていうか、日本人的には、お風呂屋さんの壁アートにも通じる安っぽさとか、なんかレトロ感とか、そういうのが面白いんじゃないかと。

国際大会にも使われたというだけあって、プールの立派さにも感心します。

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飛び込み台も、結構高いものまであって、この部分は深さも相当ありそうです。現役ですから、水も美しく管理されているし、いやはや。
そして、そういう現役プールを会場に使うっていうミラノ市やミラノのスポーツ振興団体や、なんかそういうのがすごいなっていうのもあって。

でも、待てよ。実際にプールを使っている人たちは、このペンキ絵をどう思うんだろう。

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プールに無関係な人は、このフオリサローネ会期中しかアクセスできませんが、プール使用者は、当然いつでもアクセス可能で、確かこの作品、しばらくはここに置いたまま、ということだったと思います。

クローズアップしたら、絵の真ん中を横断するものに気付きました。

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なんかきらきらして、水族館とかにありそうな装飾。レシンとかで作っているんでしょうかね。レトロ感満載ですし、やっぱりおしゃれな年代のおしゃれな装飾って気がします。

それにしても、カッテランにお風呂屋さん見てほしいなぁ、と思いました、笑。

さて、この日は最終日で、もう回る気はなかったのですが、時間もあるしせっかくだし、とこのサローネを前にオープンしたらしい中央駅の新しい施設を視察してから帰ることにしました。視察っていうのも変だけど、まぁそういう気持ちです。中央駅も、もう長らく行っておりませんでした。

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有名なミラノ中央駅Stazione Centrale di Milanoです。
わたしがミラノに暮らしだしたころは、この駅前、草ぼうぼうの広場で、麻薬中毒者の巣窟でした。おどろな雰囲気で、かなり怖かったですよ。
今でも、置き引きやすり、かっぱらいみたいな人はうろうろしているはずで、危険には変わりがないはずですが、少なくとも麻薬中毒者とか、すでにオーバードーズで倒れちゃってる系の人はいなくなって、たまに泥酔して倒れている路上生活者がいるくらいですかね。軍隊の車が常駐していたり、警官もしょっちゅう見回りをしているので、昔に比べれば、本当にすごくよくなりました。

その中央駅舎の、上の写真で見る向かって左側に、今般オープンしたのが、メルカートMercatoという飲食店街です。

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これは、反対側から撮影したものですが、駅舎に張り付いているデオールというんですが、テラスみたいな場所と、駅舎の一階と中二階みたいな部分が、その施設となります。ウナギの寝床みたいに、すっごく長いです。

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とにかく駅は大きいです。そして執着的構造のため、すごく長いんですよね。その長さを余さず使ったような形で、ひたすら長いです。
第一印象は、デパ地下。細い通路にずらりと様々な飲食店が並び、どこまでもどこまでもって、イメージとしてはそっくりです。

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販売と同時に、イートインがついていますので、その場で食べられるものも多いようですし、もちろんレストラン形式の場所もありました。旅行者にとっては、飲み物だけでも気軽に座れる場所、便利だと思います。とはいえ、長すぎるから、ホームからアクセスすると、相当の距離を歩くことになって荷物持ってたら、無理じゃん?というのはあります。通路が狭いので、場所によっては渋滞しそうだし。

ま、でも新しい感じは間違いなくあって、駅はどうしたって人が集まる場所ではあるから、それなりに成功はするのかもね。
なんにせよ、公共のスペースがきれいにあっていくのは良いことだと思いました。結構な雇用創出につながったと思うしね。
頑張ってほしい。
というながら、手ぶらで、本当に視察だけで帰ってきたオレ…。申し訳ない…。

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  1. 2021/09/18(土) 16:39:06|
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憧れの高等遊民…(バガッティ・ヴァルセッキ博物館)

2021フオリサローネ その8

ついアウディに寄り道しちゃいましたけど、アウディのショールームのあるファッションディストリクトに来た本来の目的は、こちらでした。

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バガッティ・ヴァルセッキ博物館Museo Bagatti Valsecchi

ここは、ここ何年も、フオリサローネの際に必ず何らかの展示会場になっていますが、本当に素敵なお屋敷です。前の記事で紹介した邸宅博物館よりは、ちょっと前の時代のものとなりますので、お屋敷っぽさ全開ですよ。これまで、その由来を調べたことがなかったので、ちょっと調べてみました。どうせすぐ忘れちゃうんですが、近代史つまみ食いみたいで、そういうのも面白いなって思います。

ここは、名称になっているバガッティ・ヴァルセッキ男爵一家の
お住まいです。いわゆる貴族階級の方々ですね。1800年代の終わりごろにいらした二人のご兄弟、ファウストとジュゼッペによって、今あるようなお屋敷になったということなんです。

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このお二人、一族のお家を改装することを思い立ち、1400年代から1500年代の美術品の収集を始めたんだそうです。というのも、お屋敷に、1500年代ロンバルディア様式にインスパイアされた内装を作りだそうと思いついたから。

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彼らは、装飾品のみならず、暖房や照明、水回りなども、その当時の様式にするというような、徹底した改装をしたそうです。びっくり。まさかそういう経緯だとは知りませんでした。
このご兄弟がなくなった後も、一族は、1974年まで、ここで住み続けていたそうですが、その年に、財団が作られ、その20年後の1994年に、博物館として開館したという運び。ひゃあ、とすると、私がミラノに住みだして頃には、まだなかったんだなぁ。

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ちなみにファウスト及びジュゼッペの兄弟は、大学で法律を勉強されたそうですが、その資格を使うことなく、このお屋敷の改装にすべてを投資したということdす。今では死語ですかね?いわゆる高等遊民っていう結構なご身分だったわけですね。憧れの高等遊民。やはり高等遊民は、何かした高尚な趣味を持たないとだめですよねぇ。
最後の相続人は、1974年に財団を作る決意をした人らしいですが、おそらく、その時代まで、財産で食っていたんでしょうねぇ。っていうか、その時代に、こんなお屋敷に住まう方がいたんだ、という事実にぼーっとしちゃいます。まぁ日本でも、冷泉家とか、そういう信じられない一族がいらっしゃったりはしますけれどもさs。

ま、そういう歴史遡るみたいなお屋敷の雰囲気の中、フオリサローネ関連の展示は、基本わけのわからない現代美術だったりするので、そのミスマッチが結構ゾクゾクするんですよ。

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Palazzo delle Meraviglie - Le Temps des Cocus by Decluuz

上の、左下ににょきにょきした金色の物体が展示品です。

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あまり趣味じゃなくて、よく見てないんですけど、これ多分特殊な糸で特殊な織り方をした布状の素材なんです。光の当たり具合で、一方向だけ光を反射するとか、なんかそういう仕組みになっているみたい。
このとんがりコーンみたいのは、その布をとんがり三角にしただけなんだけど、もっと複雑な作品も並んでました。

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肖像画みたいのが、浮き上がる織物。ゴブラン織りとかの現代版っていうか、これね、相当照明が暗いところで、わずかの光を反射してこういう感じで、なかなか不気味な様子でした、笑。
このお屋敷が展示会場ということで、あえてこういうルネサンス的なものを作ってきたのかと思うのですが、ここは思い切って、もっともザンデ斬新な現代バリバリのものを作った方が、ミスマッチで印象は強くなったのではないか、と思いましたねぇ。これじゃ、はまりすぎて、素材の面白さとかまったく気にならずに、お屋敷のテイストにはまりこんじゃって違和感なさすぎ、笑。
こんなの今はコンピューター制御で織るんでしょうから、モチーフは何でもよいはずで、残念なプロデュースだったと思います。あ、案内の人たちも、全然案内とか売り込む気持ちゼロだったのも、マイナスでしたね。

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今回は、お屋敷常設品との再会の方が、よほど楽しかったです。

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  1. 2021/09/18(土) 15:23:22|
  2. ミラノ・フオリサローネ
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一生お世話にならないブツ二つ(セナート・ホテルとアウディ)

2021フオリサローネ その7

今回も、初めて訪ねる会場。よく前を通っていて、高そうだなぁ、と思っていたので、楽しみに行ってみました。

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セナート・ホテル・ミラノSenato Hotel Milanoです。

ミラノが誇るファッション・ディストリクトである、モンテナポレオーネ通りVia Montenapoleoneやスピガ通りVia Spigaにも近く、それでいて高級住宅が並ぶ閑静な地域でもあり、押し出しは地味目ですね。もともと住居用の建物だったのをホテルに改装したんだろうと思われますね。

エントランス入ってすぐに、吹き抜けの中庭状のスペースがあり、そこで今回の展示となっていました。

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Aqua - Artemest
アクア、そのタイトル通り、水をテーマにしていて、水のイメージをインテリアに持ち込もうとかそういうコンセプトですね。

展示スペースが、本来どうなっているのか分からないため、その変容の面白さは分かりませんが、場所にしっくりとしていたのは確か。もともとこういう池だったとしてもありだなぁ、という安定感でした。
行ったときは特に何もなかったですが、おそらく照明や音響も考えられているようだったので、夜間などは全く違う様子、雰囲気になるのかと思います。つまり、この、照明とか音響なしに、日中の光の下で見るのは、完全な展示ではないようなので、単に地味、と評価してはいけないんだと思います。

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水の反射、鏡などを多用して、いろんな眺めが見えて、それはそれで面白いものになっていました。飛び石のようなものを伝って水を渡るのですけど、意外とわかりにくくて、踏み外す人もいるような気がして、それもクスリとするっていうか。
撮影に夢中になって、危うく踏み外しそうになったわけです、自分自身が、笑。

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ミラノでは、ホテルのエントランスとかロビーって、あまり公共空間ではないところが多いです。巨大ホテルが少ないので、関係してないと入りにくいっていう感じ。だから、こういうプレステージの高いホテルを、気軽にのぞき見できるのは、個人的に楽しかったりします。

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廊下に、いろんなオブジェとか、古い映画やオペラのパンフレットが並んでいて、これもまるで展示みたいなんだけど、これは別に今回の規格とは無関係なホテルのインテリアのはず。20年くらい前のスカラ座のチラシとか、もっと昔の広告とか、ちょっとレトロなものが沢山張ってあって、ついつい何かを探すように見てしまう自分は、その時代にすでに普通にこの町で生活していたからなんだと思います。恐ろしいですね。

さて、見学はあっという間に終わり、次に移動ですが、その途中に、引っかかりました。

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Audi 
Creative Connections by Marcel Wanders studio

アウディは、毎回積極的に展示している車会社の一つですね。イタリアの会社は、あまり投資してないし、日本も、トヨタ、というよりレクサスとして参加することがありますが、車会社の展示で魅力的だったことはあまりないです。

今回たまたま通り過ぎて、次々と人が入るし、つられて入ってみました。

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前の人についていったら、なんか広大な応接室みたいな場所でびっくり。大きなスクリーンにコマーシャルみたいな映像が流れているだけで、ほとんど人がいないし、これは何だっけ?車の内装会社とのタイアップの家具かしらん、とか思いながら、とりあえずゆったりと腰掛けて、手持ちの水をごくごくやって、机に無造作に置かれていた美しいパンフレットを眺めて、使えそうな写真ページのある冊子を数冊いただくことに成功。

ちなみにですが、このフオリサローネとか、ベネチアのビエンナーレは、私の手作り品(主に小さなノート類)に使える紙ものをゲットする貴重なチャンスでもあるんです。去年はサローネもビエンナーレもダメだったから、紙ストックが枯渇しつつありまして、このアウディは、そのためだけでも大きな収穫でした。
ふふ、宣伝の冊子を見て、実は、その内容ではなくて、紙の厚さとか写真の大きさを、自分のノート用に使えるかどうか考えているとは、誰も思うまい、笑。

で、一休みできたので、入り口に戻ったら、ヤダ~、違うじゃん!本来見るべき展示はこっちじゃん~、と遅ればせながら気付いた次第。

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おおお~、なんかかっけー!
これね、布が浮いてるように貼ってあるんだけど、その下にセンサーがあるみたいで、軽く触ると、そこから模様が変わるようになってました。

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指でチョン、と押すと、こういう丸いのが生まれて、それが形を変えて流れていくみたいな。色も刻々変化して、きれいでした。
そして、この光の洪水状態の通路の先に、オーソドックスな展示が。

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すっごく高そうですっごくドイツ車っぽい銀のアウディがドカン!
もしかして自動運転車?と思いましたが、それはなかったです。ちゃんと普通にハンドルがあって、ダッシュボードがありました。でも電気車だったんだろうね、おそらく。
車はさ、高いとは言っても、普通にお金持ちなら買えるブツだからだと思うし、イタリア人は本当にクルマ好きだから、こういう展示って、多くの人が真剣に見るよね。運転席とか座らせてもらったりとか、まじ、買う目線で見てたりする。

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ま、私は買う予定ないけどね。
でも、きれいだったし、立ち寄ってみてよかった。フオリサローネは、やっぱり犬も歩けば、だなぁ。

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