2019年8月夏休み、フランス中部の旅、番外その1
この辺りで、番外編として、宿泊や食事のことをまとめてみようと思います。
この時の旅は、ちょっと変則旅でした。マイカーで回ったのですが、初日は在フランスの友人宅にお世話になり、翌日から本格的なサントル州での修行旅開始。
初日は、リヨンに寄ってから友人宅へ。リヨンでは、教会近くにあったマクドナルドでランチだったと思います。コロナ前は、今ほど、どこに行くにも、とりあえずおにぎり持参という習慣はなかったんですな、考えたら。
懐かしい友人宅の素敵なお庭。
昼をマクドナルドで過ごしたのは、もちろん素晴らしい夕食が期待されていたからで、思惑通りでした、笑。
フランスの辺境で、まさかの…。
ここで獺祭にお目にかかるとは、びっくりでした。
ああ、きりっと冷えた辛口の日本酒、早く賞味したいものだなぁ。
サントル州での一泊目はいわゆるモーテルです。この時も、ホテル探しは難航しました。
Hotel Inn Design Resto Novo Bourges
7 Avenue Robinson, Val d'Auron, Bourges
ブールジュの郊外で、道は迷いようがないという場所です。一泊だけなので、清潔で安ければいい、と思って予約したのですが、なんと事前に予約までしていた併設レストランが営業しておらず…。ブールジュの町は、クルマなら5分もかからない至近距離ですが、歩くには遠いし、クルマでは出たくないし、で、結局近所のスーパーで仕入れたものを、お部屋でいただきました。
ろくでもないスーパーだったんだけど、シードルがあったのは助かりました。マイカーの旅なのに、ミニマム装備で出かける私のこと、部屋食べの準備をちゃんとしてなくて、栓抜き持ってなかったんですが、シードルは、シャンパン系のコルク栓なので手で開けられるってわけです。助かった、というのも変だけど、わびしい部屋旅だもん、酒くらい、ふんだんに飲みたいよね。
色々とダサいホテルだったけど、朝食は6時半からと早いのが、さすがモーテル。一番だろうと思って食堂に行ったら、すでに三組くらいいたのでびっくりしました。それにしても、朝食付ではあるけれど、田舎町の郊外で、65.50ユーロは、安くはないと思います。
続いて宿泊したのは、ラ・シャトルという村です。
Hotel a Notre Dame
4 Place Notre Dame, La Chatre
ここは、見るからに分かる通り、旅籠と呼びたくなるような古いタイプのホテルでした。昔のような重いカギだし、ギシギシする廊下や階段が、何とも趣のある…。
裏にはお庭を見下ろすバルコニーまである、とても広いお部屋をくださったんで、二日連泊ということもあり、到着するなりじゃぶじゃぶと洗濯をしました。
ただ、朝ご飯が通常7時半、日によっては8時からという、これまた典型的な古いホテル時間なのが、修行旅には若干辛く、確か出発の朝は8時からの日だったので、遅すぎて断りました。
朝ご飯はコンチネンタルだけど、「何を食べますか」という、フランス語独習で何度もリスニングをしていた会話が超役に立ちました。前にもそういうことあったと記憶していますので、こういったホテル、まだまだあるのですねぇ。
食事は、初日は町のレストランに繰り出し、翌日は、ホテルのすぐ裏にあるスーパーでお惣菜を買って、部屋食べしました。
Auberge a L'Escargot
21 Rue de Beaufort, Le Chatre
お店の外観、かわいすぎますよね。この村は、全体がこんな様子でかわいいんですけど、フランスのこういう村の清潔感やかわいさって、本当にすごいと思います。そして、お食事も最高でした。25ユーロのメニューに、シャトーメイヤンのハーフボトル14ユーロ、しめて39ユーロなり。なんせ、前日がしょぼかったですし、初日もマクドナルドのランチだしね。
フランスでは、イタリアほど布のテーブルクロス使わないですよね。ここは、ホテル同様昔ながらのお店という雰囲気満載で、私なんて、テーブルクロスがあると嬉しくなっちゃう。
まずは突き出し。
なんだか忘れたけど、いかにもアミューズって感じです。美しい盛りつけ、そして食欲をそそる色合い。さすがおフランス、洗練されています。
前菜は、確かサラダと理解して頼んだと思うんだけど、肉類がどっさり…。サラダと思い込んでると肉とかハムとかやたら乗ってる系、フランスでは結構あって、ちょっと困るんだよな、野菜が食べたいのに。美味しかったけど。この辺り、後付けで知ったけど、内臓系を食す文化があって、これにも持つ系のハムが入っていたはず。好物ではないけど、普通に食べることはできるので、好き嫌いがほとんどなくてよかった。
でもさ、サラダと言ったら野菜だけでまとめてほしい、というのは本音だわ。
だって、メインがお肉になるわけだからさぁ。
これは牛のレバーのオレンジとはちみつのなんちゃら。美味しかったわ。
さらに…。
デザートもすごい盛り…。完食、食べすぎパターンでした、笑。
翌日は、疲労困憊で帰路に着いたので、ホテル裏のスーパーで食料を調達、ニンジンサラダとかハムやフランスパンにワインで、5ユーロと安上がりなうえ、それはそれで美味しくて、また大満足。
飢えてる時間と満腹時間の差が激しいけど、そういうメリハリも修行旅ならでは、笑。
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2023/06/30(金) 18:04:33 |
サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その29(ベリー)
次に訪ねた教会は、思いっきり旧市街の中にありまして、素直にナビのいうことを聞いていたら、あっという間に迷路のような旧市街のただなかに入ってしまってびっくりしました。
サン・マルセルSaint-Marcelのサン・マルセル教会Eglise Saint-Marcelです。
教会は地味で、印象も希薄なのは、自分の好みではなかったこと、そして何より、一日の終わりで、身も心もかなりへたっている状態で訪ねているからっていうのも大きいかもね。
解説で、「教会は、ロマネスクの時代からすでに多くの改築が行われてきた」と書いてあったのですが、確かに、ロマネスク的な印象がひどく薄くて、なんで来たんだっけ?という気持ちになるような、全体としてはそういう建築になってしまっているということです。
撮影した写真が、なんとなくそういう自分の気持ちを反映しているのか、とりとめもないので、簡単な解説に沿って、見ていきたいと思います。
「この元ベネディクト会修道院の教会は、発掘調査で明らかになり続けている古代都市アルゲントマグスで拷問を受けた殉教者マルセルとその仲間アナスターゼを讃えています。」
こういった知識は、ロマネスクには直接関係ないので、特に知る必要もないのですけど、地図を見ていたら、その時代のローマ劇場跡と、考古学博物館がありました。いわゆるガリアの時代に、定住があった場所なのですね。ローマって、本当にどこまでも行っていて、どこでもお風呂や水道橋や道や劇場を運び込んでいるのには、毎度感心します。
「鐘楼の下にある礼拝堂には宝物庫があり、ベリー地方唯一のオブジェである、殉教者たちの遺物が収められ、彼らの拷問のエピソードを物語るリムーザンのエナメルで作られた素晴らしい聖遺物箱が展示されています。他にも、13 世紀から 15 世紀にかけて作られた 5 つの貴重な聖遺物入れがあります。」
のっけに方に宝物庫の話が出てくるということは、推しなんでしょうね。確かに、上で言及しているリモージュのやつ、立派です。13世紀のもののようです。
かなり長々と解説もあったので、とても重要なものなのだと思います。保存状態も、超良好ですよね。
「屋根の斜面のように、2 つの面は四つ葉で装飾されたシャンプルブ エナメルの帯によって 6 つの等しい区画に分割されています。各区画の中央には、エナメルで装飾され、葉で飾られた金メッキの銅製の人物が置かれています。各コンパートメントの隅には、花の形に彫られた飾り釘(宝石の成形に人工的な厚みを与えるための金属) があります。
メインの面では、浮き彫りになっており、高い位置の中央に荘厳のキリストが描かれています。下には、聖母子。手に本を持った四人の使徒に囲まれている。小さな部分には、6人の使徒がおり、頭部だけが表されている。」
「彼らの体は、底部のエナメルの上に置かれて彫られている。
タンパン部分には、壁と同じ金メッキと刻印を施した銅の背景に映える 2 つの重ねられたメダリオンがあり、その背景には翼を広げ頭を持つ天使が描かれています。」
私の好みは、こっちの木製の聖遺物入れでした。13世紀の終わりとも、14世紀始めともいわれているようですが、木製らしい素朴な様子が愛らしい。っていうのも変ですが。
「オークの一枚のブロックで作られており彫刻と塗装が施された。その片面には三つ葉のアーチの下に、台に載せられて拷問を受けるサン=マルセルが、もう片面には、ビザンチンの影響も感じられる装飾。」
アイらしいなんて言ったら、怒られるよね、笑。真剣に拷問されているマルセルさん。でもきっと、神秘の力で、痛かったりしないはず。そういう顔してるもんね。背景には花が飛び散ってるし、殉教→聖人コースへのプレリュード的なイメージなのかな。
反対側を見ていないのは痛恨。見られない展示だったかもしれないけど。
「単身廊の教会は、小後陣をもつ翼廊、かなり装飾された中央後陣を備えた内陣があり、南翼廊とその小後陣の下にクリプタ (石の彫り物等の保管所) もあります。」
「教会の南側小後陣の下に置かれたこのクリプタは、この大きなモニュメントの中の原始的な小さな聖域として、以前から存在していました。260 年頃にこの場所で殉教した若いローマ人のMarcellusの墓を収容するために建てられました。それ自体の前に 1 つまたは複数の連続した施設があった可能性があります。しかし、現時点ではこの仮説を裏付ける物質的要素はありません。」
「その中には、最初の柱間の左壁に固定された、おそらくカロリング朝起源の彫刻された石が含まれており、伝統では聖マルセルの墓のものであると指定されています。これらはおそらく聖遺物を供える祭壇の支柱として使用されたと考えられます。」
「大勢でやって来た巡礼者たちは、かつての修道院の礼拝堂の中庭にある地下室の外壁に開けられた小さな窓を通して、これらの聖遺物箱を見ることができました。このクリプタは、長年ワインのカーブとして使用されてきたが、1870年に教会に返還されたもの。」
「内陣に、素朴な聖職者席の跳ね板についている腰支えと身廊に向かって修道僧用のスペースを区切っている内陣仕切りを備えた、ゴシック様式が色濃く残る聖職者席(16世紀初頭)の繊細な装飾を喜んで見るでしょう。宗教者専用の内陣は三方を閉じられており、その内側には繊細で多様な彫刻が施された 31 の聖職者用の椅子があります。」
この辺りは、ほとんどちゃんと見ることもなく写真も撮っておらず…。この聖職者の椅子も、推しみたいですね。でも、この手のものは、ロマネスクよりは後の時代になりますよね、おそらく…。ということで、なかなか目に入りづらく、つい見逃します。
「音響効果は、長さ 22 cm の円筒形のテラコッタ製の陶器によって確保されており、狭くて丸いそれが身廊の壁に不規則に現れ、宗教的な聖歌の共鳴を良くするために挿入されています。」
というのも、ちょっと興味深い解説ですが、本堂内部での撮影枚数も少なくて、確かめることはできなかったです。どういう形で置かれているのか、皆目見当もつきませんが、今後、内部で唐突にテラコッタの何かが壁とか柱にあったら、音響のための仕掛け、と思うように記憶が残るとよいのですが。
さて、内部には、柱頭の彫り物などもあったのですが、これと言って心惹かれるものはなかったので、かなりそそくさと出てしまったと思います。
この教会で、装飾的に面白いのは、おそらくファサードの扉装飾ではないでしょうか。
ぱっと見、まったく面白みのない様子ですが、解説で、以下のようにある最後の文なんですけど。
「建物の外側では、3 つの後陣の美しい効果、屋根板で覆われた鐘楼のシルエット、東洋の織物からインスピレーションを得たベジエールへの放射状の石の彫り物装飾がある西側の扉に注目してください。」
この、アーキボルトです。東洋の織物からのインスピレーションっていうのは、かなり興味深く、どういった経緯で、出会いがあったのかと思うと、妄想の種ですよね、笑。
形としては、似たようなタイプがあったと思い、過去記事見ると、サン・ゴールティエでした。つい先日書いたばかりなのに、すでに忘却のバリバリ彼方で、自分の記憶力、怖くなります、笑。
サン・ゴールティエは、しかしここまで装飾的ではなく、何に、彫り物装飾をした四角い石を放射状に並べる、というやり方が共通するだけでした。
動物だったり、組紐だったり、つる草、太陽なのか花なのかモチーフ、どうも、東洋というよりも、西洋の古いアイテムが多いようにも感じられます。
あちこちで見るアイテムが勢ぞろいって感じ。
石工さんのブックっていうのかな。発注者と打ち合わせて、何をどう彫るみたいなときに使ったとされる見本帳みたいな、まるでそういう感じ。
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2023/06/29(木) 18:58:35 |
サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その28(ベリー)
次に訪ねたのも、すぐ近くの村ですが、ここも目的の教会の正確な場所が不明だったので、メリーで確認しました。
今では多くの宗教施設も、当事者や、親切だったりマメだったりする非当事者のおかげで、グーグルに所在が登録されているケースも増えていて、実際、今検索すると登録されていますけど、ほんの4年前にはなかったんですよねぇ。
フランスの場合は、町村の名前だけをナビに入れると、大抵は役場、メリーに案内されますね。イタリアだと、町村の教会になることが多いように思います。フランスは、感覚にすぎませんが、役場のある市町村の規模がかなり小さいようにも感じます。どうなんだろう?
実際に、かなり小さい村でも、必ずメリーがありますね。イタリアは、もうちょっと集約されちゃっている印象です。
で、メリーの場所からはかなり分かりやすい道だったので、教えてもらった通りですいすいたどり着いたのですが…。
フォンゴンボーFontgombaultのノートル・ダム修道院Abbaye Notre-Dame で(毎日8時半-13時/13時45分-19時15分)。
たたずまい、ガチの修道院です。地図を見ても、往時は絶対にこの修道院しかなかったの間違いない様子です。
右下の方が村となりますが、ほとんど街道に沿って家が立ち並んでいるだけの村です。
そのはずれに、かなり広大な土地を、今でも所有してそうな修道院となっています。修道院教会のところまで、クルマで入れるんですが、川向うにもチャペルがあったりするようで、今更、散策できたのか?と気付いているところ。遅いって。
で、まずは教会をのぞいたんですが。
なんかね、看板に偽りあり?
晩課のミサ、夏は木曜15時45分と書いてあるようですが、この日は火曜日だったのに、ミサに大当たりしちゃったんです。写真に残る記録では、この教会ファサードに着いたのが15時47分だったようですよ、笑。
見事に合わせちゃったよと。
勿論、到着早々は気付いていないので、入りまして、そしたら、修道僧たちが続々と席に着くようなタイミング、まさに開始!ってな状況でして…。しばらく静かに立って見ていたんですが、これはがちがちの長いやつなのが明らかだったので、退出することとしました。
その際、ちょっと驚かされたのが、下の人。
赤ちゃんがぐずったかなんかでしょうか、乳母車を押してでたかと思うと、お母さんだけ、すぐに戻ってきたんです…!
確かに平和な環境ですけども、そこまで信心を取るとは…。
簡単な解説をば。
「クルーズ川のほとりにある、この地域で最も印象的なロマネスク遺構の一つは、ゴンボーの隠遁所の前にあり、まさにそのゴンボーの名前は、もともと泉の近くにあった先史時代の洞窟の場所を呼ぶものであったのが、「ゴンボーの前」という意味のFontgombaultという名前となったのだ。
ピエール・デトワールは、11 世紀の終わりに隠者たちのコロニーを対岸に移し、今日私たちが目にする修道院を設立した。
教会は、記念碑的な内陣を持ち、それらは、周囲を取り巻く礼拝堂を持つ周歩廊によって囲まれている。大きく突き出し、東側の礼拝堂によって長くなっている翼廊。8柱間を持つ身廊、最も広い最初の柱間はサントンジュ風の豊かな装飾を持つファサードを支える形となっている。
たっぷりとした光が建物を照らし、できれば午前中、または午後の終わりにアンリ・ゲランによる大きなガラス屋根の光の効果を鑑賞すべき。」
などとなっています。
今はベネディクト派の修道僧が、グレゴリオ聖歌などをうたうミサを行っているようで、この時も僧がずらりだったから、聖歌の披露があったのかもしれず、それで、ミサの参加者も多かったのかもね。
グレゴリオ聖歌、嫌いじゃないですが、そのために1時間ミサに参加するのは、ちょっと辛いです。ただ、かなり荘厳で立派な内装だったので、ステンドグラスはともかくとして、柱頭や内陣の装飾は、何かしらあったのではないかと思われ、近付くことすらできなかったのは、残念でした。
解説では、今回はサントンジュが出て来ました。
やはりこの地域は、西側からの影響が大きいようですね。サントンジュ様式は、若干装飾過多気味な印象のあるスタイルですが、イタリアでいえばピサ様式にも通じる、装飾の中に潜むエッセンシャルなスタイルというのがあるタイプで、数を見ると、結構好きになる人は好きになるんじゃなかろうか、と思いますが、さて、どうでしょうか。
ここでは、ファサード全体というより、メインの扉周りの装飾に関してだと思います。
確かに華やかというのか、技巧的な装飾満載って様子です。
どこかでもあった、かまぼこが並んだアーキボルト、ここでは乱れかまぼことでもいうのでしょうか。大きさもいくつかあり、並び方も乱れを楽しむみたいな?でも、これは、どうも、なんでって印象しか持ちにくいな、今のところ。
一番内側の葉っぱモチーフですかね、これは一転して細やかですごいです。
左右に並ぶ柱頭部分も、なかなか気合の入った彫り物がなされていますし、柱お間も、基本植物系ですかね、これでもか状態の技巧見せまくりという様子で、確かにサントンジュだわ。
それにしても、可愛さゼロのガチ勝負、という技巧派で、個人的には好みではありません。でも、がんばっとるなぁ、とは思うやつかな。
この付け根で見ると、ほほぉ、と思うのが、乱れかまぼこ。
ただ、円筒形をつなげているアーキボルト、何かしたいと思っちゃったのかなっていう様子にも見えますよね。努力は認める、笑。ただ、あまり成功してない。ごめん。
これら側柱、足元忘れずにね。
一瞬、カエルげろっぴみたいな様子なんだけど、多分頭部の取れちゃったライオンだよね?足の様子から言って、普通なら、玄関ポーチみたいなところの柱、せいぜい両脇二本の支え部分に着けるやつ。側柱前部にげろっぴはすごいです。初めて見ました。
両脇だから、8頭もいるんですよ、お迎えライオンが。
これ、完璧に残っていたら、それだけで好きになっちゃうやつかもねぇ。残念!
フィギュア系の彫り物もあるのですが、とにかくかわいさとは対極。
後ろの方のは、北斎漫画の幽霊的な様子で、味わいはありますけども、笑。
あ、これまで考えたことなかったけど、ロマネスクのいろんな怪物系フィギュア、北斎好きそうですねぇ。江戸時代には、西洋中世美術の情報なんて、なかったでしょうけれども。
こんな、うろこ模様っていうのも、もしかしたらサントンジュ風なのかしらん。
敷地の中を、ちょっとはブラっとして、修道院の建物立派なのが分かりましたが、教会の裏の方とか、立ち入りはできなかったようです。後陣の方、どうなっているのか不明。
一角に小さな礼拝堂なども。
おそらく、サン・ベノワ礼拝堂Chapelle Saint-Benoit。
ミサにぞろぞろ出てきた皆さんが、ここで修行されているのかどうかは不明ですが、現役の修道院であることは確かなので、こんな礼拝堂も実際に使われているのだと思います。扉は開放されていて、新しいんだか古いんだかも不明ながら、清々しい空間でした。
回廊もあるようでしたが、アクセスはできませんでした。まさに現役で使用されているのでしょう。
多くを見ることはできませんでしたが、修道院の雰囲気は味わえますし、観光地化されていないのは、なかなか良いものかもね。
それにしても、フォンゴンボーって、名前はともかくとして、何なの、スペリング!って、久しぶりにフラ語に突っ込みたくなる名前ですね。
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2023/06/28(水) 18:31:21 |
サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その27(ベリー)
リュフェックから、さらに西に進んで、次の目的地へ。しかし、なぜかナビが町名を受け付けてくれず、仕方なく、その先の町を入れて、町の方向に進むことにしました。修行旅では、今ではスマホの地図を使うことも増えましたが、なんせ紙の地図から始めた世代なもので、ナビが動かないと、まず紙の地図に頼る癖がついています。新しい世代の方々は、おそらくまずスマホなんでしょうね。
しかし、目的の町はそこそこ大きくて、なぜナビが受け付けてくれなかったのかさらに不思議になりました。
目に付いた駐車場に適当に停めたところ、結構楽に教会にはアクセスできました。
ル・ブランLe-Blancのサン・ジェニトゥール教会Eglise Saint-Genitourです(毎日8時-18時45分)。
久しぶりに入れる教会でしたが、見るからに好物ではなさそうな様子に、なかなか気持ちが上がらない午後って感じです、笑。
解説は以下となっています。
「善き聖者(ジェニトゥールとその兄弟たち、彼らが洗礼を受けたトゥールのサン・マルタンの時代の殉教者)の伝説は今でもル・ブランの町とその宗教的建造物に浸透しており、サン・ジェニトゥールにはロマネスク様式の内陣が残っています。平らな後陣、葉のある柱頭や素晴らしい動物寓話で飾られた柱頭があります。」
この辺が、内陣に残っている装飾となるようですね。
これなどは、一部再建疑惑も感じられますね、副柱頭部分とか。
それなりに技術のある方が彫ったようには感じられるものの、何だろう、全体の様子から、あまり楽しめなったです。
なかなか良いじゃないですか。
でも、本堂の様子はこういう感じで。
見るからに、これダメじゃん~カテゴリーで、そしてここに到着するまでに、すでに結構やられてますから、テンションだだ下がりなわけで、この程度では浮上できないっていうところでしょうか。
ここらで、お尻探偵くらいにインパクトのあるやつがいたら、上の彫り物なども、三角ギザギザが嬉しいくらいにテンション上がるんだけどもねぇ。足りない。
というわけで、見学は秒速で終了。
しかし、このそそられない扉口で、ちょっと面白いものが。
木彫りですけど、そして時代は分かりませんが、かわいらしいものでした。
こちらもまた裏側に回ってみたものの、高い塀でした。
いずれにしても、ここも後陣は平らなタイプのようです。
塔があって…。
軒持ち送りに、ヒトや動物の頭部のフィギュアがずらり…。え?なんかすごいデジャヴ感が…。
うんうん、デジャヴ満載。
この地域は、ちょっと残念な、というより、自分の選択がよくなかったんだな。ただ、実際に行ってみないことには分からないので、それはそれ。次回があれば、この辺はすっ飛ばすことにしましょう。
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2023/06/27(火) 16:23:47 |
サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その26(ベリー)
機嫌の悪いじいさんから逃れるように西に向かい、つぎの目的地を探します。
村へはすぐ到着したものの、場所が分かりにくかったようです。具体的な記憶はないのだけど、おそらくしばしうろうろしたはず。
リュフェック・ル・シャトーRuffec-le-Chateauの修道院教会Eglise du prieure です(正確にどこだか覚えてないのですが、トイレがあった模様)。
なんか、この写真が物語っているのではないかと思います。私のやる気のなさみたいなものを…。だって、この写真、まるでグーグルのストリートビューをお借りした写真みたいに、画角はいい加減だし、焦点がないし、記録のためだけの撮影、の例じゃないですか、笑?
実際に訪ねた時も、本当にこれ?疑惑に包まれていたし、今、ネットで色々見ていても、何かしら疑惑が出て来ます。それによる、やる気のない撮影というわけなんですけども。
グーグルの登録は、Abbaye Notre-Dame-de-Compassionとかなってるし、でも写真は同じだから、これなんだろうけど、なぜ、違う名前で登録されているのか謎だし、ベリーで発行している冊子の解説も、分かりにくいっていうか、前提なしに歴史的な記録書かれても…、って感じなんですよねぇ。
ちなみに、こんな感じで書かれています。
「リモージュの聖マルティアル大修道院に属す、聖アルピニアン修道院は、その独創性と建築の質の高さから、ベリー内で最も優れたロマネスク様式の建物の 1 つです。しかしながら、それは全く知られていません、というのも、最近になって全面的に修復が完了したばかりだからです。」
”修道院教会”とかすごく漠然とした名称しか挙げてないくせに、いきなりアルピニアンとかマルティアルとか…。
でも、これがそうだというのは、上の写真のファサード部分にはめ込まれたアーキトレーブの浮彫で、間違いないと分かるんですけど、どうも全体に、疑惑というか、すっきりしない存在感です。
ファサードは、扉は一つですが、両脇にブラインドアーチとなっていて、向かって左側、扉があればタンパンの位置に、掲げられています。
「ファサードは、受難の場面の浮彫が施されたアーキトレーブによって装飾されています。ピラトの前のキリスト、磔、そして降架。
これは、11世紀の教会にあったアーキトレーブが、再建された12世紀のポワトー風の建物で再利用されたもの。」
解説ではこうなっております。
言われれば、なるほどね、と思えますけど、かなり溶けちゃっていて、解説がないと、磔刑くらいしか確信をもって分からない感じ。あ、真ん中は降架ですかね。
よーく見ると、左の方で、キリストの光背ですかね。やけにしっかりと残っているのが分かります。
光背のさらに左側の、槍とかそういったものですかね、それらも、割と残り方がよいのですが、人物は溶けちゃってます。
そして、再利用ということで、左右は、サイズがぴったりしてなくて、一部隠れている様子ですね。隠れている部分だけが、辛うじて保存されたということなのかな。残念です。ただ、これは、破壊されたというより風雨にさらされたという時間による劣化と思われるので、仕方ないこと。
修道院と考えられる部分もすっかり再建されているということは、現役なのかしら?
でも、教会の扉は固く閉まっておりました。
裏側にも回ってみました。
愛想のない塀が続き、何も見えませんでした。
後陣は、平らなスタイルになっているようですから、見えたところで面白みはなかったと思いますけれど。
鐘楼の三角屋根の下の部分には、ちょっと面白そうな軒持ち送りが並んでいたようですが、望遠の写真でも、判別ができないレベルなので、肉眼では全く見えてなかったです。人や動物の頭部がずらりっていう様子です。
入ろうという努力は一切せずに、すごすごと見学終了したのは、前回のおじいさんからの疲れと、一日の疲れ、うまくいかない疲れが出てきた結果と思います。
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2023/06/25(日) 15:09:31 |
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2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その25(ベリー)
次に訪ねた教会では、ちょっと強烈な出会いがありました。ネガティブ方向なのが残念ですが。
シロンCironのサン・ジョージ教会Eglise Saint-Georgesです。
今はグーグルにも場所が特定されていますが、当時は不明だったので、まず村を目指し、メリーで、場所の確認とオープンしているかどうか、確認したんです。事前の調べでは、毎日午後に開いているとなっていたんですけどね。役場の人は、開いてますよ、と断言して、道も教えてくださったので、分かりにくかったけど、何とかたどり着きました。が、思いっきり閉まっておりました。
教会は住宅街にすっぽりとはまっている様子で、後陣側へのアクセスも不可。見学できるのは、この、いかにも地味なファサードのみとなります。
アーキボルトがとんがっちゃったりしていて、色々時代も混ざっているような雰囲気もある中で、扉口周りの柱頭は、古そうなものでした。
ここにもつがいの鳥がいますね。おそらく角っこに水のカップがあったんじゃないでしょうか。
向かって左の、カエルの卵みたいなやつは、何だったですかね。割と最近、どこかで説明を聞いて、あ、そうなんだ、と思った図像なんだけどな。
右側は、植物特化ですが、これまた、全体に品があって、古そうな彫り物たちです。
解説によれば、内部に、二つほど良い柱頭があるらしく、それらを見ることがかなえば、わざわざ行く甲斐もあるのでしょうが、このファサードだけでは、ちょっと寂しいです。
実は、このシロンには、Lanterne des mortsという12世紀のモニュメントがあるんです。直訳すると「死者のランタン」? きっと、お墓関連のモニュメントなんじゃないかと思いますが、時代的にも、見るべきアイテムでした。
それも、教会からは100メートル程度しか離れていないし、役場から教会に向かう途中、目にして、帰りに立ち寄ろう、くらいに思ったんですよ。
しかしながら、教会のところでの経験で、そういうことも吹っ飛んじゃって、早々にシロンから退散してしまったんですよねぇ。
教会前のベンチで、覚書を書いていたところ、女性が、教会脇にある豪邸の鉄扉を開けようとしていたんです。何か分かるかも、と思い、だれか鍵を持っている人を知らないか尋ねたら、「ここのムッシューよ、一緒に来る?」と…。
彼女は、どうやらお手伝いさんのようだったんですが、なんという幸運!
いいんですか~とへらへらと一緒に鉄扉をくぐりました。
ちょっと待っててね、と彼女は一人で家の中に入っていき、私はしばらく豪邸のお庭でゆったりした気分でいたのですが、なんか、激しい言い争いの声が聞こえてきて…。それから、バタバタという感じで、おじいさんが外に出てきたんですが、全体から怒りのオーラが湧き上がっているんですよ…、ヒェー。
「役場に聞いたら開いてるって言われたんだけど、開いてないので…」などもごもごと話しかけると、さらにピリピリしていて、身体が大儀そうなのに、杖を突きながら、よろよろと歩いて教会に行こうとしている様子なんですよ。
鍵をお借りすることが、それほどの大事だとは思いもよらず、お手伝いさんの女性にも悪いことをしてしまったし、このおじいさんも、何か意地で教会を開けようとしているような感じで、とても見ていられず、「もういいですので、教会はいらないですから、鍵いいですから」と懇願しました。
脳溢血起こされたり、転んで怪我でもされたら大変なことになりますし、なんかそのくらいのことが起こっても不思議じゃないような様子だったんです…。
「やった~ラッキ~」から急激にダウンした気持ちで、だから逃げるようにこの村を後にしたんでした。
でもさ、そんなことがあると、風景がよみがえってきます。この教会、こんな地味なのに、忘れられないもんね、笑。
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2023/06/22(木) 18:08:45 |
サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その24(ベリー)
ここからこの一日の終わりまで、苦難が続きます。内容は色々なんですが、基本楽しくはないことの連続。こういった修行的な旅をしているとありがちではありますが、あまり続くと心が折れそうにはなります。当時のメモをみて、そんな午後でしたねぇ…、としみじみ。
というわけで、さらりと簡潔にまとめてみたいと思います。
前回のサン・ゴールティエから西に向かってすぐ。
リヴァレンヌRiverennesのサン・ドニ教会Eglise Saint-Denisです(毎日オープンとなっていたが…)。
美しい小さな村の旧市街に、淡々とした様子で建っているたたずまいが、良い意味でフランス的っていうか、村の様子から何から、清潔で美しいなっていうタイプの教会。
教会のすぐそばにメリー(役場)があって、カフェがあって、あとは住宅、みたいな様子で、中心部は、上の写真で完結しているような、そんな村。
教会は、閉まっていました。
事前に調べたところでは。毎日開いているとあり、トイレをお借りした最寄りのカフェで尋ねても、やはり、毎日開いているから、鍵のことは分からないと言われるし、すぐ近くにあるメリーにも行ってみましたが、お休みの上に、オープン時間などの表示もなく、まさに取りつく島なし、状態でした。
ひょっとすると、自分の開け方が間違っていて、開かなかった疑惑もあります…。
イタリアは、閉まっている場合は閉まっていることが多くて、逆に、開いているときは割と半開きだったり、いい加減に開くことが多いのですが、フランスって、鍵がかかってなくても、かなりきちんと閉まっていることが多いのです。いい加減な開閉具合のイタリアになれていると、そうやってきちんと閉まっている状態を見て反射的に開いてないと思うことも多いくらいの差があります。
それに気付いてからは、力任せに押したり、ガタガタさせたり、取っ手をあっちこち引っ張ったり、できることはやるようになったんですが…。
ただ、先日スイスに行ったとき、見た感じとても単純な鉄扉を開けるのにてこづって、あ、私はもしかしたら大きな見逃しを沢山してきているのかもしれない、と思ってしまいました…。扉は、もうちょっといい加減な閉め具合でいてほしい…、笑。
外側に、どかどかした装飾はないですが、小ぶりな装飾的彫り物に、好みのものがいくつかありましたので、入れないながら、ちょっとは楽しめたのが救いです。というより、この後の行程で、色々悪化していくので、これはまさにプレリュード…、涙。
牛はともかく、角っこで一体化するライオンちゃんの、草食獣的なおどおど表情、そして、何ともデザイン的なお尻尾の先っぽ、この石工さん、なぜ私の好みを分かっているの?って、笑。
同じ開口部の装飾ですが、お顔、何だろうね?ロボ的な。そして、鳥が仲良く水飲み図像、この辺り多いのかな。
横っちょの方は、ゴシックになっちゃっていますね。
夢見る乙女。鼻筋がすごいんじゃ。目の引っ込み具合も。
さっきのロボ的な様子の人は、実はロバだったのかな。これは、つぶらな瞳が愛らしいロバに見えますよね。それにしても、ヒトは、土地に応じて、顔の造作や身体つきが結構変化していったのに、動物ってどこでも一緒な感じ、どうしてなんだろう?
象とかライオンとか、特定の土地にしか生息していない動物は納得するけど、何だろう、馬とか?あ、でも馬も道産子だったり、土地固有種がいるから、そういうことなのかなぁ。どの種も、それぞれの土地限定だったりするんでしょうか。
疑惑の扉、笑。
最後にちょっとだけ解説から。
「11世紀の初め、Rirevennes教区は、Lesterps(Charente Limousine)の参事会教会を立ち上げた。封建戦争の真っ最中に、Chabanaisの王子Jourdain IIが、当時Gautierの参事会員によって管轄されていたその教会を燃やした。その損害を取り戻すために、Lesterpの参事会に、ベリーに所有する土地、二つの教会を寄進した。そのうちの一つが、このサン・ドニ教会であり、もう一つは、Creuse川のほとりにあるサンティレール教会、Saint-Hilair。」
ここでも解説は、由来や建築にかかわること中心。それも妄想の糧にはなるんですが、もうちょっと装飾的なアイテムへの言及、欲しいです。
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2023/06/21(水) 18:09:25 |
サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その23(ベリー)
サン・ゴールティエSaint-Gaultierのサン・ゴールティエ教会Eglise Saint-Gaultier、続きです(毎日10時-19時)。
教会は高台ではありますが、川のほとりといった立地で、このような美しい景色を見下ろせます。柳がさらさらしていて、うっとりするような眺めでした。
この前の場所で、手持ちのものでランチを済ませていたのが、ちょっと残念でしたね。
入場します。
現地に図面などは置かれていなかったですが、一後陣ながら、両脇にほっそりした側廊を持つ三身廊スタイル。ポワティエ風という解説がありましたけれど、それは例えば、上の中央身廊に、直接外光が入らないこととか、内陣部分に二本組の円柱が見られることだったりするようです。
どうも、この辺りの教会に関しては、建築に関する記述は多めに見つかる傾向がありますが、装飾に関しては、なかなかスルーされてしまいますね。実はここ、柱頭などの彫り物が楽しいんですが、現地にはそのあたりの解説は全くなかったんですよね。
例によって、システマティックに撮影するタイプではないので、順不同な感じで上げていきますが、これは内陣手前の方にいた方ですね。
かわいらしいですね。お顔が、まるで生まれたてのヒナのような…。頭部は鳥で身体は四つ足だからキメラなんでしょうけど、怪物めいた様子ゼロ。それも、もう一つの角っこの子と、ハイタッチしてます。
図像としては、かなり正統派グリーンマンでしょうか。でも、お顔の様子が独特だし、頭にはひゅっと、なんですか?モヒカン?右の柱頭は、植物モチーフと思いますけど、整然と並んでいる様子が、左の奔放にぐるぐるしているつる草と対比になっているのも面白いです。
髭を蓄えて、おなかでっぷりのおっさんに見えますけど、植物にとらわれているのか、またはつかんでいるのは蛇だったりしますか?何だろう。
これも、つかんでる系ですが、こちらはもしかするとトンスラ頭でしょうか。落としは若め。
多分この方と並ぶようにして、もうお一方。
この人のお醤油顔度、高くないですか?いますよね、こういう顔の日本人。
それにしても、それぞれの人物の様子が、かなりリアル入っているのに、つる草とかの構図からは古さも感じられて、時代がハイブリッドしてるっていうか、キメラになっているっていうか、ちょっと不思議です。
あと、こんな感じの、時代を超えた明らかなヘタウマみたいのもあったりします。
これは古いっていうより、石工さんの技術レベルの話かと思いますけど、どうなんでしょう。
柱頭も面白かったのですが、実は一番印象的だったのが、他にあります。
柱の根元だったりに置かれている彫り物がいくつかありまして、それがもう、なんていうか。
この子は、ちょっと不気味さが勝ってますが、見方によっては、かわいらしさみたいなものもあったり、不思議なフィギュア。
でも、これなんかはどうですか。
たまげました。あまりの独創性っていうか、インパクトがね、すごいんです。
瞬時にイメージしたのが、お尻探偵でしたかね。子供が好きな絵本だと思うんですが、読んだことないんですが、ネーミングからのイメージとしては、こういう人じゃないかと、笑。
これ、結構高い位置にあるのですが、有難いことに、入り口付近に階段があり、合唱席部分に上がることが出来たんです。
下の、赤い部分に登れて、緑の場所、ヴォルトのリブっていうんですかね、その根元の装飾として、お尻探偵が数人いるんですよ。
斬新じゃないですか、この左側の人なんかも。
形になっていないやつらもいます。
装飾として、唐突な置かれ方だし、デフォルメっていうのか、なんでおしりになっているのか、あの手は何なのか。
謎が尽きない彫り物ですよねぇ。改めて見ても、衝撃的です。
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2023/06/19(月) 18:39:26 |
サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その22(ベリー)
次に訪ねたのは、やはり昼休みがなさそうだったこちらです。
サン・ゴールティエSaint-Gaultierのサン・ゴールティエ教会Eglise Saint-Gaultierです(毎日10時-19時)。
現場にあった解説を読んでいたら、「ポワティエ風」というのが出てきて、いや、手持ちの小さいには載っていないし、そういう単語って、ネット翻訳しても、なんかわからなかっりするんだけど、多分そうだと思うんですが、またまた地図を確認。
ほぼ真西に約90キロ。徒歩なら18時間なので、笑、結構近かった。このポワティエ辺りは、コロナなかりせば、この翌年に再訪を目論んでいたことは、以前にも書いたと思いますが、近いんですよね。
このサントル州って、今でこそ行政区で色々分割されてしまっているけれど、文化圏的には四方それぞれに周辺につながっているっていう感じがありますね。ポワティエのあたりには、そういえば結構フレスコ画沢山あるわけですから、サントル地域にフレスコ画が多いのも、そことつながっていると考えると、全体としての大きな文化圏となるのかもね。
修行旅の時は、どうしても訪問地を州などで区切らざるを得ないので、全体がつながりにくくて、難しいところですが、時間の制限がなければ、そういうつながりを求めて、気持ちの赴くままに移動する旅など、してみたいものです…。
上の地図で、ちょうど中間あたりにあるサン・サヴァンとか、その下にあるモンモリヨンなどのフレスコ画は、また拝みに行きたいものですが、さて、いつになることやら…。
さて話をサン・ゴールティエに戻しまして、この教会、解説はやはり全体の建築に関する言及が多かったのですが、ざっくりとした歴史は以下となるようです。
「1060年ごろ、Confolens(注:106キロ南西方面、徒歩21時間の距離)にあるLesterps修道院の修道院長ゴールティエが、Revarennes教区にある、Saint-Hilaireと呼ばれる場所に修道院を立てることを、四人のアウグスティヌス派の僧に指示した。教会と修道院は、ともに発展した。そして、その二つの建物の周囲に、サン・ゴールティエの名前を冠した村が発展した。
教会の身廊の建築は、11世紀の終わりに始まり、翼廊や内陣は、12世紀に完成した。
教会のその後の発展については、19世紀にいたるまであまり分かっていないのだが、19世紀には数多くの変更が、建物にも、そして周囲の環境にもなされた。
20世紀に入り、大きな手が入り、多くの部分が再建されるなどされる。
1998/2002に、教会周囲の余計なものの破壊及び再建、外壁のやり直し、ステンドガラスの保護、躯体の補強、鐘楼の屋根などを修理することで、良い保存が可能となり、これらの宗教施設の美しさの再評価へとつながった。」
どうやら、近代にいたるまで、かなりの改築などが行われてしまい、今世紀初頭に実施された最終的な改築で、ずいぶんと中世の趣が取り戻された様子です。それにしても、最終的な工事が2002年って、なかなか最近の話。ちょっとした執念ですね。
扉口から見ていきましょう。
一見地味よく見ても地味ではあるのですが、それなりに装飾があるんです。
「タンパンなしの扉口は柱頭及び副柱頭を抱く円柱によって囲まれ、アラベスクモチーフとつる草モチーフのアーキボルトの下に置かれている」とあります。
独創的なモチーフですよね。装飾性に特化したモチーフを、淡々と並べています。
柱頭は右側は相当傷んでいますし、左側のは再建くさかったです。下は右側です。
後陣。
一部漆喰ぬりぬりですが、開口部のあるところは石になっていて、開口部の上部アーチが、ファサードの扉のアーキボルトと同じみたいですね。
なんですかね、このかまぼこが並んでいるみたいなアーチ。どっかで見たような気がしないでもないけど、結構独特。仕事としては、それなりに手間暇がかかりそうな細工だと思うんですが、その割には、言っちゃなんだけど、個人的にはあまりピンと来ないっていうのが本音。これなら、市松モチーフの方が圧倒的に好みだなぁ。
上の方には、軒持ち送りとか柱頭に彫り物があります。
後陣にある彫り物の保存状態は、なかなかよろしいですね。久しぶりのヨーダ系というか、シュレック系というか、それにしても、巨大な舌すごくて、明らかに怪物系なのに、お隣は、しれっと普通の動物ってのが、面白いもんですよね。
それも、怪物系は、どや顔で、(多分)自慢の舌をべろんと誇示しているのに対して、お隣さんは、ちょっと恥ずかし気に見て見ぬふりしてる様子で、この場所、ちょっと居心地悪いわ、オレ、っていうか…、笑。
結構背が高くて、現場では細かい部分が見えてなかったりするから、こういった彫り物は、後日写真を見直すと、楽しくて、つい妄想ががね。
それにしても、、解説に言及されている柱頭が見当たらないな、と思い、探したところ、他をメインで撮影した写真に、ちょっと写り込んでいました。
上の方に、竪琴を弾いているロバの音楽家、右下に、カップから水を飲む鳥の柱頭。
ロバの方は、現場では、おそらくちゃんと見えてなかったんだと思います。好きなモチーフなのに、ちゃんと撮れてないのは残念。
今は時計塔を兼ねている鐘楼にも、軒持ち送りずらりですが、これはもっと高いから、肉眼で識別はできません。
これは、ファサードの上の方で、三角屋根の縁取りは、市松模様になっていました。細かい仕事をしていますよね。
それにしても、軒持ち送りの方、怖いんですけど。
続きます。
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2023/06/17(土) 09:50:22 |
サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その21(ベリー)
メオベックMeobecqのサン・ピエール修道院教会Ancienne Eglise Abbatiale Saint-Pierre、続きです(毎日8時-18時)。
前回はフレスコ画を見ていきましたが、柱頭にも良いものがあります。
いずれにしろ、内陣部分の装飾になるのですが、解説には、「見事なコリント様式の柱頭は、サン・ブノワの塔のポーチで働いていた工房の作品」とありました。これかどうかは分かりませんが、伝統的なアーカンサスモチーフなので、この辺りのことだと思います。
サン・ブノワは、Saint-Benoit-sur-Loireのことだと思いますが、この後で訪ねましたので、ずっと先に記事にまとめます。とても素晴らしい浮彫が多数ある教会で、まさに、解説で言及されている塔のポーチは、ファサード前にある塔と一体化したポーチなのですが、そこは圧巻なんです。卓越した技術の職人さんが沢山働いていた現場と思いますが、そういう一人が、いや、複数かもしれませんが、ここに来ていたということなんですねぇ。
地図を確認したところ、思ったよりは近い!
クルマなら2時間ほどの道のり、徒歩だと156キロ、32時間と出て来ます。
現在の巡礼だと、一日20キロから30キロくらい歩くんですかね。とすると、当時の人はもっと稼いだと思われるので、移動だけなら4/5日の距離のなるんだろうか。
高い技術を持つ職人さんなら、どんな現場でも大歓迎だっただろうから、結構な範囲で仕事をしていた可能性が高いですね。
あ、それなりの人なら、馬での移動もあったでしょうねぇ。
サンチャゴ巡礼をやってみたいと思うのは、そういう、中世の移動のあり方みたいのを感じることが出来るだろうな、という興味なんですよね。でも、企画が面倒なため、いまだに実現していません。
おっと、脱線でした。
アーカンサス以外にも、彫り物があります。
寓意がありそうな…。
聖人とか聖職者風の下にいる人は、両手を動物にガジガジされちゃってるんですよ。
右側の面には、狩?動物の上の人は、角笛を持っているように見えます。
反対側から見ると、ガジガジ動物はライオンにも見えるから、もしかしてダニエルさんの可能性もあるのかな。
左面に彫られているのが、まったく分からない…。
行水している子供にしか見えないんだけど…、笑。
それにしても、聖人を囲むアーチや柱のネジリン棒、細かい彫りですごいし、全体の構図も隙間なくてすごい。
これなんて、いかにも技術やセンス見せる用って様子も、笑。
角っこ動物が馬って、割と珍しいし、この、つる草植物文様をピシッと断ち切って、どうも~って馬なのが、斬新じゃないですか。
これも、同じパターン。見せ用ぽいけど、隅っこに置かれた人は何だろうねぇ。こぶしにした右手を上にあげて、今だったら抗議スタイル?
それにしても、植物モチーフもすっきりとして、美しいわ。
と思うと、こんなものが。
これ、めっちゃチャーミング。でも、技術的には、地元の石工さんかなぁ。
それにしても、丸みを帯びて、笑っているようにしか見えない何かの動物が、かわいい。
きっと、本来とは違う場所で見つかったであろう遺構がいくつか、展示されていました。その中にも馬がいた。
これ、かなりデフォルメあるけど、一発で馬と分かるの、すごい。ローマ時代とかは写実だから、馬を見間違えることはないけど、中世になると、いわゆるヘタウマみたいになっちゃって、それが芸術的技術的後退みたいにとらえられがちだけど、こういうの見ると、そうじゃないよねって分かるよね。
好き好きではあるけど、ローマの写実の馬よりずっとかわいいもんな。
このクルリンチョモチーフの鋳鉄の柵。こういうのは、特に解説もないけど、12世紀のものだったりするんだよね、平気で。
フランスは、木の扉口に、鉄で装飾を入れるのが大好きだし、こういった柵や扉も多い気がします。鉄文化みたいのが、イタリアよりは強くあるな。
こういう鉄とか鋳鉄とか、すごく好きなんですよね。
今の家を買ったのも、階段の手すりに、ちょっとこういうくるりんちょ的な装飾があったのが、決めての一つだったくらい…。
おっとおっと、すぐ脱線しちゃうので、ここらで外へ。
外側も、後陣の方は、古いスタイルが残されていますが、この辺は、見事に鉋屑、それもバリエなしの金太郎あめ鉋屑だね。
柱頭には、これまたうまいなぁ、という彫りがあったけど、この角っこ動物、顔がどうなってるんだっけ?かなり現代的な、ロボット融合ハイブリッド動物に見えちゃうんだけど…。
で、これでホッと癒される~!お花から笑顔でこんにちは~。
めっちゃ可愛いやつ。地元系?あんたも一つくらい彫りなされ、置きましょうや、みたいな?
妄想を掻き立てられる教会でしたね。
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2023/06/13(火) 17:58:47 |
サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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