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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

三人三様(モントワール・シュル・ル・ロワール41、その2)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その65(ロワール・エ・シェール)

モントワール・シュル・ル・ロワールMontoire-sur-le-Loireのサン・ジル礼拝堂Chapelle Saint-Gilles、続きです。
見どころであるフレスコ画を見ていきます。まずは、解説総論から。

「壁画
内部の建築は非常に特徴的です。三つ葉の内陣があり、北と南の袋小路にある 2 つの礼拝堂がトランセプトの役割を果たしています。 中央の交差点は、目立たないペンダントが付いたドームで覆われています。迫り元の上の刳り型のない横断アーチ。
威厳のある三体の荘厳のキリストを観想するには、自分自身を中心に据えなければなりません。
発見の年である 1840 年以来、歴史家や学者は、一貫した図像プログラムを定義するために多くの仮説を立ててきました。なぜこんな小さな礼拝堂に三人ものキリストがいるのか?下部にあるの装飾が消えてしまっているため、研究は簡単ではありません。」

本当にその通りで、時代が違うから、最初から三つの後陣それぞれにキリストがいたのではないのかもしれないけれど、最後のキリストが描かれた時点で三人。それぞれの後陣が、その時代のそれなりの職人さんの作品で飾られてそろい踏みしてたわけで、そんなのって他にないですよねぇ。

前回も載せた全体図。

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図にはなぜか1が欠如していますが、後陣それぞれの半円ドームにフレスコ画があるのです。身廊の方も残っていれば、プロポーション的にも納得感あるし、見学するにも受け入れる準備を整えやすいと思いますが、ここ、今は身廊なしで、いきなり内陣状態ですから、結構あたふたしますよ、笑。なにをどう見たらよいのか、目が泳ぐっていうか。トップの解説にもありますが、三つを見ようとするには、真ん中に立って落ち着いて対応しないといけないんです。落ち着いて…、無理、笑。

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問題は、撮影の順番がちゃんとしているかどうか、ということ、笑。
せっかく解説がありますので、頑張って合致する写真を依りだしてみます。
まずは、正面、東側の絵です。

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「東側の礼拝堂
白塗りの背景に、二重の栄光に輝く威厳のあるキリスト(12世紀初頭)は、壮大なスタイルで描かれていますが、”一見”非常にシンプルです。彼は、福音書家のシンボルが挿入されたアーモンドを支える天使たちを伴っています。衣服が優雅に浮かび上がります。聖ルカの雄牛(右下)が消去されています。このキリストは書を持ち、右手で祝福を与えています。注意深く観察すると、花、コートの装飾された裏地、クッションの先端など、ほとんど消失していた細部が明らかになります。赤黄土色の大きな縦線は、芸術家が主題のバランスをとるために中心に印を付けることから作品を始めた様子を示しています。
1979年に歴史的建造物研究所が行った分析により、壁には単層の石灰漆喰が塗られており、それが作品を弱め、乾燥した塗料の一部が剥がれ、接着剤が剥がれてしまったことが判明した。下絵の準備エリアのみが残ります。ハイライト、仕上げレイヤー、細部が色あせています。
足(赤黄土色の単純な輪郭線)を見て、それを南のキリストの足と比較するのは興味深いことです。南のキリストは、生きている身体をよりよく表現するピンク黄土色のさまざまな色合いの塗り重ねで表現されています。」

ドームの手前のアーチ、図での2番は、以下となります。

「東の横断アーチ
中央には、メダリオンの中にある神の子羊が、6 つの大きな翼を持つ 2 つのセラフィムで囲まれています。そこでも顔や翼は作品の輪郭に過ぎません。頭とメダリオンの間にある”天の雲”(うねりの形)は、これらの天使が神の御座に最も近い場所にいることを思い出させます。」

キリストの周囲にいる天使たちのくねりや翼が、アルトアディジェの青天井の天使を彷彿とさせるのはなぜでしょうかね。おそらく、動きを感じさせるようなタッチだからかな。踊ってますよね、みんな。とてもシンプルな線画なのに躍動感って、うまい絵師ということになるよね。細部まで残っていたらどうだったろう。
12世紀初頭とありますが、そういうところも含め印象はもうちょっと後でもありでは、という感じ。
セラフィムは、すごく暑苦しい、笑。翼、着込みすぎだろ?としか見えないっていうか…。

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次は、南側、図の3となります。

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「南側のキリスト
13 世紀末のこのキリストは、「鍵を持つキリスト」または「聖ペテロに鍵を渡すキリスト」と呼ばれることがよくあります。様式的には、ロマネスク芸術の特徴である大きな V 字型のひだで装飾された豪華な装飾が施された衣服を着た、印象的に荘厳な人物です。かろうじて輪郭が描かれた白い線の並置は、非常に細かいプリーツのある生地の印象を与えます。あるいは、人物や装飾要素のあり方から、すべてを推測してみてください。
左側には 14 世紀のいくつかの場面がまだ残っています。グリルの上のサンローランとテーブルを囲む数人の客です。」

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「南側の横断アーチ(図の5番)
草の葉でつながった 2 匹の魚が黄道帯を思い出させます。」

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装飾性もすごいし、醸し出される荘厳さが感じられますよね。東側の絵とは200年近くの差があるのだと思うと、なるほど、と思わされますが、同時に、芸術というものの面白さを感じます。
デッサン力に優れているからよい、ということでもなく、作品を作るには技術は必要としても、表現力というのは技術だけでは作れないもの。時代を隔てた絵が並んでるって、すごい。

そして。北側。

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「北側のキリスト
右側の部分は非常に読みやすいままです。波打った装飾をされたアーモンドの中で、「アルファとオメガ」の間で、表情豊かな顔をしたキリストが腕を伸ばしています。ローブとマントは南礼拝堂と同じ特徴(プリーツと刺繍のドレープ)を持っています。左手の手のひらからは赤い糸が伸びており、これらの人物たちの後光がかかった頭の上を通っています。彼らのそれぞれの上には、なにかの破片が額に向かって曲がっています。他の 6 人の登場人物が向かい合っていたと想像できます。」

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このキリストが、一番イケメンで好みでしたけど、加筆っぽい様子も結構ありますね。色も鮮やかなので、印象が強い。それにしても赤い糸、面白い。

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西側の横断アーチ

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「中央では、栄光のキリストが両腕を伸ばし、12世紀の細長い盾をかぶった鎖帷子に身を包んだ二人の騎士の頭に冠をかぶせています。これは、悪徳と戦う美徳を表すサイコマチーPsychomachiaです(4世紀のプルーデンスPrudenceの詩より)。貞操 (Castitas) は欲望 (消滅) と闘います。 忍耐(Patientae)はIra(怒り)を突き刺します。下の方には血の筋や滴を、まだ見ることが出来ます。
柱の上には、美しい男性の頭が視線に身を差し出しています。線の正確さ、ハイライトの繊細さ、顔を浮き彫りにする光に感心することができます。」

それぞれに味わいがあり、興味は尽きない礼拝堂ですよね。

最後に、基本的なことも書かれていたので、せっかくだから載せておきます。

「使われた材料や技術
本物のフレスコ画(フレスコ画)は、新鮮な漆喰の上に描かれています。壁は最初のコーティング層(石灰と砂を混ぜたもの)で覆われ、次に石灰を大量に加えたより薄い層で覆われます。塗料がまだ乾燥していないため、アーティストはその日のうちに水性絵の具(砕いた土や石)を使って作品を制作します。化学反応(水酸化カルシウムと空気中の二酸化炭素 = 炭酸カルシウム)が起こり、顔料が固定され、フレスコ画の堅牢性が確保されます。しかし、多くの場合、芸術家はフレスコ画の下描きだけを実現し、糊絵の具を使用してセコまたはテンペラで作品を仕上げます。顔料は天然の土(黄土、緑の土)と膠、カゼインなどの有機材料を混合して構成されています。これらのペイントは耐久性が低く、剥がれたり、色褪せたりするため、シーンを読み取ることが困難になります。
17 世紀以降、時代遅れとみなされたこれらの塗装された装飾は石灰で覆われることが多くなりました。1832 年にSaint-Savin-sur-Gartempeの絵画が発見されると、関心が高まり、調査や研究が行われるようになります。」

イタリアやスペインでは、フレスコが主だと思っていたのですが、各地でセッコでも描かれていたのでしょうか。でも、フレスコでないとストラッポ技術で美術館に移築することは不可能ですから、例えばピレネーの絵画はフレスコ画ですよね。
フランスのサントル地域では、フレスコ画が非常に多くみられるのですが、セッコもあるというのが、ピレネーなどとの違いとなるのでしょうが、それは、フレスコの技術力が低かったのか、セッコでじっくり描くことを好む職人が多かったのか、どういったことになるのか、そういうことを妄想するのも楽しみです。
いずれにしても、フレスコ画の耐久性は分かっていたのでしょうが、そうはいっても千年持つとは夢にも思わなかったことでしょうねぇ。

ここは鍵をお借りして独り占めで堪能したこともあり、去りがたさ、半端なかったです。
これからもいつまでも公開してくださいますように。

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  1. 2023/09/15(金) 20:59:50|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
  3. | コメント:0

鍵を求めて行ったり来たり(モントワール・シュル・ル・ロワール41、その1)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その64(ロワール・エ・シェール)

次に訪ねた村は、前回の美しい村から、ほんの3キロほど北西に移動したところで、実際歩いてもいけそうな距離だったんですが、村に着いてから、鍵の手当てに歩き回ることとなりました。
どゆことかというと。

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印のあるのが目的の礼拝堂なんですが、鍵を借りる必要があるんです。その情報は、事前に得ていたので、まずは鍵を求めて、Place ClemenceauにあるCafe de la Paixというカフェに行かねばなりません。
事前情報を載せておくと、「祝日ではない木曜以外はカフェで、それ以外の日はカフェ隣のMagasin l’Escarpinで、鍵を借りることができる」となっています。

france vari 852

私は、まずは礼拝堂に行ったものの、クローズ。現場に上記の情報が記されていたので、結局カフェのある広場に移動して、幸いその広場に駐車できたので、鍵を借りて、また礼拝堂まで戻った次第。礼拝堂周辺は狭い道ばかりで駐車しにくい気がしたので、広場に駐車したまま徒歩で往復しました。

ちなみに、鍵を借りるのは有料で、人数を聞かれ、一人だというと5.50ユーロ取られました。

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首尾よくカギをゲットして、ルンルンしながら礼拝堂に向かいます。鍵を借りたときは、いつもなんだかスキップ気分になりますね。同じ経験をしている人には分かってもらえると思いますけど。

細い路地を抜けて、先ほどの場所に戻ります。

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この、すでに住人がいなくなったような様子の、高い塀に囲まれた白い扉がそれです。ワクワク、鍵を開けます。

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モントワール・シュル・ル・ロワールMontoire-sur-le-Loireのサン・ジル礼拝堂Chapelle Saint-Gillesです

誰もいない場所に、一人でこっそりと侵入する感じが、もうわくわくドキドキです。
この礼拝堂については、ツーリスト・インフォメーションでもらったと思しきフライヤーがありましたので、そちらの解説を読んでみました。

「サン・ジル礼拝堂
11 世紀末に建てられたこの修道会礼拝堂は、サン カレーのベネディクト会修道院に属すものとして建てられました。隣接する家はかなり改装されているが、修道院長の住居でした。
施設全体は 18 世紀末に放棄され、1840 年から 1841 年の冬にロマネスク様式の絵画が発見されたにもかかわらず、建物は荒廃しました。1917 年以来、敷地の所有者であるジェラール家が維持管理し、一般に公開しています。
11 世紀には、地面の高さは 1.20 メートル低くなっていました。ロワール川沿いに工場が建設され、渓谷の沖積土が徐々に隆起していきました。
丸い後陣には、小さなビーズのコードで強調されたスラットが穴を開けられています。絵画的なモチーフを備えた数多くの軒持ち送りは、20 世紀に部分的に作り直されました。
北と南の礼拝堂は長方形の形をしており、後陣を調和して囲んでいます。身廊については部分的にだけ残っています。最初の柱間では、繰りぬかれた楕円形と半円形の南壁、そして葉の茂った柱頭のある小さな柱で囲まれたロマネスク様式の入り口のある西壁です。
毎年 9 月 1 日、サン ジルの祝日には、そこでミサが行われます。」

ざっくりとこんな感じです。長年放棄されていたというのに驚き、たまたま所有者となった方が一般公開されている、ということにも驚きました。マイ礼拝堂を所有するだけでも相当なもんなのに、それが11世紀起源で、ロマネスク絵画のマスターピースとまで言われているお宝を内包しているというのは、ちょっと一般の感覚ではねぇ。
鍵の管理をしているカフェも、もしかするとジェラール家ゆかりということなんでしょうかね。

という下世話な話は置いといて、見ていきましょう。
キモは内部の壁画ですが、まずは外側から。

塀の外からは、廃屋のような様子でしたが、塀の中は結構広いスペースとなっているのに驚きます。

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後陣と反対側の西側、こうなっています。建物前のスペースに関しての説明はなかったので、詳細は不明ながら、構造は古いようです。ポルティコというか、教会前に置かれた前庭みたいなスペースって、古い時代の教会にありますよね。そういう場所かな。アクセス口の様子からは古さが感じられます。

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上の解説で、11世紀の建設当時は、今より1.2メートル地面が下だったとありますが、つまり、この門はその当時の高さにあるということなのかな。ってことは、やはり創建当時の構造物ですね。

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入り口以外の場所は、現在の地面の高さになっていますから、発掘された部分のようです。

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フライヤーに平面図が載っていました。やはり往時の建造物だったのですね。つまり本堂だったということかな。現在は内陣部分だけが残っているということ。礼拝堂というので、なんかこれがすべて、みたいに思い込んでいましたが、ちゃんとした教会だったのですね。

メインの後陣。軒持ち送りがありますね。

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軒持ち送りは、近代に作り直されたともありますが、どれがそうなのか、再建もあるのか不明ですが、全体になかなかにチャーミングです。

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ワクワクがつのってきましたか?
次回、壁画を紹介します。


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  1. 2023/09/12(火) 20:10:18|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
  3. | コメント:0

素敵なピクニック・エリアにも大満足(ラヴァルダン41 その2)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その63(ロワール・エ・シェール)

ラヴァルダンLavardinのサン・ジェネス教会Eglise Saint-Genest、続きです(毎日9時から18時)。

教会内部、フレスコ画以外にも気になるものがあります。

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柱頭です。身廊の方は、角柱が並んでいますが、装飾的には愛想のないたたずまいとなっています。一方、内陣の方には、すっごく古そうな、印象としては10世紀あたりじゃないか、とも思える巨大柱頭が。

この内陣の柱頭、背が低くて、162センチの私の目の高さ。

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そういえば!
これは純粋脱線ですが、夏休み前に、会社主催の人間ドッグなるものやってきたんですよ。色々あって、ちょっと困ったわの結果もあったりするんですがそれは置いておいて、なんと、身長が伸びていた…!
年取ると、縮むっていうのは聞いたことありますけど、伸びるってすごくない?
最後に慎重を計ったのがいつだったのか、思い出せないけど、長い人生、ずっと160センチと思ってきたのが、今回162センチって、2センチも高かった。
高校生くらいまでは、健康診断って学校でやってくれたとおもうけど、その後どうだったのか。体重は気軽に測れるけど、そういえば身長って測らないよね。だから、実は10代の頃すでに162センチあったのかもしれないよね。
いやはや、びっくりしました。
困ったのは、それによって、BMIの数字が悪化、痩せすぎ度がマシマシ。去年の事故入院で落ちた体重、なかなか戻らなくて困ったもんです。

と、誰にも興味のない話、失礼しました。
柱頭に戻ります。

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解説。
「最も幻想的で最も神秘的な装飾は、内陣の 2 本の円筒柱の柱頭の装飾です。巨大で粗野な外観を持ち、謎めいて未完成で切断されており、黄土色と青の痕跡があり、基部には円筒形をした玉縁文様があり、副柱頭の角には渦巻きがあります。」

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「南の柱頭には、長い尾を持つ 2 頭の向かい合った動物が彫刻されています(欲望?)。他の二匹の動物が隅にいます。」

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「北の柱頭は内陣に向かって修道院的な祝福を示している。聖ブノワだろうか?
身廊に向かって、この同じ柱頭は、幼子イエスを膝の上に抱えた非常に古い聖母の図像を表しています。」

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この幼子が、やけに細かい彫りになっていて表情までついててびっくりです。渦巻き模様にしろ、全体の彫りはかなり稚拙でプリミティブな様子だから、やはり古いものと考えられますけど、ちょっと不思議。

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後付けすげ替え疑惑、あるあるですね、笑。

いずれにしても、味わい深い、好物系柱頭です。

その他、随所に古典テイストを感じる彫り物を見ることが出来ます。

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主に教会創建後に派手に描かれたフレスコ画が、特に13世紀以降のものが目立ってしまう教会ですが、オリジナルの教会は、こういった素朴な彫り物装飾メインの教会だったのだろうと思います。フレスコ画のせいで、目がどうしてもフレスコ画に引き寄せられるのですが、浮彫チェックも忘れてはなりません。

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地味っぽいけど、彫り物、凝ってて、窓脇のなんか、ネジリン棒で上から下までびっしり。

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動物よりも人物が得意な石工さんだという印象です、笑。動物もうまいけど、なんの動物だろうっていうやつばっかり。ファンタジスタだったのかな。

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では、外に出て、外側をさらりと。

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全体にすっきりなんですが、やはり随所に欠かせないアイテムって感じの浮彫が施されていて、どれも好きなやつです。

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市松ものこぎり歯みたいなのもとても良いですね。

「東側後陣
鋸歯状のアーキボルトと柱頭のある小さな柱を備えた 3 つの美しいロマネスク様式の窓が建物を飾っています。」

この窓の右下に、このような浮彫がはめ込まれています。

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縮尺が変ですが、狩りっぽく見えますね。
他の窓の近くにも、やはり人物像の浮彫がありましたが、これは、ズームで撮影していないことから、現場では気付いていなかったようです。

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光と影の効果で、場所に寄っては肉眼では見えにくいものもあります。この浮彫は、傷みもあり、またかなり浅い様子でもあるので、壁面と一体化してしまったのでしょう。もしかすると、これが、解説にある「後陣の北には、アブラハムの犠牲を思い出させる 2 人の人物がいます。」かもしれませんが、よく分かりません。

外壁には、どうやら結構な数のこういった浮彫はめ込みがあるようで、いくつかは現場で気付けませんでした。例えば、ファサードの扉上にあるもの。

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分かりませんよね。よく見ると、うっすら見えました。

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他にあったのだから、もうちょっと目を皿にすべきでした。
これは解説では、「ポーチの上に5人の人物。五人の賢い処女とも考えられます。」とあります。確かに五人見えるけど、想像の決めてはそれくらいということなのでしょうね。

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「天使によって空を運ばれる人物。メインモチーフが欠けているようだ(昇天の図像?)」とあるやつなのかな。こういった浮彫は、唐突だから、他の場所にあったものがはめ込まれたということかと思うのだけど、それに関しては、どこから来たのでしょう、という疑問を投げかけているだけ、つまり、いまだに判明していないということなのでしょう。

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ここにきて思うのは、この教会って宝探し系なんです。でも、なまじ派手なフレスコ画があるから、ちょっと満足しちゃって、せっかくの宝探しが疎かになってしまうという残念なことになっているっていうか、まぁ、ロマネスク視点での残念なんですけども。
もしフレスコ画がなかったら、絶対もっとあるはず的な頑張りができたと思うんですよねぇ。って、そういういい加減なのは俺だけかな、笑。

それにしても、大満足でしたね。
その上、前回も記したとおり、実に美しい村でして、ちょうどお昼の時間にもなりましたから、村を流れる美しい川のほとりで持参サンドイッチ(ホテルの朝ご飯で作ったやつ、笑)でピクニックしました。

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ゴシック橋Pont Gothiqueの近くのピクニック・エリア、次々と地元の人たちもやってきて、実にのどかなランチ時間を過ごせました。サンドイッチ持っててよかったよ、ほんと。


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  1. 2023/09/11(月) 20:10:14|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
  3. | コメント:0

シャポー!(ラヴァルダン41 その1)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その62(ロワール・エ・シェール)

前回のヌレから北西方向に約20分ほどのドライブで訪ねた先は、うっとりするくらいに美しい村でした。

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何度も言うようですが、フランスの、特に田舎の美しい村って、本当に心底びっくりするくらい美しいです。「絵のような」という形容がありますけれど、陳腐ですが、まさにその言葉通り。フランス人の文句ばかり垂れてる私にしても、こんな田舎なら住んでみたいもんだよねぇ、とちょっと思ったり、ちょっとだけね、笑。
でもきっと、そうやって美しく保つための努力、つまり規則や制限や、きっとそういうもんが沢山あるんだと思うから、意外とうっとうしいかもね、とかまで考えてしまうのは、悪い癖ですが。

さて、そのような美しい村に、これまた素晴らしい教会があります。

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ラヴァルダンLavardinのサン・ジェネス教会Eglise Saint-Genestです(毎日9時から18時)。

この、いかつい外観からして、大した期待もできそうもないとか思っちゃいませんか?事前に、見所を調べていたのだけれども、「フレスコ」とだけ記していた私も、まさに、大きな期待をせずにアクセスしたんですが…、失礼しました!シャポー!でした。

今、ふと口をついて出たんですが、シャポーって、イタリア語でも結構使うんですよね、シャポーChapeauは帽子の意味で、「脱帽です」という意味になります。
考えたら、日本語で使われる「シャッポを脱ぐ」、あれはこれですよね?「あれはこれ」、だめな日本語…。
外来語起源ということは、明治とか大正時代に使われ始めた言葉なんですかねぇ。ということで、ついググって見ちゃったのですが、「兜を脱ぐ」を現代化したとかなんとかでした。面白いねぇ。なんでそこでハットとかカペッロじゃなく、フランス語が採用されたんでしょう。音的にも、日本語からかけ離れているのに。
というどうでもいいことをやるから、時間がいくらあっても足りなくなるんですね、反省。

話を戻しますが、いかついですけど、中はどうかというと。

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やっぱり、どっちかというといかついと言えるのかな。構造としては装飾性が薄くて、建築がそのままドカン、という、無色透明感を感じるくらいにそぎ落とされた様子ではあります。ただ、見ての通り、フレスコ画が至る所にあるんで、事前に、見るべきはフレスコ画と分かっていても、ちょっとひるんでしまうボリューム攻めです、笑。

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現場にはかなりの解説がありまして、一通り読みました。一部抜粋しながら見ていきましょう。ご丁寧に、なぜこのような絵画装飾が施されたか、というような、非常に初歩的な解説までありましたが、その解説及び解説が書かれている紙、古さが歴然。撮影しても読める状態だったので文句は言えませんが、少しアップデートしてほしいような気もしました…。

いずれにしてもとても親切な解説で、それによれば、他同様、ここでも、フレスコ画と、そうでない壁画が入り混じっているようです。そしてそれらは、「ある時期には時代遅れだとされ、全体が白塗りで覆われてしまいました。
ラヴァルダンの修道院長ピルテが、この絵画の宝物を最初に発見したのは、前世紀の終わりのことでした。彼は忍耐強く仕事をつづけました。1914年から1918年の戦争中にも、後任者によって仕事は続けられました。しかし、すべてが発見されたわけではなく、現在、この困難で繊細な作業を行う権限を与えられているのは美術部門Beaux Artsだけです。」ということで、発見はかなり最近のことだったようです。今現在、修復作業が行われているわけではありませんが、おそらく、いまだに隠されている絵画がある可能性もあるのでしょうね。
残念ながら、主に予算の関係で、おそらくあるはず、と分かっていても、なかなかそういう作業が実施できないでいる教会は多いでしょうね。ここはこれだけの壁画があらわになっただけで、かなり幸運なのだと思います。

主な壁画の解説もあったのですが、撮影しきれていないと思いますので、自分で撮影しているところをまとめていきたいと思います。
まずは、上にあげた後陣です。

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「栄光のキリスト
後陣には、4 つの福音派のシンボルに囲まれた威厳のある巨大なキリストが飾られています。天使はほとんど消えていますが、聖ヨハネの鷲、聖ルカの牛、聖マルコのライオンがはっきりと見えます。黄色いローブを着て、赤いマントで覆われた着席のキリストは、左手に命の書を持ち、右手で祝福しています。私たちは、黄色い後光の中にキリストの白い冠があることに気づきます。この作品は 14 世紀のものと思われます。」

そう、時代も色々混じっています。13世紀以降の絵は、好みではないのですが、ここの絵には嫌味がなく、悪くないです(何様目線?)。

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上は、内陣に向かって左側の部分です。ここは、左右それぞれ二段の帯となっていて、これは下側の横長場面です。13世紀のものということです。

「キリストが足を洗う場面。使徒たちに囲まれたキリストの膝の上に、そのうちの一人の足が見えます。」

この場面って、足を洗ってもらう側が、尊大な様子に見えることも多くて、割と好き、っていうのも変だけど。実際、バチカンのイベントで、よく映像で流れる儀式なんだけども、もちろん現実には尊大な人などいるわけもなく、かえって、いたたまれない気持ちだろうなっていうのが伝わるというか。だって、世界に冠たる教皇が膝まづいてあんたの足を洗うわけだからねぇ。その上キスしたりするのよ。教皇の仕事って、結構大変だなって思っちゃうよね、毎度。

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その壁からつながっている天井部分。トンネル・ヴォルトの天辺みたいな場所となります。

「楽器を持った天使、聖カタリナを含む聖人たちがおり、天国、パラダイスを象徴しています。」

ちょっと傷みが激しくて、ディテールはほとんど分からないけど、そういうことです。天国だからてっぺんにね、分かりやすい。

そして足を洗う図と対面にあるのが、「キリストの受難。右から左にかけて、四つのエピソード。ユダの接吻、鞭打ち、十字架の担ぎ、磔刑。」

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写真、ぼけてます。まぁ自分の好きな絵でもなかったし、あまり気合は入ってなかったかもね。全体の雰囲気は良いけど、絵のディテールはちょっとね。

下は、内陣の内側の左側、びっしりですが、多分14世紀とかだし、傷みがあり、分かりにくいです。やたら裸の人がいるんだけども、多分最後の審判ではないかと。
「最後の審判
内側の帯では右から左に読み取ります。一番右の部分がかなり劣化しています。ラッパを吹く天使は、この部分が死者の復活を表していることを示唆しています。」

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お、と思ったのがこちら。

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有名なペリカンのお話ですよね。自らの胸を傷つけて、ヒナに血を与えるっていうやつ。自己犠牲のシンボルとして、キリスト教が大好きなやつ。
柱頭の彫り物などでも、どう見てもフクロウとかにしか見えないのが、ペリカンだったりするやつ。でも、実際に、具体的な行為をしている図像って見たことなかったです。
これ、ヒナがめっちゃ可愛いですが、どう見てもペリカン見たことない人だよね、笑。

ここでまた、ついついググってしまったのですけど、これってローマ時代からある逸話らしいね。キリスト教では、人類救済のために十字架上で血を流したキリストとシンクロするからということらしいけど、実際、なんでそういうことになったかと言えば、ペリカンが胸のあたりに頭を突っ込んで休む姿勢から、誰かが勝手に創作したらしい。
そして、中世を経てルネッサンス期まで延々と、特にイタリアで、磔刑図とペリカンというのが好まれたらしいな。
ペリカンも驚いちゃうね。

さらに、それぞれの柱、立派な角柱なんですが、それにもやたら絵があります。が、いずれもロマネスクではないので、おざなりな感じで撮影しています。ちなみに、一つの柱には、我らがサンタンブロージョ(ミラノの守護聖人Sant’Ambrogio)もいたようで、ちょっと嬉しくなりました。

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内陣向かって右側、三番目は、聖ティボーと聖モール、とありました。どちらの聖人も、なじみがないなぁ。
柱に描かれた絵は、いずれもかなり新しそうですので、割愛します。

これら以外にも、以下のようなフレスコ画がありますが、ちゃんと写真が撮れていませんでした。残念。ただ、どれも傷みがあるので、ぱっと見、なかなか解読できませんけども。

「右側の低い部分
小さな入り口のドアから、壁に古い壁画を覆う厚いモルタルにフレスコ画が描かれていることが分かります。騎兵のように見えますが、黄金の使用により、騎士とも考えられます。さらに先には、聖マルグリットの殉教。マルグリットは、ローマ総督が結婚を望んだ若い娘です。
彼女は神に身を捧げていたので、それを拒否。上から下まで、彼女が拷問され、その後胸をつかまれ、鞭打たれ、死刑に処されるのが見られます。
さらに先には、木に止まっている鳥たちに話しかけるアッシジの聖フランシスコがいます。大きな柱の外側の反対側には、片手に幼子イエス、もう一方の手には鳩を抱く聖クリストフォロスがいます。」

france vari 829

「左側の低い部分
内陣を横切ると、柱の上に、聖母の祭壇、エッサイの木があります。これは地面に横たわっており、次にダビデ王、聖母、そしてその上にキリストが描かれており、その上にはより最近の絵が描かれています。同じ柱の外側に、キリストの洗礼が記されています。12世紀のフレスコ画で、とてもシンプルかつ純粋です。
下の方には、メダリオンに聖母が描かれています。」

france vari 830

脱線が多くて長くなってしまったので、続きます。

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  1. 2023/09/10(日) 20:31:50|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
  3. | コメント:0

お伽話の教会(ヌレ41)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その61(ロワール・エ・シェール)

前回のセロムから、西方面に15分ほど移動した村が、今回の目的地です。

france vari 805

ヌレNourrayのノートル・ダム教会Eglise Notre-Dameです(鍵のありかは不明。すぐそばにあるメリー役所は火曜と木曜のみ午前中だけオープン)。

セロム方面から来ると、道沿い右手にあって、上の写真のように後陣が見えるんですが、その途端興奮必至です、笑。一目で得られる印象に間違いなく、ここの後陣、本当にたまげるくらいかわいらしくて、大好物でした。
訪ねたとき開いてなかったし、メリーも開いていない曜日だったのは残念でしたが、あんまりかわいいからもうそれだけで満足しちゃって。近所にお家も並んでいたけれど、お昼時をお邪魔もしにくいというのもあったけど、外だけでも十分、という満足感があったのもあり、あえて鍵は探しませんでした。

では、じっくり外観を見ていきます。

france vari 806

これ以上ないっていうレベルの地味なファサード。
でも、この重心低めというのか、いずれにしてもミクロサイズだからか、こういうタイプって、ちょっと童話的っていうんですかね、お菓子の家的な?何とも言えない愛らしさを感じたりします。何の変哲もない砂壁風な地味さであるとしても。

france vari 807

おっと、その前にお約束の鍵穴撮影。
激しく白塗りされているけれど、柱頭などに彫り物装飾はありそうです。次回のお楽しみということですね。

さて、ファサードには扉があり、地味ながらも装飾は施されていました。

france vari 808

相当地味ですが、幾何学モチーフで、この地域の教会の系統にはなっているようですね。このギザギザ模様、もっと大きいと、かなり好きなモチーフなんだけど、ちっちぇな。
柱頭にも浮彫が見えますが、残念ながら、傷みまくっています。

駐車して、まずはファサード側が近かったからこうやってアクセスしていますが、すでに後陣見学への期待に胸が高鳴っている状態でしたね。ということで、観察もおざなりに、後陣の方に回り込みます。

france vari 809

なんでしょうね、やはりこの、若干ずんぐりむっくりというプロポーションなのかな。おそらく写真ではなかなか分かりにくい愛らしさオーラ、現場では発散しまくりなんです。完全にやられちゃって、うっとりしちゃうやつ。

ディテールが、というのもあるんだけど、とにかくたたずまいが「ザ・かわいい」なんですよねぇ。しつこくてすみません。

中央部の開口部は装飾的で、ただのアーチじゃなくて、三つ葉でもなくて、凝ってますよね。でも、その繰型のサイズが微妙に違うとこなんか、また味があるっていうのか、よいですねぇ。

france vari 810

そして、上の方のアーチ帯なんですが、半円を組み合わせたもので、こういうのって、例えばパッチワークなんかでも名前がついていそうなモチーフだと思うんですけど。つまり、色々いじくりまわしていると思いつくモチーフだったりするんでしょうけど、よく見ると、下にも直線で、もっと大きなタイプが置かれていますよね。こういった単純モチーフって、例えばハンコで彫ったりするんですけどね、実際ロマネスクにおける帯モチーフって、かなり汎用化してますよね。いや、それ以前にもあったんでしょうかね。

例えば柱頭だって、ローマまでは様式化した数種類しかなくて、柱頭イコールそれらのどれかで作るってことになってたわけですよね。中世って、そういう形式をずいぶんと変えたのですよね。クリエイティブな時代だったし、職人さんたちの発想がどれだけ自由だったのかと考えると、びっくりします。どうしてそんな発想ができたんでしょうねぇ。

france vari 811

人と動物、どちらも、何か口に入れている様子です。人の方は目を真ん丸に見開いて、何を見つめているんでしょう。

france vari 812

このトリオもいいですよね。特に左端の柱頭になっているワニ崩れみたいなやつが、間抜け面でたまりません。
これさ、今でもフランスの田舎で見られる雨どいの一番下の、水を吐き出すやつに似てる。あの雨どい、かわいいんですよねぇ。

france vari 813

「オーマイゴッド」が聞こえてきそうな右端の人から、左はハロウィーンのジャックオランタンですね。なんかこういう軒持ち送り見てると、三題噺みたいのが出来そうです、笑。そういう遊びも楽しそうだけど、付き合ってくれる人はいなそうです。

側壁には軒持ち送りも並んでいます。ここのは傷みが激しいですね、残念ながら。

france vari 814

アーチのとこに、コッペパンみたいのが入っているけど、これは珍しいですね?

france vari 815

こっちのは、アーチ構造が壊れて、コッペパンだけ残っていますね。

france vari 816

扉口の装飾と同じようなギザギザモチーフも挿入されているけれど、やはりガタガタしてますね、笑。そして、ミクロ円柱に支えられたブラインドアーチのフォルムもサイズもガタガタ。いい味出してますねぇ。

ちなみに、この現場、教会の解説版はなかったのに、なんだか知らんけれど、紀元前 6000 年から3000年前の新石器時代の巨石の説明があり、ドカンと置かれていましたよ。

france vari 817

この辺りにあったものなんでしょうけどね。謎でした。
グーグルのストリートビューで、全体を見ることもできますよ、ご興味あれば。すごく唐突です、笑。


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  1. 2023/09/08(金) 20:26:47|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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生理現象のために覚えておくとよいこと(セロム41)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その60(ロワール・エ・シェール)

ヴァンドームの周囲を回るように移動していますが、当時のメモを見ると、どこも地味というのか、ふーん、という程度の印象が多かったようです。
ここもまたそういう感じでした。

france vari 796

セロムSelommeのノートル・ダム教会Eglise Notre-Dameです(入場はアポの上、と現地に張り紙があり、連絡先は、0601630132となっていました)。

見るからに地味ですよね。
それも、ここ、村のど真ん中。グーグルマップで、ちょうどよい画角のストリートビューがありました。

france vari 797

右側の建物がメリー、市役所です。ここは市役所広場となっていて、教会まで集まっている村の心臓部なんですが、これ以外は住居しかなくて、例のフランスあるあるですけど、お店が少ないよね、とにかく。

実はこのメリー、とてもありがたいことに、大変美しいトイレがあるんで、わざわざあげておく次第です。教会はクローズ、メリーもクローズだったと思うのだけど、トイレは使うことが出来たのです。当時のメモにも、「教会のことよりトイレの方が記憶に残りそう」と書いてました、笑。実際には、どっちもさっぱり忘れちゃったけど。

なんで来たんだっけ?と繰り返すのはよしますが、ここはもともと外観だけ見ればいいや、という事前情報がありましたので、それに従って、外をさらりと見ていきます。
創建は10世紀と古いようですが、色々と手が入っているのは、このところ見てきた他の教会同様ですね。

ちなみに、まずは得意の鍵穴撮影をして、やはり中には何もなさそうだ、と心の平穏を得ました、笑。

france vari 798

事前情報で、後陣の装飾とあったので、さっそく後陣側へ。

france vari 799

平らな後陣でした。
ダブル・ファサードみたいに、同じような形をしていますね。そして地味ですが、よく見ると。

france vari 800

すごかった。
これは、地味だけど、なかなかのものですね。やはりポワトー系でしょうかね。
でもこれだけ多彩なモザイク状は、珍しいのでは。
すごく多様な模様になっていて、特にすごいと思うのが、デザインにも関わらず、ヘタウマ的な歪みっていうのか、不規則感っていうのか、そういうとこ、笑。

これって、おそらく石板を貼ってる感じかと思うんだけど、壁装飾だから、モザイクとは違うし、例えばイタリアによくあるレンガ積み混じりのこういった石による壁装飾って、結構きっちりやるじゃん?
そうあるべきだ、みたいなのもあるから、この不規則感、歪み感って、何とも。
あ、否定ではなくて、これはこれで好き。
でも、やっぱり地味だよね~。ふーん、ってなっちゃう。

france vari 801

窓の上にひさしみたいに置かれた帯も、石色もシックだし、感じいいんだよね。でも地味で、ふーん、以外出てこない、笑。

改めて、ファサード側にある扉装飾。

france vari 802

必要最小限、といった様子の装飾アイテムたち。扉上部の軒持ち送り、上の窓を取り囲むような帯装飾、そして、扉側柱と柱頭。ザッツ・オール。

france vari 803

摩耗してしまっている軒持ち送りの中で、猪八戒、生き残っていた、笑。

france vari 804

作業は、主に地元の職人さんたちでしょうかね。
今でも小さい村だし、教会の規模も相当小さいし、これで必要十分だったんだろな。
というわけで、深く掘り下げもせず、たまにはあっさりと終了します。

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  1. 2023/09/07(木) 20:27:51|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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現場では見えないこと(ペズー41)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その59(ロワール・エ・シェール)

france vari 788

次に訪ねたのは、ペズーPezouのサン・ピエール教会Eglise Saint Pierreです。

正直、なんで来たんだっけ?
という印象しかなかったんですけども、笑、やはり行かなければ分からないから、リストアップしてしまった以上、そして、とんでもない道外れでない以上、行かない、という選択肢はないわけで…。

だけどさ、開いてるから喜び勇んで入場しても、こういう感じ。

france vari 789

こうなると、取りつく島なし、という印象で、宝探ししようというような気持ちにはなれませんよね。壁も床も天井も、見るからに再建だもんさ。
では、ちょいと歴史を。

「1079年6月2日、騎士フーシェ・ド・ラ・トゥールは、その収入の全額をヴァンドーム三位一体修道院であるペズー教会に寄付した。したがって、11 世紀末にはペズーに教会があり、その建物ははるかに古い教会に取って代わった可能性がある。」
「15 世紀に町は要塞化され、教会の西側ファサードの前に溝が掘られました。市の門の一つがこの教会の近くにあった。 現在の鐘楼は、この入り口の跳ね橋が付いた小さな歩行者用ドアの上に位置する。16世紀の初めに、教会は南に拡張され、内陣は華やかなゴシック様式で再建された。身廊の古い北壁は控え壁で補強されている。この増築部分の南壁には、華やかなゴシック様式の網目模様が施された大きな窓が取り付けられている。内陣の後壁には、同じ様式で 3 つの小円柱からなる大きな柱間が建てられたが、その後、この部分は壁で囲まれてしまった。ロマネスク様式の正面玄関は、その後、街の井戸の 1 つの上に開いていたが、壁で覆われ、身廊の南壁に開いた大きなルネッサンス様式の扉に置き換えられた。その後、この大きな門は壁で囲まれ、古いロマネスク様式の門が再び開かれた。16 世紀の終わりか 17 世紀の初めに、都市の巨大な要塞門が撤去された。歩行者用のドアは鐘楼に変わり、教会の身廊の南壁に接続されました。」

紋切り型の文ですみませんが、そういう歴史のようです。

france vari 790

①ロマネスク時代の扉口
②町が要塞化された時代の入り口で、のちに歩行者用扉となったもの
③南壁にあった扉口、その後閉ざされた
となります。図の黒い部分が、11から12世紀の遺構で、それ以外は、15世紀以降に作られたものということなので、内部ががらんどう状態なのもうなづけます。

ということで、せっかくオープンしていても、見所は扉口だけということ。これはね、ちょっと複雑な気持ちになります。開いてて嬉しいし、中がどうであろうと、開いているから確認できるわけで、そうでなければなんとなくまた来ないと、という気持ちにもなっちゃうし。でも、そうはいっても、こういうのは入れても嬉しくなかったりするわけで。
こういうのは、実際に試行錯誤しながら、現場をうろうろする現場主義の人にしか分かってもらえないだろうなぁ。

ということで、しつこいですが、扉口を見ていきましょう。

france vari 791

現場で、扉だけかよ!と思うと、実はちょっと寂しいのですが、在宅で写真だけを見るとなると、これはこれでなかなかのもんだよ、と大いに感じたりしますので、やはり訪ねて損はないということですね。
複雑な気持ちを、いやらしいくらいしつこく書いていますが、この夏も、結構感じたことなんで、ついつい。これって、楽しみではあるけど、結構厳しい趣味で、辛く感じながら現場を回ることも結構あるんです。って、なんの愚痴?

france vari 792

この扉についての解説は、以下となっています。
「12 世紀半ばに建てられたメインの入口。それは、3 つの半円形のアーキボルトで構成されています。組紐、棕櫚、交差したリボンで囲まれた玉モチーフ、鋸歯、および並置された円の線の形のモチーフで装飾されています。2 番目のアーキボルトは、彫刻された柱頭と副柱頭を備えた小さな柱の上にあります。」

デザイン的な連続モチーフのみの装飾となっています。前回の教会で、柱頭の上部の帯装飾が、大変凝っていましたが、それに通じるものがあるかもしれないですね、ちょっとプリミティブだけど。
内側の団子さん兄弟は、ただお団子というだけでなく、筋彫りが入っているのですよね。そして、三角の上の輪も、かまぼこ型を並べているだけのようだけど、何か筋でバッテン模様が入っているみたいです。
そういう細かい仕事が、おそらく遠目では認識できなくとも、何か装飾性をもたらす要素になっているんだとも思えますが、同時に、ただの石工さんのやりすぎこだわり化も、とも思います、笑。

france vari 793

今、細部を見て気付きましたが、団子さん兄弟、根元の方では二兄弟なんですね。これは明らかに意図的なものでしょうね。
上部への高さとか広がりを意図しているのかな。こういうディテールは、現場で見ていても、なかなか気付けないところ。写真で改めて確認する意義は大きいです。

デザインも幾何学系だし、石工さんまたは棟梁は、図形的幾何学的造詣が深かったうえに、建築学的な知識も豊富だったということでしょうねぇ。
この手のモチーフは、モチーフとして売っていた可能性も高いし、そういう専門家がこの辺りうろうろして、仕事してたんですねぇ。

そういう目で見ると、美術とは違う面白さも見えてくる気がしませんか。

france vari 794

扉の上には、軒持ち送りの彫り物も並んでいます。
サイズがバラバラで、統一感のあるような無いような。

france vari 795

統一感、明らかにないね。
髭面のおっさんが並んでいたかと思うと、少女だったり動物だったり。
でも、いずれもちょっと石の様子もあるのか、現代彫刻としてもありそうな雰囲気がちょっとある。それに、扉を幾何学オンリーにしといて、軒持ち送りは具象ってのも、ある意味デザインだよね。

ということで、なんのために来たの、と思った割には、四年後に楽しめた教会でした。

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  1. 2023/09/06(水) 20:31:11|
  2. サントル・ロマネスク 18-36-37-41-45
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閉じ込められた…(アレーヌ41)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その58(ロワール・エ・シェール)

この辺り、ヴァンドームを中心として、フレスコ画推しの地域となっています。ヴァンドームでは、珍しくツーリスト・インフォメーションに立ち寄って、いくつか資料をいただいたのですが、その中に、Fresques et peintures murales en Vendomois、ヴァンドームにおけるフレスコ画と壁画というフライヤーがありました。それによれば、この地域、以下となっています、と。

「80 キロメートルの範囲に 20 を超える教会があり、11 世紀から 20 世紀の壁画の素晴らしいパノラマを構成しています。数多くの主題を表現するさまざまな装飾や技法を発見すると、きっと驚かれることでしょう。」

というわけで、古い教会だけではないのですが、20の教会がリストアップされていました。私はこのヴァンドーム周辺で、ヴァンドームを含む八か所をリストアップしており、必ずしもその20と重なるわけではないですが、確かにフレスコ画推し、というのは期待していたものです。

今回は、ロケーション的には、前回のヴァンドームの郊外といってもよいような村です。ここは、一人珍道中極まれり、といったエピソードがあり、今でも思い出し笑いしちゃう経験をしたので、忘れられない教会の一つです。

france vari 775

アレーヌAreinesのノートル・ダム教会Eglise Notre-Dameです(毎日9時から18時)。

小さな村で、パラパラと住宅があるんですが、開けた一角に、この小さな教会がこっそりと建っている、そういうたたずまいです。ここは、事前にも、フレスコ画よさそうだと分かっていたので、期待大で入場…、というところで、一瞬、んん?と思ったのは、実は、固く閉ざされている様子の扉、ある種の自動施錠システムみたいなことになっていて、ボタン一つで、簡単に開くようになっていました。
扉に、開閉システムの説明がありましたけれど、いい加減に斜め読みして、入場。

france vari 776

古びは一切なし、何なら村の小学校の教室みたいな、あっけらかんとした明るさで、ちょっとひるみますね。でも、後陣に、お目当てが見えますから、取るものもとりあえず、突進です。
こんなにきれいになっちゃってますけど、建物は11世紀、そしてフレスコ画は12世紀のものとされています。

france vari 777

おお、傷みはありますが、全体としてはすごいインパクトです。
内陣部分、かなり小さなスペースで、そこ一杯に描かれているだけに、迫ってっ来るものがあります。こんな田舎の小さな教会に、と思うと、おどろきますよね。そして、ここがこうなら、前回のヴァンドームなど、きっとすごいものがあったのではないか、と妄想が膨らみます。
ある意味付け足し程度の参事会室があれですから、13世紀に壊されてしまった教会は、きっと壁中フレスコ画だったでしょうよね。ここアレーヌだって、きっと同じ職人さんが入っているんじゃないのかな。

今回は、ウィキ及びそれ以外からかいつまんだ解説を。

「この教会は、枠で覆われた長方形の身廊、トンネルヴォルトで覆われた短い内陣、半円ドームの後陣で構成されており、その歴史は 11 世紀にまで遡る可能性があります。15世紀に変更が加えられました。鐘楼は 19 世紀に後陣の博物館の復活と同時に追加されたものと思われます。この鐘楼は、後陣の壁の修復と同時に 19 世紀に追加されたものと考えられます。鐘楼の頂上はおそらく 14 世紀か15 世紀のものだと思われます。最上階にはわずかな引き込みがあります。内部では、内陣と後陣が 12 世紀の絵画で覆われています。」
「これらのフレスコ画の一部は、15 世紀から 18 世紀の絵画で覆われていました。塗装された装飾は、1931 年に、何層もの塗装と油絵の具の下で発見されました。」
「12 世紀の壁画は、準備層はフレスコ技法(新鮮な漆喰に絵を描く)で、最後の層とハイライトはセッコ技法(乾いた漆喰に絵を描く)で作られています。」

他の教会でも、このセッコというのは出て来ましたよね。フレスコは一気に仕上げる必要がありますから、要は後付けの書き足しということだと思うのですが、フレスコ技術がいまいちだったとかいうことがあるのでしょうかね。フレスコは、漆喰にしみこむために長期保存ができるわけですが、セッコで描いたものは、おそらく簡単に剥落してしまうので、技術的には長期保存には向かないはずで、そこは残念ですね。
後代の書き足しというのはどこでもありますが、同時代でのセッコというのは、イタリアにはないように思われるのですよ。

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半円ドームは、アーモンドの中の荘厳のキリストが、四人の福音書家に囲まれているおなじみの図像ですが、福音書家、傷みが激しいです。そして、図像がとてもデザイン的なのはびっくりします。

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ミニマリズムというのか、ちょっとびっくりします。写実性も高いし時代が下るのかな。でも、装飾性を排除しているのが、何とも潔くてよい感じ。

「キリストの足元には、4人の使徒からなる2つのグループ」とあります。

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八頭身のモデルスタイルのおっさん二人、笑。誰でしょうかね。

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タヴァン同様、ここでも目が白い。もしかするとセッコで描いた部分で、簡単に剥落しちゃってるとか?
跡ね、これ、二人組が左右二組並んでるけど、内一人の光背が水色で、相方は白なんだけど、これはどういう意味なんだろうか。

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窓のとこには騎士が二人。この人たちも光背背負っているけど、やはり一人が水色だわ。真ん中には神の手が見える。
そして、窓には現代デザインのステンドガラス、シンプルでかっけー。

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そして、脇の方に、受胎告知とエリザベス訪問らしい。ここは傷みが激しくて残念な状態です。

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受胎告知を受けたマリアちゃん、身をくねらして、もしかしてシモーネ・マルティ二のマリアみたいに、ちょっと迷惑そうな顔してるかも?と妄想させるポーズです。

アーモンドのキリストの半円ドームとつながる天井部分にいる神の子羊。

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かなり状態悪いけれど、背景の水色はきれいに残ってますね。
他の聖人や使徒など、光背の水色だけは本当にきれいに残っているんだけど、水色ってどういう顔料なんだろう。ラピスラズリのような岩系なのかな。

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この、輪郭をはっきりさせる風な白線が、セッコなんだろうか?またはずっと後代の書き足しの可能性もあるけれど。
これで、分かりやすくなっている部分もあるのは確か。

ボリュームとしては、大したことないと思われそうだけど、素晴らしいインパクトがあり、大満足でした。静かな環境で、明りが十分で、じっくり堪能できたせいもあるかもね。

それでまぁ、若干夢見心地で扉に向かったんですが、ここで問題発生!
扉は固く閉ざされており、出られない!

france vari 787

いやはや、焦りましたよ。ボタンと押せ、と書いてあるけど、どこにもないんですから。とにかくできることは全部やったけどダメで、え~、私どうなっちゃうの~、ここで騒いでも誰にも聞こえないはずだし…、と泣きそうになりながら、そして汗だく状態。
写真の記録を見ると、おそらく10分ほども、困っていたようです、笑。
一旦気を取り直して、ちょっと周囲を見ると…、あるじゃんか~!
こんなでっかいボタンが!

上の写真の左側の、呼び鈴みたいなボタンですけどね、意外と気付かないですよ。
だって、扉のレバーを持てる距離まで行ったら、目に入らない場所ですから。
張り紙に開閉方法が書いてあるけど、ボタンの位置まで書いてないし、入場する外側のボタンは、確かレバーのあたりにあったから、その辺にあるもの、と思い込むわけですよ、私みたいな考えなしの女は。

いや、ほんと焦ったよ。出られたときの解放感たるや…。ほんと、馬鹿、我ながら、笑。

しかしこれって、どういう意味があるんだろう。動物は入ってこられないな。子供もな。でも、普通の大人なら、誰でも入れるよな。ということは、盗難や乱暴狼藉を避ける手段にはならんわね。
とすると、鍵を誰かがいちいち開け閉めしないで済む、という機能しかないわけだから、寛大だよね?
我々にとっては非常にありがたいシステムですね。

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何を見に来たんだっけ?(ヴァンドーム41)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その57(ロワール・エ・シェール)

新しい一日の始まりは早朝から。ホテルの朝ご飯を早くいただくことが出来たので、出発は7時45分。
細かい行程は、毎日現地で組み立てていきますが、この日は早朝出発できたこともあり、思い切って遠方から攻めていくことに決めました。
で、1時間ほどのドライブで移動した先は…。

france vari 761

ヴァンドームVendomeです。
久しぶりの都会ですが、駐車場も首尾よく見つかり、鼻歌状態で町に向かい、塔が見えてきたので目指していきます。が、全容が見えてきたらば、思いっきりゴシックではないだろうか?

france vari 762

トリニタ修道院教会Ancienne Abbaye de la Trinita'です。

ちょっとさ、何しに来たんだっけ?というパニックに襲われた~。
パニックな状態で、よろよろと入場したものの…。

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ど、ど、どうみても違うやろ?と、外に取って返して、何か勘違いがあるに違いない!とガサゴソと事前のメモをひっくり返したりアワアワ。
にしても、このステンドガラスはすごいね。
現場ではパニックだし、ろくに見ちゃいないけど、現代と中世テイストがいい感じに混ざっていて、センスあるわ~。

とりあえず中で見たと思うんだけど、中世テイストのアイテムもあったりしてね。パニックでも、そういうのはアキレス腱反射みたいに反応しちゃうみたい~、笑。

france vari 764

こーゆーのあるってことは、絶対なんかあるから来てるんじゃん!と確信。ブレまくってるけど、笑。

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どっちもあんよがかわいい。前回の不細工グループに比べると、相当イケメンだし、笑。
本体は全体ゴシックだし、これは鐘楼かもしれない、と改めて目を皿にして見学。

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確かに何やら色々くっついてるし、アーチもゴシック前状態だわ。
と、アワアワしているのは、実はこの教会の見どころを、事前に調べていなかったからなんです。柱頭とか扉とか、アイテムだけでも調べておけば、見逃しが減るし、なるべく事前にメモるようにしているのに、なぜかやってなかった。

france vari 767

確かに鐘楼のディテールは、ロマネスク後期的な様子が見られるけど、やはりゴシックが入ってきている時代という気もする。12世紀建造で、「同じく 12 世紀に建てられたシャルトル大聖堂の南側の鐘楼に似ています。」とありました。

とかなんとか思いながら、周囲をうろっとして、これは回廊跡かしら、というところをうろっとして。

france vari 768

そこにやっと目的を発見したのでしたよ。

france vari 769

回廊跡。手前に並んでいる石が、回廊の内側の仕切りで、建物についてるのが、建物側の柱ですよね、多分。
そこからの。

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目的アイテム。地味すぎん?
これ、参事会室ということで、奥の方に見えるフレスコ画、11世紀から12世紀にかけてのものということなんです。
貴重品だから、一応ガラスカバーもつけられてるし、残っている部分は、11世紀とか12世紀と考えたら色もよく保存されているし、全体よい状態だけど、残ってる場所が下半身だけ…、うーむ。

france vari 771

幸い、奥の方は、もうちょっと、残っててよかった!と思える状態でした。

france vari 772

「非常に美しいフレスコ画(11 世紀後半、12 世紀初頭)がそこで鑑賞できます。「奇跡的な漁獲」(ヨハネ 21 章 1-14 節)は、これらの描かれた場面の中で最も美しいものであり、「キリストの復活」の後に起こった出来事の 1 つを描いています。」

不勉強で、魚というと、パンと同様、信者の数だけ増やした逸話しか思い出せない私ですが、これは復活のあとのお話なんですね。弟子たちが漁に出たもののボウズで戻ったところ、復活したキリストが岸辺にいて、食べ物を請います。何もないというと、キリストが、船の右側に網を打ちなさいと言い、言われたようにして見ると、大漁だった、というお話。
キリストったら、あちこちで復活して、弟子たちにびっくりをやってるんですねぇ。

汚れたガラス越しで、反射もあり、ろくでもない写真なんですが、なかなか良い絵で、これしかのこっていないのは残念です。
構成のイメージだけでいえば、ちょっとサンタンジェロ・イン・フォルミスの壁画を思い出しちゃいました。おそらく、多くの人々がくっついている群衆の表し方が似てるだけのことだと思うんですけども。つまり平面的っていうことかな。あと、ほっぺがリンゴで、ビザンチン・テイストも感じられるところかも。

ロマネスク時代の教会は、1271年に取り壊され、14世紀初頭にゴシック様式でたてかえられたということです。ここは教会本体ではなく、参事会室で、回廊とつながっているスペースにあったと思いますので、何とか生き延びたのでしょう。

france vari 773

教会、というより鐘楼の真ん前にある建物、この壁は中世ですよねぇ。
成り立ちから言って、ここは修道院の門前町でしょうから、ここも、修道院関連の建物が残され、それが長年の間に、普通の住居となったのだと思われます。

それは、この修道院が、それだけの権威を持ち、おそらく幅広く利権を有していた豊かな組織だったということなのだと思います。
実際解説によれば、「11 世紀以降、トリニテのベネディクト会修道院の長である修道院長は枢機卿の称号を持ちました。教皇庁とのこの直接のつながりにより、教皇庁により独立性と一定の権限が与えられます。この修道院には、ジェフロワ 1 世の修道院の下で一定数の修道士が数えられています(1093-1132)。この例外的な特権は革命まで続くこととなります。」とあります。
革命は、もちろんフランス革命を意味しているのでしょうから、とすると7世紀にわたって権威を持ち続けた修道院ということとなりますよね。

france vari 774

土地的にも、四方を川で囲まれていて、今でも緑豊かな様子。おそらく農産物なども生産できたでしょうし、見るからに豊かそうな。
革命がなかったら、どうなっていたのでしょうね。

ということで、勘違いの無駄足じゃなくてよかった~、笑。あとさ、中世の壁のお家、あこがれる~。


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不細工ちゃん大賞(フェイ・ラ・ヴィヌーズ37)

2019年8月夏休み、フランス中部の旅、その56(アンドラ・エ・ロワール)

france vari 748

フェイ・ラ・ヴィヌーズFaye-la-Vineuseのサン・ジョルジョ参事会教会Ancienne Collegiale Saint-Georgesです(毎日8時から20時)。

ここは、事前情報に偽りなく開いておりました。

france vari 749

しかし入場してすぐに、内陣の高さが地面と同じであることに気付き、がっかりします。
というのも、11世紀のクリプトがある、とメモしていたからなんです。

なんだよぉ、嘘つき!と心の中で悪態をつきながらの見学開始でしたが、笑、今、解説を読んでみると、こういうことらしい。

「発展したロマネスク様式の建物。周歩廊のある大きなクリプトの上に建ち、身廊は 19 世紀にアンジュヴァン様式で覆われました。」

残念ながら、現地にあった説明版は、歴史の説明オンリーという様子で、一応斜め読みしたのですが、私が興味ある建築内容や装飾に関しての言及はゼロでした。もしかしたら、私の撮影忘れかもしれないですが…。
ただ、その歴史の流れの中で、この土地がローマ以前から定住があったこと、その時代でも、二つの定住民族の領域の境界にあったこと、中世時代も、ポワトーとトレイン地域を行ったり来たりみたいな状況だったようなことは、なんとなく分かりました。この辺り一帯が、行ってみたらそういう土地なのは、このところの記事で紹介している多くの教会のスタイルが、ベリーやポワトーや、周辺域の様式を取り入れていることで分かってきましたが、そういうことなんですね。

クリプトについては、どう見てもないじゃん、と思ったのですが、この教会、急な坂道に建っているんですよね。そして、後陣側が、低い位置にあります。トップの写真です。
二階建てですよね、後陣。つまり、ファサード側からだと、内陣もすべて同じレベルだけど、坂道の地形を利用しているから、実はクリプト、あるってことですわ。
アホですねぇ、現場では、後陣も見ているのに、そのからくり、分からなかったです。ただ、少なくとも内部からクリプトへのアクセスは気付きませんでした…。

もしかして、アクセスできたのかもね。今更くよくよしても始まらないので、何も気付かなかったかのように…。

二番目の写真で、内陣に続く勝利のアーチの脇に、小さな通路がありますが、これは、前にも言及したベリー様式だと思われます。
そこから、翼廊と交差する部分があり、クーポラが持ち上げられ、その先が内陣となりますが、どうやら内陣部分は、先に言及のあったクリプトの構造と呼応しているようで、周歩廊プラス礼拝堂となっていて、本堂が一身廊で、こじんまりしているにも関わらず、その聖所の広さには驚きます。

france vari 750

周歩廊の奥からファサード方面を見ると、遥か彼方。本堂と内陣と、同じくらいあるんじゃないか?

ここらには、装飾的な柱頭が沢山並んでいます。

france vari 751

かわいいとは言い難いが…。二つ身体一つ頭のスフィンクスですかね?
ここね、副柱頭というより、柱頭本体の上部って感じだけど、そこの帯装飾も、バリエすごくて凝ってるのがすごいよ。

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これもかわいいとは言い難いんだけど、笑、装飾的な帯、なかなか。

france vari 753

ちょっとさ、かわいくなさが桁外れなのが残念なんだけどね。何だろね、この石工さんのセンス。デザイン系の人だから、具象はもう投げてるんだろうか。いや、ヘタではないよね、ただかわいくないだけだけども。

france vari 754

それにしても、白いです。結構近年修復やお掃除がされたのかもしれないですね。
自分の好みから言うと、全然違うけど、こういうのがオリジナルだったんだろうと思うし、フランスは忠実にオリジナルを守る方向性だということなんですね。考えたら、今なお彩色柱頭をこれだけ彩色状態で保存しているのもフランスだけだしな。

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ここも、装飾的な帯がすごくて感心します。もちろん具象系は、可愛さほぼありませんし、笑。

沢山の不細工ちゃんたちの中で、一等賞はこの人!

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これはいいよね。なんかびよーんとしたものをハムハムしてるところで、誰かに声かけられて、「んあ?」みたいなときだよね、笑。一心不乱にハムハムしていた様子があって、ナイスシャッターチャンス!みたいな一瞬を感じます。

france vari 757

絵巻物風もありました。

なんせ、へちゃむくれ系満載なので、そういうのが好きな人にはお勧めできます。

外も見ておきます。

france vari 758

シンプルなファサード。これは、全部再建くさいです。装飾性は、ほぼありません。
ちなみにここでも、坂道の様子が分かるかも。右側の道、先が途切れていますが、そこからぐっと急な下りになるんです。

鐘楼は、かなりごちゃごちゃしています。

france vari 759

その他軒持ち送りも、不細工ちゃんでいっぱい。

france vari 760

見学終了は17時過ぎで、疲労困憊だったけれど、帰りにまたお祭りに巻き込まれ、抜け出すのに再び苦労しました。夏にはお祭りはつきものだけど、マジ困るよね~。

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