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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ポワトー/シャランテ、32

サン・サヴァン修道院Abbaye de Saint-Savin sur Gartempe
先回のモンモリヨンから、意外にも時間がかかり、暑さにもまいってヘロヘロになって、たどり着きました。教会は、たいてい住所がわからないので、ここも、ナビにはサン・サヴァンとだけ入力していて、暑さで判断力も鈍っている状態で、どうなることかと危惧していたところ、修道院のある広場にすぐたどり着いたのが、幸運といえば幸運でした。




修道院前は広場になっていますが、なんと駐車場。というわけで、駐車の苦労はまったくありません。でもちょっと興ざめ。
世界遺産にもなっている場所ですから、さて、どういう風なのでしょう。




さすがに、世界遺産で、こちらにいらっしゃい、といわんばかりの看板がありますので、自動的にそちらに行きます。
そこは、ショップの入り口でした。
中は、かなり立派なミュージアム・ショップになっています。
ここまでのフランスでの経験値から、こういう状態ならば、当然有料の博物館状態になっているんだろうと思い込みましたので、ショップの方に、見学について尋ねました。
若い兄ちゃん。
マニュアル人間状態、立て板に水の説明で、確かに流暢な英語なのですが、流暢な立て板に水だけに、右の耳から入って、そのまま左から出て行く感じで、要領がつかめませんでした…。途中でさえぎるように質問をすると、マニュアルですから、また最初に戻って、テープ巻き戻し状態で説明が始まる、という感じです。
これはこれで、またフランスらしい対応ですが、心底イライラしましたね~。
最終的にわかってのは、教会の入場は無料で、そこからもあそこからも勝手に入れる、ただし、有料のガイド・ツアーもあります、という話でした。
ガイド・ツアーと、勝手に見学する場合の違いを尋ねるのですが、マニュアルには、そこはインプットされていないようで、またテープ巻き戻しになったため、あきらめて、勝手に見学することとしました。
実際に見学して、ガイド・ツアーの方々が、勝手に見学する場合にはアクセスできないところまでアクセスしていたようなので(二階部分)、そこが有料の意味であったと理解しました。そこを説明しろよ、そこを!
結局この人たちって、やる気がないし、情熱がないし、やはりコミュニケーションに重きを置いていないのが、改めて、よーくわかりました。

というわけで、意外にも無料アクセスし放題の本堂に入場です!

いきなり!




以前も書いたように思いますが、このサン・サヴァンのフレスコ画が、わたしをフランスに導いたのですよ。

ロマネスクをやっている以上、フランスは避けては通れない道ながら、でもわたしは、おそらくイタリア・ロマネスクが好きだし、まぁべつに無理して海外遠征しなくても、くらいに思っていたのです。
そんな頃、愛用の図版豊富な中世専門辞書を眺めていたある日、ふと目に留まったのが、サン・サヴァンのフレスコ画の小さな写真。これはちょっと面白そうだと思ってよく見ると、出典はサン・サヴァン、ただし写真はパリのシャイヨー宮でした。
フランス・ロマネスクに関しては、素人同然ですから、なんだかよくわからないまま、サン・サヴァンとシャイヨー宮は記憶にとどめておいたのです。
そして、その直後、たまたまパリを訪ねるチャンスがありましたので、シャイヨー宮を訪ね、サン・サヴァンのレプリカ・フレスコを目にして、これはいつか、サン・サヴァンに行けということだろうな、と思った次第。
それがきっかけとなり、まずはブルゴーニュを訪ね、そして、その次に、ここに来たというわけです。あの時、中世専門辞書でこの図版を気にしていなかったら、きっとフランスには行っていなかったと思うし、長年ほしいと思っていた中世辞書を買っていなかったら、そもそも目にすることもなかったのかなと思うと、なんだか不思議な気がします。
いや、サン・サヴァンは、世界遺産でもあり、美術史上重要度が高いし、ロマネスクに関しても、多くの先達が取り上げている場所でもあるし、そういう意味ではもちろん、訪ねるべき場所ではあるのですが、でも、こういう自ら気付くアプローチなくして、自分からフランス遠征をしようとは、思わなかったように思うのです。

おっと、長々と来歴を語ってしまいましたが、サン・サヴァンへの思い入れは、結構あったので、立て板に水、のイントロダクションは、心底腹立たしかったというわけです。

それにしても、無料で普通にアクセスというのは、なんか、びっくりしたな~。
ただ、博物館化は激しく、思いっきり観光地になっているのは、残念でした。
子供が叫びながら駆けずり回っていたり、椅子に寝転がって天井の写真を撮ったり双眼鏡で見たり。
寝転がりたかったですよ、わたし、信者でもないし。でも一応教会だろ、ここ?白人のお前がそれをやるか~!と目が点でした。子供にも、思わず、「しっ!」と怒りましたよ。親が怒れよ、親が。教会は叫んで走り回る場所ではないだろうよ。お前ら、単に洗礼を受けただけのキリスト教徒かもしれないけれど、少なくともキリスト教徒だろうよ?こういう人たちも、有料だったら入ってこないんだろうから、そういう意味では、あえて有料にしてほしいと思ったし、教会なんだから、という体裁は守ってほしいと思いました。なぜ信者でもなく、美術にしか興味のないわたしがここまで。というか、実際の信者の人たち、怒れよ!あんなマニュアル兄ちゃん、職員に使うなよ!
等など、結構怒りの突っ込みどころ満載。

とか何とか言いながら、とりあえず、素晴らしいフレスコ画は紹介しましょう。








遠めにも素晴らしい。ただ、本当に遠い。だって、このフレスコは天井画で、天井はとっても高いんです。
この日のために、オペラグラスを持っていったので、肉眼というかオペラグラス経由では全部じっくりと見まして、実は旅に出る際に、いったん自宅を出た後で、はっと気付いて、時間を気にしながらもオペラグラスを取りに戻ったのですが、その甲斐がありましたねぇ。
全体に傷んでいるし、あせた色彩が、実は改めていい味を出しているのです。

でも、すごく近くに見られるシャイヨー宮のレプリカ、この近所にあったらよかったのにとちらりと思いました。本物は本物のたたずまいも含めて味わいたいので、やはり本物である必要がありますが、でもオペラグラスを通してみる絵よりは、肉眼で観察できる(優れた)レプリカの優位性もあるかと思うのです。
しかし、シャイヨー宮のレプリカは撮影禁止で、本物は、全然オウケイ、という事実は、とても不思議です。

見学の最中に、ガイド・ツアーもやってきました。2階に登れることを知っていたら、間違いなく申し込んだのにな。ま、ガイドはどうせフランス語ばかりだから、どうでもいいけどさ。ガイドも怒れよ、うるさい子供をよ。とか思いました。

実はフレスコ画以外にも見るべきものが。
長くなってしまったので、次回に続きます。

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  1. 2013/05/25(土) 05:27:06|
  2. ポワトー・シャランテ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

ぶつぶつ言いながらも・・・よろしおしたなあ!ぶつぶつ・・・のなかみも納得ですよ。
彫り物やフレスコ画には双眼鏡って必携ですね。私も3月の旅の初日のジローナで、ほあぐらさんの指示通りに持ってきてよかったと思いましたです。
  1. 2013/05/25(土) 01:29:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

なんか。ご苦労されてますね。もう20数年以上も前の事
ですから、私の時はまったく普通の教会でしたよ。ガイドもいないし、ショップもなかったし。もちろん世界遺産なんてなかった時代でしたからね。
フランスって思ってる以上にカトリック教徒って多くないのですよ。騒いでる子を見ても信者じゃないと思ってる方が無難です。
  1. 2013/05/25(土) 13:51:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

oteboxさん
双眼鏡、必携ですよね。ジローナでの双眼鏡必携は、あのタピスリーでしょうか。アレは、なんか不思議によいものでしたね。
ついぶつぶつしちゃうのはやっぱりフランス、苦手だから、必要以上にイライラ傾向にあるからなんですよ。フランス好きな方には申し訳ないんですけども。
  1. 2013/05/25(土) 21:30:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

クリスさん
世界遺産って、なんか必要ない場所、結構ありますよね。アレのせいで、変に観光客が増えて、変になった場所って、結構あるんじゃないのかなぁ。
確かにキリスト教徒といっても、多くはただ洗礼を受けただけ、という信者ですからね。でも子供はともかく(といっても、怒りますが、わたしは)、教会でねっころがって写真をとるっていうのは、なんだか。キリスト教徒云々より、本来の人としてのモラルの低さがね。イタリアでは慣れっこなんですが、他ではそうじゃないだろう、という期待感があるもんで。
  1. 2013/05/25(土) 21:33:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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