ラツィオ北部のロマネスク その12
この旅をした今年のイースターまで、とにかく雨、雨、雨、の毎日で、旅の期間中の天候も、まったく期待できなかったのでした。しかし、ミラノからローマに近づくにつれて晴れ間が広がり、降り立ったローマは、とりあえずうす曇り。その後も時々日のさす状態で、これは…?
到着日の天候に、そういえば最近旅先で傘を広げたことがなかったなぁ、もしかして気付いてなかったけど、わたし晴れ女?などと一瞬思い期待したものの、翌日は朝からしとしとと雨模様となりました。
実は山方面に向かう予定にしていたので、どうしようかと迷いましたが、やはり行きたいところには行けるときに行くべし!という(個人的な)鉄則に従って、どの程度の山道かどきどきしながら、山方面に向かってカッシア街道を北上です。目指すは同名の湖の畔の町、ボルセーナ。
小刻みに丘をいくつか越えていく感じで、坂道的には怖くない程度の高低差で、楽しいドライブコースといえる道。当初かなり激しく降っていた雨が、途中から時々晴れ間が見えたりして、どんどん小降りになります。
そして、ボルセーナに到着する頃には、ほとんど雨が上がったのです。おお!やっぱりオレは晴れ女だったのか?気付いてなかったよ~~。
ボルセーナの町は、ここも起源が相当古いようで、もともと城壁に囲まれていた名残が今でもしっかりと残っています。カッシア街道から、ちょっと入り込んだ先に、このような小さな門があるんです。余りに道が狭くて門も狭いので、信号つき。一方通行の幅しかないのです。
道なりだったので、導かれるままに門をくぐったものの、町に入ると、いきなり、激坂道が始まるのでした。
普通、こういうロケーションの町って、旧市街は丘の天辺で、門から先はさほどの坂道がないのが定石なのに、ここは、門を入った途端、すべて坂道。
というわけで、坂道の路肩に駐車するほど厄介なことはありませんので、慌ててユーターンして門を再び出て、城壁外の路肩に駐車。やれやれです。
徒歩で再び町に戻り、先ほどちらりと見えた教会が、まさか目的の教会じゃないよね?と思いつつ確かめると、まさに目的の教会ではありませんか。
サンタ・クリスティーナ教会、または、サンティ・ジョルジョ・エ・クリスティーナ教会
Basilica di Santa Cristina di Bolsena / Basilica dei Santi Giorgio e Cristina。
後方に見える塔は、確かに求める時代のものであるのは間違いなさそうですが、教会そのもののたたずまいは、ちょっと…。
何でこんな姿かって言うと、この教会、時代が何層にも重なっていて、建築史的にはそれはすごい複雑なことになっているんです。外観として中世の名残は、確かに塔にしか見られないのですが、内部には、ローマ時代の遺構(もしかしたらもっと古いかも)から始まって、歴史を目の当たりにできるすごいものを多数抱えています。
これが、その全貌となります。
正面に見えたファサードの右側が、今あるサンタ・クリスティーナ教会部分(1)、その左側には、かなり後代の建造物であるサクレ・ピエトレ(聖なる石)教会のファサード(8)となるわけです。わたしの主な目的は、9と10の部分となります。
その部分は、9時半からのオープンという事前情報を得ていたので、ほぼその時間に到着するように出かけたのですが、現地に着いたら、10時から、ということだったので、まずは本堂をうろうろとしてみました。
ファサードの感じからは、おそらく本堂には何もないのであろうと高をくくっていたんですが、いや、実際はそんなことまったくなくて。
様式的には、かなり中世時代の面影を残した本堂です。ただ、実際にはかなりだだっ広くて、なんとなく落ち着かない雰囲気ではあるのです。それでいて、何かありそうな雰囲気には満ちているのです。
身廊を分割するアーチ構造は、実際、かなり古いものですよね。よく見れば、柱頭には、しっかりと当時の遺構が。よくわからないけれど、動物モチーフで、傷んでなければ、かわいいわたし好み系らしい。
祭壇を見ると、モチーフがそれらしい。
これは相当きれいなんで、レプリカかと思ったのですが、後からガイド本を見ると、発掘で出てきた祭壇の一部を再利用して、改めて祭壇として使っている由。ああ、究極のリサイクルですねぇ。
発掘すれば何か出てきてしまう以上、レプリカなんて作る必要はないということですね。
続きます。
スポンサーサイト
- 2013/06/17(月) 06:46:50|
- ラツィオ・ロマネスク
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
あ~まさに私好みの街の感じだわ~なんか古いけれど穏やかで自然もあって静かで優しい感じ、大好きです。
動物モチーフも素敵ですね。
西洋は石の文化だから中世のものが沢山現存する、何だか羨ましいな。日本は木と紙の文化だから火事があったらもえちゃうんですよね。
日本の彫刻も素晴らしいものが沢山あったんだろうと思うといつもヨーロッパの随所で古い建物があるのが本当に羨ましいな~!戦火から免れたのが京都というのも外国は戦前から日本文化の素晴らしさを理解していたのでしょうね。
あ~素敵な場所だな~!
- 2013/06/17(月) 04:28:00 |
- URL |
- はなさん #79D/WHSg
- [ 編集 ]
洋吉さん
日本の木と紙の軽い建築文化も大好きですが、確かに古いものになると、柱の基部とかしか出てこないのは寂しいよね~。千年から生きながらえてきたものが、結構簡単に焼失しちゃったりね。そりゃすぐ燃えちゃうもんだから、管理も大変だと思うんだけど。
一方で石の文化は、自分好みの中世建築に出会えると、時間にすら感謝したくなりますが、バロックとかルネサンスとか自分にとってどうでもいい建築だと、これ、絶対壊れないんだよな~、などと罰当たりなことを考えたりもします。特に後代に作り変えの憂き目にあった中世建築など見ると、壊れないから再利用という文化の寂しさもあります。
- 2013/06/17(月) 21:21:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]