fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ボルセーナ3 カタコンベ、シングル・ツアー

ラツィオ北部のロマネスク その14

サンタ・クリスティーナ教会、または、サンティ・ジョルジョ・エ・クリスティーナ教会
Basilica di Santa Cristina di Bolsena / Basilica dei Santi Giorgio e Cristina続きです。

10時からしか開かない場所への入場を待って、あちこちうろうろして、10時ちょっと前に戻ったら、なぜかいきなりガイドツアーが始まっているのでした。




知らないうちに、やはりここを目指していたらしいご夫婦がいらっしゃって。10時といったら10時に始めてほしいわ~。慌ててお金を払ってジョインしました。
前回紹介したチボリオ部分から、お話が始まりましたが、意外といつまでも終わりそうもない。ツアーはたったの3人ですが、ガイドのオヤジさんはかえって熱心になっているというか、立て板に水状態です。
でも例によってわたしは、美術史的には、今更ローマでもなくルネッサンスやバロックでもなく、ロマネスクや初期キリスト教以外は、余り見る時間も余裕もないので、気のないことこの上なく、ガイドにしてみたら、いかにも自分の話をいい加減に聞く振りしている外人、という憎むべき存在(多分)。いきなり、「今の話聞いてた?サンタ・クリスティーナの奇跡の話してたんだけど、わかってる?復唱してくれる?」みたいな感じで迫ってきて、びっくりでした。いや、これ、別に試験じゃないし、聞こうが聞くまいがこっちの勝手だろうよ、と思ったけれども、熱心に聴いているご夫婦の気分を害しては申し訳ないので、いやいや聞いていましたよ、奇跡の話ですよねぇ、すごいですよねぇ、あ、ところであれは何でしたっけ、などといい加減に返したら、「ほら、やっぱり聞いていない!」とあきれられてしまいました。とっても疲れるガイドさんでした…。




いよいよ、この大仰な鉄扉の向こう側に入ります。鍵が開けられてぎぎぎ、雰囲気があり、ちょっと怖いみたいなスペース。
改めて、この教会全体のマップで言うと、左側の9の場所となります。







入るとすぐ、こういう感じ。地下にクリスティーナちゃんのお墓があるようです。ここでも鉄扉に入ってすぐ、またガイドさんが熱心に説明を始めましたが、一応紙の案内も貸してくれましたし、わたしとしては、あちこち見回りたくてたまらずそわそわしていたら、どうぞどうぞ、勝手に見て回ってください、とさじを投げられましたので、すぐにも突入です。
この、見るからに古そうな壁には、フレスコ画がありますが、傷みがひどく、ほとんど判別不可能。どうやら10世紀前後の相当古いもののようです。
左側に入り口があり、洞窟のようになっています。




ロンゴバルドの墓Sepolcreto Longobardoと呼ばれる地下墓地。設計的にロンゴバルドのものと勘違いされたために、こういう通称がつけられたのだそうですが、実はもっと古いもので、初期のカタコンベの遺構だそうです。今歩けるのは、さほど広い場所ではないのですが、なんせ、全部で3人しかうろうろしてなくて、ご夫婦は別の場所にいるので、なんとなく怖い感じがして、恐る恐るちょっとだけ足を踏み入れた感じです。

そして最初に入った鉄扉内側の地下はクリプタとなっていて、大きな石棺が置かれております。ここがまさに墓所、巡礼にとっては聖地ですね。巡礼のために、こういう回廊式にされたのでしょう。クリプタそのものは、19世紀に、石棺が発掘された際に作られたものということですが。




そして、このクリプタの脇から、本物のカタコンベへと通じる小さな通路があるのです。カタコンベがあることは事前にチェックしていたものの、クリプタを見るつもりになっていて、すっかり忘れておりました。そういうわけで、明るいクリプタから通路をちょっと進んだら、いきなりカタコンベに突入して、愕然としました。




写真がぼけていて申し訳ないんですが、この全体が基本的に撮影禁止なんで、こそこそ隠れて撮っていたのもあり、ろくな写真がありません。それに、とにかくここは立ち止まっているのも怖くて、さらにびくびくしていたんですよね。
だって、繰り返しますけれど、他に誰もいない状態ですから。ご夫婦もさっさと見学に来ればいいのに、なかなか降りてこないんですから。

これ上に置いたマップで言うと、9の左の方に広がっている通路上の場所。全貌は発掘されているわけではなさそうで、またはある程度発掘したあとで埋めなおしたのかもしれませんが、さして広いスペースではなく、行き止まり構造になっているし、歩けるところにだけ明かりが灯っている状態ですから、迷うような場所ではないのですが、それでも、ちょっと入り込んだ場所でもし明かりが消えたら、真の闇になることは必定。闇が苦手なわたしとしては、なかなか入り込めず、でした。

ところどころに絵などが置いてあったようなのですが。




この穴ぼこ一つ一つが棺だったんだと思うと、ぞっとしてしまいますよ、やっぱり。

さっさと見学して鉄扉の場所に戻ったら、しっかりと閉ざされていて、途方にくれました。しばらく待っていたけど、ガイドさんは来てくれないし、無理やり開けてみたら、何だ、鍵はかかっていませんでした。
帰りがけに、ふと目に留まった聖水盤。




中世のにおいのする文字に、なんだか和みました。カタコンベのシングル・ツアーは二度としたくないです。

ロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
スポンサーサイト



  1. 2013/06/19(水) 05:50:44|
  2. ラツィオ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<アックアペンデンテ1 嘘つき~! | ホーム | ボルセーナ2 ローマから現代まで>>

コメント

No title

あぁ、何だろう、この感じ。私もぞっとしました。霊感はないのですが、スペインのシンデレラ城のモデルになったアルカサールに着いた時のあの感覚を思い出しました。
あのアルカサールもよく調べていないのですが何かあったのだろうというのは感覚で分かりました。人間の五感って意外と当たるもんで、私個人的には渋谷に行くと必ず体調を崩すんですよね。だから渋谷で遊んでいる若者を見てると「皆何も感じないのかな~」なんて不思議だったりするんですが。
前の記事のクリスティーナちゃんの彫刻は素敵でしたね!
でもやっぱ中は怖いな~。
  1. 2013/06/19(水) 15:43:00 |
  2. URL |
  3. はなさん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

洋吉さん、やっぱり繊細で敏感なんですね。わたしはそういうの、全然ないんで、そういう意味ではかなり平気なんですけれど(そういえば、渋谷は働いていた時期もあるので、しょっちゅうおりましたが、何も感じてないし、笑)、とにかく暗闇が苦手。大体カタコンベってガイド・ツアーがほとんどで、一人で勝手にうろうろできる場所なんてないんで、たまには勝手にうろうろしたいと思ったことありますけれど、いやはや、だめでした。
洋吉さん、きっと、ヨーロッパでは住みにくい体質ですね~。古い建物多いし陰惨な歴史がそこここにあるから、絶対鈍感な方が楽。
  1. 2013/06/19(水) 22:00:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

私、カタコンベの中へは入れなかったのですが、右側の古い部分に見どころがある教会ですよね。人が居たのと、撮影禁止の表示を見て写真を撮らなかったと記憶してますが、違ったのかな?
  1. 2013/06/21(金) 13:40:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

くりすさん
カタコンベは、強烈に撮影禁止でした。ふふふ。隠れて撮影したので、どうしてもピンボケ。
でも、チボリオの場所は、特に禁止じゃなかったです。
  1. 2013/06/24(月) 22:29:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
https://notaromanica.blog.fc2.com/tb.php/1040-3f5377ba
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)