ポワトー/シャランテ、49
ファサードを堪能したあと、いよいよ入場です。
おお、ここはまた、典型的なスタイルで、全面的に彩色文様。全体に色あせているので、薄ぼんやりとした明るさの中では、古色蒼然として、派手派手な印象ではありませんが、創建当時、こういう状態だったとしたら、きらびやかで、すごいものだったでしょうねぇ。
中央身廊から後陣を望む様子。
派手な意匠なのに、荘厳でもあります。
後陣部分は、ここもフランスらしい周回廊となっています。
周回廊部分の柱には、色彩文様がありません。
他の教会の例から言っても、本来はここもびっしりと色で覆われていたのでしょうねぇ。柱頭も同様です。
天井には12世紀のフレスコ画がうっすらと残っています。
アーモンドの中で祝福するキリストのフィギュアですが、かなり傷んでしまっているのが残念。キリストの両脇に腰をかけた人々の姿は、十二使徒でしょうか。
中央部に、小ぶりな木像の聖母子。とっても愛らしいです。雰囲気から、ちょっと時代の下った13世紀頃の作品ではないかと思いました。
柱頭も、普通に彩色のないものから、往時の姿を髣髴とさせる彩色ものまで、いろいろ。
おなじみのアーモンドの中のキリストと、それを支える天使。かわいらしい姿です。
それにしても、このポワトー・シャランテ一帯に広がる、激しい彩色ロマネスクは、どこからきたんでしょう。フランスでは他の場所でも、柱頭彫刻への彩色は時々見られますが、イタリアでは、ないように思います。また、柱まで彩色文様で多い尽くすというのは、ちょっとロマネスクでは、他にはないのでは。
時代を考えると、彩色に必要な絵の具も、高価なものではなかったか、と考えると、スポンサーの財力を誇示するとかそういう意味もあったのかしら。お金持ちや王族などの家はともかくとして、庶民がそういう方向で家屋を飾り立てるということはできない時代に置いて、多分、教会はきらびやかなものを、身分に関係なく身近に見られる唯一の場所だっただけに、今では、「こんなに塗りたくっちゃって…」とか、つい思ってしまう姿も、当時の庶民にしてみれば、天国とはかくや、みたいな感じがあったのかしらん。
考えたら、黄金のモザイクよりは、金も手間もかかってないですね。もしかして、色彩が文字通りきらきら輝くモザイク文化からの系譜、というのもあるのかしらん。
やはり常とは違うロマネスクに出会うのは楽しいことです。フランス見る前と後では、視野が広がり、視点も増えたような気がします。
スポンサーサイト
- 2013/07/25(木) 05:03:48|
- ポワトー・シャランテ・ロマネスク
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0