ポワトー/シャランテ、53
次に向かったのは、サント・ラデゴンド教会Eglise Sainte-Radegonde。
ここはまた、一見ゴシックしかないような外観なんですが、意外とそうでもなくて。
入り口部分が塔になっていて、こういうタイプって、ちょっとロマネスクとしてはどうよ?という雰囲気なんですけれど、細部を見ると、過渡期的な装飾がたくさんあるのです。実際の訪問から時間がたってしまった分、実は、訪問時の印象をかなり忘却しているのですが、写真を見ながら、そういえば、ここは公園のお隣にあったなぁ、等と反芻しながら、自ら撮影した写真を懐かしく見ております。
この教会の構造は、長い時代の集積でして、かなり複雑なことになっています。
上の図で、黒い縁取りの部分が初期キリスト教時代のもの。6世紀くらいのもののようです。後陣部分と、前面の塔の基部ということになりましょうか。
今ある上もののかなりの部分は13世紀、ゴシックの時代のものとなりますが、ロマネスク時代の遺構が、よい感じに残されていて、多くの時代の遺構のマッチングが、面白い効果を生んでいるような、そういう教会です。
塔の上の方は、構造的なアーチ部分はともかくとしても、軒送りの彫り物などは、ほとんどゴシック時代です。
でも、窓周りのアーチを含む円柱やその柱頭等は、明らかにロマネスク時代。こういう風に、プロポーション的に高すぎるくらいに高い窓の感じは、フランスっぽいです。イタリアでは余り目にした事がないように思います。
後陣側は、完全にゴシックです。
でも、下部のアーチとか、上部の窓周囲の円柱と柱頭の組み合わせには、やはりロマネスクの遺構がしっかり残されているんです。
こういう風に、長い間、実際に祈りの場として使われた場所には、各時代の遺構が明らかに残されているケースが多いですが、その時々、実際の時代においては、どういう風になっていたんだろうなぁ、と思います。ローマ時代とかの基部があって、ロマネスク時代に、同じ基部の上に工事がされて、一部残しながらゴシック時代に天井部分が高くされたりして、そういう変更が加えられる度に、いっそ壊した方が、簡単なんじゃなかろうか、というような話があったのかもしれないし、壊そうとしながらも、もともとあったものを生かそうとする発想も常に出てきたのだろうし、きっとその時々の棟梁さんの見解というのも、場所ごとに違ったんだろうし。棟梁の仕事も、ただないもないところから作るよりも、大変だったんじゃなかろうか。
なんていうことを妄想すると、楽しくなってきますね。
この教会、内部もミスマッチの嵐で、楽しかったです。
今週は更新が遅くて、ポワトー地域最後の山場なのに、全然集中できなくてすみません。続きは次回。
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- 2013/08/03(土) 06:45:13|
- ポワトー・シャランテ・ロマネスク
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