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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

中世を独り占め

ポワトー/シャランテ、54
サント・ラデゴンド教会Eglise Sainte-Radegonde続きです。
中に入ります。




一見すると、ゴシックになってしまっているのかな、という様子にも見えますが、ここは、全体がゴシック・テイストにはなっているものの、過去の遺構があちこちにしっかり残されていて、ロマネスク好きにも楽しめる教会です。
まずはなんといっても、お得意の周歩廊、そしてその内側にある巨大な円柱と柱頭に注目です。ここも激しく彩色されていて、エキゾチックというのかなんというのか。




なんか激しいですよねぇ。はではでしくて呆然としてしまいます。色彩がいい感じにあせているのもあって、決してひいてしまうような派手さではないんですけれど、それにしても、この感覚ってなんでしょう。何もないスペースが怖い、禅のま反対をいく西洋の美術ここにあり、みたいな?ここまで来ると、空間つぶしまくりのイスラム風でもありますし。

でも、柱頭はかわいらしいですよ。




上下になった獣に耳をかまれ足をかまれ。誘惑?または聞かざるの図かしらん。
こちらは受胎告知かな。




マリア、ボーっとしていてかわいい~。ライオンに足をなめられちゃってます。うーんと、なんだろう。やたらとライオンがいます。そういえばフランスはどこに行ってもライオンおよびそれ風獣が圧倒的に多いかも。

こちらはアダムとイブ。




彩色がなかったら、おそらくかなり印象の違う浮き彫りです。素朴だけど、人物フィギュアはシンボル化(っていうか、デザイン化)してないし、これはこれで特徴的な彫り物かも。

本堂の構造は、一身廊で、翼廊が突き出ている文字通り十字架型。身廊の壁には、ずっとアーチが並んでいて、上の方には軒送りに、面白い彫り物が並んでいるんです。これもちょっと珍しいスタイル。




軒送りの変なフィギュア。





後の方は、働く人かな。夢中になって怖い顔になってるのかしらん。ま、ちょっと時代が下っていますね。上の方にはステンドグラスの窓がはまっています。

そうそう、内陣部分が高くなっているので、気付いた方もいるかもですが、クリプタがあります。とても小さいスペース。




今もそのままなのかどうかわかりませんが、聖女が眠るためのスペースでしょう。一部はオリジナルの構造で、とっても古そうな石棺を取り巻く壁は、やはりアーチで円柱つきの素敵な装飾でした。こういう場所は、他に誰もいないと、怖いような気持ちになりますね。

ちょっと取り止めがない感じもあるんですけれど、ミスマッチが面白いともいえて、結構楽しめる教会でした。ポワティエは、ノートル・ダム周辺の旧市街中心地だけに人が集中しているので、それ以外の教会はほとんど人が来ず、静かに独占できるのも、中世をめぐる旅をしているわたしには嬉しいことです。

もう一箇所、行きますよ。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2013/08/06(火) 05:26:42|
  2. ポワトー・シャランテ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

ポワティエに行ったことはあるのですが、 この教会には行くていません。柱頭の写真上二枚とも 私は「獅子の穴のダニエル」ではないかと思うのですが。
ライオンの穴に投げ込まれても ダニエルは神がライオンのが口を閉ざしたためにたべられなかったのです。 また下の写真は衣からマリア様っぽくみえますが、獅子が足をなめているのは見たことがないので、拡大してよく見ると左の人は壺みたいなものを持っていて、天使が髪をつかまれています。これは天使が予言者ハバククに命じて髪をつかみ たべものを届けさせた、という話を彫ったものと、思うのですが、どうでしょうか。
石棺の彫刻も気になります。行きたいなあ。
  1. 2013/08/06(火) 02:54:00 |
  2. URL |
  3. yk #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ykさん
素晴らしい観察、ありがとうございます。きっと、そういうお話じゃないでしょうか。同じ柱頭の他の面には王様風の人物が彫られていたし。
わたし、聖書はメジャーなエピソードしか知らないので、これはおそらく聖書の話じゃなかろうか、と思うと、おもむろに「絵で見る聖書物語」というムック本を取り出して、それらしいものを探すというレベルで(子供レベルです!笑)、なかなか細かい部分までは。
ライオンに囲まれているのは、ダニエルさんかも、と思いますが、どうも人物像がダニエルっぽくないっていうか。どうでしょうね。
こういうのは、その場ではなかなか細かい部分まで見えないので、後付で結構楽しめます。ブログにまとめると、そういう楽しみもありますね。
  1. 2013/08/06(火) 21:22:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

この柱頭彫刻は色にだまされちゃいますよね。赤に青ときたら マリア様と思います。でも足をライオンがなめているという記述で待てよ、とおもったわけです。ライオンときたら獅子の谷のダニエルを連想しますので。コモのサン・フェデーレのところで 私のHPにもかいたのですけれど、ツアーは自分のペースで見るわけにいかないことはありますが、利点はこういう図像を説明してくれるところですね。
ダニエルは旧約のダニエル書に出てくる人物ですが、ハバククなどは外典なので、誰かに説明をきくとか、関連書を見る以外にないですから。
上の写真はよく見るとその両横にもライオンに耳をかじられそうな人物があるので、その後ダニエルを陥れた人物達が逆に獅子の谷に投げ込まれて食べられてしまった、ほうの話かもしれません。
お料理記事もたのしませていただきました。モンツァ、いきたいです。
  1. 2013/08/07(水) 01:44:00 |
  2. URL |
  3. yk #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ykさん
ほんと、聖書の勉強しないとねっ。と思いつつ、所詮アバウトに見るのでいいかって感じで、必要に迫られて読むに限られちゃいます。
ダニエル話にもいろいろバリエがあるんですね。ダニエルさん以外にも投げ込まれちゃっているんですか。ほぉほぉ。悪人はバリバリ食われてオウケイなんですね。キリスト教、ある意味、潔いよね。
  1. 2013/08/08(木) 22:19:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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