fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

なつかしの、パリオのメロディー

イタリア王道観光旅行11

トスカーナに移って、拠点はフィレンツェですが、フィレンツェ到着と同時に、シエナ半日観光に出かけました。駅前からシエナを結ぶ懐かしいSITAの青いバス。




実はこのバス、途中で停まってしまったんです。
通りすがりの車が何か合図をしてくれて、そうしたら運転手さんが路肩にバスを停めて、後方のタイヤを点検に行きました。その後、運転席に戻り道具箱のようなものを抱えてまた戻り、の繰り返しで、何が起こったのかもわからないし、いったいどうなっちゃうんだろう、と不安になりましたが、10分くらいで何とか再発進。ほっとしました。
なんせ、シエナでランチをいただきたいという目論見で、取るものもとりあえずフィレンツェを後にしたのですが、定時についてもレストランに向かう道のりを考えると、ぎりぎりの時間でしたので、どきどきです。
幸い、5分くらいの遅れで、シエナ到着!




なつかしのモンテ・デイ・パスキ銀行本店。確かこの先にナンニーニのパスティッチェリアがあって、当時よく食べたジェラートは千リラ(0.50ユーロ!)だったよなぁ、と思ったのもつかの間、新たな問題勃発!
道がわからない…!

かつては、町の隅々まで、裏道や坂道や抜け道みたいのも、自分の掌のように知っていわけですが、そりゃこれだけ時間がたっちゃ、忘れますわ…。お店だってずいぶん変わっているし。
ひとつ行きたいレストランがあったのですが、住んでいたときから得意とする地域でもなかったこともあり、地図を見てもまったくお手上げ。その上、パリオを二日後に控えている町は、半端じゃない数の人々が往来しています。この時期は、観光客もすごいけれど、里帰り人口も含めてセネーゼ(シエナ人)の数も大いに膨らんでいますから、どの道も満遍なく人に埋もれていて、人並みをかき分けて歩かなければならなくて、ますますわけがわからなくなります。

そんな中、いきなり馬を先頭にパリオの歌を歌いながら練り歩くコントラーダに遭遇。狼さんチーム(ルーポ)だったと思います。




らーらーらーらららーらーらー…、懐かしいメロディー、ぞくぞくしました。

昔々、ミラノに来る前のさらに昔、シエナに一年ちょっと滞在しました。表向きは語学留学というやつでしたが、実際に学校に通ったのは、半年にも満たない期間で、後はアルバイトをしたりして、ぶらぶらと遊んでおりました。

シエナに住みだしたのは秋でしたから、パリオの盛り上がりは終わっていましたけれど、結局翌年の同じ時期まで過ごしたために、次のパリオに向けて徐々に町が盛り上がって、パリオの準備やお祭りや、各種の事前行事のほとんどを見ることができました。超早朝に起きて、馬の試走まで見に行った記憶があります。
当時は住んでいる外人の数が今よりはかなり少なかったこともあり、いろんな行事にたまたま遭遇して飛び入り、という牧歌的なこともありました。パリオが近づくと、参加するコントラーダは、地域の路上にテーブルを並べてにわか宴会場(下の写真は、今回遭遇した宴会の残骸)を作って騒ぐのですが、そういうのにも参加させてもらったことがありました。




シエナの人たちは、基本的にとっても閉鎖的ですが、それでもそういうところあったんですねぇ、今思えば。
シエナを去ってからもかなり長い間、パリオのある日は、必ず早く帰宅してテレビ観戦したものです(パリオは、必ずテレビ放映されるのです)が、すっかり忘れるようになったのは、いつ頃からか。きっとそうやって、町の地図も何も、忘却していったんですね。

パリオのことは、きっと多くの人が他でも書いていると思うので、ここでは触れませんが、裸馬の競馬、というだけでは絶対にわからない面白い祭りです。もしこれからシエナに滞在される方がいらしたら、是非現地で勉強してみてほしいと思います。中世から連綿と続く文化歴史的な面白さ、同時に余りにイタリア的なそのからくり、それを知らないことには、楽しめない競馬でもあるのです。

話を戻しますと、ランチを食いっぱぐれるのは嫌だったんで、結局、あそこなら絶対に間違えずにたどり着ける、というレストランに行き、無事、おいしくて楽しいランチにありつくことができました。レストラン編は、別記事にまとめることとします。

なつかしのカンポ広場。




住んでいる頃、ここを通らなかった日はないです。寂しくなると誰かいないか出かけたりすると、たいてい知った顔に出会って、おしゃべりして、そういう場所でした。
今回びっくりしたのは、ドゥオモに入るのが有料化していたこと。




イタリアはカトリック総本山があるせいもあるのか、教会で入場料を取る場所が、フランスやスペインに比べたら圧倒的に少ないんです、今でも。宝物館やクリプタだけは有料でも、本堂はたいてい無料。
そんな中、まさかシエナのドゥオモが有料とは、本当にびっくりしました。
本来、好みのスタイルではないですが、住んでいる頃は、クリスマスやらお正月やらイースターなどの行事がある度にきていたし、パリオの際、馬を連れ込んでのミサだってもちろん参加したし、当時の生活に結構密着した思い出の場所でもあるので、お金を払って入る、っていうのが、まったくぴんと来ません。
観光と思って、本堂だけ入りましたが、なんと、せっかくの床モザイクが、人が多すぎるからということで全部覆われていたのには呆然としました。有料なのに隠すなんてひどすぎる。




どこに行っても、いいときにあちこち行っておいてよかったな、と思うことが多いです。シエナも、わたしのあとに滞在した人の話では、ずいぶんといろいろ変わってしまったようで、最後のいい時代だったかもしれないと思ったり。やっぱり、この20年くらいで、観光地化は恐ろしく進んでいますね。




離れてすぐは、何を見てもいろんな思い出がよみがえって、何とはなしに泣きたい気持ちになったものですが、これだけ遠くなってしまって、道すらわからなくなると、過去から完全に離れたクールな気持ちでした。心の片隅に、ちょっとだけ何か引っかかっているような。

かつて長く住んでいたアパートを見に行ったら、その前に最近流行の北欧の100円ショップがオープンしていて、アパート見学もそこそこに、ショップに突撃。クールっていうか、ミラノにもあるのにさ~(まだ行ってないだけ)。われながらあきれました。

結局時間切れで、プッブリコ宮にも入れず、シモーネ・マルティニは、ウフィッツィ美術館を待つことにして、今度は夕飯の時間が気になって、早めにフィレンツェ行きのバスに乗り込んだ次第。食事に大いに左右されていますが、おいしいものをきっちり食べるのも、旅の醍醐味ですからね~。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
スポンサーサイト



  1. 2013/09/05(木) 05:26:13|
  2. 旅歩き
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<奇跡のなかの奇跡 | ホーム | 最後は中世で。>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
https://notaromanica.blog.fc2.com/tb.php/1084-9d913a12
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)