ラツィオ北部のロマネスク その22
トゥスカニア4
前回まで紹介したサンタ・マリア・マッジョーレは、町に入るかなり手前の坂道の途中にありますが、その坂道を登っていくと、左に現在の旧市街に通じる比較的平坦な道、そして、右には、さらに急な坂道があり、その坂道の突き当たりに建つのが、サン・ピエトロ教会Basilica di San Pietroとなります。
余り急な坂道で怖くなって、すぐに後戻りして、旧市街入り口にある平坦な駐車場に車を停めて、徒歩で上りました。情けないですが、坂道の途中でエンストして、坂道発進がうまくできないもので、後ろに転がり落ちそうになったことがあるもんで、先の見えない坂道は、本当に怖くて…。
坂道の突き当たり、右側に、教会があり、左側には、エトルリアの遺跡のある緑が広がっています。訪ねた日は、残念ながら、雨のぱらつく曇りでしたが、晴れていたらこの丘からは、絶景が楽しめることでしょう。
坂道の途中からは、サンタ・マリア・マッジョーレを望むこともできます。
本堂は、大きな塔に隠れちゃっていますが、塔のあるのがサンタ・マリアです。
位置関係を、さらに分かりやすく見ると、こういう感じ。
サン・ピエトロの方が巨大で、建物全体の美しさは勝っているかも。いや、勝ち負けではないけれども、やっぱりカテドラルの位置にあっただけに、というところが感じられるような。半円の後陣も、ほっそりと背が高くて優美なんです。
そして、ここ、クローズの時間に来ちゃったら、本当に心底悔しくなるだろう造りなんです。全体が、壁に囲まれていて、入り口の鉄扉が閉められたら、ファサードに近づくどころか、一ミリだって目にすることができない構造です。
鉄扉を潜り抜けて中に入っても、右手には比較的新しそうな建物があって、エトルリア時代の彫刻などが無造作に置かれています。この辺には有り余ってるんだろうなぁ。
そして目の前に広がる公園状の緑。
あら、教会はどこに?と思って数歩進むと、右手の眺めがこれです。
ファサード、レンガ積みと白い石の二色使いは、サンタ・マリアもそうでしたが、サンタ・マリアの方は、とても狭い場所にファサードがあるので、全体を愛でる余裕がなく、こういう風にバランスを楽しむことができないんです。こっちは、緑とレンガと白と、そしてしつこいですが、晴れていれば空の青と、すべてのコントラストが計算されているような美しい眺めを、余裕で楽しむことができます。
また、いきなり目の前に広がる出会い、とてもインパクトあって、いきなり舞い上がってしまいました。
創建は8世紀で、15世紀までカテドラルだった教会です。かなり長い間、現役も現役で使われてきた教会ですから、時代ごとの異なる装飾がちりばめられていて、その集大成ともいえるファサード。
衰退した時代のにおいも若干ありますね。ディテールに面白いものがぎっしり。大好き系な超素朴浮き彫りも発見。じっくりご紹介していきます。
側壁の方も、細かいアーチ、大き目のブラインド・アーチと、装飾的で美しいです。付け柱も、壁と同色で地味ながら優美。
塔が二つもあって、すっごく無骨なのも印象的。
ひとつは、ほぼ本堂と並ぶような横位置、もうひとつは、教会との関係が不明な位置関係にあります。丘の天辺という場所柄、かつては城壁に沿ってあった物見の役割をになう塔だったのかもしれません。形状的にはかなり古そうに思います。
それにしても、旧市街はずいぶん以前に今の場所に移動していたと思うのに、よく15世紀までカテドラルでいたということがちょっと不思議。早く詳細を調べてみたい、と思いつつ、まだたくさんやることがあるので、調べるのはずいぶんと先になりそう。印象だけは覚えておきたいと思います。
続きます。
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- 2013/09/25(水) 05:30:24|
- ラツィオ・ロマネスク
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