ベネチア・ビエンナーレ2013 その1
ベネチアにビエンナーレ詣出、今回も日帰りで行ってきました。
今年はアートの年。建築に比べると、「体験型」みたいのも結構あるので、見学に時間がかかり、9時40分着18時20分発と言う列車の時間にしばられた中では、かなりのハードワーク。ハードなスケジュールは、中世探訪の修行旅で慣れているとは言え、ゲージツ品の量が半端じゃないので、最後の方はかなり義務状態になりまして、その上、街のあちこちで開催されているサテライト展を見る時間はほとんどないし、さらに、多数ある共催企画の展覧会(カロやタピエス、見たかったです)に近寄ることもできず、ということで、今後、日帰りツアーは見直した方がいいかも、と思っております。
とは言え、ベネチアは滞在費がかかるので、結局小刻みに日帰りツアーを実施するのがいいんじゃないか、という情けないことになりそうな予感も。
昨年は確か6ユーロだった水上バスの一回券が、なんと7ユーロになっていたし、もともと前提がひたすら歩く、の町ですが、本気で歩くしかないです。7ユーロってひどい…。
今年第55回目となるビエンナーレのテーマは、Il Palazzo Enciclopedico、英語では、The Encyclopedic Palace。百科事典的宮殿。何でもかんでも知りたい、そのために世界中から何でもかんでも集めた宮殿を作りたいという妄想をしていた過去のアーティストの夢であるところの百科事典的宮殿、ということらしいんですけどね。ほぉ、そうですかね。
ちなみに、ジャルディーニおよびそれ以外にある各国パビリオンには、それぞれ各国のキュレーターがいるので、この全体テーマは、それ以外の展示について、ビエンナーレ総合ディレクターが決めるもんです。総合ディレクターは、毎回変わるので、その人ごとの色が出るわけで、ディレクターによって、今回は興味ないとかどうとか、そういうところから見るアートの通もいるんだと思います。
そういや、わたしが建築ビエンナーレに興味を持ったのも、日本人の妹島さんがディレクターを務めるということでした。
今回のディレクターは、Massimiliano Gioniという方。名前はイタリア人ですが、国籍は知りません。わたしは通じゃないので、ディレクター云々語るも何も、ビエンナーレ詣出は習慣になっているから行ってみただけ。どっかで、かなり若手で、ニューヨークのどこぞでキュレーターしている方、と読んだ気がするのですが、確信なし。
でも、急ぎ足見学の結果として、わたしには全体として面白いとは思えず、多分わたしとは志向が違う人だったということなんでしょう。
さて、いつも同様、まずは各国パビリオンの並ぶジャルディーニに、ベネチアを楽しむ風情も何もなく、急行水上バスで直行です。
なかなか来ない水上バス、そして、ジャルディーニのチケット売り場は長蛇の列で、早朝ミラノを出発したのに、入場したのは、既に10時50分頃で、端から焦りまくり。
これまでの反省をこめて、写真は最低限と決めて(数多く撮影しても仕方ないので)、とにかく手近な場所からどんどん見学を開始。
のっけに見たベネズエラ館。いつもはほとんど通り過ぎるだけなんですが、映像が割りと面白くて、この1本は最後まで見ちゃいました。って言っても3分くらい。壁に描いてあるだけの文字が、映像を投射されて、色を変えたり、変に本物の造形に見えたり、物語的な映像になったり。だからなんだ、ってのはありますが、この反対側では、普通のベネズエラの風景が三面に大音響音楽とともに投射されていて、とってもありがち~、つまんない~、と思ってしまったんで。
次はロシア館。最近、妙にリキはいっている展示が多くて、期待大。
なんか、上からジャラジャラと金貨が降ってくる。
降ってくる部屋に入るには、危険なので、ビニール傘をささないといけません。面倒だと思いつつ、一応入ったけど、でも意外とすごくつまらなかったです。上に上ると、金貨をジャラジャラ降らせるためのベルトコンベヤーみたいのがありました。たいそうな器械っぽいのが、ちょいと笑えました。
ダナエ、とタイトルが付いてました。確かに、ダナエ風ですけどねぇ。
お隣の部屋では、乗馬服のお兄さんが、天井の梁に腰掛けて、下には金貨ではなく木屑あり。
梁は、とっても座りにくそうなのに、それもかなり高所なのに、何もしないせいもありますが、気付きもしない人も多いのが、かわいそうでした。でも、こうなると、もうわたしには何がなんだか。面白いのか、これ?
いや、そういう風に見るものじゃないかも、だけど、わたしの現代美術に対する気持ちはそこからなので。
そして日本館。
この9478.57Kmは、福島までの距離、みたいなことが書いてあったな。
キュレーターだれだ?
なんか立派な賞を獲ったみたいなんだけど、館全体のコンセプトがわたしは嫌いでした。津波や地震は忘れちゃいけないし、ありだと思うけれど、なんかアプローチが嫌。
入り口の看板とか中の備品も、昨年の建築ビエンナーレの、「みんなの家」の展示の際に使ったものを再利用しちゃっています。
なんか違う気がする。
そんで展示も、とっても高い評価を受けたらしいんだけど、なんか脳内アートって感じがして、そのちまちま感が、好みではありませんでした。複数の人たちが、一人の髪を切ったり、ピアノを弾いたり、本来は複数でやるべきことじゃないことを複数でやる、みたいな作品で、ビデオがそれを流しているんだけど。
ひとつでも、本当にやってほしかったな。そこだけじゃないけど。
あとね、パンフレットも丁寧すぎ。このところ、どんどんせこくなってて、どこもそんなに無料の紙資料置いてないし、置いてあっても、ぺらぺらの紙に説明があるくらいなんだけど、日本館の資料はすごい上質紙にカラー印刷なんてして、それが複数あったりします。おそらく、日本人が説明薀蓄好きなので、作品を語りたいトレンドがあるのかも、だけど、やりすぎな気がしてしまいます。
そんでもって、ビデオ、長いんですよね。最短で30分強?
詩人が5人集まって詩を作るみたいなビデオは、せっかく日本語だったけど、よく聞こえないし、字幕みるのは面倒だしで、もう5分見たら飽きちゃうオレ…。椅子があるから、見学の最後に、休む気で来るにはいいかも、とか邪道なことを考えてしまった。わたし、ほとんど一日の初めで、足もまだ元気だったしな。
もともと、ビデオ作品って余り好きじゃないし、それもこういう、語っちゃうって言うか、全部見ないとわかんないじゃん、って言うのは、だめだわ~。これがライブだったら、それなりに見たりすると思うんだけど、だめかな、この感覚。
ということで、さくさく行きたいのに、やっぱり躓いてしまいます。
次回からはさらりと。
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- 2013/09/30(月) 05:12:14|
- アートの旅
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| コメント:2
幾た都度公共交通機関の料金が値上がりしていたりするのですが、またヴェネツィアのヴァポレットの料金、上がったのですね
これはホント歩くしかない!!
同感です、スーツケースなんて持ってたら荷物分もなので、泣いちゃいます
ビエンナーレは一昨年に訪れた時、休みを確認せず行ってしまい、休館日で、観光して帰ってきました(笑)
久しぶりに行ってみたくなりましたが、今回は時間がなさそうなのが残念です
ゆっくり見ると一日でも見きれなさそうですね
- 2013/10/01(火) 01:21:00 |
- URL |
- regina #79D/WHSg
- [ 編集 ]
Reginaさん
この数年来、ヴァポレットの料金はちょっと信じがたいです。宿泊時は、36時間とか48時間のチケットを買いますけれど、島にでも行かない限り、そう乗るものでもないし、かといってすべて歩くのは、本当に辛いもんがありますよね。といいながら、歩いてしまいますが。
だから、宿泊は、たいてい鉄道駅の側にしてしまいます。
ビエンナーレは、機会があったら是非。これは、ヴァポレットに比べると、お値段的にはかなりお得感があります。笑。
- 2013/10/01(火) 20:52:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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