ラツィオ北部のロマネスク その28
カステル・サンテリアのバジリカBasilica di Castel Sant'Elia、続きです。
修復中でクローズだったにもかかわらず、なぜか扉は鉄扉だけで、中の様子が見えたのは、本当に嬉しいことでした。とは言え、肉眼では余りよく見えませんでしたが、こういうときに威力を発揮するのがズームですね。20倍のカメラを持っていて、本当によかったです。
正面扉の鉄扉越しに、パチリ。
中に入りたいなぁ、としみじみ思わせる雰囲気のある本堂です。三身廊それぞれに後陣があり、それぞれに美しいフレスコ画があります。
掲げられていたお知らせには、修復は2012年11月から2013年4月末までとありました。訪ねたのは3月末、終了も近いことから、もしかするとフレスコ画も、修復終わったばかりのぴかぴかの状態なのかもしれません。遠目だし、それ以前の姿を知りませんから、フレスコにも修復が入っているかどうかは分からないのですけれど。
右身廊の奥に見えた、黙示録のフレスコ画。
色が美しいです。緑も青も、とってもゆるい柔らかな色で、幻想的な。保存状態はかなりいいようでした。おじいさんたち、りんごのほっぺで、愛らしいんです。
一方、左身廊も、逆向き、つまり中央後陣に顔を向けた黙示録。でも、残念ながら、こちらは残っている部分も限定的だし、絵も、相当傷んでしまっているようでした。
ちなみに中央後陣部分には、「祝福するキリストと両脇に聖人らしい人物」という絵がありましたが、写真は残念ながら大失敗、大ボケで見られたもんじゃありませんでした。後陣前にチボリオがあったので、下部もよく見えませんでした。羊が並んでいたり、かわいらしいモチーフに、やはり暖かい色彩が垣間見えましたので、残念。
今頃、このあたりを旅されている友人がおりますので、この教会が現在どうなっているか、必ず確かめたいと思います。
内部では、フレスコ画のほかにも、床のコスマーティ・モザイクとか、古典的な柱頭が、注目ポイントです。
ちなみに上の写真を縁取る白い部分は、鉄扉の超接写…。辛い状況をご理解いただけるかと…。
とにかく全体に淡い色彩が、わたしは好きでした。いつか近くから見られるチャンスがあることを期待します。
気を取り直して、ファサードの装飾へ。
全体に地味そのもののファサードですが、扉周りだけは大理石の彫り物がたくさんあって、地味ながら華やか、そして、わたし好みのモチーフばかりで、心躍るものがびっしり。
一番気になっていた、左扉の装飾。
モチーフや形状から、おそらく古い説教壇の石版を活用したものだと思われます。組紐部分がうまくカーブで組み合わされているので、一瞬こういうもんかと思ってしまいますが、どうやら二つの部分を実にうまい具合に組み合わせたのですね。
一方で、右扉の方は、アーキトレーブがかわいらしいです。
グリーンマンから吐き出された蔓を、ガジガジしている獣が、わたし好み~。
ふんっ!て後ろに投げ出している右後ろ足の様子も好き~。
中央扉もかなり地味ですが、よく見ると、やっぱり再利用の部分がたくさん。
アーキボルトも、いろんな破片の組み合わせだし、扉両脇の柱部分も、みな継ぎ接ぎなんですね。モチーフがつる草や組紐なので、継ぎ接ぎなのに一貫性があります。
アーキトレーブ部分には、動物フィギュアがありますが、ここは石の種類も違っています。多くの破片部分は、ロンゴバルド時代、つまり古い時代のものですが、このアーキトレーブと、両脇の柱部分装飾に、ロマネスク時代の風味が見られるように思いました。たとえば、この人たち…。
後代の手が多く入っている(多分)分、全体のたたずまいとしての魅力には欠けるかもしれない教会ながら、ロケーションが素晴らしいし、ディテールが本当に面白いのです。必ずや再訪します。
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- 2013/10/18(金) 03:06:26|
- ラツィオ・ロマネスク
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| コメント:3
石工の技術の高さが解かる飾りですね。
拍手だけのつもりが・・・・・
石工の仕事を見て、エジンバラ在住の折のロズリン教会の壁の石工仕事を思い出しました。
- 2013/10/17(木) 23:35:00 |
- URL |
- 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
- [ 編集 ]
山下さん
コメントありがとうございます。ロズリン教会ですか。早速調べてみることにします。
ここの彫り物は、過去のものとか、あちこちから持ってきたものを再利用で組み立てている感じではあるんですけれど、でもその再利用にも、やはり棟梁のセンスって反映されると思うので、そういう意味で、とってもセンスのある人たちがいたんだろうなぁって思います。
- 2013/10/19(土) 22:20:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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