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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

三代目、すごいぞ!マローロ

ピエモンテ呑み倒れ旅、その4

今日も今日とて、朝からグラッパ試飲の旅!
修行とは言え、厳しいね~、とかなんとか言いながら、グラッパ倶楽部、楽しい一日の始まりです。
なんせ、朝も早よからグラッパの試飲が予定されているので、朝ごはんはしっかりいただきました。チーズもハムもヨーグルトも。なんといってもアルコール対策、胃幕を保護しないとね!
しょっぱなは、友人の一人が、今回どうしても訪ねたかったというグラッパ生産者です。

マローロ醸造所
Distilleria Santa Teresa dei Fratelli Marolo
Corso Canale 105/1, Frazione Mussotto Cn I, Alba




街道沿いにある、至って普通の。地方の会社風建物。道に看板は出ていますが、にわかにはお酒関係とは思えないような近代的な雰囲気、大衆にこびたところが一切ない面構えの会社です。

営業開始して間もないような時間。いいのかな~、という雰囲気の中入ると、試飲ルームに通されました。




今、担当者が来ますから、ということで、並べられたグラッパ各種を眺めて待っていると、やってきたのは、超さわやかなイケメン青年でした!早速試飲開始です。




イケメン青年は、直系三代目!
なんと、日本の慶応大学にも留学していたという方で、その上、繰り返しちゃいますけれど、イケメン!その三代目が、朝っぱらから情熱的に自社のグラッパを語ります。もちろん、説明と同時に、正しい順番で試飲をさせてくれます。




何種類いただいたことでしょう。これまた繰り返しますが、朝の10時ごろですからね。朝ごはんのチーズやハムの摂取に感謝しつつ。
そういえば、ここでもお口直しは、チョコやジャンドゥイオットなど、甘いもの系でした。グラッパってつくづく、蒸留酒なんだね。ついさっき朝食をいただいたばかりの身体に、40度~50度の蒸留酒と、チョコレート。どうよ、これ。

熟成させていないタイプから始まって、樽での熟成、12年、20年、果ては27年物まで!そして、醸造の様々なやり方や試行錯誤のお話を、いろいろ聞かせてくださいました。熟成させる樽に関する試行錯誤もいろいろあって、たとえば、シチリアのパッシート(干し葡萄を使って作る甘いデザート・ワイン)に使われた樽を、若干液体部分も残ったまま、グラッパに使うことで、複雑な香りをつけるとか、そういうことは、実に興味深いお話でした。

ここに来るまで、とにかくグラッパのことをほとんど知らない状態でしたので、実に勉強になったし、ますます興味が湧いてきました。彼の情熱的な説明によるところも大きいな~!
なるほどな~、と思ったのは、もともとワインも含めた農作物に対する規制の甘かったイタリアで、グラッパは、ワインに比べてもさらに規制が甘くて、最近まで、生産者のやりたい放題状態で、「こういうものがグラッパと呼称できる」という基本定義すらあいまいだったらしいという事実。そういういい加減な世界の中で、よりおいしいもの、洗練されたものを作り出そうとした生産者中の一人が、彼の先祖というか、おじいさんだったということ。

見るからにいまどきの若者そのものの三代目なのに、その情熱的な説明を聞いていると、今の若者というよりも、おじいさんの世代を髣髴とさせる、逆にグローバルな空気というのか、地に足をつけながらも未来を感じさせる空気を感じて、とても好ましいものでありました。そりゃねぇ、まさにサラブレッドではあるけれども、現在の不安定なイタリアに置いて、自身の生産物に全幅の自信がある三代目を得た会社は、本当に素晴らしいよなぁ、と。

試飲のグラッパも、いや、一種類一グラスでいいから、三人で分けるから、と言っても、しっかりとそれぞれに試飲をさせてくれて、それも、どぼどぼと注いでくれるんで、ただ恐縮するばかりでした。捨てるのもったいないし、とつい飲み干そうとしてしまうわれわれ。いや、それ間違ってますから。と思いつつも貧乏性って、嫌よね。

一通り試飲を終わった頃、ちょうど次のグループがやって来ました。三代目は、ごめんね、次も対応しないといけないから、と価格リストを渡してくれて、後は購入するかしないかモードです。試飲ルームに展示してある各種グラッパを見ながら、考えました。

ここのグラッパ、ラベルがとってもかわいらしいんです。




これ、最も多く目に付く鳥のモチーフ。熟成グラッパのラベルなんですけれどね、9年から20年まで、鳥のとまっている樹の状態がそれぞれ違うんですよ。つぼみから始まって、花咲いて、実がなるっていう。
すべてのオリジナル・ラベルのデザインは、おじいさんのお友達で、絵心のある人が作り出したのが始めなんだそうです。どうやら、かなりアーティスティックなお友達関係があったようなんですよねぇ、おじいさんの時代。
で、ラベルにしても、ビンにしても、とってもかわいらしくて独創的なものがたくさんあるんです。当時も今も。






ベネチアのガラス職人に作らせたような、内部にいろんな空洞のある瓶とか、表面に色ガラスがはめ込まれている瓶とか。そしてラベルは、それぞれイラストが本当に愛らしいんですよねぇ。

結局ここでは、デイリーユース向けの、熟成していないものを二本購入しましたが、お値段も、とてもリーズナブルでした。今回はこれだけど、次回は是非これを、と思いながらね。

われわれが購入する際には、試飲対応をしてくれた三代目のお父さん(つまり、二代目)とお母さんが来ていて、おお、よく来てくれました、みたいな感じで、両者ともすごく感じがよくて、家族ぐるみで、もうなんと言うか、こういう人たちの作っているものなら間違いないよね、というオーラ満載。

ここは、定期的に訪ねたい醸造所と思います。いや、よい醸造所ですし、将来が楽しみ。
イケメンの若者の成長も、しっかりと見届けたい(オバサンの発言。明らかに)。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2013/10/20(日) 06:13:01|
  2. グラッパ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

私ノンアルコールビールで酔っ払いますからサングリアなんか死にそうになりますがこの瓶素敵~!

私飲めないくせに上司の接待お付き合い度ナンバーワンでしたから(酒つぎ係)、ネオンの町のグラスだ~ピンドンだ~ってなあたりは良く目にしましたが…こういう素敵な瓶は見たことないな~いいな~こういう場所や瓶で接待お付き合いしたかったな~。
窓からの景色も素敵~!
  1. 2013/10/20(日) 16:19:00 |
  2. URL |
  3. はなさん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

洋吉さん
わたしとしては、思いっきり、洋吉さんを接待したいですよぉ。美しい瓶も、窓からのブドウ畑もありませんが、アルコール度的には素敵なお酒が、我が家にはたくさんありますから~!
グラッパは、40度以上が普通なんですけれど、なめるくらいだと全然オウケイですよ。是非いつか我が家のグラッパ・コレクション、見に来て下さい!
  1. 2013/10/20(日) 22:40:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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