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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

エトルリア遺跡とフランチジェーナ街道

ラツィオ北部のロマネスク その30

春っぽく新緑が美しい道をドライブして、次に向かったのはシュトリSutriです。
そろそろ近づいたところで、いきなり路肩に怪しいものが見えてびっくり。




道沿いが、崖みたいな地質になっていて、ぼこぼこ穴が開いているんです。この辺り一帯、古代のエトルリア遺跡ゾーンとなっているのでした。
中世の旧市街はかなり小高い丘の上にあり、下の方の広い地域一帯、遺跡公園になっています。紀元前5/4世紀に、既に町があったそうなんですよ。道沿いにぼこぼこ見えた穴は、どうやらエトルリアのネクロポリス跡、つまり墓地だったようです。




地図の左端が、そのネクロポリス。真ん中辺りの円形は、劇場跡です。そして右上の方には、なんと岩をくりぬいて作られた、古代の神殿跡もあるんです。
残念ながら、公園のオープンは午前中だけで、到着した13時過ぎには、既に店じまい状態でした。こんなに立派な遺跡、なぜ半日しかオープンしないんでしょうねぇ。もったいないことです。結構観光客も来ていたのに。
路肩のネクロポリスを見て、ぎょっとして興味を持つ人もいるでしょうから、予定外だけど、ちょっと寄って行こうかってこともあると思うんですよねぇ。そういう観光客を思いっきり取りこぼして、午後は閉めちゃうって、なんていうか、つくづくイタリアですよねぇ。




円形劇場跡。緑がとても美しかったです。クローズでしたけれど、鉄扉の間から、垣間見ることができました。緑に覆われて、朽ちている観客席の様子も、廃墟芸術のようで、とてもよい感じの遺跡だと思います。ボーっとしたいような場所です。
そして、古代の神殿ミトレオMitreo。これも中には入れませんでしたが、近くまでは行ってみました。




なんともすさまじい、興味をそそられる場所ではありませんか。
凝灰岩をくりぬいて作られた古代の神殿が、13/14世紀に、拡張されて作られた教会のようです。ローマのサンタ・プリスカの地下にあるクリプタと同じタイプ、というように説明にありました。サンタ・プリスカは予約しないと見られないシステムになっていたので、残念ながら訪ねていないのですけれども。
内部には、フレスコ画や柱頭などもあるようでした。
でも、中世のかなり下った頃に、このような場所を教会に転用したということは、貧しい土地だったということでもあるのかしら。

公園の中は遊歩道になっていて、あちこちに教育的な説明版がたくさんあり、面白い伝説が記されていました。

もうローマは目と鼻の先となるこのシュトリには、多くの著名人が立ち寄った記録が残っているのです。少なくともカール大帝、オットー2世、プロバンス司教のウーゴなど、中世界では綺羅星の様な人々の名が見られます。
伝説は、ちょっとそれをこじつけるためかとも思われるようなお話で、カール大帝に付き従った12人の騎士の一人オルランドに関してです。
同人は、まさにここシュトリの居住地にも近い洞窟で生まれました(おそらく、エトルリアの墓だった穴のひとつ)。母親のベルタは、カール大帝の姉(または妹)であったにもかかわらず、許されない恋愛をしたことで、王宮から追放されてしまい、このような場所で出産せざるを得なかったのです。
800年代の冬、カール大帝が、ローマ皇帝に謁見する旅の途上、シュトリに滞在したと歴史に記されているとのことなのですが、それは、自分の姉妹と甥に会うためだったのかもしれないということなのですね。それにしても、カール大帝の姉が、なぜシュトリに流れ着いたのか、ちょっと変ですけども。カール大帝のシュトリの滞在をもっともらしくするためだったんでしょうかね。




遺跡のある公園内を、かつてのフランチジェーナ街道が通っています。この地域、フランチジェーナ街道の小さな支線が、たくさんあるんだそうです。丘の地形だから、それを縫うようにして村ができて、教会ができて、という成り立ちなのでしょう。本道は、今でも堂々とした場所の多いフランチジェーナ街道も、ここら辺ではくねくねの小路ばかりです。

それにしても、古代から定住のあった土地が中世に街道として人の行き来を呼び込み、現在までゆかりの町があるっていうのは、なんだかすごいことです。二千年以上の歴史が目の前に集積しているんですから、目がくらむような眺めではあります。




これは、公園の入り口、チケット売り場ですけれども、そんなにすごい場所なのに、クローズなんて。しつこいけど、がっかりですよ~!

おっと、古代への寄り道が長くなってしまいました。次回、シュトリの中世を訪ねます。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2013/10/22(火) 05:07:07|
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