ラツィオ北部のロマネスク その31
中世に戻ります。シュトリSutriの旧市街に入るには、結構な坂道を登って丘の上を目指すことになります。坂道の先がどうなっているのか分からない道が怖いわたしは、車を遺跡の近くに駐車して、徒歩で向かいました。
住宅が立ち並んでいる一角に、小さなスペースが開いていて、そこに聳え立っていたのが、これ、シュトリのカテドラルCattedrale di Sutriです。
ファサードが明らかにバロックなのは、既におなじみ。後方に建っている、いかにも中世っぽくて本堂とそぐわない塔が、目印になりますね。
タイミングよく、ちょうどミサが終わったところ、信者がぞろぞろと出てきたところでした。するりと中に入ると、お香の香りが漂っていました。
中はもちろん、きらきらです。
この教会を訪ねた目的は、やはりクリプタですから、内陣に向かって突進です。内陣では、ミサの後片付けをしている女性がいらしたので、入ってもいいかどうか、一応確認。ミサも終わったことだし、いきなり閉められて、クリプタに閉じ込められたら怖いしね。おばあさんはにっこり、「もちろんよ、開いているんだから、どうぞどうぞ」ととってもやさしくて、嬉しくなりました。
入り口で明かりの1ユーロを投入~!
おお~!
円柱の林。遺跡と同じく、凝灰岩が使われているようです。渋い黄色がいい感じ。
柱頭の彫り物は、どれも素朴でプリミティブです。
ほとんどは植物モチーフでしたが、時々動物の頭とか、鳥とかがはめ込まれていました。素朴さが逆に力強くて、全体で、この教会らしい何かを作り出しているような気がしました。
円柱のたたずまいもいいのですが、石のヴォルトとリブの存在感も、うっとりしてしまいます。いつまで見ていてもあきないし、目移りするし、そして本当に林のようで、スペースには限りがあるのに、ラビリント状というのですか、距離感がなくなってしまうのです。
そういえば、果てがない永遠って、中世では、組紐とか渦巻きで表現される定番テーマですが、クリプタの円柱の林も、中に迷い込むと鏡の部屋のような永遠の連続を感じるんですね。これは、今まで考えたことがなかったな~。
夢見心地で、地上世界に戻りました。本堂も、床には中世の名残っぽいコスマーティ・モザイクがびっしりと、美しく残っていました。現役で踏みつけ放題はいいですよね。嬉しくなって踏みつけてしまいます。
教会の起源は7世紀頃に遡るそうなので、クリプタも相当古い時代からあったものと思われます。ずっと町のカテドラルだったから、きっと中世の宝も、それなりに現在まで残されてきたのですね。よかった~。
それにしても、ラツィオ北部は、まさにクリプタの宝庫です。事前に調べたときは実感が湧きませんでしたが、これほど次々と目の当たりにすると、壮観です。
すっかり満足して、道をさらに進むと、なんとちゃんとかわいらしい町の広場がありました。
一軒のバールでカプチーノをいただいて、ランチ代わりとしました。向かいにレストランもあって、ぎりぎりランチが取れるだろう時間ではあったのですが、いつもの癖で、次に行きたくて気持ちがはやってしまったんです。こういう修行旅は、一人旅ならではで、ま、これも醍醐味か。
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- 2013/10/25(金) 02:39:24|
- ラツィオ・ロマネスク
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| コメント:2
素晴らしい教会を何時も拝見していると。何と無く中世の教会の魅力が解かる?様な気に為ってくるから不思議です。
モザイクや柱模様も良い物ですね!
イタリアを旅行している気分を味わわせて頂いています。
あまり日本人観光客の行かない穴場的な処も良いですね!
いつも楽しく拝見していますよ!
- 2013/10/24(木) 23:31:00 |
- URL |
- 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
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山下さん
コメントありがとうございます。
わたし自身、ロマネスクから入って、どんどんとロンゴバルドや初期キリスト教とか古い方にのめりこんでいきますので、古代好きな方だとどうなんだろうと思いますが。でも、石という共通項がありますからね。
このあたりは、確かに結構穴場的なものはあります。村もかわいいところが多いのですが、観光地化していない分、不便だったりもして、好ましかったり。
- 2013/10/25(金) 23:11:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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