フリウリの中世その7
いよいよ、チヴィダーレ・デル・フリウリCividale del Friuliの中世探訪、開始です。
まずは、前回スルーしてしまった場所で、何をおいても訪ねたかった、ドゥオモのキリスト教博物館です。
Museo Cristiano - Duomo
ドゥオモは、旧市街の中心地に堂々と建っており、起源は古いのですが、残念ながら今ある建物に、中世的な見所は皆無。ただ、ありがたいことに、中世の遺構多数が、正面右側にある併設の博物館に収められているのです。
とっても地味な入り口。ドゥオモから右側を入ってすぐなのですが、余り地味なので、存在を知らないと、おそらくまったく気がつかないというような場所です。
(ちなみにですが、この博物館脇に、ワイン関係の情報をたくさん持っている農業関係の協会事務所がありますので、ワインに興味のある方は、一般の観光局よりも、こちらに行った方が多くの情報を得ることができますよ。)
朝一番で出かけて、早く着きすぎて、しばらくオープンを待つという入れ込み具合でした。
中庭になっていて、当時は教会併設の住居地域で、やっぱりこういう風に建物があったのだろう、という雰囲気でした。
建物の下の方にある窓のアーチ部分は、ずいぶんと古いものです。全体きれいにしてしまっていますが、基礎部分は古い建物だということがわかります。中世の町はどこもそうですが、千年から同じ建物を使いまわすって、つくづくすごいことですね。
さて、わたしより後に到着した受付の人は大慌てで準備中でしたが、10時きっかりに入れてくれました。
そして、いきなり、長年気になっていたものたちに遭遇!
え、え、えええ!これは何かすごいのではないか?
受付のところから、すぐ中世のお部屋なんで、見たかったものの全貌が見えてしまうんですよ。驚きました。
しかし、受付の人が、説明をしてくれていたので、そこにとどまるしかなく、気がはやって困りました。
何を説明してくれたかというと、浮き彫りの色。
これ衝撃でしたね。わたし、まったく知らなかったんですよ。
ここにあるのは、わたしの大好きなロンゴバルド時代の、素晴らしい浮き彫りの数々なのですが、当時、その多くは彩色されていたというんです。どひゃ~!
で、一番手前にある石棺の前面に、当時の色彩を再現するシステムになっているので、是非じっくり見てね、という説明だったのです。
すぐに色彩の照射が始まりまして、他を見たいというはやる気持ちを抑えて、じっくりと見ることにしました。
少しずつ、色をつけていってくれます。
アップ。
意外にも、相当派手な色彩でびっくり!そういえば、ロンゴバルドは金銀細工も得意で、宝石をちりばめたり、透かし彫りをしたり、「蛮族」という印象から来る戦闘的なイメージと反して、実に繊細な装飾的な人たちだったんですよね。
全部色がつくと、これ!
ぎょへ~!派手だっ!
遠くから見ても、やっぱり、すごく派手。
面白いですよね。よく見ると、確かに彩色のあった名残が、ちょっとあるんです。それにしても、石の色だけと、彩色のとでは、印象が全然違います。個人的な好みからは、色のない方が好きですが、色つきの方が、テーマやモチーフが分かりやすいのは確かで、本来の目的を考えたら、それは正しい表現法だったのでしょう。それにしても、色彩が豊富だったのですね。ロンゴバルド、恐るべしです。
この時代の浮き彫り、最も多く見られるのは、渦巻き状の植物モチーフやビスケット文様、そして、かわいらしい動物たちのデフォルメされたもので、人物フィギュアは、意外と少ないんですよね。たまにあると、変わったものが多いです。ちょっと宇宙人じみたフィギュアとか。この石棺も、ちょっとすごいんです。
あんまりすごいので、もう一回、続きます。
それにしても、この彩色については、ちゃんと調べたいものです。フランスはポワティエの彩色とどっかでつながるんだろうか、とか。面白い~!
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- 2013/11/24(日) 03:46:33|
- フリウリの中世
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| コメント:10
ラチスの祭壇がこのように着色されていたなんて、もうビックリビックリです。イメージが随分ちがいますね。赤茶色に見えますが、こういうでしたか?実際はもっと赤かった、とか?私はロマネスクの柱頭で 色を再現(だと思います)されたもので、 本当に真っ赤に塗られているものをみたことがあります。
フリウリについて書かれたものの中で新しいと思われる金沢百枝さんの イタリア古寺巡礼(2010年刊)でも このことは書かれていませんから最近の試みなのでしょうか。。
私は10月に北スペインに行き、ここより100年も前の 西ゴート建築を見ました。(ブログに予告写真あり)雰囲気的にはロンゴバルドと似ているのですが、そこでは着色されていた、という説明は なかったような、、、。フリウリ、とても行きたいです。
- 2013/11/24(日) 02:59:00 |
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- yk #79D/WHSg
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ykさん
やっぱりびっくりですよねぇ。
ロマネスク柱頭で赤再現ってどこなんでしょうか。やっぱり彩色、あったんですかね。なんか、フランス・ポワティエから気になっていた部分が、形で示されちゃって、調べないとな~って思っています。すっごく気になってます。
フリウリは、とってもいいところなんで、是非訪ねてみてほしいです。ご飯もワインもおいしいですよ~。
- 2013/11/24(日) 22:49:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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ガヴィさん、好き?わっ、よかった。
ここに行く前に、友人宅に泊まったんですけどね、彼女、この浮き彫り見て、今度わたしも見に行く!かわいすぎ!と言ってくれました。「かわいい」キーワードでも、結構ファンが増えそうな浮き彫りだと思うんだけど、フリウリ地味で、持ってるものの価値を分かってないとこあるし~。残念。
- 2013/11/24(日) 22:51:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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こんにちは!
石棺だけでなく全体がこんなにキンキラキンだったのでしょうかね⁇ (゚o゚;;
ずいぶんイメージがかわりますね!
ギリシャローマも赤とか緑の色が着いていたのと同じくらいビックリです。
面白いですね~ Σ(・□・;)
- 2013/11/25(月) 01:24:00 |
- URL |
- - #79D/WHSg
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フランスの 派手でビックリ教会は オーベルニュの、イソワールにあるサント・オストルモアンヌ修道院教会です。かってに人様のブログをご紹介するのは気がひけますので、検索なさってみてください。ここに行かれた方のブログで 柱、柱頭の写真が見られます。オーベルニュは 95年に行ったので、かなり記憶がうすらいでいますが、 ここらあたりも必見。
それから、フォントブロー修道院 (アンジェとトゥールの中間、ソーミュールから車で20分くらい)の門をでたところにあるサン・ミシェル教会 ここの柱頭も極彩色でビックリ、赤地にグリーンマンの緑が強烈でした。ここは入口もかわいいです。99年に行ったのですが、今ストリートビューで見て修道院付近の景観の変化に驚いています。
- 2013/11/25(月) 01:59:00 |
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- yk #79D/WHSg
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CJさん
コノキンキラキン振りは、ちょっとびっくりですよね。でも確かに、ローマもギリシャも、中国だって、古代文明の建物とかって、かなり派手ですよね、色彩的に。奈良もオリジナルはきんきらだったり。色彩があることが、豪華とか高価なものだったからかな~。興味~。
- 2013/11/26(火) 20:05:00 |
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- corsa #79D/WHSg
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yk さん
イソワール、行ってみたい場所のひとつです。フランスは、まだまだ行かなければ行けない場所がたくさんあるのだけど、とにかく広いので、近いけれど、なかなかですよ。
確かに派手ですよね。あの色彩感覚はなんだろうと思いますが、古代から引き続きあるのだとしたら、分からないでもない。その流れでいくと、バロックなんかも納得できるといえば、そうなのかもしれないですけどねぇ。中世の色彩は、これから勉強してみたいテーマとなりましたよ。
- 2013/11/26(火) 20:07:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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これに限らず、ミロのヴィーナスやパルテノン神殿はじめ、おなじみの古代彫刻ですらオリジナルは極彩色でしたから、個人的には、こういった再現は歓迎します。ランボーナではオリジナルの彩色がまだ残っていて感動しましたが。そういえばマルケはまだ?
- 2013/11/26(火) 23:24:00 |
- URL |
- クリス #79D/WHSg
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くりすさん
あはは、言われちゃいました。実はこの後、マルケに行きます。フランスルシヨンはさらに先になります。あああ、最近はブログすら、どんどんと遅れて困ります。サイトがなかなかままならない中、ブログは記憶力をつなぎとめるよすがのはずなのに、どんどん本来の意味が薄れていきます…。
- 2013/11/27(水) 22:24:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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