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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

地震で再建、サン・パラゴリオ

秋のリグリアその1

先だって、秋の一日、リグリアに遊んできました。目的はもちろんロマネスクです。
実は、ずいぶんと長い間、気になっている聖堂がありまして、それを訪ねないと、わたしの本業(?)である「ロマネスクのおと」に、リグリア編はアップできない、と思っていたのです。
気になる場所というのは、さほど、行くのが大変ではないのですが、リグリアは、何と言っても、できれば車で行くのは避けたい土地なもので(ミラノからジェノバに南下する高速道路は、高架な上にくねくねなので、マジで怖い)、列車で行くとなると、事前に計画する必要がある等々、いろいろ個人的な制約がありまして…。でも、ある日、考えたら、日帰りで行けるんだし!と思って列車のチケットを手配して、行ってきました、という、その顛末です。

その、気になっていたという聖堂は、ノーリNoliという町にあるサン・パラゴリオChiesa di San Paragorioです。




あちこちのサイトで目にして、その美しいたたずまいが、本当に気になっていて。ただ、ある意味残念なことに、既に博物館化している教会です。ある意味、というのは、博物館化することで復活して、美しく修復もされたので、博物館化のおかげで救われた教会でもあるからです。

久しぶりに、公共交通機関で訪ねる場所ですから、ミラノからの行き方を紹介しますと、まずは列車でジェノバGenova経由サヴォーナSavonaまで行きまして、サヴォーナの駅前から、バスとなります。サヴォーナは、駅から市街が離れている街のつくりの為に、駅前には何もありませんが、辺に広々としたバス・ターミナルとなっていて、そこから発着するTPL Lineの40番Linea40のバスとなります。




週末は、バス・ターミナルのチケット売り場がクローズとなりますので、鉄道駅構内のタバコ屋さんで、チケットを購入する必要があります。バス社内でも買えるようですが、若干高くなるし、チケットのチェックは結構まめにやっているようなので、老婆心ながら、必ず事前に買うように!
サヴォーナ駅からは、確か20分に1本くらいあったように思います。

途中の停留所で「レナート~!いる~!?」と叫びながら乗り込もうとしたおばさんがいました。彼女は運転席の脇にある入り口から乗り込もうとして、叫んでいるので、運転手始め、乗客すべてが、「レナート~、いる~?!」と後部に向かって大騒ぎ。結局、レナートはいなかったようで、おばさんは、「お騒がせしてごめんなさい~」と言ってまた停留所に降りてしまいましたが、乗客はこぞって、レナート、いないのかよ、どこでどうしたんだよ、などとしばらく、誰も知らないレナート話で盛り上がるという、いかにもイタリアの田舎らしい風景を目にした、そんな地元の人たち御用達、生活の足である田舎の路線バスで、30分ほど。

そのバスで、いくつかめの街がノーリとなります。起源の古い、海辺のリゾート。
その、今では旧市街からも外れてしまっている一角に、ロマネスクの聖堂が美しく佇んでいるのです。

先にも述べたように、既に博物館化していて、入場は有料(と言っても、2ユーロですが)。しかしその分、ちゃんと係員がいるし、外観も内部も、美しく修復されているので、有料の価値は十分あります。

まずは、内部の見学です。




三身廊ですが、各身廊かなり狭くて、逆に上に伸びる垂直感が強まっているようなたたずまい。石の感じといい、雰囲気はあります。入った一瞬に、あ、来てよかった、と思う空間。内陣が、かなり上に上がっているのが分かると思いますが、これはもちろん、クリプタがある構造だからです。

今ある教会の起源は11世紀、ロマネスクとしてもかなり古い部類の建物が基礎となっています。ただし、よくあるように、ここでも、その下に、初期キリスト教時代の建物の跡が見られます。おそらく、さらに古い時代にも、宗教的な施設があったとか、そういう神聖な場所なのだと思います。

内陣部分には、数段の階段を上がってアクセス。




背の高いアーチの切込みが施されていて、ロマネスクよりは後になるフレスコが、正面にみられます。このアーチ装飾、かなり印象的。修復で、とても白くなっているので、ちょっとわざとらしい感もあるんですが、オリジナルな装飾であるようです。
内陣部分で、わたしが興味を引かれたのは、意外にもこれ。




パイプ・オルガンのちっちゃいの。
こんなコンパクトなパイプ・オルガンがあるんですね。これまでも、比較的新しくてコンパクトなパイプ・オルガンは、あちこちで目にしてきた気がしますが、これほど小さくて、なんだか愛らしいスタイルのパイプ・オルガンは、見たことがないような気がして、しげしげと見入ってしまいました。
でも、パイプ・オルガンがあるということは、既に博物館化しているとは言え、必用に応じて、宗教的儀式にも使われているということですね。教会としては、それは大変によいことなので、信者でもないのに、ほっとしました。

内陣部分から、見下ろす感じとなる中央身廊部分。




なんか、いい教会だなって感じられる何かが写っているといいのですが。石と木のいいコンビネーションっていうか、多分後付の木の梁が、がんばって支えている感が、けなげ。

天井は、かつての木製天井が再建されています。




実はこの教会、19世紀終り頃、大地震に見舞われて、建物全体の上部は崩壊してしまっています。リグリアの、こんな海沿いで地震があったなんて、びっくりです。
そのために、建物上部は、基本的に再建。屋根の一部が残っていたことから、細部まできちんと再建しているのには、ちょっとびっくりしました。

遠めにも、彩色と、何か絵が描かれていることが分かったのです。




こういう再建ができたのは、瓦礫に埋もれて残されていたオリジナルの屋根のおかげ。今、その一部が、窓のところに展示されています。




始め、なんだろうと思ったのですが、これが、本来は屋根部分にあったもの。確かに彩色と絵がみられます。もちろん、ロマネスクよりは、ちょっと後のものですよ。

続きます。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2013/12/14(土) 08:12:23|
  2. リグリア・ロマネスク
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  4. | コメント:0
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