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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

うっとり、愛する付け柱

秋のリグリアその2

ノーリのサン・パラゴリオ続きです。
いよいよ、内陣下のクリプタ訪問です。
時間がないときは、とりあえず、まずクリプタに直行ですが、ここは博物館で、オープン時間もはっきりしていますから、余裕を持って全体を見た後に、ゆったりとクリプタ。その実、この階段を見て、わくわくしながら他を見学していたんですけれどもね。




今の教会は、修復が激しくて、かつての姿を残しているとは言え、なんか新しすぎる感が充満している中で、この、クリプタに降りる階段のあたりだけは、なんとも往時の空気が感じられるというのか、階段構造が建物にあわせて、合理性があるのかないのか分からないような感じでちょっと入り組んでいるのも、なんとも言えず雰囲気で、いいな~、と思いつつ、磨り減った石を感じながら。




そしてやっぱり、期待を裏切らない、素敵なクリプタでした。
美しいクリプタには説明が要りません。歴史が、芸術品が、云々、なし。ただ、そこに佇むだけで、そういう諸々が、説明等なくても流れ込んでくるみたいな、そういう燐とした空気を保っているんです。




すごくすっきり、来てよかった~!と心底思える瞬間でした。
ここは、有料ですから受付があり、学生さんのアルバイトみたいな若い女性がいましたが、ただチケットを管理しているだけじゃなくて、尋ねれば何でも答えて説明してくれて、それもとても嬉しくなりました。だって、どの教会でも、必ずしも受付の人が、その教会を愛しているわけではなく、逆に、「これ仕事だから仕方なくここにいるだけです」みたいな方も多いのが現実ですから、そういううら若き女性が、ちゃんと対応してくれるって言うのは嬉しいし、心強くなります。

改めて外観のチェックに入ります。
後陣。




ここで注目すべきは、アーチと付け柱装飾の上部に開いている小さな丸い穴。このサイトを見ている方には、おそらくもうおなじみと思いますが、これは例のあれ、です。




そう、これですね。陶器のお皿。
これは、教会内部に展示されていたオリジナルで、シチリア産の11世紀前半のものです。後陣には、いくつも、こういうお皿がはめ込まれていました。今は、オリジナルじゃないものがはめ込まれています。小さいので、遠目からは見えませんけれども、そういうところの装飾に凝ったのは、この当時のお約束ですね。
そして、このお皿装飾は、海辺の町の教会によく見られる装飾。ピサで始まったものですが、海経由で、あちこちに広まったのですね。これまで、わたしが訪ねた範囲では、ピサの文化圏の他、主に、ローマやジェノバなどで見られました。ここノーリは、ジェノバにも近い海辺ですから、ない方がおかしいくらいのものですね。
ただの陶器の洗面器みたいなものですが、当時は貴重品だったということです。確かに教会の後陣などにはめ込まれていると、小さいものですが、実際には、大き目のボウルや洗面器大ですから、当時の技術を考えれば、やはり庶民の手に入るものではなかったのかな。

この教会の外観を印象付けるのは、アーチと付け柱かな。わたしの大好きな、ロンバルディア様式のアイテムです。




この装飾アイテムが最も強烈に見られるのが、本来のファサード側。




こちらの面を見るには、一度教会の柵を出て、駐車場になっている側から、柵越しに垣間見なければなりません。でも美しいファサードと、側面の連続アーチ+付け柱が見られますので、訪ねた際には、忘れずに坂道を登ってみてくださいね。




ファサード側からは、遠くに海も見えます。冬枯れの樹木を全景に、後方には今でも緑豊かなやし系の葉も見えて、南なんだなぁと思います。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2013/12/15(日) 06:11:56|
  2. リグリア・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

corsaさんいいね!!
修復感がありありだけれど、好きだなこの形。そして空間。特にクリプタの空間こそはロマネスクの神髄を具現していると思えちゃう。
  1. 2013/12/14(土) 22:59:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

クリスさん
やっぱり、いいクリプタはいいですよね~!説明要らないですよね~!このサン・パラゴリオは、博物館化しているけれども、いいものをいい形でちゃんと残しているし、当時の空気みたいなものを残す努力をしている教会と思いました。というか、のこるものがある場所というのは努力とかなんかじゃなくて、自力でのこるパワーがあるんだよね、多分。と思います。
  1. 2013/12/15(日) 22:45:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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