秋のリグリアその3
一日遠足だからって、ノーリだけで満足するとは、もちろん、基本「修行」のわたしではありえないわけで。確かにジェノバにも、行き残したところはたくさんあるし、それはそれなんだけど、せっかくノーリに行くなら、その道中で何かないか、と探すのが、病気たるゆえん。
ということで、探していてぶち当たったのが、これ、教会の化石というわけです。
ヴァラッツェという街のはずれにあるサンタンブロージョ教会Sant'Ambrogio - Varazzeの成れの果てです。
このあたりで行くべき場所はないか、と検索していたネットで垣間見て、お、これは面白そうだな、と軽い気持ちで行き先にしたんですが、実際に目の当たりにしたインパクトはかなりのものでした。
古い教会の遺構の一部が、ロマネスクだったり、それより後の時代の教会の基礎になっていることは多々ありますが、こういう押し花状態の遺構と言うのは、ちょっと他に類を見ないのでは。いやはや、これはすごいです。
実は、グーグルのストリートビューでも、これ、見ることができます。事前に見ていたんですよ、実際。でもこういうものほど、そうやって二次元で見るのと、実際に現地で見るのとインパクトが違ったりするんですよねぇ。
ヴァラッツェは、海沿いの、庶民リゾート、という感じの町。海沿いにはちょっとしたお店の並ぶ商店街が続いて、そこから、住宅街への途中というか、本来住宅街という場所というか、そこに、一部だけ、14世紀の古い塀が残っているんです。中世後期の、町を取り囲む塀ですね。
その塀の雰囲気が、既にいい感じなのですが、ちょっと進むと、これ。
いやはや、これは本当に面白い~!
そのまま道を回りこむと、側面の方も、なんとなく遺構が…。
当時の建物を完全に想像できるんです。
ほら、こうやって側壁のアーチと付け柱まで。
鐘楼も、戦いの耐えない中世後期、物見の塔として再利用されたようです。
この教会の裏側は、ストーンと急激に低地という土地で、この教会は、丘の際に建てられていたもの。街を囲む壁を作る際にも、ここが要のひとつだったんでしょうね。鐘楼の役割も半端なかったと思います。写真で見る以上に、相当の急坂です(わたしがここで停車したら、絶対に発進できない角度です…)。
壁の方は、今でもほとんど全部残っているので、中が見えません。どうなっているのかな~、と小さく開いている当時の窓からのぞくと。
あ、なんか普通に家があるかも。
海側に旧市街があって、この教会の化石のある部分の住宅地は、今では、国道を下にする橋を渡る構造になっていますが、橋の向かい側から見ても、壁の反対側は普通に住宅になっているようでした。当時は、きっと丘があって、この国道は、丘の谷間の道だったんだろうな。
ちなみに、教会ファサードには、ここでもお皿はめ込みのあとがありましたよ。
十字架の両脇に、お皿はめ込みしていたようだし、各アーチの下にも、小さいお皿はめ込み跡が見えます。やっぱり、当時、このお皿装飾は、重要なアイテムだったと言うことなんでしょうねぇ。
いや~、教会の化石、または押し花、いや、押し教会。すっごく地味なのに、意外とつぼにはまりました。石の文化の何たるかって言うのを見せ付けられた感もあり、超感心。こうやって、生き延びるのもありなんだ。生き延びてほしいです、これからもずっと。
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- 2013/12/16(月) 06:42:39|
- リグリア・ロマネスク
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| コメント:2
Bravo!おもしろいですねこれは。まるで破砕した岩盤からアンモナイトが出てきたみたい。にもかかわらず肝心かなめはちゃんと楽しめる遺構になってるんだから、corsaさんのドキドキ加減は分かります。
- 2013/12/16(月) 00:58:00 |
- URL |
- otebox #79D/WHSg
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oteboxさん
面白いですよねぇ。これだけなんですが、自分でもびっくりするくらいに面白くて気に入っちゃいました。普通に壁として、至極当たり前に役目をまっとうしていて、って言うか今では既に役目すらないようなもんなんですけども、普通のたたずまいでいるところが、すごく面白くて。やたら撮影しているわたしを、地元の人たちは不思議そうにみていました。そうよねぇ。壁だもんねぇ。笑
- 2013/12/16(月) 23:05:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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