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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

まさかの夏祭り、ランボーナ

マルケ・ロマネスク、その2

次は、予定外のチンゴリに立ち寄ったために、意外と時間が迫ってきて、夕方にアクセスしたランボーナRambonaです。平原の真っ只中なんですが、村に近づくとともに、なにやらにぎわいが…。




どひゃあああ、すごい人ごみ、すごい車…。どうみても、普段は誰一人いないような村はずれなのに、とにかく人が集まってきています。お巡りさんも多数出張って、車の誘導をしています。




やっぱりお祭り…。何もこの場所でやらなくても、と思いますが、村の唯一の広場といったところでしょうか。それが、今わたしが目的としているランボーナ修道院周辺だったのですね。
普段は村の駐車場になっているだろう整備されたスペースが、お祭りの屋台会場となっていて、農道に毛の生えたような道路路肩はびっしり駐車で、ずいぶんと先まで行って、やっと停める場所があったという次第。こうなると、教会が開いているのは確実ながら、心穏やかに見学できるだろうか、とちょっと心配になります。

でも、案じる必要なし。
ある意味寂しいですが、もちろんお祭りに来ている人は、お祭りが目的ですから、教会を訪ねる人はほとんどいません。難なくアクセス。

サンタ・マリア・アッスンタ・ディ・ランボーナSanta Maria Assunta di Rambona修道院教会。
ここでは、クリプタだけにかつての姿が残っておりますので、迷わず、クリプタへ。




!!!
いいですねぇ。うっとり。外部とのアクセス扉は開いたままで、喧騒も遠くに聞こえてくるものの、敷居を一歩踏み込んだだけで別世界。実に素晴らしいクリプタで、一気にトリップしそう…。

床面が新しいのが残念なんですが、それ以外は素敵に当時のスタイルを残していて、興奮しました。





一部、彩色の残る柱頭。
超素朴なモチーフと表現力。四隅と上部の植物モチーフ。背景に若干色あせた朱を、修復していてなおかつ嫌味なく残しているのが、なんとも味わい深いです。先日フリウリで気になった彩色、ここでもあったのですね。でも、ここでは背景部分だけ。オリジナルもこうだったのかどうか、説明はありませんでした。でも、柱頭に作為的に色をつける意味も見当たらないので、伝統的にそうだったのだろうな、と考えます。もしかすると、フリウリでそうだったように、浮き彫りの浮き部分にも、派手な彩色があった可能性もあるわけですよね。

すべての柱頭に、異なる彫り物があり、それぞれに存在感があります。これ、それぞれの柱頭が彩色されていたら、さぞや派手な、これとは全然違う眺めになるんでしょうね。
いや、明かりももっと暗かったはずだから、色があったとしても、意外と思うほどは派手じゃないのかもしれない。




柱部分も、様々。高さも異なる様子が見られるので、ありがちな、ローマ時代の柱の再利用があるのだと思います。太さも、様子も異なる柱と、それでもそれにマッチした柱頭が組み合わされて、高さを調節するための足元もそれぞれ調和した装飾で飾られて。
そういう、間に合わせの中に調和を求めたり、ごっちゃごちゃのはずなのに思想が感じられてしまう中世の装飾というのが、結構好きなんですねぇ、わたしは。
ここ、床面が新しいのが、本当に残念。
そういうごちゃごちゃのわやわやの風景に、磨り減った床石とか階段石とか、そういう確固とした時間が見えると、なんかますます、くるんです。なんだろね、これ。

ほわわーん、と歴史に圧倒されて、建物としては残っている上部にも行ってみましたが、今は漆喰で塗り固められた、普通の建物で、ただの展示会場になっていました。クリプタと、現在の上ものは、つながっていませんで、クリプタとは、「同じマンションの別のおうち」、というような風情になっています。

癖で、念のため後陣、外側を確認。




おお!意外にも、当時の姿が、ほぼそのまま残っています。
ぽこん、と突き出た付け柱、凝灰岩っぽい石と、その間に挟まれたレンガでの渋い装飾も、とっても雰囲気。




この写真に、ぞく~っと来る人、ロマネスク好きならあり、と思いますが、病気です!わたし?もちろんゾクゾク。下部のレンガ積みと、この半円付け柱はスリスリ状態。
ちなみに、反対側の側壁も、同じような石+レンガ積みで、付け柱あり、でした。修復も相当していると思いますが、マテリアルも含め、かなりオリジナルに忠実にされているようです。ありがたいですね。まぁ、毎年この場所で、これだけ盛大なお祭りが催されるということは、やっぱり何かあるんでしょう。ランボーナ、まだまだ長生きしそうです。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2013/12/22(日) 06:59:32|
  2. マルケ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

寂れた様子の町、いや村という感じだったのですが、お祭りだとまるで雰囲気が変わってますね。彩色柱頭は往時の照明だとずっと暗い中でのものですから、印象は違うと思われます。ここ、いいでしょうほんとに。
  1. 2013/12/23(月) 01:37:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

人が集まっている様子というのも、ある意味往時を髣髴とさせるものがあるかとも思うのですが、ここはやはりしーんと静寂な状態で訪ねたい場所ですね。残念なのは、クリプタ、横入りですかね。やはり本堂から階段を降りて入りたいもんです。
  1. 2013/12/24(火) 17:45:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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