マルケ・ロマネスク、その3
次に訪ねたのはフェルモFermo。この町の坂道ぶりにはびっくりしました。「丘の斜面に張り付いている」という表現がよくありますけれど、この街こそ、まさにその”張り付いている”状態と思います。
町の麓に、地下駐車場があり、そこからは旧市街までエレベーターがありました。
駐車場に至るまで、麓の町を行ったりきたり、とんでもない住宅地に入り込んだりして、迷いに迷いました。最後は親切な若者が、じゃあ、僕の後をついてきて、と小走りに車を先導してくれて、やっと迷い道から抜け出したりしてね。この旅、友人と一緒でしたが、一人のとき同様の迷い振りでした。ただ、友人は坂道発進がかなり得意なので、そこは本当に助かりましたけど。
昔からイタリアの丘の町村は妙に合理的で、公共の無料エスカレーターやエレベーターで中心部に容易にアクセスできるようになっていることが多いのですけれど、それって部外者には、結構分かりにくいんですよ。
それに、ここのエレベーターは、なんだか汚らしくて、古臭くて、「本当に稼動しているのか」疑問を感じさせる状態。一人だったら、怖くて乗れないような代物でした。
そうは言っても、この急坂。
これ、実際目の当たりにすると、すごい角度ですよ。四つんばいで登るしかないじゃん、みたいなそういう激しい坂。これで延々昇るのは、さすがに嫌。
で、エレベーターで、一気に旧市街へ。
建物が迫って、圧迫感のある町並み。
道幅すら余裕ないんですよね、土地が狭いから。
ただ、先の見通せないこういう道をだらだらと歩くのは楽しいです。迷路のような町は、散歩に最適。でも、とにかくどこも坂道なのが閉口します。
この道の行きついた先は、結構広い空間が開けていて、そこに観光案内所もありました。
地図をもらって、目的の教会の場所を聞き、さらに坂道を行かねばならない、ということで、ちょっとがっくり。でも、仕方ないので、広場を突っ切り、坂道をのろのろと登りました。その先は丘の天辺になるのかな。目的のドゥオモDuomoです。
ファサードからして、全部デッサンが狂っているようなもので、なんか脱力します。オリジナルは、ロマネスクの建物、多分本当のオリジナルは、もっとずっと古い宗教施設と考えますが、それにしても、外観は新しい。古い時代の面影が若干あるから、そして開いているからには中には入るけど、期待度、この時点で、限りなくゼロに近く。
ああ。
これはいかん~!
一瞬クリプタに期待したけれど、あああ。
だめだぁ…。
せっかくここまできたのに、という絶望状態で、救われたのが、本堂の床に開いていた地下窓…。
あるんじゃないか!
本堂の下に、古い教会の床面があるんです、どうやら!
孔雀ですよ。永遠のシンボル。ということは、中世期のモザイク!これを、ちゃんと発掘公開しろ~!
と思ってしまいました。どういういきさつでここだけなのか不明でした。今後に期待します。
ナルテックスの部分に、過去の彫り物などがあったのですが、全体は、ロマネスク的には、本来は素晴らしいものを内包しているだけに寂しいドゥオモでありました。一応側壁の扉口装飾は、再建要素が強かったとは言え、中世テイストを残しておりました。
ここもまた、最も有意義な眼福は、この美しいマルケの土地ですかね。
マルケ、美しいけど、とにかく地味だわ。なんか、アプローチの仕方がわからない…。
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- 2013/12/23(月) 06:25:00|
- マルケ・ロマネスク
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| コメント:2
フェルモは、私も写真みて行かなくてもいいかなって。どうみても、後の時代に振れてますから。でも広場は美しいって聞いてますけど。やはり、展望景色がいいのはマルケならではかな。
- 2013/12/23(月) 01:41:00 |
- URL |
- クリス #79D/WHSg
- [ 編集 ]
そう、眺めはやはり素晴らしいですね。ずいぶんと内陸でも海が見えたりするのは、マルケならでは。アレだけの坂ですから、この高さも納得ですが。エレベーターをもう少しきれいにした方がいいな、ここは。犯罪起こりそうな場所だったし。
- 2013/12/24(火) 17:47:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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