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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

超ユニーク・ガイドで、遺跡見学

マルケ・ロマネスク、番外1

宿泊した村ウルビサリアは、小高い丘の上にありますが、その麓一帯に、ローマの遺跡が広がっています。特に目指したわけではないのですが、ちょうどよい頃合に、通りかかったので、せっかくだから見ておこうか、ということになりました。フレスコ画があるというのも気になっていたし。

一帯は遺跡をメインとした公園となっており、ウルブス・サルビア考古学公園Parco Archeologico Urbs Salviaという名前で、大きな通り沿いに、こんなものがどかどかとありますので、そこを通ったら、どうしても、ちょっと寄って行こか、という気になってしまいます。




まずは、一人離れたところにある円形劇場を見に行きます。




公園としては、実に美しく整備されていて、緑の中に遺跡が点在しています。全体の面積は相当あります。いまだに全貌は明らかになっておらず、今でも発掘を継続している遺跡です。毎年6月になると発掘隊が訪れ、一帯が活気付くそうです。

紀元前1世紀半ば、アウグストゥスの時代の町のようです。5世紀頃、より安全な丘の方に町が移動するまで、居住地だったということ。ローマの前には、きっとピチェーノ族という人々がいたはずですから、定住地としての歴史は相当古いものでしょうね。ピチェーノは、エトルリア共々、ローマ以前にイタリア半島に居住していた民族で、ちょっと気になる文化なんです。

さて、劇場は、紀元1世紀に建設されたもの。Gaio Fufio Geminoという執政官によるもの、ということまで分かっているのが、記録好きなローマのすごいところですね。
三層のつくりで、フレスコ画も残っているということですが、今はそれは見られないようでした。
なぜ、町の中心から離れているかというと、当時は、劇場や闘技場は、町の壁の外に作るのが普通だったのだそうです。街中に群集が集まりすぎることを防ぐ目的だったそうです。現代で言えば、サッカー場を、町の郊外に作るようなものですね、きっと。

杮落としのときは、派手な出し物が行われたそうですが、今や昔。




緑が茂って、上空からの写真だと、芝生のなかに、そこだけリングのようになっていて、古墳、みたいな感じって言うんでしょうか。こんもりと面白いです。かつての客席部分にある樹木は、おそらくわざと植えたものでしょうが悪くないです。
樹木の下には、野生のシクラメンがたくさん咲いていました。いや、カタクリ?




そして、この劇場のあとは、ガイドツアーで、神殿跡を訪ねます。




ガイドツアーは時間もかかるし、ちょっと面倒だな、と思ったのですが、しかしガイドが実にユニークな方で、笑いっぱなし。参加してよかった、という結果となりました。
そのガイド、レオナルドさん。




面白いお話をたくさんしてくださったのですが、ちゃんとメモしておかなかったので、あらかた忘れてしまったのが残念。たとえば、上の写真だと、柱が倒れているのが分かるのでしょうか。これ、本当に倒れているんですよね。神殿の建物全体が、かなり古い時代に、既に崩壊しちゃっているんです。地震って言ってたような気がします。

崩壊もひどい中で、当時のフレスコ画が見られるというのが奇跡のようなものですね。






ローマの時代の人々の写実能力ってすごいです。早描きのスケッチというかクロッキーというか、そういう流れるような筆遣いで写実的なんで、どうしてこんなのが描けたのかと感嘆します。

今見学できる場所はわずかですが、年々新しい場所が発掘されて、時間をかけて整備されて、そしていつか全貌が分かるということなのでしょう。気の遠くなる話ですが、この遺跡のあった時代から、既に二千年だっているわけですから、いくら時間をかけても問題ないと言うことでもあります。




道を挟んで、丘の上のウルビサリアの町が見えます。




時間に余裕のある旅だったら、この緑の中を散歩して、町まで行ってみたいところです。改めて、いかに美しい場所であるかと感心しています。

レオナルドさんとは、翌朝、ウルビサリアの町でばったり。今から出勤なんだよ~、と急ぎ足ながら、ひととき世間話をしました。こういう村に生まれて、遺跡を守って勉強して、訪ねた人々と交流して。ゆったりとした、素敵な人生だなぁ、とか思っちゃうのでしたよ。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2014/02/23(日) 02:33:22|
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