ラングドック・ロマネスクその13
ベジエからホテルに向かう帰り道にあったので、時間は遅くなってきていましたが、欲張って訪ねたのが、カラントQuaranteの村。
丘の上のハンカチくらいの土地に家々が並んでいるだけの村。
そのひっそりとしたたたずまい、ちょっと目にしただけで好感が持てるというのか、親しみが湧くというのか。もうずうっと、わたしは知らなかったけれども、本当に昔からずうっと、こういう村なんだろうな、と確かに分かるそういうたたずまいが、本当にしっくりとあって。
まさに村の中心に建つサント・マリー教会Eglise de Sainte Marieは、しかし、それほど愛想もなく、その鉄扉はしっかり閉ざされていました。
写真の左端に見える鉄扉が、入り口になっているようなんですが、押しても引いてもびくともせず。仕方なく、後陣の方に回りました。
びっくり。かなりびっしりと建てこんだ建物の隙間に見える後陣、素敵なんです。それに建てこんだ建物群が、ひどく素敵に中世で、おお、とうっとりしました。
窓の部分にあった装飾。
わくわくしながら、なめるように後陣の写真を撮っていたところ、その後陣のすぐ脇の建物から、オバサンが出てきました。
黒く写っている扉のところからです。どうやら、そこは村の博物館だったらしいのですが、なんだろう、と目を凝らしてみたところ、内部の暗がりにいたオバサンと、ばっちりと目が合ってしまったんです。で、出てきたおばさん、「博物館ならここよ?」「いや、ごめんなさい、教会を見に来たんだけど、閉まっていて…」「あら?扉を強く押してみた?あそこは重いから」「ではもう一度試してみます」というような会話を、フランス語イタリア語ちゃんぽんで、なんとなく分かるのが不思議。
で、期待して、もう一度鉄扉に戻り、渾身の力をこめて押してみましたが、やはりびくともせず、でした。
裏に戻り、「だめ、開かない」、とオバサンに報告。いつもはこの時間なら開いているのにねぇ、残念ねぇ、とオバサン。オバサンのせいじゃないのに、とっても申し訳なさそうで、こっちが申し訳なくなりました。
もうちょっと元気だったら、オバサンの博物館を見たかったけれど、一日の終わりで、もう本当に元気を振り絞ってここにたどり着くのがやっと、という状況だったので、とてもこれ以上のフランス語攻撃に対処する元気もなくて、ますます申し訳なかった…。
オバサンの顔はもう思い出せないけれど、メモを見ると、イラストつきで、極限の細さの眉毛、厚化粧、とありました。そういうおばさんだったらしいですが、イメージと反して、すっごく親切だったので、印象は強かったのかも。
中世の雰囲気を楽しめる、ほんのわずかの空間をうろうろしてみました。
本当にわずかなスペースですが、いいなぁ、と感じたものが見えるような気がします。多分、教会の中は、たいしたことなかったと思います。おそらくロマネスク的に見るべきは、後陣のロンバルディア風の付け柱アーチ構造くらい。それでも、わざわざ訪ねて、とても得るものがあった気がしました。いい町です。
スポンサーサイト
- 2014/03/23(日) 06:40:04|
- ラングドック・ルシヨン
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0