ルシヨン・ロマネスクその2
ルシヨンの旅は、ロマネスク好きがこの地にきたら、必ずや立ち寄るであろう町、カベスタニーから始まります。
朝食も取らずに、ホテルを超早朝に出発した甲斐あって、カベスタニーには、9時過ぎに到着しました。なんとなく進むうちに、町の中心に入ってしまいましたが、運よくすぐに、住宅街の路上に駐車することができました。かなり近くに、博物館らしき建物を目にしたので、おそらく中心部とは思いましたが、住宅ばかりで取りとめがありません。
ちょっとうろうろしたら、役所のような建物があったので、ずんずんと入り込み、尋ねてみると、まさに町役場。簡単な観光案内所もかねていたので、地図をもらい、おおよその町の見当を確認することができました。
まずは、目的の教会、ノートルダム・ド・アンジェEglise de Notre-Dame-des-Angesを探しました。9時半にオープンするという情報を得ており、ちょうどよい時間です。
しかし、住宅が入り組んでいる一角にたどり着き、戸惑います。
これ?
見事に、住宅に囲まれて、壁も密接しており、この側壁に開けられたらしい扉の一部だけしか見えません。まだオープンしていなかったので、周囲をうろうろしてみました。
ぐるりと建物を迂回してみたら、隙間からこのような後陣の姿を見ることができました。壁面も屋根も修復は激しく、美しくなっていますが、構造は、昔のままになっているようですね。
さて、扉に戻ると、今度はしっかりとオープンしておりました。
いきなり。
これが、例の…?
それにしてもあまりに唐突な展示の仕方、そう、展示状態なんですね。まさかこれはないだろう、と戸惑います。そう思ってみると、樹脂のレプリカにも見えてしまう…。
結構高い場所にあるし、薄暗いので、肉眼では、細部は観察できません。
これ、オリジナルは扉口タンパンにあったものですね。もともと扉は側面にあったのか、それともファサードとともに正面にあったのか。今では正面はどこにあるのかも分からないというのは、寂しいですね。
中央部にいる祝福するキリスト。手が、プロポーション無視のでかさでびっくりです。すごくまじめな内容の彫り物なのに、そういう意図していない、まじめにずれた感じが、なんというか、ロマネスクの面白さのように感じます。
顔の感じって、こういうのがカベスタニー、ということなのかな。確かになんか共通するものがあるかも。右に聖母、左がトマスですか。
タンパンにはめ込まれていた彫り物だったということは、半楕円みたいな形だったということですが、どうやら、上部が一部欠けているんですね。
周囲に縁取りのように、顔が並べられているのが、妙で、面白いです。
目がみんな猫目で、東洋的、ミステリアス。カベスタニーってこういうのだから、ますますミステリアスな存在になっているのかも。
東洋的、と感じさせることで、この地域にカタリ派が定着していたことと、決して切り離せない何かがあるかもしれない、とふと思います。文化の交差点、他文化への尊重や受け入れ、みたいな、そういう何か。
教会にも目を向けてみます。
確かに構造は変わっていないけれど、全体に古い面影は薄いです。が、柱の付け根のところにちょっとだけ、こんなもんがあったりして、ほっとしました。
時代は明らかに新しいんですけれど、なんとなくこういうのって中世のよすがのような気がして。
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- 2014/03/27(木) 05:49:24|
- ラングドック・ルシヨン
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あらら!照明があったのですが、気が付かれなかったのですね。確か、係の方が私が入った後に来て、電気をつけて行ったような記憶があります。コイン式ではなかったと思います。
- 2014/03/27(木) 16:21:00 |
- URL |
- Teruteru #79D/WHSg
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そうそう、見学していたら、係りの人が明かりを灯してくれました。
でも、この彫刻のところだけで、他は薄暗いままでした。
まぁ、教会は、これで問題なかったですが。
- 2014/03/27(木) 22:33:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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