日本からの友人と、イタリア王道(?)旅の巻、その6
水上バスで、島を移動するのもベネチア観光の醍醐味、とか言って、実は、せっかく36時間有効の通し券を買ったので、元を取らないと、という気持ち中心で、ムラノ島に渡りました。
本島よりは人が少ないし、狭い範囲に、適度な観光風味と、とっても普通の住宅地が隣り合っているムラノは、ベネチアができた頃、かくあったかもしれない、と思わせるようなこじんまりさが、よい感じのたたずまいを生んでいて、個人的には好きなんです。
本島に比べると、かなり狭い運河が走り、両側はガラスのお店や工房がびっしり。運河沿いに壮大な建物が建っていることもなく、背の低い建物が、ちゃんと歩道を置いて建っているだけなので、開放感があります。
ちょっと裏に入ると、完全な住宅街で、静まり返っています。
ただの田舎の村っぽいそそけ具合の町並みなんですが、そこに運河があるだけで、風景が特別なものになるのが、ベネチア。太鼓橋、それが生み出す複雑な影や水の反射。素敵なグレーの猫ちゃんに、じっと見つめられてドキドキ。
お店をひやかすのも、やっぱり楽しい。お値段もピンからキリまであるから、必ず何か見つかるんです。今回は何も買わなかったけれど、時々来ると、こういうのは以前はなかったな、というようなタイプのアクセサリーも散見され、職人さんやデザイナーさんが、日々模索して、常に前進しているんだな、って思いました。
そしてこの島には、わたしの大好きなロマネスクがあります。
サン・ドナート。やっぱり美しい。ここは、ファサード側も後陣側も、広々としたスペースがとられているのが、よいんですよ。
それは、子供たちがゆったりと遊べるスペースでもあります。
ベネチアは車がないから、ある程度大きくて、運河に落ちることのないお年の子供たちにとっては、大人に怒られることなく走り回れて、楽しいかも。大きいグラウンドはないけれど、ミニ・サッカーができるくらいのピアッツァ(広場)は、結構あちこちにあるし。
イタリアの子供たちでも、写真を撮られるのは嬉しいみたいで、勝手に照れながら、ポーズしてくれたのにはびっくりしました。
そしてまた、びっくりしたのが、教会です。
以前訪ねたときは、かなり厳格に撮影禁止で、教会守の人がうろうろしていたので、隠し撮りすらできない状態だったのですが、今回はまったくオウケイになっていました。
久しぶりに再会したマリア。
ここと、トルチェッロ島の後陣は、どちらも同じように、黄金を背景とした大きなスペースに、青い衣のマリアが祝福の姿勢で佇んでいる意匠です。他では見られない、大好きなモザイク。
黄金だと、普通はきらきらと輝かしくにぎにぎしく、そういう雰囲気ばかりが先にたつ意匠が施されることが多いし、見た目もとにかく豪奢な空気ばかりが漂うので、こういう、ぽつんと一人を置いたというのは、すごいなって思ってしまいます。きらきら感はなく、金色は落ち着いた色でもあるのだと思わされます。
そしてマリアの青い衣の美しいこと。
この教会、床モザイクもとてもよいのです。前回来たときは、確か一部修復していましたが、その場所もすっかり治っていました。そして、太っ腹に、ほとんどすべての部分、歩けちゃうんですよね。
うわ~、やっぱりとても素敵。
後陣、外側をもう一度堪能。
うっとり…。何度みても、いいものはいい、美しいものは美しいですね。
島に来ると、どうしても駆け足観光の場合が多いのですが、今度は、一人でゆっくりとスケッチ旅行でも企画したいなぁ、と思いました。
時間もないし、と島に渡らない方も多いと思いますが、ムラノ島は本島から近いし、是非立ち寄ってほしい場所、お勧めです。
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- 2014/04/29(火) 02:39:05|
- 旅歩き
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