この週末、ミラノは、「ピアノシティPianocity」というイベントで盛り上がっています。いや、盛り上がっているというと、ちょっと違うか。「我思う故に我あり」の世界で、知らなければ知らない世界っていうんですかね。町のイベントって、そういう感じ、ありませんか。
この催し、昨年、街角でポスターを見て気付いたものの、昨年は「何だろう?」と思っただけで、終わっていました。今年は、つい先日、ピアノを生業にしている友人が遊びに来たばかりだったというのもあり、せめて、これがなんだかは確かめたいと思っておりました。で、ネット検索したら、これがまた面白そうなイベント。
週末、街角や自宅やコンサート会場や、とにかくあらゆる場所で、ピアノのコンサートが開催されるんです。事前予約すれば、ハウス・コンサートにもいけちゃう。有名無名、あらゆるピアニストが、クラシックからジャズ、ポップ、現代音楽、自作音楽、何でもありのコンサートをできてしまうという、やる側にとっては夢のような、聴く側に取っても、無料でいろんな音楽にアクセスできてしまうという、なかなか面白いイベント、らしいのです。
というわけで、夕方、軽い気持ちで、イベントの総本山であるピアノ・センターに、出かけてみました。
ピアノ・センターは、このイベントの総本山ですが、通常は近現代美術館のある場所。
これは、近代美術館の裏側の広場。ここがメイン会場となっていて、多分今頃、夜のコンサートで盛り上がっているはず。
この、美術館の部屋と、付属の公園がメインの会場となっていて、そのほか町の各地でいろんなピアノが聴けることになっています。
わたしは、この週末は時間も体力もかなり限りがあるので、この会場に直行。
で、いきなり、野外コンサート。
もうおしまいの頃にたどり着いたのですが、とてもよい雰囲気で、すぐにはまり込んでしまいました。緑の中で、風のそよぐ中で、こういうのって、とっても印象的。そしてピアニストの人が、思い入れを説明したりするのも、なんだか普通のコンサートにはないことで、面白いと思いました。
プログラムを見て、次は、屋内の場所へ行ってみました。
通常は、近代美術館として使われている場所ですが、もちろんもともとは豪華な金持ちのお屋敷です。この豪華なシャンデリアや天井の雰囲気から、かつて実際にお屋敷のサロンで催されていたコンサートを髣髴とさせる雰囲気。
ただし、今日は、超満員の有様で、かなり暑苦しく呼吸困難になりそうな感じもありましたけどね。
ここも、自作曲を披露するセミプロの方のコンサート。口上があって、くすりとさせたりなんかするのが、やっぱりピアノ・コンサートというよりは大道芸系。素敵な音楽でした。
でも、あまりの人の数に呼吸困難気分を感じて、曲の切れ目に次の場所へ移動。
池のほとりにある小さな丘。
ここでも、自作曲を弾く方が。とても素敵なメロディアスな曲でした。とにかく場所が素晴らしくて。
緑。行きかう人々。はしゃいで通り過ぎる子供たち。赤ちゃんを囲む家族。タバコの煙。虫や葉のささやき。
そういうとっても日常的な音や空気の中に、ライブのピアノが響いているので、一方でとっても穏やかな緊張感が漂っている不思議。ある意味夢のように、幸せなひと時。
いいなぁと思って、近くに行ってみたんです。
そしたら、野外は、スピーカーをつけているせいか、近くだと、本物の音とスピーカーの音の変な共鳴みたいな感じで、気持ち悪くて。で、次の場所に移りました。
この公園、そういえば、ミラノに来た当初は結構来たなぁ、と懐かしく思いました。緑が多いし、英国式庭園みたいに、自然な作りこみがしてあって、街中なのに、自然ぽい雰囲気の楽しめる素敵な公園なんです。
次のコンサートもまた、自作曲を弾く方でした。袖なし燕尾服の髭おじさん。彼は語ることなく、淡々と、曲もかなり淡々としたリピートの多い長い曲ばかりでした。
気持ちのよい木陰で、うっとりしながら楽しんだ後は、イベント的なものを見ました。
会場の中庭に、10台のアップライトピアノが並んでいます。それぞれが違ったアーティストの作品のようになっているピアノたち。そのハデハデなピアノで行われていた演奏は、鍵盤をひじでたたいたり、のし棒で押したり、ピアノを太鼓のようにたたいたり、演奏者が立ったり座ったり、という演奏会でした。
それはそれで、ピアノが10台も同時になっていると、それだけで迫力があるので、面白かったですねぇ。何より、子供たちが真剣に見ているのが、面白さを語っていると思います。
そして、演奏の間中、端っこの方で、もう我慢ならん!という足踏みをしていた男の子。演奏会が終わった途端に、ピアノを弾き始めました。
この黒いシャツの子ですが、10歳くらい。もう本当に体が動いちゃうんだから!という勢いでした。それがまたうまいんで、びっくりです。ジャズ系のスイングする曲を弾きまくって、みんなに拍手されて、テレながらも何曲も披露していました。
気付くと、他のピアノも、子供たちに占領されて、思い思いの曲が響き渡っていました。
こういう風景って、まさにこのイベントが求めているものだと思います。
この週末はなんだか忙しかったけど、やっぱり行ってみてよかった~!せっかく町に住んでいるんだから、町のイベントは活用しないと、ってつくづく思いました。
とは言え、今週はミニ日本映画祭があり、インテルの長友選手が来るというので駆けつけ、一方でテニスのローマ・オープンが始まったのでテレビ観戦も必至(スポーツ観戦好き)。もう大忙し。何がって言えば、なんでもないんですけれどもね。
でも、そういう忙しさの合間を縫っても、このピアノシティは、なかなか催しだと思いました。明日も、何とかちょっとでも行けるといいんですが。
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- 2014/05/18(日) 06:25:39|
- ミラノ徒然
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