ルシヨン・ロマネスクその8
ずいぶんと間が開いてしまいましたが、ルシヨン・ロマネスク、再開です。
再開第一弾は、サンタンドレ・ド・ソレドSaint-Andre'-de-Sorede。ここは、9世紀に創設された修道院の周りにできた寺町。もしかしたら、その当時の方が人も多くて、活気もあったかも、と思えるほど、町の規模は今もほとんど変わらないようなミクロな町で、当時の姿を想像しやすいたたずまい。
車で、修道院のすぐ脇まで入り込んでしまい、車を降りたら、もうそこは中世の村、という地味な雰囲気が、すぐに好きになってしまいました。
右側にあるのが、修道院教会の後陣です。全体像はこちら。
シンプルだけど、こじんまりとしていて、とても美しい後陣と思いました。小ささがいいですよね。
こういう時、つまり一目見ていいなって感じたときは、気がはやって、早く全部を見たくて小走りになる感じ。気持ち的には全速力で、早速ファサード側に回ります。
おお、意外と地味ですね。後ろ側は典型的なロマネスクなのに、ファサードは、一見、典型的とも思えない雰囲気。装飾部分だけがオリジナルで、全体としては後代のものなのかと一瞬思いましたが、そんなことはなかったんです。
下三分の一くらいが10世紀、真ん中辺が11世紀、上部が12世紀のものなんだそうです。教会内部についても、時間をかけて作られたり改修されたりしているようで、ファサードもそれと連動して、こういう縦長の背の高いものになったようです。地層、ですね。人の手による中世の地層。
ここを訪ねた目的は、中央扉口のアーキトレーブの浮き彫りです。
ネットで写真は見ていた作品ですが、そういうものを実際に目にするのは格別ですねぇ。
特にこのように完璧に美しいものだと、感動が大きいです。
さらにアップにして見ましょう。
手が大きい~、ひだひだが細かい~。そしてスペースにあわせた天使の、余りにも無理な姿勢~。これはロマネスクならではって感じですよねぇ。翼も身体も、無理無理スペース優先で、こういうのがある種の様式美とかスタイリッシュなモチーフを生み出す元になっているのかもですよねぇ。
左側の三人。
そして右側の三人。
アーモンドを支える天使、そしてその両側には、やはり天使が囲んでいるようです。これは、セラフィムのようですね。六つの翼を持つ、天使の中でも最上級の天使、だったかな。六つの翼をたたむのが、大変そうな様子が微笑ましい…。
両脇の人々は、使徒とありますが、誰なのかな。誰もが、手の表情が豊かで、何か意味があるんだろうと想像します。
久しぶりのロマネスクなので、ちょっと息切れしてます。
続きます。
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- 2014/05/22(木) 05:45:43|
- ラングドック・ルシヨン
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