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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

誰か研究してください。

ルシヨン・ロマネスクその33

ルシヨンも、ほぼ終わりに近づいています。帰りがけに立ち寄った場所のひとつが、このトゥルージェToulouges。




すごく、本当にとっても普通の田舎の小都市という感じの町で、ミラノ近郊の町めぐりの旅でよく出会うような、そういう雰囲気。
旧市街の一角はとても美しく整備されていて、そこに教会が見えました。

こんな地味な場所ですけれど、一応事前に、チェックは入っていて、このサント・マリー教会Eglise de Sainte Marie、11世紀のクリプタもあるということなので、ちょっと期待。

でも残念ながら、教会はクローズ。というわけで、もうひとつの注目ポイントである、南側の扉口装飾に集中です。




多くを期待してなかったのですが、ここ、面白かったです。




ぱっと見、これだけかよ、という印象なのですが、数少なく残っている中世の名残の中に、なんか来歴を感じさせる要素がたくさんあるんですよ。

まずは、摩滅の激しい柱頭装飾の中で、比較的よく残っているひとつにあるフィギュア。




ホビット!お髭をつかんでいるフィギュアって、確か何か意味があったはず。というか、誰?もぉ~、自分の記憶力とか勉強の浅さを情けなく思います。
そして、装飾的なライオン。




これ、ちょっとオリエンタルな感じもあるんですよねぇ。ルシヨンは海も近いし、地中海経由のトスカーナとの交流とか、ひいてはオリエント。なんかあったかもしれないわけで。今は、感覚だけで書いているんですが、海に近いって言うのは、それだけで、外界に近いって言うことなんですから、たくさんの可能性、文化交流の歴史の可能性があるわけで。

タンパンとかは摩滅も激しく、写真で見ても、よくわからないくらいなので、肉眼では、本当に分からなくて。他に面白かったのが、アーキボルトにはさんだようにはめ込まれた獣の頭部フィギュア。




分かりにくいと思うのですが、いくつも重なるアーキボルトの、一つ目と二つ目のヴォルトの間に三つ、頭部がはめ込まれているんですよね。




なんだろ、これ。こんな形、初めて見たな~。
同時に気になったのが、柱の螺旋筋彫りこみ。




分かりにくいかもしれませんが、柱をぐるぐると取り巻くように、らせん状の筋が刻まれていて、これが、アーキボルトの一本にも、同じように刻まれているんですよね。その上に、アーキボルトの方は、その刻まれたらせん状の部分に、さらに浮き彫りの装飾があるんですよ。




この教会、建物そのもののほとんどの部分が再建で新しくなってしまっていますが、この扉部分だけでも、その筋の研究者だったら、面白い研究ができるような要素満載!クリプタに入れなかったのがつくづく残念になりました。
これも含めて。




柱が、もう機能していない~!
ちゃんと修復して、柱がこの状態でも大丈夫なようになっているんでしょうけれど、なんかここの扉口って、この感じに象徴されるって言うか、とっても繊細かつ主張があって、そのまま通り過ぎられない強さ。
特に期待もせずに立ち寄った場所ですが、びっくりしました。

おなじみのロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2014/07/13(日) 06:16:57|
  2. ラングドック・ルシヨン
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

No title

タイトルに惹かれて覗きに来ましたが・・・・・・

当然、門外漢ですよね?

面白く拝見致しました。
何時も思う事ですが、歴史の奥深さと悠久の時の流れを感じますね。
  1. 2014/07/12(土) 22:33:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
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No title

corsaさんすごいですね。私の目にはとまらなくてスルーしていそうな…でも、仰る通りたくさんの情報が詰め込まれていますね。素養がなくては気にも留めないだろうし、謎も解き難いです。
ありがとうございます。行き当たりバッタリの軽い爺さんへの戒めと読みましたです。
  1. 2014/07/12(土) 23:29:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

隙間からのぞく人の顔、で思い出すのは コンクのサントフォア教会、 タンパンをとりまく弧帯の間に貌が見えるのです。そこでは手もでています。覗き見、と言った感じですが、このお写真では威嚇しているのでしょうか。
とりあえず、弧帯の間に顔、という例があるということだけ。
髭は 老人二人が互いのを引っ張り合っている、図は見たことがありますが、、、。
  1. 2014/07/17(木) 04:11:00 |
  2. URL |
  3. yk #79D/WHSg
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山下さん
いやいや、門外漢とかなしでしょう。
こんな、結構無名状態の場所にも、なんとなく研究に値するようなものがあるような気がして、とても間に合わないよなぁ、って思っちゃって。もしかしたら、地味に研究している人はいるんでしょうけれどね。石の文化は、歴史を目の当たりにできちゃうところが、なんかすごいですよね。
  1. 2014/07/17(木) 20:30:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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oteboxさん
ふふふ、ご存知の通り、わたしだって、基本はいきあたりばったりです~。でも、こういう何かいわくがありそうなものって、なんか見ちゃいますよね。って言うか、ここは、この扉装飾しかない分、親の敵みたいな気持ち(どんな?)で宝探ししちゃいました。
  1. 2014/07/17(木) 20:31:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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ykさん
こんにちは、お久しぶりです。
隙間からのぞく顔って、わたしは思い浮かばないんですよ。コンクですか。いつか行かないと~!そういうモチーフが、あることはあるんですね。
髭は、にわかには思い出せないものの、こういうタイプって絶対見たことあると思うんですよ。思うけど、どこだったか。笑。そろそろ体系的に、モチーフとかまとめてみたいとは思うんですけれどもねぇ。なかなか時間と体力が~。
  1. 2014/07/17(木) 20:33:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

corsaさんご無沙汰です。もうしわけない!
髭の男って、なんだというので、一言。
私も忘れかけておりましたが、髭をつかんで話を聞くというのは、騙されないぞ~!
といいう意味でして、特定の人物に由来するわけではないと記憶しております。
いわば、眉唾のような意味だったかと。
  1. 2014/07/20(日) 06:50:00 |
  2. URL |
  3. クリス #79D/WHSg
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No title

クリスさん
こんにちは、レス遅れてすみません。スペイン北部でボーっとプレロマネスクにはまっていました。
髭男は、そういう意味でしたか。ありそうです。そういう図像学的なフィギュアをまとめて、自分なりにいろいろ考えてみたいものですが、時間がなかなか足りませんねぇ。
  1. 2014/07/27(日) 21:55:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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