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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

初対面、ドイツの(プレ)ロマネスク!

フランクフルト、弾丸ツアー2
どこに行こうが、そこがヨーロッパである限り、わたしの好きなロマネスクに事欠くことはありません。それを幸いというのか、なんというのか。

だって、一人ならともかく、同行者が、そういう場所に行くことを喜ぶ人たちばかりでもないので、目的が違う場合は、あくまで控えめに、「ついで」で立ち寄れる状況を求め、押し付けがましくないようにしないといけません。
って、なんか、変ですが、まぁ、他の人と動く場合は、自分の好みを押し出さずに、無理のないように目的地に訪れる状況を作るっていうか、そういう戦略も必要っていうか、結構苦しい。

今回は、ミラノからフランクフルト一直線で、週末弾丸ツアーだったのですが、そういう状況でも、本音は何か見たい。ちょっと調べたところ、途中、世界遺産に認定されている一群の遺構発見。
その中で、目的地への動線をなるべく崩さない直線上で見つけたのが、ロルシュLorschでした。




フランクフルトから60キロくらい南にある世界遺産で、ロマネスクというよりはプレ・ロマネスク、カロリング朝の時代の遺構。
同行者たちに諮ったところ了解を得まして、とりあえず、立ち寄ってもらえることに(運転手は自分じゃないので、立場が弱いんです)。

ミラノを出てから、通過するスイスはかなりの雨模様。車窓の山は、霧やもやで覆われて、時々大粒の雨が降ってくる陽気です。




これはどうなんだろう、と心配していましたが、目的地ロルシュに着いたときには、トップの写真にあるように、青空で、暑いくらいの陽気に恵まれました。やっぱり、日ごろの行いかな~(誰のかはわかりませんが)。

ロルシュの修道院は、その周辺にある他の同時代の遺構と合同で、ユネスコの世界遺産に登録されているものです。インターネット等で写真を見たりしたのですが、実は、修道院と言っても実態があるようなないような。一体何が世界遺産?という感じだったんですが、行ってみて分かりました。
要は、起源が古い。カロリング朝の遺構である。
そして古いだけに、当時のものはわずかしか残っていない。

その、わずか残っているものが、この王の門。




これが、しかし、思いっきり派手な修復が施されちゃっていてピカピカ。多分ちょっと前までは、両脇にある円筒の小さな塔状の部分も、石積み状態だったのが、いまや漆喰で真っ白。レンガ色と白の石での装飾的な外壁も、妙にきれいだし、屋根も新品状態だし、一見して、これがカロリングの何か、とはとても思えない眺めで、にわかには認識不可能でした。

インフォメーションでもらった簡単なガイドによれば、「2014年に、大規模な修復が終わったばかり」、とあったので、まさに修復直後の姿だったということです。以前に行かれた方には、驚きの姿ではないでしょうか。




修復にも、お国柄っていうか、好みが出ますよね。やっぱり持っているもののおかげとその結果としての修復技術のせいか、個人的にはイタリアの修復はいい線いってると思うんですけれど。ドイツって、そういえば、家屋の外壁も、汚れを嫌って、数年ごとにペンキでべったりぴかぴかに塗りなおす人たち。いつも新品状態が好きな感じが、修復にも出ているような…。
いや、大体寺なんてものは、元来そのオリジナルは、ピカピカできらきらで毒々しかったりするもんですが、でも数百年とか千年近くとか過ぎた現代で見るときには、そういうものが古びてしなびて落ち着いて、それがいい、っていうことがほとんどと思うのに、あえてオリジナルに忠実にぴかぴかにしちゃうって言うのはどうか、っていう話になりますが…。どうか?

ここの修復は、かつて修道院があった場所全体を、美しく整備した、ということらしいです。確かに、村のはずれ一体が、丘のようになっていて、その一体が世界遺産の修道院跡ということらしいのです。

雰囲気はよくわかります。
王の門と呼ばれる、カロリング朝時代唯一の以降の、地上部分から、村。




そして、180度向きを変えると、修道院教会の建物が、さらに小高い丘の上に建っています。




この教会は、今ではファサードの部分しか残っていませんが、それは既にして、ゴシック以降のスタイルで、その上、まだ大規模修復中でした。
この丘一体が、美しい緑で、自由にアクセスできる公園になっていて、それはそれは美しい緑。これも、今回の修復の結果のようです。




これは、ファサードを後ろ側から見たところ。要は、このあたり、本堂だったり、回廊があったりしたはずの場所。以前は木があったり、土むき出しの部分があったりしたようなんですが、今はすべて美しい芝生。ただ、段差がつけられていて、本堂のあった場所がわかるようになっています。




土が盛り上がって土手のようになっている部分が分かるでしょうか。
後陣部分は丸くなっています。
本当にこの盛り上がっている部分が本堂の外壁だったのだとしたら、とんでもなく大きな教会です。南側には回廊があったのでしょうから、そちらは一段さがった場所に、やはりそれらしい段差が設けられていました。




ちょっと面白かったですけれど、別に、説明版とかあるわけでもないので、ただ市民の憩いの場(特に子供たち)で、ごろごろ転がっている子供なんかがたくさんいました。




緑と、平壁、赤い屋根、青い空、とにかく美しいですね。ドイツのイメージそのまま。この建物群も、修道院の宿舎の場所を基礎に建てられているようなんですけれど、今、どうなっているのか、よくわかりません。
まぁ、変にガイド・ツアーじゃないとアクセスできないというのも嫌ですが、ここまで変に開放的で、説明版ひとつつけないっていうのも、なんかよくわからないシステムです。今は修復直後だし、ファサードはまだ修復中だし、これから、もう少し親切になるのかもしれませんけれどね。

いずれにしても、漆喰塗り塗りは、拒否反応でした。

ちなみに、この村、こじんまりとしてかわいらしく、ツーリスト満載でした。




でも、村の中心にあったインフォメーション・センターは、まったく愛想がなく、英語のパンフレットも、頼まないとくれない有様でした。ちょっとがっかり。中世の世界遺産だというのに、有料無料ドイツ語英語含め、そういう資料が一切ない、というのもがっかりでした。
考えたら、わたしにとっては、記念すべきはじめてのドイツ・ロマネスク(正確にはプレですが)だったんですけどね~、感動薄かったなぁ。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
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  1. 2014/08/19(火) 06:07:38|
  2. イタリア以外のロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

ドイツの都市には何箇所か暮らした事があるのですが・・・・・

フランクフルトにも居た事があるのですが、唯何と無く地ビール店に通って居ただけだったような・・・・・・
  1. 2014/08/19(火) 01:48:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん
あちこち滞在されていたのですねぇ。地ビール屋めぐり!わたしだって、本当はそれがしたかったんですが、残念です(今日の記事を読んでもらえると分かります)。白ビール、好きなんだけどな。
  1. 2014/08/19(火) 22:31:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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