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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

コピー装飾の意味とは。

アストゥリアス・ロマネスク4

いよいよガイド・ツアーの始まりです。グループは10人強。まずは、サンタ・マリア・デル・ナランコSanta Maria del Naranco。




ファサードに集められたグループは、まずは北側にある階段から二階にアクセスです。




おお、なんていうのか、外から見ていた感じそのままの内部。想像以上に狭いかもしれないです。
何か、新しいものに出会う感じで、気持ちそぞろに、視点もうつろな状態。
そんなおろおろ状態、どうせ分からないし、と思っていたスペイン語ガイドが、途中から耳に入ってきました。
というのも、男性ガイドさん、相当外人慣れしているようで、ゆっくり明確な話し方で、実に聞き取りやすかったんです。
自分にとってなじみのない言葉でのガイド・ツアーは、たいてい聞き流して、目で楽しむ方に注力してしまうことが多いのですが、そんなわけで、ここではガイドさんの説明に耳集中しましたね。とはいっても、やはりイタリア語ほど分かるわけではないので、どうしても、目にいってしまうところも多かったのですけれど。

長方形の部屋。天井のヴォルトにぴったりと合うように柱があって、柱間はアーチになっています。そのアーチが、このスペースを実際よりもさらに広く見せるために、中央から両端(長方形の短い方の東西の辺)に向かって、徐々に小さいスケールになっているとか、実際に見ているからこそ分かりやすい話を、たくさんしてくれました。こういうのは、目で見ても気付かないことなので、その場にいて、教えてもらって、嬉しい話でした。

前回もちょっと触れた、柱の縄モチーフ。




これについては説明がなかったので、自分から質問しました。縄と考えられているけれど、装飾モチーフという他の理由は不明、という答えでした。ガイドさんには、わたしがイタリア語圏の人だとはばればれで、「自分はイタリア語はうまくないけれど、あなたの言うことは分かるから」と言ってくださいましたので、隙を見てはイタリア語で質問しまくり。

柱の縄目も気になりましたが、それ以上に気になるのは、やはり柱頭のモチーフと、メダリオンですね。




かなり浅彫りです。メダリオン、その上に柱頭彫刻のような彫り物。モチーフの図像学的意味は、今でも分からないそうなんですが、意味より何より、わたしにとって疑問だったのは、「コピー」です。




たとえば、これは外壁のアーチ間に置かれたメダリオンですが、建物の内部におかれているものと、まったく同じモチーフ。
柱頭も、ほとんどすべての柱頭に、動物モチーフと、杖を持っている男性の姿のフィギュア、という同じものが、延々と並んでいるんですよね。




で、こういうモチーフが、他の土地の他の神聖な建物でも見られるんです。と言うことは、よほど大切にされたということだと思われますが、杖を持つフィギュアの意味など、分からないらしいのです。は…?分からないって?
(この点については、それ以上追求できませんでした。残念ながら、専属ガイドさんではないので。)




この建物は、狩のための離宮と言われているものの、本当のところはよくわからないというのも、不思議ですけれども、実際、後代に教会に転用されたからって、東向きのテラスに、祭壇置いて、教会です、って言う感覚も分かりにくいし。




この祭壇は、近くにあるサン・ミゲルから運ばれたものらしいけれど、テラスに祭壇を置くってどういう感覚か(サン・ミゲル教会が、一部破損して、教会として使用不能になった結果としても)。
で、そもそも論として、この建物の、隙間加減、疑問だったんです。

長方形の狭い方の辺が東西でテラスになっているのですが、どちらも開けっ放し、雨風吹きっさらし。
どうなっていたか尋ねたところ、もともとは、テラスも柱間にブラインドみたいなものがあったということでした。確認すると、確かにテラスの柱には、窓というかブラインドみたいなものがはさまれていたらしい溝が彫られていました。




今は、吹きっさらし。それもどうかと思いますが。後代には、テラスに出る場所に、扉がつけられた時代もあったようですね。

ガイド・ツアーとは言え、自分がふと疑問に思った点を、つたない言葉にもかかわらず、意図を理解してくれて明確に答えてくれて、実に素晴らしいガイドさんでした。とってもプロフェッショナルで、余計なお愛想とかそういうの一切なかったですけれど。

このあと、サン・ミゲル教会に移動します。

ところで、前回、よくわからないまま記事を書いてしまいました。西ゴートとアストゥリアス王国の違いは明らかで、今ご紹介しているサイトは西ゴートではなくアストゥリアスである、というご意見をいただきました。
まさにその通りで、いい加減な記事につき、反省です。

ブログについては、旅の記録、というよりそのときの感覚を中心に綴っておりますので、間違いは日常茶飯事的にあると思います。自分の記憶のよすがとして綴っているために、詳しい事実よりは、感覚優先。要は、自己中の覚書。
なので、間違いは間違いとしても、記事の訂正は特にしませんが、各種ご指摘ご意見コメント、大変ありがたく、今後ともよろしくお願いします。
いずれにしても、ネットの情報は、せんみつ(死語?)程度のもんでしょうから、その感覚で…。

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  1. 2014/08/31(日) 06:59:50|
  2. アストゥリアス中世
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  4. | コメント:2
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コメント

No title

私の現地で求めた本(英語版)には 上の 上に人、下に向かい合った騎士 の図については 上二人は 本みたいなものをもっているようですが、オランスのポーズで 下の騎士に教会の庇護を与えている、とか説明されていて、下の方の三角に入れられた人物については分からない、とありました。二重ロープは ローマの写本装飾から、と講座で説明されました。手持ちの本では フランス、ジュアールの墓所の石棺に 栄光のキリストがアーモンド型ではありますが、二重ロープに囲まれていました(7世紀)キリストを囲むのですから、それなりに意味のあるものを示すのに使われたのでしょうか。二重ロープはローマのコイン等の縁にもあるかもしれません(皇帝を縁どる!)。そういう持ち運びのできるものがヒントになって 刻されることがある、ということは習いましたので。
  1. 2014/10/09(木) 02:45:00 |
  2. URL |
  3. yk #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

素敵。解説、有難うございます。
大切だから、ぎりぎりにロープで保護する、って言うような感覚なんですかね。面白い。
この地でみられる縄模様は、とっても印象的ですよ。図像学的な意味はなく、モチーフ、というような説明をされていましたが、意味がないわけはないと、わたしも思っているんです。
  1. 2014/10/10(金) 22:53:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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