アストゥリアス・ロマネスク27
ヴァルデバルセナで楽しい軒送りを発見して、ウキウキした気持ちだし、時間の余裕もあるし、もうひとつこの辺りの教会をやっつけるか!と思ったのですが、これがもう大失敗。全然違う場所に向かっていることに、ずいぶんと走ってから気付きました。この前に訪ねたプリエスカの標識が見えてきたんですから、もうびっくりです。
これまでの記事に書いたか忘れてしまいましたが、この辺り、とても狭い範囲内に、同名の村が、ひしめいているんです。
これは、旅の計画をしている段階で、薄々気付いていました。というのも、グーグル・マップで村の検索をしても、特に小さい村の場合、出てこなかったり、予想外の場所にヒットしたり、ということが多数あったのです。それで、わざわざ旅行専門の本屋さんで、この辺りの一番詳細な地図を購入したのです。20万分の1がほしかったのですが、25万分の1が限界でした。それでも、この辺りのはず、と辺りをつければ、とりあえず見つかることがほとんどなので、ネット上で検索するよりはずいぶんと役立ったのです。
で、現地へ行ったら、今度はナビが、グーグルマップ状態になってしまったわけです。地名を入れた時点で、全然違う場所を目指してしまったのです。数十キロも走って気付いたので、かなりがっくりしました。そもそも、既に夕方となっていたことだし。
気付いた地点で、自分の愚かさも、この土地の地名も、ばかばかしくなってきて、きっぱりと見切りをつけて、オヴィエド方面に戻ることとしました。
地域では、同じ聖人があがめられていたり、同じような伝説が語り継がれていたり、それで同じような名前をつけたがる傾向があるのかもしれませんが、ここまで同じ地域に同じ場所って、同じスペインでも、初めてのことと思います。もうちょっと創造力を発揮しろよ、アストゥリアスの人々よ。と思うこと仕切りでしたが、これ、お隣のカンタブリアでも、かなり似たような状況でした。ううん。どうなっているのだろう。文化?ううん。
仕方ありません。せめて、帰り道に寄れる場所に寄れれば、と前向きになり、こちら方面に来るとき、すぐに見つからなかったアラミルAramilを目指してみることにしました。ここも、ナビではうまく出てこなかったので、基本、紙の地図と、道路標示が便りです。既に失敗しているので、無理なく、見つかったら寄る、位の気持ちで行こう、と気持ちを取り直して、再出発です。
ところどころ迷いながらも、何とか、この道沿いにあるはず、という道にはたどり着くことができました。
そういえば、車に乗り出した頃は、まだナビがなかったので、紙の地図と人に尋ねる情報だけで、結構最後はたどり着いていたんだよね!と自画自賛。(現実には、たどり着かなかったことも多々あったのですが、そこは考えないようにして)のろのろ走っていたところ、左側に村の表示があるじゃないですか!
やった!とすぐに左折。入り口辺りに数軒民家が立て込んでいる村で、見晴らしが利かず、方向が分かりません。村の人が歩いていたので尋ねると、この先のあれだと思う、というような頼りないアドバイス。とりあえず先に進むと、ずいぶん先の方に、教会っぽい姿が見えてきたので、確信して進みました。
しかし、確信とは裏腹に、ひどく農道状態の道で、どんどん不安になりました。そして近くまで来たら、どうやら全然別の時代の別物でした。
一応車を降りたのですが、結局また車上の人となり、狭い農道をユーターンするしかなくなったのですが、そのとき、この方が…。
どっどっど、という感じで寄ってきましたので、慌てて車に乗りました。マジで怖かった~!めったに来ない車の気配に、興味を持ったのでしょうか。到着したときには、遠くの方にいたはずなんです。牛も、近くだと、迫力ありますねぇ。
で、元に戻って、もう一度村の人に尋ねたところ、全然違う方向を指示されました。農道状態の細い道を、先に進むしかない状態です。いい加減進んだところで、これでは、他の村に入ってしまう、と気付いて引き返し、道端で樹木の剪定をしていた方に尋ねると、この道の先のあれだと思う、と。
この辺り、余裕がないので写真を撮っていないのが残念ですが、本当に田舎のでこぼこ道の連続で、先に行ったらどうなることか分からないような様相です。空も掻き曇ってきて、今にも雨が落ちてきそう。でも、道を示してくれた人が、大丈夫、車で行けるよ、というのを信じて進み、やっと開けた草原に佇む、小さな小さな礼拝堂にたどり着きました。
サン・エステバン・デ・ロス・カバッリェロス教会Iglesia de S Esteban de los Caballeros。
ほんとにこれ?こんな小さい?と思いつつ、車を停めました。もう、雨が落ちてきています。
見れば見るほど、小さい…。こんなに苦労して、牛に脅かされながら、わざわざ訪ねてくるべき価値があったんだろうか、と既にがっくりした気分。しかし!
ファサードの入り口。小さいけれど、そして取ってもシンプルだけど、素敵に装飾がされているではないですか!
再建も含まれているのは明らかですが、面白いモチーフが見られます。左側の柱頭。
グリーンマンだけど、蔓をはいているのではなくて、大きなやつでのような葉っぱをくわえてます。
右の柱頭は、植物系。
そして、右側に回りこんだら、こんなに小さい建物で、そして、ファサード側に立派な扉があるというのに、南側にもしっかりと扉があるのです。
幾何学モチーフというか、よく見ると具象的のようなアーキボルトが面白い。
アジの開き、またはモディリアニ風女性の顔、または、なんでしょう?
アーキボルトは、正面扉の方も、幾何学モチーフだけど、好きなタイプでした。
そういえば、こちらは、扉の上に、どくろが置かれていたんですよね。これはロマネスク時代じゃないと思うんですけれど、こんなの初めて見ました。リアルで怖い~。ライオンを置くような感覚だったのかしら。
小さいけれど、見所満載。単純なわたしですから、すぐ嬉しくなってしまいました。実は本当の見所は、これから。
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- 2014/11/20(木) 05:17:57|
- アストゥリアス中世
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| コメント:2
我が事のように頷いておりまする。私自身の認識不足だったのだと思いますが、スペインの田舎と相性が悪いのかガーミンというgpsには、さんざんな目にあってしまいましたよ。
- 2014/11/20(木) 00:49:00 |
- URL |
- otebox #79D/WHSg
- [ 編集 ]
> oteboxさん
それはお疲れ様でした。わたしはトムトム派なんですが、でもこの場所では、ガーミンのせいじゃなくても、だめってことです。ガーミンもかわいそうでしたね。笑。
村の名前を決めた昔の土地の人々に文句を言いたいです。って言うか、こういう不具合を考えなかったのか?
- 2014/11/20(木) 21:10:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]