アストゥリアス・ロマネスク33
サン・ペドロ・デ・ヴィリャヌエヴァ教会Iglesia de San Pedro de Villanueva、続きです。
往時の扉装飾です。
アーキボルト部分は、植物系のリピート文様で、重なりも重厚で凝っているけれども、面白味はないのですが、左側の側柱に載っている柱頭彫り物が、独特なんです。これ。
騎士と女性がキスしているシーンが並んでいます。この部分は、特にクローズアップされることが多いようです。
今のところ、歴史的なことは全然調べてもいないのですが、騎士ということは、ちょっと下った時代ということになるんですかね。こういうシーンって、フランスでもお目にかかったように思いますが、イタリアでは見たことのないモチーフ。フランスだと、十字軍かと思いますが、この辺りの歴史背景を考えると、イスラムとの戦いの歴史がもっと以前にあるから、十字軍を待たずして、こういうモチーフが既にあったということなのかな。
それにしても、顔くっつけまくりの濃厚接吻ですねぇ。
この教会、例によって、後陣軒送りが、これまた大変面白いです。フレンチならぬ、スパニッシュ・キスを堪能(?)した後は、おなじみの後陣鑑賞です。
三つの後陣すべての軒送り、そして、本堂の側面部分にもあり、かなりよく保存されています。小さい後陣のものは、結構低いので、鑑賞にもうってつけ。
面白い形を、一気に。
これは、男根系、とでも言うかな。
キリスト教になっても、一部、異教的な、原始宗教的なモチーフというのは、どっかに残されるもので、この地域の軒送りでは、特に、そういう系統のモチーフが多く見られます。エロチックというより、プリミティブ。まだそういう時代の名残が大いにあったんですね。キリスト教が、「清教徒」とかなっていくのは、ずいぶん先の話で、出発点は、こういう状態なんですね。
変な顔系。何だろう、意味が分からないし。
そして、そういう変なものの間には、植物系のモチーフでびっしりと装飾的な浅浮き彫り。
この、真ん中三人組、ヴァルデバルセナの彫り物に似ています。これ。
何だろう。不気味なんだけど、かわいい…。
もうきりがないくらいに、楽しいです、ここの軒送りは。離れがたいながら、いやいや、そうも言っていられないだろう、と別れを告げました。
ちょっとだけ、パラドール周辺を散策したところ、やはり村ではあるのでした。
昔の高床倉庫があちこちにあって、結構現役で使われている、そういう村。
道端で猫が遊び、おじさん達がのんびりと語らいあい、時間がゆっくりと過ぎていく。確かに、ミラノとは違う時間の流れで、アワアワして駆けずり回っている自分が、一体なんだろう、と思えてくる空気に満ち溢れていました。
この、ほんのひと時の散策が終われば、わたしはまた修行に戻り、一人ばたばたと駈けずり回るのだなぁ、などとぼんやりと考えながら、しばし、こころの休息を得たものです。
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- 2014/12/07(日) 07:47:44|
- アストゥリアス中世
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