fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

廃墟の修道院に馬って…。

アストゥリアス・ロマネスク34(最終回)

時間的には、そろそろランチの具合などを考えて、カンタブリア方面に移動すべき頃でしたが、もうひとつ、ほぼ通り道にある教会に、立ち寄ることにしました。ゾディアックでも推奨の修道院教会、サン・アントリン・デ・ベドンMonsterio de SanAntlin de Bedonです。

しかしここでまた、場所が分からず。紙の地図には出ていたのですが、相棒のナビでは、修道院を入れても、ベドンと入れても出てきません。仕方ないので、適当な出口で高速を降り、ちょうど路肩に駐車していた車の人に尋ねてみました。

幸いにも地元の方たちだったようで、こちらにスペイン語のハンデがあるのに、とても分かりやすく指示してくれ、それが結果として、びっくりするくらい正確でした。道を教えるのって難しいし、イタリア語でもぼんやりすることも多いので、この正確さには、本当にびっくりしました。

そしてまた、ロケーションの特異さにもびっくりです。高速の真下を走る国道の脇で、両側ほとんど森状態。道端に、修道院を示す看板があったものの、あまりに木が茂っている野生状態の林に、入っていくべきかどうか、とりあえず路肩に駐車した車中で、しばらくどうしたものか、考えていました。




すると、茂みから、一人の女性が出てきました。上の写真は、茂みの中に入って、後ろを振り向いたところですが、木陰に女性がいます。自転車で、これからサンチャゴまで行くという巡礼の方でした。英語とスペイン語ちゃんぽんで、ちょっと立ち話しました。素晴らしい教会よ、いいところに来たわね!と日焼けした顔でにっこり。中年の方でしたが、一人で、自転車でなんて、勇気あるなぁ、と感心しました。昔に比べたら、巡礼の道は相当整備されているようですが、それでもここのように人気のない田舎を、自転車で旅するというのは、怖いようです。
わたしも一人旅ではありますが、少なくとも自動車ですから。
いずれにしても、この人が見てきたんだから、大丈夫、と心強くなりました。

そもそも、この修道院が、廃墟になっているとは思いも寄らなかったのです。

入り口はともかく、看板に従って進むと、すぐに廃墟が見えてきます。




修道院というよりは、農家のようです。
廃墟状態の建物の向こう側に、教会があり、そこだけは、どうやら、一部修復工事がされているようなのです。




先の女性が、「馬が二頭いて、かわいらしかったわ~」と言っていて、わたしの聞き間違いかと思ったのですが、確かに馬がいたので、びっくりしました。
教会のファサードの左側に建物がありますが、そこが馬小屋になっているのでした。




馬臭い~。馬糞とわらのにおいで、決してうっとりするようなものではありません。その上、ちょっと低くなっているファサードの入り口とこの馬小屋の建物前一帯は、おそらく以前降った雨と、そして掃除されていない馬糞で、どろどろ…。とても足を下ろせそうな状態でもなく、また、馬小屋の扉は閉ざされていないし、その上、馬がつながれている様子もない…。
かつて乗馬をしておりましたので、馬には比較的慣れているのですが、同時に、馬が本気を出したら怖いことも分かっており、とても近寄ることは出来ません。いやはや、困りました。

びくびくしながら、可能な限り近寄って、ファサード見学。




立派なファサードです。そして、相当修復されている様子が見えます。側柱は全部新しいし、アーキボルトも、装飾的に古いものは残っていません。柱頭も、同様。ただ構造だけ、古いものを再建したのでしょう。
ここで見るべきは、扉上部の軒送りです。アストゥリアスの石工さんたちは、この装飾彫り物が、本当に好きだったのですねぇ。





面白いです、動物から聖職者など、バラエティーに富むフィギュアが、怪しい変な形をしていて、なんだってこんなもの達を彫りつけたものか、と感嘆を覚えます。





南側にも扉があり、教会の大きさから言うと、やけにでかくて、プロポーション的にはどうなのだろう?というスケールです。トップの全体写真で分かると思いますが、ファサード側の扉とほぼ同じ大きさで、スタイルも同じ。
こちらにも、同じような彫り物があります。




ただ、こちらは修復がされていないようで、傷みが激しかったのです。残念。




肉眼ではよくわからなかったのですが、改めて写真で見ると、正面側と同じモチーフがたくさんあります。もしかすると、こちらを参考に、再建したのが正面?などとも思ってしまいました。というのも、扉周囲の装飾も、まったく同じだからなんです。

後陣。




付け柱はオリジナルなんでしょうか。窓の周囲と同じ石なので、本当に古いものかどうかは分かりませんが、少なくとも、最近塗られたのであろう漆喰に比べれば、古い時代の構造物であることは間違いありません。ここにも軒送りがあったかもしれないです。

この周辺は、草原となっています。あの馬も、こちらにいれば、もうちょっとこころ穏やかにファサードを観察できたんですけれどね。
しかし、馬がいるということは、これは私有地、個人の所有物となっているのでしょうね。修復の経緯も不思議ですけれど、これほどの状態になってしまったのに、よく、残っているものです。
美しい緑に、しばし、リラックス。原生花園状態で、多くの花が咲き乱れていました。蜂や蝶が飛んでいて、ちょっと夢のような。

これでアストゥリアスにお別れです。もう少し東に進み、カンタブリアに向かいます。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)
スポンサーサイト



  1. 2014/12/09(火) 04:34:57|
  2. アストゥリアス中世
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<素敵な田舎のホテルとレストラン | ホーム | フレンチ・キスは有名だけども。>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
https://notaromanica.blog.fc2.com/tb.php/1342-98ab18b6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)