ピエモンテ・グラッパ合宿、その6
レヴィさんの火入れ祭りを楽しんだ後、まだちょっとだけ時間の余裕があったので、もうひとつ、訪ねてみることにしました。ちょっと遠いし、行ってみたら閉まっていた、というのは嫌だったので、一応電話したところ、ちょっとばたばたしてるんだけど、でも、1時間後位だったら大丈夫、ということだったので、やはり行ってみることに。 それが、こちら。
Distilleria Pietro Mazzetti Via Conte Calvi 31 Montemagno (Asti) www.mazzettipietro.it
モンテマーニョという、小高い丘の斜面に張り付いたような小さな村の一角に、かなり昔からあるんだろうな、というような蒸留所でした(1816年かららしいです)。 しかし、訪ねたところ、「悪いけれど、半時間後くらいに、もう一度戻ってこられないかな」というので、ちょっと村の散歩をしました。
なんていうこともないけれど、ずっと昔から変わっていなそうな町並みで、中世のお城があったり、廃屋がいっぱいあったり、同時に、きれいに改築した家もあったり。なんだかちぐはぐな感じで、こういう村に住んでいる人は、何で生計を立てているんだろう、とか、つい考えてしまうような。丘からの眺めは美しかったです。
しばらくして戻ると、入ってすぐの間には、まだ人がいましたが、すぐあとからわかったのは、オーナーさんのご両親、要は先代さんだったんです。 男性は、きっちりとスーツを着た背の高いご老人で、なんだか映画の登場人物のような雰囲気がありましたから、まさかオーナーさんご一家とは思わず。
上写真の奥にいらっしゃるのがお母さん。 結局、またしばらく待たされましたが、やっと現役オーナーさんが登場しました。工場や試飲スペースの壁塗りのために、職人さんが入っている、ということで、入り口の狭いスペースでの試飲でごめんなさいね、ということでした。 こちらにしてみれば、そんな忙しい最中に押しかけて、相手をしていただけるだけでも嬉しいことです。
現役オーナーさんは、中年のシングル男性で、登場するなり、「あー、疲れた疲れた、お待たせしてごめんね~」という気楽な感じでしゃべりだし、それっきり、もう止まらない…。マシンガン・トーク状態。 とにかく、全力で仕事を楽しんでいて、業務拡大に一生懸命いそしんでいて、製造にくわえて宣伝活動にすごく力を入れているようで、それが忙しさに拍車をかけているようでした。見本市や展示会は、イタリア中に出店しているし、近々、ミラノにエノテカのような店を、他製造業者と共同で出店するとか何とか。とにかくすごいやる気。 こういう業種で、こういう場所にお住まいで、一人息子でシングルって、珍しい方ですねぇ。 もちろん、どこのオーナーさんとも同様、自分たちのグラッパには自信をもたれていて、あれこれと試飲させてくださいました。
わたしは、2本購入。
バルバレスコのビアンカと、ちょっとバリックの入ったモスカート。お値段も大変良心的で、前者が15ユーロ、後者が18ユーロというお買い得値段で、デイリーのグラッパにぴったりでした。
それにしても、楽しい方でした。 こちらに日本人がいるとわかると、「今、うちの若い子がマルケの方の見本市出店のために出かけているんだけど、彼女は日本語を勉強してたんだよね。あ!今、電話するからさ、ちょっと日本語で話してみてよ~。彼女の日本語がどういうもんか、教えてよ~!」等と、本当にその場で電話して、いきなり携帯を渡されてしまいました。 何を話せと言うんだ~! とりあえず、日本語で、いきなりすみません、みたいな話をしてお茶を濁しましたけど、笑っちゃいますよね、能天気なイタリア人のこういうとこ。 ちなみに、その従業員の方は、いきなりの電話にもかかわらず、それなりにキチンと日本語話していました。 そんなこんなで、17時半ごろお邪魔して、結局1時間くらい、話し込んじゃいました。 グラッパ製造業の方は、総じてお話好きです。そして、家族経営的な蒸留所だと、こういう面白い方がよくいらっしゃいます。楽しかったな~。 来年は、きれいになった試飲ルームにお邪魔しますね、と約して辞去しました。
最後にもうひとつ。日曜日も午前中は開いていることを知ったので、帰る前に、寄ったのがこちらです。
おお、盛大に煙が出ています。やはり製造中に伺う臨場感は圧倒的です。工場には、ちょっと迷惑なのかもしれませんが、ほのかに漂う葡萄粕の香りも、いい感じ。
Distilleria Beccaris Piazza Cora 1 Boglietto di Costigliole www.distilleriabeccaris.it
ここは、前回トップバッターで立ち寄った蒸留所ですが、今回、改めて感動しました。
割と早い時間で、他のお客さんがいなかったこともよかったのですが、対応してくれた若い女性が、押し付けがましさのない程よい情熱で、実にうまく試飲をさせてくださったんです。前回は、何を飲んだらよいのか、よくわかってなかったのですが、今回はビアンカ中心、という方針も、やはりどこに行ってもよいようで、ここでもビアンカ中心に、ずいぶんとたくさん、試させてもらうことになりました。
何種類試させてくれたかな。わたしは、これなんか一押しと思っているのよ~、みたいな勧め方が、とってもよかったんです。本当に好きで、このお仕事やっているんだって言う感じ。 最終的に、ここでも2本いただきました。
お姉さん一押しの、アルネイスのビアンカと、試飲で一番気に入ったPelavergaという、こちらもビアンカです。これまたとてもコスパ高くて、前者が14.50ユーロ、後者が18.50ユーロ。これは本当にお買い得と思いました。次回も絶対に行く! 前回は、素晴らしく滑らかなリゼルバをいただいて、これはもったいなくて、まだ開栓していないのですが、結局、リゼルバがおいしいということは、ビアンカがおいしいということなんですよね。一年で、少しはわたしのグラッパ舌も成長したかな~。
そうそう、最後にもう一ヶ所。 地元の甘いものをお土産に買いたい、と同行者が言うので、立ち寄ったのは、お城の中にある地域のエノテカ。
Castello Grinzane Cavour Enoteca Regionale Piemontese Cavour
地域のワインを売っている場所で、有料の試飲コーナーがあります。確か2杯分くらい買ったのですが、カウンターの人が親切で、少量ずつなら、全部試飲してください、ということで、ほぼ総ざらい状態で試飲してしまいました(と言っても、なめる程度ですよ)。 Villa Rosatiなど、訪ねたけれど、開いていなかった蒸留所のもの等もあったので、満足感高かったです。まだまだ、訪ねるべき蒸留所があるって言うことで、今後の楽しみです。
というわけで、今回のグラッパ合宿も、おしまい。〆て、12本プラス小瓶2本、ですか。どひゃあ。いつ飲むんだろう。試して見たい方、今がチャンスですよ。フリウリ・ベネトのグラッパも、まだ結構あるしね。 正直、これほどの品揃えのお店もないって言う状態ですからね。
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2014/12/18(木) 07:34:29 |
グラッパ
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