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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

胡桃拾いに気をとられながら…

アルメンノのロマネスク その2

ガイド・ツアーは、サン・トメのあと、各自が車で、ほんの3分くらいのところにある教会に移動。それぞれで移動って、立ち往生とかして、迷惑をかけたらいやだなぁ、って感じがして、わたし的には徒歩で移動したいところでしたが、仕方ありません。結局、本当に近い場所だったし、問題なく到着できました。




田舎ですが、一応ここは村はずれで、駐車した手前の道には、民家も並んでいました。教会へと続く道は、きっと昔からこんな小路だったのではないかと思います。今は草原(牧草地?)となっている左側が、もしかするとうっそうとした森とかそういう感じだった可能性は高いですが。
目的は、看板にもある、サン・ジョルジョ・イン・レミネ教会Basilica di San Giorgio in Lemine。




ファサード。
地味だし、修復も激しく、残念ながら、あまり感動もありません。
実は、以前この土地を訪ねた際、ここはまったく場所が分からず、訪問を断念しました。その頃に比べると、修復も含めて、表示とかずいぶんと分かりやすくなったのではないかと思います。

ところで、この土地。ミラノの東方50キロくらいの場所にあるベルガモから、かなり近いのですが、今は本当に静かな田舎です。それなのに、とても狭い場所に、中世の教会がひしめいているのは、不思議じゃないですか。
今ある建物の起源は、多くがロンゴバルドです。ミラノから東側一帯の、かなりの地域にわたって、ロンゴバルドが定住していた町村の名残がたくさんありますが、この辺は特に多く住まっていたらしいのです。
というのも、ここは、イタリアとアルプス方面を結ぶ道の途上であり、特に、ロンゴバルド時代に繁栄した、今で言うフリウリ等東方(アクイレイアなど)からやってきた道が、北上するという交通の要衝だったんだそうです。

中世が起源とは言え、今では多くの教会が、当時の面影をほとんど残さない形になってしまっていますが、それは要するに、この長い時代の中でも、常に教会として稼動してきて、周辺の人口も、常にそれなりにいたと言うことでもあるので、やはり土地の重要性というのは、すごいものだと思います。

で、このほかにも、クリプタに見るべきものがある教会などもありますが、さすがに二千年越えした今日この頃、ほとんどの教会は、今回訪ねた二つの教会同様、常にオープンしているわけではありませんから、見学は容易ではありません。特に、クリプタの教会は、週に一度、夕方のミサのときのみ、見学可能とか。それも、主のような教区司祭のご機嫌次第とか。ハードル、高いです。

さて、話をサン・ジョルジョ見学に戻しましょう。




ここでもガイドさんが説明してくれますが、やはり歴史中心で、すぐ飽きて、側壁の方なども勝手にうろうろするわたしでした。
この、建物の下側の切り石が、古い時代のもので、上の方は、川石などを並べたもので、ちょっといい加減な感じになっています。今ある建物は、ロンゴバルドの時代よりはかなり下るもので、ロンゴバルドの時代のものは、残っていないようです。




後ろの方も、一人で回りました。ガイドは歴史中心なので、後陣なんて、興味ないのでしょう。




地味な後陣がひとつあるだけですが、雰囲気はロマネスクで、美しい形状です。周囲に何もない時代には、印象的な建物だったと思います。
今は、結構近くまで民家が迫っていて、この後陣の脇では、村人が何か拾い集めていました。
卑しいわたしは、つい気になって、尋ねたところ、胡桃拾いでした。
遠くにいたおばさんは、袋に一杯拾い集めていましたが、わたしが尋ねたおじさんは、ぼくはあまり得意じゃなくて、とちょっぴししか見つけていませんでした。生の胡桃が拾えるなんて、考えたこともなかったな~。ちょっとうろうろしましたが、ひとつも見つけられませんでした。




おっと、気が散りすぎ。胡桃拾いにきたわけじゃないので、慌てて、ガイド・ツアーに戻りました。

内部。




構造は、古いですね~。天井も木製で、これはオリジナルではないのでしょうが、オリジナルの雰囲気がよく残っています。なんとなく、がらんとした寂しい空気が漂っていたのは、なんでしょう。隣接の墓地も含めて、現役、ではないからかな。

壁には、13世紀以降のフレスコ画が、場所によってはかなりよく残っています。




わたしの好みではないので、さらりと見学。好みではないけれど、修復もうまいのか、適当に色あせた感じが、なかなかよかったです。フレスコの一部に描かれた乙女の顔が、サン・トメの二階部分にあるフレスコ画と同じ手と感がられる相似形なので、多くが、サン・トメのフレスコ画と同時代のものらしいです。ということは、13世紀以降に、これだけの金を複数の教会の装飾につぎ込む豊かさが、この土地にあったということです。




ここでも、ガイドさんの説明をそこそこに、勝手にうろつきまわりました。後陣の入り口付近に、古い柱頭が見られました。





こういう風に、忘れられた状態なのに、しぶとく生き残っている柱頭には、いとしさを感じてしまいます。よくぞ、一人でがんばってきたね、みたいな。

でも、ツアー参加者のほとんどは、「現場検証」よりもガイドさんの薀蓄話を聞くほうが楽しいようで、いつまでも集っておりました。




つくづく、団体行動の出来ないやつ…。
とは言え、何はともあれ、よい機会に出会えて、満足なガイド・ツアーではありました。出版ほやほや、刷りたて状態の、中世からルネサンスまでのこの土地の歴史を説明する美しい本も購入できましたし。このガイドもやっている協会は、かなりまめにイベントを実施しているようなので、また機会があれば、参加してみたいものです。




サン・ジョルジョ、全景。サン・トメは、この写真で辿れば、左下の方になります。
というわけで、久しぶりのアルメンノ・ロマネスク短編でした。これも、アルメンノとして、いつか、まとめないといけないですね。いつか…。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
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  1. 2014/12/30(火) 06:59:24|
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